KSKR(全国ポリオ会連絡会 N0.46)低料第三種郵便物認可通巻第 6774 号 2015 年 11 月 15 日発行 転倒予防は万全に! DON’T LET FALL PREVENTION FALL THROUGH THE CRACKS PHIポリオネットワークニュースより Second Time Around Vol17 No10 p11-12 2014 (翻訳:武田美千代 選定:向山昌邦) 高齢者の転倒は大きな社会的問題です。その理由を述べましょう。 高齢者の転倒による負傷(けが)は、重症のことが多く、生活を変えてしまう事態に なり、費用も高くつきます。そして致命傷になることもあります。 米国で65才以上の高齢者の負傷に関係する死因を調べてみると転倒が主な死因にな っていることがわかります。 1)2000年には65才以上の人で転倒による負傷で死亡したケースは 10,300件、 死に至らなかった負傷が260万件発生していた。 2)転倒による負傷は致命的でもそうでない場合も、高齢者では増加している。 3)高齢者で、転倒による負傷を治療する際の直接的な医療費は、合計すると、致 命傷の場合2億ドル、致命傷でない場合は190億ドルと推測される。 4)転倒後のリハビリテーションのための経済的費用は、療養施設に入り、補助器 具(杖や歩行器など)を使用し、理学療法を受けるなどを考えると、より高くなる。 一度転倒すると、それ以降転倒するのではないかと不安をいだくので、日々の活動や 運動を控えるようになる。 5)結局、運動不足で転倒リスクを高めるという悪循環になる。 6)ポリオ経験者がもつ様々な症状は、高齢者や、筋肉の虚弱、関節痛、疲労など 神経筋障害を患っている人達にとっての転倒の危険因子として知られる事柄と同じ である。ある研究によると昨年一度でも転倒したことがあるポリオ経験者は、55才以 上のポリオを経験していない成人の4倍に上るというデータがある。 7)ポリオ経験者特有の転倒予知事項が3つある。 a)バランスをとりにくい、b)弱い方の足のひざを伸ばしづらい “knee buckling (膝関節の座屈)”、c)転倒を恐れている 調査からわかるポリオ経験者のデータ ポストポリオヘルスインターナショナル(PHI)の読者の多くが調査に参加し、転倒に ついての質問に答えてくれました。以下にポストポリオ症候群を患っている人達の回 答を記します。 242人(54%)が過去半年の間に転倒したと回答 385人(86%)が転倒について心配しているとのこと 366人(82%)が転倒を恐れて行動を控えている、とのことです。 21 KSKR(全国ポリオ会連絡会 N0.46)低料第三種郵便物認可通巻第 6774 号 2015 年 11 月 15 日発行 転倒を予防するのに何ができるか? 転倒についての知識を得ること、これで予防策の半分は達成されたといえます。自宅 内での転倒には以下の事柄が関係しています。4段以上の階段がある、床が滑りやす い、照明が不十分、手すりがない、床が平らではない、通路に障害物がある、など。 屋外での転倒にはでこぼこ道とか、ひびの入った歩道が関係しています。 他の転倒予防方法 1)視力や聴力検査を定期的に受ける。 2)薬の副作用として、体調やバランスに影響を与えうるもの、体を更に虚弱にさ せるものがないかを医師に相談する。 3)自分の足にあった履物、足を十分保護できるゴム底でかかとの低い靴を履く。 すり減った杖や松葉づえの先を取り換える。硬材やリノリウムの床を歩くときは靴下 を履かないようにする。 4)室内で靴下を履くときは足裏の部分に滑り止めがついたもの、或いはクロック ス(軽い合成樹脂製の靴)を履くと室内での転倒を予防できる。 5)室外では、濡れた歩道や氷ですべりやすい道を歩くときには十分注意する。 6)外出するときは必ず携帯電話を持ち歩く、或いは友人や家族に同伴してもらう。 7)骨を強く、かつ柔軟に維持するためにどのような運動をすると良いか医師から 定期的にアドバイスを受ける。 8)バランスを良くし、体の調整をするためにラジオ体操、ストレッチ、太極拳や ヨガなどを試みる。 9)自宅を安全な場所にしておく。つまづきそうなもの(靴、紙類、本、衣類など) は階段やよく通る場所に置かず片づける。荷物を山積みにしない。 10)浴室やよく利用する場所で、サポートが必要な場所(階段や廊下)には手すり を付けたり、つかむことができる棒を設置する。 11)自宅の照明を改善する。加齢とともに明るい照明が必要になる。 22
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