インタビュー2: すみれ動物病院様

Special Interview-2
ご利用病院様インタビュー
すみれ動物病院(大阪市福島区) 崎岡 宣倫 院長
SDMAを多くご利用いただいていますが、
実際にはどのように使用されているのでしょうか?
まず、健康診断ですね。今はすべての健康診断に組み込
んでいます。
SDMAを健康診断に入れるかどうか飼い主さ
んに決めてもらうのは難しいですし、将来性のある検査な
ので、まずはできるだけ多くのデータをとって、使用する自
分たち獣医師がこの検査に慣れようと考えました。
もちろん多飲多尿があるような慢性腎臓病を疑う症例で
も、その症状が本当に腎臓が原因なのか確認するという観
点でも使用しています。飼い主さんに飲水量をきちんと測
たとえば、1 歳のティーカップ プードルで、クレアチニン
は正常値でBUNだけ微妙な高値が続いていて、食欲が落
ちている症例がいました。年齢も若いですし、本当に慢性
腎臓病なのか疑問もありましたが、皮下点滴を実施すると
食欲が戻り、点滴をやめると食欲が落ちる、ということが
何度かありました。そこでSDMAを測定してみたところ、
高値でした。熱心なオーナーさんなので、その後は定期的
にSDMA を測定していますが、点滴とセミントラによる治
療で状態は安定しています。
経営的な観点からはいかがでしょうか?
定してもらうのが大変なこともありますしね。BUN、クレ
アチニン等の血液検査に加えてSDMA、そして尿検査を
まずは見ておきましょう、とお話しています。
SDMA を使用されて、具体的にはどんな
メリットを感じられていますか?
まずメリットとしては、
BUNやクレアチニンだけでは判断
できないような場合でも、
SDMAを使うことで腎臓病を検
出できることがあることです。既存の腎臓病の検査を補足
する情報が得られると思います。慢性腎臓病の診断、除外
の両方の判断の材料としています。生検による腎臓病の確
定診断はなかなかできませんので、飼い主さんが理解しや
すい目に見える形でその他の検査データをどうやって提示
するかを考えます。たとえば BUN、Cre、SDMA の 3 つの
内2つが異常な値を示していれば、腎臓病の可能性が高
い、と理解してもらいやすいですね。いわば検査項目の多
数決ですよね。検査項目のひとつひとつが何を意味してい
るかを飼い主さんに理解してもらうのは難しいですが、検
査項目の多数決、であればすんなり理解してもらえること
が多いです。そのためにも利用できる検査項目は多い方が
いいですよね。
まだ SDMA を導入したばかりなので、評価するには早
いとは思いますが、この導入をきっかけに今後は来院頻度
が上がると思います。今までは健診のご案内 DM は 6 ヶ月
健診と12 カ月健診の 2 種類だったのですが、SDMA だけ
が少し高いといったケースで再検査したい場合、1 カ月後
では早すぎるし、6 カ月後の再診では心配だな、ということ
が多いんです。そこで 3 カ月後の再検査にきちんと来院して
もらうためにも、3 カ月健診を導入しDM を始めました。今
後はこれにより来院頻度が上がり、腎臓病が早く診断でき
ることが増えると思いますので、経営面でもメリットになる
と思います。
SDMA も含めた、先生の慢性腎臓病の
これからSDMA を使用される先生方への
診断プロトコールを教えてください。
アドバイスをお願いします。
基本的には IRIS の考え方に準じています。検査について
は血液検査、尿検査、画像検査等を実施しています。飼い
主さんに納得していただくことが重要ですから、実際にどこ
まで検査を行うかは個々の動物の状態と飼い主さんの考え
方で異なりますね。
一番困るのは目に見える症状がなくて、
「元気なんだけ
ど」
と飼い主さんがいっているようなケースですね。このよ
うな場合は、健診で引っかかるケースがほとんどですが、
健診に入れて測定するのが一番効果的だと思います。健
診 項目と位 置 付けることが、獣 医 師にとっても飼い主に
とってもハードルが低いのではないでしょうか。また先生方
が SDMA に慣れることが重要でしょう。たくさん測定すれ
ば、たまには SDMA だけ上がらないこともありますが、そ
のようなケースの飼い主さんへの説明に慣れることも重要
ではないでしょうか。
SDMA が異常値を示せば、飼い主さんにも説明がしやすく
なります。腎臓病の可能性があるという警鐘をなるべく早
く鳴らして、きちんとモニタリングできるような状況を作り
たいのです。いわば、オオカミ少年になるなら早めになっ
て、モニタリングを継続し、病気を早期に発見して的確な
治療に結びつけたいと思っています。
SDMA で早期の CKDと診断した場合(IRIS
ステージ1)、先生は次に何を行われますか?
アイデックスジャパン公式サイト
IDEXX SDMATM 学術情報ページ
学術情報、資料、よくお寄せいただく質問への
回答など、多彩な情報をご紹介しています。
www.idexx.co.jp/
トップページのテキストリンク
「IDEXX SDMATM」
を
クリックしてください。
もちろん IRIS ステージ1でも何ができるか(フードの変
更、血圧降下薬、リン吸着剤等)は提案します。しかし、ど
のタイミングでどの治療を受け入れるかは飼い主さんの考
え方や経済状況によって変わってきます。ただ、必ず次の
定 期チェックの日時はきっちり決めることにしています。
SDMA だけが高い場合は 3 カ月後を目安にして、上昇傾
向がみられたら治療を開始しましょうとお話しています。
SDMAを実施する前に、飼い主様にSDMA について
説明をされていますか? その場合、どのような説明を
されますか?
例えば、猫であれば、今までよりも17 カ月早く腎臓の異
常がみつかる可能性がある、とお話しています。腎機能の
何%とかよりも時間の話しにフォーカスしたほうががわか
りやすいと思います。また、肝臓に比べて腎臓の検査項目
は今までこんなに少なかったのですが、新しい検査が増え
たんです、といったご説明もします。
IRIS が作成した CKD ガイドラインポスターの
日本語翻訳版(犬・猫)や最新のご案内パンフレットが
ダウンロード可能になりました。ぜひご参照ください。