Orbital Motors Technical Information Manual

テクニカルインフォメーション
一般解説
オービタルモータ
daikin-sauer-danfoss.com
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
幅広い製品群
ダンフォスは、世界の低速・高トルク油圧モータ市場をリードする信頼のブランドです。
弊社は形式、サイズおよび各種の出力軸等の派生機種を含めると、
3000種類以上の油圧モータを提供することができます。
サイズ
(理論的容量)
は、8 cm3/rev
(0.50 in3)
~800 cm3/rev
(48.9 in3)
と
非常に幅広い製品範囲を持っています。
回転数は最も小さい形式のもので約2500 rpm、最も大きいモータで約600 rpmです。
最大作動トルクは13 N・m
[115 lbf・in]
から2700 N・m
[24.000 lbf・in]
(ピーク時)
、
また最大出力は2.0 kW
[2.7 hp]
から70 kW
[95 hp]
と幅広い製品群が用意されています。
特長
• 全回転数範囲でスムーズな作動
• 広い回転数範囲で一定の作動トルク
• 高起動トルク
• ドレンラインを使用しなくても高い戻り圧力
[高圧シャフトシール]
• 高い効率
• 過酷な作動条件でも長い寿命
• 堅牢でコンパクトなデザイン
• 高いラジアルおよびスラストベアリング負荷容量
• 開回路および閉回路への使用可能
• 各種の作動油への適応可能
2
520L0653 • BD • Nov 2012
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
幅広い製品群
ダンフォスのモータは、DIN
(メートル)
をベースにした標準品とその派生機種である
準標準型に分けられます。標準型は一般の数多くの用途に使われ、準標準型は派生機種として
特殊な用途に使われ次の様な仕様のものがあります。
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
耐腐蝕タイプモータ
ホイールモータ
ニードルベアリング内蔵モータ
(OMP/OMR)
低リークモータ
(OMR)
超低リークモータ
(OMR)
ショートモータ
(ベアリング無し)
ウルトラショートモータ
ポジティブブレーキ付モータ
ネガティブブレーキ付モータ
フラッシングバルブ内蔵モータ
タコシャフト付モータ
スピードセンサ付モータ
黒色塗装
ダンフォスの油圧モータは次の用途に使用されています。
•
•
•
•
•
•
•
•
単位の換算について
1
1
1
1
建設作業用機械
農業機械
林業機械
物流、荷揚げ機械
草刈機、芝刈機
特殊作業車
工作機械、一般産業機械
船舶、舶用機械、漁船用ウインチ
Nm
N
bar
mm
=
=
=
=
[8.851 lbf・in]
[0.2248 lbf]
[14.50 psi]
[0.0394 in]
520L0653 • BD • Nov 2012
1 cm3
1l
1l
ºF
=
=
=
=
[0.061 in3]
[0.22 UK gal]
[0.264 US gal]
[1.8ºC + 32]
3
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
目次
目次と技術資料
ダンフォスオービタルモータのカタログとテクニカルデータ .................................................................................... 4
油圧モータについて、構造、作動原理 ................................................................................................................... 5
モータの選定 ......................................................................................................................................................... 7
モータの構造とタイプ ........................................................................................................................................ 7
主なモータの特長 .............................................................................................................................................. 7
派生機種 ........................................................................................................................................................... 9
モータサイズの選定 ............................................................................................................................................. 13
機能ダイヤグラムの構成 ................................................................................................................................. 13
機能ダイヤグラムの使い方 ............................................................................................................................. 16
Min. 回転数 .................................................................................................................................................... 17
軸荷重とベアリング寿命 ..................................................................................................................................... 18
ベアリング寿命と回転数の関係 ...................................................................................................................... 18
ベアリング寿命と軸荷重の関係 ...................................................................................................................... 19
許容軸荷重と回転数の関係 ........................................................................................................................... 19
Max. ラジアル荷重 ......................................................................................................................................... 19
油圧システムと使用上の注意事項 ..................................................................................................................... 20
Max. シャフトシール圧力 ................................................................................................................................. 20
ドレンライン...................................................................................................................................................... 21
ブレーキング..................................................................................................................................................... 22
メカブレーキ付きモータ .................................................................................................................................... 25
取付、
スタートアップ、保守 ............................................................................................................................... 26
作動油の種類 ................................................................................................................................................. 27
温度および粘度、
フィルトレーション................................................................................................................. 28
オービタルモータの
カタログと
テクニカルデータ
ダンフォスのオービタルモータに関する詳細データは次のサブカタログに記載されています。
•
•
•
•
•
•
•
•
•
一般解説、
オービタルモータ
小型モータのテクニカルデータ
中型モータのテクニカルデータ
中型モータのテクニカルデータ
中型モータのテクニカルデータ
大型モータのテクニカルデータ
大型モータのテクニカルデータ
大型モータのテクニカルデータ
大型モータのテクニカルデータ
機能、使用方法、オービタルモータの種類、油圧システム等
OML, OMM
OMP, OMR, OMH
DH, DS
OMEW
OMS, OMT, OMV
TMK
TMT
TMVW
ダンフォスのオービタルモータの出力、
トルク、回転数等の概略データは
別刷のパンフレットをご参照ください。
4
520L0653 • BD • Nov 2012
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
油圧モータについて、構造、作動原理
油圧モータの作動原理
油圧モータは、油圧エネルギー
(圧力、流量)
を機械的エネルギー
(トルク、回転)
に変換します。
ダンフォスのオービタルモータは固定容量の高トルクモータです。与えられた油量と圧力に対してモー
タのサイズが回転数とトルクを決定します。モータのサイズが決まっていますと回転数は、油量によっ
て決まりますし、
またトルクは圧力によって決まります。
ギヤ-セット
油圧モータのギヤーセットは固定された内歯
歯車とそのセンターのまわりを遊星運動し、
ト
ルクと回転を伝える外歯歯車より構成されて
います。内歯歯車には二つのタイプがあり、
OML、OMM、OMP、およびDHに使われてい
るプレーン歯とOMR、DS、OMH、OMEW、
OMS、OMT、OMVおよびTMTに使われてい
るローラ付き歯があります。
分配弁
分配弁はカルダンシャフトを介して外歯歯車と同期して駆動され、個々のチャンバーに高圧油と
低圧油を損失無しに正確に分配します。分配弁には2つの形式があります。
• スプールバルブ
OML、OMM、OMP、OMR、DH、DSおよ
びOMHのモータの分配弁はスプールバル
ブで、分配弁は出力軸と一体になっていま
す。従ってカルダンシャフトは分配弁を回転
させると共に、
ギヤーセットからの出力軸に
機械的エネルギーを伝達します。
A: 出力軸
B: スプールバルブ
C: カルダンシャフト
D: ギヤーセット
A: 出力軸
B: カルダンシャフト
C: ギヤーセット
D: バルブドライブ
E: チェックバルブ
F: ディスクバルブ
• ディスクバルブ
OMS、OMT、OMVおよびTMTのモータの
分配弁はディスクバルブで、分配弁は出力
軸とは別に短いカルダンシャフト
(バルブド
ライブ)
によって駆動されています。バランス
プレートが分配弁のまわりの油圧バランス
をとり、
これによって油圧および機械損失を
最小になるようにしています。
520L0653 • BD • Nov 2012
5
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
油圧モータについて、構造、作動原理
油圧モータの作動原理
(続き)
出力軸直結のディスクバルブ
• OMEW型のモータには出力軸に直結した
ディスクバルブが設けられています。カルダ
ンシャフト
(バルブドライブ)
がディスクバル
ブを回転させ、
ギヤーセットからの機械的エ
ネルギーを出力軸に伝達します。油圧力は
バランスプレートによって均等化されます。
A: 出力軸
B: ディスクバルブ
6
520L0653 • BD • Nov 2012
C: カルダンシャフト
D: ギヤーセット
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
モータの選定
モータの構造とタイプ
OML、OMM、OMP、OMPW、DH
- ローラレスギヤーリム
- 出力軸一体スプール
- スライドベアリングで支持された出力軸
OMPWN
- ローラレスギヤーリム
- 出力軸一体スプール
- ニードルベアリングで支持された出力軸
OMR、OMH、DS
- ローラギヤ-リム
- 出力軸一体スプール
- スライドベアリングで支持された出力軸
OMRWN
- ローラギヤーリム
- 出力軸一体スプール
- ニードルベアリングで支持された出力軸
OMEW
- ローラギヤ-リム
- 出力軸直結のディスクバルブ
- ニードルベアリングで支持された出力軸
OMS、OMT、OMV
- ローラギヤ-リム
- バルブドライブにより駆動されるディスク
ドライブ
- テーパローラベアリングにより支持された
出力軸
TMT
- ローラギヤ-リム
- バルブドライブにより駆動されるディスク
ドライブ
- テーパローラベアリングにより支持された
出力軸
主なモータの特長
OML、OMM、OMP、OMPW、DH
ローラレスギヤ-の採用によりコンパクトなデザインのモータです。通常の使用条件で
長時間の運転が可能です。
OMPW N
ローラレスギヤ-リムによるコンパクトデザインに加えニードルベアリングを採用することにより、
始動時に比較的大きな静的、動的ラジアル荷重が作用する用途に適しています。
OMR、OMH、DS
ギヤ-リムのローラは歯の局部的な応力を減らしあるいは分散し、
またかみ合い時の摩擦を
減らします。従って高圧で連続長時間の運転が可能となり、更に効率も向上します。
粘度のうすい作動油での運転や、正逆転の頻度の多い運転に適しています。
520L0653 • BD • Nov 2012
7
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
モータの選定
主なモータの特長
(続き)
OMRW N
ギヤ-リムのローラにより高圧下での粘度のうすい作動油での連続運転や、正逆の頻繁な運転に
適しています。更に出力軸をニードルベアリングによって支持することにより始動時に、静的、動的
ラジアル荷重が作用する用途にも適しています。
OMEW
出力軸直結のディスクバルブを設け油圧損失や機械損失を最小限に抑えており、
ギヤ-セットには
ローラが組み込まれています。
このためOMEWは厳しい条件下での連続運転に最適となっていま
す。出力軸は、静的および動的ラジアル荷重を許容することができるニードルベアリングで支持され
ています。OMEWには高圧用シールが設けられており、
ドレン配管は不要となっています。
OMS、OMT、OMV
OMS、OMTおよびOMVは連続で高圧、低粘度の作動油あるいは頻繁な正逆回転下での厳しい運
転条件での用途に最適です。出力軸はテーパローラベアリングで保持されていますので、大きなラジ
アル荷重およびスラスト荷重に耐えることができます。更に、出力を伝えるカルダンシャフトとは別にバ
ルブドライブにより駆動される油圧バランスをさせたディスクバルブは油圧的損失や機械的損失を減
らし、効率を向上させ、
スタート時の性能を向上させます。
TMT
より高圧の要求に応える為に開発されたモータで、OMS、OMT、OMVと同様の優れた特性を
備えています。
低速域でスムーズな回転を必要とする用途には、OMS、OMT、OMV、
またはTMTの使用を
お勧めします。
8
520L0653 • BD • Nov 2012
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
派生機種
派生機種
耐腐蝕タイプモータ
OMPC、OMRCのタイプがあります。OMP、
OMRのモータに耐腐蝕性のあるパーツを使
用しています。耐腐蝕性のパーツは、
(1)
出力
軸、
(2)
キー、
(3)
フロントカバー、
(4)
フロントカ
バースクリュー、
(5)
ダストシールリングです。
このモータは次のような利点があります。
• 腐蝕性のある環境でシャフトシールはそれほ
ど長い寿命はありませんが、
シャフト面が腐
蝕しないためシール効果を維持します。
• 腐蝕性のある環境で長時間運転した後
でも、
モータを容易に分解できます。
ダストシール・キャップ付きOMP、OMR
OMPおよびOMRモータにダストシール・キャッ
プを設けたモータです。
これらのモータは、耐
粉塵性に優れ、特にスイパーなどに適していま
す。
ホイールモータ
OMP、OMR、OMS、OMTおよびOMVのモー
タがホイールモータとして適応できます。取付
フランジを後退させることによりホイールハブ
やウインチドラムが取付け可能となり、
ラジア
ル荷重はベアリングの中間に作用することにな
ります。
これによりベアリングの能力を最大限
利用でき、
またコンパクトな設計が可能です。
OMPW、OMPW N、OMRW N、OMEW、
OMSW、OMTWおよびOMVWのタイプがあ
ります。
ニードルベアリング付きOMP、OMR
OMPあるいはOMRを使う用途で高い静的ラ
ジアル荷重、多頻度の起動・停止、出力軸上
に振動が作用する場合のような使用条件に
はニードルベアリングで支持されたOMP N、
OMR Nの使用を推奨します。
520L0653 • BD • Nov 2012
9
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
派生機種
派生機種
(続き)
アクチュエータモータ
OMRでスプールと出力軸を分離させ出力軸を
ニードルベアリングで保持することによりリーク
を減らしたモータです。
フォークリストのステアリングモータ
(アクチュ
エータ)
のように特に低リーク特性を要求され
る用途に最適です。
OMR NAのタイプがあります。
ショートモータ
OMS、OMTおよびOMVが適用できます。ラジ
アルおよびアキシァル負荷にすでに耐えられる
ように設計されているギヤーボックスのような
装置にはショートモータを使用することを推奨
します。ショートモータとは出力軸、ベアリング、
ベアリングハウジングがないモータです。
OMSS、OMTS、OMVSのタイプがあります。
ウルトラショートモータ
ウルトラショートモータはOMS、OMT、OMVお
よびTMTに適用できます。非常に短い長さを
要求される場合に有効で、ベアリングと出力軸
がありません。ウルトラショートモータは取付相
手と最適な形で結合できます。
OMSU、OMTU、OMVUおよびTMTUのタイ
プがあります。
ポジティブブレーキ付きモータ
ポジティブブレーキ付きモータはOMSに適用で
きます。
このブレーキはドラムタイプで機械的
に作動するポジティブブレーキです。
OMS Bのタイプがあります。
ネガティブブレーキ付きモータ
OMRモータには、油圧でブレーキを解除する
マルチディスクブレーキを内蔵した機種があり
ます。
このブレーキモータは閉回路あるいは開
回路システムで使用することが可能です。
OMR Fのタイプがあります。
10
520L0653 • BD • Nov 2012
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
派生機種
派生機種
(続き)
ネガティブブレーキ付きモータ
OMTおよびTMTモータに多板ディスクブレー
キを内蔵したもので、OMT FH、OMT FL、
OMT FXおよびTMT FLのタイプがあります。
このブレーキは油圧力により開放されるスプリ
ングロードタイプの多板ブレーキです。OMT
FHは高い圧力差で作動します
(開回路での
シャットルバルブからのパイロット圧力で開
放)
。一方OMT FL、OMT FXおよびTMT
FLは低圧でブレーキを開放します
(閉回路の
チャージポンプからのパイロット圧力で開放)
。
OMT FXは特に長手方向の長さを短くしたい
用途に適しています
(例えばロードローラやタイ
ヤローラ)
。
OMT FおよびTMT Fタイプのモータはダイナ
ミック緊急ブレーキとしても使用できます。
フラッシングバルブ付きモータ
外形寸法を全く変えずにフラッシングバルブを
内蔵したモータでOMS、OMT、OMVおよび
TMTに適用されます。内蔵フラッシングバルブ
は閉回路に於ける作動油の交換および冷却
を行います。
フラッシングバルブはモータの高
圧側の圧力により作動し、低圧側の油をドレン
ラインを経由してタンクに戻します。
OMS V、OMT V、OMV VおよびTMT Vのタ
イプがあります。
タコシャフト付きモータ
OMS、OMT、OMVにはタコメータを駆動する
シャフトの付いたモータがあります。
タコメータ
を取り付けることによりモータの回転数を検出
できます。
OMS T、OMT T、OMV Tのタイプがあります。
520L0653 • BD • Nov 2012
11
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
派生機種
派生機種
(続き)
スピードセンサ付きモータ
OMM、OMP、OMR、OMS、OMSW、OMT、
OMVにはスピードセンサが内蔵されたモータ
があります。出力電気信号は規格化された電
圧信号なので、当社のEHSC電気モジュール
と組合わせて油圧モータのスピードが制御で
きます。
回転数はインダクティブセンサにより計測され
ます。
信号処理および信号増幅はセンサのハウジン
グに内蔵されています。
OMM EM、
OMP EM、
OMR EM、
OMS EM、
OMSW EM、
OMT EM、
OMV EMのタイプがあ
ります。
OMT Nモータ
OMTにはベアリング容量の大きい小型タイプ
のものがあります。
このモータはロードローラな
どの機械に適しています。
12
520L0653 • BD • Nov 2012
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
モータサイズの選定
モータサイズの選定
モータのタイプがそれぞれの用途に応じて選定されますが、
モータのサイズはトルクと回転数によって
決定されます。
この為に個々のモータカタログの最初のページにあるバー・チャートとモータタイプ毎に
ある機能ダイヤグラムが用いられます。
機能ダイヤグラムの構成
油圧モータの機能ダイヤグラムは、作動トルクM
(縦軸)
と回転数n
(横軸)
の関係を圧力差Δpと
流量Qをパラメータとして示されています。
定圧力差および定流量の曲線は、座標軸の上に重ねられてネットワークを形成しています。
また定出
力
(N)
の曲線
(双曲線)
および定効率曲線が描かれています。特に定効率曲線は貝の殻のようなリ
ング状を描いていますので、
この機能ダイヤグラムをシェルダイヤグラムと呼ぶこともあります。
連続運転/断続運転/ピーク負荷
機能ダイヤグラムは網目がかかっている黒い所A域と2ヵ所の白い所B域に分けられます。
黒いA域はモータの連続運転範囲を示しています。
このA域ではモータを最適の効率と運転寿命で
連続運転することができます。
2つの白いB域はモータを断続運転しても良い範囲を示しています。油圧モータの負荷を変化させて
運転したり、
また高いブレーキ力を得るために逆転させたりする場合のような断続運転範囲を使用す
るために有効なダイヤグラムです。max. 10%運転/分で断続回転または断続圧力差をモータに与え
ることができます。モータに上記の断続回転数および断続圧力差を同時に与えることはできませんの
でご注意ください。
520L0653 • BD • Nov 2012
13
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
モータサイズの選定
機能ダイヤグラムの構成
(続き)
断続圧力差および断続トルクの上限をこした範囲ではmax. 1%運転/分しか許容されません
(ピーク
負荷)
。max. ピーク負荷の値はそれぞれのモータのテクニカルデータの所に記載されています。例え
ば、
リリーフバルブが作動したとき、
または方向制御弁が作動したときに大きな圧力ピークが生じます。
max. ピーク圧力を越えないようにするためにリリーフバルブおよびデュアルショックバルブを取付け
ることが必要です。大きな圧力変動を伴うシステムでは圧力およびトルクのピーク値を電子計測器で
測定することが必要です。
問題なく運転するためにはモータサイズは連続および断続運転の許容値を用いて選定してください。
また圧力ピーク値がmax. ピーク値を越えないことを確認しておく必要があります。
効率
全効率
(ηt)
は容積効率
(ηv)
と油圧・機械効率
(ηhm)
の積で表されます。
ηt = ηv ×ηhm
容積効率
縦の線は一定の流入量に対する圧力による
回転数の変化を表しています。曲線Qの傾き
は容積効率を表しています。
この傾きはモー
タに供給される流量が出力回転数にどのく
らいの割合で変換されているかを示していま
す。残りの流量は内部リークとなって小さな隙
間やベアリングの表面を経由して流れ潤滑
および冷却の役割を果たします。負荷が大き
くなると圧力差が大きくなりリークも大きくなり
その分ギヤ-セットに流れる流量が減少し回
転数が下がります。
Q 曲線の傾きは効率の大きさを表します。
例
(rpm)
の回転数で出力軸を駆動すると
OMS 125が、310 Nm
[2745 lbf・in]
のトルク、375 min-1
します。
容積効率が100%であった場合、
モータに流入する油量は理論的容量に回転数をかけたものと
なります。
理論的な供給作動油量は次のとおりとなります。
メトリック単位
Qtheor =
Displ.
(cm3)
・speed
(min-1)
(l/min)
1000
=
14
125.7・375
1000
520L0653 • BD • Nov 2012
~ 47 l/min
米国単位
Qtheor =
Displ.
[in3]
・speed
[rpm]
[US gal/min]
231
=
7.67・375
231
~ 12.45 US gal/min
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
モータサイズの選定
機能ダイヤグラムの構成
(続き)
しかしながら、実際に供給された作動油量は50 l /min
[13.2米ガロン]
です。
容積効率は次のように計算できます。
メトリック単位
ηv =
米国単位
47・100
~ 94%
50
ηv =
12.45・100
~ 94%
13.2
機械効率
横の線はモータに一定圧力差をかけた場合の
回転数による出力トルクの変化を示していま
す。モータの出力トルクは非常に低い回転域
および高い回転域では低下します。低い回転
域では機械損失が大きくなり、高い回転域で
は流入量が増えるため圧力損失が大きくなっ
て曲線が下がることを表しています。
機械損失はモータ起動時に回転部分に潤滑
油膜が形成されていないので最大となります。
回転が始まり数回転後は潤滑油膜が形成され
摩擦が減少しトルクが増加します
(曲線は上が
ります)
。
圧力差曲線とトルク軸
(縦軸)
との交点がこの
圧力差での起動トルクとなります。OMS 125
は圧力差175 bar
[2540 psi]
の時の起動トルクが260 Nm
[2300 lbf・in]
であることを示しています。
モータが回転し始めると直ちに潤滑油膜が形成されて310 daNm
[2745 lbf・in]
のトルクが
発生します。
実際の機能ダイヤグラムでは圧力差曲線はトルク軸と交差していません。
しかしmax. 連続、max.
断続の圧力差時のmin. 起動トルクが各モータのテクニカルデータの所に記載されています。
油圧損失は高速域で最大になります。流入量が増加するとポートや流路の圧力損失が大きくなりま
す。従ってギヤーセットに作用する有効な圧力差は減少し、
その分トルクが小さくなります。
例
機械効率ηhmを計算するためには与えられた流量と圧力差に対するモータトルクTmot effを読み取る
(測定する)
必要があります。13ページに記載の図表は、OMS 125が、175bar[2540 psi]
の圧力
差で流量50 l/min
[13.20 US gal/min]
時に310 Nm
[2745 lbf・in]
のトルクを発生することを示し
ています。
同じ圧力差での理論トルクは次のように求められます。
メトリック単位
Ttheo =
Displ.
(cm3)
・pressure drop
(bar)
(Nm)
62.8
520L0653 • BD • Nov 2012
米国単位
Ttheo =
Displ.
(in3)
・pressure drop
(psi)
[lbf・in]
6.28
15
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
モータサイズの選定
機能ダイヤグラムの構成
(続き)
メトリック単位
Ttheo =
米国単位
125.7・175
~ 350 Nm
62.8
Ttheo =
7.67・2540
~ 3102 lbf・in
6.28
読み取った実際のトルクを理論トルクで割ると、機械効率が得られます。
ηhm =
310・100
350
ηhm =
~ 89%
2745・100
3102
~ 89%
全効率
従って、
Δp = 175 bar
[2540 psi]
、Q = 50 l/min
[13.2 US gal/min]
時のOMS 125の全効率を
得ることができます。
ηt =
ηv・ηhm
100
=
94・89
100
~ 84%
13ページの機能ダイヤグラム上の効率曲線からもほぼ同じ効率の値が得られます。
機能ダイヤグラムの使い方
機能ダイヤグラムは弊社の油圧モータをアプリケーションに対して正しく選ぶ場合に使用されます。
<例題>
次の出力がモータに要求されています。
max. 回転数 :425 min-1
(rpm)
max. トルク :260 Nm
[2300 lbf・in]
サブカタログで形式毎のmax. 回転数とmax. トルクの比較表が示されています。
この表を見ると
要求にあった最も小さいモータはOMRあるいはOMSシリーズです。OMR125、OMS125および
OMS160が要求回転数およびトルクに合っています。次に機能ダイヤグラムを使用し、作動ポイント
(縦軸上にトルク T=260 Nm
[2300 lbf・in]
を、横軸上に回転数 n=425 min-1
(rpm)
を求めます。
その値を下表
この作動ポイントの値から圧力差Δp、流量Qおよび全効率ηtを求めることができます。
に示しました。
モータ
16
圧力差
(Δp)
bar
[psi]
流量
(Q)
l/min
[US gal/min]
全効率
ηt(%)
OMR 125
158
2292
59
15.59
73
OMS 125
145
2103
56
14.79
83
OMS 160
119
1726
70
18.49
81
520L0653 • BD • Nov 2012
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
モータサイズの選定
機能ダイヤグラムの使い方
(続き)
ここで経済的および技術的に評価する上で一番重要な要素が油圧システムのイニシャルコストか、
効率か、
あるいは作動寿命か、
を考え、価格が問題であればOMR 125を選び、要求されるベアリング
の負荷によってはOMRW 125 Nを選びます。
効率が重要であればOMS 125を選びます。OMS 125はOMR 125に比べてイニシャルコストはやや
高いが、
ランニングコストを省き、熱の発生減ずることによって償うことができます。
またOMS 125は少
ない流量で済むという有利な点もあります。
寿命が最も重要なファクターであればOMS 160を選びます。作動圧力が低いのでその分システムの
寿命が長くなります。
モータのサイズが決まればポンプの容量が決まります。
例えばOMS 160を選定すれば、
ポンプ能力は119 bar
[1726 psi]
で70 l/min
[18.49 US gal/min]
を吐出す
るものでなければなりません。
既存の油圧システム用にモータを選定する場合、
ポンプが与えられていれば所要のモータは自ずから
選定されます。
Min.回転数
非常に低い回転数ではモータはスムーズに回転しないことがあります。従って各モータについてmin.
回転数が示されています。
このボーダーラインでモータを使用する場合モータのサイズや形式を決る
前に、予め要求される使用条件でテストをすることが必要です。
非常に低い回転数でスムーズに運転するにはモータのリーケージは一定でなければなりません。従っ
てディスクバルブ付きモータ
(OMS、OMT、OMVあるいはTMT)
を推奨します。
しかしより小さな容量
のモータは避けてください。負荷圧が一定で、戻り圧力が3-5 bar[45-70 psi]
および作動油粘度が
35 mm2/s
[164 SUS]
の場合によい結果が得られます。
520L0653 • BD • Nov 2012
17
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
軸荷重とベアリング寿命
軸荷重とベアリング寿命
多くの用途で油圧モータは
- 直接出力軸に作用する
(車重からの)
ラジアル/アキシャル力
- 歯車、
スプロケット、ベルト車あるいはウインチドラムからのトルク伝達によって生ずるラジアル力
の両方に耐えなければなりません。
このような用途には転がりベアリングをもった油圧モータが最適です。ダンフォスの油圧モータには
2つの異なったタイプのベアリングが使われています。
1)ニードルベアリング付きモータOMPW N、OMRW NおよびOMEW
ニードルベアリングは大きなラジアル荷重に耐えられます。
またモータには別個にスラストベアリン
グが用いられていますので、
アキシァル荷重はニードルベアリングの寿命に影響を与えません。
2)テーパローラベアリング付きOMS、OMSW、OMT、OMTW、OMV、OMVWおよびTMT
テーパローラベアリングは大きなラジアルおよびスラスト荷重に耐えられます。
OMPW N、OMRW N、OMEW、OMSW、OMTW、
あるいはOMVWは取付けフランジが後退してい
て荷重がモータ内の2つのベアリングの中間にかかるように設計されていますので、
より大きな荷重を
支持することができます。ホイールハブやウインチドラム用として最適です。
ニードルベアリング付きモータ
ベアリング寿命と
回転数の関係
テーパローラベアリング付きモータ
ベアリングの寿命と回転数は反比例します。つまり回転数が半分になれば寿命は2倍になります。
従ってサブカタログに示されている回転数以外の回転数に対するベアリング寿命は次式で簡単に
計算できます。
Lnew = Lref ×
nref
nnew
ここにLnewは回転数nnewにおける寿命、Lrefとnrefはサブカタログに示されている与えられたモータの
データです。
18
520L0653 • BD • Nov 2012
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
軸荷重とベアリング寿命
ベアリング寿命と
軸荷重の関係
軸荷重が小さければベアリングの寿命は長くなります。
この関係は次式によって示されます。
Lnew
Lref
Pref
=
3.3
Pnew
ここに Lnew は軸荷重 Pnew におけるベアリング寿命、Lref と Pref はサブカタログに示されている
データです。
注意
- この式はアキシァル荷重に関係なくOMPW N、OMEW および OMRW N に適用できます。
- その他のモータについてはアキシァル荷重とラジアル荷重の関係が一定の時に適用できます。
許容軸荷重と
回転数の関係
低速で高いラジアル荷重で運転する場合
(例えばモータが車両を支える要素として使用される)
回転
数とベアリング荷重との間の次のような関係を考慮する必要があります。
(ベアリングの寿命が変わら
ないとして)
Pnew =
3.3
nref
nnew
Pref
ここに Pnew は nnew における軸荷重、Pref と nref はサブカタログからのデータです。
[rpm]
の場合 nnew と Pnew/Pref の関係は下表のようになります。
nref = 200 min-1
Pnew
Pref
nnew
min-1(rpm)
Pnew
Pref
Max.ラジアル荷重
:
25
50
100
200
300
400
500
600
700
1.88
1.52
1.23
1.00
0.88
0.81
0.75
0.72
0.68
上記の計算式はベアリングの負荷容量と寿命との関係から得られたものです。
しかしモータの他の部
分
(ベアリングハウジング、取付フランジ、出力軸)
に作用する荷重にも限界があります。従って機械
的破損を避けるために軸荷重が制限されます。
OMPW N、OMRW N、OMEW、OMS、OMT、OMVおよびTMTについてはそれぞれの
軸荷重ダイヤグラムにMax. 軸荷重
(ラジアル荷重)
が示してあります。
もしMax. 軸荷重を越えるような場合や、特にショックの大きい使用条件
(ショックファクター > 3)
の
場合には弊社にご照会ください。
520L0653 • BD • Nov 2012
19
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
油圧システムと使用上の注意事項
Max.シャフトシール圧力
ダンフォスのオービタルモータは、次の3種類のシャフトシールのいずれかを取り付けて提供されます。
標準シャフトシール
(NBR)
弊社のモータのシャフトシールは長い寿命と過酷な条件下でもすばらしいシーリング特性を保持しま
す。組込まれたバックアップリングとリップの適正な設計によりシールは高圧、高回転に耐えられます。
シャフトシールに対するMax. 圧力はサブカタログの個々のモータ毎にグラフによって示されていま
す。
高圧シャフトシール
(NBR)
高圧シャフトシール
(HPS)
は弊社の標準シャフトシールを発展させたもので、内蔵のバックアップリン
グにより、
ほとんどの運転状況下で外部ドレンラインが不要となっています。
バイトンシャフトシール
(FPM)
弊社のモータに合成作動油を使用する場合には、バイトンシャフトシールを推奨します。
シール材質の特性
材質
温度 ºC[ºF]
NBR
-30~+100
[-22~+212]
大部分の合成油に接触すると膨潤します。
鉱物油系およびエマルジョンの作動油に使
用可能です。
FPM
-30~+150
[-22~+302]
鉱物油系、合成油およびエマルジョンに適
しています。
ケース圧力とドレン配管
ダンフォスのモータはOMEWを除き高圧側、低圧側、
ケースの3
つのチャンバーからなっています。従ってケースと高圧側は隔離さ
れており、戻り側
(低圧側)
の圧力が極端に高い場合ドレン配管
が必要となります。
ケース圧を考慮してモータには下記のオプションがあります。
チェックバルブ付きモータ
これらのモータにはチェックバルブが内蔵されています。
これによっ
てシャフトシールの圧力は決して戻り圧力以上にはなりません。
従ってシャフトシールのMax. 圧力はテクニカルデータの所にドレン
ラインが無い時のMax. 戻り圧力となります。
またドレンラインがあ
る時はドレンラインのMax. 圧力として示されています。
外部ドレンライン付きモータ
外部ドレンラインはシャフトシールにかかる圧力をタンクに逃が
します。言い換えれば、
タンクの圧力は必ず、サブカタログに示
すシャフトシールグラフのMax. 圧力と同じかそれ以下でなけれ
ばなりません。
チェックバルブおよび外部ドレンライン無しのモータ
標準のOMPにはチェックバルブが内蔵されていません。従って
ドレンラインがない場合にシャフトシールの圧力は入り口圧力
と戻り圧力の平均値と等しくなります。
Pseal =
Pinlet + Preturn
2
Psealはサブカタログに示すシャフトシールグラフのMax. 圧力と
同じかそれ以下でなければなりません。
20
520L0653 • BD • Nov 2012
備考
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
油圧システムと使用上の注意事項
Max.シャフトシール圧力
(続き)
OMEWは高圧シャフトシール付きのモータで高圧側、低圧側の2つのチャンバーからなっています。
OMEWモータにはCW
(時計方向回転用)
とCCW
(反時計方向回転用)
があります。
モータの回転方向により、
シャフトシールにかかる圧力は次のとおりとなります。
高圧シャフトシール付きOMEWモータ
CW
(時計方向回転用)
1)時計方向回転時 シャフトシールの圧力は出口圧力と等しくなります。
2)反時計方向回転時 シャフトシールの圧力は入口圧力と等しくなります。
CCW
(反時計方向回転用)
1)反時計方向回転時 シャフトシールの圧力は出口圧力と等しくなります。
2)時計方向回転時
シャフトシールの圧力は入口圧力と等しくなります。
ショート/ウルトラショートモータ
これらのモータを使用する場合、取り付けるコンポーネントの
シャフトシールの圧力によってきまります。
ドレンライン
ドレンライン使用上の注意
ドレンラインはシャフトシールの圧力をタンクに逃します。弊社のモータをドレンラインに接続する場合
次のような規則に従ってください。
• シャフトシールのMax. 圧力が許容値以上になる場合はドレン配管を推奨します。
さもなければシャフトシールの寿命は急速に短くなります。
• 次のような場合にはドレン配管を推奨します。
- 減速機と組合わせるショートモータ。
- HSTのモータとして使用される場合。
ドレンラインの流量
閉回路でチャージポンプの容量を計算する場合ドレン内のMax. 流量を知る必要があります。
Max. ドレン量はサブカタログの各モータ毎にテクニカルデータに示されています。
520L0653 • BD • Nov 2012
21
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
ブレーキング
ブレーキング
弊社のモータは負荷をブレーキするためにしばしば使用されます。
この時モータはポンプ作用をし運動
エネルギー
(質量、速度)
を油圧エネルギー
(流量、圧力)
に変換します。
この様なケースは次のような
用途にみられます。
•
•
•
•
車両のクレーンウインチ
漁船の魚網ウインチ
クレーンやエクスカベータのブーム
HST
モータのブレーキングトルクとデュアルショックバルブのリリーフ圧力によって負荷の制動時間が決ま
ります。
ブレーキングトルク
モータの機械効率
(ηhm)
は有効トルクが理論値よりも低いことを示しています。
Tmotor eff =
Ttheor × ηhm
(1)
ポンプにとって機械効率は与えられた圧力差を得るためにポンプに理論値よりも大きい有効トルクを
加えなければならないことを表しています。
Ttheor
Tpump eff =
(2)
ηhm
従って油圧モータがポンプ
(ブレーキング)
として作用する場合モータのブレーキトルク
(Mbr)
と有効ト
ルクとの関係は次のようになります。
Tbrake =
Ttheor =
Tbrake =
Ttheor
ηhm
Tmotor eff
ηhm
(2)
より
(1)
より
Tmotor eff
2
(ηhm)
弊社の油圧モータのブレーキングトルクは次の値を推奨します。
- OMS、OMT、OMV、TMT
:
Tbrake
- 他のモータ
:
Tbrake
∼ 1.2・Tmotor eff.
∼ 1.3・Tmotor eff.
Tmotor effは各モータの機能ダイヤグラムから読み取ることができます。
ブレーキングトルクはモータのMax. 作動トルクを越えないようにしてください。
Max. トルクは個々のモータのテクニカルデータに記載されています。
デュアルショックバルブの開放圧力
ブレーキングトルクはデュアルショックバルブの設定圧力によって調整することができます。設定圧力
は最大流量時に設定しなければなりません。
(流量がmin. からmax. に変わると実際の開放圧力は
20~30%上昇することを考慮してください。)
圧力ピークが過大にならないようにデュアルショックバルブは早く作動させるようにし、油圧モータの近
くに設けることが必要です。
22
520L0653 • BD • Nov 2012
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
ブレーキング
ブレーキング
(続き)
油の補充
油圧モータをブレーキの負荷として使用する場合、効果的な油の補給が必要です。不十分な補給は
- ギヤ-セットの内のキャビテーション発生
- ブレーキング力の不足
となり故障の原因となります。
はサクション
従ってモータのサクションポートに正のチャージ圧が必要になります。
このチャージ圧
( ps )
ポートよりギヤ-セットまでの油路の圧力損失より大きくなければなりません。
この圧力損失はモータのタイプ、流量および粘度に影響されます。個々のモータの圧力損失がサブカ
タログに示してありますので、チャージ圧はこの圧力損失
(pd)
のカーブから読み取れる圧損の半分以
上にしてください。
ps =
pd
2
チャージ圧はモータのサクションポートで測定できます。
閉回路にチャージポンプ
(ps~10-15 bar
[145~217 psi])
が設けられていれば常に正
(+)
のチャー
ジ圧力が発生しています。
開回路において大きなイナーシャのある負荷を動かす場合図1に示すように油の補充が必要です。
チェックバルブのクラッキング圧力はモータのチャージ圧
( ps )
とチェックバルブとモータ入口間の圧力
損失との合計よりも高くする必要があります。
図1
C: ショックバルブ
D: リリーフバルブ
E: チェックバルブ
520L0653 • BD • Nov 2012
23
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
ブレーキング
ブレーキング
(続き)
開回路で油圧モータが高いイナーシャの負荷
を動かす場合の回路を示しています。方向切
換弁をポジションⅠからⅡへ切換えるとポンプか
らモータへの油の流れは止まりますが、負荷の
イナーシャはモータを駆動し続けます。モータに
油を補給するためにチェックバルブが必要とな
ります。
さもないとモータには油がなくなってし
まいます
(図2を参照)
。
図2
スリップ
ある時間負荷を停止させ動かさないようにする
ために次の2つの条件を考慮してください。
図3
第一: モータにドレンラインがある場合モータ
に油の補充が必要です。
さもなくばモー
タのギヤ-セットの中の油が徐々に無く
なり、最後に自由に落下してしまいます。
最良の方法は23ページの図1に示して
あります。
第二: 油圧モータは負荷を完全に一定位置に
保持し続けることはできません。モータ
内部のリークにより負荷は動きます
(ス
リップ現象)
。従ってHST、
クレーンの旋
回あるいは負荷を吊っているウインチ等
には弊社の内蔵メカブレーキ付きのモー
タを使用してください。あるいはモータの
駆動軸を外部のブレーキで保持してくだ
さい
(図3を参照)
。
24
520L0653 • BD • Nov 2012
外部ブレーキ
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
メカブレーキ付モータ
メカブレーキ付きモータ
ダンフォスのOMR、OMS、OMT
およびTMTには内蔵ブレーキ付きのモータが
あります。OMS Bはメカニカルレバーでドラム
ブレーキを作動させるタイプで、OMR F、OMT
FX、OMT FL、TMT FLおよびOMT FHは
スプリング力により作動し、油圧によって
開放します。
OMR F
OMT FX
OMT FL
OMT FK
TMT FL
OMS B
OMS Bには機械的に作動するドラムブレーキ
が内蔵されていて、
ブレーキアームを作動させて
モータにブレーキをかけます。従ってこのブレー
キの機能は油圧システムとは別個のものです。
OMR F、OMT FX、OMT FL、TMT FL
これらのモータは閉回路のチャージポンプ圧力
で充分ブレーキを開放することができますので、
HSTや他の閉回路に適しています。右の図は
HSTにブレーキ付きモータを使用した例で、
オー
トマチックドライブ装置に付いている方向制御
弁
(M)
により車両を停止させる時に位置が切
替ってブレーキ開放の圧油はタンクに開放され
ます。
A: ブレーキ内蔵モータ
C: ブレーキ解除用ポート
D: ドレン配管ポート
M: 方向制御弁
O: チャージポンプ
OMR FおよびOMT FH
これらのモータは開回路に設計されたものです。
ブレーキ開放ラインはシステムの高圧側の圧力にも
耐えられます。勿論低圧でもブレーキは開放されます。
ブレーキ開放ポートとポンプラインをつなげばブレーキは開放されます。
ブレーキ開放を制御するため
にシャトル弁または方向制御弁が使われます。
OMR F
OMT FH
A:
C:
D:
P:
ブレーキ内蔵モータ
ブレーキ解除用ポート
ドレン配管ポート
シャトルバルブ
注意! ブレーキ内蔵モータには必ずドレン配管が必要です。
520L0653 • BD • Nov 2012
25
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
取付、
スタートアップ、保守、作動油の種類
取付、
スタートアップ、保守
良好な組立作業
• 全ての油圧機器を正しく取り付けてください。
• ポンプラインにマノメータを取り付けてください。
• モータの取付フランジ面が平に正しく取り付けられているか確認し、余分な応力がかからないように
してください。
• パイロットラインにエアーポケットが無いようにしてください。
取付
• 油圧機器を個々の取扱説明書に従って取り付けてください。
• モータの取扱説明書は製品に添付されていますが、必要であれば弊社にご照会ください。
• モータを取り付ける際、取付ボルトにより無理な力がかかりアラインメントが狂わないようにしてくだ
さい。
• 糸シール、
テフロンシール等不適切なシール材を使わないでください。ボンデットシール、
Oリング、
スチールワッシャーあるいは同等品を使用してください。
• パイプやホースで配管するまでプラスチックプラグを取らないでください。
• ねじ込み配管する時取扱説明書に記載してあるmax. 締付けトルク以上で締付けないでくださ
い。
• 作動油のコンタミネーションレベルは20/16
(ISO 4406)
より清浄に保持してください。
フィルタを
通してシステムに油を供給してください。
スタートアップと運転
• 原動機を起動させ、
できるだけ低い回転数で運転してください。
• 油中の気泡が無くなるまでエアー抜きプラグを開けたままにしてください。
• ロードセンシングシステムでは全てのパイロットラインに油が充満していることを確認してください。
• 油圧システム内にエアーがある兆候は次のような場合です。
−タンクに気泡がある
− モータやシリンダーのビビリ現象
− 騒音
• 油圧システム内にエアーがある場合。
− 作動油を補給してください。
− 油圧システムを別のフィルタ
(10μmメッシュ)
付きのタンク
(max. 流量の2倍の容量)
につなぎ、無負荷で約30分運転してください。
−システム内のエアーが完全に抜けるまで負荷をかけないでください。
− 油圧システムの油漏れをチェックし、
また満足に作動しているか確認してください。
−フィルタを交換してください。必要があれば油を補充してください。
運転時
• モータの圧力、圧力差、回転数がカタログに記載してあるmax値を越えないようにしてください。
• 作動油のコンタミネーションレベルを20/16
(ISO 4406)
以上に保つようにしてください。
26
520L0653 • BD • Nov 2012
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
取付、
スタートアップ、保守、作動油の種類
取付、
スタートアップ、保守
(続き)
作動油の種類
保守
• 徹底した保守によってのみ油圧システムの信頼性と運転寿命が得られます。
• それぞれの取扱説明書に従って作動油の補充および油、
フィルタ、
エアーフィルタを交換してくだ
さい。
• 作動油の状態、
システムの油漏れ、油のレベルを定期的にチェックしてください。
油圧システムの油の主な仕事はエネルギーを伝達することですが、
その他に油圧機器の可動部を潤
滑し、錆を防ぎ、汚れた粒子や熱をシステムから取り除きます。
従って正常な運転と長い寿命を確保するために適正な添加剤が入った作動油を選ぶことが重要で
す。
鉱物油
ダンフォスの油圧モータを使用したシステムには耐摩耗性の添加剤の入った鉱物油系の作動油を推
奨します。
タイプ:HLP
(DIN 51524)
あるいはHM
(ISO 6743/4)
。
耐摩耗性の添加剤の無い鉱物油やモータオイルも使用可能な場合もあります。もし使用する作動油
が特定できない時には弊社にお問い合わせください。
難燃性作動油、生物系作動油
ダンフォスの油圧モータは難燃性あるいは生物系作動油が使用されているシステムにも使用可能で
す。
しかしモータの性能や寿命は作動油の種類や使用条件によります。機能を満足し、作動寿命を確
保するためには作動油の性質にマッチした使用条件にする事が必要です。難燃性作動油や生物系
作動油を使用される場合には弊社にお問い合わせください。
520L0653 • BD • Nov 2012
27
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
温度、粘度およびフィルトレーション
温度と粘度
シャフトシールのシーリング機能を保つために周囲温度は-30ºC
[-22ºF]
から+90ºC[+210ºF]
にしてください。
作動油の温度は通常の運転で+30ºC
[+85ºF]
から+60ºC[+140ºF]
にしてください。もし+60ºC
[+140ºF]
を越えますと油の寿命は著しく低下します。
一般に作動油の寿命は油温+60ºC
[+140ºF]
以上で8ºC
[15ºF]越す毎に半減します。
粘度
システムの作動油温度が安定したときの油の粘度は20 mm2/sから75 mm2/s
[100~370 SUS]
にして
ください。実際の運転温度で35 mm2/s
[165 SUS]
の粘度になるような作動油を選定してください。
C: 推奨粘度範囲
D: 推奨温度範囲
フィルトレーション
正常な運転を維持するために油のコンタミネーションを適正に保つことが必要です。
ダンフォスの油圧モータを使用するシステムではコンタミネーションレベルを
20/16
(ISO 4406)
より清浄にしてください。
弊社の経験では20/16のコンタミネーションレベルは40μmアブソリュートあるいは公称25μmより
目の細いリターンフィルタを使用すれば可能です。非常にほこりの多い環境、複雑なシステム、
あるい
は閉回路では推奨フィルトレーションレベルは20μmアブソリュートあるいは公称10μmです。
(クイック
着脱カップリングを使っているシステムでは40μmアブソリュートの高圧フィルタをモータのすぐ前に設
けてください。)
28
520L0653 • BD • Nov 2012
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
Notes
520L0653 • BD • Nov 2012
29
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
Notes
30
520L0653 • BD • Nov 2012
テクニカルインフォメーション 一般解説オービタルモータ
Notes
520L0653 • BD • Nov 2012
31
主な取り扱い製品
ダイキン・ザウアーダンフォスは、世界各地に製造拠点と販売拠点を展開し、世界の車輌市場にシス
テムソリューションを提供する総合油圧機器メーカーのダンフォスグループとともに、車輌用油圧
•
閉回路アキシャルビストン
ポンプ・モータ
システムの専門メーカーとして皆様のベストパートナーを目指しています。
•
開回路アキシャルビストン
ポンプ・モータ
ネント、電子油圧制御機器など、豊富で広範囲にわたる製品群とシステムを取り揃え、農業・建設・
•
斜軸モータ
•
油圧トランスミッション
閉回路用ポンプ・モータ、開回路用ポンプ、オービタルモータ、バルブ、ステアリングコンポー
物流・芝刈道路・建設・林業・オンハイウエイ環境での特殊車輌など、様々な分野で幅広く使用され
ています。
また豊富な販売代理店網および認定サービスセンターのネットワークを通して、グローバルな
サービスを提供できる国際企業として高い評価をいただいています。
•
オービタルモータ
•
ディスプレイ
•
油圧ステアリング
弊社ウェブサイトもご覧ください。 •
電子油圧ステアリング
www.daikin-sauer-danfoss.com
•
比例弁
•
マイクロコントローラ
•
PLUS+1® GUIDE
(車輌用カスタムコントロールソフトウェア)
•
ジョイスティック
およびフットペダル
•
ディスプレイ
•
センサ
•
トラックミキサー用駆動装置
本 社 〒566-0044 大阪府摂津市西一津屋1-1 TEL: 06-6349-7264 FAX: 06-6349-6789
西日本営業 〒532-0004 大阪府大阪市淀川区西宮原1-5-28 新大阪テラサキ第3ビル6F TEL: 06-6395-6090 FAX: 06-6395-8585
東日本営業 〒101-0044 東京都千代田区鍛冶町2-7-1 神田IKビル4F TEL: 03-5298-6363 FAX: 03-5295-6077
Daikin-Sauer-Danfoss Ltd.
Shin-Osaka TERASAKI 3rd Bldg. 6F
1-5-28 Nishimiyahara, Yodogawa-ku
Osaka 532-0004, Japan
Phone: +81 6 6395 6084
Danfoss
Power Solutions
US Company
2800 East 13th Street
Ames, IA 50010, USA
Phone: +1 515 239 6000
Danfoss
Power Solutions
GmbH & Co. OHG
Krokamp 35
D-24539 Neumünster, Germany
Phone: +49 4321 871 0
Danfoss
Power Solutions ApS
Nordborgvej 81
DK-6430 Nordborg, Denmark
Phone: +45 7488 2222
Danfoss
Power Solutions
(Shanghai) Co. Ltd.
Building #22, No. 1000 Jin Hai Rd
Jin Qiao, Pudong New District
Shanghai, China 201206
Phone: +86 21 3418 5200
ダイキン・ザウアーダンフォスは、
カタログ・資料およびその他の印刷物あるいは電子資料に生じ得る誤りに対して責任を負うものではありません。
また弊社は予告なく製品を変更する権利を有します。
この変更は、
すでに合意された仕様の変更を必要とするものでない限り、
すでに発注された製品にも適用されます。本資料のすべての商標は該当各社が所有するものです。Danfoss、Danfossロゴタイプ、
S-icon、PLUS+1®はダンフォスグループの商標です。Daikin、Daikinロゴはダイキングループの商標です。無断転載を禁じます。
520L0653 • BD • Nov 2012
www.danfoss.com
© Danfoss A/S, 2014