http://www.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/uspgei.html 地球環境システム論 井手慎司 4.フロン1とオゾン層破壊――ゆるやかに進行する全 面核戦争――人類がはじめて引き返しに成功した事例 クロロフルオロカーボン(CFC,フロンガス)(フッ素 化合物)の特徴:有機化合物分子中の水素をフッ素で 置換した物質.フッ素と炭素原子との結合は電気陰性 度がもっとも高く,耐熱性や低熱伝導性,揮発性,不 燃性,耐腐食性,電気絶縁性,溶解性などに優れる. 1928 ジェネラルモータース社の技師,トーマス・ミッ ジリー2が電気冷蔵庫の冷媒(アンモニアの代替ガ ス)としてフロンを開発.ミッジリーは,アメリ カ化学会でフロンがいかに無害・無毒であるかを 示すために,胸一杯にこのガスを吸い込み,ロー ソクの炎を吹き消して見せた(1930). 1931 ジェネラルモータース社とデュポン社の合弁会社 がフロン 12 およびフロン 11 を「フレオン」の商 品名で製造開始. 1970 J.E.ラヴロックが電子捕獲型ガスクロマトグラフ 検出器(ECD)で大気中のフロンをはじめて検出. デュポン社が大気中のフロン調査開始. 1974 ミシガン大シセロン博士が,成層圏の塩素原子が 強力なオゾン破壊物質である可能性を指摘3.→カ リフォルニア大ローランド教授およびモリーナ博 士が,フロンガスが成層圏に達して分解され,塩 素原子を放出,この塩素原子がオゾン層を破壊し ているとの仮説4を発表.→(米)環境保護団体が エアゾールスプレー缶5を糾弾→売上 60%減少→ 「塩素とオゾンの関連性に関する仮説は,現段階 では推測の域を出ていない.もしフロンの危険性 が科学的に証明されたならば,その時点でわが社 は生産を中止する」デュポン社の議会答弁. 1977 国連環境計画(UNEP)オゾン問題調整委員会が 発足. 1978 フロンを噴射剤とするエアゾール製品の製造禁止 (米).→世界のフロン製造量は一時 25%減少. しかし,特に電子産業分野での消費量が増加を続 け,80 年代中頃には,75 年のピーク時に匹敵す る製造量に. 1980 デュポン社,レーガン大統領になり代替フロン研 究を中断. 1984 イギリス南極調査団が,南極上空の成層圏でオゾ ンが 40%減少していることを観測. 「フロン」という言葉は 1937 年,日本で初めてこの物質の 合成に成功した大阪金属工業株式会社(現:ダイキン工業株 式会社)の登録商品で完全な和製英語. 2 後のアメリカ化学会会長.ガソリンのオクタン価(アンチノ ックス性の指数)を高めるための四エチル鉛の利用を見いだ したのもミッジリー.→「ローマ帝国鉛滅亡説」 3 Richard S. Stolarski and Ralph J. Cicerone, "Stratospheric Chlorine: A Possible Sink for Ozone," Canadian Journal of Chemistry 52 (1974): 1610(米政府の 依頼により,シャトルの燃料である過塩素酸化物の放出によ る環境への影響について調査した結果) 4 Mario J. Molina and F. Sherwood Rowland, "Stratospheric Sink for Chlorofluoromethanes: Chlorine Atomic Catalysed Destruction of Ozone," Nature 249 (1974): 810 5 フロンの安全性のため従来の壁の厚い缶が薄い缶へと. 1 8 1985 ウィーンでオゾン層保護(ウィーン)条約が採択. ファーマンらが,南極大陸上空のオゾン減少を発 見6.アメリカ航空宇宙局(NASA)がニンバス 7 号宇宙衛星の記録から「オゾンホール」の存在を 確認7. 1987 「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオー ル」議定書調印→特定フロンの世界生産量を 1986 年水準に凍結,93 年までに 20%,98 年までに 30% 生産を削減.(ただし第三世界は不参加:南北問題 8) .アンダーソンらが,オゾンの増減と一酸化塩 素濃度の増減が対称的となる観測結果(決定的証 拠)を発表9.→デュポン社,フロンの製造を全面 停止に向けて漸減することを発表. 米と EU 加盟国は 2000 年までに特定フロンの生 産をすべてうち切ることを決定. 1990 ロンドン協定:特定フロン+メチルクロロフォル ム,四塩化炭素,ハロンを含むすべてのフロン生 産を 2000 年までに段階的に撤廃する.代替フロ ンへの技術的移行を助ける国際基金の設立によっ て第三世界も参加. 1991 NASA が北半球上空のオゾンホールを発表. オゾン層の誕生 紫外領域において,オゾンと DNA は同じスペクトル 帯に強い吸収性をもつ.→バークナー・マーシャル仮 説:28 億年前,光合成が始まった.→大気中酸素濃度 が増加し,現在の大気レベルの 1/100 に達した段階で オゾン層が形成され,紫外線が水中にほとんど到達し なくなった.発酵→呼吸へ.生物の爆発的進化.シル ル紀後期(4 億 2000 万年前)大気中酸素濃度は現在の 1/10 となり,オゾン層による紫外線の遮蔽が完成.生 物が地上に上陸.→地上植物の隆盛→3 億年前に現在の 酸素レベルに. オゾン層の役割 オゾンは酸化力がつよく,大気下層ではたいへん不 安定だが,成層圏10では比較的安定しており,太陽光線 によって酸素分子から絶えず生成される→オゾン層 6 J.C. Farman, B.G. Gardiner, and J.D. Shanklin, "Large Losses of Total Ozone in Antarctica Reveal Seasonal ClO/NO2 Interaction," Nature 315 (1985): 207 7 ただし当初は, あまりに低い測定値のためプログラムが計器 エラーとして値をはねつけており,記録を完全に再生するま でその事実をつかむことはできなかった. 8 インドのガンジー首相 "We want pollution". 9 J.G. Anderson, W.H. Brune, and M.J. Proffitt, "Ozone Destruction by Chlorine Radicals within the Vortex: The Spatial and Temporal Evolution of ClO-O3 Anticorrelation Based on in Situ ER-2 Data," Journal of Geophysical Research 94: 11, 474 10 対流圏より上,中間圏より下にある大気層のこと.成層圏 の高度は緯度と季節によって変わる.平均すると高度約 8~1 8 km の対流圏界面と高度約 50~55 km の成層圏界面の間 にある.成層圏内は水蒸気量が少ない反面,オゾン量が多い. オゾンは太陽からの紫外線を吸収して昇温するので成層圏の 気温は上空ほど高い.成層圏下部の気温は,中・高緯度地方で 約 -40~-60℃,低緯度地方では約 -80℃と最も低いが,上層 にいくにつれて昇温し,成層圏上部では 0℃前後になる.中・ 高緯度地方の成層圏は,等温かゆるやかに気温が下がる高度 約 25~30 km までの下部成層圏と,上層ほど気温の上がる 高度 30 km 以上の上部成層圏とがある.(c) 1998 Hitachi Digital Heibonsha, All rights reserved. http://www.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/uspgei.html 定書」では,削減対象ガスに加えられた.近年 HFC な ど代替フロンの大気中濃度が急上昇している.欧州で は既に,HFC の代わりにプロパンやブタン11を用いた 脱代替フロンの家庭用冷蔵庫「グリーンフリーズ」 ( http://www.nets.or.jp/GREENPEACE/overview/5_ history/gf/history.html)が使用されている.グリーン ピースがドイツのボッシュ社と協力して開発,1992 年 に商品化したもの.現在ではドイツ市場のほぼ 100%, 欧州全体の 40%,世界全体として 10%を占めている. (オゾンを約 10 ppm 含む).UV-C(酸素によって吸 収される領域),UV-B(オゾンによって吸収される領 域),UV-A(比較的害の少ない領域). オゾン層破壊の影響 成層圏中のオゾンが減少→地表に達する紫外線量が 増加.→皮膚ガンや白内障による失明の増加,免疫力 の低下,食糧生産の減少,海洋で魚の減少などの可能 性が懸念される.オゾン層が 1%減ると人間の肌に届く 紫外線量は 2%増加し,白人の場合,皮膚ガンが 3-6%, 白内障が 1%増加するとされる. わが国でも遅ればせながら 2001 年 6 月に「フロン回 収・破壊法」が成立(2002 年 4 月から施行).また 2002 年 1 月に東芝,2 月に松下電器,5 月に日立が相次いで ノンフロン冷蔵庫を市場に投入している. 成層圏でのフロンの分解 反応性の極めて低いフロンは,成層圏で太陽からの 紫外放射光によって「光解離」を受け,塩素原子を放 出する. CFC11312の分子構造 フロンによるオゾンの破壊 平均的な塩素原子は成層圏から消えるまでに約 10 万 個のオゾン分子を破壊する.成層圏から除去される塩 素原子は途中でメタンと反応して塩化水素(HCl)を形 成.この塩化水素は分解されて再び塩素原子を放出す る(新たなオゾン破壊のサイクルの始まり)か,大気 低層に沈下し,酸性雨となって地上に降り注ぐ.また フロンが大気に放出されてからも,フロン分子が分解 されて成層圏に到達するまでにはおよそ 15 年というタ イムラグがある. Cl Cl Cl C C F F F 四エチル鉛の分子構造 C2H5 C2H5 Pb C2H5 C2H5 なぜ南極か 南極では,風が大きな陸塊にさえぎることなくその 上空を旋回することができる.特に冬の間,その風は 「周極性旋風」という風の渦をつくり,南極上空の空 気を閉じこめる働きをする.また,南極上空の冬の成 層圏では気温がマイナス 90℃まで下がり,水蒸気が細 かな氷の結晶となり,この結晶表面が化学反応を促進 する場を提供する.ただし,冬の間にできた塩素原子 がすぐにオゾン層を破壊し始めるわけではない.冬季 に生成された:Cl+O→一酸化塩素(ClO)→ClOOCl 二量体は春を待ち,太陽光線によって分解され大量の 塩素を放出しはじめる.一方,周極性の旋風も徐々に 消散し,他の地域の空気と混ざることによって南極上 空のオゾン濃度もほぼ正常に戻る. 「議定書は,フロン生産者に売上は減る一方だと確信 させることによって,解決策を探し求めようとするエ ネルギーを引き出し,代替物質の研究は経済ベースと して評価できるものになった」モントリオール議定書 米国交渉団代表リチャード・ベネディック(「地球環境 ガバナンス」ヒラリー・フレンチ,家の光協会) 「フロン規制で対流圏中のオゾン層破壊物質減少」10:31a.m. JST June 23, 1998 フロン規制などのおかげで地球に近い大気中(対流圏)の オゾン層破壊物質は減り始めたが,過去の放出分により破壊 されたオゾン層が完全に回復するには来世紀半ばまでかかり そう――世界気象機関と国連環境計画は 22 日, 「1998 年のオ ゾン層の科学評価」を発表した. 発表によると,先進国で 1995 年にフロンの生産を全廃する など規制の効果が出て,対流圏中のオゾン破壊物質の総量は 94 年をピークに減り始めている.ただ,土壌殺菌剤である臭 化メチルの規制が遅れていることから,対流圏でも臭素は増 え続けている. しかし,オゾン層破壊は極地方を中心に依然として続いて いる.南極のオゾンホールは衰えず,9 月から 10 月にかけオ ゾン層が 50%以上減少する状況が続いている.北極圏でも冬 から春にかけ過去 9 年間中 6 年間,オゾン層は 60 年代に比べ て 25-30%少なかった. オゾン層の完全回復は 50 年後の 21 世紀の半ばになるだろ う,としている. http://edcgeo.edu.toyama-u.ac.jp/Geohome/Off/ENV/En5/ From end-of-pipe technologies to cleaner production technologies かつての IBM 野洲工場では CFC113 の使用を 1992 年に中止している.当時,日本におけるフロン生産量 のうち CFC113 は 50%を占め,多くは電子部品の洗浄 溶剤として使用されていた.IBM 野洲工場でも IC チ ップのハンダ滓を洗い落とすために使用していたが, 温水による洗浄に切り替え,さらにハンダ滓の出来に くい工程へと改修することによって脱フロン化に成功 している. 代替フロンから脱代替フロンへ フロンにかわって開発されたのが代替フロン類.例 えば,ハイドロフルオロカーボン HFC134a など.HFC はオゾン層を破壊することはないが,温室効果が二酸 化炭素の 3000 倍以上と極めて高い.そのため「京都議 2 個から 6 個のシガレットライターの中の分量と同じ. フロン記号の読み方:百の桁は(炭素数-1) ,十の桁は(水 素数+1) ,一の桁は(フッ素数)を表す. 11 12 9 http://www.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/uspgei.html 「南極のオゾンホール,過去最大に」9:43p.m. JST October 1, 1998 南極のオゾンホールが過去最大になったと, 気象庁が 1 日, 発表した.最大面積は南極大陸の約 2 倍に達している.フロ ンガスの放出で下部成層圏の塩素ガスが高濃度になり,オゾ ンが破壊されやすい気象条件が整っていることが原因だ.オ ゾンホールが縮小に向かう時期はまだ見通せないという. 気象庁オゾン層情報センターによると,オゾンホールの面 積は 9 月 19 日と同 21 日に 2724 万平方キロを記録,オゾン 破壊量は同 21 日に 8908 万トンとなり,いずれも過去最大. 観測地点の地表から上空までのオゾン全量は,オゾンホール 内の最低値の更新が続いていた. オゾンホールは,有害な紫外線をくい止めるオゾン層の破 壊が地球規模で進むことを示す目安となる.7 月の終わりごろ から出現し始め,9 月末から 10 月上旬に最盛期を迎える.消 滅の時期が最近は遅くなり 12 月にずれ込んでいる.南極では 過去 6 年間,最大規模の出現が続いている. 南極の春に現れるオゾンホールが,99 年は 12 月下旬(27 日)まで(80 年代はほとんど 11 月中)持続し,消滅時期が史 上最も遅かったことが 1 月 20 日,気象庁のまとめでわかった. オゾン層の破壊状況は,地上から大気最上端までのオゾンを すべて地上に集めたときの厚さで表され,それが 220 ミリア トムセンチ(厚さ 2.2 m に相当)を下回るのがオゾンホール. 「南極大陸のオゾンホール縮小,原因は高気温」AP 通信 2002 年 9 月 30 日 1:25pmPDT ワシントン発――米海洋気 象局(NOAA)および米航空宇宙局(NASA)は 9 月 30 日(米国時 間),南極大陸上空のオゾンホールが,今年は過去数年に比べ てかなり小さくなったうえ,2 つに分裂していると報告した. オゾンホールは「穴」と呼ばれてはいるが,実際にはオゾ ン層が通常よりも薄い部分のことだ.9 月に測定されたオゾン ホールの大きさは,約 1550 万平方キロメートルだった.これ に対して過去 6 年間の 9 月の測定値は約 2330 万平方キロメー トルだったという. 地上でのオゾンは有害物質とみなされるが,上空の成層圏 にあるオゾン層は,太陽が発する有害な紫外線をさえぎるこ とから,生物にとって不可欠な存在だ.専門家たちは,オゾ ン層が薄くなれば,皮膚ガンの発生率が高くなるおそれがあ ると警告している.オゾン層が薄くなる原因とされているの はエアゾールなどの化学物質で,このような成分の使用を禁 止する協定を結ぶことが,オゾン層を徐々に回復させるのに 有効だと考えられている. メリーランド州グリーンベルトの NASA ゴダード宇宙飛行 センターでオゾン研究を率いるポール・ニューマン氏による と,オゾン層が今年小さくなったのは,南極上空の極渦―― 南極上空の成層圏に発生する強い環状の風――周辺の温度が 通常よりも高かったことが原因だという. NOAA 気象予報センターの気象学者,クレイグ・ロング氏 は,今年はこの風によって,南半球上空の成層圏が例年にな く乱されたため,オゾンホールが 2 つの穴に分裂したと話し た. 南極大陸上空のオゾンホールは,2001 年には最大時で約 2640 万平方キロメートルに達した.これは米国,カナダ,メ キシコを合わせた北米大陸全体を超える大きさだ.2000 年に は一時的ではあるが 3000 万平方キロメートルに近づいた.オ ゾンホールが今年と同じぐらい小さくなったのは 1988 年で, このときも気温が高かったことが原因だった. 「オゾンホールの原因は塩素系と臭素系の化学物質だが,温 度もオゾン減少の大きな要因となっている」とニューマン氏 は説明した. 南極上空の温度は,8 月と 9 月に最も低くなる.温度が低い と雲が薄くなり,雲の粒子の表面で起こる化学反応の結果, 塩素ガスと臭素ガスによるオゾン層の破壊が加速する.一般 に 10 月初旬から温度が上がりはじめると,オゾン層はまた再 形成に向かう. 2 週間ほど前に発表されたオーストラリアでの研究では,大 10 気中の塩素系化学物質のレベルは下がりつつあり,オゾン層 の穴は 50 年以内になくなると見られると報告された.これは オーストラリア政府が資金を提供しているオーストラリア連 邦科学産業研究機構(CSIRO)が報告したもの.CSIRO のポー ル・フレーザー氏によると,オゾン層自体の回復はまだ始ま っていないが,おそらく 5 年以内にはオゾンホールが縮小し はじめるという. 上空のオゾンは,ドブソンユニット(DU)という単位[地上の 気圧(摂氏 0 度・1 気圧)に換算してオゾン層の厚みを測る単位. 1DU=0.01 ミリメートル]で測定する.人工衛星からの測定や, 南極基地から風船を付けて飛ばしたオゾン測定器で測定した オゾン全量[太陽を光源とし地表から成層圏までの空間を単位 面積を持つ柱と想定し,その中に含まれるオゾン量]が, 220DU に満たない部分がオゾンホールだ. 通常のオゾンレベルは,熱帯地方では年間を通じて 250〜 300DU の間にある.温帯地方では,季節の変化によってかな り変動するが,高いところで 475DU,低いところでも 300DU はある. 地球環境研究センターニュース,Vol.14, No.8, 2003 南極のオゾンホールは 2003 年に過去二番目の大きさを記 録 し た . そ れ に も 関 わ ら ず , 同 年 NASA は "NASA Observations Confirm Expected Ozone Layer Recovery" (http://www.nasa.gov/home/hqnews/2003/jul/HQ_03253_O zone_Recovery.html)というタイトルのプレス発表を行って いる.しかしその内容は,オゾン全量の数%の上部成層圏オゾ ンの減少速度が小さくなったことが確認できたということに すぎない. EIC ネット国内ニュース オゾン層,2020 年ごろから回復傾 向に 国環研の数値モデルによる予測結果(2006.05.19) 国立環境研究所は 2006 年 5 月 19 日,同研究所と東京大学 気候システム研究センターが共同開発した数値モデル「成層 圏化学気候モデル(CCSR/NIES CCM)」を使ったオゾンホー ル回復予測で,「2020 年ごろにオゾンホールの回復傾向が認 められるようになり,21 世紀半ば頃にはオゾンホールは解消 される」という結果を得たと発表した. EIC ネット国内ニュース「フロン回収・破壊法」改正案が第 164 回国会に提出へ(2006.03.06) 「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に 関する法律(フロン回収・破壊法) 」改正案が,平成 18 年 3 月 7 日の閣議で閣議決定され,第 164 回国会に提出される見 込みとなった. 改正案は,業務用冷凍空調機器からのフロン類回収率が全 廃棄機器に含まれるフロン類推計量の約 3 割程度と低いこと や,フロン類回収率の向上が「京都議定書目標達成計画」に もとづく温暖化防止策としても位置づけられたことを踏まえ たもので,(1)機器の廃棄時にフロン類引渡しを書面で補足 し,管理する制度の導入,(2)都道府県知事への廃棄者に対 する指導権限の付与--などフロン類回収体制の強化に関す る規定を追加するとともに,(3)新たに機器の修理・整備時 にもフロン類の回収を義務づけることを明確化している. なお改正案が第 164 回国会で成立した場合,19 年 10 月 1 日から施行される予定. 【環境省】 http://www.ses.usp.ac.jp/ses/kyouin/shakei/ide/uspgei.html 表 オゾンを破壊する主要な化学物質の用途・生産量・大気中の滞留時間 化合物の名 称 *CFC-11 *CFC-12 化学式 CFCl3 CF2Cl2 オゾン層破 壊係数(ODP) 1.0 0.9-1.0 0.8-0.9 0.7-1.0 *CFC-115 CCl3CF3 CClF2CCl F2 CClF2CF3 ハロン 1301 ハロン 1211 HCFC-22 CBrF3 CClBrF2 CHClF2 10.0-13.2 2.2-3.0 0.05 メチルクロロフォルム 四塩化炭素 *特定フロン CH3CCl3 CCl4 0.15 1.2 *CFC-113 *CFC-114 0.4-0.6 用 途 冷蔵・エアゾール・発泡 冷蔵・エアゾール・発泡・殺 菌・食品の冷凍・熱探知・警 報装置・化粧品・加圧噴射器 溶剤・化粧品 冷蔵 冷蔵・トッピングのホイップ クリームの安定剤 消火 消火 冷蔵・エアゾール・発泡・消 火 溶剤 溶剤 11 1985 年度の 大気中での 世界生産量(トン) 滞留時間(年) 298,000 65-75 438,000 100-140 138,500 100-134 300 500 2,600 2,600 81,200 110 15 16-20 499,500 71,200 5.5-10 50-69
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