P a r t 3 ばん さん 典や晩 餐会に飾られるようになり世界的にも有名に なっていきました。日本に渡来したのは明治のはじめ といわれています。 スイセン〈ヒガンバナ科〉 すいせん 水仙 *PART 1☛p.10、p.12 英語名= narcissus(ナーシサス) ・daffodil(ダファ ディル)* daffodil はラッパスイセンをさす。 花育ひろば*花にまつわるミニ情報* う説があります。 薬として使われたスイセンですが、毒性もあり、ニ イリス(アイリス)は、ギリシア神話の虹の女神で、 ラと間違えて葉を食べた人が食中毒をひきおこすと 天と地を結ぶ神々の使者です。彼女と愛の神エロス いうケースもたびたび報道されています。 「ナルキソ (ローマ神話ではキューピッド)との間に生まれたの ま ひ ス」は「麻痺させる」という意味のギリシア語「ナ ルケ(nalke)」に由来するともいわれています。 古くからいけ花として人気があり、16 世紀に開か れた約 60 年間 71回分のある茶会の記録によると、16 が風の神ゼフィロスといわれています。イリスははじ じ じょ パンジーはこのほか、 「貴婦人たちの花」 「庭園の 宝石」 「帽子の中の 3 つのかわいい顔」 「通りを走る子 猫」 「キスして(Kiss-me)」 「わたしを呼んで(callme)」などいろいろな名前で親しまれています。 「スミレ(英語名 violet:ヴァイオレット) 」や「ビ め、ゼウスの妻ヘラの侍女でしたが、ヘラから7 色の オラ」は本来、スミレ科スミレ属の花の総称(すべ 首輪を与えられて「虹の女神」となりました。 てをまとめていう時の名前)ですが、園芸上の慣例 アイリス(iris)は、アヤメ、カキツバタ、イチハツ、 ではそれぞれ特定の品種(群)を指すことがあります。 回用いられているキクを抜いて、いちばん用いられた ハナショウブなどアヤメ科アヤメ(アイリス)属の総 シェイクスピアの劇にも登場し、ナポレオンにも愛 花がスイセン(23回)ということになっているそうです。 称です。同じアヤメ(アイリス)属でも、アヤメは山 されたスミレは、より古くはローマ神話で次のように 日本にもスイセンで有名な越前海岸に次のような 野の比較的乾燥したところを好み、ハナショウブや 語られています。最高神ジュピター(ギリシア神話 カキツバタのように水中には生育しません。 ではゼウスと呼ばれる)はイアという美しい乙女をひ 学名= Narcissus tazetta(ナルシサス・タツェッタ) 伝説が残されています。平安時代のおわり頃、嵐で そのほかの呼び名=雪中花(せっちゅうか) この地に流れついた美しい娘を地元の長者の次男が 属名 Narcissus は、ギリシア神話のナルキソス 愛するようになります。長者にはこの次男と仲のよい おと め そかに愛していました。ある時、妻のジュノー(ギリ パンジー〈スミレ科〉 さんしきすみれ シア神話ではヘラ)に見つかりそうになった時にとっ め うし (Narkissos)の名に由来します。花を少し傾けて咲 長男がいるのですが、その長男が源平の合戦から負 く姿は、湖面に映る自分の美しい姿に恋をする美青 傷して帰ってきます。その長男もこの娘に恋をしてし 年ナルキソスの様子を伝えているのだといわれていま まい、ふたりはいがみあうようになっていきました。 す。西洋の文学に登場する花の中でも最も古い歴史 激しい兄弟の争いの原因になったことを嘆いた娘は を持つものとして知られ、古代ギリシアの大詩人ホメ とうとう海に身を投げてしまいます。次の年の春、今 英語名= pansy(パンジィ) イアがついたため息があたった草がスミレに変わった ロスも、 「神にとっても人間にとっても驚くべき光に満 まで見たことがない美しい花が海岸に咲いたのです 学名= Viola wittrockiana(ヴィオラ・ヴィットロキ という話もあります。このイアは文字にすると wion ちた高貴な姿である」とこの花をたたえています。 が、それがスイセンだったというお話です。 アナ) で、それが属名の Viola や英語の violet、viola とつ そのほかの呼び名=遊蝶花(ゆうちょうか) ・人面 ながっているという説もあるようです。 また、イスラム教の開祖マホメットは「パンはから かて だの糧、スイセンは心の糧である」と言い、この花 をパンと同じくらいに価値のあるものとみなしていた と伝えられているそうです。 種小名の tazetta は、 「小さいコーヒー茶碗」のこ とで、2 重にある花のうちの内側(中央)の黄色の花 の形からの連想によるものです。 ハナショウブ〈アヤメ科〉 はなしょうぶ 花菖蒲 *PART 1☛p.34 *PART 2☛p.130 英語名= iris(アイリス) ,sword-leaved iris(ソー 三色菫 *PART 1☛p.25、p.28 草(じんめんそう)など 属名 Viola は「紫色の」という意味。種小名 wit植物採集家の名前に由来します。 和名の「三色すみれ」は、1つの花が「紫・黄・白」 (または「紫・黄・青」)の三色に彩られているとこ す。その高貴な姿や香りを水辺にすむ仙人に見立て 学名= Iris ensata(アイリス・エンサータ) 花が人の顔に見える時があります。英語名の pansy たという説があります。水仙が中国から日本に伝わっ そのほかの呼び名=花菖蒲(はなあやめ) ・早乙女 は、 「物思い・思想」をあらわすフランス語の pensée た経緯については、薬用としてキクやアサガオととも 花(サオトメバナ)など に遣唐使が持ち帰ってきたという説、海岸に群生地 属名Irisは「虹」の意味。種小名ensataは「剣形 が多いことから海流によって大陸から流れ着いたとい の、剣のように鋭い」の意味。英語名の sword- なったイアの食べ物としてただの草は似合わないと、 ジュピターがイアのためにあらたにつくりだしたのが やまべのあかひと 日本では、奈良時代はじめの歌人、山部赤人の歌 まんよう の中に登場し、 「万葉集」におさめられています。 trockiana は、 「ウィトロックさんの」という意味で、 ろに由来します。 「人面草」という名前もあるように、 けん とう し さにジュピターはイアを雌牛の姿に変えました。牛と この花だったということです。また、牛に変えられた ド・リーヴドゥ・アイリス) 「水仙」という名前は中国で用いられていたもので 122 leavedも「剣の葉を持つ」という意味です。 (パンセ)からきたことばで、この花のつぼみが何か ヒマワリ〈キク科〉 ひ ま わ り 向日葵 *PART 1☛p.46 英語名= sunflower(サンフラワー) 学名= Helianthus annuus(ヘリアンツス・アンヌ を深く考える人の姿を連想させるところからのネーミ ース) ングといわれています。 そのほかの呼び名=日輪草(にちりんそう) ・日車 123
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