放射線治療の使いどころ

Seminar Report
リンパクト ® デリタブ発売7周年記念セミナーより
Vol.2
放射線治療の使いどころ
∼どんなときに大学に紹介する?∼
藤原亜紀 Aki Fujiwara 日本獣医生命科学大学 獣医学部 臨床獣医学部門 治療学分野Ⅰ 講師
Meiji Seika ファルマ(株)は 2015 年 12 月 13 日,Meiji Seika ファルマ(株)本社講堂(東京都)
にて「リンパクト ® デリタブ発売7周年記念セミナー」を開催した。本セミナーでは,腫瘍症例に
対する治療として「β-グルカンの応用」,
「放射線治療」,
「抗がん剤治療」の3つのトピックスにつ
いて3名の講師を迎え,様々な情報が提供された。今回は第2弾として「放射線治療」について
講師を務めた藤原亜紀氏(日本獣医生命科学大学)の講演内容をダイジェストで紹介する。
用の前提となる。そして,腫瘍によって放射線感受性が異な
はじめに
るため,病理組織学的検査を実施しておく必要がある。ま
今回は①放射線治療の概論と②放射線治療を行う主要な疾
た,正常組織の障害が許容される範囲内の照射で腫瘍を制御
患・治療効果,③放射線治療中・治療後のケアを中心に概説
することが基本であり,動物が複数回の麻酔に耐えられる全
していく。
身状態であることが最も重要である。
放射線治療とは
放射線治療は,人医療と同様に獣医療においても外科療法,
●
放射線治療の利点と欠点(表2)
放射線治療の利点は,局所療法のため全身的な副作用が起
きないことである。また,非侵襲的であり形態や機能を温存
化学療法とあわせた「がん三大治療」のひとつである。放射
できるので,外科切除のように外貌が大きく変わることは基
線照射は,線量を上げればどんな腫瘍組織でも殺滅すること
本的にはない。
ができるが,周囲に存在する正常組織の障害を最小限に抑え
しかし,遠隔転移を認めた場合,転移病変に対しては治療
た上で腫瘍組織を最大限に制御することが放射線治療のポイ
を施すことができないため,局所に限定した施術は欠点とな
ントとなる。
●
適用症例に対する基本的な考え方
表2
利点
放射線治療は適用する症例に対して考慮しなければならな
い項目がいくつかある(表1)。まずは,外科的に切除でき
ない,もしくは完全切除できない腫瘍が対象となる。腫瘍が
小さいほど照射効果は大きいので,外科療法が可能であれば
放射線治療の利点と欠点
・局所療法(全身的な副作用が
起きることはない)
・非侵襲的
・形態や機能を温存できる
欠点
・局所療法
・放射線障害
・限られた治療回数
・設備/施設数が少ない
・複数回の麻酔や鎮静
外科切除後に放射線治療を実施する。次に一部例外もある
が,放射線治療は局所療法のため播種や転移がないことが適
表3
放射線治療の目的と適用条件
根治的照射
表1
放射線治療の適用症例に対する基本的な考え方
①外科的に切除できない・完全切除できない腫瘍が対象
②局所療法であるため,播種・転移がない(一部例外あり)
③腫瘍により異なる放射線感受性
④正常組織の障害が許容される範囲内で腫瘍を制御する
⑤複数回麻酔が可能な全身状態が大前提
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緩和的照射
腫瘍の治癒を目的
QOL(生活の質)の向上を目的
・原発巣の進行がないこと
・播種や転移が存在しないこと
・腫瘍の放射線感受性が比較的
高いこと(中∼高)
・照射周囲に重要な正常組織が
ないこと
・全身状態が比較的良好である
こと
・原 発 巣 が 進 行 / 手 術 不 可 能,
もしくはご家族が望まない場合
・播種や転移があるが原発巣を
制御する場合
・疼痛緩和,出血や漿液漏出の
防止,食欲を維持する場合
・短期の延命を望む場合
サプリメント
表4
一般的な放射線治療のプロトコル
表5
方法
多分割照射
低分割照射
目的
根治
緩和
照射回数(回/週)
3∼5
1
1回線量(Gy /回)
3∼4
6∼10
総線量(Gy)
48∼60
32∼36
脳腫瘍,
下垂体腫瘍,
肥満細胞腫など
鼻腔腫瘍,
口腔腫瘍,
甲状腺癌,
肥満細胞腫など
適用腫瘍
る。また放射線障害は必ず発生するため,放射線治療を行う
本学における放射線治療の流れ
照射方法
低分割照射または多分割照射
プロトコル
・低分割照射
週1回(8Gy×4回または6Gy×6回)
・多分割照射
週3回(4Gy×12 回)
①初回(診察)
・効果,副作用,値段,リスクの説明
・症例にあわせた固定具の作製
・CT 検査(必要に応じ MRI も実施)
・治療計画の作成
・放射線治療1回目照射
・麻酔 60∼90 分
②放射線治療2回目以降
麻酔 10∼15 分
③放射線治療の終了
放射線治療終了後にご家族の希望があれ
ば,治療後2カ月以降に画像検査を行い
経過を追跡
部位は注意して検討する必要がある。そして,複数回にわた
り照射する線量の合計を,臨床研究において安全と報告され
ている線量の範囲内におさめるため,基本的に治療回数は限
られる。さらに,高電圧 X 線装置を用いた放射線治療を実施
放射線障害のうち,急性障害は照射後3カ月以内に必ず発
できる施設は全国的にも少ない。複数回の麻酔・鎮静は高齢
現するが,一過性のものなので基本的には回復する。一方,
動物にはリスクとなり得るため,放射線治療における欠点と
動物における晩発障害の定義はなされていないが,多くは治
して挙げられる。
療後6カ月以降から認められる 。こちらは不可逆的なので,
発生させないもしくはご家族へのインフォームが必要とな
●
る。
放射線治療の方法
放射線治療の方法には,根治的照射と緩和的照射がある。
獣医療におけるそれぞれの適用は表3に示した。根治的照射
は,人医療においては腫瘍の治癒を目的とした治療である
が,獣医療において実際は根治的照射で適用できる症例は多
放射線治療の実際
腫瘍の種類のみで治療法が決まるのではなく,個体ごとの
くはない。緩和的照射となることも多く,QOL(生活の質)
組織型,発生部位,年齢,転移の有無,全身麻酔に耐え得る
の向上を目的とした治療となる。
状態か,そしてご家族の希望を加味して治療計画を決定す
海外においては緩和的照射では短期の延命も望めないとい
われているが ,筆者らの調査では緩和的照射でも短期の延
1
命は望めると考えられた 。
る。これらすべての因子が関連するため,個体ごとに治療効
果,プロトコル,放射線治療による副作用は様々である。
放射線治療を大学に依頼する際は,まず治療依頼前にご家
族に対して放射線治療の概要や手順について情報提供をして
放射線治療プロトコル
頂きたい(表5)。また,症例の状態やご家族が通院可能か
一般的な放射線治療のプロトコルには,多分割照射と低分
どうかも重要である。本学では,治療と並行して必要な点滴
割照射がある(表4)。多分割照射は根治を目的とした照射
等のケアやモニタリング,発作などの急性障害が起きた場合
方法であり,1回線量を比較的少なくして(そのため放射線
の緊急対応は,ホームドクターに依頼することがある。さら
を照射した正常組織の回復が早い)
,照射回数を増やし,高
に,再発や進行などがあればその時点で本学へ相談をしても
い総線量で腫瘍を処置できるため,効果が得られやすい。た
らうなど,ホームドクターと連携して治療にあたっている。
だし,麻酔回数も多くなることがマイナス面である。本学で
再発した場合の再照射は限定的で,放射線は無限には照射で
は脳腫瘍や下垂体腫瘍,若齢における肥満細胞腫などの症例
きない。放射線治療終了後の化学療法は,現在の時点では放
に対して,この照射方法を適用している。症状の緩和を目的
射線治療ほどの効果は期待できない。
●
とした低分割照射では,1回線量が大きく麻酔回数は少ない
ものの,晩発障害を引き起こす可能性が上昇するため,長期
にわたり生存する可能性を有する症例には適用しない。鼻腔
腫瘍,口腔腫瘍,甲状腺癌や比較的高齢での肥満細胞腫など
に対して適用している。
放射線治療を行う主要な疾患と治療効果
放射線治療を目的に本学に来院される症例の主要な疾患と
治療効果について紹介する。
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放射線治療の使いどころ ∼どんなときに大学に紹介する?∼
晩発障害
重篤なものは認めず
急性障害
基本的には対症療法で治癒
眼脂・流涙
72%
白内障
36%
色素沈着
図2
3%
色素沈着
3%
7%
結膜充血
口腔内
20%
脱毛
22%
紅斑・落屑
犬の鼻腔腫瘍
KCS
(乾性角結膜炎)
31%
結膜炎
図1
33%
50%
脱毛
6%
本学における低分割照射の放射線障害
文献1より引用・改変
●
犬の鼻腔腫瘍(図1)
れまで欧米の報告では鼻腔腫瘍には有用性が低いと考えられ
腫瘍の発生率としては高くないが強い局所浸潤性を有し,
ていた 。しかし,本学において低分割照射を実施した症例
多くは診断時に転移を認めない。中∼高齢の長頭種に好発す
2
に認められた晩発障害では白内障が最も多く,重篤なものは
るといわれている 。組織型は上皮系が 2 / 3 を占め,腺癌が
認められていない(図2)1。以上のように,延命の効果もあ
最も多い2。非上皮系の起源不明肉腫や軟骨肉腫も認められる。
り,本学では骨壊死や皮膚壊死といった重篤な晩発障害が認
治療法は,かなり早期に発見できれば外科的な治療で根治
められていないことから,低分割照射は緩和目的の治療とし
が望めるが,多くは症状が進行し切除困難な状態で受診する
てひとつの選択肢となり得るだろうと考えられた。よって,
ため,高電圧X線装置を用いた放射線治療単独が主流となっ
本学では多くの鼻腔腫瘍に対しては低分割照射を用いている。
ている。生存期間(OS)の中央値は 243∼591 日である
○本学における低分割照射の成績
2-8
。
1
●
猫の鼻腔腫瘍
実際に本学で治療した症例の 83%は,臨床徴候の改善を
猫の鼻腔腫瘍は発生頻度は高くないが,発症年齢は組織型
示した。放射線治療後に腫瘍の進行が認められない無増悪生
に比較的依存する。リンパ腫は若齢の症例でも認められる
存期間の中央値は 245 日で,OS の中央値は 512 日であった。
が,その他の組織型は比較的高齢で認められる。本学のデー
本学では,年齢や長頭種であること,また初診時に呼吸困難
タでは,組織型がリンパ腫の症例は雑種に多い傾向にあった
を呈していたことが,負の予後因子として検出されている。
が,その他の組織型は比較的純血種に多く認められた 9。猫
○低分割照射の放射線障害
においても犬と同様に症例の多くは局所浸潤性である 9。
放射線治療の実施後は,放射線障害の有無を確認する。急
2年前からの間欠的な鼻汁,食欲不振による著しい体重減
性障害は基本的には対症療法によってコントロールができる
少を主訴に来院した雑種猫を紹介する(表6)。初診外貌で
が,鼻腔付近の照射では眼球が照射野に含まれるため涙腺細
は鼻梁部の腫脹等は認められず(図3a),間欠的な鼻汁以外
胞等が障害されて一過性に眼脂・流涙が顕著に認められた。
の症状も認められなかったが,口腔内には巨大な腫瘤が存在
ほとんどの症例において点眼薬を使用することで症状は回復
していた(図3b)。
X 線検査により,鼻咽頭の部位に大きな腫瘤が存在してい
する。
一方,低分割照射は晩発障害の可能性が上昇するため,こ
ることが明らかとなった(図3c,d)。なお,猫の鼻腔周囲
は DV 像の方が比較的確認しやすいが(図3c)
,鼻咽頭はラ
表6
症例プロフィール
テラル像の方が病変を検索しやすい。猫は鼻咽頭から発生す
る腫瘍も比較的多く,ラテラル像において正常では気管に合
種:雑種猫
性別:去勢雄
年齢:8歳齢
主訴:
・2年前から間欠的な鼻汁
・食欲不振
・著しい体重減少(5. 6 kg → 3. 6 kg)
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流する前の鼻道と口腔方向の2つの気道は通常は平行でなく
てはならないが,本症例のように「Y」を横にしたような形
状を呈することがある。
MRI 検査では,鼻咽頭に巨大な腫瘤が存在し,摂食困難
の原因と考えられた(図3e)
。また,鼻腔内には鼻汁の貯留
サプリメント
図3
a
b
c
d
a
図4
猫の鼻腔腫瘍
a:初診時外貌
b:口腔内視診の様子
c:X 線検査所見(DV 像)
d:X 線検査所見(ラテラル像)
e:MRI 検査所見
e
b
c
口腔内の経過(図3と同一症例)
a:初診時 b:生検を兼ねた外科切除後 c:化学療法開始 14 日後
が全く認められなかった。
生検の結果,鼻咽頭リンパ腫と診断された。鼻咽頭に発生
する腫瘍の場合,若齢期から持続する鼻汁と食欲不振のみで
ほとんど臨床徴候を示さない場合もある。そのため,食欲不
振のみで来院した場合も口腔内を確認する必要がある。若齢
期からウイルスに関連した鼻炎を繰り返している猫は多く存
在するため,ご家族が鼻炎であろうと判断し画像検査まで望
まないことが多いが,明らかな顔貌変形や口腔内に大きな腫
瘤が存在する場合や,2∼3カ月にわたり臨床徴候の改善が
図5
鼻咽頭に腫瘤が下垂していないか
口腔内チェック(図3とは別症例)
認められない場合は,一度 CT,MRI を用いた画像検査を
行って頂きたい。
本症例の口腔内の経過を図4に示す。初診時は巨大な腫瘤
して約 400 日が経過しており,UW25 プロトコルを終了して
が存在していた(図4a)
。生検を兼ねて口腔内の腫瘤を一部
現在は問題なく過ごしている。猫の場合は診察時に鼻咽頭に
切除し(図4b),リンパ腫と判明したため,化学療法を実施
腫瘤が認められないか(口蓋下垂)等の口腔内視診を必ず実
した。その後,化学療法を開始してから 14 日後の口腔内に
施して頂きたい(図5)。
異常は認められていない(図4c)。その後,化学療法を継続
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放射線治療の使いどころ ∼どんなときに大学に紹介する?∼
表7
プロフィールと治療経過
症例プロフィール
種:チワワ
性別:雌
年齢:10 歳齢
病理組織学的診断:多小葉性骨軟骨肉腫
経過:ホームドクターにて頭蓋骨頭頂部腫瘤を一部切除・再増大を
繰り返し本学へ来院
本学における治療経過
図6
●
第0病日:腫瘤によって頭蓋骨の一部が破壊され,一部は髄膜に達
していた。拡大手術を実施
第 30 病日:カルボプラチン投与開始
7クール投与するも骨髄抑制が強く発現し,骨髄の回復が遅延し継
続を断念した
第 237 病日:再増大により再拡大手術を実施
第 284 病日:リンパクト ® デリタブの給与を開始
第 410 病日:現在2∼3カ月ごとに経過観察し,MR 撮影を実施す
るも再増大は認めず
リンパクト ® デリタブ
骨軟骨異形成症に対する低線量放射線療法
スコティッシュフォールドの骨軟骨異形成症に対しても,
本学では放射線治療を積極的に行っている。
骨軟骨異形成症は,常染色体不完全優性遺伝の形式をとる
3頭の追跡期間は 59∼72 カ月(5年以上)であった。全頭で
と考えられ,品種の外見的特徴である耳折れ形質に関連し,
鎮痛効果が得られたが,うち2頭の症例では X 線画像上で病
四肢末端関節に骨関節症を発症する疾患である。主に成長期
変の進行を認めた。ただし,いずれの症例も治療前よりQOL
に痛みが生じ,慢性的な疼痛と四肢の関節可動域が制限され
が改善し,維持できていた。最も懸念された晩発障害につい
ることで QOL を著しく低下させる。根本的な治療がないた
ては,治療後5∼6年が経過したが重篤なものは認められな
め対症療法のみ適用されているが,若齢期から長期にわたっ
かった。現在さらに 20 頭を対象に放射線治療を実施し,長
て NSAIDs を投与することは現実的ではない 。
期経過を追跡している。今後はさらに症例数を蓄積し,その
人医療においては非腫瘍に対する治療として低線量放射線
効果や副作用について考察する予定である。
療法が用いられている。低線量放射線療法は炎症性疾患や変
性性疾患に対して低線量の放射線を照射する方法で,スポー
ツに関連した関節症で鎮痛効果が認められている。そのメカ
ニズムは完全には解明されていないが,血管新生阻害やサイ
10-13
補助療法としてのリンパクト ® デリタブ
放射線治療中や治療後のケアにおいて,ご家族からは「何
。これ
もしないのは嫌だが,効果があまり期待できないのに副作用
らの報告に基づいて,スコティッシュフォールドに対して放
が強いものは行いたくない」といった意見が多い。そのよう
トカイン放出などによる抗炎症等が考えられている
14
射線照射を行った報告 では 25 カ月後に骨新生が再発したが,
な場合,提案のひとつにサプリメントが挙げられる。サプリ
鎮痛効果も認めたとされた。
メントの一番のメリットは副作用が出にくいことである。β-
本学でも以前から本疾患に対し放射線治療を行い,3頭に
グルカンを主成分としたリンパクト ® デリタブ(図6)は嗜
おいて長期的に予後を観察した結果を 2015 年に発表した 15。
好性が比較的高く,食欲を維持することで QOL を良好に保
図7
a
60
b
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初診時の画像検査所見
(表 7 と同一症例)
a:MR 画像
b:CT 画像
サプリメント
つことがある。
で,個々に治療法を考える必要がある。追加治療については
®
放射線治療は行わず,リンパクト デリタブを使用した多
筆者も一番悩ましいところではあるが,ご家族と十分に相談
小葉性骨軟骨肉腫を有する症例を紹介する(表7)。頭蓋骨
し決めていく。補助療法としてのリンパクト ® デリタブの給
頭頂部に発生した腫瘤をホームドクターにおいて一部切除し
与は,治療のどの段階からでも開始でき,腫瘍罹患個体の負
たものの,再増大を繰り返すため本学を受診した。初診時に
担も少なく QOL 維持の期待もできるため有益であると考え
は腫瘤によって頭蓋骨の一部が破壊され,髄膜に達していた
られる。
(図7)
。
本学では拡大手術を実施したあと,カルボプラチンの投与
を行ったが,7クールの間に骨髄抑制が発現し継続ができな
くなった。第 237 病日に再増大を認め,再度切除を行った。
その後,リンパクト ® デリタブの給与を開始し,現在は状態
が安定し良好な QOL を維持している。2∼3カ月後に MR 撮
参考文献
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ましい。症例よって反応性・プロトコル・副作用が異なるの
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