平成 23(2011) 23(2011)年度解答例 年度解答例 【利用上の注意】 ・本解答は個人的に考える解答であり、正答を保障するものではありません。 ・解き方が分からないなどの理由により解答がない問題もあります。 ・誤植、解答が間違っている旨の指摘、私が解けなかった問題の解答を教えてくださる方 などは随時受け付けています。 ・問題の難易度は個人的な感想です。 【改訂履歴】 ・2012/02/24 – 初版公開 マクロ経済学 問題 1.(C),(E)【中】 (A)時間選好率の上昇は現在消費を増加させ貯蓄を減少させる。 (B)可処分所得の減少は消費、貯蓄を減少させる。 (D)物価が上昇しても貯蓄が増加するかはわからない。 (E)ライフサイクル仮説によれば、将来の雇用不安が深刻になると家計は期待所得が減少し たと認識し、現在の貯蓄を増加させる。 問題 2.(A),(D),(E) 【難】 (B)がよくわかんないです。。。 問題 3.(C),(E) 【易】 (A)投資がより利子弾力的になると、IS 曲線の傾きが緩やかになり金融政策の効果が大きく なる。 (B)通常の IS-LM モデルでは、財政支出を増やすと均衡国民所得が増価し、消費も増加する。 (C)資本移動が(完全に)自由な変動レート制のもとでは、財政政策は為替レートの増価を もたらし所得は増加しない。 (E)限界消費性向が大きくなると、政府支出乗数が上昇し財政政策の効果が大きくなる。 問題 4.(D)?【中】 自分で調べてみましょう!(笑) 問題 5.(C) 【やや易】 (B)貿易・サービス収支が黒字でも所得収支次第では経常収支は赤字になり、純債務国にな る場合もある。 (D)期待インフレ率の上昇はフィリップス曲線自体を上方シフトさせる。 (E)?消費者がライフサイクル仮説にしたがっていても、生存期間が有限であればリカード の等価命題は成り立たない。 問題 6.(D),(E) 【やや難】 (A)内生的景気循環モデルと政策の内生性とは関係ない。 (B)ソロー・モデルでは、資本・労働比率は長期均衡で一定である。 (D)毎期の配当を D とすると、危険資産の価格 p は以下の式で表される。 p = ここで、i は安全資産の名目利子率、βはリスク・プレミアム、g は価格上昇率である。 この式から、リスク・プレミアムβの上昇は危険資産の価格を下落させることがわかる。 問題 7.(D),(E),(A),(B),(C) 【中】 (E)の国内産出額とは、中間投入財も含めたあらゆる財の生産額の合計である。よって、中 間投入財を除いた額である国内総生産よりは必ず大きくなる。 問題 8.?【難】 問題 9. 【易】 (1)Y = 1500 NX=0 を考慮しつつ単純に数値を代入すれば解ける。 (2) IS 曲線の式から乗数を求めると . ∗ . . ∗ . = . = よって、政府支出 G を 9 増やしたとき、e を一定として Y は ∆Y = ∗9 … ① だけ増える。 一方、NX=0 より、 ∆NX = 0.08∆Y − 20∆e = 0 これに①を代入すれば ∆e = が求まる。 ■ 問題 10. 【中】 = (1) + 0.012, # = 0.02, = + 0.0102, # = 0.023 第 t-1 期のインフレ需要曲線の式は、 − − # ∗) … ① = −0.6(# 当初(t-1 期)において経済が潜在 GDP の水準にあったことから、 = … ② これを①式に代入すると、 − # ∗) 0 = 0.6(# = # ∗ = 0.02 … ③ ∴# 一方、第 t 期のインフレ供給曲線の式をインフレ需要曲線の式に代入して整理すると、 = − 0.6{# + 0.25+ − , + - − # ∗} また、供給ショックはないことから、 = − 0.6{# + 0.25+ − , − # ∗} この式に②, ③を代入し、第 t 期では目標インフレ率 # ∗ が 0.04 に引き上げられているこ とから、 = − 0.6{0.02 − 0.04} = + 0.012 また、インフレ供給曲線の式より、 # =# = 0.02 を得る。 次に、第 t+1 期のインフレ需要曲線, インフレ供給曲線の式は次のように表される。 − # − # ∗) = −0.6(# = # + 0.025+ − これらに、先ほど求めた = # ,+, # の値および - = 0, # ∗ = 0.04 を代入すれば、 + 0.0102 = 0.023 が求まる。 ■ (2) = − 0.018, # = 0.05, = − 0.0333, # = 0.0755 まず、(1)と同様にして、 = = # ∗ = 0.02 # が求まる。 これらを第 t 期のインフレ供給曲線に代入すると、 - = 0.03 であることから、 # = 0.02 + - = 0.05 さらに、インフレ需要曲線より、 − = −0.6(0.05 − 0.02) ∴ = ,# − 0.018 についても、(1)と同様に逐次的に代入すれば求まる。 ■ ミクロ経済学 問題 1. 【中】 (1)S = 100(P − 1)(ただし, Sは供給量) ある企業の利潤は、 π = PY − 0.54 − 4 と表される。利潤最大化の条件から、 56 57 =P−Y−1=0 ∴Y=P−1 全ての企業の費用関数は同一であることから、すべての企業の個別供給曲線は等しくなる。 よって、企業は 100 社存在することから、市場全体の供給量 S は、 S = 100Y = 100P − 100 となる。 ■ (2)8∗ = 市場均衡では X = S が成り立つことから、 100 − P = 100P − 100 ∴ 8∗ (3)8∗∗ = ■ ( ) , CS = ( ): ,; = ( 課税後の企業の利潤は、 π = PY − 0.54 − 4 − <4 と表される。利潤最大化の条件から、 56 57 =P−Y−1−t=0 ∴ Y = P − (1 + t) よって、市場の供給関数は、 S = 100{P − (1 + t)} となる。 市場均衡では X = S が成り立つことから、 100 − P=100{P − (1 + t)} ∴ 8∗∗ = ( ) また、このとき、 ) ( X=S= ) であるから、消費者余剰 CS は、 CS = (100 − 8∗∗ )> = ?100 − ( ) @∙ ( ) = ( ): さらに、税収 T は、 ( T = tS = ) となる。 ■ (3)税額 t の上昇は供給曲線を上方シフトさせ、均衡価格の上昇をもたらす。このとき、需 要の価格弾力性が十分大きければ、需要、ひいては生産量が大きく減少し、結果として税 収が減ることとなる。 [補足] (2)で求めた税収 T を税額 t について微分すると、 5C 5D = (99 − 2t) となる。これより、 t≤ ⇔ 5C ≥0 t> ⇔ 5C <0 5D 5D であることがわかる。すなわち、税額が 以下のとき税額の上昇は税収を増加させ、逆は 逆となる。 問題 2. 【やや易】 (1)> = 1⁄8 効用最大化の条件(限界代替率=価格比)より、 KL⁄KMN KL⁄KM: => . =8 ∴ > = 1⁄8 ■ (2)略。 問題 3. 【中】 (1)正 価格変化前後の消費の組み合わせをそれぞれ A = (20,8), B = (40,4) とする。変化前の価格 では、A の場合の支出額は 100, B の場合は 80 で、いずれも選択可能であったにもかかわ らず A を選んだ。変化後の価格では、A の場合の支出額は 80, B の場合は 100 で、いずれ も選択可能であったにもかかわらず B を選んだ。以上から、価格変化の前後で消費者の選 好が変化したと判断できる。 (2)正 売手独占企業の利潤最大化の条件は、限界収入 MR = c 。一方、収入最大化のための条件 は MR = 0 。よって、c(>0) が 0 に近づくにつれ収入は増加する。すなわち、収入は c の 減少関数となる。 問題 4. 【やや易】 (1) (b) B が X, Y いずれの戦略を取った場合でも、A は戦略 W を選んだ方が高い利得を得られる。 すなわち、A の支配戦略は W である。B にはこのような戦略は存在しない。 ■ (2) (d) 右下のセルでは、A, B 両者とも戦略を変更すると利得が下がるため、戦略を変える誘因を 持たない。それ以外のセルでは、どちらかが戦略を変えることで必ずより高い利得を得る ことができる。よって、右下のセルがナッシュ均衡となる。 ■ (3) (b) 右上のセルでは、左上または右下のセルに移動することによって両者ともより高い利得を 得ることができる。右上のセル以外では、他のセルに移動すると少なくとも一方は利得が 下がる。以上から、パレート最適ではないのは右上のセルである。 ■ (4) (a) このようなゲームでは、後手である B の意思決定から考えていくとよい。 B の利得は次のようになる。 ・A が V のとき → X を選ぶと利得 3 ・A が V のとき → Y を選ぶと利得 2 ・A が W のとき → X を選ぶと利得 1 ・A が W のとき → Y を選ぶと利得 4 以上から、B の最適戦略は「A が V のとき X を選び, A が W のとき Y を選ぶ」になる。 A は、このような B の戦略をあらかじめ考慮のうえ意思決定を行う。したがって、A の利 得は次のようになる。 ・自分が V のとき → B は X を選ぶ → 自分の利得 9 ・自分が W のとき → B は Y を選ぶ → 自分の利得 6 これより、B の戦略を考慮したうえでの A の最適戦略は V を選ぶことである。 以上から、A が V を選び B が X を選ぶ戦略が均衡となる。 ■ 問題 5. 【難】 (1)? (2)リスク回避的。確率 0.7 で 20 万円もらえる場合の期待利得は 14 万円であるが、これと 確実に 12 万円もらえるケースが無差別であることから、Z さんは得られる金額を多少犠牲 にしてでもリスクを下げることを好んでいる。つまり、リスク回避的である。 (3)? 問題 6. 【中】 (1)湖:限界生産性関数 Q8 = 500R (2)海: Q8 = 100 〃 N : , 平均生産性関数 S8 = 1000R , 〃 N : S8 = 100 湖については、題意の漁獲高の式を N について微分すれば限界生産性関数が、N で割れば 平均生産性関数が求まる。 海については、題意より明らか。 (2)湖の漁師:100 人 , 海の漁師:100 人 , 漁獲高合計:20,000 湖での 1 人あたり漁獲高は、 T = S8 = 1000R U N : 一方、海での 1 人あたり漁獲高は 100 である。 均衡では湖と海の漁獲高は一致するから、 N 1000R : = 100 ∴ R ∗ = 100 島には 200 人の漁民が住んでいるから、海の漁師の人数は、 200 − 100 = 100 人 また、このとき、漁獲高の合計は、 1000√100 + 100 ∙ 100 = 20,000 となる。 ■ (3)湖:25 人 , 海:175 人 島全体の漁獲高を S とすると、 S = 1000√R + 100(200 − R) これを N について最大化すればよいから、 5W = 500R 5X N : − 100 = 0 ∴ R ∗∗ = 25 すなわち、湖の漁師が 25 人のとき島全体の漁獲高は最大になる。 ■ ちなみに、このときの漁獲高は、 S = 1000√25 + 100(200 − 25) = 22,500 となり、(2)の場合よりも大きい。このように、個々人が共有資源を利用し自らの利益(この 場合は漁獲高)を最大化しようとした結果、資源が枯渇しかえって全体の利益が減少してし まうことを「共有地の悲劇」という。 (4)湖の漁師から 1 人あたり一律 50 の漁獲高を徴収し、それを海の漁師に再配分する 湖の漁師から 1 人あたり t だけ漁獲高を徴収し、それを海の漁師に与えるとすると、湖と 海の 1 人あたり漁獲高はそれぞれ、 T 湖:U − < = 1000R N : −< 海:100 + t となる。均衡ではふたつは一致するから、 N 1000R : − < = 100 + < が成り立つ。この式に最適解 N = 25 を代入すると、 t = 50 が求まる。すなわち、湖の漁師から 1 人あたり 50 だけ漁獲高を徴収し海の漁師に再配分す ることによって、(3)の最適解を達成することができる。 ■ ©waytokokuichi
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