応用情報システム研究部門 Applied Information Systems Research Division 1 部門スタッフ 学工学研究科情報システム工学専攻博士後期課 教授 程修了。2002 年 4 月より 2005 年 10 月まで大阪 下條 真司 略歴:1981 年 3 月大阪大学基礎工学部情報工学 大学大学院情報科学研究科バイオ情報工学専攻 科卒業、1983 年 3 月大阪大学大学院基礎工学研 助手。2005 年 11 月より 2008 年 3 月まで大阪大 究科物理系専攻博士前期課程修了、1986 年 3 月 学大学院情報科学研究科直属特任准教授。2008 大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻博士 年 4 月より大阪大学サイバーメディアセンター 後期課程修了。1986 年 4 月大阪大学基礎工学部 情報メディア教育研究部門准教授。2013 年 4 月 助手、1989 年 2 月大阪大学大型計算機センター より大阪大学サイバーメディアセンター応用情 講師、1991 年 4 月大阪大学大型計算機センター 報システム研究部門准教授。2005 年 2 月から 2005 助教授、1998 年 4 月大阪大学大型計算機センタ 年 9 月まで米国カリフォルニア大学サンディエ ー教授、2000 年 4 月より大阪大学サイバーメデ ゴ客員研究員。IEEE, 情報処理学会各会員。博士 ィアセンター応用システム研究部門教授。2008 (工学) 。 年 4 月より情報通信研究機構大手町ネットワー ク研究統括センター長。情報処理学会、電子情報 講師 小島 一秀 通信学会、ACM、IEEE、ソフトウェア科学会各 略歴:1998 年 3 月同志社大学工学部知識工学科 会員。 卒業、2000 年 3 月同志社大学大学院工学研究科 知識工学専攻博士前期課程修了。2003 年 3 月同 准教授 馬場 健一 志社大学大学院工学研究科知識工学専攻博士後 略歴:1990 年 3 月大阪大学基礎工学部情報工学 期課程修了。2003 年 10 月大阪外国語大学情報処 科卒業、1992 年 3 月大阪大学大学院基礎工学研 理センター講師。統合により、2007 年 10 月大阪 究科物理系専攻博士前期課程修了、1992 年 9 月 大学サイバーメディアセンター講師となり現在 大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻博士 に至る。博士(工学) 。情報処理学会、人工知能 後期課程退学。1992 年 10 月大阪大学情報処理教 学会各会員。 育センター助手、1997 年 4 月高知工科大学工学 部電子・光システム工学科講師、1998 年 12 月大 講師 東田 学 阪大学大型計算機センター助教授、2000 年 4 月 略歴:1989 年 3 月東京工業大学理学部数学科卒 大阪大学サイバーメディアセンター応用情報シ 業、1991 年 3 月東京工業大学大学院理工学研究 ステム研究部門助教授、2007 年 4 月より准教授。 科数学専攻修士課程修了、1997 年 3 月大阪大学 博士(工学) (1995 年 3 月、大阪大学)。電子情 大学院基礎工学研究科物理系専攻博士課程修了。 報通信学会、IEEE 会員。 1994 年大阪大学大型計算機センター助手、2000 年 4 月大阪大学サイバーメディアセンター応用 准教授 伊達 進 略歴:1997 年 3 月 大阪大学基礎工学部情報工学 科卒業。2000 年 3 月 大阪大学基礎工学研究科物 理系専攻博士前期課程修了。2002 年 3 月 大阪大 情報システム研究部門助手、2007 年 4 月より助 教。2013 年 4 月より同部門講師。 特任教員・研究員 特任助教 川井 明(2014 年 4 月より滋賀大学 准 馬場、伊達、小島) 教授) 兼任教員 助教 柏崎 礼生(大阪大学 情報基盤推進本部、 2012 年 12 月より) 招へい教員・研究員 マルチメディアデータ論(下條、馬場、伊達、小 島) マルチメディア工学演習Ⅰ・Ⅱ (全教員) マルチメディア工学研究 (全教員) 情報システム工学セミナーⅠ・Ⅱ (全教員) 情報システム工学実験Ⅰ・Ⅱ (全教員) インタラクティブ創成工学演習 A (伊達) インタラクティブ創成工学基礎演習 A (伊達) 招へい教授 坂田 恒昭(塩野義製薬株式会社) 招へい教授 山口 修治(総務省) 大阪大学の推進するフロンティアラボプログラム 招へい准教授 寺西 裕一(情報通信研究機構) を通じて、海外大学からの大学院生 1 名、学部学生 招へい准教授 秋山 豊和(京都産業大学) 2 名を受け入れ、研究指導を行った。また、大学院 招へい准教授 坂根 栄作(国立情報学研究所、 情報科学研究科の研究生 2 名(海外大学出身者)の受 2013 年 9 月まで) け入れており、教育・研究環境の国際化・高度化を 招へい准教授 阿部 洋丈(筑波大学) 推進している。 招へい准教授 市川 昊平(奈良先端科学技術大学 さらに、大阪大学サイバーメディアセンターの協定 院大学) 講座として、神戸大学大学院システム情報学研究科 招へい准教授 冨樫 祐一(広島大学) の以下の専門科目の実施を担当している。 招へい准教授 中川 郁夫(株式会社インテック) 招へい教員 加藤 精一(兵庫医療大学) 他にも、e ラーニングや多言語処理における言語 共同研究教員・研究者 准教授 春本 要(大阪大学 大学院工学研究科 社 会連携室情報ネットワーク部門) HPC ビジュアリゼーション(伊達) 文化研究科言語社会専攻との連携の一環として、下 記の講義も担当している。 助教 野崎 一徳(大阪大学 歯学部附属病院) 特任研究員 石 芳正(大阪大学サイバーメディア 言語文化資源の活用と情報処理研究(小島) センター情報メディア教育研究部門) 研究員 川上 朋也(神戸大学) 2.2 研究の概要 2.2.1 QoS を考慮したネットワークアーキテクチャ 2 教育・研究概要 2.1 教育の概要 本部門は、大学院情報科学研究科マルチメディア 近年のネットワーク技術の進展は著しく、高速な ネットワークが利用できるようになったため、世界 規模のグリッドコンピューティング環境やグリッド 工学専攻、および工学部電子情報工学科情報通信工 環境を利用した e-Science 環境が構築されつつある。 学科目情報システム工学クラスにて応用メディア工 世界規模で e-Science 環境を構築するためには、大 学講座を兼任しており、2013 年度は大学院学生 9 名、 規模なデータを効率よく転送し共有する QoS 制御技 学部学生 4 名の研究指導を行うとともに、下記の講 術やトラフィック制御技術が重要となる。 義を担当した。 一方、ビデオ会議や電話(VoIP)など、リアルタイ ム性や通信帯域に対する要求の厳しいアプリケーシ マルチメディアシステムアーキテクチャ(下條、 ョンが増加・普及するにつれ、ベストエフォート型 を前提に発展してきたインターネットにおいても、 2.2.3 超長距離間高速ネットワークによるペタスケ 多様な通信品質(QoS)要求への対応が重要な課題と ール・コンピューティング なってきている。 数値シミュレーションなどの計算機資源を最大限 本研究部門では、大規模計算環境や多様な要求品 に活用する手法に基づく国際共同科学研究において 質や信頼性要件などに対応したネットワークアーキ は、大規模シミュレーションデータや観測データが テクチャ、および、その効率的、効果的なネットワ 研究拠点間を縦横無尽に飛び交うことが考えられる ーク管理・制御手法に関する研究を進めている。本 ため、広域的データ共有ないし超長距離間大規模デ 年度の主な研究課題は以下のとおりである。 ータ転送が求められる。 本研究では、 戦略的国際科学技術協力推進事業「上 1. データセンターネットワークにおける Incast 問 題を考慮したデータ転送手法 2. 光回線交換を用いたデータセンターネットワー クのデータ転送手法 3. 無線センサネットワークにおけるデータ転送の 締切を考慮した優先制御手法 4. 仮想化対応 Wi-Fi ネットワークにおけるチャネ ル制御手法 5. 無線マルチホップネットワークにおける信頼度 を考慮したルーティング手法 2.2.2 フォトニックネットワークに関する研究 近年の光伝送技術の発展には目覚しいものがあり、 気道気流解析へのキーテクノロジー:超長距離間高 速ネットワークによるペタスケール・コンピューテ ィング」の一環として、テストベッドネットワーク の構築とネットワークモニタリングシステムの導入 を行う。 2.2.4 グリッド基盤技術開発とその応用 近年、ネットワークをソフトウェアによって集中 的に管理、制御する Software-Defined Network (SDN) が急速に注目を集めている。SDN では、ネットワー キング機能のうち、パケット転送機能をもつデータ プレーンと、パケットの経路制御を行うコントロー ルプレーンが分離して扱われる。従来のネットワー WDM(波長分割多重)技術によってネットワーク ク機器では、これらのネットワーキング機能をとも の回線容量は爆発的に増大してきた。しかし、光伝 に具備しているのに対し、この SDN においてはパケ 送技術とネットワーキング技術はおのおの別個の歴 ット転送機能のみをスイッチやルータなどのネット 史を持ち、インターネットに適した光通信技術の適 ワーク機器に残し、パケットの経路を決定する機能 用形態については明らかになっていないのが現状で をコントロールプレーンとして集約する。このため、 ある。そこで、光符号分割多重(OCDM)技術を用い SDN においては、コントロールプレーンにおいて中 たネットワークアーキテクチャ、ならびにより柔軟 央集権的に設定を行うことにより、ネットワーク上 な帯域割り当てを可能にする光 OFDM 技術を用い を流れるフローを制御することが可能となる。 たエラスティック光ネットワークに関する研究課題 本年度の研究開発では、この新しいネットワーク について取り組んでいる。今年度に行った研究課題 アーキテクチャ概念を、分散並列計算プログラミン は次のとおりである。 グを行う際のデファクトスタンダード(事実上標準) となっている通信ライブラリ MPI (Message Passing 1. 光 CDM ネットワークにおけるサイクルフリー トポロジ設計手法 Interface)に応用し、SDN-MPI に関する研究開発に着 手した。これまでの分散並列計算では、クラスタを 2. 階層型論理トポロジの復旧手法 構成する計算機間を接続するネットワーク、すなわ 3. エラスティック光ネットワークにおける新たな ち、インターコネクトを静的なネットワーク資源と RMLSA アルゴリズムの提案 捉え、クラスタ上で実行されるジョブから実行時に 制御できないものという仮定があるのに対し、本研 究開発では、この仮定を根本から見直すことで、ネ ットワーク資源を動的な資源と捉え、ジョブ実行時 示されるため、検索が困難になっている。Web ペー のプロセス間通信パターンにあわせてネットワーク ジの検索方法は大きく分けて 2 種類考えられる。一 資源を制御することで、ジョブのプロセス間通信ひ つは速度と網羅性の点で有効である検索サービスの いてはジョブ実行時間の短縮を目的とした。本年度 利用、もう一つは、コミュニケーションにより質の は、特に、MPI を用いたプログラミングで利用頻度 高い情報が得られる点で有効な SNS の利用である。 の高い集合通信の 1 つ、MPI_Bcast に着眼し、その 我々の研究グループでは、これら 2 種の検索方法の 通信時間を短縮することを目指した研究開発を推進 双方の利点を活用するため、現在 Web ページを閲覧 した。 しているユーザ数と質に基づいたランキング機能、 2.2.5 クラウドコンピューティング環境を利用した および、閲覧ユーザとの即時的なコミュニケーショ ネットワークコンピューティングの研究開発 ン機能を提供するシステムを提案している。提案シ クラウドコンピューティング環境を利用したネット ステムにより、閲覧者が瞬時に欲しい情報と知識を ワークコンピューティングの研究開発として次の研 豊富に持つユーザからの情報を同時に獲得すること 究を推進している。 ができる。提案システムのランキング機能では、 PageRank アルゴリズムに基づき、Web ページだけで 1. 広域分散プラットフォームの提案と検証 なく閲覧ユーザも含めたネットワークを用いて検索 2. 仮想計算機の所在の頓着が自由な環境におけ 結果をリランキングする。本研究ではこれまでに構 る課金モデルの検証 築したシステムの処理性能の改善ならびに検索性能 大規模映像アーカイブスを利用した検索可能 の調査を行う。 なメタデータ基盤の構築 2.2.8 時系列分析手法を用いたネットワークトラフ シミュレーション駆動型トラフィックエンジ ィックからのイベント抽出 3. 4. ニアリング技術の研究開発 DDoS 攻撃をはじめとし、ネットワークトラフィ 2.2.6 生体分子システムの理解のためのモデリング ックに異常を生じる現象について、これまで、 とシミュレーション EM/GMM や k-mens/x-means など、クラスタリング 細胞内で働く酵素や分子モーターなどの分子機械 を用いた定常状態分析手法を中心に調査を進めてき や、その複合体としての生命システムの動作原理に ており、学内 LAN におけるファイルサーバなど特 迫るべく、シミュレーションを通じた理論的考察を 徴的なトラフィックが分類できることを確認できた。 進めている。生体内には多種多様な分子が存在する 一方でこれらの手法はトラフィックに含まれる時系 ため、共通する性質と個々の特徴とを明らかにする 列情報を直接分析することができないため、時間的 観点から、近年、膨大な情報の蓄積が進むデータベ な変化に対する特徴が十分に分析できていない。時 ース(例えばタンパク分子構造のデータベースであ 系列情報から特徴を抽出する方法として、R/S 解析 る Protein Data Bank など)の活用に取り組んでいる。 などの時系列分析手法や HMM を用いたパターン抽 実験研究者と連携した取り組みとして、1分子計 出手法などの適用が考えられる。本研究では、学内 測等の実験で得られるデータを解析する手法の改良 LAN やインターネットのコアトラフィックに対し も進めている(理化学研究所生命システム研究セン て、まず時系列分析手法ならびに統計処理を用いた ター細胞動態計測コアとの共同研究)。 外れ値検知手法による、ネットワークトラフィック 2.2.7 ソーシャルサーチシステムの構築とその性能 からのイベントの抽出可否について調査を行う。 評価 2.2.9 SDN との連携機能をもつ P2P 構造化オーバレ 近年、 多くの人がインターネットを利用して、様々 イネットワークを用いた Pub/Sub 基盤の構築 な情報を やり取りしている。それに伴い、自分の知 SNS やセンサーネットワークなど、エンドエンテ りたい情報を検索する際に大量の Web ページが表 ィティ間で明示的に通信相手を意識しない形での非 同期通信を利用するアプリケーションが増加してい 機能についても実装・検証を進めている。 る。 このような要望を満たす通信方式として Pub/Sub H25 年度は、同データ基盤上で仮想 OS を稼働さ 基盤に関して研究開発が行われてきた。Pub/Sub 基 せ、太平洋横断のライブマイグレーションを実現す 盤を実現する方法として、P2P オーバレイネットワ るなど、世界的にも先進的な取り組みを進めている。 ークを用いた方法、ICN/CCN などの新世代ネットワ 2.2.13 広域 OpenFlow ネッッとワークテストベッド ーク技術を用いた方法などが考えられる。本研究で の構築 は、P2P オーバレイネットワークを用いた Pub/Sub 近年、国際的な共同研究を遂行する上で、共有可 基盤の構築方法において、OpenFlow の Northbound 能な実証実験のためのネット ワークテストベッド API を用いて下位層とのインタラクションを可能に の構築が強く要望されている。サイバーメディアセ することで、トラフィック量が低減可能なメッセー ンターは 現在までに、グリッド・クラウドの国際的 ジ配信機能の実現を目指す。 な共同研究コミュニティ Pragma の研究 活動に大き 2.2.10 問題集のための e ラーニングシステム く関わってきたが、Pragma の共同研究コミュニティ 情報処理技術の進展や、社会における学習の効率 においても、国際 的なネットワークテストベッドの 化や高度化への要求により、e ラーニングはめざま 構築に対する期待は高まっている。 しく発展し続けている。学習管理システム(LMS) 2.2.14 クラウド活用型ロボットのためのネットワ による効率化、教科書の電子化など様々な方向性が ーク構成技術に関する研究 あるが、本研究では特に、情報処理技術を活用した Cyber Physical System(CPS)研究の一環として、ク 問題集のシステムを対象としている。これまでの成 ラウド活用型ロボットに着目し、そのネットワーク 果としては、多彩な問題集を XML を用いて統一的 構成技術について研究を行っている。これは、通信 な形式で記述する oqXML の開発や、それを実装し からみた CPS である IoT (Internet of Things)が様々な た e ラーニングソフト oq-player、e ラーニング問題 人、もの、センサーなどがインターネットに接続さ 集を容易に開発するための oq-producer、簡易な学習 れた世界を目指しているのに対して、さらにその中 管理を実現する oq-marker の開発が挙げられる。シ に、自らセンサー情報を生かして行動するロボット ステムの機能性向上、学習意欲や学習効果の向上、 を取り込もうというねらいである。我々は、データ 多彩な外国語への対応などを目指して研究を進めて センター内を自走しながら、監視と温度など環境情 いる。 報を取得することを目指して研究開発を行っている。 2.2.11 多様な e ラーニング教材のためのシステム e ラーニングなら、映像や問題集だけでなく様々 な目的の様々な形態の教材を実現可能である。これ 収集観測値の蓄積・解析と 移動プランの策定 提案システムのイメージ クラウド上 の機能 までに開発されたものとしては、外国語による対話 や交渉を疑似体験するためのシステムや、文法情報 P P 観測値、 観測位置 P 移動先の 指定 を見やすく音声付きで表示するシステム、問題集に ゲームの要素を加えたシステムなど、様々なものが 挙げられる。 2.2.12 大学間インタークラウド 大学間連携によるインタークラウド技術の研究を 実施している。本プロジェクトでは、広域分散環境 において、複数の大学の計算機リソースを連携させ ることにより、大規模・大容量ストレージを実現す る。また、DR/BCP を考慮したデータ基盤としての ロボット上 の機能 移動先: X地点 S A S local reflex: 異常検知で移動先を 一時的に変更 異常検知 P 移動先: 一時変更 A 指定移動先: X地点 S センサー 検知すべ き異常値 A アクチュエータ P データ処理 観測位置 3 教育・研究等に係る全学支援 3.1 教育に係る全学支援 3.1.1 教育に係る学内委員等 全学の教育支援を目的とした、下記の学内委員を 担当した。 3.1.4 e ラーニングプロジェクトの機材管理 高度配信プロジェクトと社会人プロジェクト、さ らに以前に終了した現代 GP プロジェクトにおいて は複数の部屋を占有するような極めて多数の機材が 導入されたが(図 1)、これらプロジェクト機材の管 理を継続している。機材の種類は、PC、プリンタ、 授業支援システム(E ラーニングシステム)ソ カメラ、レンズ類、大型ビデオカメラなど非常に多 フトウェアライセンス 仕様策定委員(伊達) 様である。機材のメンテナンス、機材の移管やそれ フロンティアラボコーディネータ(伊達) に関わる相談、機材の貸し出しなどを行った。 3.1.2 汎用コンピュータシステムの箕面キャンパス 部分の運用 汎用コンピュータシステムの一部は、箕面キャン パスにも設置され、自習や授業のための PC 教室と しても使用されている。本年度も引き続き、教員や 学生への情報提供、手引きの更新、運用会議での報 告や情報収集、現地での状況チェックなどを行って いる。 3.1.3 e ラーニングプロジェクトの成果の公開 高度外国語教育全国配信システムの構築(高度配 信プロジェクト)と社会人を対象とした学士レベル 図 1 管理している備品の一部 3.1.5 映像スタジオの管理の支援 の外国語教育プログラム(社会人プロジェクト)は 社会人プロジェクトによって設置された映像スタ 完了したが、それらで開発された e ラーニング教材 ジオ(図 2)も存在するが、機材の整頓、機材の点 の公開を継続しており、公開データと機器の管理を 検、清掃、レイアウト改善などの管理支援を行った。 継続している。社会人プロジェクトの成果である中 これにより、スタジオ機能を改善、維持することが 国語学習用 e ラーニングが、NHK の E テレ「テレビ できている。 で中国語」のコーナー「知っとく中国語『宅女の部 屋』 」で紹介され、その番組のテキストにも掲載され た。 修正や更新も継続している。特に、高度配信プロ ジェクトで開発された e ラーニング教材は膨大であ り、学内外で広く使用されているため、学内外から の誤りの指摘がしばしば送られて来る。誤りの指摘 があった場合は、その言語の担当教員と連携して修 正を行った。 今年度は、サーバ機材の故障が発生したため、現 有の機材で新サーバを構築した。同時に、サーバ装 置の更新を言語文化研究科言語社会専攻と共同で行 った。 図 2 映像スタジオ 3.1.6 e ラーニング教材などの開発の支援 箕面キャンパスの複数の部屋に、完了したプロジ ェクトの膨大な機材と、成果のデータを保管してい るが、それだけでなく、計算機やメディアを使用し どの共同研究を推進している。特に、後述するよう た教材の開発支援を行っている。今年度は、タイ語 に、昨年度は補正予算により豊中およびうめきた拠 の音声データの収録や、箕面キャンパスで行われた 点に大規模可視化装置と連動するクラスター計算機 海外危機管理シミュレーションの記録映像や教材版 を計画・導入した。うめきたの産学連携拠点の整備 の作成などの支援を行った。 も行い、試行サービスを開始した。また、京を中心 3.1.7 箕面 CALL 教室の管理の支援 とする我が国の大規模科学技術計算インフラである 箕面キャンパスの CALL 教室管理のための人員が HPCI に参画し、全体運営、認証システムや連携シス 次年度から配置されるが、実際の管理においては箕 テムを中心とした運用に協力した。 面キャンパス側の支援が必要となった。今年度は、 3.2.2 学内委員 CALL 教室準備室の整備やそこで必要な機材などの 全学の研究支援を目的とした、計算機システムの 準備、担当者のへの様々な説明を行った。 仕様策定、技術審査、検収に関する、下記の支援業 3.2 研究に係る全学支援 務を担当した。 本部門は、学内だけでなく全国の研究者らの研究 に係る全学支援として、大阪大学情報推進部と連携 し、スーパーコンピュータやクラスタシステム等の スーパーコンピュータシステム 仕様策定委員 (下條、伊達、東田) サイバーメディアセンター保有の大規模計算機シス HPCI 作業部会(下條、東田) テムを維持・運用・更新する責務を担っている。 JHPCN 企画委員会、審査委員会(下條) 3.2.1 スーパーコンピュータ・システムの運用 「HPCI と連動するネットワーク共有型可視化 サイバーメディアセンターは全国共同利用施設と システム(CyberCommons)」 して情報処理技術基盤の整備、提供および研究開発、 情報基盤に支えられた高度な教育の実践ならびに知 仕様策定委員会 (下條、伊達、東田) 特定調達契約「HPCI と連動するネットワーク 的資源の電子的管理および提供を行うことを目的と 共有型可視化システム(CyberCommons) 一式」 している。本部門は、そのような目的を達成すべく、 技術審査職員 (馬場、伊達) 高度かつ大規模な計算機システム環境を本学および 全国の大学や研究機関の研究者に提供する任務を担 い、本部門の教員は日々この任務に従事している。 本センターの大規模計算機システムは、2007 年 1 月に更新を行ったスーパーコンピュータ・システム、 および、同年 3 月に更新を行ったクラスタ型汎用コ 「基幹系プラットフォーム機器拡張」仕様策定 委員会(馬場、柏崎) 特定調達契約「HPCI と連動するネットワーク 共有型可視化システム(CyberCommons) 一式」 補助者 (伊達) 3.2.3 cybercommons の整備 ンピュータ・システムから構成される。これらの大 当センターは本年 4 月のグランドフロント開業時 規模計算機システムの正常な稼働、および、これら より、情報通信研究機構、関西大学、関西学院大学、 の大規模計算機システムを利用者にとってより使い 大阪電気通信大学、バイオグリッド関西、コンソー やすいシステムとなるよう、情報推進部、実際のシ シアム関西、サイバー関西プロジェクトと共同で大 ステム管理を担当する NEC らと月1回の定例会を 阪うめきたの知的創造拠点ナレッジキャピタルに大 含む活動を常に開始している。 規模計算結果などの可視化によるアウトリーチと共 全国共同利用センターとして、学際大規模情報基 同研究、産学連携を目指したコラボレーションオフ 盤共同利用・共同研究拠点(JHPCN)に参加し、ベク ィス”Vislab Osaka”を開設している。平成25年よ トル・スカラー混在計算最適化,ベクトル・スカラ りこのオフィスを本センター利用者に対して解放し、 ー混成計算機連携運用技術,大規模データ可視化技 セミナーや研究集会を行う試行サービスを開始した。 術, 大規模データ可視化技術、クラウド連携技術な 同時に、平成25年度補正予算により、豊中データ ステーションおよびうめきた可視化拠点に大規模高 同時に行うのではなく、お互いの間にずれを入れる 精細可視化装置を整備した。うめきたオフィスは可 (図 3) 。その目的は、SRU のぶつかることを防止 視化装置を用いた遠隔会議や可視化が可能となる。 し、スイッチでバッファのオーバーフローを回避し 3.2.4 バイオグリッド関西による京コンピュータに て、TCP のタイムアウトをできる限り発生しないよ よる創薬の推進 うにするためである。こうすることにより、システ NPO 法人バイオグリッド関西と協力して京コン ピュータによる創薬の推進をすすめている。昨年度 ム全体のグッドプットを向上させることが可能にな る。 も産業界利用枠として採択いただき、製薬業界がコ シミュレーションを行った結果によると、サーバ ンピュータによる創薬を進めるきっかけとなってい が 4 ノード、8 ノード、16 ノードの場合、各 SRU が る。 スイッチにぶつからないようにすることで、グッド 関連発表論文 (1) 下條真司, 伊達進, 清川清, 安福健祐,竹村治雄, 東田学, “大阪大学サイバーメディアセンター での可視化サービスに向けた取り組み”, 大学 ICT 推進協議会 2013 年度年次大会 論文集, プットをリンク帯域幅の 10%から 90%以上へ向上さ せることが可能であることがわかった。また、高速 NIC を有する 4 台のサーバ、低速 NIC を有する 20 台のサーバを用いた実機による実験を行い、本手法 を用いることによる有効性を確認した。 pp.448 –pp.453 2013 年 12 月. Staggered data transfer 4 2013 年度研究業績 4.1 QoS を考慮したネットワークアーキテクチャ 4.1.1 データセンターネットワークにおける Incast 問題を考慮したデータ転送手法 昨今のデータセンターでは TCP/IP とイーサネッ トがよく使われている。しかし、それらで構成され たデータセンターでは Incast という問題が発生する ことがある。具体的には、ひとつのクライアントか ら複数のサーバにリクレストを送るときに、複数の サーバからほぼ同時にレスポンス(SRU)を返す場合 図 3 Incast を回避するデータ転送手法 にしばしば Incast 問題が生じる。 Incast が発生する理 関連発表論文 由は、スイッチのバッファ容量の制限のために、同 (1) Yukai Yang, Hirotake Abe, Ken-ichi Baba and 時に複数サーバから来た SRU がバッファ溢れを起 Shinji Shimojo, “A Scalable Approach to Avoid こし、その結果として大量のパケットロスが発生す Incast Problem from Application Layer,” in るためである。大量のパケットロスは TCP タイムア Proceedings ウトも発生することになるため、クライアント側で High-Speed Network and Computing Environment は次のデータの転送の再開まで、タイムアウトした 2013, pp. 713-718, July 2013. of IEEE/IPSJ Workshop on フローを待つしかない。その結果としてシステム全 4.1.2 光回線交換を用いたデータセンターネットワ 体のパフォーマンス(グッドプット)が落ちること ークのデータ転送手法 になる。 近年,インターネットサービスの増加,多様化に 本研究では、アプリケーションレイヤで各フロー 伴い,データセンターに求められる処理データ量は の転送をうまく制御して、Incast 問題の改善を目指 増大する一方である.データセンターにおいては, す。具体的には、各サーバが SRU を送信する際に、 高い処理性能と省電力が重要視されており,光ネッ トワーク技術はそれらを実現するためのひとつの手 4.1.3 無線センサネットワークにおけるデータ転送 段と考えられている.その中でもホスト間あるいは の締切を考慮した優先制御手法 ラック間にパスを設定し利用する光回線交換通信は サイバーフィジカルシステム(CPS) で用いられる 現実的な解決方法として注目されている.光回線交 センサネットワークは,配置が容易でコストが低い 換通信を用いたデータセンターネットワークアーキ ことからアドホックネットワーク技術を用いた無線 テクチャのひとつである Helios では,ラック間にの マルチホップネットワークを用いることが考えられ みパスを設定し,宛先ホストの重複を考慮していな ている.しかしながら,従来の無線マルチホップネ いため,特定ホストにトラフィックが集中する場合, ットワークにおけるデータ転送では,CPS で必要と パケット損失が発生する問題がある. されるリアルタイムなデータ転送を行うための制御 が十分であるとは言えない. Optical Circuit Switch WDM wavelength λ1 ・・・ λ(m) 5s以内 帯域:10bps 5Gbps 10s以内 4Gbps 経路制御 ホスト 輻輳状況に 応じた経路制御 図 4 波長共有型パス設定手法 そこで,本研究では,光回線交換通信を用いたデ 優先制御 締切優先度に 応じたキュー制御 図 5 データ転送の締切を考慮した優先制御手法 ータセンターネットワークアーキテクチャを対象に, ホスト間のデータ量を考慮し WDM の 1 波長を 1 そこで,本研究では無線センサネットワークにお コネクションで占有する波長占有パス設定手法と 1 けるリアルタイムなデータ転送の実現を目的とし, 波長を複数のコネクションで共有する波長共有パス データ転送の締切に基づいた優先制御と経路制御を 設定手法を提案した(図 4).シミュレーションを用 組み合わせた制御手法を提案する(図 5) .優先制御 いて評価した結果,波長共有パス設定手法は,Helios 手法では,データ転送の締切と距離から決定した優 のパス設定手法と比べスループットを 75% 程度向 先度に基づいて,優先キューを用いた制御を行う. 上させることができることを明らかにした. 経路制御手法では,データ転送の締切と各ノードへ の転送の遅延から求めた優先度に基づいて転送先を 関連発表論文 (1) Yukihiro Kunishige, Ken-ichi Baba, and Shinji Shimojo, considering “Optical host path scheduling bandwidth in data methods center networks”, in Proceedings of IEEE PACRIM 2013, pp. 171-176, August 2013. 決定し,負荷分散を行う.シミュレーションにより 提案手法を評価した結果,提案手法は,従来の手法 より高優先パケットのデータ転送の締切ミス率を抑 えることができ, 有効であることが明らかになった。 関連発表論文 (2) 国重行洋, 馬場健一, 下條真司, “データセンタ (1) 藤井廉, 馬場健一, 下條真司, “無線センサネット ーネットワークにおける受信ホストを考慮し ワークにおける締切を考慮したデータ転送手法”, た光パス設定手法”, 電子情報通信学会 技術研 電子情報通信学会 技術研究報告(IN2013-61), vol. 究報告(IN2013-41), vol. 113, no. 140, pp. 31-36, 113, no. 206, pp. 19-24, September 2013. July 2013. 4.1.4 仮想化対応 Wi-Fi ネットワークにおけるチャ バを利用し,Wi-Fi ネットワークにおける QoS 保証 ネル制御手法 を実現するためのチャネル制御手法を提案した(図 近年,多様なセンサーから取得した大量のデータ 6) .そして,提案手法の実現のための基礎評価とし を解析し,生活や社会活動などの状況に応じた適切 て,1 チャネルに収容する場合のアプリケーション な結果をフィードバックすることにより,社会シス 特性に応じた性能,チャネル拡張時の性能を評価し テムの効率化や高機能化の達成を目指すサイバーフ た.その結果,端末接続数とトラフィック負荷に応 ィジカルシステム(Cyber Physical System; CPS) が注 じてチャネル拡張を行うパラメータ領域が存在する 目されている.CPS のネットワークには,多数のセ ことを確認した. ンサーの情報をリアルタイムに収集し,クラウド やデータセンターなどで処理した結果をリアルタイ ムにフィードバックすることが求められる.本研究 では,CPS において特に送受信デバイスとして重要 と考えられるスマートフォンなどのモバイルデバイ スを用いたデータ通信の通信品質(Quality of Service; QoS) を確保するため,Wi-Fi ネットワークアクセス ポイント(AP) におけるチャネル制御手法に着目し た.近年のモバイルデバイスの発達と普及に伴い, モバイルデータトラフィックは急速な増加を続けて おり,いわゆる 3G 接続ネットワークや LTE 接続ネ ットワークと併用する高速な通信が可能な Wi-Fi ネ ットワークの敷設が進んでいる.しかし,大規模な Wi-Fi ネットワークにおいては,一部の AP に負荷 が集中し,QoS の低下を招いている.既存の Wi-Fi ネットワーク技術でも,負荷分散によって通信品質 を改善する試みがなされているが,今後更に増加し ていくと予測されるモバイルデータトラフィックに 対応することは難しい. 関連発表論文 (1) 山下凌, “仮想化対応 Wi-Fi ネットワークにお けるチャネル制御手法”, 卒業研究報告, 大阪 大学工学部電子情報工学科, February 2014. 4.1.5 無線マルチホップネットワークにおける信頼 度を考慮したルーティング手法 近年、無線端末がマルチホップ通信により通信を 行う、無線マルチホップネットワークの研究が盛ん である。無線マルチホップネットワークではデータ の転送がユーザのノードによって転送されるため、 中間ノードが悪意のあるノードだった場合、ルーテ ィングプロトコルが機能しない恐れがある。ルーテ ィングプロトコルが悪意あるノードに対処するため に、ネットワークの各ノードが隣接ノードの振る舞 いを監視して各隣接ノードを評価し、転送に反映す るアプローチがこれまでに検討されている。 しかし、 従来の手法ではパケットを破棄し、パケットの到着 を送信ノードに知らせるパケット(いわゆる ACK パケット)を偽装する偽装 ACK 攻撃に対する脆弱 性がある。偽装 ACK 攻撃では悪意あるノードが受 け取ったデータ転送のためのパケットを隣接ノード ではない架空のノードに転送することで通信を妨害 する。同時に、正常な通信の場合に宛先ノードから 図 6 チャネル制御 そこで,本研究では,近年研究が行われている仮 想化対応 Wi-Fi ネットワークに着目し動的なチャネ ル制御を行うことにより,通信資源利用の効率化と QoS の保証の実現を目指す.仮想化対応 Wi-Fi ネッ トワークの仮想アクセスポイント(VAP) の動的構 築と,端末の VAP 間でのシームレスなハンドオー 返信される ACK パケットを偽装して隣接ノードの 攻撃ノードに対する信頼度を下げないようにする。 本研究では偽装 ACK 攻撃について、既存の手法 では対処できないことを示し、その攻撃の対処法を 提案する(図 7) 。提案する手法では、送信ノードは 攻撃ノードが偽装した ACK を受け取ると、改竄を 検知し、中継ノードとなった全てのノードに対して 警告パケットを送信する。警告を受け取った各ノー ドは次ホップとなる隣接ノードに対する信頼度を下 げることで攻撃ノードを回避する。 ーラを用いているため、ネットワークにスケーラブ シミュレーションにより提案手法の評価を行った。 ルであるといった特徴がある。シミュレーションに その結果、提案手法は攻撃ノードが存在する環境下 より、我々の方式が集中管理コントロールの従来方 でパケットの転送成功率が高く、偽装 ACK 攻撃に 式よりも低い呼損率と平均ホップ長を達成する事を 対して有効であることを明らかにした。 示した。 警告を受け取ると、 信頼度を下げる 警告を転送する ACK が正しくないことを 検知し、警告する 攻撃ノード 偽装した ACK を返す 1.0 1.0 警告 偽装 ACK 1.0 攻撃ノードを 回避して転送 1.0 0.7 架空のノード 図 7 偽装 ACK 攻撃の回避手法 図 8 (a) 物理トポロジ, (b) 論理ツリートポロジ, (c)シングルホップ方式の利用 4.2 フォトニックネットワークに関する研究 4.2.1 光 CDM ネットワークにおけるサイクルフリー トポロジ設計手法 光符号分割多重化(光 CDM)技術は将来の全光ネ ットワークに期待される多重化技術である。光 CDM ネットワークは、他の多重化技術と比べて制御が簡 単で細粒度の光パスが設定可能な特徴がある。しか し、従来の研究により、光 CDM ネットワークはサ イクルアタックに対する脆弱性が明らかになった。 サイクルアタックは、multi-access interference (MAI) と呼ばれる、同一波長内の他の光パスからのクロス トークによって起こる現象である。サイクルアタッ クが発生すると、ネットワークの全てのサービスが 障害を受ける。従来の研究では、サイクルアタック が発生しない論理トポロジを構成する事で、サイク ルアタックを回避した。しかし、この論理トポロジ デザインは集中管理コントローラを想定しており、 また各ノードとコントローラ間の伝搬遅延時間を考 慮していない。 本研究では、サイクルアタックを回避する新しい 論理トポロジ(図 8)と光パスの設定方法を提案し た。提案方式の基本的なコンセプトは自律分散によ るサイクルアタックフリーな論理トポロジ構成と、 分散管理コントローラを用いた光パス設定である。 我々の方式はより簡単に、論理トポロジの構成と光 パス設定が可能である。さらに、分散管理コントロ 関連発表論文 (1) Tatsuya Fukuda and Ken-ichi Baba, “Network designs for cycle-attack-free logical-tree topologies in optical CDM networks”, IEICE Transactions on Communications, vol. E96-B, no. 12, pp. 3070-3079, December 2013. 4.2.2 階層型論理トポロジの復旧手法 我々は以前の研究で、光 CDM over WDM ネット ワークに向けて、分散管理環境下でループ構造を含 まずにネットワークの全リンクを利用可能な階層型 論理トポロジの構成方法を提案した。従来の階層型 論理トポロジはネットワーク障害を考慮していない ため、ネットワーク障害発生時に設定済みの全ての 光パスを棄却し、論理トポロジを再構成する必要が あった。 本稿では、障害発生時に、障害リンクを検知し、 障害リンクの代替となるリンクを探索し設定を変更 することで、自動的に論理トポロジを復旧する方法 を提案する(図 9) 。提案する復旧方式では、障害デ バイスを通っていない光パスを棄却することなく論 理トポロジの復旧が可能となる。その一方で、論理 トポロジを再構成した場合に構成される論理トポロ ジよりも非効率な論理トポロジが構成される可能性 がある。計算機シミュレーションにより、提案方式 は論理トポロジを再構成した場合に比べて光パスの 棄却が少なく、呼損率に大きな劣化がないことを明 らかにした。 る。提案方式は、パス要求の各リンクで必要なスロ ット数とホップ数の両方を考慮してパス要求を詳細 にグループ化する。さらに、パス要求で考えられる パスの変調形式を考慮し、多くの周波数スロットを 必要とするパス要求を優先的に割り当てる(図 10) 。 Optical Path 30G 20G To allocate bandwidth efficiently 50G Optical OFDM 50G 50G (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) 100G 図 9 階層型論理トポロジの復旧 WDM 関連発表論文 (2) 福田達也, 馬場健一, 下條真司, “分散管理光 CDM ネットワークの階層型論理トポロジ復旧 手 法 ”, 電 子 情 報 通 信 学 会 技 術 研 究 報 告 (PN2013-9), vol. 113, no. 175, pp. 7-12, August 2013. 4.2.3 エラスティック光ネットワークにおける新た な RMLSA アルゴリズムの提案 従来の WDM ネットワークは、固定間隔のグリッ ド上に配置された波長を用いるため、パス要求に対 して柔軟な帯域割当てを行うことができない。近年、 細粒度の光周波数(スペクトル)を利用する光 OFDM 技術を活用し、柔軟な帯域割当てを可能にしたエラ スティック光パスネットワーク(SLICE)が提案され ている。SLICE では、WDM ネットワークにおける Routing and Wavelength Allocation (RWA)と同様に、ス ペクトル資源の割当とルーティングを決定する (RSA; Routing and Spectrum Allocation)必要がある。 SLICE におけるスペクトル資源割当は、パスの伝送 距離に適した変調方式(QPSK、8QAM、16QAM な ど)を選択することにより、所望帯域を実現する必要 なスロット数を減らすことができる。つまり、SLICE は 、 パ ス に 適 切 な 変 調 方 式 を 選 ぶ 、 Routing, Modulation Level and Spectrum Allocation (RMLSA) を行うことにより効率的な資源割り当てが可能にな る。 本稿では、新たな RMLSA アルゴリズムを提案す OFDM 図 10 エラスティック光パスネットワーク シミュレーションにより提案方式を評価した結果、 従来手法と比べ、使用する光周波数スペクトルを削 減でき効率的な資源割り当てができることを示した。 4.3 超長距離間高速ネットワークによるペタスケー ル・コンピューティング JST 戦略的国際科学技術協力推進事業「日仏研究 交流」上気道気流解析へのキーテクノロジー:超長 距離間高速ネットワークによるペタスケール・コン ピューティング(以下、PetaFlow プロジェクトとよ ぶ)とは、本学、国立情報学研究所 (NII)、京都大 学、INRIA、Grenoble 大学の研究者が参加している 日仏共同研究事業であり、上気道気流解析を対象と した大規模数値計算や可視化をペタスケールにて実 施する際に生じる種々の問題の解決を目指すもので ある。日本の研究グループの研究テーマは、大規模 流体音響連成計算技術の開発、超長距離間高速デー タ転送技術・データ共有技術の研究開発、ならびに 可視化レンダリング技術の研究開発であり、他方、 摩擦音の数値計算結果の物理実験による精度検証、 超長距離間ネットワーク帯域制御・性能測定の研究 開発、ならびに可視化結果の表示技術の研究開発を フランスの研究グループが担当する。本稿では、初 めに日仏研究交流の要である、ネットワークテスト ベッドについて説明し、パケットモニタリングにつ いて説明する。 本学、NII、京都大学、INRIA (Lyon, Grenoble) を 繋ぐネットワークテストベッド(以下、PetaFlow ネ ットワークと呼ぶ)の概要を図 11 に示す。PetaFlow ネットワークは、SINET4、JGN-X、MAN LAN、 GEANT、RENATER の協力のもとに、国内 3 拠点と フランスの 2 拠点を結ぶネットワークである。これ は SINET4 の L2VPN サービスとして、4 拠点のルー タを東京データセンター (DC) にて VPLS 接続して いる。ヨーロッパとの接続には、SINET4 の国際回 線を利用しており、東京 DC から New York 経由で接 続されている。NII と京都大学は SINET 回線を利用 し、本学では JGN-X 回線を利用している。バックボ ーンネットワークは少なくとも 10Gpbs の通信速度 が担保されているが、現在のところネットワークの 帯域確保はしておらず、基本的にベストエフォート である。また、京都大学を除き、各拠点のルータか ら各計算資源との接続は 1Gbps のインターフェイス で接続されている。京都大学では可視化システムま で 10Gpbs インターフェイスで接続されている(図 11)。 ーリングに反映させる。 関連発表論文 (1) A. Ancel, K. Baba, J. Cisonni, Y. Fujiso, P. Goncalves, M. Imbert, K. Koyamada, K. Nozaki, H. Ohsaki, A.-C. Orgerie, X.Pelorson, B. Raffin, N. Sakamoto, E. Sakane, S. Wada, S. Shimojo, A. Van Hirtum, P. Neyron, I. Assenmacher, “Petaflow - an example of communication and computational technologies with social impact”, in Proceedings of IEEE/IPSJ Workshop on High-Speed Network and Computing Environment 2013, pp. 703-708, July 2013. 4.4 グリッド基盤技術開発とその応用 通信ライブラリ MPI は、並列分散計算を行う際に 必要となる、1 個のプロセスと 1 個のプロセス間の 通信を扱う 1 対 1 通信、と複数のプロセスが同時に 通信を行う集合通信を行うための API(Application Programming Interface)を規定している。MPI を用い て作成されたプログラムでは、これらの API によっ て規定された通信がプロセス間で連携して行われる。 そのため、このプロセス間通信に要する時間の増大 は、その MPI プログラムの計算時間の増大につなが る。また、近年では、大規模計算機システムが、複 数の計算機が高速なネットワークで接続されるクラ スタシステムとして構成されることが一般的と成っ ており、かつ、クラスタを構成する計算機数もます ます大規模なものになる傾向がある。そのため、特 図 11 PetaFlow ネットワーク 昨年度までにプロジェクトは終了したが、引き続 きフランス INRIA のサポートとして、パケットモニ タリングによるネットワーク計測システムの構築を 行った。GPS による時刻同期を行い、パケットのキ ャプチャとモニタリングにより利用帯域を測定する ためのシステムを構築した。測定対象は PetaFlow プ ロジェクトで利用しているクラスタシステムであり、 日仏間でアプリケーションなどのネットワーク利用 帯域を計測している。これらを帯域予約やスケジュ に、複数のプロセスが関係する集合通信に要する時 間の短縮は非常に重要な課題となっている。 本年度の研究開発では、ある 1 つのプロセスから それ以外の全てのプロセスへデータを送信する集合 通信である MPI_Bcast の通信時間の短縮を目的とし、 SDN を応用した MPI_Bcast の設計とプロトタイプ開 発を行った。図 12 に本研究開発で設計/プロトタ イプ開発を行った SDN を応用した MPI_Bcast のアー キテクチャを示す。 提案した MPI_Bcast では、クラスタのインターコ ネクトの構成、実行時のプロセス配置を把握すると ともに、MPI アプリケーションで発生する MPI_Bcast の通信パターン、すなわち、殿プロセスをソースと 図 13 は、28 個の計算ノードを、3 台の SDN スイ し、その他のプロセスにデータを配送するのかを解 ッチでフラットツリー構成のインターコネクトで接 析し、効率よくパケットを配送するためのフロー制 続したクラスタ上で計測実験を行った結果を示して 御を行う SDN コントローラが中核となる。より具体 いる。実験結果では、OpenMPI の MPI_Bcast と、提 的には、MPI プログラムの初期化時点において、受 案手法に基づき実装した SDN_MPI_Bcast の実行時 信したどのパケットに対してどのポートに送信する 間をプロセス数を変更しながら計測した。データサ かの設定を、SDN コントローラから、インターコネ イズとして integer 配列 4000 個を固定とした。結果 クトを構成する各 SDN 対応スイッチに対してイン より、提案手法により通常の手法よりも高速に実行 ストールする。これにより、計算実行中に MPI_Bcast できることが確認できた。 が実行され、ソースプロセスからその他のプロセス 来年度以降の研究開発では、さらに本手法の完成 へのデータを配送がはじまると、当該プログラムの 度を高めるとともに、他の MPI 通信にも SDN の適 初期化時点で動的にインストールされたルールに基 用を行っていくことで、SDN-MPI に向けた研究開発 づき、パケットが配送される。本研究開発では、こ を本格化していきたい。 れを OpenMPI を用いてプロトタイプ実装した。 関連発表論文 (1) Khureltulga Dashdavaa, Susumu Date, Hiroaki Yamanaka, Eiji Kawai, Yasuhiro Watashiba, Kohei Ichikawa, Hirotake Abe, and Shinji Shimojo, ”Architecture of a High-speed MPI_Bcast Leveraging Software-Defined Network”, Euro-Par 2013: Parallel Processing Workshops, lecture Notes in Computer Science Volume 8374, pp.885-894, 2014. 4.5 クラウドコンピューティング環境を利用したネ ットワークコンピューティングの研究開発 図 12 SDN を応用した MPI_Bcast アーキテクチャ 4.5.1 広域分散プラットフォームの提案と検証 概要. 図 13 実験結果. 災害回復(Disaster Recovery: DR)を実現する手段 としてライブマイグレーション技術に着目し、広域 分散仮想化基盤「distcloud」を構築し、その検証を くなるなら、VM を所有するユーザは VM がどの仮 行っている。本提案手法では、共用ストレージで広 想化ホストで動作するかについて意識する必要がな 域分散仮想化基盤を構築する時に発生する遅延を原 くなり、あるいは VM が動作する仮想化ホストを明 因とするパフォーマンスの劣化や、ファイル単位の 示的に指定しようとするかもしれない。なおかつ仮 分散ファイルシステムで生じるランダムアクセス性 想化ホストが空きリソース情報をリアルタイムで提 能の問題点、チャンク単位の分散ファイルシステム 供するならば、現在のようなコア単位の課金ではな で生じるパフォーマンスの劣化を解決した分散ファ く利用した CPU リソースに応じた課金が行われる イルシステムを提案した。仮想ネットワーク技術と ようになると想定している。群集シミュレーション 組み合わせる事によりライブマイグレーション前後 を用いることにより、この世界でのユーザの動きに でストレージパフォーマンスの劣化が少ない広域分 ついて検証を行い新しい課金モデルを提案する。 散仮想化基盤を実現し、その評価を行っている。 関連発表論文 (1) 柏崎 礼生, 北口 善明, 近堂 徹, 楠田 友彦, 大沼 善朗, 中川 郁夫, 阿部 俊二, 横山 重俊, 下條 真司, "広域分散仮想化環境のための分散 ストレージシステムの提案と評価", 情報処理 学会論文誌, Vol. 55, No. 3, pp. 1140-1150 (2014) (2) 柏崎 礼生, 北口 善明, 近堂 徹, 市川 昊平, 中川 郁夫, 阿部 俊二, 横山 重俊, 下條 真司, "広域分散仮想化基盤を実現する広域分散スト レージの評価", Proceedings of NORTH Internet 関連発表論文 Symposium 2014, pp. 33-40 (2014) (1) 柏崎 礼生, 下條 真司, “動的な広域ライブマイ (3) 中川 郁夫, 柏崎 礼生, 北口 善明, 市川 昊平, グレーションが可能な環境における課金モデ 近堂 徹, 下條 真司, "広域ライブマイグレーシ ルの検討”, インターネットと運用技術シンポ ョンを実現する技術 ジウム 2013 論文集, Vol. 2013, pp. 43-46, (2013) ~分散ストレージとネ ットワーク~", 信学技報, Vol. 113, No. 388, 4.5.3 大規模映像アーカイブスを利用した検索可能 NO2013-173, pp. 59-64 (2014) なメタデータ基盤の構築 (4) 柏崎 礼生, 北口 善明, 近堂 徹, 中川 郁夫, 高解像度化し、多チャンネル化するテレビ映像は、 下條 真司, "広域分散仮想化基盤のストレージ 地方局コンテンツ独自コンテンツなども含んで膨大 評価の最新動向", インターネットと運用技術 な量と多様性をもって 24 時間常に垂れ流されてい シンポジウム 2013 論文集, Vol. 2013, pp. 39-42 る。しかし、映像に含まれる様々な情報のうち一次 (2013) 情報源から提供される情報はごく一部であり、また 4.5.2 仮想計算機の所在の頓着が自由な環境におけ 実際のところさほど正確でもない。本部門で蓄積さ る課金モデルの検証 れた 80TB の映像には膨大なテロップによる字幕情 仮想計算機(Virtual Machine: VM)は仮想化ホス 報やナレーションによる音声情報が含まれており、 ト上で動作し、VM の性能は仮想化ホストの計算機 このコンテンツに対し工学的解析手法を用いて文字 リソースや、その仮想化ホスト上で動作する他の 情報等を抽出し、映像に付随するメタデータのデー VM の影響を受ける。もしライブマイグレーション タセットとする。これをもとにして人文学的な解析 前後で I/O パフォーマンスが変わらず、かつライブ への利用や、クラウドソーシングと連携させた マイグレーションによるサービス断時間が十分に短 OCR・音声認識精度の向上を行うための検索可能なメ タデータ基盤を構築することが本研究課題の目的で 関連発表論文 ある。 (1) Hiroki Kashiwazaki, “Studies on Adaptive Routing for a Wide-Area Overlay Network System” (北海 道大学) 4.6 生体分子システムの理解のためのモデリングと シミュレーション タンパク分子内部で「情報」 (例えば外力や基質結 合に伴う変化)が伝わる向きや程度を粗視化分子動 力学計算により評価する手法(前年度までに開発) を応用し、Protein Data Bank データベースに登録さ れた様々な分子構造に対し力学的特徴に基づくスク リーニングを行うためのシステム開発を進めた。ま た、実験研究者との共同で、1分子計測実験で得ら 関連発表論文 (1) 柏崎 礼生, “映像アーカイブスを利用した大規 模メタデータ基盤の構築”, 平成 25 年度「京」 を中核とする HPCI システム利用研究課題中間 報告会 (2013) 4.5.4 シミュレーション駆動型トラフィックエンジ ニアリング技術の研究開発 大規模災害によるネットワーク障害を高速に迂回 するため、マルチホーム環境を利用することは安価 で効果的であるが、ネットワーク資源を有効活用す ることが困難であることが知られている。本研究開 発では能動的なネットワーク情報の計測と収集から、 経路組み合わせを離散イベント型ネットワークシミ ュレータにより評価することで迂回経路の決定を高 速に行う手法を提案し、その有効性を検証している。 れる画像データを解析する手法の高速化・精度向上 を試みた。なお、シミュレーションの一部に、サイ バーメディアセンターの大規模計算機システムを利 用した。 4.7 ソーシャルサーチシステムの構築とその性能評 価 オープンソースの検索エンジンである Nutch およ び Solr をベースとして、これまでに構築したソーシ ャルサーチシステムのプロトタイプについて、ラン キング計算部分の実装を C++に統一することで性能 改善を行い、中規模程度のサイトが対象であれば、 ランキング処理が 1 分以内に完了できるようになっ た。さらに、ソーシャルサーチシステムの検索性能 についても評価を行った。特定のサイトに限定して 評価を行ったため、本来の PageRank による効果を 調査することはできなかったが、提案ランキング手 法を用いることで、検索キーワードに関連する被リ ンク数の多いページにおいて、ユーザ同士の出会い が増加することが確認できた。 これまでに構築したプロトタイプは単一のサーバ を用いてユーザ間のコミュニケーションを実現して いるため、多人数ユーザが分散して存在する場合に 性能面での課題が残る。今後の課題として広域に分 散したユーザ間の情報配信を効率化することなどが あげられる。 関連発表論文 は検知できなかったオペレーションミスによる異常 (1) 久保田吉徳,秋山豊和,河合由起子,“ソーシ トラフィックを検知可能とした。調査した時系列分 ャルサーチシステムのページとユーザの同時 析手法ならびに統計分析手法を併用することで、短 検索機能の評価”,電子情報通信学会総合大会 期間変動と長期間変動の双方を検知できる可能性が 2014 B-16-4 (Mar. 2014). ある。今後、両手法を併用したイベント検知手法に ついても検討する。 4.8 時系列分析手法を用いたネットワークトラフィ ックからのイベント抽出 関連発表論文 (1) 菅原淳,秋山豊和, “R/S 解析による Web トラ フィック分析”,電子情報通信学会総合大会 2014 B-16-5 (Mar. 2014). (2) 松井友哉,秋山豊和,“マハラノビス距 離 に よるトラフィック異常検知への MSD 法の適 (1) MAWI (2) 学内 LAN 図 14 R/S 解析によるトラフィックイベント検知 ネットワーク空間からイベントを抽出するために、 時系列分析手法ならびに統計分析手法の調査を行っ た。時系列分析手法としては R/S 解析手法について 調査し、R/S 統計量と変動量ならびに変動の持続時 間の関係について明らかにした。また、MAWI、 CAIDA 等で提供されている実ネットワークのトラ フィックデータならびに学内で観測したトラフィッ クデータ、DARPA が提供するトラフィックデータ などに対して分析手法を適用した。図 14 に R/S 解 析による分析結果の一部を示す。図 14(1)では R/S 解析を MAWI の実トラフィックデータに適用した 結果を示している。R/S 解析で求めたハースト数(H, Hsup, Hinf)のうち、R/S 統計量の上限値から求めた Hsup を用いることで、1 ホストによるトラフィック 増加、1 ホストによる複数コネクション確立、複数 ユーザによるトラフィック増加、SYN スキャンとい ったイベントを検知できることが確認できた。一方 図 14(2)では学内 LAN のトラフィックに適用し、授 業開始や授業中の演習課題によるトラフィック変動 をとらえられることが確認できた。R/S 解析以外に、 統計量分析による外れ値検知手法についても調査を 行った。送信元、宛先、パケット長などから算出し たエントロピーの変動をマハラノビス距離によって 異常検知する手法に MSD 法を適用し、従来手法で 用” ,DEIM フォーラム 2014 D4-3 (Mar. 2014). 4.9 SDN との連携機能をもつ P2P 構造化オーバレ イネットワークを用いた Pub/Sub 基盤の構築 本研究では大規模分散環境において、ロバストな メッセージ配信を実現するため、Pub/Sub 基盤とし て P2P 構造化オーバレイネットワーク基盤である PIAX のアプリケーション層マルチキャスト(ALM) の機能を利用する。ここで、ALM では下位層を考慮 していないため、低レイヤネットワークにおいては 無駄な配信が発生する。近年 OpenFlow をはじめと する SDN 環境が整備されつつある状況を考慮し、本 研究では、PIAX に OpenFlow との連携機能を追加し、 メ ッ セ ー ジ の 配 信 状 況 を 考 慮 し て 、 ALM を OpenFlow 上でのマルチキャスト(OFM)と切り替 えられる機能について検討を行った。検討を行った システム構成(図 15)では、OpenFlow との連携を 行う機能をオーバレイネットワーク上でのエージェ ントとして構築し、Publisher/Subscriber に対応する ユーザエージェントとのインタラクションにより、 Pub/Sub に お け る メ ッ セ ー ジ 配 信 状 況 の 把 握 、 ALM/OFM 切り替えを実施する。また、Pub/Sub 基 盤のクライアントとオーバレイネットワーク上のユ ーザエージェントを対応付ける方法として、既存の 認証基盤との連携方式を検討した。学認で利用され ている Shibboleth および Mozilla プロジェクトで開発 されていた BrowserID により簡易 PKI による認証方 法を調査し、P2P 環境における認証の可能性につい て確認した。 うとしている小学校の教員への協力を行った。 関連発表論文 (1) 小島 一秀, 岩成 英一, 村山 健二, 並川 青慈, 並川 嘉文, 高橋 明, “多言語に対応した外国語 e ラ ーニング教材のためのシステム群”, 第 12 回情報科 学技術フォーラム講演論文集 第 3 分冊, K-011, pp.549-556,September 2013. 4.11 多様な e ラーニング教材のためのシステム 図 15 PIAX と OpenFlow の連携機能 e ラーニングのための様々な種類のソフトウェア の開発などを行った。文法情報を提示するための文 関連発表論文 法表示システム、ゲーム教材を開発するための開発 (1) Toyokazu Akiyama, Yukiko Kawai, Katsuyoshi Iida, ツールなどの開発を行った。 Jianwei Zhang and Yuhki Shiraishi, “Proposal for a New Generation Environment,” The SDN-Aware Thirteenth Pub/Sub International Conference on Networks (ICN2014) (Feb. 2014). (2) 檜垣貴良,秋山豊和,“Pub/Sub 基盤における UserAgent の移動によるシステム最適化に関す 図 16 文法表示システム(ベトナム語の例) る一考察” ,DEIM フォーラム 2014 D2-5 (Mar. 2014). 4.10 問題集のための e ラーニングシステム 本研究では、問題集のための e ラーニングソフト ウェアセットである oq-series を開発しているが、全 体的に改善を行った。 e ラーニング問題集教材のオーサリングソフトウ ェアである oq-producer においては、問題集ファイル の編集用と公開用への分離を行った。問題集を管理 するためのメモや作成者情報を、公開するための e ラーニング問題集に入れておくと、内部情報が見え 図 17 文法表示システムの開発ツール てしまう恐れがあるため、全てのデータが格納され ている編集用ファイルと、e ラーニング教材にひつ 文法表示システムの目的は、文の文法情報を木構 ようなデータのみを格納している公開用ファイルに 造の図で表示することにより、学習者の文法学習を 分離した。これにより、安心して問題集を公開しや 支援することである。表示される文法情報は、文法 すくなる。 簡易学習管理ソフトウェア oq-marker は、 の木構造に、語や句の説明、音声などが付与された Java 側の仕様変更により正常に動作しなくなってい 形式である。また、木構造の一部分を表示したり消 たため修正を行った。他にも、oq-series 全体にわた したりする機能があり、学習者は必要な情報のみを って、修正を行っている。 表示することができる。図 16 の左側にある句はリ また、本年度は、本システムを小学校で導入しよ ンクが張ってあるように見えるが、これをクリック すると、それより下の文法情報の表示の有無を切り SC13(Supercomputer Conference 2013)では、太平洋横 替えることができる。図 16 の 2 行目はそれより下 断環境で仮想 OS のライブマイグレーションさせる が非表示である一方、4 行目はそれより下の文法情 ことに成功する(同実証実験では NICT の太平洋横断 報も表示されているが、これらは自由に切り替える 回線を利用した)など、実用化に向け、大きな進歩が ことができる。 あった。 文法表示システムの開発ツールは、 Excel で開発さ れており、文法情報を入力してボタンをクリックす 4.13 広域 OpenFlow ネットワークテストベッドの るだけで、文法表示システムを実現する HTML に埋 構築 め込む文字列が生成される(図 17) 。文法情報の入 2.2.13 に記した背景を受けて、Pragma コミュニテ 力には、には専門知識は不要で、決まった配置でデ ィでは本年度より、広域な共同研 究環境上において ータを入力していくだけで良い。出力された文字列 OpenFlow を用いたネットワークテストベッドを構 は、HTML と JavaScript で構成されており、多くの 築する Pragma ENT (Pragma Experimental Network Web ページに埋め込むことができる。 Testbed) プロジェクトを立ち上げることに なった。 本ゲーム教材システムの特徴は、単純な学習内容 本プロジェクトは、Pragma コミュニティに参画する に本質的なゲーム性を加えることにより学習者の学 組織間で計算機リ ソースを柔軟に共有し、 自由にネ 習量や成績を改善することと、それを実現するゲー ットワークの実証実験を実施できる環境の構築 を ム教材のシステムが、学習内容に制限されない汎用 目指し、大阪大学や米国のカリフォルニア大学サン 性を持つことである。その開発ツールの方の開発を ディエゴ校、フロリダ大学 を中心とした国際共同チ 行った。 ームを形成し、ネットワークテストベッドに関する ゲーム教材において、教材側は、もし、簡単すぎ れば、もうそのゲーム教材に取り組む必要はなくな るが、ゲーム側が簡単すぎるたり、難しすぎたりす れば、ゲーム教材で学習する動機がなくなってしま う。そのため、ゲーム教材にとっては、多様な難易 度を準備しておくことが非常に重要である。そこで、 開発ツールの構成を、問題集変種シートを 1 つのま まとし、ゲーム編集シートを複数にした。ゲーム編 集シートは事実上無制限に増やせる設計になってい る。これにより、同一の教材で、多様な難易度のゲ ーム教材を容易に作成できるようになった。 研究 開発を推し進めている。 関連発表論文 (3) Yoshio Tanaka, Naotaka Yamamoto, Ryousei Takano, Akihiko Ota, Philip Papadopoulos, Nadya Williams, Cindy Zheng, Weicheng Huang, Yi-Lun Pan, Chang-Hsing Wu, Hsi-En Yu, J.H. Steven Shiao, Kohei Ichikawa, Taiki Tada, Susumu Date, and Shinji Shimojo. Building secure and transparent inter-cloud infrastructure for scientific applications. In C. Catlett, W. Gentzsch, L. Grandinetti, G.R. Joubert, and J.L. Vazquez-Poletti, editors, Cloud 関連発表論文 Computing and Big Data, volume 23 of Advances (1) 小島 一秀, 岩成 英一, 村山 健二, 並川 青慈, in Parallel Computing, pages 35-52. IOS Press, 並川 嘉文, 高橋 明, “多言語に対応した外国語 e ラ October 2013.Kohei Ichikawa, Susumu Date, ーニング教材のためのシステム群”, 第 12 回情報科 Hirotake Abe, Hiroaki Yamanaka, Eiji Kawai, 学技術フォーラム講演論文集 第 3 分冊, K-011, Shinji Shimojo, "A Network Performance-Aware pp.549-556,September 2013. Routing for Multisite Virtual Clusters", The 19th IEEE International Conference On Networks 4.12 大学間インタークラウド (ICON 2013), Dec. 2013. 2013 年度は大学間連携によるインタークラウド (4) 市川昊平, 伊達進, 阿部洋丈, 渡場康弘, 下條 型の広域分散ストレージを構築、運用した。特に 真司, "SDN 技術を用いたイン タークラウド環 境における分散計算効率化に関する研究", 第 2 た。なお、サイバーメディアセンターの事務を担当 回地域間インター クラウドワークショップ, する大阪大学情報推進部による大阪大学サイバーメ 2013 年 5 月. ディアセンターの紹介展示と連携することで展示活 動効果を最大化すべく、サイバーメディアセンター 4.14 クラウド活用型ロボットのためのネットワーク 豊中教育研究棟 1F ロビーにブースを共同で設置し 構成技術に関する研究 た。 本年度は、収集センサー情報の解析処理に基づく 全体制御をクラウド上で、リアルタイムな変動に基 づく個別制御をロボット上で分担実行することによ り状況把握の即時性・正確性を向上させたモバイル センシングを実現した。 5 社会貢献に関する業績 5.1 教育面における社会貢献 5.1.1 学外活動 下記の学外での教育実績がある。 (1) 神戸大学大学院システム情報学研究科「HPC ビ ジュアリゼーション」 (伊達) 図 18 いちょう祭の様子(サイバーメディアセン ター豊中教育研究棟 1F 玄関) (2) e ラ ー ニング問 題集のた めのソ フトウェ ア oq-series の公開と、導入相談への対応を行った。 合計で 1 万ダウンロードに近づきつつある。 (3) 様々な外国語ための e ラーニング教材の学外へ の公開と、それらへの問い合わせへの対応を行 った。 (以上、小島) (4) 京都女子大学において 2013 年度後期に「情報 技術者の社会的責任」を開講した。SlideShare にアップロードされた講義資料は合計で 2.3 万 アクセスを集め、100 回以上ダウンロードされ ている。 (柏崎) 5.1.2 研究部門公開 2013 年度いちょう祭 図 19 いちょう祭 での応用情報システム研究部 門の展示活動の様子(サイバーメディアセンター 豊中教育研究棟 1F ロビー) 本部門は、毎年 4 月末から 5 月初めに開催される 大阪大学いちょう祭において、本部門の全学支援活 図 18、図 19 に 2013 年度いちょう祭の展示活動 動や研究活動を紹介すべく、毎年展示活動を行って の様子を示す。本部門では、例年、本部門の研究活 いる。本年度は、いちょう祭の来客者が最も期待で 動や全学支援活動をひろく紹介すべく、本部門の構 きる 5 月 3 日(金・祝)に、本部門の研究活動の特徴 成員である教員、学生総動員で展示を行っている。 である、広域分散計算、高速ネットワーキングを応 そのため、今年度も、新入生や在学生に対しては、 用した研究を紹介すべく、 「世界規模広域コンピュー 教員および学生の両方の目線でサイバーメディアセ ティング環境」とテーマを設定し、展示活動を行っ ンターの役割や利用方法を紹介できた。また、本部 門の学生に対しては、来場した新入生や在学生だけ でなく本学への進学を考えている高校生あるいはそ のご両親から、大学や大学院での生活についての質 問も数多く寄せられたようであった。反対に、展示 (8) 電子情報通信学会インターネットアーキテク チャ研究会, 専門委員(柏崎) (9) 日本学術振興会産学協力研究委員会インター ネット技術第 163 委員会, 運営委員(柏崎) 側としては、自身の研究活動を特別な知識を持たな 5.2.2 論文誌編集 い一般の方々に対して分かりやすく説明することの (1) 電子情報通信学会 英文論文誌 D 編集委員 (伊 難しさを教員・学生ともに認識するよい機会となり、 また、本部門の研究活動ならびに全学支援業務をよ り深く理解していただくための一層の努力が必要で あることを認識するよい機会となった。 なお、展示当日の 5 月 3 日の展示期間である 10 達) (2) 電子情報通信学会 インターネット技術とその 応用特集委員会 編集委員 (伊達) (3) 国際ソシオネットワーク戦略学会 The Review of Socionetwork Strategies Editor (伊達) 時から 16 時の間に本部門と情報推進部の設置した 5.2.3 国際会議への参画 展示ブースに来場され、アンケートに回答してくれ (1) IEEE COMPSAC 2013, Program Committee (馬 た方々の総数は 257 名であり、サイバーメディアセ 場) ンターならびに本部門での研究活動を幅広い来場者 (2) IEEE 2013 International Workshop on High-Speed に広く紹介できたと考えている。しかし、アンケー Network and Computing Environment (HSNCE トによると、サイバーメディアセンターの計算機や 2013), Organizer, Program Committee (馬場、下 ネットワーク、あるいはそれらを使ったデモをみた 條、野崎) いという声もあるので、今後の展示にはこのような 視点を考慮して効果的な展示活動を行っていければ、 (3) CREO-PR and OECC/PS 2013, Local Organizing Committee (馬場) (4) Distcloud(インタークラウド広域分散ストレー と考えている。 ジ の 研 究 プ ロ ジ ェ ク ト ) に て SC13 5.2 学会活動 (Supercomputer Conference 2013) NICT ブースに 5.2.1 国内学会における活動 出展。 (1) 電子情報通信学会フォトニックネットワーク 研究専門委員(馬場) (2) 情報処理学会 システムソフトウェアとオペ レーティングシステム研究会 運営委員 (3) 情報処理学会 究会 教育学習支援情報システム研 幹事 (4) 第 25 回 情報処理学会 コンピュータシステム シンポジウム (ComSys2013) プログラム委員 (5) 情報処理学会 情報教育シンポジウム Summer Symposium in Shizukuishi 2013 (SSS2013), プロ (5) International Conference on Computer Science 2013 (ICCS2013), Program Committee (伊達) (6) The 9th IEEE International Conference on e-Science (e-Science 2013), Program Committee (伊達) 5.2.4 学会における招待講演・パネル (1) “うめきたに展開する新しい研究開発のあり方”, ICT Advanced Seminar (2) “Evolution of Internet”, GLIF Meeting (3) “The impact of Internet Evolution on mobile and ubiquitous Networking”, ICMU 2014 グラム委員 (4) “インターネットの破壊的イノベーションをい (以上、伊達) かに生き抜くか?”, 電子情報通信学会総合大 (6) 情報処理学会インターネットと運用技術研究 会パネル 会, 運営委員(柏崎) (7) 第 6 回インターネットと運用技術シンポジウム (IOTS2013), 実行委員(柏崎) (5) “SDN and its role in Grid and Cloud”, Shonan Meeting: Cloud and Grid Security: A Confluence (以上、下條) (6) 中川郁夫: 太平洋横断広域ライブマイグレーシ 年 4 月. ョンを実現する技術 ~ 大学間広域分散スト (以上、伊達) レージの研究報告 ~, 情報処理学会 システム 5.3.3 特許 ソフトウェアとオペレーティング・システム 該当なし (OS)研究会, 第 128 回研究会, March, 2014. 5.2.5 招待論文 5.4 プロジェクト活動 (1) 独立行政法人 NICT 委託付共同研究「大規模分 該当なし 5.2.6 学会表彰 散コンピューティングのための高機能ネット (1) 長谷川裕也, “長距離広帯域ネットワークにお ワークプラットフォーム技術の研究開発」(伊 けるフロー間帯域公平性を考慮したトラフィ 達) ック制御方式”, 電子情報通信学会 通信方式研 究会奨励賞, July 2013. 5.5 その他の活動 (1) 放送大学 分担協力講師 (2) 特定非営利活動法人バイオグリッドセンター 5.3 産学連携 5.3.1 企業との共同研究 関西・理事長 (1) “クラウド活用型ロボットのためのネットワー ク構成技術に関する研究”, NTT, 大阪大学サイ バーメディアセンター(下條、東田) (3) 情報システム研究機構 国立情報学研究所・運 営会議委員 (4) (独)日本学術振興会・国際事業委員会委員 (2) “M2M セキュリティの検討”, 株式会社富士通 (5) (独)日本学術振興会・日本学術振興会産学協力 研究所, 大阪大学サイバーメディアセンター 研究委員会(ITRC) インターネット技術第 163 (馬場、阿部) 委員会 委員長 (3) “VoIP 通信の音質改善に関する研究”, オフィス 24 株式会社, 大阪大学サイバーメディアセンタ (6) 一般財団法人 関西情報センター・評議員 及び テクニカルアドバイザ (7) (独)情報通信研究機構・ 「特別招へい研究員」 ー(馬場、下條) 5.3.2 学外での講演 (以上、下條) (1) “SDN-enhanced SAGE: 耐ネットワーク障害を (8) 総務省 情報通信政策局 戦略的情報通信研究 有する Tiled Display Wall 技術(論文:A prototype 開発推進制度 専門評価委員 of network failure avoidance functionality for (9) 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 学 SAGE using OpenFlow の紹介)”, JSPS「クライシ 術情報ネットワーク運営・連携本部 認証作業 スに強い社会・生活空間の創成」に関する先導 部会委員 的研究開発委員会 WG1 第 4 回会合, 2013 年 6 月. (2) “Towards Computing (10) 文部科学省 科学技術政策研究所 科学技術動 向研究センター 専門調査員 SDN-enhanced and High-Performance Visualization”, (以上、馬場) Asia-Pacific (11) Pacific Rim Application and Grid Middleware Information Infrastructure (APII) Workshop 2013, Assembly (PRAGMA) Steering Committee (下條, Aug. 2013. 伊達) (3) “SDN + HPC = ? : ―大規模コンピューティング のための高機能ネットワークプラットフォー ム技術にむけて―”, 第 15 回 テストベッドネ ットワーク推進ワーキンググループ会合, 2013 (12) 国際ソシオネットワーク戦略学会 評議委員 (伊達) (13) Storage Networking Industry Association Japan Forum (SNIA-J) 技術委員(柏崎) (6) Jun 2013 年度研究発表論文一覧 Shinomiya, Harumoto, 著書 (1) Yoshio Tanaka, Naotaka Yamamoto, Ryousei Takano, Akihiko Ota, Philip Papadopoulos, Nadya Williams, Cindy Zheng, Weicheng Huang, Yi-Lun Pan, Chang-Hsing Wu, Hsi-En Yu, J.H. Steven Shiao, Kohei Ichikawa, Taiki Tada, Susumu Date, and Shinji Shimojo. Building secure and transparent inter-cloud infrastructure for scientific applications. In C. Catlett, W. Gentzsch, L. Grandinetti, G.R. Joubert, and J.L. Vazquez-Poletti, editors, Cloud Computing and Big Data, volume 23 of Advances in Parallel Computing, pages 35-52. IOS Press, October 2013. Kaname “A Sensor Data Collection Method for Multi-Granularity Contour Lines Map Creations on an Overlay Network”, Journal of Information Processing, Vol. 21, No. 4, pp. 665-673, October 2013. (7) Tatsuya Fukuda and Ken-ichi Baba, “Network designs for cycle-attack-free logical-tree topologies in optical CDM networks”, IEICE Transactions on Communications, vol. E96-B, no. 12, pp. 3070-3079, December 2013. (8) 柏崎 礼生, 北口 善明, 近堂 徹, 楠田 友彦, 大沼 善朗, 中川 郁夫, 阿部 俊二, 横山 重俊, 下條 真司, “広域分散仮想化環境のための分散 学会論文誌, Vol. 55, No. 3, pp. 1140-1150 (2014) (2) Junko Sato, Kouji Kozaki, Susumu Handa, Takashi Ikeda, Ryotaro Saka, Kohei Tomizuka, Yugo Nishiyama, Toshiyuki Okumura, Shinichi Hirai, Tadashi Ohno, Mamoru Ohta, Susumu Date, Haruki Management Shojiro Nishio, Teranishi, ストレージシステムの提案と評価”, 情報処理 学会論文誌 Nakamura, Yuuichi "Protein Experimental System (PREIMS) Information Based on Ontology: Development and Applications", IPSJ Transactions on Bioinformatics, vol.6, pp. 9-17, May 2013. (3) 石 芳正, 川上 朋也, 義久 智樹, 寺西 裕一, 収集周期の異なるセンサデータストリームの ための P2P 型配信システムとその評価, Vol. 55, No. 2, pp.707-720, February 2014. (4) Daiki Morita, Kohei Ichikawa, Hirotake Abe, Susumu Date, Shinji Shimojo, "Implementation and Evaluation of Multiple Deduplication Methods for VM Disk Images Composing a Virtual Cluster", INFORMATION - An International Interdisciplinary Journal, vol. 16, no. 8B, pp. 6055-6068, Aug. 2013. (5) 落合 秀也, 井上 博之, 寺西 裕一, 江崎 浩, “IEEE1888 通信スタックの組込み向け軽量実 装 ”, 情 報 処 理 学 会 論 文 誌 , vol. 54, no. 7, pp.1849-1860, July 2013. 国際会議会議録 (9) Pongsakorn U-chupala, Putchong Uthayopas, Kohei Ichikawa, Susumu Date, Hirotake Abe, “An implementation of a multi-site virtual cluster cloud”, The 10th International Joint Conference on Computer Science and Software Engineering (JCSSE'13), May 2013. (10) A. Ancel, K. Baba, J. Cisonni, Y. Fujiso, P. Goncalves, M. Imbert, K. Koyamada, K. Nozaki, H. Ohsaki, A.-C. Orgerie, X.Pelorson, B. Raffin, N. Sakamoto, E. Sakane, S. Wada, S. Shimojo, A. Van Hirtum, P. Neyron, I. Assenmacher, “Petaflow - an example of communication and computational technologies with social impact”, in Proceedings of IEEE/IPSJ Workshop on High-Speed Network and Computing Environment 2013, pp. 703-708, July 2013. (11) Yasuhiro Watashiba, Susumu Date, Hirotake Abe, Kohei Ichikawa, Hiroaki Yamanaka, Eiji Kawai, Haruo Takemura, “An Architectural Design of a Job Management System Leveraging Software Defined Network”, The 4th IEEE International Workshop on High-Speed Network and Computing Environment, Proceedings of 2013 IEEE 37th annual computer software and applications conference (compsac “Architecture 2013), pp. 724-729, July 2013. Leveraging Software-Defined Network”, The 6th (12) Yasuhiro Watashiba, Seiichiro Hirabara, Susumu Date, Hirotake Abe, Kohei Ichikawa, Yoshiyuki Kido, Shinji Shimojo, Haruo Takemura, “OpenFlow of a High-speed MPI_Bcast Workshop on UnConventional High Performance Computing (18) Tomoki 2013, Aachen, Germany, Aug. 2013. Yoshihisa, Yoshimasa Ishi, Tomoya Network Visualization Software with Flow Control Kawakami, Yuuichi Teranishi, “P2P Camera Data Interface”, Doctoral Symposium, Stream Delivery Systems”, Proceedings of IEEE Proceedings of 2013 IEEE 37th annual computer software and Global applications conference (GCCE 2013), pp.369-370, October 2013. (compsac 2013), pp. Consumer Electronics (19) Kohei Ichikawa, Kevin Lam, Karen Rodriguez, 475-477, July 2013. (13) Tomoya Kawakami, Yoshimasa Ishi, Tomoki Yoshihisa, Conference on Yuuichi Teranishi, “P2P Delivery Wen-Wai Yim and Jason Haga, “Deployment of Virtual Clusters for Molecular Docking Method for Sensor Data Stream Based on Load Experiments on the PRAGMA Cloud”, PRAGMA Estimation from Collection Cycles”, Proceedings of 25 Workshop, Beijing, China, Oct. 2013. the 4th IEEE International Workshop on Enablers (20) Pongsakorn U-chupala, Kohei Ichikawa, Luca for Ubiquitous Computing and Smart Services Clementi, Nadya Williams, Philip Papadopoulos, (EUCASS 2013) in Conjunction with the 37th Yoshio Tanaka, Akihiko Ota and Weicheng Huang , Annual & “PRAGMA Virtual Cluster Sharing Phase 4”, 2013), PRAGMA 25 Workshop, Beijing, China, Oct. 2013. International Applications Computer Conference Software (COMPSAC (21) Khureltulga Dashdavaa, Susumu Date, Hiroaki pp.289-294, July 2013. (14) Yukai Yang, Hirotake Abe, Ken-ichi Baba and Yamanaka, Eiji Kawai, Yasuhiro Watashiba, Kohei Shinji Shimojo, “A Scalable Approach to Avoid Ichikawa, Hirotake Abe, and Shinji Shimojo, Incast Problem from Application Layer”, in “Experience and Expertise of Designing SDN Proceedings MPI_Bcast”, PRAGMA 25, Beijing, China, Oct. of IEEE/IPSJ Workshop on High-Speed Network and Computing Environment (22) Y. Kido, D. Lim, S. Date, Y. Watashiba, H. Abe, K. 2013, pp. 713-718, July 2013. (15) Yukihiro Kunishige, Ken-ichi Baba, and Shinji Shimojo, “Optical considering host path 2013. scheduling bandwidth in data methods center Ichikawa, H. Yamanaka, E. Kawai, S. Shimojo, H. Takemura, “Tiled Display Wall with Network Buffering Mechanism for Network Fault networks”, in Proceedings of IEEE PACRIM 2013, Avoidance”, PRAGMA 25 Workshop, Beijing, pp. 171-176, August 2013. China, Oct. 2013. (16) Daniel Li, Brian Tsui, Charles Xue, Jason H. Haga, (23) Yoshimasa Ishi, Tomoya Kawakami, Tomoki Kohei Ichikawa, Susumu Date, “Protein Structure Yoshihisa, Yuuichi Teranishi, “P2P Streaming modeling in a Grid computing environment”, System for Sensor Data Stream Based on Load Proceedings International Estimation from Collection Cycles”, Proceedings of Conference on e-Science (e-science 2013), pp. The 4th International Workshop on Streaming 301-306, Beijing, China, Oct. 2013. Media of The 9th IEEE (17) Dashdavaa Khureltulga, Susumu Date, Hiroaki Delivery (SMDMS 2013) and in Management conjunction Systems with 8th Yamanaka, Eiji Kawai, Yasuhiro Watashiba, Kohei International Conference on P2P, Parallel, Grid, Ichikawa, Hirotake Abe, and Shinji Shimojo, Cloud and Internet Computing (3PGCIC 2013), pp.647-652, October 2013. 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OpenFlow”, a Cluster (33) 国重行洋, 馬場健一, 下條真司, “データセンタ The 19th (26) Kohei Ichikawa, Susumu Date, Hirotake Abe, (34) 川上 朋也, 石 芳正, 義久 智樹, 寺西 裕一, Hiroaki Yamanaka, Eiji Kawai, Shinji Shimojo, “A “複数の異なる配信周期を扱う P2P 型センサ Network Performance-Aware Routing for Multisite データストリーム配信システムのための負荷 Virtual Clusters”, The 19th IEEE International 均等化手法”, 情報処理学会 マルチメディア, Conference On Networks (ICON 2013), December 分散, 協調とモバイルシンポジウム (DICOMO 2013. 2013) 論文集, pp.577-584, July 2013. (27) Ikuo Nakagawa, at el, “Privacy aware (35) 石 芳正, 川上 朋也, 義久 智樹, 寺西 裕一, transformation (PAT) and its applications for “解析処理・可視化処理を伴う P2P 型センサデ privacy preserving data analysis”, IA2013-39, ータストリーム配信機構の一実装”, 情報処理 pp.69-74, Jan, 2014. 学会 マルチメディア, 分散, 協調とモバイル (28) Tomoya Kawakami, Yoshimasa Ishi, Tomoki Yoshihisa, Yuuichi Teranishi, “P2P Sensor Data Stream Delivery System”, Proceedings of the 28th International Conference on シンポジウム (DICOMO 2013) 論 文 集 , pp.2083-2087, July 2013. 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(47) 中川郁夫, 他, “広域分散ストレージを実現する アーキテクチャ”, Cloud Week 2013. (48) 北口善明, 中川郁夫, 他, “広域分散ストレージ (40) 藤井廉, 馬場健一, 下條真司, “無線センサネッ トワークにおける締切を考慮したデータ転送 を利用した長距離ライブマイグレーションの 報告”, Cloud Week 2013. 手 法 ”, 電 子 情 報 通 信 学 会 技 術 研 究 報 告 (49) 中川郁夫, “広域分散ストレージを実現するア (IN2013-61), vol. 113, no. 206, pp. 19-24, ーキテクチャ”, RICC ワークショップ, ITRC, September 2013. 2013. (41) 小島 一秀, 岩成 英一, 村山 健二, 並川 青慈, (50) 柏崎 礼生, 北口 善明, 近堂 徹, 中川 郁夫, 並川 嘉文, 高橋 明, “多言語に対応した外国語 下條 真司, “広域分散仮想化基盤のストレージ e ラーニング教材のためのシステム群”, 第 12 評価の最新動向”, インターネットと運用技術 回情報科学技術フォーラム講演論文集 第 3 分 シンポジウム 2013 論文集, Vol. 2013, pp. 39-42 冊, K-011, pp.549-556,2013 年 9 月. (2013) (42) 石 芳正, 川上 朋也, 義久 智樹, 寺西 裕一, (51) 柏崎 礼生, 下條 真司, “動的な広域ライブマイ “ホップ数を考慮した P2P 型センサデータスト グレーションが可能な環境における課金モデ リーム配信システムの配信遅延に関する評価”, ルの検討”, インターネットと運用技術シンポ 情報処理学会研究報告 (2013-DPS-156), pp.1-7, ジウム 2013 論文集, Vol. 2013, pp. 43-46, (2013) (52) 柏崎 礼生, “映像アーカイブスを利用した大規 September 2013. (43) 下條真司, 清川清, 伊達進, 竹村治雄, 東田学, 模メタデータ基盤の構築”, 平成 25 年度「京」 安福健祐,”大阪大学サイバーメディアセンター を中核とする HPCI システム利用研究課題中間 での可視化サービスに向けた取り組み”, 大学 報告会 (2013) ICT 推進協議会 2013 年度年次大会 論文集, (53) Ikuo Nakagawa, at el, “Technology for Long Distance Live Migration -- Distributed Storage and pp.448 -pp.453 2013 年 12 月. (44) 石 芳正, 川上 朋也, 義久 智樹, 寺西 裕一, Network -”, NS2013-173, pp.59-64, March, 2014. “ホップ数を考慮した P2P 型センサデータスト (54) 川上 朋也, 石 芳正, 義久 智樹, 寺西 裕一, リーム配信システムの一実装”, 第 21 回マルチ “分散ハッシュを用いた P2P 型センサデータス メディア通信と分散処理ワークショップ トリーム配信システムにおける耐障害性向上 (DPSWS 2013) 論文集, pp.124-129, December 法 の 検 討 ”, 情 報 処 理 学 会 研 究 報 告 2013. (2014-DPS-158), pp.1-7, March 2014. (45) 川上 朋也, 石 芳正, 義久 智樹, 寺西 裕一, (55) 柏崎 礼生, 北口 善明, 近堂 徹, 市川 昊平, “P2P 型センサデータストリーム配信システム 中川 郁夫, 阿部 俊二, 横山 重俊, 下條 真司, における分散ハッシュを用いた負荷均等化手 “広域分散仮想化基盤を実現する広域分散スト 法の一考察”, 電子情報通信学会技術研究報告 レージの評価”, Proceedings of NORTH Internet (IA2013-62), Symposium 2014, pp. 33-40 (2014) Vol. 113, No. 364, pp.29-34, December 2013. (46) 寺西 裕一, 下條 真司, “大規模分散アプリケー (56) 中川 郁夫, 柏崎 礼生, 北口 善明, 市川 昊平, 近堂 徹, 下條 真司, “広域ライブマイグレーシ ションの実証を可能とする PIAX Testbed の実 ョンを実現する技術 装”, 第 21 回 マルチメディア通信と分散処理 ットワーク~”, 信学技報, Vol. 113, No. 388, ~分散ストレージとネ NO2013-173, pp. 59-64 (2014) 解説・その他 (57) “インテック、並列分散ストレージ技術を用い た太平洋横断ライブマイグレーションに成功”, ITPro active, http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/ ActiveR/20131216/525093/(中川) (58) NHK「テレビで中国語」テキスト 7 月号, June 2013. (59) E テレ「テレビで中国語」のコーナー「知っと く中国語『宅女の部屋』」(毎週火曜日 22:00~ 22:25), May 2013. (以上、小島) 2013 年度特別研究報告・修士論文・博士論文 博士論文 該当なし 修士論文 該当なし 卒業研究報告 (60) 山田拓哉, “交流流シミュレータ SUMO を用い た交通信号制御手法 GreenSwirl の性能検証”, 大阪大学工学部卒業研究報告, 2013 年 2 月. (61) 山下凌, “仮想化対応 WI-FI ネットワークにおけ るチャネル制御手法”, 大阪大学工学部卒業研 究報告, 2013 年 2 月. (62) Keichi Takahashi, “Design and Implementation of Software Defined Networking Controller for Accelerating Collective Reduction Operation in MPI”, 大阪大学工学部卒業研究報告, 2013 年 2 月. 学位論文 該当なし
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