自社商標権ブランド・ライセンスビジネス&日中商標登録アドバイザー 135-0061 東京都江東区豊洲 4-11-20-1608 TEL 03-3532-6512 http://www.o-ou.com 「杰士派商务咨询(北京)有限公司」董事長/「海威コンサルティング株式会社」代表取締役会長 「グローバルビジネス実践委員会」東京和僑会:副理事/「日本武漢経済文化交流協会」副会長 「チャイナプロフェッショナル」所属・専門コンサルタント/ 日中間ビジネスコンサルタント 【正の中国情報:2016/05/07】 取締役会長:小川 正 <374号> 『武漢特集』 ● フランス・リヨン行き、国際貨物列車が湖北省の省都・武漢市の駅を出発! 2016/4/6、11,300kmの行程を16日間で走行する。 「一帯一路」構想の後押しを受け、武漢市で2 012年にチェコとの貨物列車が開通したのを始め、長沙市(湖南省)・鄭州市(河南省)など内陸の諸都市 と欧州を結ぶ国際貨物鉄道が次々と開通しており、航空機・船舶に続く物流手段に注目が集まっている。 武漢と欧州を結ぶ国際貨物鉄道は、2012年にチェコとの間で開通し、2014年にはポーランド(ウッジ)、 2015年にはドイツ(ハンブルク・デュイスブルク)が開通するなど順調に拡大している。 長沙市・鄭州市 も、それぞれハンブルク・デュイスブルクを結ぶ貨物鉄道が週2便往復するなど、中国内陸部の都市は競 うように欧州との鉄道物流を推進している。 武漢市内の呉家山駅を4/6出発したリヨン行き1番列車には、機械製品・LED 照明・服飾品などのコンテ ナ44個が積まれ、新疆ウイグル自治区からカザフスタン・ロシア・ベラルーシ・ポーランド・ドイツなどを経 由してリヨンに向かう。 在武漢フランス総領事館の“フィリップ・マルティネ”総領事は「今回の鉄道開通は フランスと武漢の関係緊密化に資する。 ワインや農産物・服飾品などの対中輸出に弾みがつくだろう」と 期待感を示した。 また貨物列車を運行する漢欧国際物流の武光司総経理も、今後フランス国内に駐在 員事務所を設立し、本格的な需要喚起に努める方針を示している。 貨物の鉄道輸送の利点は、まずコストにある。 武漢から欧州までの貨物鉄道は1TEU(20フィートコン テナ換算単位)当たり6,000~8,000ドル。 上海経由の海上輸送に比べると数倍高いものの、航空 輸送(イグルー輸送)と比べると10分の1ほどの安さだ。 次に、スピード(トランジットタイム)では、海上 輸送と比べて3分の1ほどに短縮される。 このほか、鉄道輸送のメリットとされているのが、沿線の途中 駅からイランなど中央アジア、あるいはイタリアや英国などへと物流が拡大する可能性のあることだ。 こうしたメリットもあって、2016年第1四半期の武漢と欧州を結ぶ貨物鉄道は39往復、輸送貨物量は3, 512TEUに達し、2014年全体の輸送量を超えている。 欧州向け鉄道路線を有する中国の都市は約2 0だが、その中でも武漢市は実績面では首位に立っている。 武漢をはじめ内陸部の諸都市が欧州との 貨物鉄道を推進する理由は、中央政府による「一帯一路」構想の存在が大きい。 「一帯一路」に関連す るプロジェクトであれば、インフラ整備などで助成を受けやすいこと、中央政府からの評価が高いことが指 摘されている。 欧州向け鉄道輸送の利用を奨励するため、地方政府も独自に運賃を大幅に割り引くなど の助成措置を設けるところが多い。 <日系企業にも鉄道への切り替えを模索する動き> 現在、武漢にはPSAプジョーシトロエン・ルノーのほか、ヴァレオ・フォルシアなど約130社のフランス系 自動車および自動車部品産業が進出し、フランスからの投資が集中しており、貨物鉄道側では自動車関 連の需要掘り起こしに期待が高まっている。 他方、武漢に進出している日系企業約150社の大半を自動車および自動車部品産業が占めている。 中でも欧州・ロシア・中央アジアとの貿易(自社内貿易含む)を視野に入れている企業からは、従来の上 海経由の海上輸送から欧州への鉄道輸送に切り替えを模索する動きも出ている。 理由はリードタイム が圧倒的に短いほか、コスト面で地元当局が助成を行っていることもあり、比較的利用しやすい運賃負担 となっているためだ。 さらに、鉄道輸送時の通関や検査検疫は、貨物量が少ないことから、海運と比べ て速い点もメリットだ。 <2020 年までに「物流ハブ」都市を目指す> それでも海上輸送がコスト面、保冷室などの品質面で依然として有利との見方もある。 また、地方政府 による鉄道輸送への助成措置に対しては、地場系船舶会社から不公正との批判も出ている。 武漢市第13次5ヵ年規画(2016~2020)では柱の 1 つとして、高速総合物流システム構築を掲げている。 武漢の天河国際空港は滑走路の増設により、取扱貨物量は2020年までに44万トンに達する見込みだ。 また、長江沿いの武漢新港は2020年までにコンテナ処理能力550万TEU、2025年までに1000万T EUを掲げるなど、航空・船舶ともに物流基地としてのインフラを強化しつつある。 武漢市政府は欧州と の鉄道物流を、これら航空・船舶物流のインフラとリンクさせることで、「一帯一路」と「長江流域一体化開 発」という2大プロジェクトの結節点としての「物流ハブ」になることを目指している。
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