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日本気象協会
VOL.47
PM2.5の発生源の推定・削減対策にお役立て下さい
JWAのPM2.5フィールド調査および解析のご紹介
これから夏にかけて増える
“霧”
対策にご利用下さい
「ひまわり霧情報」
の精度が向上しました
第1回 日本気象協会メセナ 講演会
「激化する気象現象と災害」
を開催しました
2.5の発生源の推定・削減対策にお役立て下さい
1 PM
JWAのPM2.5フィールド調査および解析のご紹介
PM2.5(微小粒子状物質)とは粒径2.5μm以下の粒子のことをいいます。PM2.5は粒径が小さく、呼吸により気道の
深部まで到達しやすいため、SPM(粒径10μm以下の浮遊粒子状物質)より健康への影響が大きいことが指摘され
ています。このため、
2009年9月にPM2.5環境基準が告示されました。
JWAでは下記の調査および解析に取り組んでおります。
各地域のPM2.5削減計画等をお考えの際は、ぜひご相談下
さい。
フィールド調査の必要性
2006年度の一般大気常時監視局のSPM濃度測定データをもとに推定
したところ、都市大気中のPM2.5濃度は、全国の大半の測定局で環境基準
を超えると予想されました。PM2.5削減対策を行うためには、フィールド
調査を行い、現状のPM2.5濃度およびPM2.5高濃度時に多く寄与している
発生源を把握することが非常に重要となります。
JWAでは、米国で環境基準が制定された1997年頃から、大気汚染物質
としてPM2.5にも着目し、10年以上に渡りフィールド調査に取り組んでき
ました。JWAでは、フィールド調査により、PM2.5をフィルターでサンプリ
ングした後、秤量および成分分析を行い、PM 2.5 の濃度レベル・組成の把
握、
発生寄与の解析に活用します。
フィールド調査の様子
高層気象観測と組み合わせた PM2.5 フィールド調査の具体例
PM2.5高濃度時の特徴を把握するためには、高濃度
になりやすい夏季や初冬季に1週間程度、6∼12時間
間隔で連続的にフィルターサンプリングし、質量濃
度およびPM2.5成分組成を時系列で把握します。
同時
にVOC(揮発性有機化合物)、SO(硫黄酸化物)
、NOx
x
(窒素酸化物)等の二次粒子*前駆物質の濃度測定、
レーウィンゾンデやドップラーソーダによる高層気
象観測を行うことにより、高濃度汚染が発生したと
きの詳細な気象条件の把握、発生源寄与の推定等が
可能となります。
PM2.5成分組成の時系列変化(測定値)の例
*二次粒子とは、大気中のガス状大気汚染物質(VOC、SOx、NOx等)が大気中の化学反応によって粒子化したもの。一方、一次粒子とは、自
動車や工場等での燃料の燃焼によって排出される粒子のことをいいます。
JWA 独自の解析
JWAでは、これまでにSPMや光化学オキシダントによる大気汚
染の対策のために、大気質シミュレーションモデルを活用した調
査・解析を数多く実施してきました。現在、PM2.5についても、研究
機関とも連携しながらシミュレーションモデルの確立と精度向上
に取り組んでいます。
シミュレーションの例
これから夏にかけて増える
“霧 " 対策にご利用下さい
2「ひまわり霧情報」
の精度が向上しました
JWAでは、2008年9月から、気象衛星ひまわりの観測データから霧発生域を推定する「ひまわり霧情報」システム
をスタートしています。2009年度は、日本財団による助成と商船三井フェリー株式会社の全面協力を得て、2009年
5月から8月末まで、定期航路便フェリー「さんふらわあ ふらの」
(商船三井フェリー株式会社)で霧観測を実施し、
東海大学との共同研究により「ひまわり霧情報」との比較検証を行いました。その成果は「ひまわり霧情報」の改良に
反映され、より的確な霧の判別が可能になりました。
精度の検証反映
フェリーによる霧観測で収集したデータをもとに、
「ひまわり霧情報」の精度検証と精度向上のためのアルゴリズ
ムの再検討を行いました。左下の図に比べ、アルゴリズム変更後の右下の図では、東北地方から北海道にかけての霧
をより明確に捉えていることがわかります。
薄い
緯
度
緯
度
濃い
経 度
経 度
(アルゴリズム変更前)
(アルゴリズム変更後)
図-1 「ひまわり霧情報」
2009年6月18日23時
東京湾の濃霧をしっかりキャッチ !
2010年2月25日午前中、東京湾から北海道太平洋沿岸にかけて広い範囲で濃霧が発生し、東京湾では大型船舶の
入港禁止やフェリーの運休、羽田空港での欠航等、
交通機関に大きな影響を与えました。
JWAの「ひまわり霧情報」
の
画像では、この日の濃霧の発生・拡大状況を明瞭に捉えていました。
午前6時(左下図)では、千葉県や関東の東海上に霧が広がっていますが、東京湾にはほとんど霧がかかっていませ
ん。午前9時(右下図)になると、千葉県から東海上の霧がさらに濃くなり、東風により東京湾まで入りこんできたこ
とがわかります。東京湾の水温が低かったこともあり、
昼前まで霧が残りました。
(午前6時)
(午前9時)
図-2 「ひまわり霧情報」2010年2月25日
「ひまわり霧情報」は下記のホームページでご覧いただけます。霧の発生は、陸海空の交通機関や農業分野などに
深刻な影響を与えるものです。JWAは、今後も海難事故の防止、交通機関の安全管理や運用の効率化、農業分野の被
害軽減などに貢献する情報を提供してまいります。
「ひまわり霧情報」
URL : http://micos-sb101.on.arena.ne.jp/fog-info/
ひまわり霧情報は、霧海難防止に寄与することを目的として、
日本財団の助成を受けて実施しました
第 1 回 日本気象協会メセナ 講演会
「激化する気象現象と災害」
を開催しました
JWAは、一般財団法人へ移行した際に認可を受けた公益目的支出計画に従って、従来から実施してきた気象知識や防災思
想の普及等の公益活動をより充実させていきます。特に大規模な講演会やお天気フェア等を「日本気象協会メセナ」と命名
し、
その第1回として講演会「激化する気象現象と災害」を、
3月19日東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催しました。
当日は各界の研究をリードする4人の先生方にご講演いただき、昨今激化する気象災害について、地球温暖化、都市型災害、
災害情報伝達など多角的な視点から最先端の研究を紹介し、防災・減災に向けた活動の今後のあり方を展望しました。
【講演内容】
■
「気候変動と気象災害」
東京大学 生産技術研究所 沖 大幹 教授
地球レベルでの温暖化、渇水、台風多発など、最近の気候変動と気象現象の実態、今後の予想についての紹介。
■
「激化する都市型気象災害と防災に向けた社会基盤整備」
独立行政法人 防災科学技術研究所 水・土砂防災研究部 真木 雅之 部長
各地の局地的集中豪雨や竜巻の頻発など、昨今の日本における気象現象と災害の傾向、観測と予測に向けた国内の活動、
防災に向けた社会基盤整備などについての解説と今後の展望。
■
「住民避難行動を考慮した災害情報の伝達のあり方」
京都大学 防災研究所 水資源環境研究センター 堀 智晴 教授
防災に最も重要な「災害情報」を市民の避難活動に結びつけるため、災害時の住民心理を考慮に入れ開発された避難行動
モデルや地域活動の紹介、および災害に効力を持つ災害情報提供のあり方についての提言。
■
「防災情報提供に関する民間気象事業者への期待」
京都大学 防災研究所 水資源環境研究センター 鈴木 靖 特定教授
国・自治体が災害情報を提供する中で、民間気象事業者が担うべき役割ときめ細やかな情報への期待も含め、今後の防災
情報提供のあるべき姿の提言。
※当日の講演要旨はhttp://www.jwa.or.jp/で公開しています。
JWAは、
これらの先生方をはじめ、各公的機関と協力し、激しい気象現象に関する対策および予測に取り組んでいきます。
講演風景
活発な議論も行われた質疑応答コーナー
http://www.jwa.or.jp/
http://tenki.jp/
満場となった講演会場
一般財団法人
事 業 本 部 〒170−6055 東京都豊島区東池袋3丁目1番1号サンシャイン60
(55階)………………………… 電話
(03)
5958ー8147
FAX
(03)
5958ー8144
北 海 道 支 社 〒064−8555 札幌市中央区北4条西23丁目1番18号 ……………………………………………… 電話
(011)
622ー2230
FAX
(011)
640ー2383
東 北 支 局 〒982−0841 仙台市太白区向山4丁目20番14号 …………………………………………………… 電話
(022)
216ー4181
FAX
(022)
216ー4188
中 部 支 社 〒462−0042 名古屋市北区水草町1丁目21番5号
………………………………………………… 電話
(052)
912ー1153
FAX
(052)
911ー0117
関 西 支 社 〒542−0081 大阪市中央区南船場2丁目3番2号南船場ハートビル
(15階)……………………… 電話
(06)
6266ー8421
FAX
(06)
6266ー8431
九 州 支 社 〒810−0052 福岡市中央区大濠1丁目6番33号
FAX
(092)
724ー0567
…………………………………………………… 電話
(092)
734ー7441
H22.4
交付番号:B(2)
-080024
日本気象協会は、国産材を積極的に使って日本の森林を育てていくことが大切だと考え、林野
庁が推進する「木づかい運動」を応援していきます。
この冊子の制作により国産材が製紙原料
として活用され、
国内の森林による CO₂ 吸収量の拡大に貢献しています。
この印刷物は大豆油インキを使用しております。