物流改革セミナー(第16回) 今後の中国貿易と物流の課題 2011年2月18日 物流・貿易コンサルタント Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 冨島 正和 物流改革セミナー(第16回) 目次 今後の中国貿易と物流の課題 1.今こそ必要な真のグローバル化 1‐1.世界経済における日本の危機感 1‐2.日本の経済成長戦略のカギは? 2.刻々と変化する中国経済と物流産業 2‐1.中国概況 2‐2.日本と中国の経済関係 2‐3.日中間の国際物流 2‐4.物流インフラ整備 2‐5.中国の国内物流の実態 2‐5‐1.鉄道輸送 2‐5‐2.トラック輸送 2‐5‐3.海上輸送 2‐5‐4.航空輸送 2‐6.進展する中国-ASEAN一体化 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 3.中国貿易物流の仕組み 3‐1.中国貿易取引形態 3‐2.中国の保税制度 3‐3.中国の輸出入業務 4.中国物流の課題と中国市場攻略例 4‐1.中国物流の課題 4‐2.日系企業の中国市場攻略例 5.中国進出にあたって 5‐1.中国人特有の思考と行動 5‐2.企業として付き合うには 5‐3.進出にあたって留意すべきポイント 5‐4.会社設立要件 2 物流改革セミナー(第16回) 1.今こそ必要な真のグローバル化 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 3 物流改革セミナー(第16回) 1‐1.世界経済における日本の危機感 日本の経済的地位はGDP世界第3位に低下し、景気を刺激する手 段やパワーも衰えており、市場中心は新興国にシフトしている。 z 中国、GDP世界2位へ前年比10,3%増で 日本抜く 1) •10年の中国名目GDPは 39兆7983億元 (約5兆8812億ドル) •15年には日本の1.5倍、 米国の半分を超えると予測。(IMF) •20年には米国も抜いて世界首位 と予測。(英国銀行) 日本経済はかつての活力を喪失! 債務残高973兆円 1人当り借金額674万円 1人当り名目GDPは 世界16位 z日本の低い貿易依存度 2) •域内貿易が多いEU諸国やカナダと 輸出拠点化を推進するアジア新興国 とは一概に比較できないが、 グローバル化を進める必要あり。 長引くデフレ 少子高齢化 企業収益低迷 厳しい雇用情勢 円高による 輸出頭打ち 世界市場のシェア喪失 貿易依存度の国際比較 (2009年) Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 4 物流改革セミナー(第16回) 1‐2.日本の経済成長戦略のカギは? 日本の底力を活かすには、大胆なグローバル化によって日本経済 再生を図ることが必要。 z新たな成長に向けた官民連携の挑戦 zあるべき成長戦略 輸出増 成長する新興国市場を日本の「内需」として取り込む。 各企業が得意分野に特化し産業再編が円滑に進む事業環境の整備 z主体的・戦略的な EPA・FTA・TPP交渉の推進 zODA改革 z輸送・物流関連インフラ強化 zオープンスカイの推進 z国際物流円滑化へのIT標準化 z貿易手続の合理化 生産の拡大 法人所得増 家計所得増 z租税条約ネットワークの拡充(課税リスク低減) z法人実効税率の見直し z製造業等のグローバル生産・物流管理の改善 zグローバル高度人材の育成 z最低賃金中期的引き上げ等 対外投資額・収益性を向上させ国内への資金を獲得する。 消費拡大 企業が戦略部門や高収益事業を日本国内に残しつつ、官民一体と なって「海外販売事業」から「海外投資事業」への転換を行う。 対外投資増 グローバル化による好循環 z総合事業型投資 z現地企業との合併会社設立 zM&A促進 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved z途上国のインフラ・地域開発 zODA等の企業活動支援等 5 物流改革セミナー(第16回) 2.刻々と変化する中国経済と 物流産業 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 6 物流改革セミナー(第16回) 2‐1.中国概況 今年から第12次五カ年計画が始まり経済成長を支えるとみられて いる。心配はインフレの高まりや金融引き締めによる景気減速。 中華人民共和国 People's Republic of China 国土 一級行政区 人口 13億3,474万人 (2009年12月末時点) 人口密度 東部沿海地区:400人 中部地区:200人強 西部高原地区:10人以下 (1平方キロ当り) 民族 漢族(全人口の92%) モンゴル族、回族 チベット族等56の民族 23省 5自治区 (内モンゴル・寧夏回族 ・新疆ウイグル・広西チワン族 ・チベット) 4直轄市(北京・天津・上海・重慶) 2特別行政区(香港・澳門) 名目GDP総額 実質GDP成長率 貿易総額 輸出額 輸入額 都市部住民1人当り可処分所得 農民住民1人当り純収入 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 960万K㎡ (日本の26倍) 通貨 1ドル=6.8325人民元 100日本円=7.0895人民元 (1人民元=14.1日本円) 1香港ドル=0.8816人民元 1ユーロ=9.5911人民元 【国家外国為替管理局2009月7月1日】 39兆7,983億元 前年比10.3%増 前年比34.7%増 前年比31.3%増 前年比38.7%増 前年比11.3%増 前年比14.9%増 [2010年] [2010年] 2兆9,728億㌦ 1兆5,779億㌦ 1兆3,948億㌦ 1万9,109元 5,919元 [2010年] [2010年] [2010年] [2010年] [2010年] 7 物流改革セミナー(第16回) 2‐2.日本と中国の経済関係 日中経済関係深化・拡大に伴い、物流分野の政策/技術、人材交 流推進、貿易手続円滑化に向けた協力が必要と思われる。 日中間貿易総額は231,030億円(総額の20.5%) 中国市場参入 を目的とした内 需志向型投資 経済構造問題 解決には日本の 投資と技術力が 必要! •衣類・同付属品 •電算機類(含周辺機器) •音響映像機器 •通信機 •織物用糸・繊維製品 等 3) 実は、中国 のASEAN向 け輸出分? 日本の輸出:113,105億円 日本の輸出総額の19.2%(第1位) 日本の直接投資総額:41.0億㌦(国としては第1位) 相互依存関係 •半導体等電子部品 •自動車部分品 •鉄鋼 •プラスチック •有機化合物 •自動車 等 輸出品でノック ダウンが行われ 日本に逆輸入 日本の輸入:117,925億円 日本の輸入総額の21.9%(第1位) Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 8 物流改革セミナー(第16回) 2‐3.日中間の国際物流 両国間の経済依存関係が深まる中、それぞれの特徴を活かし相 互協力や提携を重視し、円滑的な輸送システムを築くことが重要。 z輸送モード別比較 輸送モード 会社 例 起点∼終点 航海日数 出港船 輸送 能力 料金 海上コンテナ C社 東京∼上海 3日 ◎ ◎ ◎ 国際フェリー S社 大阪∼上海 48時間 △ ○ ○ 1∼2日 ○ △ △ 28時間 △ 水、土 ○ ○ 航空輸送 RO/RO船 (上海スーパーエクスプレス) S社 博多∼上海 z日中間コンテナ輸送実績 4) 2007年 (単位:TUE、%は前年比) 2008年 日経新聞 2010年11月17日朝刊 2009年 日本 → 中国 982,324 1.8% 958,317 -2.4% 942,453 中国 → 日本 2,174,130 0.7% 2,068,665 -4.9% 1,847,497 輸出入合計 3,156,454 1.0% 3,026,982 -4.1% 2,789,950 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved z中国出し日本向け輸入 -1.7% が日本での景気回復遅 れから2桁マイナス。 -10.7% z上海港は中国内陸部 -7.8% 向け玄関港として内需向 け貨物の伸長により 9 増進した。 物流改革セミナー(第16回) 2‐4.物流インフラ整備 中国政府は産業振興策として物流産業を重視しており、内需拡 大に大きな役割を担っている。 港湾物流システム計画 z物流産業の定義 輸送、倉庫貯蔵、フォワーディング 情報を融合する複合型サービス z具体的目標 海湾三区沿海港湾建設計画 長江デルタ 3PL事業者の育成 製造業との連携やサービスの高度化 都市物流、幹線物流の強化 複合輸送施設の設置 業界基準や関連技術の確立 等 z物流産業関連投資 珠江デルタ 港湾物流システム計画 (港湾、高速道路、鉄道、飛行場を 配置し、ネットワークとする構想。) Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 2020年までに日本円に換算し 道路20∼30兆円 鉄道でも20∼30兆円を投資し、 道路、鉄道、港湾、水路等の計画 が作られている。 10 物流改革セミナー(第16回) 2‐5.中国の国内物流の実態 物流インフラは整備されつつも、広い国土においては距離と時間 の概念は重要となる。 冬季陸路が厳しい (ロシア、モンゴル等) 南北の交通が分断 (黄河、長江の大河) 砂漠地帯がある (中近東、中央アジア等) 山岳地帯がある (東南アジア) 陸路が長い (上海∼北京1,850㎞は 稚内∼名古屋間に相当) Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 11 物流改革セミナー(第16回) 2‐5‐1.鉄道輸送 鉄道運賃そのものはかなり安価だが、両端にトラックの短距離輸 送を伴い、荷物の積み降ろし作業費用も掛かる。 現 状 z26兆円を2020年までに投資し、運営距離を74,000kmから10万kmに延ばす計画。 z単線を複線化、複線を複々線化する計画。 z大量輸送手段(通常積載重量50トンの車両を40両位繋げて一編成で走らせる)。 z「エクスプレスサービス」、「行包快車」、「郵行特快」など小口貨物への対応努力を進めている。 z拠点駅駅留めサービスに加え、トラック業者を窓口にしたドアツードアサービスも進んでいる。 z定時制、トレーサビリティー、安全性など課題も多く、日系企業はよほど大量で長距離以外、鉄道 はあまり使っていない。 z500km∼1,000kmであれば運賃の高いトラックで直接送る方が安くなる。 問題点 z国家の戦略物資が常に優先される。 z貨車を確保できるタイミングが読み難く、1ヶ月以上車両が出てこないこともある。 z駅にコンテナ積卸施設がなければ対応できないため、コンテナ輸送利用駅が限られている。 z鉄道コンテナは殆どメンテナンスされていない(雨天時には水が入り放題)。 zターミナル駅にフォークリフトなど荷役機器が乏しく、手作業での積み降ろしが大半である。 作業員教育も掛けており、荷物破損が続出し、防止策も講じられていない。 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 12 物流改革セミナー(第16回) 2‐5‐2.トラック輸送 情報ネットワークの欠如、割高運賃、小口商品の輸送については 依然問題が存在している。 現 状 zインフラ整備も充実しつつある「五縦七横ネットワーク」。 z全国ネットのトラック業者は存在せず混載路線便がないため、小口であっても貸切扱いによる輸 送を主力とせざるを得ない。 問題点 z基本運賃に加え、未だに残る「現代の関所」(各省、町、村が道路にゲートを設置し、通行料や洗 車料を徴収する)の出費のため鉄道より相当割高な運賃となっている(過積載問題)。 z信頼できる物流業者が少ない。 z荷扱いが悪く、貨物が破損するケースが多い。 z情報ネットワークが欠如しており、ドライバーがどこにいるか分からない。 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 13 物流改革セミナー(第16回) 2‐5‐3.海上輸送 上海港2010年コンテナ取扱量が前年比16%増の2906万9000TEU (20フィートコンテナ換算)となり、初めてシンガポールを抜き世界一。 現 状 z世界の港規模を主要港で見ると、上位30港のうち中国大陸が7港入っている。 (1位:香港、2位:シンガポール、3位:上海、4位:深セン‥) z貨物取扱量では8港が上位10港に入っており上海港は世界最大規模。 1億tを超えている港湾はアモイ、湛江、湖州、江陰の4港が新たに加わり20港に増えた。 z内航コンテナ船は、年々航路が増えている。 z混載の場合、日中航路の多くの船社は、20フィートコンテナ1本の運賃の1/10位を1フレートトン当 りの運賃に設定している(フレートトンで10㌧の小口混載貨物運賃=コンテナ1本運賃)。 問題点 z長江水運は船混み、夜間航行規制等で相当の日数を要する。 z気象条件によりスケジュール遅延が発生する。 z運賃レートが大きく変動する。 (日中航路の場合、通常20フィートコンテナ1本当り 200㌦∼600㌦、 超繁忙期は1,000㌦を超えることもある)。 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 上海外高橋コンテナヤ−ド 上海洋山港 14 物流改革セミナー(第16回) 2‐5‐4.航空輸送 立派な空港が続々とできており、北京(北部)、上海(中部)、香港 (南部)がハブ港となり、国内空港に繋がっている。 現 状 z小ロット/緊急対応品の輸送に最適。 z国内航空運賃は意外と安価。 z世界最大手が、国際クーリエ貨物の大半を押さえており、合併・独資の輸送網拡充しつつある。 z最近では貨物専用機が多数導入されている(昔は旅客機の荷物室)。 問題点 zローカル空港の場合、機材の関係から搭乗客貨物を優先することがある。 z航路がない路線がある。 z空港からの二次輸送費用が発生する。 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 15 物流改革セミナー(第16回) 2‐6.進展する中国-ASEAN一体化 中国・ASEAN自由貿易圏が1周年を迎え、広西・ASEAN間の貿易 規模は拡大し、双方の協力が深化を続けている。 z「中国・ASEAN協力が進展 最前線は広西自治区」 中国にとってASEANは日本に替わる3番目の貿易パートナー、 ASEANにとっても中国は3番目の貿易パートナー。 2010年の中国・ASEAN間貿易額は2927億8千万ドルで 同37.5%増加した。 z中国・ASEAN自由貿易圏の建設 z同自治区が汎北部湾経済協力圏 z大メコン川準地域(GMS) 多国間協力 z中国・ベトナム間の「両廊一圏」 z南寧・シンガポール経済回廊の建設 5) 中越回廊 東西回廊 南北回廊 南部回廊 ドル、ユーロに続き、人民元 が第3基軸通貨!? 「人民元をアジア共通通貨に」 決済通貨の可能性が 一気に高まる Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved バンコク∼シンガポール 16 物流改革セミナー(第16回) 3.中国貿易物流の仕組み Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 17 物流改革セミナー(第16回) 3‐1.中国貿易取引形態 中国の貿易形態は、「一般貿易」と「保税加工貿易」で、中国貿易 の半分以上が加工貿易で占めている。 z「加工貿易」の中国における輸出入 z貿易形態 一般貿易(いーぱんまおい) 増値税(17%)を関税と一緒に支払わないと輸入できない。 (増値税:日本の消費税に似ており、中国の「消費税」は 贅沢税にあたる。) 貿易依存度の国際比較 (2009年) 貿易形態 加工貿易 (本4頁) 中国の貿易依存度がなぜ高いのか? 易貨貿易 バーター取引 (物々交換) 貿易の中で加工貿易が大きな割合を 占めており、貿易額の過半が外資系 企業によって行われているから‥ じゃーごん) 來料加工(らいりゃお じゃーごん) 出料加工 來料加工 來料装配 租賃貿易 リース商品の 輸出入貿易 その他 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 進料加工(じんりゃお 來図加工 三來一補 補償貿易 18 物流改革セミナー(第16回) 3‐1.中国貿易取引形態 加工貿易とは、原材料を海外より輸入し、それを加工して製品に した後、再び海外へ輸出する貿易形態を指す。 加工貿易 進料加工 加工メーカーが原材料・部品を自分の費用で輸入、中国国内で組み立て又は加 工を施した後、完成品を海外企業へ販売する。輸出入は自分の責任で行うので買 い先や売り先が別会社でも問題なく、独立性がある。 來料加工 中国の会社に製造委託する人が原材料・部品・設備等を無償で支給して、中国 メーカーに加工させて製品を引き取る。中国に対して支払うのは加工賃のみ。 出料加工 加工を受けた中国メーカーが第三国に加工させ、中国へ戻す方式。 保税状態 (輸出まで税関監視) 【進料加工】 【來料加工】 原材料・部品を輸入 原材料・部品を支給 原材料・部品代金支払 完成品を納入 完成品を販売 中国加工メーカー 完成品代金の支払 海外企業の資産 (輸出まで税関監視) 海外企業 中国加工メーカー 加工賃の支払 海外企業 加工貿易は、関税、増値税、消費税の納税を保留したまま輸入・加工し、製品を輸出すると 免税品になる。許可取得は国内の非保税地域で行われる契約単位で管理される保税制度。 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 19 物流改革セミナー(第16回) 3‐2.中国の保税制度 輸出入に際し本来納めるべき関税や増値税等が留保される限定 された保税エリアで行われる制度。(加工貿易は限定されていない保税制度) 保税エリア機能 地域概要 許可数(2009末) 保税区 港湾を中心とする総合保 税地域 15ヵ所 輸出加工区 加工製造可の保税工 業団地 60ヵ所 保税区に付帯・発展型 保税物流園区 港湾等に連動した 保税区 10ヵ所 保税物流センター 内陸保税区域に付 帯 17ヵ所以上 進出企業構成 メーカー、貿易、運輸、コ ンサル メーカー、貿易、物流 可能な事業 保税蔵置、加工、中継貿 易、区内売買 保税蔵置、加工、区内 売買 加工、区内売買、加工後の蔵置 一般貿易、小売 加工(生産) 許可されない活動 輸出増値税還付 13ヵ所 大部分の活動 規程なし ○ ○ 主な特徴 関税未決のまま貨物持込 み、保管、加工、製造が 可能 税関への申告・申請手 続きを速やかに行うこ とが可能 複数の物流施設お よび多数の物流事 業者の集積地 問題点 増値税還付政策が変則 的。 販売先が大きく制限さ れる。 区内での加工(生産)業務は禁止 「中国内で製品を加工 生産し、海外市場へ販 活用事例 売したい」企業向け。 (中国から見て輸出 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right型) reserved 港湾を中心とす る総合保税地域 メーカー、貿易、 運輸、コンサル 貿易、物流 ×(船積み後) 「海外製品を中国内市場 へ販売したい」企業向け。 (中国から見て輸入型) 保税港区 ○ A型:単独業者型 B型:複数業者型 「中国での委託加工先工場が加工生産した 製品を中国内市場へ販売したい」「中国内 で中国製品の在庫を持ち海外市場へ販売 したい」海外企業向け。 ○ 最も多様な機能 歴史が浅く、実例 が乏しい 保税物流園区と 輸出加工区を組 合せたイメージ。 20 物流改革セミナー(第16回) 3‐3.中国の輸出入業務 地域的違い、個々の法令解釈等による対応の違いはあるが、基 本的に中国の輸出入システムは日本と大きく異なることはない。6) 中央政府 部・委員会 国務院 (日本の内閣に該当) 直属機構 (官庁) 海関総 署 z税関関連組織の構成 •輸出入監視・管理 •関税、諸税・費用徴収 •関税統計処理 地方政府 直属税関41ヵ所 許可証 税関 •交通手段・貨物・物品の 国境通過管理・監視 •関税・その他の税の徴収 •密輸等違法行為の取締 •輸出入等の統計 中国海関法(税関法第2条) 商務部 許可証 税関立証 (日本の経済産業省に該当) •貿易産業政策 検験局 •国際条約に基づく安全保障 に関わる物品と技術の輸出入管理 国家質量監督検験検疫総局 •輸出入商品の検査、検疫 •国内販売向けの品質検査 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 法令等の制度制定は、 “中央” 運用は“地方”が行う 通関が切れない、時間が掛かる‥ は、税関トラブルでなく 検験局による場合が多い 銀行 •銀行審査 •入金・送金 21 物流改革セミナー(第16回) 3‐3.中国の輸出入業務 z輸出入者登録番号(中国CRコード) z中国電子口岸 2011年1月1日からの輸出入通関貨物より 完全義務化 中国電子口岸ネットワーク構造 公安ネット 交通ネット 税関ネット 工商ネット H2000 公共データ センター 税務ネット 95199ネット 中国の取引先に要確認。 質検ネット 銀行ネット CR コードとは、輸出入者登録コード Customs Registration Code であり、 各国で貿易取引をする業者に割り当てられる ID コード(中国税関にて輸出入者様が登録された 際に中国当局より付与される10桁の番号)。 外為ネット 外貿ネット 輸出入企業の登録、契約、税金、外為、 通関申告所、マニフェスト管理等 ワンストップ方式で情報共有・利用できる。 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 企業 インボイス上にCR コードの記載があれば、 現地での通関処理が早くなる。 CRコードがない状態で中国にて輸出入通関をする 場合、CRコードが確認できるまで通関手続きを保 留されることになる。 22 物流改革セミナー(第16回) 3‐3.中国の輸出入業務 zHS番号の重要性 ※2011年1月1日からの 輸出入商品は必ずどれかのHS番号に分類しなければならない。 輸出入通関貨物より (通関、貿易管理、検査検疫等の輸出入に関係する管理) 日本の関税分類コード体系 □□ □□ □□ HSコード 完全義務化 HS番号の認定 □□ □□ 輸出入 NACCS用 統計分類用 方法1 申告者が海関(税関局)が発行する本で 決定する 中国の関税分類コード体系 □□ □□ □□ HSコード □□□□ 細分類 関税品目総数:HSコード8桁分類で7,977品目 (2011年版「税関輸出入税則」) 6桁の数字:世界共通 7桁目以降:各国の事情に合わせて細分化 (日本のコード番号をそのまま中国で当てはめる ことができない品目も多数ある) Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 方法2 申告者が海関(税関局)で 検索する。 http://www.customs.gov.cn/default.aspx?tabid=9409 方法3 通関申告前に海関(税関局)へ申請し、 HS番号の帰属を決定してもらう。 認定されたHSコードで、商品にかかる関税率、 通関の際に必要な検査内容、添付書類が決まる 23 物流改革セミナー(第16回) 3‐3.中国の輸出入業務 税関登録手続 原料 売買契約の締 結 製品 進料加工 •貿易方式 •歩留り •輸出入地 •輸入原材料と輸 出する製品の名称 及びHS番号 •企画・型号 •価格 •原産地等を申告。 他法令関係許可取得 輸入許可証等の取得 契約の締結 一般貿易輸入 輸入準備 船積貨物 •I/V、P/L、B/L •本船到着確認 (A/N、D/O) 保税エリア •I/V、P/L、貨物 引取証の入手 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 加工貿易手冊データ登録完了 加工契約の締 結 來料加工 加工貿易輸入 商務部へ申請し﹁批准証書﹂ 受領 z輸入業務の流れ 輸入準備 船積貨物 •I/V、P/L、B/L •本船到着確認 (A/N、D/O) 保税エリア •I/V、P/L、貨物 引取証の入手 通関申告 申告書作成・データインプット データ審査・現場税関審査 通関申告 申告書作成・データインプット データ審査・現場税関審査 税関検査 許可済申告書・D/O入手 通関申告書等提示 通関手仕舞い 外貨決済用通関証明書 (申請・受領) 関税・増値税・消費税 納付 許可済申告書・D/O入手 通関申告書等提示 税関検査 HS番号、税率確定、検査 検疫、その他法令関係 通関手仕舞い 外貨決済用通関証明書 (申請・受領) 24 物流改革セミナー(第16回) 3‐3.中国の輸出入業務 出荷準備 •I/V •P/L •輸出報告書 •他法令関係許可取得 (申請書、契約書、カ タログ等) 直輸出船積 •船積指示の受領 •商品、数量、時 期、仕向先、船会 社 S/I作成 ブッキング 1 船 積 書 類 作 成 輸出申告書送信 ・ インプット Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 直輸出 核銷単 ︵ 報告書︶作成 保税物流園区 •トラック手配 •輸送時期決定 •現地会社へ連 絡 書類作成・申請 保税物流園区 移出 輸出申告書作成 直輸出 輸送手配 LCL→トラック FCL→コンテナ 生産完了通知 出荷調整 受渡場所、時期 通関方法 保税物流園区 出荷日程の調整・ 生産 直輸出 出荷形態の決定 輸出 1 FCL、LCL 船会社選択 z輸出業務の流れ 現場税関輸出申告 直輸出 I/V、P/L、輸出申告書、 核銷単、D/R、他法令許 可証等 保税物流園区 D/Rを除き上に同じ 税関検査 •HS番号確定 •商品検査 •他法令に関する検査 2 25 物流改革セミナー(第16回) 3‐3.中国の輸出入業務 •CLPの作成 •CLP、D/Rをコン テナ運転手に託送 保税物流園区 •トラック積 み作業 直輸出 保税物流園区 保税物流園区 出荷作業 •コンテナ詰 め作業 •シール •トラック積 み(CFS) 輸送書類の作成 直輸出 直輸出 通関完了 2 •許可済輸 出申告書、 核銷単受 領 •輸出関税 納付 •D/R押印 •許可済輸 出申告書、 核銷単受 領 •輸出関税 納付 •D/R押印 コンテナ積込み準 備 z輸出業務の流れ(∼続き) •貨物送り状の作 成 •貨物送り状、税関 書類等運転手に 託送 通関手仕舞い 銀行買取または入金 核銷単を銀行に提出 輸出増値税還付要を申請 し受領する 加工貿易データ、保税台帳、 銀行保証金台帳等抹消 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 26 物流改革セミナー(第16回) 4.中国物流の課題と 中国市場攻略例 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 27 物流改革セミナー(第16回) 4‐1.中国物流の課題 物流産業は大きな発展を遂げつつあるが、サービス面において障 害となる課題も多く残されている。 大分類 中分類 課題 政策面 法体制 z法制度が頻繁に改正され、十分な時間的余裕を持った事前通知がなされて いない。 z法令不備はないが、上位下位(詳細は施行令○○に記載等)規則等の関連 性が不明確(日本は十分検討し法制度化を行うのに対し、まず改正運用しな がら修正を重ねるという違い)。 z商務部、衛生部、交通部、労働部毎の中央国務院から地方へのラインと、国 家税務総署、国家検験局、海関総署毎のライン間の連携が十分でないため、 解釈の相違が起こることがある。 検疫制度 (検験局) z地域によって検疫対象品目解釈が異なり、検疫にかかるリードタイムやコスト が不明確。 z衛生証明書(検験検疫局発行)を取得しなければ中国国内で販売できないが、 手続は輸入通関後2∼3週間を要し商品価値を下げてしまう。 z検疫手続が煩雑で分かりにくいため、当局と緊密な関係を有する現地輸入 業者やブローカーが介在することが多く、流通経路の複雑化を招いている。 z科学的分析に基づく明白な証拠があるのにもかかわらず、なかなか品質安 全判定結果が公表されない Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 28 物流改革セミナー(第16回) 4‐1.中国物流の課題 大分類 中分類 課題 政策面 通関手続 z輸入税が高い。 z税関手続が複雑で透明性に欠ける。 z税関担当者によって対応が異なる。 貨物セキュ リティ対策 zセキュリティをビジネスプロセスに組み込む企業が少ない。 z製品・サービスの安心・安全の認識が低い。 政府関係 z物流産業にかかわる分野(製造業、卸売業、小売業、農業、外資系等)と、 政府部門(国家発展改革委員会、税関、交通部、農業部、工商局、品質検査 局等)が、各自管理分野で計画を立て規定を打ち出しているため、効率性が低 下し、管理の面で混乱をもたらしている。 z標準化管理・作成・配布は、計画経済関連部門・地域に基づき実行されてお り、各部門・地域別での協調が進まず、矛盾する問題が存在している。 輸送インフ ラ整備 z沿岸部の大都市周辺で人件費が上昇しているため内陸部に工場が移ってい るが、結果内陸部から港湾地区まで運ぶ物流コストが負担になっている。 z全国を網羅する運送システムが確立されていないため、省ごとに異なる運送 業者に委託している。 z急速に進む都市開発は、駐車停車スペースの整備が遅れ、路上駐車が交通 渋滞を引き起こす要因になっている。 z車両増加により、大都市の貨物自動車走行は制限されているが、小型旅客 車両を改造した輸送が横行。渋滞がさらに悪化し輸送効率を低下させている。 インフラ 面 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 29 物流改革セミナー(第16回) 4‐1.中国物流の課題 大分類 中分類 課題 管理面 物流技術 z物流に関わる施設・設備・サービスを完備している企業が少ない。 z製造業と比べ物流分野での標準化進展はかなり遅れている。 z輸送車両・物流機器・包装などの基準が統一されていないため、積載率・空 間利用率が低い。 z荷主・物流業者・問屋などにおいて物流と標準化に対するニーズがまだ具現 化されていない。(変化しているニーズに対応できていない) 物流に対す る認識と知 識の欠如 zコストが高い割に、在庫管理や安全対策など十分でない。 z一貫パレチゼーションは普及しておらず、人手による荷扱いが主流である。 z包装の欠陥などによる破損、誤配の発生で年間莫大な損失が出ている。 法務トラブ ル z主要な海外進出企業の法務トラブルでは中国では群を抜き、知的財産権(海 賊版商品による特許権・著作権侵害)と労働争議が多い。労働問題の頻発で 法的紛争への発展を警戒する企業が多くなっている。 情報セキュ リティ z外資系企業も含めサービスが提供されているが、フィッシングや不正アクセス、 ウイルス感染などの被害が急増している。 z世界中で利用されているサイトサービスが中国では閲覧・利用できない。 z企業の基本的なセキュリティ対策が徹底されていない。 z現地社員のセキュリティ意識が低い。(就業中でも私用サイト閲覧を許容して いる企業が多く、ウイルスやワームに侵入されやすい。) Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 30 物流改革セミナー(第16回) 4‐1.中国物流の課題 大分類 中分類 課題 管理面 情報活用 z「LOG-INK」(陸上も含めた貨物管理や在庫管理を支援する情報システム) 通関手続等の情報サービスは別システムになっている。 z一部の企業はソフトウェアを導入しているが、在庫管理レベルに留まっている。 z貨物追跡システムや物流情報全体の可視化に向けたシステム構築が必要。 zサプライチェーン管理、パートナー選別、消費者行動分析や企業販売重心戦 略などにデータを活用するケースはまだ少ない。 物流品質 z知的所有権の保護が整備されていない。 物流コスト 収益構造 z原油価格変動、土地価格高騰、労働契約法施行に伴う労働賃金上昇、元 高やインフレ等の要因が重なり、トラック運行維持費、倉庫賃借料、現地スタッ フ人件費に多大な影響を与えている。 z原油価格変動により、日系荷主から更なるコストダウン要求が強まると予想 される。 zコスト削減のため日系物流業者から地場物流企業へ転換するケースがある。 zネットワークの構築・運営による物流費用の増加。 z「外資参入規制」撤廃と中国市場成長に伴い、欧米系物流事業者の参入が 増え競争が厳しい。 z行政区域をまたがって輸送する場合、その車両が当該区域に登録されてい なければ積替えが必要でコスト上昇。 z環境問題等への対応から、時間割の市内侵入規制が講じられており、納入 待ちコストが発生する。 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 31 物流改革セミナー(第16回) 4‐1.中国物流の課題 大分類 中分類 課題 人材面 人材育成 z大学、専門教育、企業で物流分野の人材育成を実施しているところはまだ少 ない。 z企業においては人材不足のため、物流効率の低下、作業者の知識不足、物 流センター低稼動率などを招き、それが原因となって、企業の物流コストが高く なっている。 z人材不足が3PLの発展や物流産業の効率化に障害となっている。 z人材(現地責任者)の「現地化」推進 (中国でのビジネスはやはり中国人に任せ、「コネ」社会に入り込む。) z日系荷主が要求する物流品質、コストに見合った物流業務を行うためには、 教育が必要な現地事業者や現地スタッフの活用を推進しなければならない。 賃金 z2010年中国での賃金水準が昨年度比で10%以上上昇した日系企業が4割に 達したにも関わらず、欧米系に比べまだ2∼3割以上低く、人材を確保するため 日系企業はさらに賃上げを迫られると予測される。 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 32 物流改革セミナー(第16回) 4‐2.日系企業の中国市場攻略例 S金属物流改善例 (日系電子部品製造用材料を北京・上海で製造・輸入販売) コスト効果(万元/月) 物流改善の ポイント 主たる改善内容 国内倉庫系物流 リーススペースの有効化による賃料の引き下げ。危険品保管倉庫の利用。 国内輸送系物流 規模の大きな全国輸送業者への変更(2社体制)。 システムによる輸送工程のトレース可能業者。 多様な輸送(トラック、鉄道、AIR)に対応できる業者。 輸送ルート(積みかえを行う場合)とリードタイムの確認。午前・午後指定。 輸送業者による「専用領収書」の回収を義務付け。 運賃交渉(今までなし)。 北京 4.0 6.8 3.5 FCL化、AIR便輸送減少化。最適便選択と保冷剤の変更。梱包省略化。 4.0 内航コンテナ船物流 トラック輸送に変えて内航コンテナ船の輸送に切り替え。 3.0 危険品物流 コンプライアンスの確保。無免許輸送業者の排除。 無免許倉庫業者の排除。 国内AIR便物流 AIR便輸送の減少化、梱包の軽量化。 〈コスト効果小計〉 《コスト効果合計》 上海 2.4 国際系物流 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 概要 2.6 2.8 13.6 15.5 29.1 33 物流改革セミナー(第16回) 4‐2.日系企業の中国市場攻略例 D社サプライチェーンの新中国戦略例 (世界屈指の物流グループ) 7) 現状の問題点 荷主の中国への急速な進出に伴う物流オペレーションは迅速な対応が求められているもの の、現実は現地の物流パートナーを使わざるを得ず、荷主が求めるサービス品質を満たして いない場合が多い。 日系物流企業と連携した形での3PL戦略 実オペレーション業務 窓口業務 傘下のサプライチェーン部門 •中国全土に倉庫50万㎡ •60拠点 •国内輸送、輸出入、調達物流を 含む包括的物流サービス Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 日系物流企業 日系企業 34 物流改革セミナー(第16回) 5.中国進出にあたって Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 35 物流改革セミナー(第16回) 5‐1.中国人特有の思考と行動 中国人は「面子」 「人情(人脈)」 「個人主義」の民族。 日本流価値観や「日中友好」の感情だけでは交渉はまとまらない。 z上有政策/下有対策 z物流施設開発 (シャンヨウズンツ−/シャ−ヨウドウイツ−) 上に政策有れば、下に対策有り (「共産党一党独裁国家」)。 国益を最優先し政策を決め、 政治主導で法律が決定される。 行動様式の 相違 企業進出が一段落後は、物流施設が 儲かるとの事で、開発区を急遽「物流園区」 に変更し日系企業に対し移転を督促される。 政策策定の 相違 考え方の 相違 朱慧卿 绘 新华网浙江频道 http://www.zj.xinhuanet.com/ z中国の仕事は、「朝令暮改」 z中国各地での開発区構想 省政府・市政府等が企業誘致 (農民の土地をタダ同然で取り上げ、 それを開発区として外国企業に高く 貸す事による収入はうなぎ昇り)。 法律運用が役人のさじ加減で 組織より 役人の収入もうなぎ昇り。 個人関係重視 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 中国での仕事は、毎日何が起きるのか分からない! 「こんな事も分からないのか・・?」 上から目線で中国人社員への対応は「メンツ」を潰す・・! あわてるな! あきらめるな! あなどるな! 36 物流改革セミナー(第16回) 5‐2.企業として付き合うには? 政策や地域差に左右される中国ビジネス。 中国進出にあたって、投資・進出目的を明確にすることが必要。 投資形態の主流は、 合併会社から100% 外資(独資)企業に。 輸出のための 生産基地か 消費市場か? 北京 政治色が強い (外資企業法改正) 最近は、中国を消費 市場とする投資目的 が主流。 (市場開放と外資への規制 緩和) マーケット拡大 内陸部地方都市 市場進出 投資進出地域は、上 海・江蘇(華東)が中 心 生産基地 生産拠点は、主とし て広東省(華南)。 90年代∼ Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 上海 商業色が強く、民間企業 設立が比較的自由 37 物流改革セミナー(第16回) 5‐3.進出にあたって留意すべきポイント 中国の巨大消費マーケットへの進出にあたっては、入念な準備が 必要である。 z情報収集 zパートナー(地元物流事業者)選び •市場の流通制度 •輸入規制、通関方法、外為制度等 •商品の需要見通し •商品の競合状況 (地場商品・輸入商品等との競合状況) •商習慣(マージン・取引条件他)等 z候補地選び •日系物流事業者は日系荷物取扱が中心 •中国大手荷主企業は自前で物流企業を保持 zその他 •長距離輸送の事業上制限 •法人税金(増値税・営業税、控除) •外貨送金 等 •選定例①:外資企業を誘致するために 各種優遇策が付与される「開発区」 国家級開発区(79カ所) 省市級開発区(約150カ所) ハイテク産業開発区(85カ所) 物流園区 工業園区 保税区 輸出加工区 工業団地 など 外国企業が中国で出資した企業登録数 約43万4,900社(2008年末) 日本:2万9,600社(約6%) (中国国家統計局) •選定例②:人口200万人以上の都市 中部(12都市):重慶市(1590万人)、成都市(1221万人)、西安市(838万人)、南寧市(717万人)、洛陽市(654万人)、 昆明市(624万人)、チチハル市(554万人)、貴陽市(360万人)、蘭州市(314万人)、ウルムチ市(262万人)、 包頭市(250万人)、フフホト市(227万人) 西部(11都市):武漢市(960万人)、鄭州市(752万人)、長沙市(662万人)、安慶市(604万人)、襄樊市(578万人)、 南昌市(497万人)、合肥市(445万人)、太原市(398万人)、株洲市(382万人)、大同市(322万人)、 蕪湖市(230万人) (2010年12月末現在) Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 38 物流改革セミナー(第16回) 5‐4.会社設立要件 貿易企業の設立 中国のWTO加盟とともに貿易企業・物流企業であれ、ほぼ自由に 設立が可能。8) 一般地区 保税区 法規制 外国企業投資商業分野管理規則 各地の各種保税区の行政規則 設立可能な 会社形態 卸・小売の機能を持った商業企業 保税区内の業務に限らず、「外商投資非商業企 業の仕入販売営業範囲の追加の問題に関する通 達」及び「商資字[2005]76号」に基づき申請するこ とにより、一般地区での卸売りの分公司の設立が 可能。 最低資本金 3万元。 経営規模により適正とされる資本金 が必要。 特徴 中国国内販売のための貿易、卸、小売業 務機能や中国元決済などの金融機能を発 揮して顧客の多様なニーズに多角的・複合 的に対応した商業活動の構築ができる Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 限られた商品を専門に取扱う貿易企業では保税 区に大量・多額の商品在庫を持ち、中国国内の 顧客に販売する場合には保税区に設置するメリッ トがある。輸入関税や輸入増値税を支払わない (保税)状態で在庫することにより資金負担や金 利負担などの面でコストメリットが発生し、納期の 短縮が図れる。 39 物流改革セミナー(第16回) 5‐4.会社設立要件 倉庫・ 物流企業の設立 法規制 一般地区 保税区 国際貨物運送代理は、「外国企業投資国 際貨物運輸代理規則」、「国際貨物運輸代 理規定」 一般地区と同じ規則と各保税区の行政規則。 保税地区にあるために関税や輸入増値税など保 税と内貨にするためなどの関連規制に留意が必 要。 トラック運送業、倉庫業は「外国企業投資 道路運輸業管理規定」 設立可能な 会社形態 国際貨物運送代理とトラック運送業、倉庫 業を兼営することも可能 最低資本金 国際貨物運送代理は、代理業務の内容に より200万元∼500万元と決められている。 NVOCC業務を行う場合は、最低でも10 0万元∼保証金が必要。 特徴 中国同業者との厳しい競争(特に価格面) に直面することになるが、日本の優秀なノ ウハウ・設備を生かし、日系企業などの国 内販売の全国展開へのサービス提供に特 化して、各地への自由な展開ができる。 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 保税物流園区内には国際貨物運輸代理業務を 営む企業しか設立が許可されない。 保税区内の企業には、前頁保税区の法規制およ び設立可能な会社形態に基づき申請すれば貿易 業なども兼営できる。 顧客に提供すべきサービス内容により、保税で在 庫・保管することにメリットがあれば(例えば、短納 期が要求される輸入部品など)、保税区に設立す ることがメリットとなる。 40 物流改革セミナー(第16回) 5‐4.会社設立要件 zトラック会社設立要件例(一般地区) トラック会社は、「中華人民共和国道路運送条例」、道路運輸経営(貨運)、免許種類により取得条件がある。 免許が必要な貨運経営の種類 (免許種類によって取得条件あり) ① 一般貨物運輸 (1、2、3類) ② 少量貨物運輸(宅配便など) ③ 大型、特殊貨物運輸 (道路大型・特殊運輸管理方法) ④ コンテナ(集装箱)、 運輸(集装箱汽車運輸規則) ⑤ 冷蔵貨物運輸 ⑥ 危険貨物運輸 (危険化学品安全管理条例) <危険貨物品目表>9品目分類 ⑦ 引越運輸 一般的に、国際貨運免許を取得して 国内トラック輸送を行う場合、中国の 免許を持っている免許企業と提携して 輸送を行っていることが多い。 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 経営(営業)許可条件 第22条 ① 適切な車両を有していること ② 健全な運転手を有していること ③ 健全な経営を行っていること 更に、危険品輸送免許取得に付加される条件 ① 危険品輸送に適切な車両を保有していること ② 適切な輸送、事故防止、事故対応などの技術を有し ていること 危険品運輸経営免許の取得要件 第24条 ① 5台以上の運送適応車両を有していること → 運送管理機構は申請車両の性能総合試験を行い、 適正車両可否かの確認を行う → タンクは品質管理部門の容器検査証明等必要。 ② 業務担当する各担当者は、各々市級人民政府の交 通主幹部門の適正テストに合格していること → 運転手は危険物運転免許を有していること → 「上乗り適性試験」に合格していること → 危険物積み降しは適正試験に合格していること 41 物流改革セミナー(第16回) 《参考文献》 1) asahi.com 中国、GDP世界2位へ 前年比10,3%増で日本抜く 〈http://www.asahi.com/business/update/0120/TKY201101200149.html〉 (参照2011-01-20) 2) GLOBAL-NOTE 「貿易依存度 国際比較-世界銀行」 〈http://www.globalnote.jp/post-1614.html〉 (貿易依存度:GDPに対する貿易額の比率) 3) 中华人民共和国国家统计局 中国统计年鉴̶2009 〈http://www.stats.gov.cn/tjsj/ndsj/2009/indexch.htm〉 4) 海運同盟事務局(SCAGA)提供資料 〈http://www.scaga.net/index.html〉 5) 人民網株式会社 「中国・ASEAN協力が進展 最前線は広西自治区」 (参照2011-01-26) 〈http://j.people.com.cn/94476/7273222.html〉 6) 岩見辰彦 「新中国税関実務マニュアル」 (成山堂書店 平成21年2月28日改版) 7) 株式会社オーシャンコマース 「荷主と輸送」 (第37巻第3号(6月号)平成22年6月10日発行 74頁-75頁) 8) 日本貿易振興機構(ジェトロ) 貿易・投資相談Q&A「中国保税区での貿易企業と倉庫・物流企業の会社設立条件 〈http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/qa/03/04J-010440〉 Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 42 物流改革セミナー(第16回) ご清聴ありがとうございました 物流・貿易コンサルタント 冨 島 正 和 e-mail:[email protected] Copyright © Tomishima Masakazu 2011 All right reserved 43
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