不安定雇用,シングルマザーと 「社会契約」

シンポジウム 労働者の貧困と社会法の役割─労働法と社会保障法の交錯
不安定雇用,
シングルマザーと
「社会契約」
ルーシー・ウィリアムズ*
(訳)常森裕介**
なければならないというものである。その見返
Ⅰ イントロダクション
りとして,彼女たちは「自助」「自立」している
という事実の中から,ある意味での「尊厳」や
本稿で論じるのは福祉法と労働法のつながり
誇りを得るのである。政策決定者が「尊厳」,
「自
とその間にある溝である。後述するように,有
助」,「自立」という一般的価値を社会福祉政策,
意義で先進的な変化を期待するのであれば,福
制度,法規範に落とし込む際,それらがジェン
祉法と労働法の両方の領域が蘇り,二つの領域
ダー的内容を含んでおり,結果的に貧しい女性
がどのように交わるのか構想することが不可欠
を社会的,経済的に従属させる,というのが本
である。今回私が着目するのはシングルマザー
稿の主な主張である1。特に政策策定者は二重の
であり,彼女たちが不安定雇用とどのように関
労働市場という概念を分析に組み込まなかった
わっているかということである。シングルマ
ため,不安定雇用が周辺に追いやられた人々に
ザーを対象とした議論は社会福祉法と労働法の
どのように影響を及ぼしているかということを
双方において数多く存在してきた。私はまずこ
無視することになった。
の問題に対し福祉的側面に着目する,しかし後
まずアメリカの福祉政策の歴史を,賃労働と
に明らかになるように,シングルマザーのニー
結びつく局面について簡単に説明する。次にそ
ズに社会福祉政策が十分に応えられていないこ
の歴史から生じるいくつかの道筋について批判
とは,労働法が不安定雇用をいかに構造化して
的に疑問を投げかけ,社会政策がもたらす性差
いるかということと密接に関わっているのであ
がどのように見えなくなっているかを以下のよ
る。
うに論じる。
賃労働は,保守政権(レーガン,サッチャー)
といわゆる「第三の道」を標榜する政権(クリ
1 法規範によって部分的に形成される貧困の
ントン,ブレア)の両方が主導した新自由主義
原因を曖昧にする。例えば相続の背景となる
的「福祉改革」と結びついた社会契約理論にお
規範は資産上の不平等を生み出し,それは賃
いて中心的問題であり続け,今日賃労働市場は
労働における機会の不平等につながる。
「発展途上」国を中心に地球全体に及んでいる。
2 低賃金労働市場における性差別の状況や貧
社会契約という考え方の中心にある信条は,低
しい女性が上昇するための流動性の欠如を無
所得のシングルマザーは主たる稼ぎ手として賃
視している。
労働に就き家族を支えることで,社会に貢献し
3 多くの貧しい女性労働者を「非労働者」と
* Lucy A. Williams,ノースイースタン大学教授
**早稲田大学法学学術院助手
5
みなす法律上の定義について正しく認識でき
これらのプログラムの目的の一つは,子どもた
ておらず,
(自立対依存として枠付けられた)
ちを施設に入れるよりもシングルマザーが主婦
賃労働と福祉受給という人為的な二分法を強
という「女性の役割」を果たすことができるよ
化し,特に女性についてはまやかしの考え方
う現金給付を行うことにあった。未婚の母や寡
によって低賃金労働における疎外や従属と
婦につきまとう不道徳さというスティグマを回
いった問題を福祉政策の言説から排除してい
避するため,これらのプログラムは(救済する)
る。
「価値のある」
(worthy)白人の未亡人というイ
メージを強調した。初期のプログラムは非常に
アメリカの公共政策が貧困者,特に低所得の
広い裁量を伴うものであり,地方政府が「不道
シングルマザーをどのように取り扱ってきたか
徳な」女性や白人以外の女性を排除することが
については複雑な説明を要するが,それはアメ
許されていた4。
リカの政治的文化の深い部分に内在する貧困の
しかしそのような給付の受給資格を有する
原因に対するある特定の理解を反映している。
「救済に値する」
(deserving)女性に対してでさ
アメリカの社会福祉の伝統は,エリザベス救貧
え,給付金の額は非常に低かったため,彼女た
法にその起源を見出すことができ,地方政府に
ち(と多くの場合彼女たちの子ども)は賃労働
よる運営,家族責任,残余性,誰が(救済する)
に従事することと稼ぎ手たる男性といっしょに
価値のある人間であるかを貧困者でない人々の
なることの一方,もしくはその双方を求めよう
決定により定義するといったことは,アメリカ
としなければならなかった。貧しい女性は例え
の社会福祉政策を形成する中心的要素である。
ば洗濯,縫製,寮の住み込みといった仕事をす
つまり,
アメリカの社会福祉政策は歴史的に,
貧
ることで常に追加的な収入源を探さなければな
困は個々人の失敗と「伝統的」な家族の価値の
らなかった。だが,受給者が賃労働をしたまさ
欠如によって生じるという理論に基づいている
にそのことによって,彼女たちは「良くない」
のである。20世紀初頭の政治的リーダーの中に
母親に分類されたのである。
も,院外救済(救貧院や作業所の外で行われる
つまり,貧しい女性は矛盾する複数の圧力に
支援)は貧困者の自発性や尊厳を損うと主張す
直面しているのである。彼女たちは稼ぐことを
る者が少なからずいた。改良主義運動の中には,
期待されていないが,稼ぐことを求められてい
道徳的価値が十分に身についていないと思われ
る。貞操を期待されているが,相手の男性を見
た移民の貧しい母親たちの行動を管理しようと
つける必要もある。子どもの面倒をみることを
する,もしくは「アメリカ化」しようとするも
期待されているが,賃労働を行うために子ども
2
のもあった 。そして貧しい女性や子どもに対す
を家に置いていくことを強制されている。
る公的給付は,歴史を通じて家族に対する必要
このような考え方や価値判断は,アメリカや
な世話と賃労働の間で起こる緊張関係を反映し
イギリスにおける(今や地球規模で推奨されて
ていた。
いる)新自由主義的「福祉改革」を支えるため
福祉受給者と福祉プログラムの展開は常に低
に形成され,使用されている社会契約理論の現
賃金労働市場と強く結びついてきた。だが諸プ
代版の中心を占めている。社会契約の要素とし
ログラムで掲げられた目標が常に現実を反映し
て尊厳,自助,自立といった価値を採用するこ
ていたわけではない。例えば連邦政府によって
とにより5,このような福祉モデルを擁護する
最初に承認された一人親世帯に対するプログラ
人々は,正規の賃労働に参加することが,貧困
ム(当初は要扶養児童援助〔ADC〕
,後に要扶
の解決策であり,自立への道であり,個人の尊
養児童家庭援助〔AFDC〕
)の前身は20世紀初頭
厳や完全な社会的シチズンシップへの一里塚で
3
ある,もしくはそうなりうるということを前提
に多くの州で成立した「母親年金」法であった 。
6
6
にしている 。問題に対するこのような枠付け
かなければならなかった。
は,正規の賃労働が家族に生計手段を与える制
またアメリカにおける1996年福祉改革法案
度構造を前提にしている。そのような枠付けを
は義務的就労プログラムとアメリカの貧困政策
行うことで,女性の,特に貧しい女性の就労を
における正規賃労働の役割に関わる二つの主要
めぐる複雑さを認識することができなくなり,
な条文を含んでいた。第��������������
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に,州はTANF�����
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Tem�
貧困は人間的失敗の結果であるという考え方を
porary Assistance to Needy Families 貧困世
現代に蘇らせることになる。
帯に対する一時的扶助)を受給しているシング
例えば,1981年以前,要扶養児童家庭援助
ルマザーを,かなり高い比率で,週30時間以上
(AFDC)を受給しているシングルマザーは賃労
定められた就労活動に従事させなければならな
働に参加するよう金銭的インセンティブを与え
い 。事実上あらゆる形式の職業訓練や技能訓
られていた。シングルマザーが家族のために受
練,例えばシングルマザーのキャリア向上に資
給しうる追加的福祉給付の額を減らすために勤
するような活動は,州が義務付ける就労参加を
労所得を算入する際,勤労所得の3分の1を少
充たすための「中核的就労活動」の定義から除
し上回る部分だけは「就労インセンティブ」と
外されている 。特に合衆国保健福祉省が
して算入されなかった。また就労関連の費用や
TANF再授権を行う際の暫定的かつ最新の規
育児費用に関わる支出は,全額賃金額から控除
定によれば,雇用に直接関わる職業技能訓練や
された。残るのは家族の福祉給付を減額するた
雇用に直接関わる教育,中等教育を修了してい
めの「算入所得」とみなされるものだけであっ
ない人々の中等教育への参加が「中核的就労活
た。
動」に含まれていない11。加えて,メンタルヘ
8
9
10
ロナルド・レーガンの下で提出された1981年
ルス治療やリハビリテーションサービスといっ
7
福祉改革法案 では,これらの就労インセンティ
た雇用の障壁に対処する活動は「職業準備支援」
ブは実質的に減らされたり廃止されたりした。
という項目で就労参加に向かう限りにおいての
そのためシングルマザーは4カ月間低賃金労働
み含まれ,
多くの州は年6週間に限定している 。
に従事すると,実際には賃労働へ移行する前に
第2に,1996年福祉改革法案は多くの受給者
得ていた収入よりも少ない額しか受け取ること
に対し,一人の生涯の中で5年以上福祉給付を
ができなくなった。賃労働による所得の算入に
受給することを禁じており,多くの州はこれよ
かかる変化のせいで,貧しい一人親世帯はずっ
りも短い生涯受給期間を設けている13。正規賃
と以前から受給していた追加的福祉給付を失い,
労働はいつでも家族を養うのに十分な額を与え
その結果政府による公的医療給付(メディケイ
うるし,与えるものだという前提がある14。
ド)の受給資格も失った。以下で論じるように,
1996年法案は明確に「社会契約」を組み込ん
12
シングルマザーが得ることのできる職はほとん
でいる。すなわち書面による「個人責任プラン」
どの場合医療給付を伴っておらず,それゆえ賃
(IRP)によって受給者に州と契約を結ばせる権
労働に従事する多くのシングルマザーは,子ど
限を州に与えており,IRPは様々な項目の中で,
もに対する医療保障を受けられないまま放置さ
個々の受給者の義務と州が受給者に対して給付
れていたのである。
を義務づけられるサービスを明らかにしてい
シングルマザーが低賃金労働をやめないよう
る15。1999年時点で,33の州が「雇用可能性プ
にするため,1981年の福祉改革法案は賃労働に
ラン」
(特に雇用に関わる問題に着目したもの)
,
従事していない福祉受給者に対する義務的就労
35の州が「責任契約」
(雇用に関わるもの,関わ
プログラムも導入した。いわゆる「ワークフェ
らないものを含めて多様な義務を含むもの)
,
17
ア」である。これらのプログラムの下で,シン
の州がその両方への同意を受給者に求めてい
グルマザーは福祉給付以外何の還付もなしに働
た16。
7
「福祉改革」の形成を支えるレトリックが
くの国における相続法である。「私有財産」の従
ジェンダー的含意をもつことは明らかであっ
前の法的定義づけに基礎をおくことで(特にア
17
た 。だが「福祉改革」をめぐる議論は表面上
メリカでは,裕福な白人男性だけが財産を所有
尊厳,自助,自立といった中立的な概念に依拠
し得た,もしくは投票権を有していた時代に発
しており,社会福祉プログラムが不安定雇用と
展したのだが),相続法は裕福な個人の経済的利
組み合わさったときには,多様な人々に対して
益に保護を与えている。所有や承継に関わる規
同じ選択であっても大きく異なる結果をもたら
定により,法は裕福な人々が資産を維持管理し,
しうる,ということを認識していなかった。
彼らが選んだ相続人に受け渡すことによって彼
らに特権を与えている。ゆえに財産を最初の段
Ⅱ 背景たる法規範の役割:平等な機会
を脅かす資産格差
階で所有もしくは購入しうる人の相続人は,経
済的に特権を与えられているのと同じ状態なの
である。
既に述べたとおり,社会福祉給付の削減と家
これらのコモンロー原則の影響が(人種差と
族を支える資源としての低賃金労働への依存は,
同様に)ジェンダー差による所得の差に明確に
一般的な「労働市場」に参入することがシング
表れている。例えば,多くの先進国において女
ルマザーが成功のための「平等な機会」を得る
性や有色人種の人々の大半は,資産のような資
特効薬だということを前提にしていた。そのよ
源をもたない。ほとんどの資源はまず白人男性
うな前提は誤っており,また歴史的,文化的背
によって管理される。そして多額の資産をもつ
景を伴う所有に関わる法規範が,どのように分
人々は投資を行ったり,自身や家族のために所
配効果について明らかにしてきたかということ
得を生み出すことが可能となる。その所得は彼
を無視した,法規範への理解に基づいている。
ら自身の賃労働に基づくものではない。裕福な
西欧において支配的な政治的言説は,法文化
人々と彼らの子どもたちは,資源をもたない
により強化され,
貧困は自然に生じるもので,
法
人々にはない選択肢を有している。
制度は貧困の発生に対しいかなる責任も負って
「機会の平等」という主要な法概念は,特に
いない,と説く。家族,不法行為,財産,契約
賃労働力において,
「資産の格差」から生じる不
の自由といった私法上の概念は,法とは独立し
平等や特権,ジェンダー,障害,性的指向,人
て生じる社会的経済的諸関係の必要かつ中立的
種によって従前から差別を受けている人々に生
な枠組みとして現れた。支配的な政治的文化は,
じる不利益を無視している20。資産をもたない
背景たる規範がある集団に特権を与えること,
人々は,正規賃労働においてあたかも対等な立
富や所得の分配に関わることを否定した。
場にあるかのように扱われる。職をめぐる競争
実際には,先進国及び途上国で貧困が根強く
に対しいったん「平等な」機会を与えられると,
残っている主要な原因の一つは,富と資源の非
不平等の顕在化が妨げられてしまう。大衆の支
常に不平等な分配を生じさせ維持している政治
持を受ける文化は,階層を再生産し,「機会の平
的,法的な決定及び制度である。全く自然でも
等」が達成されるようなジェンダー・人種・階
中立でもなく,法的な規範,観念,実践は深刻
級に対して中立的な世界が生まれるのを阻害し
な富の不平等を持続させ,文化的な正当性を与
ている法制度の役割を無視することが多い。し
えることで,貧困の維持に対し中心的な役割を
かし資産面で異なる社会集団が労働市場に何を
果たしている18。法規範はまた,社会関係にお
もたらしうるのかを決めるルールに注意を払わ
ける権限や責任を配分することにより職場や家
ないような雇用機会及び賃金に対する平等な権
庭において社会的役割を形成している19。
利といった概念は,理論上不十分なのである。こ
ここでの我々の議論に関わる一つの例が,多
のような誤りを修正するために,資産を永続的
8
なものにする財産という伝統的なコモンローや
の低賃金労働市場に関する法構造,社会構造に
社会福祉の選択に関わる議論の中で全く考慮さ
ある。多くの場合,福祉受給者は資格がないた
れてこなかった「機会」の不平等を再検討する
めに雇用先を見つけることができない。失業率
ことが求められているのである。
が低い時代でさえ,低賃金労働の労働条件は非
常に不安定であり,そのため多くの低賃金労働
Ⅲ 分断された労働市場
者が失業期間を周期的に繰り返す状況を作り出
している。アメリカ,イギリスその他多くの先
貧しい女性が生活給を得るための雇用に就く
進国では低賃金労働によって,生活可能な賃金
のに十分な人的資源を形成するための資源や資
以下の賃金しか支払われておらず(そのため労
産をもっていないのは,不平等な機会構造がも
働者が自分の家族を養えないことは明らかであ
たらす一つの帰結である。彼女たちは最も低い
り)
,訓練やキャリア向上の機会もほとんどもし
賃金レベルと非常に不安定な雇用に追いやられ,
くは全く与えられていない。彼らは医療保険,病
キャリア向上を促進する訓練や教育を受けるこ
欠,休暇といった家族に必要な最低限の給付し
とが難しい。
か有していない。典型的な低賃金労働者は硬直
既に述べたとおり,アメリカでは社会福祉プ
的な仕事のスケジュールを組んでおり,家族で
ログラムが貧困世帯を支えるのに十分な収入を
ある子どもや高齢者の面倒を見てくれる人,も
与えたことは一度もなかった。そのため大多数
しくはその他利用できる手段をもたない低賃金
のシングルマザーは賃労働と社会給付の受給を
労働者の家族が必要とする世話のために予定を
何らかの形で組み合わせるか,低賃金労働と福
調整することができない(そのために職を失う
祉プログラムの間を行き来していた。1996年福
ことも多い)
。このような仕事は,自己実現,自
祉改革法案の通過直前に行われた研究は福祉と
立,自律,エンパワーメントのための場を与え
賃労働が複雑に絡まり合っていることを明らか
ることはできず,孤立,絶望,賃労働に内在す
にしており,福祉受給者が賃金労働者とは別の,
る貧困,能力発達の阻害を生み出しているので
区別された存在であるという広く知られた前提
ある。
が誤っていることを示している。福祉を受給し
例えば,2000年の合衆国統計によれば22,正
ている女性の多くは,決まった基礎(的給付)
規市場で,フルタイム,通年の賃労働に就いて
の上で低賃金労働への出入りを繰り返してい
いる何百万人もの労働者が公式に決められた貧
21
る 。だが彼女たちがより高収入で安定した稼
困線以下の賃金で生活している。最も低い中位
ぎ手になることができる職やプログラムへの移
所得の25の職業のうち,大部分の19はフルタイ
行によって,福祉から抜け出すことは決してな
ムでもパートタイムでも,女性によって占めら
い。
れている。これらの職業における女性労働者の
福祉受給者が仕事をしたくないという意思を
割合は80 〜 95%であることが多い。
TANFを受
示しているなどということは全くなく,上記の
給している平均的な規模の世帯(シングルマ
研究によれば,多くの福祉受給者は,1996年福
ザーと子ども二人)について,これらの職業の
祉改革法によって厳しい就労要件が義務付けら
うち18の職業でフルタイムかつ通年で働いてい
れる前でも,非常に厳しい個人的な状況にもか
る女性の中位所得は固定的かつ非常に保守的な
かわらず賃金を稼ぐことを望み,そのために努
連邦貧困線以下である。貧困女性の歴史に照ら
力していた。受給者の努力は多くの場合,法規
してみるならば,これらの職業は,メイドや掃
範や公共政策に起因する障壁によって報われる
除婦(112万人)
,育児サービス(119万人),
ウェ
ことはない。たいていの場合,問題は就労のた
イトレス(104万人),レジ打ち(117万人)
,そ
めの努力の欠如ではなく,アメリカや西欧諸国
の他食事の準備や給仕を行う様々な仕事(ファ
9
ストフード,カフェテリア,接客)といったカ
惰とみなされる位置へ引き戻し,賃労働に内在
23
テゴリーに当てはまる 。
する自立を消し去ってしまう。
2003年の調査は特にアメリカの一人親が稼ぎ
典型的な社会福祉の政策や法は,これらの法
手である低所得世帯に着目したものであり,そ
や政策の対象である人々は法から独立してアイ
のような世帯で賃労働に就いている世帯の
デンティティを固定するというフィクションに
78.2%が,四つの典型的な低所得の職業,すな
基づいている。だが福祉関係の法を起草し,運
わち接客,行政の補助及び事務,販売,オペレー
用することは手段としての成果と同時に,象徴
ター,製造業及び非熟練工に集中していた。シ
的な成果をもたらす政治的実践でもある。法的
ングルマザーについてはその割合が81%に上る。
言説や法的実践は意味やアイデンティティを創
産業別に細分化すると,サービス業や販売業に
り出す。社会福祉関係の法的実践は保護に値す
就くシングルファーザーが53.1%であるのに対
る申請者や値しない申請者のアイデンティティ
し,シングルマザーは71%である。1996年に社
を部分的に構築するのである。
会福祉給付が削減されて以降,低賃金労働に就
多くの西欧諸国と同様,アメリカの法的言説
く一人親の割合は60.4%から69%に上がった。
も,失業保険のようなプログラムの下で受給資
一人親が稼ぎ手である全世帯のうち労働組合に
格を決定するために,
「労働者」を正規の賃労働
加入しているのは7.3%にすぎず,女性について
者と福祉受給者という人為的な二分法に基づい
24
いえばその割合はもっと低くなる 。
て定義している。例えば,最低所得要件や雇用
女性を強く敵視する低賃金労働市場を作り出
期間満了を資格要件から外すことによって,失
す性差別や職種の分断に関わる法規範や法体系
業保険の規定は多くのシングルマザーを含む多
は,新自由主義的福祉改革の言説の中で事実上
数の労働者を「被用者」の定義から除外し,除
25
見えなくなっている 。これらの事実を無視す
外された労働者は失業保険の受給資格がないこ
ることによって,新自由主義的政策の策定者や
とにされてしまう26。シングルマザーの多くは
イデオローグが,正規の賃労働による所得は働
福祉から不安定な賃労働へ移行し,職を失って,
くことを希望する全ての人間に対し,世帯に
自分たちには失業保険給付の受給資格がなく,
とって十分な支援を提供するという命題,それ
再び福祉の申請を行う以外にないということに
は希望的観測の産物にすぎないのだが,そうし
気づく。アメリカ50州のうち41州は女性よりも
た厚顔無恥な誤りを助長することを許してしま
男性のほうが失業保険を受給しやすい27。女性
う。事実無根で知的誠実さを欠く「福祉依存と
が稼ぎ手で母親が少なくとも3カ月以上雇用さ
いう命題」がこの神話を覆っているのである。
れていた世帯を調査したところ,福祉に移行し
た世帯は失業保険に移行した世帯の3倍に上っ
Ⅳ アイデンティティの法構造─自立を
定義する─
た。24カ月のうち少なくとも2カ月以上福祉を
受給していた1200人のシングルマザーを対象に
した別の研究では,43%もの人が働いており,労
シングルマザーは正規の賃労働に参加すべき
働時間は平均で半日だった。だが彼女たちのう
であり,低賃金労働は尊厳の一端を与えてくれ
ち後に失業保険の受給資格を得たのは11%にす
るはずだ,
という前提の一方で,
アメリカの「価
ぎない。彼女たちは「失業保険」がわりに福祉
値ある」社会福祉プログラム,例えば社会保険
へ戻るのである。多くの低賃金労働に従事する
制度,特に失業保険プログラムは多くの正規の
母親に対し失業時の移行支援を拒否することで,
低賃金労働者を法律上「非労働者」と定義して
失業保険法は彼女たちを「労働力に結び」つか
いる。貧しい女性に尊厳を与えるどころか,法
ない者とみなす,つまり,働くことを拒否する
構造が尊厳を失わせ,貧しい女性を依存的で怠
ことで自ら貧困状態を生じさせる社会的逸脱者
10
であり,それゆえ社会からの支援に値しない者
家族の生活について他の誰にも頼ることができ
とみなすのである。彼女たちは国家に「依存し
ないため,『最良の労働者』」だと述べる者もい
ている」とみなされる。換言すれば,法的言説
る。
の力によって,労働者であるという人々の自己
メキシコの産業的家内労働を議論する中で,
認識と,非労働者であるという社会からの認識
Beneríaらは家内工業の構造が国内集団に既に
の間に断絶が生じているのである。社会福祉法
ある社会関係や労働におけるジェンダー的区別
は,福祉政策の議論に根本的な影響を与えるア
に基づいており,それらを強化していると述べ
イデンティティやイメージを生み出し,強化し
る。同じくBeneríaらは,不安定でほとんど保障
ている。
のない家内労働が,仲介人(家内労働を配分す
同様に,賃労働と福祉受給の概念的な区別に
る者)や家内労働者の「把握」できない他の生
よって,市場での労働力の売り渡しとの関係か
産工程の両方にどのように依存しているかとい
ら依存という考え方を切り離すという推論的な
うことを議論している。彼らはこう結論づける,
まやかしを提示し,低賃金労働の構造的特徴で
「二次的収入の稼ぎ手という社会及び女性労働
ある雇用主への依存,従属,孤立を見えなくし
者自身の認識が,彼女たちを低賃金労働に組み
ている。法制度は誰が労働者であるか,すなわ
入れる下地になっている」。
ち誰が自立しているかを定義する。そして法的
Karen Hossfeldは30,シリコンバレーにおいて
言説は「労働者」という定義を充足できない者
多くが移民である電子部品部門の女性労働者の
に依存の罠に陥ったとしてスティグマを与える。
労務管理を研究しており,監督者が工場労働に
依存は市場の構造から除かれた概念になってい
対する女性労働者のセンスを女性でない労働者
る。つまり正規の市場構造の外には,自立とい
と同じく肯定的に見ていると述べる。そして監
う概念は存在しないということなのである(た
督者は浮気やデートを「再女性化」戦略として
だし自ら十分な富を所有しているか,男性の稼
利用し,労働条件について異議を述べたり組合
ぎ手がいるために賃労働を求められない場合は
に参加したいという欲求を複雑な形で形骸化し
28
別である) 。
ている。同じく女性労働者は,資本が移民を労
多くの女性にとって低賃金労働を経験するこ
働市場において二次的な地位に格下げすること
とは職業上の地位と家庭状況の両方において依
を内面化しもしくは受容していると述べる。
存を強化することになる,というのが私の主張
Chandra Mohantyは31インドのレース作りを
である。だが「依存」を「福祉に頼ること」と
する人々が,自分たちは「非労働者」であり自
定義し,依存概念から資本と労働の関係を排除
分たちの仕事は「余暇活動」だと定義するイデ
することで,福祉政策に関する近年の言説は低
オロギーをどのように内面化しているのかを説
賃金労働がもつ構造の大部分を見逃している。
明している。彼らは自分たちを労働者というよ
例えばLourdes BeneríaとMartha Roldánは29,
り製品を売る人と見ており,統計上の数字にお
メキシコの産業における女性労働者の増加を論
いても労働者としてあらわれてこない。Mo�
じる中で,企業はステレオタイプな女性の特性
hantyはインドの家内労働者を,Hossfieldが研
を前提としているため,特定の業務に女性労働
究したシリコンバレーの女性移民労働者,家内
者を就ける傾向にあると述べる。その特性とは,
工場における仕事を家庭的役割の延長として行
女性労働者は確実で安定性があり,秩序に従う
なっているイギリスの女性移民労働者と対比さ
ことができ,トラブルが少なく,マニュアル業
せ,「全ての事例で,仕事の類型化を自然なもの
務を注意深く行うことができ,規律正しく我慢
にする際,柔軟性,一時性,不可視性,内部性
強いというものである。経営者の中にはシング
といった考え方が重要なものとなっている」と
ルマザーは「一家の大黒柱としての責任感から
結論づける。
11
これらの研究は反貧困のための課題の一部と
しているという事実,を提示することはなかっ
して低賃金労働市場に対する批判を行うにあ
た。現在構造化されている賃労働市場は,福祉
たって示唆的であり,そこからいくつものテー
における「社会契約」が前提とする機能を充足
マが生まれる。第1に,低賃金労働の構造は多
できていない。社会福祉の枠組みと賃金労働市
くの場合,ジェンダー的従属や家庭内における
場の両方が変わらない限り,何千人ものアメリ
依存といった既存の形式を合法化,強化し,既
カの貧困者と地球上の何百万人という貧困者
存の人種的ヒエラルキーを支持する。
第2に,
低
(社会契約モデルは市場化されている)
は惨めな
賃金労働の構造は職場における女性の「依存」
暮らしをするしかない。早稲田大学が貧困法と
の拡大に寄与し,
またそれを作り上げている。
こ
労働法の研究者を同じ場に呼んだことが,将来
のような依存の形式によって,
実際の仕事や,
女
の発展に向けて非常に重要であるのも,まさに
性労働者の自己構築への期待における,職場経
そのような理由によるのである。
験の脆弱性が常態化している。
だが微妙で多面的な依存についての分析の大
注
部分は「福祉改革」の議論から抜け落ちてきた。
そのような言説の中で,依存は福祉給付を受け
ることと同義であり,自立は労働条件にかかわ
らず賃労働に就くことが前提となっているので
ある。
Ⅴ 結論
アメリカの社会福祉法分野は貧しいシングル
マザーとその子どものニーズに対処することが
できなかった。アメリカ全体でみると,要扶養
児童をもつ成人の女性で連邦貧困線以下で生活
している人々のうち,12%しかTANFを受給し
ておらず,貧しいシングルマザーのTANF受給
率が4%という低さの州もある32。育児支援給付
の削減のせいでシングルマザーは低賃金労働か
33
らも退出せざるをえなくなっている 。近年の
不況の中でシングルマザーの失業率は既婚男性
のほぼ2倍に上る34。
社会福祉法は,家族は男性の稼ぎ手か賃労働
に就くシングルマザーによって支えられること
を前提にし,資産格差による平等な機会の欠如,
シングルマザーに影響を与える不安定雇用の条
件,
(教育や訓練を要件に適う職業活動として認
めない点で)近年の「福祉改革」が無視する人
的資本の欠如,1996年にTANFに設定された期
間制限によって今や福祉給付の受給資格も失っ
た低所得のシングルマザーを失業保険法が排除
12
1 本稿では,白人女性と有色人種の女性の区別
について間接的に言及するものの,着目するの
はジェンダー問題であり,主要な人種的要素を
カバーしているわけではないことを明らかにし
ておく。もちろんアメリカや他の国々において
人種や民族性はジェンダーとともに,福祉政策
の基盤となる社会契約概念の発展において決定
的な要素であった。アメリカの社会扶助と社会
保険政策に内在する重大な人種差別について
は,私が以前書いたものがある。
See, e.g., Lucy A. Williams, “The Ideology of
Division: Behavior Modification Welfare Re�
form Proposals,” 102 Yale L.J. 719 (1992); Lucy
A. Williams, “Race, Rat Bites and Unfit Moth�
ers: How Media Discourse Informs Welfare
Legislation Debate,” 22 Fordham Urb. L. J.
1159 (1995). See also a comparative study in
Lucy A. Williams, “Issues and Challenges in
Addressing Poverty and Legal Rights: A Com�
parative United States/South African Analy�
sis,” (2005) 21 S.A.J.H.R. 436. 2 Linda Gordon, Pitied, But Not Entitled 28,
45-46 (1994). Even widows were often scruti�
nized for their housekeeping, cleanliness, and
moral habits. Winifred Bell, Aid to Dependent
Children 29 (1965). 3 「寡婦年金」法ともいわれる。
4 Gordon, supra note 2, at 27. 全国母親会議は
当初,母親年金に関するロビイングの際,母親
年金を(特定の)
「人種」を有する母親のための
プログラムとして位置づけていた。Id. at 62-63. See also Bell, supra note 2, at 29-31, 34-35. Gor�
generally Noah Zatz, Welfare to What?, 57
Hastings L.J. 1131 (2006).「労働者」と「非労
働者」の区別は非常にイデオロギー的なもので
あり,一般的には法文化が発するメッセージに
基づいており,またそれを発展させる。
15 42 U.S.C. § 608 (b) (2003).
16 State Policy Documentation Project, available at http://www.spdp.org/tanf.htm. For a
fuller discussion of IRPs, see Cheryl M. Miller,
The New Contract: Welfare Reform, Devolution, and Due Process, 61 Md. L.Rev. 246
(2002).
17 「(近年の福祉システムは)受給者を依存の循
環に陥れている。それはアメリカの共同体の基
盤を形成している『仕事』や家族の価値を失わ
せるものである」
。H.R. Rep. 104-651 at 3 (1996),
reprinted in 1996 U.S.C.C.A.N. 2183, 2184(強調
部分は筆者)。
「福祉システムは,
『仕事』
,
家族,
個人責任,
『自助』といった推奨され,
報われる
べき基本的なアメリカ的価値と相容れない」Id.
at 4, 1996 U.S.C.C.A.N. at 2185(強調部分は筆
者)。
「福祉が『仕事』を推奨しないとすれば,
福祉は長期間の『依存』を推奨していることに
なる」Id. at 4, 1996 U.S.C.C.A.N. at 2185(強調
部分は筆者)。
18 Karl Klare, Legal Theory and Democratic
Reconstruction: Reflections on 1989, 25 U.Br.
Col. L. Rev. 69 (1991); Kennedy cite.
19 Fran E. Olsen, The Myth of State Intervention in the Family, 18 U. Mich. J.L. Reform 835
(1985).
20 See generally Melvin L. Oliver and Thomas M. Shapiro, Black Wealth, White Wealth: A
New Perspective on Racial Inequality (1995).
21 ある研究によれば,初めて福祉を受給した女
性の64%が2年以内に受給をやめ,ほぼ半数が
仕事に就いて福祉を離れる。しかし福祉を離れ
た女性のうち結局4分の3が福祉に戻ってく
る,1年以内に戻ってくる女性は45%に上る。
Pavetti, L. D., The Dynamics of Welfare and
Work: Exploring the Process by Which Young
Women Work Their Way Off Welfare, unpub�
lished Ph.D. dissertation, JFK School of Gov�
ernment, Harvard University (1993).別の研究
によれば,福祉受給者の70%が何らかの形で2
年間以上賃労働に従事しており,20%の人々は
福祉と賃労働を組み合わせ,23%の人々は断続
的に仕事をし,
仕事がない期間は福祉を受給し,
don, supra note 2, at 48, n. 41によれば,1931年
時点で母親年金の受給者に占めるアフリカ系ア
メリカ人の割合は3%にすぎなかった。
5 See generally Newt Gingrich, et al., Contract
with America (Ed Gillespie & Bob Schellhas
eds., 1994).「アメリカとの契約」は我々が今選出
した代表者たちと,我々が共通の絆を探す相手
であるアメリカ国民との間の合意であり契約で
あるId. at 6:「我々は福祉受給者が働くことで
生産的な仕事をもつことから生じる誇りや自足
を発達させることができるよう求める」Id. at
65;「福祉受給者はいったん公的扶助に依存する
ようになると,今やおなじみとなった福祉の罠
に陥ってしまう」Id. at 67 (emphasis added).
6 多くの視点から,新自由主義的福祉政策を支
える社会契約のジェンダー的性質について分析
することができるだろう。例えば女性の品行方
正さと不道徳の対立を構成する概念や,女性の
性別や生殖に関わる自立に対する見方,といっ
た視点がある。だがこれらは本稿の検討範囲を
超えている。
7 Omnibus Budget Reconciliation Act (OBRA),
P.L. 97-35, 95 Stat. 357 (1982).
8�������������������������������������������
Personal Responsibility and Work Opportu�
nity Reconciliation Act (PRWORA), amended
by the Deficit Reduction Act of 2005, P.L. 109171.
9 42 U . S . C . § 607 ( c ) (1) (2006) ; 45 C . F . R . §
261.31(a)(1) (2006).
10 42 U.S.C. § 607 (c) & (d) (2006).
11 45 C.F.R. § 261.31(b), (c) (2006).
12 Center on Budget and Policy Priorities,
Center on Law and Social Policy, Implementing the TANF Changes in the Deficit Reduction Act,” at 17, February 2007.
13 42 U.S.C. § 608 (a)(7) (2003); 45 C.F.R. § 264.1
(a)(1) (2004).
14 PRWORAの中でさえ,「就労」(work)とい
う概念は非常に文脈依存的で競合的である。例
えば(有償,無償を問わず)他のTANF受給者
に保育サービスを提供することは共同体のサー
ビスプログラムに参加しうるため「就労活動」
(work activity)であるが,自分の子どもの面
倒を見ることは「就労活動」ではない。もっと
一般的な例では,無償の共同体サービスが「中
核的就労活動」(core work activity)を構成す
る場合は,賃金を伴わなくとも「就労」と定義
される活動に当たらないことにはならない。See
13
7%の人々は限られた時間働き,より賃金のい
い仕事を探し,23%の人々は賃労働を探してい
るが仕事を得られない。この研究では女性が2
年以上の間に仕事に就いている期間は平均1.7
年で,平均して16週を職探しに費やしている。
Spalter-Roth, R., Making Work Pay: The Real
Employment Opportunities of Single Mothers
Participating in the AFDC Program (Washing�
ton DC: Institute for Women’s Policy Re�
search, 1994).
もし「ある特定の時点における」データ,例
えばある任意の日に福祉を受給しかつ賃労働に
就いている割合をみると,両方行っているのは
ごくわずかにすぎないことが明らかになる。福
祉受給者でかつ賃労働に就いている人は約7%
にすぎないことがわかる。Staff of House Com�
mittee on Ways and Means, Background Material and Data on Programs. Within the Jurisdiction of the Committee on Ways and Means,
104th Cong., 2d Sess. (Washington DC: US
Government Printing Office, 1996), 474. だが
このタイプのデータ集計は,
「福祉と労働を行き
来する人々」を含んでいない。
22 本稿執筆時点で公刊されているデータでは,
2010年以降の同じ統計は利用できなかった。
23 これは以下のデータをまとめたものである。
Weinberg, Daniel. Evidence From Census
2000 About Earnings by Detailed Occupation
for Men and Women, Census 2000 Special Re�
ports, CENSR-15 (Washington, DC: U.S. Census
Bureau, Washington, DC, 2004), 9. Census2000
PHC-T-33, Earnings Distribution of U.S. YearRound Full-Time Workers by Occupation:
1999, TABLE 1: Earnings Distribution of All
U.S. Year-Round Full-Time Workers by Occupation: 1999, U.S. CensusBureau, 2000, online�
at: http://www.census.gov/population/cen
2000/phc-t33/tab01.pdf.
Census 2000 PHC-T-33. Earnings Distribu�
tion of U.S. Year-Round Full-Time Workers by
O c c u p a t i o n : 1999, T A B L E3, U . S . C e n s u s
Bureau, 2000, onlineat: http://www.census.
gov/population/cen2000/phc-t33/tab03.pdf.
Earnings by Occupation and Education. TABLE 2. Earnings by Detailed Occupation:
1999 (UnitedStates;BothSexes), onlineat: http://
www.census.gov/hhes/income/earnings/call2
usboth.html.
Earnings by Occupation and Education. TABLE 2. Earnings by Detailed Occupation:
1999 (United States; Females), online at:
http://www.census.gov/hhes/income/earn
ings/call2usfemale.html.
24 “Before & After Welfare Reform: The Work
and Well-Being of Low-Income Single Parent
Families,” Table 2.1, p. 11, 2.5, p. 15, 2.6, p. 16,
2.5, p. 19, Institute for Women’s Policy Re�
search, Washington, D.C., 2003. I am here re�
ferring to the data from August 1999-Febru�
ary 2000.
25 TANFを再授権する際の保健福祉省の暫定
的かつ最新の規定における制限規定は,低賃金
労働に就くシングルマザーがキャリアを上昇さ
せられるように支援する教育や訓練を提供する
州の権限を厳しく制限するものであり,その制
限規定に関する初期の議論に注意する必要があ
る。
26 例えば,高賃金だった失業者の5分の2が失
業保険給付を受給しているのに対し,低賃金
だった失業者は5分の1しか受給していない
(低賃金労働者の60%は女性であることにも注
意する必要がある)
。Lovell and Hill, “Today’s
Women Workers: Shut Out of Yesterday’s Un�
employment Insurance System,” (Institute for
Women’s Policy Research, Washington, D.C.),
May 2001.主要な稼得期間にパートタイムで働
く女性は男性の4倍であり,アメリカの25の州
がパートタイム労働者への失業給付を行なって
いない。
Why Unemployment Insurance Matters to
Working Women and Families, http://www.
nelp.org/ui/initiatives/family/uiwomenfam
121704. c f m , N a t i o n a l E m p l o y m e n t L a w
Project, New York, NY (2004).
家庭状況によりやむをえなく仕事を離れなけ
ればならない者が失業給付を受けることができ
るのは5つの州にすぎず,
そのため失業保険を受
給する女性は男性より32%少ない。Id. 27 National Employment Law Project, note 45.
28 Nancy Fraser & Linda Gordon, “A Genealo�
gy of Dependency: Tracing a Keyword of the
Welfare State,” Signs: Journal of Women in
Culture and Society, Vol. 19, No. 2, 309 (1994)
at 314-319.
29 Lourdes Benería and Martha Roldán, The
Crossroads of Class and Gender 40-74 (1987).
14
30 Karen Hossfeld, “ ‘Their Logic Against
Them’: Contradictions in Sex, Race and Class
in Silicon Valley,” in Women Workers and Glo�
bal Restructuring 149-78 (Kathryn B. Ward,
ed., 1990).
31 Chandra Talpade Mohanty, “Women Work�
ers and Capitalist Scripts: Ideologies of Domi�
nation, Common Interests and the Politgics of
Solidarity,” in Feminist Genealogies, Colonial
Legacies, Democratic Futures 3-29 (M. Jaacqui
Alexander and Chandra Talpade Mohanty,
eds., 1997).
32 Institute for Women’s Policy Research,
Women in Poverty During the Great Recession: Public Benefits Do Not Always Respond
to Rising Need,” at 7, September 2010.
33 Peter S. Goodman, Cuts to Child Care Subsidy Thwart More Job Seekers,” New York
Times, A1, May 24, 2010.
34 Institute for Women’s Policy Research, Unemployment Among Single Mother Families, at
1, September 2009.
15