今日、明日、そして未来のクラウドに 対する有利な価格設定と

今日、明日、そして未来のクラウドに
対する有利な価格設定とパッケージ化戦略
White Paper
要旨
ソフトウェアの価格設定とパッケージ化は、サービスとして提供するのか物理的なオンプレミスソフトウェアとして提
供するのかに関係なく、一種のアートです。しかし、一方で数多くの科学的側面も必要です。このホワイトペーパー
では、SaaS アプリケーションの導入と管理について最も重要な側面を検証します。また、クラウドサービスに対す
る効果的なソフトウェア価格設定とパッケージ化戦略の構築、実行、管理方法に関するアイデアを ISV に提示しま
す。
目標が新サービスの顧客基盤を構築することであれ、定着したオンプレミス顧客にクラウドサービスを紹介するこ
とであれ、あるいは最終的にオンプレミスビジネスのすべてをクラウドに移行することだとしても、成功の確保に役
立つ貴重な情報が見つかるでしょう。このホワイトペーパーでは、新たなベストプラクティスと実際の ISV の成功に
着目しているため、現在と未来のソフトウェア価格設定とパッケージ化に取り組む能力に自信を持てるようになり
ます。
価格設定とパッケージ化
ソフトウェアとサービスの価格設定は一種のアートのようなものですが、数多くの科学的側面も必要です。企業が
クラウドソフトウェアの価格設定で成功を収める戦略をどのようにして立てているか検証する中で、共通のフレー
ムワークが浮上しました。SaaS モデルは進化し続けているため、さまざまなケーススタディとベストプラクティスが
あります。これを利用することで、ほぼすべて成功した SaaS 戦略の典型的な構成要素を特定できます。 SaaS とオンプレミスの違い
SaaS(Software as a Service:サービスとしてのソフトウェア)によって ISV が実現できることの 1 つは、従来のオ
ンプレミスソフトウェアの価格設定で犯していた間違いから抜け出すことです。分散型コンピューティングのクライア
ントサーバ時代には、オンプレミスソフトウェアは永久ライセンスと追加の保守契約を通じて販売されていました。
永久ライセンスモデルでは、顧客は前もって多数のライセンスシートを購入し、毎年継続的な保守料を支払うよう
に促されます。多くの理由から、これはあらゆる顧客シナリオで上手く機能しません。
現在のソフトウェアによる収益は、大半が今もなお永久ライセンス「プラス保守」モデルに頼っています。しかし、今
日のソフトウェア業界で一番急速に成長しているのは、SaaS であれオンプレミスであれ、サブスクリプション収益
に関連していることを心に留めておくことが重要です。 Copyright 2012, Nihon SafeNet K.K.
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SaaS では、Web を通じてサービスとして顧客にリソースアクセスを提供します。企業や企業指定のサービスプロ
バイダーが、多くの顧客のためにソフトウェアアプリケーションの単一インスタンスを実行しているという性質から、
測定基準と計測の種類に関してこれまでできなかった興味深いことが実現できます。
SaaS 環境では、オンプレミス環境では難しいユーザ追跡が実行できます。特に、顧客がすでにソフトウェアをイン
ストール済みで、価格設定の確立した方法があれば、多数の追跡を実行できます。SaaS 自体が、またサブスクリ
プションモデル全体が、迅速な価格設定アプローチに多くの独自機能と属性をもたらしているため、以前のソフトウ
ェア業界にはあまりなかった可能性が広がっています。
また物理的な製品から SaaS モデルへの移行が行われるにつれ、プロセス全体が関連性をますます重視するよう
になっています。そのため顧客は物理的な製品の代わりに、ビジネスプロセスの完了に役立つソフトウェアリソー
スへのアクセスを受け取るようになります。ベンダーは、ソフトウェアサービスを提供し、顧客はそこから得られた価
値に基づいて支払うかどうかを決めます。SaaS は継続的なプロセスであり、最初は小さく始めて徐々に成長し続
けていきます。
SaaS ビジネスモデルを検討している ISV にとって重要なのは、SaaS が従来のオンプレミス製品やビジネスモデ
ルとどう異なるのか正確に理解することです。アーキテクチャとしての SaaS の高水準記述言語と提供モデルは、
共有インフラ、共有アプリケーション、サブスクリプション決済に焦点を合わせています。理論上は、従来の ISV に
よる提供は思ったより容易に聞こえます。しかし実際には、その単純さによって、SaaS を正しく実行するために必
要な複雑性を隠してしまうことがあります。
SaaS の特性と要件
ISV が考慮すべきサービスの特性は多数あります。次の一覧を見ると、ソフトウェアの作成、提供、製品サイクル
に関して、従来のプロバイダーがあまり持っていない新たな観点が必要であることがわかります。また、SaaS 製
品の追加や SaaS への完全移行を検討している ISV が満たすべき重要な要件もあります。 1.
2.
3.
4.
5.
6.
サードパーティプロバイダーによる社外ホスティング
クラウドへ移行することは、最も実用的な目的のために、ソフトウェアがサードパーティプロバイダーによっ
て社外にホスティングされることを意味します。
ソフトウェアがサービスとして提供される場合、ISV またはその委託者は、サービスレベルアグリーメント
(SLA)をユーザに提供して、技術や顧客サービスといったサービス提供の多くの面を保証します。 インターネットを介したアクセス SaaS アプリケーションは、標準ベースのユニバーサルネットワークを通じてアクセスされます。また、ISV は
スケーラブルなサービスを提供する必要があります。 実装に必要な IT スキルが最小限または不要 ユーザは、ホスティングされたアプリケーションにオンラインでアクセスするため、サービスの仕様は単純
化され、多くのオンプレミスシステムと違って、実装に長い時間がかかりません。そのため、ISV はリアルタ
イムにサービスを提供することが要求され、多くの場合、エンタープライズ内でも技術に詳しくない人と共
に仕事をすることになります。 自動プロビジョニング SaaS 提供モデルは、セルフサービスの要求、ほぼリアルタイムのデプロイメント、動的できめの細かいス
ケーリングを伴います。これは、ISV が動的なスケーリングと容量の柔軟性を提供する必要のあるトランザ
クション環境です。 きめの細かい価格設定 ほとんどの SaaS 契約書には、利用量に基づくきめの細かい価格設定が含まれています。ISV は、使用状
況に基づく価格設定を提供しサポートできなければなりません(ただし、長期の固定価格契約ではそこま
できめ細かくしないこともあります)。ISV の価格設定戦略は、共有価値の継続的な提供に基づく必要があ
ります。 共有リソース/共通バージョン - 統合およびクライアントサイドの最適化による設定とカスタマイズ ISV は、単一のコードベース、マルチテナントアーキテクチャを提供します。 Copyright 2012, Nihon SafeNet K.K.
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SaaS 契約の主要構成要素
SaaS のパッケージ化と価格設定では、やってみたかったことを多数実行できます。以下では、すべての SaaS プ
ロジェクトの一部となるべき、いくつかの主要な構成要素を説明します。
サブスクリプションモデルは、最初の最も基本的な構成要素です。サブスクリプションモデルでは、ユーザは自動
更新で支払いを行い、オンラインサービスとしてソフトウェアにアクセスします。そのアクセスに対して支払いを続け
る限り、顧客はアクセス可能です。
価格設定の測定基準 は、SaaS 契約のさらなる構成要素です。価格設定は一般にユーザベースです。SaaS で
は、さまざまなユーザベースの測定基準を採用できます。これは、オンプレミスアプリケーションを実行する顧客と
は対照的に、顧客のためにアプリケーションのインスタンスを実行する際に測定と追跡の機能を利用できるためで
す。最も単純な例は、何人のビジネスユーザがサービスにアクセスしているか測ることです。もっと複雑なシナリオ
もあります。たとえば、どの機能が最も頻繁に使用され、どの機能が特定の時刻や特定の市場セグメントで最も人
気があるかなど、 多くの可能性があります。しかし今のところ、SaaS ベンダーの間で期待するほどの実験は行わ
れていません。
契約期間もまた、SaaS 契約の主要な構成要素です。月ごとや複数年を指定することもできますが、うまく物事が
運ぶのはだいたい 1 年契約です。理由は次のとおりです。顧客やビジネスユーザは、本当に毎月の PO を削減し
たいと思っているでしょうか? クラウドアプリケーションに関する意思決定を本当に毎月したいと考えるでしょうか?
答えは「ノー」です。一度決定を行ったら、ほとんどの顧客はそれをただ設定し、忘れてしまいたいと思うでしょう。ト
ライアルや評価の目的で短期契約を提供することには意味があります。しかし顧客は一度委託する心構えができ
たら、おそらく 1 年契約を結ぶでしょう。これがサブスクリプションアプローチの性質です。
契約期間について顧客が抱く疑念の 1 つは、アプリケーションに依存するようになると、ISV が次の期間に価格を
引き上げるのではないかということです。これは非常によくあるシナリオです。そして価格を固定するために、ビジ
ネス顧客は多くの場合、複数年契約を交渉します。これについてのベストプラクティスなアドバイスは、顧客を徹底
して理解する親密なアプローチをとり、期間の選択肢を提供することです。SaaS 契約では、1 年、3 年、5 年の選
択肢をごく普通に目にします。また、期間が長いほどユニット単位の価格は下がります。
もっと重要な契約の構成要素は 2 つで、請求と収益計上です。これらを切り離して考えることはできません。1 年契
約の場合でも、請求は通常前払いです。したがって、1 年契約を結んだ顧客は通常、サービスの開始時に 1 年契
約分の支払いを行います。その時点では、当然ながら収益は計上されません。サブスクリプション収益はサービス
が提供されると同時に計上されます。これは、サブスクリプションと SaaS に関する収益計上ルールの一部です。
保守収益期間も同じように機能します。収益は、契約期間にわたって定率で計上されます。SaaS の実装は オン
プレミスの実装よりもはるかに短期間ですみスケールもずっと小さいですが、新規顧客の契約に専門サービスの
開始手数料が伴うことがあります。これは、実際のサブスクリプションのサービスとは異なるスケジュールで計上さ
れます。
サービスレベルアグリーメント(SLA)も SaaS 契約の重要な構成要素です。ソフトウェアがサービスとして提供され
る場合、ISV またはその委託者は、SLA をユーザに提供することで、技術や顧客サービスといったサービス提供
の多くの面を保証します。顧客サービスの保証にはたいてい、サポートリソースの利用可能性や技術サポート要
求に対する応答時間が含まれます。技術の保証には、エラー解決時間の保証、システム応答時間の保証が含ま
れることがあり、ほとんどの場合システム可用性または稼働時間の保証が含まれます。サービスレベルが満たさ
れないと顧客に返金されるため、ISV の収益に悪影響を与える恐れがあります。返金条項を含む SLA は、何年も
前にテレコムサービスプロバイダーと ASP が開始した標準です。 SaaS 契約に特有の構成要素は、動的な拡張と縮小です。オンプレミスの従来のライセンスプラス保守モデルを検
討している場合は、会計の観点から縮小する方法はありません。特に永久ライセンス収益は最初に計上されるた
め、すでに収益を計上済みのライセンスをソフトウェア会社に返還するのは困難です。特殊なケースで、非常に大
きく重要な取引先に対して例外を認める場合もありますが、決して標準ポリシーの一部ではありません。
その一方でソフトウェアに加入契約し、既定期間中のアクセス権を取得する場合、拡張と縮小はバックエンド会計
の観点からはるかに容易です。それは、顧客の観点から確実に予測されます。さらなるユーティリティまたは実際
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のペイパーユーズ(ペイパーユーザではない)価格設定モデルを開始する場合は、動的に拡張および縮小する従
量制アプローチの採用を考慮する必要があります。これは、顧客が 1 カ月または 1 日のうちに支払う価格が変動
することを意味します。
オールインワンではなくシンプルに
さらに SaaS 契約に考慮すべき事項として、予測可能性、セットアップ料、最低価格、差別価格設定があります。
予測可能性
ISV にとっての予測可能性とは、SaaS では一貫したコスト(1 ユーザー当たりのサービスのコ
スト)と継続収益を意味します。ユーザにとっての予測可能性とは、長期間かけて平滑化するコストと、利用に基づ
くコストを提供する価格設定プランを意味します。これらの価格設定基準では、ユーザの増加、トランザクションの
増加、またはストレージニーズの増加について計画を立てることが可能なため、それに応じて予算を立てることが
できます。
ベストプラクティスなアドバイスは、ユーザにとって提供されるサービスごとのコストオンボーディングコストが比較
的フラットな、明確なコストや価値に基づいた価格設定プランを立てることです。さらに ISV は、段階的に高価値と
なるサービスの構築を検討する必要があります。例として、ストレージ、ネットワーク最適化、統合、データクレンジ
ング/分析、テスト、カスタマイズや高度な請求の自動化などのコードについての QA があります。
セットアップ料
これまで、利用をやめるユーザへのペナルティとして、SaaS プロバイダーは高いセットアップ
料を課金していました。この方法は現在、変わりつつあります。不景気と予算縮小によって、ISV は SaaS 顧客が
お金を支払っただけの価値を迅速に受け取れるようにすることが不可欠になりました。
ベストプラクティスなアドバイスは、ベンダーがセットアップ料をやめるか、または大幅に下げることです。セットアッ
プ料を決める前に、以下を自問自答してください。実装は実際のところどのくらい販売プロセスを遅らせるか? 妥
当な金額はいくらで、この料金は月価格にどのように影響するか? 目標は障壁を取り除き、迅速に顧客に価値を
認識させることです。
最低価格
一部の SaaS ベンダーは、携帯電話プランの利用枠に似た使用状況ベースの価格設定モデ
ルを採用しています。こうした ISV は携帯電話会社のように、より高い最低価格を固定するために実装料を下げる
ことを選択しています。
差別価格設定
ほとんどのベンダーは、オンプレミスライセンシング投資に対して、3~4 年で損益分岐点がく
るように SaaS ライセンスを調整しています。大規模なしっかりしたベンダーは一般に価格を破壊する代わりに多く
の選択肢を与えています。差別価格の事前設計は、ブランド成熟度やプレミアム価格などさまざまなものに基づき、
購入者の心に響くものでなければなりません。
たとえば、すでに定評のあるエンタープライズ電子メール製品を持ち、年間収益が数億ドルで、さまざまな差別価
格設定を採用した非常に強固なユーザ基盤を持つ老舗の ISV について検証してみましょう。ISV は、製品を実行
するためのライセンス、保守、サポート、常勤スタッフ、ハードウェア、光熱費などを含む、ユーザ当たりの平均コス
トを把握しています。ユーザが、類似のホスト型電子メールソリューションをユーザ当たりにつきわずかな金額で取
得できたとしても、ブランド力のある老舗 ISV は、一貫してより高い価格を設定しています。
老舗 ISV はホスト型電子メールソリューションを展開したときに、差別価格設定を採用できました。基準価格を利
用して、新サービスをやや有利に置きました。これは理論的には、価格破壊を抑制します。調査で顧客が繰り返し
答えているとおり、マルチテナントアーキテクチャの価値はプロバイダーが低コストをエンドユーザに提供すること
だと感じていることを心に留めておくことが重要です。高すぎる差別価格設定は、コストプラス方式またはサービス
の価値に疎いと見なされ、本当の意味では新しくないものとして購入者に避けられてしまう場合があります。 オールインワンにはせずにシンプルさを保ち続けるというのは困難なことです。価格設定の進化に合わせて柔軟
性のバランスを取りながら、ますます成熟化し、ますますエンタープライズ指向になる顧客のニーズを満たし続け
ることです。SaaS とクラウドのルーツはシンプルさの中にあるということを覚えておくことが重要です。
この時点で、SaaS の価格設定とパッケージ化戦略に容易に取り組む方法があるかどうか知りたいと思うことでし
ょう。そのすべては、ビジネス目標から始まります。 Copyright 2012, Nihon SafeNet K.K.
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価格設定とパッケージ化はビジネス目標から
価格設定とパッケージ化戦略は、常にビジネス目標によって決めるべきです。つまり、全体像に戻って注目する必
要があります。貴社は、何を達成しようとしていますか?
組織によって目標は、市場への新規参入のため顧客基盤を拡大する、成熟したサービスによる収益を最大化す
る、競争圧力を防ぐためサービスを差別化する、などさまざまです。
このホワイトペーパーでは、3 つの異なるシナリオから価格設定とパッケージ化に注目し、それぞれについての目
標と戦略を検証します。
1.
実際に SaaS 専用サービスで抜け出している SaaS 専業の新興企業
2.
新しい SaaS アプリケーションを新市場または顧客セグメントに投入しようとしている、既存のオンプレミ
ス製品を持つ老舗 ISV
3.
既存製品を SaaS で増強するか、SaaS に完全移行することを望んでいる、既存のオンプレミス製品と強
力な顧客基盤を持つ老舗 ISV
どんな目標であれ、財務目標を満たすために選択する価格設定とパッケージ化戦略に間違いなく影響を与えま
す。
新しい SaaS サービスの開始
上記の最初の 2 つのシナリオはいずれも、主要目的は、顧客基盤を構築し、収益を最適化することです。
新しい SaaS 製品またはビジネスを確立する最初の手順は、顧客基盤を構築することです。市場検証、収益、製
品の方向性のために、そして潜在的競合他社に対して権利を主張するためにも顧客が必要です。
次に、ユーザ基盤を拡大し続けることに焦点を合わせます。サービスが成熟したら新機能を収益化し、その後パッ
ケージ化とさまざまなライセンシングモデルによって SaaS アプリケーションを差別化することで、収益の最適化に
専念し始める必要があります。
市場シェアの確立
市場シェアを確立する鍵となるのは、サービスの価値を価格設定モデルと結び付け、価格設定モデルとビジネス
目標のバランスを取ることにあります。これは当然のことと思われるかもしれませんが、SaaS のメリットの 1 つはさ
まざまな方法で収益化できること、というのを再度強調しておきます。
目標が、顧客と市場シェアを迅速に得ることなら、エントリの障壁がほとんどまたはまったくない状態で、サービス
の中核となる価値を顧客が容易に理解できる必要があります。次の例は、顧客基盤の構築と市場シェアの確立
のために現在使用されているさまざまなモデルのほんの一例にすぎません。
自社に最も効果的に働くモデルの選択は、ビジネス目標、アプリケーション、ターゲット市場によって決まります。
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フリーミアムモデル
フリーミアムモデルでは、中核となる機能を無料で提供し、さらに高度な機能について課金するペイフォーアッ
プグレードのパスを確立します。 このモデルは、サービスの価値が、ある種のコラボレーティブな機能から生じる場合に推奨されます。言い換
えると、ユーザ基盤が拡大するにつれ、ユーザ同士の交流によって個々のユーザにさらなる価値が生じる場
合です。フリーミアムが適した選択となるもう 1 つのシナリオは、技術または機能が市場で十分に理解されて
いない場合です。またフリーミアムモデルは、無料バージョンから課金バージョンにアップグレードする場合に
ユーザにとって価値が大幅に増加する場合にも最適な選択肢です。フリーミアムモデルでは、課金バージョン
に移行する価値を実証することが困難であれば、大規模なユーザ基盤と無収益から逃れられなくなるリスク
があります。ここで重要なのは、無料と課金の間で機能をどのように分けるかに十分に注意する必要があると
いうことです。
ビジネス専門家向けのソーシャルネットワーキングサイトである LinkedIn は、フリーミアムモデルに成功した良
い例です。LinkedIn は、ユーザが現在と過去の仕事上の知人や業界同業者と交流するための専門ネットワ
ークを維持できる無料のフレームワークを提供しています。LinkedIn は、次の 3 つの方法で収益を生み出しま
す。プレミアムサブスクリプション、企業ソリューション(求人サービスなど)、アドバタイジング(広告)です。
LinkedIn は収益を上げながら運用を続けており、2009 年の収益は 1 億ドルを超えました。2010 年は 2 億ド
ル近くになると推定されています。急速に拡大するユーザ基盤と、プレミアムサブスクリプションから生じる価
値の明確な違いによって、目覚ましく成長しました。
機能制限モデル
機能制限モデルでは、ソフトウェアサービスの比較的低コストなバージョンを提供し、迅速な導入を促進しなが
ら、アップグレード販売を促進するために機能を制限します。価格は、他の利用可能なソリューションと比較し
て設定する必要があります。たとえば、これまでオンプレミスソリューションが普及してきた市場で SaaS ソリュ
ーションを提供する最初のベンダーなら、すでに確立した市場価値をその機能のエントリポイントとして利用し、
独自の価格を設定できます。また、市場価値から少し割引して価格を設定し、SaaS のメリット(最小の時間で
最大の価値の創出、先行導入コストの低さ、長期のコミットメントなし、など)を顧客に強調することもできます。
このアプローチに聞き覚えがあるとしたら、それは長年オンプレミスソフトウェアに使用されてきたモデルの 1
つであることが理由です。ただし SaaS での機能制限モデルは、いくつか大きな違いがあります。
z
ビジネス成長を促進するためにコラボレーションまたはコミュニティとの連携に頼らない SaaS サービ
スに最適
z
確立した市場価値を持つサービスにより適切
z
一定の割合で無料サービスを提供するコストを負担できないプロバイダーにとって最適なアプロー
チ
このモデルを採用する場合、ベストプラクティスは(前半に契約の構成要素について論じた際に述べたとおり)、
エントリの障壁を取り除くことです。制限された機能セットを比較的低価格に設定し、できるだけセットアップ料
を最小限に抑えるか、またはなくします。また、できるだけ(おそらく 1 年以上にならないように)期間コミットメン
トを制限したいと思うことでしょう。市場によっては、非契約アプローチを導入したいと思うかもしれません。そ
のときは、機能のパッケージ化と価格設定の方法を工夫して、顧客により高い価格、より長期間のコミットメン
トなどに移行しようという気にさせます。
Salesforce.com は、エントリレベルのサービスで機能制限モデルを採用してうまくいっている例です。ユーザ
基盤を拡大する中で、より価格設定の高い機能の豊富なエディションに移行する組織が増えることで、収益成
長が生じています。
ペイアズユーグローモデル
ペイアズユーグロー(成長に応じて支払う)モデルは、使用状況またはトランザクションに基づくモデルで、顧客
は自動更新料金や基本料金なしで、利用するものに対してのみ支払いを行います。
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このモデルは動的であり、顧客に対して最も柔軟な価格設定を可能にします。このモデルでは、顧客は先行
投資のリスクがほとんどありません。価格設定は、従量制またはユニット単位であり、通常、定額プランや段
階的プランよりも高くなります。
価格が使用状況に直結しているサービスの実例が、Amazon Web Services(AWS)や Skype です。ペイアズ
ユーグローすなわち従量制モデルは、顧客基盤を拡大しようとしている場合にぴったりのアプローチです。顧
客がサービスを習慣的に利用するようになり、使用状況の一貫したベースラインを示したら、収益を成長させ
潜在的な変動性を排除するチャンスが生じます。
これらは、SaaS で利用可能な多数の選択肢のうちの 3 つにすぎません。そして繰り返しますが、自社に最も
効果的なモデルの選択は、ビジネス目標、アプリケーション、ターゲット市場によって決まります。
強固な拡大する顧客基盤を構築したら、収益の成長に焦点を合わせる必要があります。
収益性の向上
強固な顧客基盤を構築した後は、既存の顧客基盤を通じた収益成長、さらに新市場への進出による収益成長に
焦点を合わせることが重要です。
無料サービスの Skype を例にとりましょう。Skype には無料サービスを超えて、サブスクリプションモデルと使用状
況モデルがあります。Skype のパッケージ化とライセンスモデルは顧客基盤のさまざまなセグメントを基にしていま
す。
もう 1 つの例は、既存の製品ポートフォリオへのサービス追加を検討しているネットワークアプライアンスのプロバ
イダーです。このプロバイダーは、ユーザベースのライセンシングモデルによって利益を最大化できると信じていま
すが、収益を最適化するためには、サブスクリプションベースのライセンシングを提供する必要があり、すべての
顧客セグメントのニーズを満たすためには、定額ベースの価格設定が必要であることを認識しています。
さらにもう 1 つ例を挙げるなら、サービスを開始して最初の 18 カ月で 50 回以上の価格設定とパッケージ化の変更
を経験した SaaS 専業の新興企業です。ビジネスに弾みをつけて成長させるために、同社は機能セットと価格設
定アプローチを絶えず変更しました。これは極端な例かもしれませんが、サービス開始の初期段階で継続的に価
格設定とパッケージが変更可能である必要があるという一般的な例です。顧客は SaaS にこの俊敏性を期待して
おり、パッケージとライセンシングをより動的に調整しやすいと認識しています。
ソフトウェアサービスのパッケージ化に柔軟性があること、そして多様なライセンシングオプションを提供することが
重要です。上記の例は、どのライセンスモデルがアプリケーションとビジネスに最適に機能するかに注目するだけ
でなく、顧客に適した価値提案にも注目することがいかに重要であるかを表しています。
確立したオンプレミスの戦略を進化させ SaaS へ適用
従来型のオンプレミスソフトウェアサービスを SaaS で増強したいと考えている老舗 ISV の場合は、ハイブリッドな
サービスを提供する ISV と言えます。つまり製品ポートフォリオに、オンプレミスと SaaS アプリケーションの両方が
含まれることを意味します。
ハイブリッドなプロバイダーは、ハイブリッド車によく似ています。ハイブリッド車では、従来のガソリンエンジンを車
に入れます。このエンジンは、ポートフォリオのオンプレミス部分のようなものです。小型の電気モーターを車に追
加することで、はるかに効率的になるように、SaaS をオンプレミスの製品ポートフォリオに追加することでビジネス
全体に効率性をもたらすことができます。
SaaS は、オンプレミスの製品ポートフォリオにすでに行った投資を補完できます。さらに、これを自社の観点から
だけでなく顧客の観点から考えることが重要です。顧客がオンプレミスサービスに対し長年にわたって行なってき
た投資と、ソフトウェアの使用によって継続的に得ている価値は、深く根付いているためです。
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顧客はオンプレミスサービスを快適に使用しているため、サービスの既存の価値を拡大することで、再投資して顧
客が得る価値を高めることができます。これにより、現在の保守による収益を維持して顧客基盤を保護しながら、
顧客にもたらす価値に焦点を合わせておくことができます。SaaS がオンプレミスサービスをどのように増強して問
題を解決できるかに注目することは、老舗のオンプレミス ISV にとって重要な戦略です。
ハイブリッドの価格設定とパッケージ化戦略
次にハイブリッドサービスについての価格設定とパッケージ化戦略について検証しますが、その前に、ハイブリッド
車とハイブリッド製品サービスのさらなる類似点に注目しましょう。それを、専用駐車場と呼ぶことにします。ハイブ
リッド車をまだ運転していない人は、駐車場で「ハイブリッド専用駐車場」という標識を見ると、おそらく少し不満を
感じるでしょう。「ちょっと待って。なぜ私は特別待遇を受けられないのだろうか?」と考えます。ハイブリッドソフトウ
ェア製品サービスは、専用駐車場に似ています。その理由は次のとおりです。
この特別待遇とは、成熟したオンプレミスサービスと強固な顧客基盤に、さらに SaaS サービスを提供する ISV で
あれば、オンプレミスのデプロイメントとサービスベースの提供という利用の柔軟性から、ほとんどのシナリオのニ
ーズを満たせることを実証してしまうことを意味します。
どのように SaaS を使用して現在のオンプレミスサービスを増強できるか特定しようとする場合、さまざまな考え方
があります。1 つのアプローチは、SaaS サービスで補完的な機能を提供することです。すなわち、オンプレミスで
すでに実行しているものとうまく調和する機能です。
もう 1 つの選択肢は、オンプレミスソリューションでは解決できないユースケースを解決することで、オンプレミスサ
ービスの価値を高めることです。ある CAD ISV による達成方法を紹介すると、ソーシャルコミュニティ機能をサー
ビスに追加するという方法をとっています。ユーザの交流とコラボレーションによって、サプライチェーンプロセス、
設計プロセス、開発プロセスを通したより効率的なフィードバックを得ることができます。
またユーザコミュニティから得たコラボレーティブなインテリジェンスを利用して、問題を解決する機能という形でそ
れを実装できるため、ISV とその顧客に直接付加価値をもたらします。コミュニティ機能は、製品の次のバージョン
に対するより明確な見通しと、開発プロセス時に交流を図る機会を顧客に提供します。このユースケースは、現在
のオンプレミスサービスでは十分に解決することはできません。
また現在のサービスを再パッケージ化し、異なるユースケースを解決することも可能です。たとえば、豊富な機能
セットを備えた会計アプリケーションを持っているとします。アプリケーションのコアユーザ、つまり機能の大半を実
際に使用しているユーザは、大規模組織の約 20~30 パーセントにすぎません。残りは、利用可能な機能のほん
の一部しか使用していません。このシナリオはごく当たり前で、業界標準となっているものは、ほぼこのシナリオが
あてはまります。しかし、それでもなお組織内の 70~80 パーセントに及ぶユーザが好んでいる機能に限定した簡
略版を作成することには価値があり、SaaS アプリケーションとして提供することが最適である可能性があります。
そのニーズを解決するために機能の少ない SaaS ベースのサービスを行うことができれば、アプリケーションの別
のオンプレミスインスタンスを再パッケージ化したり提供したりする理由はまったくありません。この種の機会を探
すことが重要です。
もう 1 つの好例は、SMB 市場に参入しているグラフィックデザイン会社です。社内 IT リソースは一般に、ほとんど
の中小企業で非常に制限されています。そのため社内 IT スタッフを必要としない SaaS アプリケーションは非常に
魅力的です。このグラフィックデザイン会社は、2 つの新しいサービスを追加する計画を立てています。1 つ目は、
顧客の環境に冗長性を提供するための外部ストレージ機能です。2 つ目は、サービスとしてのオンプレミスグラフィ
ックアプリケーションのライトバージョンです。SaaS バージョンは、基本的にマークアップ機能を提供します。2 つの
新しい SaaS サービスのベータ版のフィードバックは、非常に好意的でした。
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移行の過渡期
既存の顧客基盤に売り込む際に、社内で SaaS イニシアチブを推進する人たちは、生じる変化をすべて受け入れ
る必要があります。しかし自分たちが受け入れるとすぐに、顧客が受け入れ、組織の他の人たちが受け入れるわ
けではありません。移行の過渡期に重要なのは、SaaS アプリケーションを追加することに徐々に慣れてもらうこと
です。
1 つの方法は、初めは現在のオンプレミスサービスに適合するライセンスモデルを使用することです。おそらくいき
なり使用状況ベースのモデルから開始することはないでしょう。たとえば、年間サブスクリプションとしてサービスを
提供することから開始し、それを保守更新に整合させます。そうすることで、市場にそのサービスを投入するため
に内部組織がプロセスをあまり変更する必要がないようにします。やがて、市場に投入したサービスにより良く適
合する新しい柔軟なライセンスモデルを導入できます。
アートと科学の説明
最初のステップとして、価格設定、パッケージ化、戦略全体の観点からどのように市場に参入するかを考えること
は、非常に重要なことです。柔軟なサブスクリプション、使用状況ベースのモデル、あるいはライセンスシートのプ
ールなどのプリペイドプールかもしれません。また使用量のプールの場合もあります。モバイル分野で人気のある、
追加課金、ロールオーバー課金、ピーク使用状況課金などの、さらに柔軟な選択肢についても検討する必要があ
ります。
すべてを把握することは、入念な下調べをして投資対効果検討書を作成することから開始します。一般に ISV は
オンプレミス永久ライセンス番号から始め、現在の保守更新と保守縮小、永久モデル商品の既存コストといった点
について考えます。次に、サブスクリプションでの更新率がどのくらいかについての仮定を検討します。
商品の売れ筋価格を明確にする際に、顧客にとっての平均的な損益分岐点(SaaS サブスクリプションのコストが
既存の永久モデルのコストより大きくなり始める地点)は、3~4 年辺りです。所有しているソフトウェアの種類や、
売り込み先の顧客タイプは関係なく、業界のベンチマーク標準は 3~4 年です。 Copyright 2012, Nihon SafeNet K.K.
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3~4 年の損益分岐点を考慮しながら、独自の目標に基づいて SaaS サブスクリプション価格を調整します。したが
って、たとえば SaaS サブスクリプションに顧客を移行させたい場合は、損益分岐点を右に押し出します。永久モデ
ルに顧客を維持したい場合は(多くの慎重なベンダーがそれを望みます)、損益分岐点を左に引き寄せます。
これを作り上げるとともに必要となる検討事項は、1 年、3 年、5 年といった選択肢を提供すべきかどうかです。顧
客が 1 年よりも 5 年の選択肢を選んだ場合、価格設定の観点から顧客にメリットがあることは明らかです。
これらは本質的に価格設定とパッケージ化の科学の部分を網羅しています。
その他に検討するすべてのことはアートです。なぜならこれには、独自の目標、アプリケーション、ターゲット市場
に基づく、独自の状況と方向性の要素が含まれるからです。
文化的要因
文化的要因は、本質的に営業が狩猟タイプ/採集タイプかに例えることができます。多くの場合、老舗のオンプレミ
スソフトウェアベンダーが製品ポートフォリオを SaaS で増強するか、SaaS に完全移行しようとする際に関係しま
す。SaaS は会社全体の高成長部分になりつつありますが、だいたいの人はフラストレーションを感じるようになり
ます。社内では SaaS のアイデアに専念していても、営業組織の文化が依然として従来のオンプレミスビジネスを
重視していることに気付くからです。
パッケージ型ソフトウェア企業の永久ライセンスモデルは、狩猟タイプの営業を重視した文化を生みました。このタ
イプは、最大の取引を手に入れて、エンドユーザライセンス契約に署名し、後でそのアカウントで何をすべきか考
え出します。この種の文化は、小規模から初めて徐々に拡大するサブスクリプション契約を販売することをあまり
重要視しません。サブスクリプション契約が大きな取引を狩猟する能力を妨げたら、決して重要視されることはあり
ません。
自社の方向性について考える必要があります。文化的要因は、どれほどの成果を収められるかどうかに影響する
ため、無視はできません。すべてのスプレッドシートを用意して最良の投資対効果検討書を作成することはできて
も、会社全体が SaaS をビジネスの重要部分にすることに真剣に取り組まないかぎり、それがうまく機能することは
ないでしょう。組織内に採取の考え方を浸透させる必要があります。必ず公約を果たすようにすることです。顧客
が大喜びして長期にわたって払い続けたいと感じるようにすることです。CEO 以下全員が、このサブスクリプション
文化を中心にビジネスを方向付けることに取り組む必要があります。また営業組織の文化は、長期にわたってお
金を得ることに方向付けし直さなくてはなりません。
文化的要因は定義することが困難なものですが、極めて重要です。大規模な従来型ソフトウェア企業の多くが、
SaaS の取り組みで期待ほどの成功を収めていないのは、まさにこれが理由です。
最後に
SaaS 顧客基盤に対する価格設定時に直面するシンプルさと柔軟性の課題を、技術によって軽減できる方法は多
数あります。技術の観点から、シンプルさと柔軟性のバランスは重要なものです。SaaS で成功を収めるには、そ
のシンプルさと柔軟性のバランスを効果的に取る次の構成要素が必要です。
SaaS の成功には、サービスアグリーメントの順守を確保する能力、パッケージ化の融通性、高度なライセンシン
グモデルで新たな機会に迅速に対処する俊敏性、ビジネスインテリジェンスを収集して使用状況ベースの課金を
サポートする能力、そして、オンプレミスと SaaS の統合サービスを提供する強力なバックオフィスサポートが必要
です。
SafeNet Sentinel®Cloud Services Sentinel Cloud は、クラウドのためにクラウドで提供される業界初で唯一のソフトウェアライセンシングおよびエン
タイトルメント管理サービスを提供します。Sentinel Cloud Services は、クラウドサービスプロバイダーが提供サー
ビスを迅速かつ容易に構築して管理することを可能にし、サービスアグリーメントの順守を確保し、クラウドサービ
ス契約の提供、権限の管理、使用状況の追跡に関連したすべての運用プロセスを簡素化します。
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スで提供されるアプリケーション、ハードウェアの一部に埋め込まれたアプリケーション、またはクラウドでサービス
として提供されるアプリケーションのソフトウェア収益化を可能にします。Sentinel 製品ポートフォリオには、Sentinel HASP、Sentinel RMS、Sentinel EMS、Sentinel Cloud Services などがあります。SafeNet のソフトウェア収益化ソリュ
ーションの完全なポートフォリオに関する詳細については、www.safenet‐inc.com/sentinel をご覧ください。
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2012 年 5 月