The Parliament Buildings Japanese Les édifices du Parlement Japonais Photo: Library of Parliament / Bibliothèque du Parlement - Doug Millar 国会議事堂案内 カナダの象徴として国会議事堂の右に出るものはないでしょう。東棟と西棟を両側に従え、特 徴的な平和の塔と図書館を持つ国会議事堂の中央棟は、カナダ国民をはじめ世界中の人々 に親しまれています。現在でも国会討議の場として使用されていますが、過ぎ去った昔の時代 と活躍した人々の息吹が今でも感じられる場所でもあります。 カナダの初代国会議事堂 1841年、ローワーカナダ(現在のケベック州)とアッパーカナダ(現在のオンタリオ州)が合併し、 カナダ州が形成されました。その政府の議場は長年二つの地域の間で移動を繰り返しました が、1857年に英国のビクトリア女王に対し、恒常的な首都を選択する要請がなされました。 驚くべきことに、女王が選んだのは、すでに都市として確立していたトロントやキングストン、モ ントリオール、ケベックシティではなく、木材業の町としてぞんざいに仕立て上げられていたオタ ワでした。オタワが選ばれたのは、政治的な妥協の産物であると同時に、アメリカとの国境から 離れた安全な位置にあったことも一因でした。 国会議事堂の中央棟、東棟、西棟の建造は1859年から1866年にかけて行われました(平和 の塔と図書館を除く)。その竣工一年後にカナダ連邦が形成され、ただちにこの国会議事堂が 新しいカナダ自治領の議場として選ばれたのです。 火事だ! カナダ建国後半世紀も経たないうちに、国会議事堂に悲劇が訪れます。1916年2月3日午後9 時頃、中央棟の下院閲覧室から小火が発生したのです。火の手は瞬く間に燃え盛る炎となっ て広がり、7名の命を奪うとともにわずかに北東部と図書館を残しすべてを灰燼と化しました。 機転を利かせた職員がすばやく図書館の鉄の扉を閉めなかったならば、何千冊もの唯一無二 の貴重な書籍も失われていたところでした。 新たな出発 この火災の後、議会は付近のビクトリア記念博物館(現在のカナダ自然博物館)に移転しまし た。しかし、議会には恒久的な建物が必要だというカナダの意志は固く、第一次世界大戦中に 中央棟の再建が開始されます。ジョン・ピアソンとジャン・オマール・マルシャンの設計による近 代ゴシック復興様式の建物が1922年に完成。その後1927年には平和の塔も竣工しました。 今日の国会議事堂 今日の国会議事堂は、荘厳さと活気の見事な調和を見せています。アーチ型天井や大理石の 床、印象的な照明が厳粛な雰囲気をかもし出している一方で、石造りの壁は様々な装飾で生 き生きとした表情に彩られているのです。小生意気な顔が通りかかる人々ににやにやと笑いか け、鳥や動物は今にも動き出そうかという様子、そして、カナダの歴史上の出来事を語り継ぐ彫 刻が施されています。 上院 中央棟の東端に位置する上院議場では、赤じゅうたんと赤張りの調度品、金箔張りの天井が、 カナダの元首が議会に対面する場所にふさわしい威厳に満ちた壮麗な雰囲気をかもし出して います。天井には歴代のカナダ総督の名前が刻まれ、議場内の壁の上部には第一次世界大 戦におけるカナダの活躍を記す壁画が並んでいます。壁画の下には、カナダの動植物の姿が 石と木の壁に浮き彫りにされています。 下院 下院議場は中央棟の西端にあり、英国下院の伝統に従い緑色の装飾が施されています。長 方形の議場の主な建材は、ホワイトオークとマニトバ州産のティンダル石灰岩です。石灰岩の 斑点がある表面には、4億5000年前の化石が埋まっています。 天井には、紋章のシンボルが描かれたやわらかい色彩の亜麻布が使われています。窓はステ ンドグラスで飾られ、そこには1967年当時のカナダの州・準州の州花が描き出され、威厳に満 ちた議場に大胆な色彩を加えています。窓の下に並んでいるのは、想像力豊かな象徴を用い てカナダ憲法の要素を説明している一連の彫刻です。 議会図書館 下院と上院の間には、コンフェデレーション・ホール(連邦ホール)とホール・オブ・オナー(名誉 のホール)があり、優雅なアーチ型天井と味わい深い彫刻に飾られています。ホール・オブ・オ ナーの奥にあるのが、ビクトリアン・ゴシック復興様式建築の傑作である議会図書館です。床に はチェリー、オーク、ウォルナットの木材で美しい模様が施され、ホワイトパインの壁には数百 もの花や仮面、神話上の生き物が浮き彫りにされています。ドーム状の丸い部屋の中央に立 っているのは、白大理石の彫刻として再現された若き日のビクトリア女王の姿です。 平和の塔 平和の塔は、平和を希求するカナダの決意を記念して名づけられたものです。塔の三階には、 穏やかな光に照らされ豊かな彫刻に飾られた記念堂があり、カナダ連邦結成以来の数々の戦 闘で亡くなったカナダ人を称えています。高さ92.2メートルの塔には、展望台と、重さが4.5kgか ら10,090kgと幅広い大きさの53のベル、カリヨン(組み鐘)も備えられています。カリヨン奏者は 定期的にリサイタルを行い、国会議事堂を訪れる人々の耳を楽しませています。 2 仕事の場・・・ 中央棟のそれぞれの議場で、上院議員と下院議員は国家的問題に関する討議を行い、法律 を制定します。東棟と西棟は当初は連邦省庁の執務用に建設されましたが、現在は議員が両 棟および議事堂付近の建物に事務所を置いています。東棟は見学ツアー向けに公開されてい ますが、それ以外の建物は非公開です。 ・・・そして会合の場 中央棟の無料見学ツアーには、毎年数千人に上る人々が参加します。上院または下院の開会 中は、見学者は主な人物や活動を説明しているオーディオガイドの録音を聞きながら、観覧席 から議場の様子を見ることができます。東棟の特別室は、ジョン A. マクドナルド卿の時代を復 元したもので、夏季には一般公開されています。屋外の徒歩見学ツアーやセルフガイド用小冊 子、音と光のショー、衛兵交代式、その他多くのアクティビティによって、国会議事堂の歴史と 偉大さを体験していただくことができます。 カナダの国会議事堂を直接訪れることができない方は、下記アドレスにてバーチャルツアーを お楽しみください。 www.parliamenthill.gc.ca この刊行物は、プリントしやすい形式でオンラインでご入手いただけます。 www.parl.gc.ca/publications カナダ連邦議会に関するお問合せは下記までお寄せください。 Parliament of Canada Ottawa, Ontario, K1A 0A9 Parlement du Canada Ottawa (Ontario) K1A 0A9 電話 フリーダイヤル: 1-866-599-4999 首都圏: (613) 992-4793 ファクス: (613) 992-1273 聴覚障害者用専用ダイヤル: (613) 995-2266 見学ツアー: (613) 996-0896 ホームページ: www.parl.gc.ca Catalogue No. B101 (08/2003) © Library of Parliament, 2003 N° de catalogue B101 (08/2003) © Bibliothèque du Parlement, 2003 3
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