20日から試験除染 来春にも復旧時期判明 福島民友新聞 2015年8月19日

JR常磐線、20日から試験除染
来春にも復旧時期判明 福島民友新聞 2015年8月19日(水) 11時35分
東日本大
震災と東京電力福島第1原発事故の影響で不通となっているJR常磐線のうち空間放射線量が高い富岡―浪江間(20.8キ
ロ)について、JR東日本は20日から復旧に向けて試験的な除染に着手する。18日に都内で開かれた常磐線復旧促進協議
会の会合でJRが明らかにした。同区間は現在、不通区間のうち唯一再開の見通しが示されていないが、浜田昌良復興副
大臣は「来春ごろまでの(除染の)分析を踏まえ復旧時期を明らかにしたい」と述べ、早ければ試験除染を終える来年3月に
全線復旧の時期が判明する見通しとなった。同区間は一部が帰還困難区域を通り、空間線量が毎時30マイクロシーベルト
の場所があるなど比較的線量が高い。このため政府は、同区間の復旧時期は「除染や利用者の安全確保策の完了後」とし
て明示していない。試験除染は、帰還困難区域の夜ノ森―双葉間(10.7キロ)のうち比較的線量が高い大熊町夫沢地区な
ど計6カ所を選定し、JRの関連会社に作業を委託して実施する。
仮設の70代女性が自殺か
双葉から避難、1人暮らし 福島民友新聞 2015年8月19日(水) 11時15分東京電力福島
第1原発事故に伴い双葉町から避難し、いわき市にある同町南台応急仮設住宅で1人暮らしをしていた70代女性が、同仮
設住宅周辺で死亡していたことが18日、いわき南署などへの取材で分かった。現場の状況などから、女性は自殺したとみら
れる。同署によると、新聞配達員が9日早朝、女性を見つけ、同署に通報した。仮設住宅の住民によると、女性は数年前に
夫を亡くして以降、1人暮らしをしていた。同じ仮設住宅の住民と一緒に買い物に出掛けるなど交流はあったが、「死にた
い」などと漏らすこともあった。遺書はなかったという。
<福島原発事故>最前線に「サソリ」やヘビ型、ゲンゴロウ型 毎日新聞 2015年8月19日(水) 10時30分東京電力福島
第1原発の廃炉作業に向けた内部調査に「動物型ロボット」が相次いで投入されている。人が生存できないほどの強い放射
線にも耐えられるように作られ、廃炉作業の「助っ人」としての活躍が期待される。廃炉の最前線で働くロボットの現状と課題
は?【斎藤有香】
カメラが付いた後部がサソリの尾のようにゆっくりせり上がった。上の障害物をカメラで確認すると、今度
は尾を下げてわずか20センチの隙間(すきま)をくぐり抜けた。東芝と国際廃炉研究開発機構(IRID)が6月末に初公開し
た「サソリ型ロボット」(長さ54センチ、幅・高さ9センチ)だ。今年度に2号機の格納容器内へ投入されるが、直径10センチ
の穴を通る必要がある。ロボットはその際は棒状で、中では「尾」を35センチ持ち上げ、広範囲を撮影できる。約500メート
ル離れた免震重要棟から遠隔操作され、転んでも尾を使って体勢を立て直せる。まるで生きているかのようだ。1~3号機
の格納容器内では核燃料が溶け落ちたが、高い放射線量のため人が近付けない「未知の領域」。JCO臨界事故(1999
年)では、6~20シーベルトの放射線を浴びた作業員2人が死亡したが、2号機の格納容器内は毎時70シーベルト程度と
きわめて高い。「サソリ」は積算1000シーベルトまで耐えられ、毎時100シーベルトなら10時間作業できる。溶けた燃料の
場所は現在も不明だが、サソリの投入で位置関係の解明につながる可能性がある。東電幹部は「有効なデータを得るため
にはロボットの存在は不可欠」と話す。福島原発用に開発されたロボットは計約30種類で、「サソリ」のほか、4月に1号機に
投入されたヘビ型もある。汚染水の中を泳ぐゲンゴロウ型や、4本足で階段を上り下りできる犬型も登場した。「動物を意識
したことはないが、福島原発のように何があるか分からない現場では、自然の動物の形が最も合理的かも」。IRID幹部は話
す。もちろん万能ではない。最大の敵はやはり放射線だ。内蔵カメラや「頭脳」に当たる電子部品は不可欠だが、最も放射
線の影響を受けやすい。電子部品の中にある半導体が放射線の影響で壊れ、正常に動かなくなるからだ。「サソリ」の場合
は、電子部品を金属の一種のタングステンでカバーしているが、放射線の影響を完全に防げるわけではない。過去に投入
されたロボットの中には壊れて回収不能になったものもある。ハード面とともに、ソフト面の充実も課題だ。千葉工業大は2号
機の1~5階を初めて踏破することに成功したロボット「クインス」を開発したが、操作担当者を毎週大学に招き、現場の注文
を念入りに聞き取ったことが役立った。例えば「バックさせにくい」との意見があれば、すぐに操作を簡略化して現場が使い
やすいよう改善した。千葉工大未来ロボット技術研究センターの古田貴之所長(47)は「本体技術と同様に現場の運用が
重要」と話す。将来は「老朽原発」の廃炉が相次ぐ時代が来る。2001年に廃炉作業が始まった日本原子力発電東海原発
(茨城県東海村)では、部品解体作業に遠隔操作ロボットが導入されているが、ロボットが主役になる日は来るのか。本田技
術研究所のスタッフで二足歩行ロボット「ASIMO」の開発に携わり、現在IRID理事も務める及川清志氏(59)は「ロボットが
自分で判断して損傷場所を修理するなど、現場で判断できる高度な技術が必要だ」と話す。そのためにはセンサーなどの
電子部品をさらに多く搭載する必要があり、「放射線との闘い」は切っても切れない。結局、人間が起こした事故の後始末を
つけるのは人間の知恵しかない--。これが専門家の共通認識のようだ。
国と東電が25日にも回答
浄化地下水の海洋放出計画 福島民報 2015年8月19日(水) 10時11分
東京電力福島
第一原発で建屋周辺の井戸「サブドレン」からくみ上げた水を浄化して海洋に放出する計画で、国と東電は早ければ25日
にも福島県漁連が受け入れ条件として提出していた要望書に回答を示す。同日の県漁連の組合長会議で回答するとみら
れる。県漁連は計画の受け入れ条件として、計画実施による水質管理の徹底、第三者監視下での排水実施、多核種除去
設備(ALPS)処理水の陸上保管などを要望書に盛り込み、11日に国と東電に提出した。県漁連は回答を受け、正式に計
画受け入れを決める。
福島原発の汚染雨水が外洋流出 福島民報 2015年8月19日(水) 10時10分
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東京電力は18日、福島第一原発構内
のK排水路と呼ばれる排水路から放射性物質を含む雨水が外洋に流出したと発表した。港湾内に通じる別の排水路に移
送するポンプが全8台中、6台しか稼働せず、あふれたのが原因とみられる。東電は今後、ポンプの稼働態勢を再検討する。
17日午後9時24分から4分間、K排水路の雨水が、せきを越えて海に流れるのを監視カメラが捉えた。直前の10分間で3
ミリの降雨があった。流出量や放射性物質の濃度は不明。ポンプはせき内の水位で稼働する台数が変わる。稼働しなかっ
た2台のポンプはせき内の水位が65センチ以上で起動するように設定されていたが、急激にせき内の水位が上昇したため、
水面に揺らぎが生じてセンサーが感知できなかったという。これまでもポンプが全台稼働せずに雨水が海に流出していた
可能性があるという。東電はセンサーの位置などを見直す。K排水路の出口を港湾内に移す工事を進め、今年度内に完了
させる。福島県は18日、福島第一原発構内の排水路から雨水が外洋へ流出した問題を受け、排水先の港湾内への付け
替え工事など早急な対策を講じるように東電に申し入れた。
川内原発1号機、25日フル出力
桜島噴火警戒も「影響はない」 産経新聞
2015年8月19日(水) 7時55分九州電力川内(せんだい)原発1号機(鹿
児島県薩摩川内市、出力89万キロワット)は18日、再稼働から1週間を迎え
た。トラブルもなく順調に出力を上げており、25日に原子炉の熱をフル出力
する「定格熱出力一定運転」に達する予定。原発から約50キロの桜島(鹿児
島市)は大規模噴火の警戒が続いているが、審査ですでに評価済みで、九
電は「影響はない」としている。11日に再稼働した川内1号機は、同日深夜に核分裂が安定的に持続する「臨界」に達した
後、14日に発電と送電を開始。慎重に出力を上げており、出力は16日に50%(約45万キロワット)に到達した。19日に75
%とした後、95%、100%と出力を段階的に上げながら点検や調整を繰り返し、定格熱出力一定運転へ移行。9月上旬に
は全ての検査を終える。再稼働後の15日には、桜島の噴火警戒レベルが3(入山規制)から4(避難準備)に引き上げられ、
地元住民に不安を与えている。ただ、原子力規制委員会による新規制基準適合性審査では、過去1万年単位の桜島の噴
火を評価済み。約1万3000年前の噴火は、今回の桜島で想定される噴火よりはるかに大規模で、原発周辺に火山灰が最
大で厚さ12.5センチ積もった。九電はすでに、敷地内に15センチの火山灰が降ったとしても、設備や機器に影響がない
対策を施している。より重要視されるのは、気象庁の想定をはるかに上回るカルデラ大噴火で、この場合、九州の南半分が
壊滅する。約3万年前にカルデラ大噴火があった際、原発周辺まで火砕流が到達した形跡がある。このため規制委は「巨
大噴火には何らかの短期的前駆現象が発生することが予想」されるため、「モニタリングによる検知の限界も考慮して、空振
りも覚悟のうえ処置を講ずる」との方針をまとめている。(原子力取材班)
政府と電力会社が隠したい、電力供給の「余裕」…原発は不要?忌み嫌ってきた太陽光の貢献 Business Journal 2015
年8月19日(水) 6時4分
電力各社は決して話したがらないが、東日本大震災以来、突発的な大停電のリスクに怯え
ながら、廃止したはずの老朽火力発電所を戦線復帰させて酷使、なんとか電力需要のピークを乗り切った昨年までとは打
って変わって、今夏の電力需給には大きな余裕が生まれている。もし、その理由が九州電力の川内原子力発電所の再稼
働にあると思われるなら、それは大きな間違いだ。というのは、電力需給が安定した最大の理由は、「天候に大きく左右され
て不安定な電源」と電力各社が買い取りを忌み嫌ってきた太陽光発電が、各地で本格稼働し始めたことにあるからである。
だが、我々消費者は、これで酷暑の中での節電から解放されると手放しに喜ぶわけにはいかない。「再生可能エネルギー
発電促進賦課金」の増額によって電気料金が一段と高騰するなど、家計圧迫要因が山積みだからだ。●需給状況に異変
東日本大震災から5度目の夏となった今夏、すっかり注目されなくなってしまったが、電力各社が毎日ホームページで公
開している「でんき予報」で丹念に電気の需給状況をみていくと、ちょっとした異変が起きている。突然、電力会社の供給力
に大きな余裕が生まれただけでなく、不思議なことに、気温が上がりエアコンをフル稼働する14時頃とされていた夏の需要
のピークが、18時や19時といった夕暮れ間近の時間帯にシフトしている日が目立つのだ。例えば、関東を本拠地とする東
京電力の8月前半(1日~15日)のでんき予報をみると、昨年と同様に、大規模停電を誘発しかねない「非常に厳しい(使用
率97%以上)」やそれに次ぐ「厳しい(95%以上)」に達した日は1回もない。さらに、昨年は4回あった「やや厳しい(90%以
上95%未満)」も1回(8月6日)だけだ。電力需要がピークを迎えた時間帯も9日、13日、15日が「19時から20時」、14日が「18
時から19時」と陽が落ちる遅い時間帯になっている。多少の差はあれ、こうした傾向は、全国の電力会社に共通している。
原子力発電への依存度が最も高かったことから需給がひっ迫するとしていた関西電力の場合、15日間すべて90%未満で、
「厳しい」や「やや厳しい」は1回もない。そして、電力使用のピークは、2日、9日、13日、14日、15日が「19時から20時」とや
はり夕方にシフトしている。8月14日に発送電を再開した川内原発の再稼働まで、電力需給のひっ迫が懸念されていた九
州電力も、実は東京電力や関西電力と似たり寄ったりだ。電力使用率は15日間すべて90%未満。使用のピーク時間帯は2
日、9日、13日、14日、15日の5日間で「19時から20時」となっている。 こうした傾向は、東日本大震災の後遺症に悩まされ
た昨年や一昨年とは様変わりだ。昨年や一昨年は、各社がすでに廃止処分にしていた石炭、石油などの火力発電所を戦
線に復帰させて、老朽発電所ならではのトラブルに神経を尖らせながら安定供給に躍起になっていた。それでも発電所のト
ラブルが続発し、あわや大停電という状況が何度かあったのだ。さらに、問題なのは、政府の「電力需給に関する検討会
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合」が5月に「2015年度夏季の電力需給対策」を決定した際に想定していたのと正反対というべき状況になったことだろう。と
いうのは、政府は、「関西電力及び九州電力は単独で予備率3%以上を確保できず(それぞれ0.8%、▲3.3%)、他社から
の受電により、何とか予備率3%以上を確保」と想定していたからだ。政府の問題は、その想定に基づいて、「(各方面に)
『数値目標を伴わない』節電の協力を要請する」などと、イソップ物語のオオカミ少年並みにいい加減な警鐘を鳴らしたこと
だけではない。各電力会社への「発電所の保守・保全の強化」の要請を行ったほか、あろうことか「自家発電設備の活用を
図るため、中西日本において設備の増強等を行う事業者に対して補助を行う」として、予算バラマキの根拠に挙げていたの
である。●政府・経産省の過少見積もり
それにしても、そもそも政府・経済産業省はなぜ、こんな杜撰な見積もりをしたの
だろうか。同省が所管している「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」の施行状況をみていれば、あり得ないよ
うな読み違いだ。FITの対象になる太陽光発電や風力発電の出力は今年4月に2011万キロワットとこの1年間で倍増してい
たのである。しかも、このうちの95%を太陽光発電が占めている。ところが、「2015年度夏季の電力需給対策」の決定を伝え
る5月22日付の日本経済新聞電子版の記事は、政府が太陽光発電の容量を「今夏は原子力発電所5基分に相当する510
万キロワットを見込んでおり、太陽光で需要の3%を賄う」と報じていた。政府・経済産業省の過少見積もりは明らかなのであ
る。ここからは推測だが、経済産業省は、長年、「太陽光発電は陽の出ている昼間しか稼働しない。天候にも左右されるの
で、安定しない電源だ」と主張してきた電力会社の言い分を鵜呑みにして、その稼働率を低く見積もり、需要の3%しか賄え
ないと想定したとみられる。だが、年間の供給計画などと違い、夏の需給対策を作成する場合、太陽光発電の稼働率を低く
見積もるのは間違いのもとだ。なぜならば、灼熱の太陽が照り付けて温度が上昇する夏の日の午後は、電力需要がピーク
になると同時に、太陽光発電の供給力もピークになるからだ。前述の東京電力、関西電力、九州電力のでんき予報を見て
も、そのことは明らか。今夏は、自社で発電できる電力を温存し、新規参入事業者が太陽光で発電した電力を買い取って
供給したから、以前のように使用率が上昇せず、需給のひっ迫を回避できたのである。そして、太陽光発電の稼働率が下
がる夕方になって自社設備の稼働率を上げたから、供給のピーク時間帯が夕方にシフトする現象が起きたのだ。電力会社
の言い分を鵜呑みにして、過酷な節電を企業や国民に強いたうえ、血税を補助金でばら撒こうとしたのだとすれば、政府・
経済産業省にはきっちりと責任をとってもらうべきだろう。見積もりがいい加減なのは、新国立競技場計画だけではない。●
高騰する電気料金
ただし、我々消費者は、節電の心配がなくなったからといって、電気を無駄遣いするのは危険である。
全国民が使用電力に応じて負担義務を負っているFITの再生可能エネルギー発電促進賦課金が、1年前は300キロワット
使用で月額225円だったものが、今年度470円に跳ね上がっており、月々の電気料金を押し上げているのだ。しかも、稼働
が本格化したとはいえ、FIT電源として認定を受けた電源の運転開始は今年4月段階でまだ23%と全体の4分の1以下に過
ぎない。今後、残りが稼働すれば、単純計算で、1世帯当たり年間2万2560円程度の再生エネルギー発電促進賦課金が必
要になり、これが各家庭の電気代に上乗せされる。そんななかで、無駄遣いしていれば、電気代が家計を圧迫することを肝
に銘じておく必要がある。今夏、FITの賦課金などでべらぼうな発電コストを負担させられるとはいえ、太陽光発電で思わぬ
ピーク電源を確保でき、ようやく電気が足りないという最悪の事態のリスクが解消に近づいた。こうなれば、新たな、そして最
大の課題は、電力コストの引き下げだ。昭和30年代から政府や電力会社が低コストと宣伝し続けてきた原発は、福島第一
原発事故の損害賠償や安全対策、使用済み燃料の中間貯蔵・最終処分などのコストを勘案すれば、それほど低コストか疑
問が残る。再稼働して採算のとれる原発は意外なほど少ないだろう。だとすれば、現状で最もコストの低い石炭火力発電へ
のリプレースを加速しつつ、地球規模の課題である温暖化ガスの排出削減を両立することこそ急務のはずだ。政府は無責
任としか言いようのないいい加減な見積もりをやめて、真摯に取り組むべきだろう。 (文=町田徹/経済ジャーナリスト)
京都府、安定ヨウ素剤を事前配布
原発5キロ圏近接地域で 京都新聞 2015年8月18日(火) 22時47分
京都府は
18日、関西電力高浜原発(福井県高浜町)から5キロ圏の予防防護措置準備区域(PAZ)に近い舞鶴市の4地区で、26日
から順次、安定ヨウ素剤を住民に事前配布する、と発表した。府内のPAZ圏外での事前配布は初めて。大浦半島北部の
成生、大山、野原、田井の各地区。避難路がPAZに近接、市の地域防災計画で原発の重大事故時に即時避難するPAZ
に準じた地域になっている。対象は計196世帯546人(8月1日現在)で、うち10人の3歳未満の乳幼児には事故後に調製
液剤を配布する。その他の原発30キロ圏の緊急時防護措置準備区域(UPZ)の住民への事故後の配布方法については、
国が具体的な手法を示していないため、未定。舞鶴市ではPAZ圏内の松尾、杉山の両地区に住民登録している32世帯6
7人を対象に昨年12月から事前配布、うち59人が受け取った。
JR東、常磐線の不通区間で除染試験 時事通信 2015年8月18日(火) 21時28分
JR東日本は18日、東日本大震災
後に不通となっている常磐線の区間のうち、東京電力福島第1原発に近い富岡―浪江間で、除染やレール復旧などを試
験的に実施する「除染試験施工」を行うと発表した。国土交通省や復興庁、福島県の関係者などが出席し、都内で開かれ
た常磐線復旧を協議するチームの初回会合に計画を示した。
<福島第1原発>汚染雨水が流出
一部センサー作動せず 毎日新聞 2015年8月18日(火) 20時42分東京電力は1
8日、福島第1原発の排水路から放射性物質を含む雨水が外洋に流出したと発表した。せき止めた水を別の排水路に移す
ポンプの一部のセンサーが作動しなかった。東電によると17日午後9時24分から4分間、排水路の水があふれて海に流出
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するのを監視カメラで確認。流出量は不明。排水路の水には、セシウムが1リットル当たり340ベクレル、ストロンチウムなど
ベータ線を出す放射性物質が同420ベクレル含まれ、いずれも東電が同原発の地下水を海に流す際の基準値を超えてい
た。ポンプ8台のうち、高さ65センチ以上の水位で動くよう設定された2台のポンプのセンサーが、急激に降った雨で水面
が揺らいだため反応せず、高さ70センチのせきから水があふれた。東電はセンサーの高さなど稼働条件を見直す。同日午
後9時10分から10分間の降雨量は3ミリ。【岡田英】
ポンプ、フル稼働せず=汚染雨水の外洋流出―福島第1 時事通信 2015年8月18日(火) 19時41分
東京電力福島
第1原発の排水路から汚染された雨水がせきを越え外洋に流出した問題で、東電は18日、くみ上げ用ポンプがフル稼働し
なかったことが原因と発表した。水位に応じて順に稼働するポンプ8台のうち6台しか動いておらず、東電はポンプが起動す
る条件を見直す方針。東電によると、排水路の出口付近にある仮設のせきは高さ約70センチ。作動しなかったポンプ2台は
65センチ以上の水位で起動するよう設定されていたが、水面の揺らぎによってセンサーが感知できなかったという。
脱原発に必要な抑止力とは ニューズウィーク日本版 2015年8月18日(火) 17時4分2013年9月に関西電力大飯原子
力発電所が定期点検で停止して以来、日本は再び稼働原発ゼロの状態にあった。今月、鹿児島の九州電力川内原発が1
3年7月施行の新規制基準を満たして初の再稼働を行う予定だ。このまま日本政府が主張するように、原子力を日本の電源
構成(エネルギーミックス)の20~22%(経済産業省「2030年時点で望ましい電源構成」案)まで復活するのを認めてもいい
のだろうか。原発は「夢の先進技術」ということになってきたが、基本はウランという奇妙な鉱石が自分で熱くなるのを利用し
て湯を沸かし、蒸気でタービンを回して発電するだけの、原子ならぬ原始的な原理に基づく。原子力は安価というが、今は
天然ガスの価格が低水準にある。最新の環境技術を活用してCO2排出を抑えれば石炭でさらに安価に発電できる。現在
は規制緩和の議論はあるものの、国立・国定公園では地熱発電の開発は制限されている。火山国の日本にとって「地下の
自然ボイラー」である地熱こそ、大きな潜在力を持つ。同じ火山国のニュージーランドでは、地熱発電が発電設備容量全体
の約5%を占めている。休耕田に太陽光発電パネルを敷き詰めれば、発電と農村の経済振興策が一度にできる。 自己目
的化する原発再開
一方、廃棄コストなどを勘案すると、原発は実は割高なエネルギー源だ。廃炉にすれば、原発の立
地する自治体への補助金等が減って(完全に撤去するまで数十年。その間補助金はあまり減らないのだが)、地方の経済・
政治構造が揺らぐ。しかし、原発が海岸に立地していることを利用して、石炭・天然ガス発電所、あるいは海上輸送を活用し
た工場に衣替えしていけば、この面での悪影響は限定できる。それなのに政府は今、「2030年時点で望ましい電源構成」
なるものを決定し、原発を再開しようとしている。原発再開が自己目的化しているように見えるし、新国立競技場建設と同様、
手続きを踏んで決めたように見せながら、責任の在りかは巧妙に隠されている。日本は、国王に権限が集中する西欧型絶
対主義を経ずに近代国家に移行した。国民に直接課税し、その膨大な国富で軍隊や原発という強大な装置を備える近代
国家という化け物を、日本は強力なリーダーなしに「なあなあで」運営している。これでは「想定外」の事態に敏速に対応で
きず、決定に対して責任を取る者もいない。衆議の中で合意をつくり上げていくのが大変だから、途中で問題を指摘しても
取り上げない。その結果、日本の原発は、隕石落下はまああり得ないにしても、テロやミサイル攻撃、地盤崩落といった事態
には脆弱なままとなっている。国土の狭い日本では、集団大量避難を強いかねない、しかもいざというときには責任の在り
かが不透明な、原発のような大型装置は置かないに越したことはない。原発は、原爆と切っても切れない関係にある。原発
を持っているだけで、核武装能力ありと思われ、核保有国も注意を持って接する。日本の周囲ではロシアだけでなく、中国、
北朝鮮が核兵器を保有し、韓国も保有への野心をのぞかせる。この環境で日本が原発を全廃するには、サウジアラビアが
パキスタンと合意しているといわれるような有事の原爆「融通」の約束か、原爆に代わる抑止力を整備しないといけない。ミサ
イルを撃破できるだけでなく、日本に核テロを仕掛けようとする国に対しては、同等の被害を与える報復能力も備えなけれ
ばいけない。他方、核の研究・利用は人類にとって絶対必要なので、量子コンピューター開発、常温核融合技術の開発な
どで専門家を維持していけばいい。コンセンサス社会にありがちの「この辺りがせいぜい」という大人びた諦めではなく、各
省庁の縄張り、規制の網の目を創造的に組み替えて、目標を実現する工程を提言する、チャレンジ精神を持とうではない
か。
汚染雨水、せき越え流出=降雨の影響、一部外洋へ―福島第1 時事通信 2015年8月18日(火) 11時59分
東京電
力は18日、福島第1原発の外洋へ直接通じる排水路から、構内の放射性物質に汚染された雨水が流出したと発表した。こ
の排水路の水は港湾内に流れる別の排水路へポンプで移されていたが、一部がくみ上げのために設置されたせきを越え
て外洋に流出したという。汚染した雨水の流出は17日午後9時24分から4分間、監視カメラの映像で確認された。直前の10
分間で3ミリの雨が降っていた。東電は「雨の降り方によって処理できない状況が発生する」と説明、ポンプの不具合の可能
性も含めて詳しい原因を調べている。
<原発事故>南相馬・原町130人、東電を提訴へ 河北新報 2015年8月18日(火) 10時50分
東京電力福島第1原
発事故で、一部が避難指示区域に指定された福島県南相馬市原町区の住民ら約130人が東電に慰謝料を求め、近く福島
地裁いわき支部に提訴することが17日、分かった。原告側によると、原発事故で避難を強いられ、地域コミュニティーが失
われるなどの精神的苦痛を受けたとして、避難期間に応じて月35万円の慰謝料を請求する。現在も避難を続けている住民
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は、2011年3月から提訴時までを対象とする。このほか、福島第1原発20キロ圏内は古里を喪失したことに伴い1人2000万円、
30キロ圏内は古里が変容したとして1人1000万円の慰謝料をそれぞれ支払うよう求める。これまで避難区域の住民189世帯
586人が地裁いわき支部に提訴した避難者訴訟は、財物賠償の算定が難航しているため、迅速な解決を目指し、今回は請
求を慰謝料に絞った。原告代理人の広田次男弁護士は「4年5カ月以上たっても被災者の救済が進まず、住民の怒りは収
まっていない」と話した。東電は「提訴されれば、裁判の場で真摯(しんし)に対応したい」とコメントした。同市原町区は福島
第1原発20キロ圏内の南部などが避難指示区域となった。同区域では今月31日から避難指示解除に向けた3カ月間の準
備宿泊が始まる。
新型カメラ来年度投入
58分
福島第一原発の廃炉作業遠隔ロボ画像を立体・俯瞰化 福島民報 2015年8月18日(火) 9時
東京電力は福島第一原発の廃炉作業の加速化に向け平成28年度から、原子炉格納容器内の調査に撮影画像を
立体化・俯瞰(ふかん)化するカメラを搭載した新型遠隔操作ロボットを投入する。国際廃炉研究開発機構(IRID)が東京、
筑波、神戸各大と連携して実用化にめどをつけた。近く実証実験に入る。格納容器内の調査や建屋内の除染の円滑化・
加速化に向けて遠隔操作ロボットのカメラ機能と操作性の向上が不可欠として、東京大は上方から見下ろすような俯瞰画
像の分野を担当。筑波大は周辺情報を立体的に画像化する技術を担っている。神戸大は除染作業などに使うロボットの
「腕」となる多関節アームの仕組みづくりに取り組んでいる。いずれの技術も汎用(はんよう)性が高く、タイプの異なるロボッ
トに活用できるのが特長だ。格納容器内の調査や、がれきなどが散乱した建屋内の除染が前進すると期待されている。早
ければ今月中にも県外の研究施設で実証試験に着手する。今年度内には各大学の研究成果を組み合わせたカメラなどを
完成させ、28年度早々にロボットに据え付け、調査を開始する。東電はこれまでに格納容器内の調査に2台の遠隔操作ロ
ボットを投入した。しかし、いずれのロボットも進行方向の限られた範囲しか撮影できず、操作性の向上が課題だった。今年
4月に福島第一原発1号機で行われた調査では、床面の段差にロボットが挟まり、操作不能に陥った。周囲の状況を十分
に確認できなかったことが一因とみられている。
廃炉研究の拠点施設
富岡町が県に誘致要望 福島民報 2015年8月18日(火) 9時58分
福島・国際研究産業都市
(イノベーション・コースト)構想の拠点施設整備をめぐり、富岡町の宮本皓一町長は17日、日本原子力研究開発機構の廃
炉国際共同研究センター(茨城県東海村)の付属研究施設「国際共同研究棟」を同町に設置するよう内堀雅雄知事に要望
した。宮本町長が県庁を訪れ、「富岡町は双葉郡の中枢を担ってきた。研究棟を誘致できれば町のにぎわいを取り戻し、双
葉郡の復興に寄与できる」と強調した。内堀知事は「県も広域自治体として今後どうしていくか検討し、国と協議を進める」と
答えた。政府は、平成28年度中には、東京電力福島第一原発の近くに研究棟を整備する方針。研究棟に国内外から研究
者を集め、廃炉に関わる人材育成にも活用する。
<避難解除>家屋の裏は別世界 河北新報 2015年8月18日(火) 9時55分
「この現状で帰れと言うのか?」。東京電
力福島第1原発事故の被災地の避難指示を2017年3月に解除する-との政府方針に、全村避難中の福島県飯舘村から疑
問の声が上がっている。地元の要望に沿わない除染と下がらぬ放射線量、集落消滅の危機にある共同体の再生、撤去時
期未定のまま農地を占める仮々置き場。問題山積の中で帰村を迫られる住民の問いを、同村比曽地区から伝える。(編集
委員・寺島英弥)
◎飯舘村比曽から問う(上)下がらぬ線量<行政区が検証>「比曽行政区
放射線測定中」。こんな紙
を貼ったバイクが、雑草が伸びた牧草地の道を戻ってきた。荷台の箱には放射線測定器。遠くに見える民家まで往復し、
家の周りを徒歩で一巡し、線量を測った。飯舘村比曽の前区長、菅野啓一さん(60)がバイクを降り、相棒の岩瀬広さん(4
0)に測定器を渡した。3年前から地元の住民活動を支援する、つくば市の放射線専門家だ。測定経路のデータはその場で
パソコンに入力され、画面に浮かぶ地区の地図上に載った。7月17日午後3時半。「これで比曽の約90軒の測定が全部終
わった」と、菅野さんが一息ついた。測定は5月下旬から延べ5日間にわたった。昨年春から環境省が行った地区内の家屋
除染の効果を、行政区が独自に検証する活動だった。<「傾向は明白」>比曽は飯舘村南部、村唯一の帰還困難区域で
ある長泥に隣接する。村内に15地区ある居住制限区域の一つだが「ここは高線量地区なんだ」と菅野さん。村の定点測定
(宅地)の空間線量は、原発事故後の2011年4月の8.45マイクロシーベルト毎時から、ことし4月に2.54マイクロシーベルト
に減った。が、政府の避難指示解除要件の年間20ミリシーベルト(毎時単純換算で2.28マイクロシーベルト)をなお超える。
菅野さんはこの日の測定後、岩瀬さんと自宅に戻って、初めてそろった地区全体の数値をパソコンで見渡した。「傾向は一
目瞭然だな」。家屋除染を終えた大半の家で、玄関側の線量は1マイクロシーベルト前後に下がったが、居久根(屋敷林)
や山林に面した裏手を見ると、3~4マイクロシーベルト強の数値が並ぶ。同じ家でも別世界の様相だ。<実情に対応を>
「原発事故から4年たった今も、木立に付いた放射性物質の影響が強い」と岩瀬さんは話す。環境省の除染では、家の居久
根や裏山について林床の落ち葉など堆積物を除去するのみで、はぎ取りを行っていない。防風林を研究し、比曽で居久根
を調査する辻修帯広畜産大教授は「落ち葉が林床で分解すると、放射性物質が葉から離れ、雨水で腐葉土層の下まで浸
透する。表面の堆積物除去だけでは足りない」と分析した。比曽行政区は昨春、役員や元区長らの除染協議会を設け「高
線量地区の実情に応じ、はぎ取りを」と環境省福島再生事務所に要望を重ねる。「比曽は農家が大半。家にこもっては生き
られない。居久根も生活圏なんだ」と、除染協議会メンバーの菅野さんは言う。12年9月、自宅の居久根の除染実験を自ら
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行った。農閑期の土木工事で重機を操った腕で、林床を深さ十数センチはぎ取り、高さ約10メートルまで枝を切り、線量を9
マイクロシーベルトから2マイクロシーベルトまで下げた。「俺たちが確かめたやり方で、再除染をしてほしい。17年3月の期
限と住民の安全、どちらが大事なのか」[メモ]政府の避難指示解除要件の一つは、空間被ばく線量が年間積算で20ミリシ
ーベルト以下になるのが確実なこと。福島第1原発事故後に採った暫定基準。長期的に「年間1ミリシーベルト(毎時0.23マ
イクロシーベルト)以下を目指す」とする。チェルノブイリ原発事故の5年後にできたチェルノブイリ法は、年間5ミリシーベルト
を移住義務の一線とする。
<原発事故>汚染の栃木県北
賠償に不満今も 河北新報 2015年8月18日(火) 9時55分
福島第1原発事故が放
出した放射性物質は東日本を広く覆った。福島県中通りに接する栃木県北では「同じ程度の汚染があった」と福島県並み
の健康調査や賠償を求める声が今も根強い。6月には那須町と那須塩原、大田原両市の住民7128人が東京電力に対し、
裁判外紛争解決手続き(ADR)を申し立てた。県境や距離では割り切れない原子力災害の現実を、那須町民の胸中に探っ
た。(中島剛)<有志が無料検診>市民団体代表で同町在住の田代真人さん(72)は、栃木県北の子どもが甲状腺検診の
対象でない現状を憂い、町内の有志らと3月、無料検診の自主実施に踏み切った。「福島の子は生涯無料で検査を受けら
れるのに、栃木の子は無視されている」と憤る。第1原発からの距離は約90キロで仙台市とほぼ同じ。しかし毎時の空間放
射線量は栃木県北3市町の中でも高く、白河市や郡山市の値に相当する。町測定で現在、高い地点が0.4マイクロシーベ
ルト台と仙台市の10倍程度ある。宇都宮大の調査では、3市町の保護者の8割強が被ばくの子どもへの影響に不安を抱く。
6月に行った2回目の検診では100人の定員が数日で埋まった。課題は検診費用の確保。1回当たり約10万円かかる。「い
つまでできるか。国の責任で学校の集団検診に組み込んでほしい」と田代さんは願う。ADRには那須町から1621人、人口
の6.1%が参加する。参加率は3市町で最も高い。東電へは(1)福島市や郡山市など福島県内の自主的避難等対象区域
内と同等の慰謝料(2)謝罪(3)健康調査、除染のための基金設立-の3点を求める。町民代表を務めた竹原亜生さん(71)
は「事故当時は情報や知識がなく子どもを雨にぬれさせたと悔やむ親も多い。放射能汚染に県境は関係ないのに、除染も
簡素。同じ国民で対応が違うのはおかしい」と訴える。<風評被害に懸念>時間の経過とともに原発事故の風化は進む。
風評被害を懸念する雰囲気も濃い。「放射能が話題に出なくなってきたのは確か。観光の町なので声を上げづらい側面が
ある」と話す。高久勝町長(59)は事故後いち早く、内部被ばくを調べるホールボディーカウンター(WBC)の導入や校庭・園
庭の表土除去など町独自の対策に動いた。「風評被害を助長するという町民の批判もかなりあった」と振り返る。福島側と同
等の「国の手厚い復興支援」が受けられない不満は依然として強いとしながらも、「ほとんどの町民に不安はもうない。観光
客も大勢来ている」との見方を示す高久町長。ADRについては個人の訴訟として静観する。
<川内原発>25日に「フル出力運転」 毎日新聞 2015年8月17日(月) 19時27分
九州電力は17日、川内原発1号
機(鹿児島県薩摩川内市、出力89万キロワット)について、原子炉で発生する熱を最大にする「フル出力運転」を25日に始
めることを明らかにした。11日に新規制基準に基づき全国で初めて再稼働したが、その後にトラブルはないという。川内原
発1号機は13日にタービンを起動させ、14日には発電と送電を始めて同日中に発電機の出力を30%に上昇させた。16
日に50%に到達し、17日も維持している。今後75%、95%、100%と段階的に出力を上げていく。原子力規制委員会は
9月上旬にフル出力運転で設備に問題がないかを確認する最終検査をする予定。これに合格すれば、九電は営業運転を
始める。【遠山和宏】
桜島影響「懸念してない」=川内原発の地元市長―鹿児島 時事通信 2015年8月17日(月) 19時21分
九州電力川
内原発がある鹿児島県薩摩川内市の岩切秀雄市長は17日の定例記者会見で、桜島で懸念されている大規模噴火の川内
原発への影響について、「懸念していない」と強調した。岩切市長は、鹿児島市の桜島と川内原発が約50キロ離れているこ
とを挙げ、「一般的に考えて、原発に支障がある噴火が起きると想定していない」と述べた。
東電の津波試算データの提出申し立て採用
福島原発事故で神戸地裁 神戸新聞NEXT 2015年8月17日(月) 17時5
8分東京電力福島第1原発事故で兵庫県内などに避難した被災者が東電や国に損害賠償を求めている集団訴訟で、神
戸地裁の東亜由美裁判長は17日までに、東電などが東日本大震災前に行った津波高の試算について、原告側による文
書提出の申し立てを認めた。明治三陸沖地震(1896年)の津波データを基に、高さ15・7メートルの津波を想定した2008
年の試算など4文書。想定した津波の高さが同原発の敷地の高さ(海抜10メートル)を上回っていたことなどから、原告側は
「津波が予測できていたのに対策を怠ったことを示す証拠」と主張している。地裁は文書の提出を求めるが、強制力はない。
東京や福島などでの避難者訴訟でも同様に申し立てが認められたが、東電側は提出に応じていない。
高浜3号機で使用前検査=12月終了目標、再稼働見通せず 時事通信 2015年8月17日(月) 15時13分
原子力
規制委員会は17日、関西電力高浜原発3号機(福井県)で、再稼働に必要な使用前検査を始めた。関電は11月の再稼働
を目指すが、福井地裁は高浜3、4号機の運転差し止めを命じる仮処分決定を出しており、再稼働の見通しは立っていない。
新規制基準の施行後、使用前検査を受けるのは九州電力川内原発(鹿児島県)に次いで2例目。関電によると、検査対象
は約410設備で、12月上旬ごろの検査終了を想定している。
高浜原発3号機、再稼働へ最終手続き
福井地裁仮処分の壁… 産経新聞 2015年8月17日(月) 14時59分原子力
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規制委員会は17日、関西電力高浜原発3号機(福井県)について、再稼働の最終手続きとなる使用前検査を始めた。検査
は原子炉起動までに3カ月かかり、営業運転までにさらに1~2カ月かかる見込み。関電は11月の再稼働を目指しているが、
高浜は福井地裁の仮処分決定で運転停止を命じられており、決定が覆らない限り再稼働できない。使用前検査は、新設さ
れた重大事故対策のための設備や機器の性能などを重点的に現場で確認する。この日は、原子力規制庁の検査官が、検
査方法が適切かどうか書類を見ながら確認する作業を行った。使用前検査を実施するのは、九州電力川内(せんだい)原
発1号機(鹿児島県)に続いて2カ所目。検査の工程上、原子炉を起動させる必要があるが、仮処分決定に抵触する可能
性があるため、検査は炉心に燃料を挿入する燃料装荷までにとどまる。原子炉を起動せず、制御棒の引き抜き検査も実際
上は可能だ。福井地裁の決定を覆すための異議審は、9~11月に3回の審尋を予定。10月に審尋が終わる可能性も残っ
ており、決定が速やかに出れば、11月に再稼働できる。
福島第1の作業再開=死亡事故で総点検―東電 時事通信 2015年8月17日(月) 12時1分
東京電力は17日、3件目
の死亡事故が起きた福島第1原発で、お盆休みを含めて9日から中断していた作業を全面的に再開させると発表した。約7
000人の作業員が、現場ごとに今回の事故を踏まえて車両や重機の点検を行い、早ければ17日夜から汚染水のタンク移送
などの作業を始める。事故は8日に発生し、男性作業員がバキュームカーの鉄製ハッチに頭を挟まれ死亡した。福島県警
などが詳しい原因を調べている。第1原発では昨年3月と今年1月にも作業中の死亡事故が発生している。
なぜ動かぬ「凍土壁」「待った」をかける規制委だが、サブドレン計画容認で光明が 産経新聞 2015年8月17日(月) 10
時30分
東京電力福島第1原発の汚染水対策で、原子炉建屋周辺の土壌を凍らせ、地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁
(とうどしゃすいへき)」が一向に運用できない。当初は今年3月末にも運用する予定だったが、原子力規制委員会が「待っ
た」をかけ続けている。半年近くも延期している理由は何か。(原子力取材班)■ゼネコンの案を採用
汚染水の抜本策と
して凍土壁という工法が持ち上がったのは、平成25年5月だった。汚染水を生んでいるのは、山側から海側に流れている
地下水で、現在は1日約300トンが原子炉建屋に入り込み、放射性物質に触れて新たな汚染水となる。建屋への地下水の
流入を防ぐため、政府はさまざまな工法について、ゼネコンからアイデアを募り検討してきた。その中で、大手ゼネコンの鹿
島建設が提案した「土を凍らせて地中に遮水壁をつくる案」が適切と判断した。凍土壁は、1~4号機を囲うように地盤を約
1・5キロにわたって掘削し、地中に一定間隔で管を並べて打ち込む。管内に冷媒(マイナス40度)を循環させ、土を凍らせ
て壁をつくる。高濃度の汚染水がたまる原子炉建屋には、壁に開いたわずかなすき間などから地下水が流入し、汚染水の
総量が増えている。この凍土壁が建屋内と外側の水の動きを遮断できるという。■首肯しない規制委
凍土壁が「汚染水
の抜本的な抑制策」と見た政府は、25年9月に国費約320億円の投入を決定し、政府や東電は実効性を確かめるための
実験に着手した。しかし原子力規制委員会は、なかなか首を縦に振らなかった。国の施策にもかかわらず、「安全性と有効
性を確認しておらず、認可していない」と慎重姿勢を示したのだ。現在は、工事の着工を認めているが、運用自体を認めて
いない。なぜなら、凍土壁を運用すれば、現在原子炉建屋にたまっている汚染水の水位が、流れ込んでいる地下水の水
位と逆転し、建屋の外へ汚染水を漏らしてしまうからだ。凍土壁の試験結果では、一部の区画の地下水位が一時的に15セ
ンチ以上も低下するなど、地下水の挙動把握の難しさも露呈した。■サブドレンに道筋
ではどうしたら運用が認められる
のか。規制委の更田豊志委員長代理は「凍土壁を運用するには、サブドレンが大前提だ。それなしでは動かさない」と言明
する。サブドレンとは、原子炉建屋近くでくみ上げた地下水を浄化設備で処理した後、タンクに貯蔵し、放射性物質の濃度
基準を下回っていることを確認した上で海に放出する計画だ。井戸からのくみ上げや注水で、地下水の挙動をコントロール
できる。だが、風評被害への懸念などから漁業者から反発が続いていた。たとえ浄化したといっても、原発の水が海に流れ
るのは強い抵抗感があったからだ。しかし東電などの粘り強い交渉で、福島県漁業協同組合連合会(県漁連)が8月7日、
サブドレンの計画を容認した。県漁連の野崎哲会長は「安定的に廃炉を進めることが、福島県漁業の再開の一番の特効薬
になると判断した」と容認した理由を話した。漁連の英断に東電も「感謝し申し上げます」とコメントしており、サブドレンの容
認で、凍土壁も前へ進む可能性が大きくなった。
原発再稼働長期化の責任はどこに
9時0分
民主党政権下の法の曖昧さ「戦争」想定も検討 産経新聞 2015年8月17日(月)
原発がついに再稼働を果たした。東京電力福島第1原発事故から約4年半、九州電力川内(せんだい)原発1
号機(鹿児島県)が原発の新規制基準の下で初めての稼働となった。凄惨(せいさん)な事故を経験した日本が原発回帰
するまでに、「4年半」という期間は長いのか、短いのか。事故を教訓に平成24年9月に発足した原子力規制委員会はこの
間、何をしてきたのだろうか。発足当初から3年近く、規制委の仕事ぶりを密着取材する中で、原発とどう向き合ったらよい
か、「安全」とは何なのか、考え続けた。(天野健作)■原発の審査は効率的か
原発の新規制基準に基づいて川内原発
が審査に合格したのは26年9月10日。25年7月8日に申請してから約1年2カ月近く経過した。全ての審査が終わったの
は、26年5月27日、使用前検査を経て最終的に再稼働を果たすまでに、2年1カ月もかかってしまった。田中委員長は審
査が始まる前、「少なくとも半年はかかる」との認識を示していたが、明らかに誤算だった。なぜ審査がここまでかかってしま
ったのか。現在、計15原発25基が審査を申請済みだが、合格しているのは川内のほか、高浜3、4号機(福井県)と四国電
力伊方3号機(愛媛県)しかない。まず指摘しておきたいのは、規制委がいたずらに審査の引き延ばしをしているという批判
- 7 -
は当たらないということだ。審査会合は、動画投稿サイト「You
Tube」などでも一部始終見られるので気になる方は一度
のぞいてみればよいが、審査会合は規制委側と事業者側の真剣勝負の場である。会合は週に3回ほど開かれ、1回に付き
午前10時から午後5時までの約7時間が通常だが、2、3時間は平気で延長する。7時間の審査の中で、休憩はわずか10
分ということもあり、会合で使うマイクが長時間耐えられず、電池切れするハプニングもあった。こうした審査会合は7月末ま
でに計250回を超えている。その上で、規制委の審査を批判しなくてはいけない。まず、新規制基準の解釈が曖昧であるこ
とだ。新基準は、民主党政権下で策定された規制委の設置法に定められた施行日程の制約もあり、わずか8カ月で作り上
げた。このため専門家との十分な議論を経たとはいえない。特に火山噴火と原発の稼働とのとらえ方が煮詰まっておらず、
火山学者からの批判が根強い。規制委と事業者トップとの会合が月に一度開かれているが、中部電力の水野明久社長(当
時)は、新基準の実効性を確保するため、解釈や指針類の文書化を求めたこともある。安全対策がすべて事業者任せで、
新規制基準の解釈に幅があることが、審査の長期化を招いている要因だ。規制委側は常に「事業者側の準備不足だ」と責
任転嫁しているが、そうとまでは言い切れない。■「感想」を審査で重要視
審査会合の中では、審査官の「感想」や「印
象」に縛られることもある。6月初旬に開かれた関西電力の美浜原発(福井県)の審査会合では、震源断層の深さが議論に
なった。震源断層が浅ければ、それだけ地震エネルギーが地表にある構造物に伝わり、耐震設計を厳しくしなければなら
ず、事業者側にとって不利となる。関電側は「4キロ」という数値を出したが、規制委側は「3キロ」として首を縦に振らなかっ
た。規制委側は「大飯原発や高浜原発と同じようにすべきだというのがわれわれの印象だ」「若狭地域は大飯も高浜も美浜
も似たようなもの」と指摘した。その言葉は科学的とは言い難く、関電側は「先行して震源断層の数値が認められた大飯や
高浜原発の計算結果に基づき、美浜の数値を導き出した。それを変えろとなれば、われわれの中で自己矛盾が生じる」と
反論した。結局、美浜は運転期間制限を来年に超えてしまう廃炉のリミットが迫っているため、関電は7月末、渋々規制委
側の「3キロ」を受け入れざるをえなかった。審査が進む北海道電力泊原発(北海道)の場合もそうである。6月に開かれた
審査会合では、基準地震動(想定される最大の揺れ)が議論になった。基準地震動の引き上げを求める規制委側に対し、
北海道電は科学的な分析に基づいて結論を導き出したと反論。「かなり安全サイドの地震動を採用している」などと述べ、こ
れ以上の地震動の引き上げは「非科学的な話になってしまう」と食い下がったが、規制委側は納得せず、今も地震動の評
価が続いている。特にしばしば審査会合で聞かれる規制委の指摘が「安全サイドに立って」という言葉だ。科学技術的判断
から一気に“政策的判断”と変わり、恣意(しい)的な余地が膨らむ。筆者が田中委員長に問いただしたところ、委員長は「な
かなか難しい質問ではある。われわれの最大のミッションはやはり安全を守るという所だと思う。そこのところについて自信が
あるかないかという所が必ずしも政策判断とは言い切れない」と言葉を濁した。■「戦争」まで検討に上がった新規準
審
査の基準となる新基準とは何か。改めて中身について触れてみる。「新たな基準の根幹は福島のような事故を二度と繰り返
させないということ。そのために、世界でも一番厳しい基準を作っていくのだということで取り組んできた」
25年6月、新基
準が最終決定された際、田中委員長は記者会見で、筆者の質問にこのように答えた。その後、「世界で最も厳しいレベルの
基準」というように微妙に表現を修正したが、委員長の「世界一発言」は独り歩きした。果たして、新規制基準は「世界最高レ
ベル」といえるものなのか。作成過程の中では、メンバーとして参加した有識者が「戦争は、検討対象に入らないのか?」と
問いただし、議論の対象になった。加えて、空気や水のない極限世界で活動しなければならない「有人宇宙システム」の専
門家にまで意見を求めている。テロへの対策を初めて盛り込んだことも大きな特徴だ。仮に原発をコントロールする「中央制
御室」がテロで破壊された場合どうするか。制御室は原子炉内の温度や圧力などを把握し、原子炉内の冷却や排気を指示
する心臓部だ。ここを失えば、原発は制御不能になり最悪の事態を迎える。新基準では、事業者は原発から100メートル程
度離れた高台や地下などの場所で、原子炉の冷却や排気などができる通常の制御室とは別に緊急時制御室を備えた「特
定重大事故等対処施設」の設置を要求している。米国などではすでに導入されている施設だ。新基準はこのようにあらゆる
事態を考えて作成されたが、前記したように解釈が曖昧との批判がある。審査を効率よく進めるためにも、再稼働を果たし
た今、新基準の改正や基準のマニュアル作りに取りかかる時期にきたのではないかと考える。
焦点:拡大する福島原発訴訟、国と東電の賠償額増える可能性も ロイター 2015年8月17日(月) 8時14分[いわき市
(福島県)/東京
17日
ロイター] - 東京電力福島第1原発事故をめぐり国や東電を提訴する原告数が約1万人規模
に拡大してきた。一部の訴訟では、大津波の発生を「想定外」としてきた東電の主張に関し新たな資料も提出され、同社の
過失の有無も争点として浮上。過失責任が認定されれば、補償額が一段と増える可能性もある。 一方、同社の勝俣恒久
元会長ら旧経営陣3人については業務上過失致死傷の罪で強制起訴が決まり、同原発事故は刑事裁判にも発展する。
<避難と賠償、終息狙う政府・東電> 集団訴訟の代理人の一人、米倉勉弁護士によると、同事故に関して全国で20以上
の訴訟が提起され、原告数は1万人規模に達した。公害訴訟における原告数は沖縄県の米軍嘉手納基地騒音訴訟(第3
次、2011年提訴)の約2万2000人が最大とみられるが、福島原発事故関連の訴訟は、戦後に起きた「4大公害病」訴訟で
最大の熊本水俣病関連訴訟の原告数約8000人(通算)を上回っている。 福島訴訟の争点の一つは、政府・東電が主導
する帰還促進と賠償打ち切りの妥当性だ。政府は6月12日、「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」の2区域(約5
万5000人)に対する避難指示を2017年3月までに解除し、両区域の避難者の精神的損害に東電が支払う賠償(慰謝料)
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は18年3月末で終了する方針を発表した。さらに東電は、商工者向けの営業・風評被害に対する賠償は2年分を一括で支
払い、その後は原則打ち切る。 東電はこの方針を反映した再建計画を政府に提出、7月28日に認定された。これにより、
6兆円強だった賠償額の見込みは7兆円強に増えるものの、大部分の賠償金は原則として打ち切られる。 避難指示解除
の目安となる放射線量について、政府は年間20ミリシーベルトを「確実に下回る」ことを要件とした。しかし、被災者の間で
は「高すぎる数値で安全性は確保できない」との見方が圧倒的だ。 原告団の一人で、原発が立地する双葉町で養蜂業を
営んでいた小川貴永氏(45)は6月10日、福島地裁いわき支部で開かれた口頭弁論で「原発災害で生活が一変した」など
と政府・東電を非難。同氏は「帰還困難区域」に自宅があり、妻子とは別の仮設住宅で避難生活を強いられている。原告団
は1人当たり2000万円の慰謝料などを東電に要求している。 <問われる国と東電の責任> 約4000人が参加する「生業
を返せ、地域を返せ訴訟」(13年3月福島地裁に提訴)。東電の過失責任と安全規制を怠った国の監督責任を指摘し、放
射線量を事故前の水準に戻す原状回復、できない場合は1人月5万円の賠償を求めている。 原告団の狙いは「原子力損
害賠償法」にもとづく賠償スキーム見直しだ。同法では「被害者保護」と「原子力事業の健全な発達」を目的としており、事
業者の「過失責任」の有無は問われない。 同原告団は東電と国に対し、それぞれ民法709条(不法行為による損害賠償)
などと国家賠償法1条(国の故意・過失による損害賠償)に基づいて責任を追及している。公害問題に詳しい除本理史・大
阪市立大学教授は、国や東電の過失を司法が認定した場合、原賠法のもとで決まる損害賠償額よりも「大幅かどうかわから
ないが、増える可能性はある」と述べた。 同訴訟の代理人を務める馬奈木厳太郎弁護士によると、福島地裁は「過失の存
否は重大な争点」との見解を示した。被告の国も東電も、過失はなかったと主張している。 <津波の想定めぐり新資料>
東電旧経営陣らの責任を追及する株主代表訴訟(原告42人、12年3月東京地裁に提訴)で、東電側は裁判所の要請に
基づき、2008年9月に同原発の小森明生所長(当時)らが出席した社内会議の資料を提出した。 同資料には「津波対策
は不可避」との記載があり、事故前から同社内で津波の危険が認識されていたことを示唆。大津波の襲来を「想定できなか
った」としてきた東電の説明と異なる内容と原告側は主張している。 東電側は、同地裁に提出した準備書面で「津波が現
実的に襲来する危険性が存在することを意味するものではない」と反論。しかし、訴訟代理人の河合弘之弁護士は「津波
対策の必要性を東電が認識していた何よりの証拠。裁判に重要な影響を与える」と指摘している。 一方、東京第5検察審
査会は7月17日に勝俣元会長ら3人を業務上過失致死傷の罪で強制起訴すべきと議決。同検察審は14年7月にも「起訴
相当」と判断したが、東京地検は今年1月、「事故の予見可能性、結果回避可能性及びこれらに基づく注意義務は認めら
れない」として不起訴とした。しかし、同審査による起訴すべきとの判断は2回目で、勝俣氏らは強制起訴される。31日公表
の議決文は大津波の発生に「具体的な予見可能性があった」などの判断を示した。(浜田健太郎
編集:北松克朗)
川内1号機「特別対応せず」=桜島警戒レベル引き上げで―九電 時事通信 2015年8月15日(土) 15時6分
鹿児島
県・桜島の噴火警戒レベルが4(避難準備)に引き上げられた15日、九州電力は稼働中の川内原発1号機について「特別な
対応は考えていない」とした。九電によると、川内原発は桜島から約50キロの距離にある。再稼働の前提となる原子力規制
委員会の審査では、噴火による降灰を最大15センチと想定し、安全性は確保されると説明。規制委も了承していた。川内1
号機は11日に核分裂反応を抑える制御棒を引き抜き、4年3カ月ぶりに再稼働した。14日には発電と送電を開始しており、
今後出力を順次上げる予定。
川内原発、発送電開始
1号機、下旬にもフル出力 産経新聞 2015年8月15日(土) 7時55分再稼働した九州電力川
内(せんだい)原発1号機(鹿児島県)は14日、発電と送電を開始した。今後は段階的に出力を上げながら調整運転を続け、
8月下旬にもフル出力、9月上旬の営業運転の再開を目指す。原発から電力が供給されるのは1年11カ月ぶりとなる。この
日の午前9時、発電機と送電設備をつなぐ「並列」の操作を行い、原発からの電気が家庭や企業に送られた。その後、1時
間に3%のペースで出力を上げていき、14日午後6時半ごろ、通常運転時の30%の出力で調整運転に入った。さらに、1
0日ほどかけて50%、75%、95%と段階的に出力を上げていき、最終的に原子炉をフル稼働させる「定格熱出力一定運
転」に至る。この時点でも法的には検査中の段階で、原子力規制委員会が周辺機器などを確認し異常がないと認めれば、
運転はそのままで営業運転に移行する。川内1号機は11日、原発の新規制基準のもとで、初めて再稼働した。核分裂反
応を抑える制御棒を段階的に引き抜き、同日午後11時に反応が安定的に続く「臨界」に到達。12日に制御棒の機能検査
で原子炉の出力調整に異常がないことを確認した。13日には、核分裂反応の熱で発生させた蒸気で回すタービンを起動
させ、発電と送電の再開に向けた準備を進めていた。九電は現在、夏場の電力供給が自社だけでは不足する恐れがある
ため、中部電力や中国電力からの電力融通を受けている。しかしフル出力を達成できれば、融通なしで賄うことが可能にな
り、供給余力を示す予備率も3%から5・1%に改善する。
期間中に解除時期検討
南相馬・葛尾、長期宿泊正式決定 福島民友新聞 2015年8月14日(金) 12時57分
政府
は13日、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出ている南相馬市の一部と葛尾村の避難指示解除に向け、住民の「長
期宿泊」を31日から3カ月間実施すると正式決定した。避難指示の解除時期については、長期宿泊の間に地元自治体や
住民と協議し、除染状況などを踏まえて決める。長期宿泊の対象は、居住制限、避難指示解除準備の両区域。両区域は
日中の滞在のみ認められている。放射線量が高い帰還困難区域は対象外。南相馬市は小高区全域と原町区の一部が指
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定されており、対象人数は1日時点で1万1702人(3673世帯)。葛尾村は1360人(419世帯)が対象となる。13日に県庁で会
見した政府の原子力災害現地対策本部の後藤収副本部長は「インフラ整備や除染が進むなど、帰還の条件がおおむね
満たされてきた」と長期宿泊実施の理由を説明した。長期宿泊の期間を延長する可能性もあるとしている。
福島県が104台再設置へ
放射線監視装置の解約問題
福島民友新聞 8月19日(水)12時5分配信
県が配備し
た放射線監視装置(モニタリングポスト)に数値の急上昇などの異常が相次ぎ、納入した業者と契約を解除した問題で、県
は追加分を含めて9市町村に104台の監視装置を再設置する方針を固めた。本年度中に取り付けを終え、来年度当初から
放射線量の測定を目指す。一方、解約された納入業者は依然、不要となった77台の撤去に応じておらず、県の想定通り新
たな監視装置の設置が進むかどうかは不透明だ。18日の県議会政調会で県が監視装置の再設置方針を示した。県による
と、整備を計画しているのは、南相馬、伊達、川俣、双葉、大熊、富岡、楢葉、葛尾、飯舘の9市町村。避難区域がある市町
村を中心に要望を聞いた結果、本年度から運用する予定だった77台に、27台を追加して計104台を配備することにした。整
備費には国の交付金を見込んでおり、9月補正に関連予算として2億円程度を計上する方針。県は「原子力規制庁から大
筋で了承を得ている」(放射線監視室)との見解を示した。しかし、現状では県の計画が実現するめどはついてない。納入
業者だった福島電子計算センター(福島市)は「解約は一方的で不当だ」として、県に損害賠償を求める訴えを9月にも福
島地裁に起こす構えで、訴訟が長期化する恐れもある。
中国、多弾頭ICBM実験か=核戦力を増強―米報道
時事通信 8月19日(水)8時33分配信
【ワシントン時事】米保
守系ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」は18日、中国が米本土を射程に収める多弾頭型の移動式大陸間弾道ミサ
イル(ICBM)「東風41」の発射実験を6日に行ったと報じた。米国防当局者の話として伝えた。模擬弾頭2発を搭載していた
という。フリー・ビーコンは、過去3年間に中国は今回を含め東風41の発射実験を4回実施しており、実戦配備が近いことを
示していると指摘した。東風41の推定射程は最大約1万2000キロ。移動式で探知が難しい上、1基につき最大10発の弾頭
を搭載できるとされ、中国の核ミサイルの中で最も強力な戦力になるとみられている。中国は核戦力の強化を図っており、
年内にも潜水艦発射弾道ミサイル「巨浪2」を搭載した「晋」級原子力潜水艦が哨戒任務に就くとの観測も浮上している。
東芝が新体制発表
「社外取締役7人」
27年3月期は最終赤字に
産経新聞 8月19日(水)7時55分配信
東芝
は18日、利益水増し問題を受け、社外取締役を現在の4人から7人に増やす新体制の概要を発表した。同時に、平成27
年3月期連結決算の最終損益は赤字に転落する見通しになり、原子力や半導体事業の資産価値の見直しなどで1750億
円の損失を計上することを明らかにした。暫定的に社長を兼務していた室町正志会長は社長に専念。経済同友会の小林
喜光代表幹事(三菱ケミカルホールディングス会長)ら有力企業のトップ経験者や弁護士らが社外取締役に加わり、経営の
監視機能を高め、再発防止を図る。新体制は9月下旬開催の臨時株主総会後に正式に発足する。室町氏は18日夜、東
芝本社で記者会見し、利益水増し問題に関し「皆さまにご迷惑とご心配をお掛けし、あらためて深くおわび申し上げる」と謝
罪した。その上で「危機を乗り越えたら後進に譲りたい」と述べた。東芝は問題発覚前、27年3月期連結決算の最終利益は
1200億円と示していた。今回、21年3月期から26年4~12月期に計2130億円の利益の修正が必要なことも明らかにし
た。税引き前利益が272億円だった22年3月期は100億円の赤字になる。会長が務めてきた取締役会議長は、社外取締
役が務め、伊丹敬之東京理科大教授が就任する公算が大きい。監査委員会、指名委員会、報酬委員会のそれぞれの委
員長とメンバーは全員を社外とすることで独立性を確保する。
東芝新体制は西室氏頼み
広い「人脈」活用
産経新聞 8月19日(水)7時55分配信
東芝が18日発表した新経営
体制の柱は、社外取締役を活用し、経営を執行する社長らを監督する機能を強化することだ。その人事で影響力をみせた
のが、元社長で相談役の西室泰三・日本郵政社長だった。不祥事発覚前の取締役で続投が決まっているのは室町正志会
長兼社長と伊丹敬之東京理科大教授(経営刷新委員会委員長)の2人だけ。経営陣が一斉に去る中、「西室人脈」が活用
された。先月21日、当時の田中久雄社長や副社長4人らが東芝を去った。室町氏も辞意を示していたが、「残る方がつら
いだろうが、絶対に辞めないでくれ」と慰留したのが西室氏だった。東芝には、50年前に石川島播磨重工業(現IHI)から
社長に迎えた土光敏夫氏が立て直した前例がある。しかし、西室氏は外部招聘(しょうへい)に当初から否定的だった。原
子力から半導体、家電まで事業が多岐にわたる東芝では、社内事情に通じていなければ経営ができない、という確信から
だ。室町氏の社長続投について伊丹委員長は18日夜の記者会見で「特定の一人の影響力で決まったわけではない」と述
べたが、西室氏はいまなお社内で「スーパートップ」と呼ばれる。戦後70年談話に関する有識者会議の座長も務めていた
西室氏は安倍晋三首相に「東芝は責任を持って再生させます」と告げた。ただ、問題発覚前から取締役だった室町氏が社
長に残る以上、他のメンバーを大幅に刷新しなければ株主の理解は得られない。社外取締役の顔ぶれが焦点になった。
先月29日に発足した刷新委では、「オブザーバー」として名を連ねた小林喜光・経済同友会代表幹事が存在感をみせた。
小林氏は取締役会議長への就任は固辞したものの、刷新委の議論を主導した。特に、経営の執行と監督を分離すべきだ
との主張は新体制に反映され、監督者である取締役会議長を兼務していた会長職は空席になる。小林氏が多忙を理由に
難色を示していた社外取締役を最終的に受けたのも、西室氏が要請したためという。社外取締役に起用されたアサヒグル
ープホールディングスの池田弘一相談役や資生堂の前田新造相談役も西室氏に近いことで知られる。その結果、社外取
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締役は平均年齢が71歳と高齢化した。取締役の半数が辞任したことで、西室氏がいなければ新体制の構築を進められな
い状況になっていたことも背景にある。室町氏は会見で「企業統治(コーポレートガバナンス)や社内風土の改善で、再発
防止を徹底する」と決意を示した。もっとも、東芝は平成15年に他社に先駆けて委員会設置会社に移行し、企業統治の
「優等生」とされていたが、今回の問題が起きた。「不祥事の後で組織的な形づくりをもって改善とするのは過去の例を踏ま
えても疑問。社内での原因究明が必要だ」(早大商学学術院の長内厚准教授)との指摘もある。今回の事態を防げなかっ
たという室町、伊丹両氏への責任論もくすぶっている。新体制は決して順風ではなさそうだ。(高橋寛次、黄金崎元)
桜島「レベル4」の噴火予兆
再稼働川内原発に募る不安〈週刊朝日〉
dot. 8月19日(水)7時5分配信
その速報に
一瞬、ギョッとした人も多いだろう。8月15日、桜島(鹿児島県)の噴火警戒レベルが3(入山規制)から4(避難準備)に引き上
げられた。気象庁によると、火口から3キロ離れた集落に噴石が落ちる規模の噴火が起こる可能性があるという。桜島は同
日朝から火山性地震が急増。今年に入って爆発的噴火を含む1154回の噴火が観測されるなど、活発な火山活動が続く。
気になるのは、11日に再稼働した九州電力川内原発への影響だ。桜島から川内原発までの距離は約50キロ。マグマが大
量に噴出してカルデラができるような巨大噴火が起きると、火砕流が100キロ先にも到達する可能性がある。現段階では「火
砕流が広がる噴火が起こるとは思っていない。大規模噴火が発生する可能性は低いと考えている」(気象庁の北川貞之火
山課長)といい、影響はまだ限定的とみられる。ただ、川内原発の160キロ圏には、桜島のほか阿蘇など14の火山がある。地
質調査から過去に起きた巨大噴火の火砕流が、現在川内原発が立つ付近まで来ていたこともわかっている。火山に詳しい
武蔵野学院大学の島村英紀特任教授は説明する。 「桜島だけでなく、新燃岳でも噴火が続くなど九州では火山活動が活
発です。今後、大規模な噴火は避けられません。300度以上の火砕流が時速100キロ以上で流れます。火砕流に巻き込ま
れれば、原発は制御不能になる可能性がある。万全の備えは不可能です」
火山噴火は原発の安全審査でも課題だっ
たが、九電は「巨大噴火が運転期間内に起こる可能性は十分に小さい」と主張、原子力規制委員会も妥当とした。火山活
動を監視し、巨大噴火の兆候があれば運転を止め、核燃料を運び出すというが、運転停止の基準や核燃料の搬送先は決
まっていない。だが、そもそも巨大噴火の兆候をとらえられるという見方に専門家は否定的だ。「これまで巨大噴火を予測し
たケースは世界でもない。噴火は予知できません」(島村特任教授)
<放射性廃棄物>説明会非公開に批判
(火)21時53分配信
最終処分場選定で
起きてしまってからでは、もはや手遅れだ。
毎日新聞 8月18日
原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定を巡
り、国が今年5月から各都道府県で開いている自治体職員向け説明会を非公開として
いることに批判の声が上がっている。主催する経済産業省資源エネルギー庁は「自治
体が参加しやすくするため」として日程も公表していないが、処分先が決まらないまま各
地の原発が再稼働することに不安を抱く住民もおり、専門家は「国のやり方は住民の不
信を募らせるだけだ」と指摘している。「マスコミに内容を聞かれたらエネ庁に問い合わ
せるよう言ってください」。6月上旬、九州のある県で開かれた最終処分場の説明会で、
エネ庁職員が参加者に呼びかけた。政府は2002年から続いた最終処分場受け入れ
先の公募を見直し、国主導で選定する方針を5月に閣議決定した。説明会はその3日
後にスタートしたが、会場での説明内容に加え、日程なども非公開で、ある県の担当者
が「どこの市町村が参加したかエネ庁に尋ねても教えてもらえなかった」と話すほど秘密
主義が徹底している。同庁は「自治体が参加、発言しやすいように、国とのやり取りも含
め非公開にしているので、理解してもらいたい」と説明する。これに対し、原子力委員会
の依頼で10年から2年間、核廃棄物処分の問題に取り組んだ日本学術会議の検討委
員長だった東京工大の今田高俊名誉教授は「非公開が国民の不信を呼ぶ。一番まず
いやり方だ」と批判する。処分場の候補地選定については、原子力発電環境整備機構
(NUMO)による文献調査に高知県東洋町だけが応募したが、後に取り下げた。一方
でNUMOが200万円を上限に支援する処分場の勉強会開催には10年以降、70団体
が応募している。NUMOは国の調査だけで90億円以上の交付金が自治体に入り、建設が決まれば年510億円の経済効
果が見込めると説明しており、地域活性化策として関心を寄せる商工業者や自治体は多い。だが、処分場誘致に住民の反
発は強く、どの自治体でも動きが表面化した途端に頓挫することが繰り返されてきた。エネ庁が説明会の参加自治体名を
公表しない背景には、こうした事情があるとみられる。鹿児島・大隅半島の南端に位置する南大隅町でも誘致話が07年ご
ろから消えては浮かび、不信感が渦巻く。元商工会長の肥後隆志さん(64)は「町内の建設業者らが昨年、北海道にある
処分の研究施設に行った。町もまだ誘致する気があるのでは」と疑う。3月に都道府県の担当者を東京に集め、やはり非公
開で開かれた国の会議では、参加者から「処分先が決まっていないなら、廃棄物を出さないようにすべきではないか」との
声が上がった。今田教授も「電力会社が使用済み燃料を将来どうするのか計画を示せてから再稼働すべきだ」と話す。【関
谷俊介、関東晋慈】
◇原発立地12市町村「建設断る」
毎日新聞が7月に行った原発立地17市町村(福島県内除く)
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へのアンケートでは、高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設を国から求められた場合、12市町村が「断る」と回答した。
また、廃炉後に解体された原子炉などの低レベル放射性廃棄物を将来にわたり保管することにも11市町村が反対した。ア
ンケートで最終処分場を「受け入れる」とした自治体はなかった。断ると回答しなかった5市町村では、北海道泊村が「どちら
とも言えない」▽青森県東通村は「国と県の間で最終処分地にしないとの確認がなされている」▽新潟県刈羽村は「説明を
聞く」▽福井県敦賀市は「原発敷地外への早期搬出が基本。(賛成、反対)どちらでもない」▽同県美浜町は「仮定での回
答はできない」と記載した。解体廃棄物の保管については、日本原子力発電東海原発の解体が進む茨城県東海村だけが
「賛成」と答えた。【ことば】高レベル放射性廃棄物
原発で使用した核燃料を再処理した際に出る廃液。国はガラス原料
と混ぜてステンレス容器に入れた円筒型のガラス固化体(高さ1.3メートル、直径40センチ、重さ500キロ)とし、地層深くに
埋めるとしている。全国の原発では既に2万5000本相当の発電が行われている。
東芝赤字転落
1時35分配信
損失1750億円計上
室町氏社長続投も「危機乗り越えたら後進に譲る」
産経新聞 8月18日(火)2
東芝は18日、利益水増し問題を受け、社外取締役を現在の4人から7人に増やす新体制の概要を発表
した。同時に、平成27年3月期連結決算の最終損益は赤字に転落する見通しになり、原子力や半導体事業の資産価値の
見直しなどで1750億円の損失を計上することを明らかにした。暫定的に社長を兼務していた室町正志会長は社長に専念
する。経済同友会代表幹事の小林喜光氏(三菱ケミカルホールディングス会長)ら有力企業のトップ経験者や会計士、弁
護士が社外取締役に加わり、経営の監視機能を高め、再発防止を図る。新体制は9月下旬に開催する臨時株主総会後に
正式に発足する。室町氏は18日夜、東芝本社で記者会見し、利益水増し問題に関し「皆さまにご迷惑とご心配をお掛けし、
あらためて深くおわび申し上げる」と謝罪した上で、「危機を乗り越えたら後進に譲りたい」と述べた。東芝は問題発覚前、2
7年3月期連結決算の最終利益は1200億円と示していた。今回、21年3月期から26年4~12月期に計2130億円の利益
の修正が必要なことも明らかにした。税引き前利益が272億円だった22年3月期は100億円の赤字になる。会長が務めて
きた取締役会議長は、定款を変更して社外取締役が務め、伊丹敬之東京理科大教授が就任する公算が大きい。監査委
員会、指名委員会、報酬委員会のそれぞれの委員長とメンバーは全員を社外とすることで独立性を確保し、内部統制を強
化する。
日本初、木質バイオマス発電で地球を救え!株式会社ZEエナジー
ZUU online 8月18日(火)20時40分配信
間伐材を
電力に変える発電所で、エネルギーの地産地消を目指す東京都港区の「株式会社ZEエナジー」。化石燃料依存からの脱
却を目指す松尾直樹社長に話を聞いた。(取材:綿抜幹夫 / 文:渡辺友樹)■バイオマス発電のビジネスモデル◆「かぶち
ゃん村森の発電所」竣工
去る6月2日、長野県飯田市で同社製造の小型木質バイオマス発電装置が稼働する「かぶち
ゃん村森の発電所」の竣工式が行われた。間伐材を熱分解ガス化して発電する仕組みは国内初だ。◆地産地消のエネル
ギーを作りたい
同氏の狙いは、エネルギーの地産地消モデルを実現すること。木材等、乾燥系のゴミは熱分解してガス
にし、生ゴミや糞尿等、湿潤系のゴミは、菌を使い発酵させてガスにして、それぞれ発電する。この2つのガス化発電により、
地域から出るゴミを全てエネルギーに変えられる。また、発電の他に、熱利用のコジェネレーション、CO2を利用したトリジェ
ネレーションを目指す。そして、得られた売電収益から一定の割合を、地元地域と木材の供給元である林業等に還元する。
さらに、発電所自体を証券化し、金融商品として地域住民に買ってもらう。地域住民は発電所から得られる収益をベースに、
毎年利益を得られる仕組みだ。さらに、20年分の利益を先に償還することができるため、これを利用して新たな発電所を建
設する。発電所を作って証券化し、売りながら全国に小型の発電所を作っていく。◆林業への支援
この発電モデルは、
間伐によって出た木材だけで持続可能だ。現在、林業は経済合理性が成り立っておらず、森を育てるために必要な間伐も
十分に行われていない。適切に間引かなければ、光が入らないため幹が細くなってしまう。上部でしか光合成が行われず、
面積あたりの光合成量が下がる。根が張らないために水害に弱い山林となる。また、間伐した木をそのまま放置する「切り捨
て間伐」も問題だ。間伐しても売れないために放置されてしまうのだが、切り捨て間伐があると、雨が降ったときに自然のダ
ムのように水が溜まってしまったり、腐ってCO2の何倍もの温暖効果があるメタンガスが発生したりする。こうして多くの問題
を抱える林業。一本切るごとに国が助成金を出しているような現状を考えれば、経済合理性を成り立たせて持続させること
ができる同社のバイオマス発電所が果たせる役割は大きい。「このビジネスを成功させ、いずれは海外に展開したい。特に
ゴミの問題とエネルギーの問題の両方に苦しむ新興国に対して、それらを同時に解決するソリューションとして打って出た
いと思っています」■金融資本主義と電力業界への怒り◆2つの怒り
東京大学法学部在学中に「株式会社ネットワークイ
ンフォメーションセンター」を友人と起業し、コンタクトセンター、IT、動画ニュース、ブライダル、チョコレート、飲食など様々
なビジネスの立ち上げ、経営に関わってきた同氏。環境問題解決に取り組む学生時代からの友人が起こした株式会社ZE
エナジーには、まず社外取締役として加わったのち、2012年に代表取締役に就任した。発電・売電ビジネスに可能性を感
じ、社長になることを決めた背景には「2つの怒り」があった。◆金融資本主義への疑問
1つめは、金融資本主義に対す
る怒りだ。生き方の根底に「フェア」という価値観を持つ同氏。ここで言うフェアとは、リスクに挑戦し、汗を流して頑張った者
が多くを手に出来るチャンスの平等が守られているという意味だ。例えば1千万円の資金で事業を行い、年間30万円の利
益が出た場合と、銀行に1千万円を預けて金利として30万円を得る場合。世の中に対して与えるバリューを比較すると、消
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費者がその商品・サービスで喜びを感じ、雇用が創出され、税収が上がり、仕入業者への支払い等のお金を廻し、経済を
活性化させるなど、前者の方がはるかに高い。しかし、資本家からは、あくまで同じ30万円の儲けと見做されるのが金融資
本主義だ。ギャンブルが多くの国家や宗教で禁じられているのは、人間の勤労意欲を減退させるからだが、株式投資や為
替投機、と名前を変えた途端にそれが許されてしまう。お金を持っている者が、自分で汗を流さず、他者に便乗して資本を
元手に楽に大金を手にする。金融資本主義はグローバル過剰の世界を生み出し、実体経済で世界に1年間に作られるGD
Pの10倍以上ものマネーが世界中に溢れ、実体経済を脅かしている。こうした現在の世界の在り方そのものに対する強い怒
りだ。「マッキンゼーアンドカンパニーを経て、多くの企業を改革してきた稲田将人氏は、著書の中で『人、性善なれど性怠
惰なり』と書いています。私は、人間は8割が欲得で2割は美しい心だと思っているんです。8割の欲得もうまく刺激し、2割の
美しい心の部分をうまく巻き込んでいくことが出来たら、必ず成長するビジネス組織になると思います。そして、人間の欲得
を刺激することによって、自動的に世の中に善意が蒔かれていく仕組みを作ることが今後のあるべきビジネスの役目なんで
す」◆電力業界への怒り
2つめは、電力業界に対する怒りだ。東日本大震災では、福島第一原子力発電所で未曾有の
大事故が起こったにも関わらず、電力会社は全く責任を取らず、国に救われた。学生時代からベンチャー企業を起こしてき
た同氏は、当然ながら国に助けられた経験などなく、自分の力で必死に働いてきた。中小企業が倒産しても、誰も助けてく
れない。経済全体のためなどという建前のために、弱者は自己責任、強者は救ってもらうというのでは、あまりにアンフェア
ではないだろうか。加えて、電力会社は子どもでも経営できるような「原価総括方式」を当然という顔で採用しながら、高い料
金を徴収している事を同氏は知った。「競争のない独占企業、かつ私企業が、もっとも腐敗しやすい。国民の監視の目があ
る官営の方がまだましです。何のために、独占禁止法があるんですか?
こういう事を防ぐためですよ。業法で企業が守ら
れて、消費者の法益が蔑ろにされている状態。悔しいから、他で電力を買いたいと思っても、電気は東電から買うしかないと
いう現状。戦う手段が無かったんです。しかし、電力の固定買取制度が生まれ、ZEエナジーの地産地消の小型バイオマス
発電というビジネスモデルは、この怒りを同時に解決する事が出来ると確信しました。そして、本年4月に2000kW未満の未
利用木材を使った1kWあたりの買取価格が上がり、事業的にも非常に追い風。日本は世界でも有数の木材産出国ですか
ら、まずはその木材を最大限利用して小型の木質バイオマス発電所を作り、日本各地に普及させていこうと考えています」
■人間・松尾直樹、その死生観と4つのライフテーマ◆予想できる未来は面白くない
人生を選ぶにあたって、「予想できる
未来は面白くない」と考えた同氏。エクセルで生涯の賃金が計算できてしまう人生はつまらないと思ったという。根底に流れ
るのは、学生時代に尊敬していた先輩の死を経験したことによる死生観だ。人間、いつでも死ぬ。自分はどう生きてどう死
ぬか。この価値観に基づいて自分が納得できる生き方として選んだのが、就職せずに自分でビジネスを行うことだった。目
的はもちろん金ではない。どれだけ稼いでも、最終的には裸で死に、骨になる。死ぬまでにどんな物語を綴るのかが人生の
意味だとすると、人生が分かってしまうことが一番面白くない。だから、小さな損得ではなく、予想できない未来を選んだ。◆
4つのライフテーマ
同氏には、ライフテーマが4つある。1つは「ゼロから1を作る環境を作ること、そしてゼロから1を作る人
材を生み出す環境を作ること」だ。2つ目は、「若者を刺激し支援すること」。教育という言葉を嫌い、「変化の激しい時代な
ので、自分の成功方法は通じないかもしれない。若者には自分の感性で自分の道を見つけてもらい、それを支援したい」と
考える。そして3つ目は、チャンスの平等を世界に広げていくこと。これは前述の「フェア」の考え方だ。最後の4つ目は、持
続可能な社会づくりに貢献すること、この4つのライフテーマに自分の命を使うと決めている。◆破綻している金融資本主義
「みんなで手をつなぎましょう」と牧歌的な理想を掲げながら、実質は権力が集中し腐敗していく共産主義。一方で、世
界中がラスベガスを目指すような資本主義もまた、間違っていると主張する同氏。地球には物理的な限界がある。資源やエ
ネルギー、食糧についても、どれだけのポテンシャルを有するか、すでに科学によって明らかにされている。しかし、資本主
義は地球に物理的な限界があることを前提としていない。19世紀には、地球のポテンシャルは無限という前提で良かったか
も知れない。しかし、今はもうそうではない。「結果は僕らが決めることではなく、歴史が決めること。僕らにできるのは、必死
で生き残ろうとすることだけ。生き残るために最善の手を打っていくことしかできない。壊れていく地球や、破綻している資本
主義の問題をどうするかが僕らの世代の最大の歴史的課題。子や孫の世代になったとき、僕らが課題解決出来なかった、
パラダイムシフト出来なかったことで、『私達の世界と地球は本当にひどい事になっている!』と責められないようにしないとい
けないんです」
社会を糾し、地球を救う反骨の正義漢。夢をエネルギーに変え、今日も奔走する。 松尾直樹(まつお・な
おき)氏 【プロフィール】
1974年 愛知県岡崎市出身。1998年 東京大学法学部卒業。1997年 大学法在学中に友人と
「株式会社ネットワークインフォメーションセンター」を設立。その後も現在まで様々なビジネスを手がける。2012年、株式会
社ZEエナジー社外取締役から代表取締役に就任。(提供:Biglife21)
東芝最終赤字、室町社長続投・過半数を社外取締役へ
ロイター 8月18日(火)19時26分配信 [東京
18日
ロイタ
ー] - 東芝は18日、不正会計問題で開示が遅れている2015年3月期の連結最終損益が赤字になる見込みと発表した。
資産減損や事業の一部撤退費用などで1750億円の関連損失を計上する。 最終赤字の具体的な金額は、税金費用を算
定中として公表を見送ったが、売上高が6兆6600億円(2013年度の修正後の実績は6兆4900億円)、営業利益が1700
億円(同2500億円)、税引前利益が1400億(同1800億円)になるとの予想を発表した。 関連損失の内訳は、米テキサス
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州の原発建設プロジェクトや半導体などの資産減損で1270億円、パソコンやテレビ事業の一部撤退関連で360億円、訴
訟関連で120億円。不正会計発覚前に公表した営業利益予想は3300億円で、新たな営業利益予想との差額のほとんど
を占めた。 一方、米原子力事業子会社ウエスチングハウス買収で発生した巨額ののれん代は「価値は適正」として減損の
必要性を否定。また、東芝単独・国内連結納税子会社の1500億円の長期繰り延べ税金資産も取り崩しを否定した。ただ、
2015年度の税制改正の影響による繰り延べ税金資産の取り崩しが、最終赤字の要因になると説明。前期の赤字転落を踏
まえ、2015年9月期の配当予想は無配とした。 東芝は同時に、9月下旬の臨時株主総会で発足する新経営体制を発表し
た。室町正志会長兼社長が社長専任で続投する。取締役の過半数を社外から起用し、失墜した信頼回復を急ぐ構えを強
調した。
新体制では、不正会計問題が発覚する前に16人だった取締役を11人に減らし、社内取締役は室町社長ら4人、
社外取締役は7人とする。取締役会議長は今月31日までに公表するが、社外取締役に留任した伊丹敬之・東京理科大教
授が就く方向。また社外取締役には、経済同友会の小林喜光代表幹事(三菱ケミカルホールディングス<4188.T>会長)、
アサヒグループホールディングス<2502.T>相談役の池田弘一氏、資生堂<4911.T>相談役の前田新造氏の社長経験
者3人のほか、弁護士と公認会計士の3人を起用した。 室町社長は同日夜記者会見し、不正会計の発生について「深くお
わび申し上げる」とあらためて陳謝。今後の課題として、(1)ガバナンス改革、企業風土改善(2)不採算事業の改革、(3)
行政処分への対応――の3点に取り組む意向を示した。 田中久雄前社長の辞任を受けて、西室泰三相談役の慰留で社
長に就任することになった異例の経緯について「社長の後任人材も退任せざるを得ない悲惨な状況で、職務を遂行できそ
うなのは私。やるべきと決意した」と話した。 *内容を追加、写真を差し替えて再送します。(村井令二
交付金2割減で電気代割引見直し
編集:山川薫)
企業に影響、商品値上げも(福井新聞2015年8月19日午前7時20分)
原発立
地や周辺地域に新規に進出したり、工場などを増設したりした企業の電気料金を8年間割り引く電源3法交付金の補助制
度について国は本年度、算定単価切り下げなどの見直しを行った。電気料金引き上げや東京電力福島第1原発事故の対
策費により、財源となる国の特別会計が逼迫(ひっぱく)しているのが理由。福井県内の交付額は前年度に比べ約2割減額
される見通しで、交付を受けている約130社に影響が出ている。この補助金は「原子力発電施設等周辺地域企業立地支
援事業(F補助金)」と呼ばれる電源3法交付金の一つ。福井県内の原発立地4市町と、越前市や小浜市など周辺6市町に
新増設した企業が雇用数など一定の要件を満たせば、年間の電気料金のおおむね半額分が8年間にわたり交付される。
しかし福島の事故後、原発の停止が続き代替の火力発電の燃料費がかさんだことで、産業用の電気料金の平均単価は20
10年度から14年度にかけて約38%上昇。全国のF補助金の対象企業の電気料金も上がったため申請額が増え、予算枠
が12年度から3年連続で不足する事態に陥った。さらに国のエネルギー対策特別会計は、F補助金を含む原発立地対策
向けの年間予算約1600億円のうち、福島事故の除染作業に伴って出る廃棄物や汚染土壌を保管する中間貯蔵施設の
建設費に350億円を充てており、資源エネルギー庁電力基盤整備課によると「全体として特別会計が逼迫している状況」と
いう。F補助金の算定単価引き下げや単価区分の細分化などの見直しによって、月額の電気料金が1キロワット当たり250
0円の企業の場合、補助単価は従来の1500円から1040円に減額される。新規の申請対象の業種も絞り、製造業と自治
体が積極的に誘致した企業に限定した。県によると、県内では14年度上期に139社、下期に136社が申請しており、同年
度の交付総額は11億5千万円。制度見直しで本年度は9億円程度に減る試算だ。ただ、単価区分の細分化が大きな変更
点で、改正前とほぼ同額に近い補助を受けられる企業もあるとしている。F補助金の交付を受ける嶺南のある植物工場は、
経費に占める電気料金の割合が高く、担当者は「交付が2割近く削減される見通しとなったことは、大きなダメージ」と肩を
落とす。電気料金の引き上げも相まって経費増大をカバーできず、商品を値上げせざるを得なかったという。近年、新増設
した製造業の担当者は「F補助金は魅力的で、8年間分の相当額を当てにしていた。減額の事情は分かるが、年間で数百
万円減るので痛い」と打ち明ける。県は「低迷する立地地域の経済・雇用の安定のためには、電気料金の割引制度などで
企業誘致を進めることが必要」とし、国に必要な予算を確保するよう要望している。
桜島に噴火警報、川内原発影響は
鹿児島県は災害対策本部設置(福井新聞2015年8月15日午後4時20分)
気象
庁は15日、鹿児島市の桜島に噴火警報を出し、噴火警戒レベルを3(入山規制)から4(避難準備)に引き上げた。規模の
大きな噴火が発生する可能性が非常に高くなっており、鹿児島県は災害対策本部を設置。住民の避難が始まった。桜島を
対象にした警戒レベル4は初めて。政府は、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置、関係省庁災害警戒会議
で対応を協議することを決めた。気象庁によると、15日午前7時ごろから桜島を震源とする地震が多発し、山体の膨張を示
す地殻変動が大きくなっている。このため、昭和火口や南岳山頂火口から3キロ以内に位置する鹿児島市の有村町、古里
町では大きな噴石と火砕流に警戒が必要で、避難準備を呼び掛けた。鹿児島市は午前11時50分に避難準備情報を発表。
対象は有村町の全域、古里町の一部、黒神町塩屋ケ元地区の計51世帯77人(5月1日現在の人口)。市は桜島に2カ所
の避難所を開設し、消防団員らが同行した市営バスが巡回して輸送している。桜島と鹿児島港を結ぶ市営フェリーは避難
者に対応するため、増便して対応した。噴火警報を知らない多くの観光客が桜島に滞在しており、森博幸市長は記者団に
「大変危険な状況だ」として、連絡徹底を急ぐ方針を示した。気象庁の担当者は記者会見で「マグマが浅い所まで上がって
きているのではないか。今すぐ(大規模な)噴火をしてもおかしくない」と指摘。ただ58人の死者・行方不明者を出した大正
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大噴火(1914年)のような大量のマグマを示すデータはないとしている。11日に再稼働したばかりの九州電力川内原発1
号機(鹿児島県薩摩川内市)は、桜島から約50キロの位置にある。九州電力によると、異常はないという。桜島では今年に
入り、活動が活発化するマグマや大量の火山ガスが原因とみられる山体の膨張を継続的に観測。昭和火口の爆発的噴火
は今年に入って690回を超え、早いペースで発生しており、5月21日には噴煙が昭和火口から高さ4300メートルに達した。
桜島の昭和火口では2013年8月18日、噴煙の高さが5千メートルに達する噴火が発生、鹿児島市などに大量の灰が降り、
交通機関に影響が出た。鹿児島市によると、桜島の人口は約4500人。
海のセシウム、台風で拡散か
毎年秋に濃度上昇
東京電力福島第1原発から南東約100キ
ロの茨城県沖の海中で、放射性セシウムの濃度が毎年9月ごろに上昇しているとの観測結果を
海洋研究開発機構の本多牧生上席技術研究員らのチームが18日付の米化学会学術誌に発
表した。放射性セシウムを含んだ沿岸の浅い海底の堆積物が台風の影響で巻き上がり、沖合
に向かって流されているとみられるという。チームは2011年7月から14年7月に、観測点の水
深500メートルと千メートルで、微小な粒状の物質を捉える装置を設置。集まった物質を回収し
て分析した。2015/08/18 03:00
原発維持に1兆4千億円
【共同通信】
発電ゼロ時の電力9社
東京電力など原発を保有する電力9社が、稼働している原発がなかっ
た2014年度に、原発の維持、管理のため計約1兆4千億円を使っていたことが分かった。各社はこの費用のうち多くを電
気料金に転嫁しているが、原発の代わりに使う火力発電の燃料費も増え、財務悪化や電気料金の上昇につながっていると
みられる。各社が早期の原発再稼働を目指す背景には、こうした維持管理費負担もありそうだ。9社は有価証券報告書で
「原子力発電費」として原発関連の支出を公表している。14年度は計約1兆4260億円で、内訳は人件費や修繕費、使用
済み核燃料の再処理費などだった。2015/08/17 17:09
泉田氏、田中委員長と会談へ
【共同通信】
原子力規制委、異例の容認
全国知事会の危機管理・防災特別委員長を務める泉田裕
彦新潟県知事は、来週にも原子力規制委員会の田中俊一委員長と会談し、原発事故時に住民の被ばくリスクを減らすた
め緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を活用することなど原子力防災対策を求める方向で調整し
ていることが14日、分かった。規制委は「独立した意思決定」を掲げており、委員長が政治家と個別に会うのは異例。事務
局の規制庁は今回の会談について「個別の自治体ではなく知事会の要望活動である上、泉田氏が面会を強く望んだ」と説
明している。2015/08/14 18:55
【共同通信】
拡大する電力域外供給-3大都市圏で競争過熱
電気新聞 2015/08/18
NEW
◆東電、TCSは低価格で顧客獲
得/中部・関西は首都圏に布石着々 東京電力が100%子会社のテプコカスタマーサービス(TCS、東京都江東区、川崎
敏寛社長)を通じ、中部・関西両電力エリアへの攻勢を強めている。関電エリアでは国内コンビニエンスストア最大手のセブ
ン―イレブン千店舗(計約3万2千キロワット)に10月から供給を行う大型契約を獲得した。大阪に続き、8月には名古屋に
も営業拠点を設けるなど積極姿勢が目立つ。一方、中部・関西の両電力も首都圏市場攻略に着々と布石を打っており、守
る立場の東電は厳しい対応を迫られている。東電の域外進出が引き金になって、三大都市圏で電力間競争が過熱しつつ
ある。
「価格破壊に近い。我々がとても対抗できないほど安い料金が提案されている」。関電エリアで営業するある新電
力(特定規模電気事業者)幹部はこう話し、TCSへの警戒心をあらわにする。 今回明らかになったセブン―イレブン・ジャ
パンとの契約は、昨年のヤマダ電機に続き、東電の域外進出を象徴する案件になりそうだ。関係者によると当初は部分供
給を使い、100店舗程度への電力供給を想定していたというが、ふたを開ければ店舗数で約10倍の大型契約だった。セ
ブン―イレブンが近畿地方で展開する約2300店の半数弱が10月以降、関電からTCSに電気の調達先を切り替える。TC
Sは電力供給だけでなく、店内の設備を高効率化するソリューション提案もセットで行ったようだ。
第13次5ヵ年規画期の石炭化学工業に前門の低油価と後門のシェールガス (15/08/14)2015/08/17
中国化工報
の報道によると、8月7日に新疆石河子で開かれた新疆天業集団第13次5ヵ年規画並びに第3回石炭化学工業イノベーショ
ン発展フォーラムにおいて、中国の石炭化学工業の専門家は、高油価を背景にしていた第11次及び第12次5ヵ年規画期と
は打って変わって、第13次5ヵ年規画期における中国の石炭化学工業の発展は中・低油価のチャレンジと米国シェールガ
ス産業の台頭による衝撃に直面するとの認識で一致し、今後の中国の石炭化学産業の発展をめぐっては産業環境の変化
と低油価がもたらす影響を注視しつつ、ハイエンド化に向けた発展を加速しなければならないと表明した。特に国家発展改
革委員会マクロ経済研究院の呉暁華副院長は次のように表明した。第13次5ヵ年規画期における中国化学工業の発展環
境は低油価によって特徴付けられることになり、しかも短期間で高油価時代に回帰することはない。国際産業発展の環境
にはすでに極めて大きな変化が発生している。中でも米国のシェールガスとシェールオイル開発により、中東の石油・天然
ガスの流れは欧州に向かうことになる。こうした背景の下で、石炭化学工業は「四新」を模索しなければならない。すなわち、
新産業、新製品、新業態、新モデルであり、品質がより高く、収益がより優れ、構造がさらに最適化し、優位を十分に発揮で
きる新しい発展の道筋を歩むべきである。将来の国内産業環境の変化から見て、第13次5ヵ年規画期の中・低油価時代に
あっては、中国の化学産業は引き続き多国籍企業からの産業浸透の競争と資源国の低コスト製品との競争に直面すること
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になる。(中国煤炭資源網 8月14日)
「一帯一路」によって中国PVに改めて海外進出のチャンス (15/08/13)2015/08/17
中国は今年、「一帯一路」(陸と
海のシルクロード)戦略を重点的に推進することになり、中国の太陽光発電産業にとっては新たなチャンスになる。「新常
態」の下での中国の発展戦略は、グリーン・低炭素・循環発展になるが、こうした戦略は「一帯一路」の全体的な共同建設に
おいても指導思想になる。そのため、新たな歴史的背景の下で「一帯一路」の建設はグリーン・環境保護の発展理念に従う
ものになり、中国の太陽光発電の「走出去」(対外進出)に新たなチャンスをもたらす。「一帯一路」沿線諸国の人口は世界
の約60%を占め、経済規模は世界の30%近くに上る。経済協力規模の拡大と技術進歩に伴って沿線諸国の経済成長に
は大きな展望があり、新エネルギーに対する需要も日増しに増加するに違いない。太陽光発電など新エネルギー産業の発
展は沿線諸国の生態環境保護、産業発展や省エネ・排出削減等に対してポジティブが効果を生む。エネルギーは「一帯
一路」建設の先行分野の一つになる。現在、太陽光発電など新エネルギーのコストはますます在来型エネルギーに近づい
ており、向こう5年間で太陽光発電のコストはさらに低下すると予想される。そのため、「一帯一路」の推進に伴って国際協力
が深まると、中国の太陽光発電産業は技術水準や市場競争力の面でいずれも新たなレベルアップが可能になる。中国のP
V生産能力はすでに世界全体の70%を占め、科学研究分野でも全面的にリードしている。中国の製造業はビジネスモデル
の製品並びにサービスのイノベーションによって「中国製造」から「中国創造」への転換を進めており、中国のPV企業も先進
製造技術とビジネス理念を世界へ送り出すことを前向きに模索している。中央政府が「一帯一路」戦略を打ち出したのは正
にそうした時である。「一帯一路」戦略は中国PV企業のグローバル配置の新たな道を開くものになり、多くのPV企業は「走
出去」の面で先駆け、「一帯一路」市場を開拓しようとしている。こうした情勢の下で、亜洲PV産業協会、中国PV産業協会、
中国再生可能エネルギー学会、中国機電製品輸出入商会、中国循環経済協会再生可能エネルギー専門委員会、&#214
57;発展改革委員会国際協力センター国際エネルギー研究所は共同で、中国PV産業チェーンの上流企業を結集して各
国政府からPV産業に対する支援政策を取り付け、新興PV市場を開拓し、中国のPVの上流・下流企業を連合して海外にP
V産業基地を建設し、各大市場との間で友好型貿易協力パートナーシップを結成することを発議した。太陽光発電の筆頭
企業である協●集団はすでに海外事業部を設けて、北米、インド、北アフリカ等の政府機関と疎通を図り、海外産業パーク
発展基金の開設を計画している。海潤光伏も海潤光伏インド有限公司を設立して、太陽電池、モジュール、半製品等の研
究開発を手がけると発表していたが、その後、海潤光伏インド有限公司と海潤光伏シンガポール有限公司の共同出資によ
ってインドのニューデリーに海潤光伏電力有限公司を設立し、PV製品の生産、販売及び研究開発やPV事業への投資を行
うことになった。その他にも、天合光能、阿特斯、新日光、陽光電源、江蘇愛康、信義光伏、蘇州中来光伏は「太陽光発電
産業国際協力宣言」に調印し、海外市場の開拓で協力を進める意向を表明した。「一帯一路」において太陽エネルギーの
大規模な使用は一つの基礎になり、太陽光発電産業は中国の「新常態」の下で「一帯一路」の重要な柱になる。「一帯一
路」沿線諸国の発展はエネルギー、インフラ建設、技術、人材、資本を必要とし、一方、中国はそうした面で能力と実力を蓄
積している。中国企業、特にブランド製造業を代表するPV企業は現在「走出去」を加速させており、需要、市場、ポテンシャ
ルを備える諸国に対して中国PV企業は開放的な姿勢で大胆に「走出去」を進めるべきである。(中国能源網 8月13日)
●…「森」の「木」を「金」に
中国海洋石油の石油化学事業統廃合計画が浮上 (15/08/13)2015/08/17
中国海洋石油(CNOOC)の石油化学
事業の最適化・統廃合計画案はほぼ形作られており、さらなる修正を経た上でCNOOC党組の審議にかけられる。CNOOC
の楊華董事長(会長)兼党組書記は改革深化指導小組第7回会議において、CNOOCの石油化学事業の最適化と統廃合
の必要性、急迫性はすでにコンセンサスになっており、改革の時機は熟していると表明し、石油化学事業の最適化と統廃
合を前向きに推進しなければならないと述べた。2014年の中国石油化工(SINOPEC)と中国石油天然ガス(CNPC)の混合所
有制改革に続き、これまで潜行していたCNOOCの石油ガス事業改革案がようやく浮上した。CNOOCは改革についてそれ
以上の詳細な情報は明らかにしていないが、同社の石油ガス資産の統廃合はCNPCとSINOPECの混合所有制路線とは全
く異なるものになる。CNOOCの陸上業務はスタートが遅く、「片足歩行」のゆえにCNOOCは石油価格の大きな変動に際し
て比較的大きいリスクに直面する。2009年、CNOOCは石油化学販売事業部を設け、製油や石油製品の販売等の業務を
一括管理することになった。これはCNOOCが整った産業チェーンを構築する上で初めての部署になった。CNOOCの石油
化学事業の中では恵州製油所が主力になる。恵州製油所はCNOOCが初めて単独出資により建設した大型製油所であり、
原油精製規模は第1期1,200万トン/年になる。第2期は2013年に着工され、製油1,000万トン/年、エチレン100万トン/年に
なる。第2期がフル稼働すると、恵州煉化の製油能力は年間2,200万トン、エチレンは200万トンになる。(中国能源網 8月13
日)
[イラン] イランAEO長官、中国による2 基の原子炉新設に期待
電事連2015年8月17日2015 年7 月22 日、イランの
原子力機構(AEO)のアリ・アクバル・サーレヒー長官は、前週の核開発疑惑の解決合意に基づき、新しい原子力開発の方
向の一つとして、同国において中国による2 基の原子力発電所が新設されることを期待している、と語った。同発電所の立
地場所は、オマーン湾の近くのマクラン海岸が想定されており、同国は今後2〜3 年で両機を含めた4 基の原子力発電所
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を同時期に建設開始する予定という。
[韓国] 「第7次 長期電力需給基本計画」が完成
電事連2015年8月17日韓国産業通商資源部は、2015 年7 月23
日、「第7 次・長期電力需給基本計画」の策定作業が完了したと発表した。計画では、電力需要は平均年率2.1%で増加し、
発電所の廃止を考慮すると、2029 年までに345万6,000kWの新規電源を開発する必要があるとしている。最大電力は年率
2.2%で増加するとしている。発電部門の二酸化炭素(CO2)排出量を削減するため、新規電源の86.8%は原発で、2029
年までに原子炉2 基(150 万kW×2 基)を新たに運開する予定である。
[米] ユタ州で原子力発電所建設候補地調査計画が可決
電事連2015年8月17日2015 年7 月23 日の報道によると、
ユタ州のワシントン市は原子力発電所建設地を決めるための調査資金を提供する「カーボンフリー電源計画」を承認した。
同計画ではニュースケールパワー(NuScale Power)社の小型モジュール型原子炉(SMR)を将来的に利用することを目指
している。なお、SMR はアイダホ州のアイダホフォールズの地域で建設され、計画がうまくいけば2024年運開予定である。
今回ワシントン市議会は同決議を満場一致で可決し、実際の建設地を決定するための研究と詳細な全体的な実効性につ
いての研究の2 段階に予算を振り分けた。ワシントン郡は第1 段階の研究のため2 万ドルを負担し、第2段階の研究では1
30~260 万ドルを負担する。本計画では他にもSMR開発のため米国エネルギー省(DOE)から2 億5,000万ドルを受け取っ
ている。
[米] ネバダ州選出上院議員がユッカマウンテンに関する法案を提出
電事連2015年8月17日ネバダ州選出の上院議
員2 名(民主党リード氏と共和党ヘラー氏)は2015 年7 月22 日、ネバダ州のユッカマウンテン使用済燃料処分場計画に
関する法案を提出した。本法案は、連邦政府が同処分場の活動を再開するに先立って、ネバダ州知事と地方自治体の承
認を求めている。今回の法案提出は、共和党下院を中心にしたユッカマウンテン計画の復活を目指す動きへの牽制との観
測がある。
[ベトナム] 低レベル放射性廃棄物の貯蔵・処分施設、2016 年に着工へ
電事連2015年8月19日ベトナム放射線・核
安全局(VARANS:Vietnam Agency for Radiation and Nuclear Safety:2008年設立)は2015 年7 月29 日、政府の「放射
性廃棄物管理政策」を受け、低レベル放射性廃棄物貯蔵・処分施設の建設計画について、年内に建設地点を選定し、201
6 年に着工すると発表した。
[ルーマニア] 再エネ業界団体、グリーン電力証書の再エネ比率調整を求める
電事連2015年8月19日2015 年7 月28
日付の報道によれば、再生可能エネルギー事業者の4 団体(RWEA、PATRES、RPIA、ARmHE)は政府に対して、グリーン
電力証書メカニズムによる再エネ比率の調整を求めていることが明らかになった。事業者団体は政府が需要と供給のバラ
ンスを調整せず、新規および既存の再生可能エネルギー事業への投資を推進しようとしており、最終的にはエネルギーコ
ストが上昇し需要家にマイナスの影響が出ると主張している。4団体はまた、グリーン電力証書の支援システムを安定化させ
るために、グリーン電力証書を受ける新規設備の認定について一時停止を求めている。
[ブルガリア] ブルガリア政府、日本からの投資に期待
電事連2015年8月19日2015 年8 月3 日付の地元紙は、欧州
政策担当のKuneva 副大臣はEU 加盟国と日本との自由貿易協定(FTA)締結に前向きな姿勢を示していると報じた。同氏
は薗浦外務大臣政務官と面会し、日本からブルガリアへの投資への期待とブルガリアから日本への農作物を中心とした輸
出の増加について説明した。エネルギー分野においても、法律改定等によって投資環境が改善していることを強調した。ま
た、同氏は会談の中で、再生可能エネルギーの高コストについてブルガリアの消費者が支払う余裕のない現状について明
らかにした。
[カナダ] 2025 年までにカナダの水力発電設備容量は約8,480 万kWに増加
電事連2015年8月19日2015 年8 月4
日付の記事によると、コンサル会社GlobalData から“Canada Power Market Outlookto 2025, Update 2015 - MarketTr
ends, Regulations, and Competitive Landscape”と題したレポートが発行された。その中でカナダの水力発電設備容量は
2014 年時点で約7,760 万kW であるが、年平均約0.7%の割合で増加して2025 年には約8,480 万kW となり、カナダ全
体の発電設備容量の49.4%を占めると予測されている。これは、現在建設中のいくつかの大規模な水力発電所の建設によ
る設備容量の増加や、既設水力発電所の増出力が見込まれるためである。水力の次に増加すると見られているのは風力
発電と太陽光発電であり、2025 年にはそれぞれの設備容量は2,490 万kW、690 万kW になると予測されている。また、水
力を除いた再エネ電源(風力、太陽光、バイオマス、バイオガス等)の設備容量は2025 年には3,490 万kWになり、カナダ
全体の発電設備容量の約20.3%を占めると予測されている。
仏:アレバ社フィルター付きベント設備を浜岡に納品
日本向け14番目
原産新聞2015年8月18日
アレバ社は8月17
日、中部電力浜岡原子力発電所4号機向けのベントシステムの納入が完了したことを発表した。同ベントシステムは、重大
事故による原子炉の圧力上昇が発生した際に、格納容器の保全を維持するために排気を行う設備である。福島第一原子
力発電所事故の教訓から2013年に制定された新規制基準により、原子力発電所にはフィルター付きベントシステムの設
置が義務づけられた。アレバ社の発表によると、同社のベント装置は、世界中の規制当局の殆どの必要条件を満たしてお
り、日本の原子力規制委員会による最新の評価においても同ベント装置が基準に適合することを期待するとしている。同シ
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ステムには、東芝のフィルターベッセル技術も導入されている。アレバ社原子炉・事業部門上級副社長のサママ氏は、「ア
レバ社は、原子力発電所の安全性向上のため、中部電力を支援することができ、誇りに思っている。日本のフィルター付き
ベント契約としては、PWRとBWR両方合わせて14番目になる。今後さらに同技術におけるリーダーとしての地位を固めて
いきたい」と語っている。
海洋研究開発機構が捕集調査、放射性セシウムの付着した海底堆積物が沖合に水平移動
原産新聞2015年8月18日
海洋研究開発機構は8月18日、福島第一原子力発電所沖合の水深500メートルおよび1,000メートルで3年間実施し
た捕集調査から、事故で放出された放射性セシウムの付着した海底堆積物が沖合に向かって水平移動している様子を捉
えることに成功したと発表した。この調査研究は、同機構が米国ウッズホール研究所との協力で行ったもので、発電所から
南東へ約100キロメートル離れた大陸斜面の1点(F1)の水深500メートルと1,000メートルに時系列式沈降粒子捕集装
置(セジメントトラップ)を設置して、2011年7月より同地点同水深の粒状物の連続捕集を開始し、2014年7月までに回収
されたものの主要成分および事故由来の放射性セシウムを測定した。測定結果によると、いずれの水深とも、観測開始直
後の捕集粒状物から放射性セシウムが検出されており、その沈降量(フラックス)と濃度は、2011年9~10月に最大となり、
その後、12月頃および2012年2~3月頃に増加した後からは徐々に減少していた。海洋生物活動に伴う季節変動やセジ
メントトラップ中の粒状物の土砂成分濃度を考慮した上、水深1,000メートルの放射性セシウムフラックスの方が水深500メ
ートルのものより平均的に大きいことなどから、捕集された多くの粒状物が、海流によって水平方向に運ばれてきた放射性
セシウムの付着した海底堆積物であると推定している。また、測定結果では、2012年と2013年の9~10月に放射性セシ
ウムの小規模な増加が観測されており、台風通過後に浅海域の海底堆積物が巻き上り、流れによって海中を大陸斜面まで
水平輸送されたものと推定している。本研究成果は、原子力事故に伴う海洋環境や生態系への影響評価などに活用され
ることが期待できそうだ。
米国:99%完成したワッツバー2号機で温態機能試験が完了
在のワッツバー原子力発電所©TVA
原産新聞2015年8月17日feb2015ワッツバー今年2月現
米テネシー州でワッツバー原子力発電所2号機(ウェスチングハウス社製PWR、12
0万kW)を建設しているテネシー峡谷開発公社(TVA)は8月11日、温態機能試験など同炉の包括的試験が完了し、シス
テムが設計通りの性能を有することが確認できたと発表した。今後は格納容器の健全性や、緊急用ディーゼル発電機など
安全関連機器で追加の試験を実施する計画。同炉の建設進捗率はすでに99%に到達しており、2016年初頭の営業運
転開始を予定するなど、米国において21世紀初の新設原子炉となる日も近い。同炉は1973年の建設許可に基づいて着
工されたが、TMI事故後の安全要件追加や電力需要の低迷などにより1985年に建設工事が停止。その後、約25億ドル
の予算を投じて完成させる計画が2008年1月から始まっていた。温態機能試験の実施は、運転許可の申請に先立ち必要
となる重要要件の1つで、運転許可の取得により燃料の初装荷が可能になる。TVAは同炉の60もの主要システムを一斉
に動かす一連の試験を8週間かけて実施。所内機器で発生させた熱を使ってシステムの温度と圧力を通常運転レベルま
で上昇させたほか、所内の蒸気を使って主要タービンを通常運転時のスピードまで回転させたという。今回収集した最新の
データは、これまでに実施した容器の開放試験や冷態耐圧試験、二次系耐圧試験などの試験情報に加えて蓄積し、米原
子力規制委員会(NRC)の規制に準拠した設計通りの安全運転が確実となるよう役立てる考えだ。
英国:オールドベリー1号機の使用済み燃料取り出しが完了
原産新聞2015年8月17日
内使用済み燃料プールⓒNDA
オールドベリー原子力発電所
英国のマグノックス社は8月11日、オールドベリ
ー原子力発電所1号機からの使用済み燃料取り出しを完了したと発表した。オー
ルドベリー原子力発電所は2基(GCR、23万kW)を有し、世界の原子力発電開発
の中でもパイオニア的存在であるコールダーホール型(マグノックス)炉をベースに、
双子ユニットとして1967年に運転を開始した。英国ではこれらの黒煙減速、炭酸
ガス冷却方式の原子炉が11サイト・26基建設され、オールドベリー原子力発電所
は初めて商業規模の運転を開始した発電所である。オールドベリー発電所の所有
者である原子力デコミッショニング機構(NDA)は当初、同発電所2基を2008年末に閉鎖する予定だったが、国内経済の
状況変化による電気料金上昇を受け、安全性改善に投資した上でこれら2基の運転寿命を2年間延長することを決定。そ
の後、2号機を2011年6月に閉鎖、1号機は3回に及ぶ運転延長を経て2012年2月に運転停止した。44年間稼働したオ
ールドベリー1号機は、閉鎖当時稼働中の原子力発電所の中で世界最古だった。オールドベリー2基が発電した電力量は、
1,375億kWhで、100万世帯が20年以上使用するのに十分な量であったという。同サイトにおいて、当面の最大の課題
は使用済み燃料の取り出しとセラフィールドへの移送であった。同発電所の運転を担うマグノックス社は、2013年に燃料取
り出し作業を開始、このプロセスは廃炉の中でも主要な部分であり、所長のM.ヒートン氏は、「今回の作業完了は、オール
ドベリー発電所の歴史においてもマイルストーンと言えるもので、我々は年末までに2号機も含め、燃料取り出しを完了させ
ていきたい」と述べた。取り出された燃料は、セラフィールドへ移送されるまで、サイト内の使用済み燃料プールに貯蔵され
る。NDAの事業部長であるB.バーネット氏は、「今回の燃料取り出し完了は、原子力発電所の管理ならびにメンテナンス
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の取り組み上で大きな軌跡である。この素晴らしい実績を挙げたオールドベリー発電所のマグノックス社チームに祝福を伝
えたい」と語った。今後、NDAは、本格的な廃止措置や浄化作業を進めていく。オールドベリーサイトには、日立製作所が
2012年にホライズン・ニュークリア・パワー社を買収したことにより、同サイトでの新規建設プロジェクトを掲げており、ウィル
ファサイトと合わせて合計出力540万kW以上のUK-ABWRを建設することになる。なお、2号機については、現在燃料
取り出しの85%が進んでおり、10月には完了の予定である。
JEPIC海外電力調査会:海外情報20150817
■2015. 8. 3中国:2015年上半期、原子力発電電力量753億kWh 中国原子力エネルギー工業協会は2015年8月3日、
2015年上半期の原子力発電所の発電電力量は753.7億kWhで、全発電電力量2兆7,091億kWhに占める割合が2.78%で
あったと発表した。6月末時点で、商業運転中の原子炉は25基で、発電設備容量は2,357万kWである。
■2015.
8. 2フランス:中国がアレバを救済か 2015年8月2日付のフランス紙は、取材に応じたフランス原子力事業者ア
レバのバラン会長が、中国によるアレバへの資本参加の可能性を示唆したと伝えた。アレバとフランスの大手エネルギー事
業者EDFは2015年7月30日、27億ユーロでEDFがアレバNPを買収するとした覚書を交わした。保有株式の売却その他を加
えても、2015~2017年の3年間に借入金の借り換えのためにはなおも34億ユーロが必要とされている。マクロン経済大臣に
よれば、国は20億ユーロの資本増強に応じる用意があるとしている。同会長は現在85%の国の出資比率は3分の2程度で
十分であるとして、外資の参加を模索、2030年までに100基以上の原子炉を導入すると見られる中国を有望な出資者と見る。
バラン会長は直前にプジョー(自動車)の会長として中国東風汽車の同社への資本参加を実現している。中国の資本参加
が技術の流出ではなく原子炉の注文をもたらすことに期待を寄せているが、一方で中国一国だけの資本参加を警戒する
声に対してはAtmea炉を共同開発している三菱重工の参加も考慮していると述べた。
■2015. 7.31ドイツ:再エネがドイツの全電力需要の78%に達する 2015年7月31日付の報道によると、7月25日土曜日に
再エネ電力(水力・バイオマス含む)がドイツの電力需要の78%をカバーし、過去の記録(2014年5月の73.4%)を更新した。
同日は風力導入量の多い北部を低気圧が通過し、一方南部は好天に恵まれたため太陽光・風力の合計出力が4,065万k
Wに達した。環境団体等は記録の更新を歓迎しているが、他方で再エネ導入量の増加により出力抑制を行うことが増えて
いるとの報道もある。2014年には風力発電の出力抑制に対する補償費用が1億ユーロを超えた。同費用は系統使用料に
転嫁され、需要家の負担となっている。
■2015. 7.30韓国:公営企業24社を統廃合 行政自治部(MOGAHA:Ministry of Government Administration and
Home Affaires)は2015年7月30日、公営企業の構造改革計画の一環として、5自治体(京畿道、慶尚北道、全羅南道、仁
川市、光州市)が保有する公営企業24社(経済、研究開発、観光関係)を統廃合して8社にすると発表した。同部は、地方
財政の合理化を図るため、各地域の公営企業の統廃合を推進している。
■2015. 7.30米国:ハワイ州と沖縄県が再エネ協力を再確認 2015年7月30日付の記事によると、7月10日にハワイ州議
会議事堂の商工会議所で開催されたハワイ・沖縄エネルギーイノベーションフォーラムにて、「ハワイ・沖縄クリーン高効率
エネルギー開発と普及(Clean and Efficient Energy Development and Deployment)」に関する協力覚書(MOC:Memora
ndum of Cooperation)がDavid Igeハワイ州知事と翁長沖縄県知事によって結ばれた。ハワイ州と沖縄県は姉妹都市の関
係にあり、2010年6月にもアメリカDOEとハワイ州、沖縄県、経済産業省が「クリーン高効率エネルギーに関するハワイ沖縄
協力」にサインしており、今回はこの協力を再確認した形である。今後は協力覚書に基づき電力系統の安定化やクリーン交
通機関、再エネ、エネルギー効率化、スマートグリッド技術などについての協力が行われ、スマートエネルギーアイランドな
どのプロジェクトを共同で行う計画である。
■2015. 7.29米国:エクセロン社が9月までに2原子力発電所の運転継続可否決断の意向 エクセロン社のChris Crane
社長兼CEOは2015年7月29日、PJM管内のバイロン原子力発電所(PWR、イリノイ州)とクアド・シティーズ原子力発電所(B
WR、イリノイ州)の運転を継続するかについて、9月までに決断するとコメントした。エクセロン社は以前にもクリントン、バイロ
ン、クアド・シティーズ原子力発電所の早期廃炉のリスクについて言及していた。イリノイ州議会が原子力の収益性を取り戻
すための予算を通す見通しがなくなり、Crane氏は8月10日に行われる容量市場オークション(2018年6月~2019年5月対
象)でバイロン、クアド・シティーズ発電所が約定できなければ運転継続は難しいとみている。
■2015. 7.27ベトナム:卸電力市場、2016年中に開設 ベトナム電力規制局(ERAV:Electricity Regulatory Authority o
f Vietnam)は2015年7月27日、発電部門への競争原理の導入を目的に、2016年中に卸電力市場を開設すると発表した。
現在、市場の詳細設計が行われており、上限価格には一定の制限が設けられるもよう。
■2015. 7.25バングラデシュ:クリーンエネルギー導入に1,500万ドル支援 2015年7月25日付の地元紙によると、世界銀
行は地方におけるクリーンエネルギー導入プロジェクトに、1,500万ドルを資金援助することを決定した。2012年から実施さ
れている同プロジェクトでは、導入実績に応じて資金援助が行われる。この資金援助により無電化地域に住む貧困層110万
人が恩恵を受けるとされる。
■2015. 7.24欧州:欧州委員会、最初のネットワーク・コードを採択 欧州委員会は2015年7月24日付で、「容量割当およ
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び混雑管理(CACM)に関するガイドライン」を設置する欧州委員会規則を採択した。これは、EU域内市場の統一的な電力
ネットワーク運用ルールを定める目的で、EU法令(第3次エネルギー・パッケージ)に従い、欧州送電系統運用者ネットワー
ク(ENTSO-E)が中心となって策定が進められている10種類の「ネットワーク・コード」の一つであり、今回は、これを欧州委
員会が規則として採択した初めてのケースとなる。CACMに関するガイドラインでは、国際連系線の送電容量の算定や、前
日市場・当日市場の運用、入札ゾーンの設定・見直しなどに関するルールが示されている。本規則は2015年7月25日にEU
官報に掲載され、20日後の8月14日に発効することとされている。
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