(57)【要約】 - Questel

JP 2006-193527 A 2006.7.27
(57)【 要 約 】
【課題】天然のノイラミニダーゼに対応する抗原特性をもち、正確な作法で折り畳まれる
組換えインフルエンザノイラミニダーゼを提供すること。
【解決手段】ノイラミニダーゼ発現ベクターベクターで形質転換された宿主細胞、または
ノイラミニダーゼ発現ベクターで形質転換されたウイルスに感染させた宿主細胞を適当な
培養培地中で培養し(ここで、発現ベクターには、膜アンカーをコードする領域を欠損し
ているインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ遺伝子のコード領域の少なくとも一部
、またはその修飾バージョンが含まれ、該コード領域に先立ち、シグナル配列が相内で連
結している);該発現産物ノイラミニダーゼを培養培地から単離することによって得られ
る組換えノイラミニダーゼならびに該組換えノイラミニダーゼを適用したワクチンおよび
その製造方法ならびに精製方法を提供する。
【選択図】なし
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(2)
JP 2006-193527 A 2006.7.27
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ノイラミニダーゼ発現ベクターで形質転換された宿主細胞、またはノイラミニダー
ゼ発現ベクターで形質転換されたウイルスに感染させた宿主細胞を適当な培養培地中で培
養し(ここで、発現ベクターには、膜アンカーをコードする領域を欠損しているインフル
エンザウイルスのノイラミニダーゼ遺伝子の免疫感作において防御免疫を引き起こしうる
機能的フラグメントをコードする、少なくとも一部のコード領域、またはそのフラグメン
トが含まれ、該コード領域に先立ち、シグナル配列が相内で連結している);次いで
b)培養培地から発現産物ノイラミニダーゼを単離する
ことによって得られる実質的単離体である組換えノイラミニダーゼ。
10
【請求項2】
組換え発現ベクターpAc2IVNAs(LMBP2976)を用いてウイルスのゲノ
ムの2重相同的組換えを行なってウイルスを形質転換し、該ウイルスに感染させた宿主細
胞を適当な培養培地中で培養し、次いで培養培地から発現産物ノイラミニダーゼを単離す
ることによって得られる、実質的単離体である組換えインフルエンザNA2ノイラミニダ
ーゼ。
【請求項3】
組換え発現ベクターpPP1IVNAfls(LMBP3223)をトランスフェクト
させた宿主細胞を適当な培養培地中で培養することによって得られる、組換えインフルエ
ンザNA2ノイラミニダーゼ。
20
【請求項4】
さらに、培養培地から発現産物ノイラミニダーゼを単離することを含む請求項3に記載
の組換えインフルエンザノイラミニダーゼ。
【請求項5】
宿主細胞が下等真核生物由来であることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載
の組換えインフルエンザノイラミニダーゼ。
【請求項6】
宿主細胞が昆虫細胞であることを特徴とする請求項1、2または5に記載の組換えイン
フルエンザノイラミニダーゼ。
【請求項7】
30
昆虫細胞がsf9昆虫細胞であることを特徴とする請求項6に記載の組換えインフルエ
ンザノイラミニダーゼ。
【請求項8】
宿主細胞が酵母細胞であることを特徴とする請求項1、3、4または5に記載の組換え
インフルエンザノイラミニダーゼ。
【請求項9】
インフルエンザワクチン用の請求項1∼8に記載の組換えインフルエンザノイラミニダ
ーゼ。
【請求項10】
NA2型インフルエンザワクチン用の請求項2∼8のいずれかに記載の組換えインフル
40
エンザノイラミニダーゼ。
【請求項11】
a)膜アンカーをコードする領域を欠損しているインフルエンザウイルスのノイラミニ
ダーゼ遺伝子の免疫感作において防御免疫を引き起こしうる機能的フラグメントをコード
する、少なくとも一部のコード領域、またはそのフラグメント;
b)コード領域の5’に位置し、相内でコード領域に連結されたシグナル配列;
c)シグナル配列の5’に位置するプロモーター;および
d)コード領域の3’に位置する転写ターミネーター
を含む、分泌可能なインフルエンザノイラミニダーゼを発現するベクター。
【請求項12】
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(3)
JP 2006-193527 A 2006.7.27
a)膜アンカーをコードする領域を欠損しているウイルス株「A/ビクトリア/3/7
5」のインフルエンザNA2のノイラミニダーゼ遺伝子の免疫感作において防御免疫を引
き起こしうるコード領域、またはそのフラグメント;
b)コード領域の5’に位置し、相内でコード領域に連結されたシグナル配列;
c)シグナル配列の5’に位置するプロモーター;および
d)コード領域の3’に位置する転写ターミネーター
を含む、分泌可能なインフルエンザNA2ノイラミニダーゼを発現するベクター。
【請求項13】
シグナル配列がインフルエンザNA2ウイルス「A/ビクトリア/3/75」(H3N
2)の血球凝集素遺伝子由来であることを特徴とする請求項11または12に記載のベク
10
ター。
【請求項14】
プロモーターがポリヘドリンプロモーターであることを特徴とする請求項11、12ま
たは13に記載のベクター。
【請求項15】
転写ターミネーターがSV40および/またはポリヘドリン遺伝子由来であることを特
徴とする請求項11∼14のいずれかに記載のベクター。
【請求項16】
寄託番号がLNBP2976であるベクターpAc2IVNAs。
【請求項17】
20
a)ノイラミニダーゼの膜アンカーおよび少なくとも一部の柄部分をそれぞれコードす
る領域を欠損しているインフルエンザノイラミニダーゼ遺伝子の免疫感作において防御免
疫を引き起こしうる領域をコードする機能的フラグメントをコードする領域、またはその
フラグメント;
b)コード領域の5’に位置し、相内でコード領域に連結されたシグナル配列;
c)シグナル配列の5’に位置するプロモーター;および
d)コード領域の3’に位置する転写ターミネーター
を含む、酵母中で分泌可能なインフルエンザノイラミニダーゼを発現するベクター。
【請求項18】
a)ノイラミニダーゼの膜アンカーおよび少なくとも一部の柄部分をそれぞれコードす
30
る領域を欠損しているウイルス株「A/ビクトリア/3/75」のインフルエンザノイラ
ミダーゼ遺伝子の免疫感作において防御免疫を引き起こしうる領域をコードする機能的フ
ラグメントをコードする領域、またはそのフラグメント;
b)コード領域の5’に位置し、相内でコード領域に連結されたシグナル配列;
c)シグナル配列の5’に位置するプロモーター;および
d)コード領域の3’に位置する転写ターミネーター
を含む、酵母中で分泌可能なインフルエンザNA2ノイラミニダーゼを発現するベクター
。
【請求項19】
シグナル配列がサッカロミセス・セレビシアエのα因子のプレプロシグナル配列である
40
ことを特徴とする請求項17または18に記載のベクター。
【請求項20】
プロモーターがピチア・パストリスのアルコールオキシダーゼIプロモーターであるこ
とを特徴とする請求項17、18または19に記載のベクター。
【請求項21】
転写ターミネーターがピチア・パストリスのアルコールオキシダーゼI遺伝子由来であ
ることを特徴とする請求項17∼20のいずれかに記載のベクター。
【請求項22】
寄託番号がLMBP3223であるベクターpPP1IVNAfls。
【請求項23】
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(4)
JP 2006-193527 A 2006.7.27
請求項1に記載の組換えインフルエンザノイラミニダーゼを含むワクチン。
【請求項24】
請求項2∼10に記載の組換えインフルエンザNA2ノイラミニダーゼを含むワクチン
。
【請求項25】
a)適当なプロモーターおよびターミネーター配列の調節下に、シグナル配列および、
該シグナル配列に相内で連結するインフルエンザノイラミニダーゼ遺伝子の免疫感作にお
いて防御免疫を引き起こしうるコード領域(該コード領域は、ノイラミニダーゼの膜アン
カーをコードする領域および柄部分をコードする領域を欠損している)またはそのフラグ
メントを含む発現ベクターを構築し;
10
b)得られた該発現ベクターで宿主細胞を形質転換し;
c)組換えノイラミニダーゼの発現を可能にする条件下で、該形質転換宿主細胞を培養
培地中で培養し;次いで
d)組換えノイラミニダーゼを培養培地から単離する;
工程を特徴とする組換えインフルエンザノイラミニダーゼの製造方法。
【請求項26】
a)適当なプロモーターおよびターミネーター配列の調節下に、シグナル配列および、
該シグナル配列に相内で連結するインフルエンザノイラミニダーゼ遺伝子の免疫感作にお
いて防御免疫を引き起こしうるコード領域(該コード領域は、ノイラミニダーゼの膜アン
カーをコードする領域を欠損している)またはそのフラグメントを含む発現ベクターを構
20
築し;
b)得られた該発現ベクターで宿主細胞を形質転換し;
c)組換えノイラミニダーゼの発現を可能にする条件下で、該形質転換宿主細胞を培養
培地中で培養し;次いで
d)組換えノイラミニダーゼを培養培地から単離する;
工程を特徴とする組換えインフルエンザノイラミニダーゼの製造方法。
【請求項27】
a)適当な転写プロモーターおよびターミネーター配列の調節下に、シグナル配列およ
び、該シグナル配列に相内で連結するインフルエンザノイラミニダーゼ遺伝子のコード領
域(該コード領域は、膜アンカーをコードする領域を欠損している)または免疫感作にお
30
いて防御免疫を引き起こしうるそのフラグメントからなる発現モジュールを含む発現ベク
ターを構築し;
b)ウイルスのゲノムに該ベクターの発現モジュールを二重相同的組換え手段によって
持ち込み;
c)得られた該形質転換ウイルスに宿主細胞を感染させ;
d)組換えノイラミニダーゼの発現を可能にする条件下で、該感染宿主細胞を培養培地
中で培養し;次いで
e)組換えノイラミニダーゼを培養培地から単離する;
工程を特徴とする組換えインフルエンザノイラミニダーゼの製造方法。
【請求項28】
40
a)適当な転写プロモーターおよびターミネーター配列の調節下に、シグナル配列およ
び、該シグナル配列に相内で連結するウイルス株「A/ビクトリア/3/75」のインフ
ルエンザNA2ノイラミニダーゼ遺伝子の免疫感作において防御免疫を引き起こしうるコ
ード領域(該コード領域は、膜アンカーをコードする領域を欠損している)またはそのフ
ラグメントからなる発現モジュールを含む発現ベクターを構築し;
b)組換えバキュロウイルスを得るために、野生型バキュロウイルスまたはそれから誘
導されたバキュロウイルスのゲノムに該ベクターの発現モジュールを二重相同的組換え手
段によって持ち込み;
c)該組換えバキュロウイルスに宿主細胞を感染させ;
d)組換えノイラミニダーゼの発現を可能にする条件下で、該感染宿主細胞を培養培地
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中で培養し;次いで
e)組換えノイラミニダーゼを培養培地から単離する;
工程を特徴とする組換えインフルエンザNA2ノイラミニダーゼの製造方法。
【請求項29】
a)二重相同的組換え手段によって、寄託番号LMBP2976であるベクターpAc
2IVNAsの発現モジュールでバキュロウイルスを形質転換し;
b)該組換えバキュロウイルスに宿主細胞を感染させ;
c)組換えノイラミニダーゼの発現を可能にする条件下で、該感染宿主細胞を培養培地
中で培養し;次いで
d)組換えノイラミニダーゼを培養培地から単離する;
10
工程を特徴とする組換えインフルエンザNA2ノイラミニダーゼの製造方法。
【請求項30】
a)適当な転写プロモーターおよびターミネーター配列の調節下に、シグナル配列およ
び、該シグナル配列に相内で連結するウイルス株「A/ビクトリア/3/75」のインフ
ルエンザNA2ノイラミニダーゼ遺伝子の免疫感作において防御免疫を引き起こしうるコ
ード領域(該コード領域は、ノイラミニダーゼの膜アンカーをコードする領域および柄部
分をコードする領域を欠損している)またはそのフラグメントからなる発現モジュールを
含む発現ベクターを構築し;
b)得られた該組換えベクターで宿主細胞を形質転換し;
c)組換えノイラミニダーゼの発現を可能にする条件下で、該形質転換宿主細胞を培養
20
培地中で培養し;次いで
d)組換えノイラミニダーゼを培養培地から単離する;
工程を特徴とする組換えインフルエンザNA2ノイラミニダーゼの製造方法。
【請求項31】
a)寄託番号LMBP3223であるベクターpPP1IVNAflsでピチア・パス
トリスを形質転換し;
b)該ベクターで宿主細胞を形質転換し;
c)組換えノイラミニダーゼの発現を可能にする条件下で、該形質転換宿主細胞を培養
培地中で培養し;次いで
d)組換えノイラミニダーゼを培養培地から単離する;
30
工程を特徴とする組換えインフルエンザNA2ノイラミニダーゼの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えインフルエンザノイラミニダーゼ、組換えノイラミニダーゼを宿主細
胞中で発現しうる発現ベクター、組換えノイラミニダーゼの産生および精製方法、インフ
ルエンザに対するワクチンおよび本発明の組換えノイラミニダーゼの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
イ ン フ ル エ ン ザ A 型 お よ び B 型 ウ イ ル ス に よ る 流 行 性 感 冒 (イ ン フ ル エ ン ザ )は 、 感 染 者
40
に相当な被害を与え、社会生活および経済生活に大きな影響を及ぼす。インフルエンザは
高齢者および慢性疾患の患者において死亡率が高い。1940年代における流行の際に、
鶏卵中で培養されたウイルス物質に基づく不活性ワクチンがインフルエンザ感染に対して
明らかに効果があることがわかり、その結果、危険率の高い集団の死亡率が大きく低下し
た。
インフルエンザウイルスは、その2つの表面抗原、すなわち血球凝集素ヘマグルチニン
(H A )と ノ イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ (N A )に お い て 有 意 な 抗 原 変 異 (い わ ゆ る 「 抗 原 ド リ フ ト 」 )を
起こすため、咽喉管に生存するウイルスのなかでもユニークである。
その上、特にインフルエンザA型ウイルスは、「抗原シフト」という現象によって効果
のある免疫を回避することができる。ヒトのウイルスにおいてこのような現象が出現する
50
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のは、インフルエンザ遺伝子の動物保菌者由来のNA遺伝子に起因するものである。かく
して、1957年に、それまで流行していたNA1型のウイルスは新しいNA2型のウイ
ルスと置き換えられた。1977年以来、NA1型のウイルスがヒト集団に再び戻って来
ている。したがって、本発明ワクチンは好ましくはNA1およびNA2型ウイルスの両方
に対応しうるものを目指さねばならない。
NAはグリコシル基の末端シアル酸残基の除去に触媒作用を及ぼし、それによってHA
の 可 能 な 受 容 体 が 破 壊 さ れ る (ゴ ッ チ ャ ル ク , 1 9 5 7 ; バ ー ネ ッ ト お よ び ス ト ー ン , 1
9 4 7 )。 ウ イ ル ス の 集 合 の 阻 止 お よ び 細 胞 間 に お け る ウ イ ル ス の 充 分 な 拡 散 に お い て N
A が 本 質 的 に 関 与 し て い る と 考 え ら れ る (コ ー ル マ ン お よ び ワ ー ド , 1 9 8 5 )。
そ れ ぞ れ の N A 分 子 (M r = 2 4 0 , 0 0 0 )は 、 ジ ス ル フ ィ ド 架 橋 に 結 合 し 、 非 共 有 結
10
合によって共に交互に保持しあう2組のダイマーで築き上げられた4個の同一のポリペプ
チ ド 鎖 か ら な る キ ノ コ 様 構 造 を し て い る (ブ ッ チ ャ ー お よ び キ ル ボ ー ン , 1 9 7 2 ; レ イ
バ ー お よ び バ レ ン タ イ ン , 1 9 6 9 ; バ ル ゲ ー ゼ ら , 1 9 8 3 ; ワ ー ド ら , 1 9 8 3 )。
HAとは異なって、NAは、非スプライス、NA末端、親油性配列、いわゆる膜アンカー
に よ っ て 脂 質 膜 に つ な が れ て い る (フ ィ ー ル ズ ら , 1 9 8 3 ; ブ ロ ッ ク ら , 1 9 8 2 )。 構
造全体のうち最も大きな部分が膜の上に突き出ており、そこで伸長した「柄」領域の頂部
に 位 置 す る 末 端 ・ 箱 形 状 の 「 頭 部 」 領 域 を 形 成 す る (リ グ レ イ ら , 1 9 7 3 )。 該 頭 部 の 内
側に、各モノマーはそれ自身の触媒部位をもち、少なくとも4個のNA結合グリコシル基
が 含 ま れ る (コ ー ル マ ン ら , 1 9 8 3 ; ワ ー ド ら , 1 9 8 2 )。 O − グ リ コ シ ル 化 の 存 在 は
、現在のところまだ説明されていない。
20
外部に局在しているために、HAおよびNA抗原は、宿主の免疫系にとって最も重要な
ウイルス標的構造となっている。HAに特異的に結合する抗体はウイルスの感染性を中和
すると考えられ、それはおそらく早期段階の感染を遮断することによるものであろう(ハ
ー ス ト , 1 9 4 2 ; キ ダ ら , 1 9 8 3 )。 N A 特 異 的 抗 体 は 通 常 、 標 的 細 胞 の 初 期 感 染 を
阻 止 す る の で は な く (ジ ャ ヒ エ ル お よ び キ ル ボ ー ン , 1 9 6 6 ; キ ル ボ ー ン ら , 1 9 6 8
; ヨ ハ ン セ ン ら , 1 9 8 8 )、 ウ イ ル ス の 拡 散 を 阻 止 す る 。 さ ら に 、 競 合 メ カ ニ ズ ム に よ
り、より頻繁に発生するHA抗原のために、NAに対する免疫応答が部分的に抑制される
よ う に 思 わ れ る (ヨ ハ ン セ ン ら , 1 9 8 7 ; キ ル ボ ー ン , 1 9 7 6 )。 実 際 の と こ ろ 、 N A
免疫の効果は、ほとんどが中和性のHA抗体によって覆い隠されている。このために、ワ
クチン設計者たちの注意は、長い期間にわたってもっぱらHAに焦点を向けられている。
30
しかし、多くの実験的観察結果から、インフルエンザに対する防御免疫の構築において
、 N A が 実 際 に 重 要 な パ ー ト を 演 じ る こ と が 可 能 で あ る こ と が 示 さ れ て い る (シ ュ ル マ ン
ら , 1 9 6 8 ; ヨ ハ ン セ ン お よ び キ ル ボ ー ン , 1 9 9 0 ; ヨ ハ ン セ ン ら , 1 9 9 3 )。 N
Aの免疫原能力に向けた基礎的な研究には、十分な量の非常に純粋な抗原を、正確な三次
元コンホメーションで利用できることが必要である。現在のところ、NAはウイルスのエ
ン ベ ロ ー プ を 界 面 活 性 剤 で 処 理 す る こ と (ギ ャ ラ ガ ー ら , 1 9 8 4 ; キ ル ボ ー ン ら , 1 9
6 8 )ま た は プ ロ ナ ー ゼ を 用 い る こ と が 多 い が 、 タ ン パ ク 質 頭 部 の タ ン パ ク 質 分 解 切 断 (セ
ト ら , 1 9 6 6 ; ロ ッ ト ら , 1 9 7 4 )に よ っ て 製 造 さ れ 、 次 い で 精 製 さ れ て い る 。 あ る
程度までは利用可能であるけれども、これらの方法には収率および純度に関して無視でき
ない限界がある。
40
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、天然のノイラミニダーゼに対応する抗原特性をもち、正
確な作法で折り畳まれる組換えインフルエンザノイラミニダーゼを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このような実質的単離体である組換えノイラミニダーゼを、本発明にしたがって、
a )ノ イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ 発 現 ベ ク タ ー で 形 質 転 換 さ れ た 宿 主 細 胞 、 ま た は ノ イ ラ ミ ニ ダ ー
ゼ発現ベクターで形質転換されたウイルスに感染させた宿主細胞を適当な培養培地中で培
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養 し (こ こ で 、 発 現 ベ ク タ ー に は 、 膜 ア ン カ ー を コ ー ド す る 領 域 を 欠 損 し て い る イ ン フ ル
エンザウイルスのノイラミニダーゼ遺伝子のコード領域の少なくとも一部、またはその修
飾 バ ー ジ ョ ン が 含 ま れ 、 該 コ ー ド 領 域 に 先 立 ち 、 シ グ ナ ル 配 列 が 相 内 で 連 結 し て い る );
次いで
b )培 養 培 地 か ら 発 現 産 物 ノ イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ を 単 離 す る こ と に よ っ て 得 る こ と が で き る
。
培養培地に分泌される本発明の組換えノイラミニダーゼは、たとえば基礎的研究に用い
ることができ、そこでは、ワクチン中でのNAの役割を決定するために、NAの単独のワ
ク チ ン 接 種 が 行 わ れ る 。 し か し 実 際 問 題 と し て 、 ワ ク チ ン に よ る 防 御 の 度 合 (感 染 に 対 し
て 効 果 的 に 防 御 さ れ る 接 種 集 団 の パ ー セ ン テ ー ジ )お よ び 防 御 の 持 続 性 (後 期 流 行 性 株 に 対
10
す る 防 御 )を 増 強 す る た め に 、 組 換 え N A を H A と 組 み 合 わ せ て 使 用 す る こ と は ま だ な い
であろう。
【0005】
さらに詳しくは、本発明は、宿主細胞を適当な培養培地中で培養し、培養培地から発現
産物であるノイラミニダーゼを単離することによって得られる組換えインフルエンザNA
2ノイラミニダーゼを提供する。これには実際問題として、たとえば、pAc2IVAs
からの組換え発現モジュールを、野生型バキュロウイルスまたはその誘導体に乗り換えさ
せる操作が必然的に伴う。次いで宿主細胞をこの組換えバキュロウイルスに感染させる。
組換えインフルエンザノイラミニダーゼの産生に用いる宿主細胞は、昆虫などの下等真核
生物由来のもの、たとえば昆虫細胞系sf9が好ましいが、サッカロミセスまたはピチア
20
などの酵母細胞も使用しうる。
【0006】
さらに本発明は、複製起点、膜アンカーをコードする領域を欠損したインフルエンザノ
イラミニダーゼ遺伝子のコード領域の少なくとも一部、またはその修飾バージョン、コー
ド 領 域 の 5 'に 位 置 し 、 相 内 で コ ー ド 領 域 に 連 結 さ れ た シ グ ナ ル 配 列 、 シ グ ナ ル 配 列 の 5 '
に 位 置 す る プ ロ モ ー タ ー お よ び コ ー ド 領 域 の 3 'に 位 置 す る 転 写 タ ー ミ ネ ー タ ー を 含 む 、
分泌可能なインフルエンザノイラミニダーゼを発現するための2種のベクターに関する。
さらに詳しくは、本発明は、複製起点、膜アンカーをコードする領域を欠損したウイルス
株「A/ビクトリア/3/75」のインフルエンザNA2ノイラミニダーゼ遺伝子のコー
ド領域、またはその修飾バージョンを含む、分泌可能なインフルエンザNA2ノイラミニ
30
ダーゼを発現するためのベクターを提供する。
【0007】
昆虫細胞中で発現するには、このようなベクターを野生型バキュロウイルスまたはその
誘導体とともに細胞中に入れる。組換えバキュロウイルスは、二重相同的組換えによって
得られ、ここではベクターの発現モジュールがウイルスのゲノムに導入される。プラーク
精製後、組換えバキュロウイルスのストックが得られ、続いて、それを用いてsf9細胞
などを感染させることができる。
【0008】
シグナル配列は、インフルエンザNA2ウイルス「A/ビクトリア/3/75」の血球
凝集素遺伝子由来のものであるのが好ましい。本発明は、ベクターpAc2IVNAs(
40
ベルギー、ベー−9000ゲント、カー・エ・レーデガンクストラート35番、ラボラト
リ ウ ム ・ ボ ー ア ・ モ レ キ ュ ラ イ ル ・ ビ ー オ ロ ジ ー − プ ラ シ ス デ ン コ レ ク チ エ (L M B P )に
1 9 9 4 年 1 月 3 日 に 提 出 さ れ 、 寄 託 番 号 は L M B P 2 9 7 6 で あ る )を 用 い て 、 二 重 相
同的組換え手段によって、たとえばバキュロウイルスなどのウイルスを形質転換するのが
好ましい。ここでは、転写制御シグナル、シグナル配列およびコード領域からなるベクタ
ーの発現モジュールを、ウイルスのゲノムに組み入れる。
【0009】
本発明の他の具体例においては、本発明にしたがって第2のベクターを使用する。この
ベクターは酵母中で使用されることを企図されており、たとえば複製起点、ノイラミニダ
ーゼの膜アンカーおよび柄部分をそれぞれコードする領域を欠損しているウイルス株「A
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/ビクトリア/3/75」のインフルエンザNA2ノイラミニダーゼ遺伝子のコード領域
、 ま た は そ の 修 飾 バ ー ジ ョ ン 、 コ ー ド 領 域 の 5 'に 位 置 し 、 相 内 で コ ー ド 領 域 に 連 結 さ れ
た シ グ ナ ル 配 列 、 シ グ ナ ル 配 列 の 5 'に 位 置 す る プ ロ モ ー タ ー お よ び コ ー ド 領 域 の 3 'に 位
置する転写ターミネーターを含む。
【0010】
プロモーターおよびターミネーター配列は相同的であり、メチロフィック酵母ピチア・
パストリス由来であることが好ましく、アルコールオキシダーゼI遺伝子配列などが該当
する。シグナル配列はたとえば、サッカロミセス・セレビシアエのプレプロ接合因子αの
分泌シグナルである。
【0011】
10
このベクターpPP1IVVAflsはベルギー、ベー−9000ゲント、カー・エ・
レーデガンクストラート35番、ラボラトリウム・ボーア・モレキュライル・ビーオロジ
ー − プ ラ シ ス デ ン コ レ ク チ エ (L M B P )に 1 9 9 5 年 1 月 3 日 に 提 出 さ れ 、 寄 託 番 号 は L
MBP3223である。
【0012】
本発明の組換えノイラミニダーゼは、インフルエンザウイルス、特にNA2型のインフ
ルエンザウイルスに対する防御免疫を産生することが可能であることが見いだされている
。したがって、本発明はまた、組換えノイラミニダーゼを含むインフルエンザに対するワ
クチンに関する。
【0013】
20
さらにまた本発明は、組換えノイラミニダーゼの製造方法および精製方法に関する。
【0014】
本 明 細 書 お よ び 請 求 の 範 囲 に お い て 語 句 「 N A s 」 は 、 分 泌 可 能 な (組 換 え )ノ イ ラ ミ ニ
ダーゼを意味する。「pNA」は、プロナーゼで処理された天然のノイラミニダーゼを意
味する。「NA」はノイラミニダーゼを意味する。
【0015】
次に述べる実施例において本発明をさらに詳しく説明するが、この実施例は説明の手段
としてのみ意図されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0016】
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実施例1
組換えインフルエンザNA2ノイラミニダーゼの発現、精製および特性付け
材料および方法
1 .分 泌 さ れ る ノ イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ を コ ー ド す る 遺 伝 子 の 構 築 お よ び そ の バ キ ュ ロ ウ イ ル
ス発現系への組込み
a .プ ラ ス ミ ド プ ラ ス ミ ド p V 6 / 2 1 は 、 1 コ ピ ー の A / ビ ク ト リ ア / 3 / 7 5 (H
3 N 2 )イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス の ノ イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ 遺 伝 子 を 含 む p B R 3 2 2 の 誘 導 体
で あ る (ヴ ァ ン ・ ロ ム プ イ ら , 1 9 8 2 )。 p S V 5 1 お よ び p S V 2 3 m と p S V 2 4 m
の両方は、それぞれ後期および初期SV40置換ベクターであり、他の文献に記載されて
い る (ヒ ュ イ ル ブ レ ッ ク ら , 1 9 8 8 )。 p S R S − 8 は 、 A / ビ ク ト リ ア / 3 / 7 5 (H
40
3 N 2 )の 血 球 凝 集 素 (H A )遺 伝 子 の 出 発 配 列 を 含 む p P L a 2 3 1 1 に 基 づ く プ ラ ス ミ
ド で あ る (ヒ ュ イ ル ブ レ ッ ク ら , 1 9 8 8 )。 バ キ ュ ロ ウ イ ル ス ト ラ ン ス フ ァ ー ベ ク タ ー p
V L 9 4 1 が 、 ラ ッ コ ウ お よ び サ マ ー ズ に よ っ て 設 計 さ れ た (1 9 8 9 )。
【0017】
b .H A シ グ ナ ル ペ プ チ ド 配 列 の サ ブ ク ロ ー ニ ン グ (p I V − プ レ H A ) 1 8 3 0 b p の
pSRS−8のBstNIフラグメントをクレノウ酵素で満たした。PvuIIリンカー
(G C A G C T G C )を 続 い て 配 列 し た 。 得 ら れ る フ ラ グ メ ン ト お よ び p B R 3 2 2 を P v
uIおよびPvuIIで切断し、それぞれ731bpおよび1699bpのフラグメント
を 単 離 し た 。 こ れ ら の 2 つ の フ ラ グ メ ン ト を 連 結 し て 、 G - 1 6 (A T G = + 1 , + 2 , + 3
)で 出 発 す る H A 遺 伝 子 の 5 '非 翻 訳 領 域 、 次 い で 完 全 な H A シ グ ナ ル ペ プ チ ド 配 列 お よ び
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成熟HAの最初の2,3個のコドンを含むpIVプレHAを作成した。
【0018】
c .分 泌 さ れ う る N A を コ ー ド す る キ メ ラ 配 列 : p A T I V N A s の 構 築 p V 6 / 2 1
をPvuIで開環し、Bal31エキソヌクレアーゼで処理した。この混合物にHind
IIIリンカーを連結し、次いでHindIIIで切断した。約1500bpのNAフラ
グメントを選択し、pSV23mの非反復HindIII制限部位でクローニングした(
p S V 2 3 m I V N A )。 左 回 り の イ ン サ ー ト を も つ プ ラ ス ミ ド を F n u d I I お よ び S
alIで続いて切断し、膜アンカー配列の欠損したNA遺伝子を含む1291bpフラグ
メントを回収した。pIVプレHAをPstIおよびPvuIIとともにインキュベート
し、HAシグナル配列をもつ861bpのフラグメントを保存した。PvuII/Pst
10
Iブラント末端の連結によって、最終的に両方のフラグメントを結合し、pAT153の
2253bp−SalI/PstIフラグメントに挿入し、pATIVNAsを得た。こ
のプラスミドは、成熟HAの最初の2,3個のアミノ酸を含むHAのシグナルペプチド、
すぐに続いてシグナルペプチド/膜アンカーを欠損したNA配列および「柄」をコードす
る領域の一部をコードする配列を有している。HAおよびNAフラグメントの連結によっ
て 、 成 熟 H A の 5 位 に 対 応 す る 単 一 の ア ミ ノ 酸 が 置 換 さ れ た (G l y か ら A l a へ )。 ミ ン
・ ジ ョ ウ ら (1 9 8 8 )お よ び バ ン ・ ロ ム プ イ ら (1 9 8 2 )の 文 献 に 記 載 の 情 報 に 基 づ き 、
NAs中の連結部位に隣接する予測されたDNAおよびアミノ酸配列を図2に示す。
【0019】
d .バ キ ュ ロ ウ イ ル ス ト ラ ン ス フ ァ ー ベ ク タ ー へ の N A s の 組 込 み
20
pATIVNAsの1368bp−XbaI/SalIフラグメントを、pSV51の
5562bp−SalI/EcoRIフラグメントおよびpSV24mの624bp−E
coRI/XbaIフラグメントに連結した。NAs遺伝子を含む1647bp−Bam
H I フ ラ グ メ ン ト の 1 コ ピ ー お よ び S V 4 0 ポ リ (A )部 位 を 、 ポ リ ヘ ド リ ン プ ロ モ ー タ ー
に対する正確な方向を考慮しながらpVL941の非反復制限部位へ続いて挿入し、pA
c2IVNAsを得た。この構築物はSf9細胞の同時トランスフェクション後の野生型
AcNPVのDNAとの相同的組換えを可能にする。組換えウイルスの子孫は、サマーズ
お よ び ス ミ ス (1 9 8 7 )に 記 載 さ れ て い る 連 続 的 プ ラ ー ク 精 製 操 作 に よ っ て 単 離 し た 。
【0020】
2 .昆 虫 細 胞 培 養 − N A s の 産 生
30
ル ー チ ン 培 養 の た め に 、 昆 虫 細 胞 S f 9 を 、 1 0 % ウ シ 胎 児 血 清 お よ び 5 0 μ g/ mlの
ゲンタマイシンを含むTC100培地中で集密的細胞単層として維持した。組換えバキュ
2
ロ ウ イ ル ス に 感 染 さ せ る た め に 、 8 5 0 cm の 回 転 ビ ン 内 に 培 養 物 を 移 し 、 2 5 rpmで 回 転
し て 懸 濁 液 2 0 0 ml中 で 成 長 さ せ た 。 次 い で 、 対 数 増 殖 期 の 終 わ り に 、 懸 濁 細 胞 (2 x1 0
6
細 胞 / ml)を 組 換 え バ キ ュ ロ ウ イ ル ス に 1 .0 モ イ (m o i : 感 染 多 重 度 )で 感 染 さ せ た 。
2時間後、感染細胞を新鮮な血清フリーのTC100培地に移し、懸濁液をさらに48時
間インキュベートした。下記のとおり、NAsを培地から精製した。
【0021】
3 .イ ン フ ル エ ン ザ X − 4 7 ウ イ ル ス の 成 長
A/ビクトリア/3/75の天然のNAの製造源として、インフルエンザ株X−47を
40
プロナーゼで処理した後に用いた。X−47ウイルスは、11日齢の胚の入ったニワトリ
の 卵 の 卵 黄 嚢 空 隙 中 で 培 養 し た 。 2 5 .5 ℃ で 2 日 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 後 、 卵 を 4 ℃ で
一夜冷却し、次の処理に用いるため卵黄嚢液を採集した。
【0022】
4 .緩 衝 液 系
通 例 、 次 の 緩 衝 液 を 用 い た : 緩 衝 液 A : 2 0 mM ジ エ タ ノ ー ル ア ミ ン /H C l ,p H 8 .5
;
緩 衝 液 B : 5 0 mM N a A c ,p H 5 .5 ;
緩 衝 液 C : 1 0 mM N a P ,p H 7 .4 , 1 5 0 mMN a C l ;
緩 衝 液 A お よ び 緩 衝 液 C は 、 さ ら に 4 % ブ タ ノ ー ル (他 に 特 別 に 指 示 が な い 限 り )お よ び 2
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mM C a C l 2 を 含 む 。
【0023】
5 .N A s の 精 製
a .硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム 分 画
植 え 付 け (上 記 参 照 )後 、 S f 9 懸 濁 培 養 物 (通 例 、 約 1 リ ッ ト ル )を 採 集 し 、 4 0 0 0 x
gで15分間遠心分離を行って細胞レムナントを沈降させた。すべての処理は4℃で行っ
た 。 最 初 の 精 製 段 階 に お い て は 、 溶 液 に 5 mM N A N 3 を 加 え る 。 透 明 に な っ た 粗 培 地 を p
H 7 .5 に て 硫 酸 ア ン モ ニ ウ ム 分 画 に 付 し た 。 2 0 % か ら 6 0 % の (N H 4 )2 S O 4 で 沈 殿 し
た 物 質 を 遠 心 分 離 (1 0 0 0 0 xg , 6 0 分 )に よ っ て 集 め 、 緩 衝 液 A (ブ タ ノ ー ル な し )+
2 0 mM N a C l に 、 出 発 体 積 の 1 / 1 0 の 量 に て 溶 解 し た 。 再 溶 解 し た 沈 殿 物 を 同 緩 衝
10
液 5 0 体 積 に 対 し て 2 4 時 間 透 析 (m w c o 「 モ レ キ ュ ラ ー ・ ウ エ イ ト ・ カ ッ ト − オ フ 」 )
し た 。 こ こ で は 、 緩 衝 液 を 3 回 連 続 的 に 交 換 し た 。 2 0 0 0 0 xg で 1 5 分 間 遠 心 分 離 し
て不溶成分を除去した。
【0024】
b .セ フ ァ ロ ー ス Q − ア ニ オ ン 交 換 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー
透 析 し た 溶 液 に 先 ず 4 % ブ タ ノ ー ル を 加 え 、 続 い て 緩 衝 液 A + 2 0 mM N a C l を 流 速
2 5 ml/ 時 間 で 通 し て 平 衡 化 し た セ フ ァ ロ ー ス Q − カ ラ ム (2 .5 cmx1 0 cm)に 流 し た 。 同
緩 衝 液 で カ ラ ム を 洗 浄 し た 後 、 洗 浄 緩 衝 液 か ら 2 5 0 mMま で の N a C l の 直 線 濃 度 勾 配 で
溶 離 を 行 っ た (2 5 0 ml, 2 5 ml/時 間 )。 N A s を 含 む 各 2 .5 mlの フ ラ ク シ ョ ン を 酵 素 活
性およびELISAレベルを測定することによって同定した。NA活性は単一ピークとし
20
てカラムから溶出した。
【0025】
c .N − (p − ア ミ ノ フ ェ ニ ル )オ キ サ ム 酸 ア ガ ロ ー ス ア フ ィ ニ テ ィ ー ク ロ マ ト グ ラ フ ィ
ー
(非 組 換 え )イ ン フ ル エ ン ザ N A お よ び バ ク テ リ ア N A 酵 素 の 精 製 の た め の こ の ア フ ィ ニ
テ ィ ー マ ト リ ッ ク ス の 使 用 が 文 献 に 記 載 さ れ て い る (カ ト ル カ サ ス お よ び イ リ ア ー ノ , 1
9 7 1 ; ブ ッ チ ャ ー , 1 9 7 7 )。 ア フ ィ ニ テ ィ ー マ ト リ ッ ク ス の 正 確 な 分 画 は 、 初 め に
推奨された緩衝液条件を適用した場合にのみ達成された。セファロースQによる分離後に
活 性 画 分 を 集 め 、 等 量 の 2 0 0 mM N a A c , p H 5 .5 を 加 え た 。 続 い て 、 該 活 性 画 分 を
、 緩 衝 液 B と 1 0 0 mM N a C l で 平 衡 化 し た N − (p − ア ミ ノ フ ェ ニ ル )オ キ サ ム 酸 ア ガ
30
ロ ー ス カ ラ ム (1 .5 x5 cm)に 通 し た 。 続 い て 、 平 衡 化 緩 衝 液 で カ ラ ム を 洗 浄 し 、 緩 衝 液 B
で脱塩した。次いで、緩衝液Aで第2の洗浄段階を行った。最後に、1M NaClを加
え た 緩 衝 液 A を 用 い 、 流 速 1 0 ml/ 時 間 で N A s を 溶 出 し た (2 mlの 画 分 を 集 め た )。
【0026】
d .ス ー パ ー デ ッ ク ス 2 0 0 ゲ ル 濾 過 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー
C entriprep(登 録 商 標 )濃 縮 機 (ア ミ コ ン ; m w c o : 3 0 k d )を 用 い て ア フ ィ ニ テ ィ
ー カ ラ ム の 溶 出 物 を 2 .0 mlに 濃 縮 し た 。 次 い で 、 濃 縮 物 を 体 積 1 .0 mlの サ ン プ ル 画 分 に
て、緩衝液Cおよび4%ブタノールで平衡化したスーパーデックス200ゲル濾過カラム
(1 .5 cmx6 0 cm)を 用 い る ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー に 付 し た 。 流 速 1 0 ml/ 時 間 に て カ ラ ム を
平 衡 化 緩 衝 液 で 溶 離 し 、 1 .0 mlの 画 分 を 集 め た 。 長 期 貯 蔵 す る た め に 、 − 2 0 ℃ で 関 連
40
画分を集め、前述のように濃縮し、続いて最終濃度が50%になるまでグリセロールを加
えた。
【0027】
精 製 タ ン パ ク 質 の 分 子 量 を 評 価 す る た め に 、 ウ マ の 脾 臓 か ら 得 た ア ポ フ ェ リ チ ン (4 4
3 k d )、 サ ツ マ イ モ か ら 得 た β − ア ミ ラ ー ゼ (2 0 0 k d )、 酵 母 か ら 得 た ア ル コ ー ル 脱
水 素 酵 素 (1 5 0 k d )、 ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ン (6 7 k d )お よ び 炭 酸 デ ヒ ド ラ ー ゼ (2 9 k
d )で ゲ ル 濾 過 カ ラ ム を 測 定 し た (す べ て シ グ マ ・ ケ ミ カ ル ・ コ ー ポ レ イ シ ョ ン か ら 入 手 )
。
【0028】
6 .p N A の 製 造 お よ び 精 製
50
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a .プ ロ ナ ー ゼ 処 理
X − 4 7 に 感 染 し た 鶏 卵 の 卵 黄 嚢 液 を ま ず 低 速 (1 0 0 0 xg , 1 0 分 )で 遠 心 分 離 し て
透 明 化 し 、 次 い で 1 3 0 0 0 xg で 1 6 時 間 遠 心 分 離 し て ウ イ ル ス を 沈 降 さ せ た 。 ウ イ ル
ス 沈 降 物 を 1 0 0 感 染 卵 等 価 物 当 た り 1 0 mlの 緩 衝 液 C に 再 懸 濁 し 、 ウ イ ル ス を こ れ 以 上
精 製 を す る こ と な く 、 2 mg/mlま で の プ ロ ナ ー ゼ を 加 え た 。 軽 く 振 と う し な が ら 、 混 合 物
を20℃で16時間インキュベートした。続いて、残りのウイルスコアおよび不溶のプロ
ナ ー ゼ 成 分 を 4 ℃ に て 超 遠 心 分 離 (1 0 0 0 0 0 xg , 1 時 間 )に よ っ て 除 去 し た 。 次 い で
、放出されたNA頭部を含上清をカラムクロマトグラフィーにて精製した。
【0029】
b .セ フ ァ ロ ー ス S − カ チ オ ン 交 換 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー
10
クロマトグラフィー操作は、4℃にて行った。粗pNAサンプルを5倍に希釈し、50
mM N a A C , p H 5 .5 、 2 mM C a C l 2 お よ び 1 % ブ タ ノ ー ル を 加 え た 。 次 い で 、 溶 液
を 緩 衝 液 B + 1 % ブ タ ノ ー ル お よ び 5 0 mM N a C l で 平 衡 化 し た セ フ ァ ロ ー ス S カ ラ ム (
1 .5 cmx1 0 cm)に 流 す 。 同 じ 緩 衝 液 か ら 5 0 0 mM N a C l ま で 直 線 勾 配 を 用 い て 結 合 し
た 物 質 を 溶 離 し た 。 ピ ー ク の 酵 素 活 性 を 示 す 画 分 を 集 め 、 C entriprep(登 録 商 標 )濃 縮 機 (
ア ミ コ ン ; m w c o : 3 0 k d )を 用 い て 2 .0 mlに 濃 縮 し た 。
【0030】
d .ス ー パ ー デ ッ ク ス 2 0 0 ゲ ル 濾 過 ク ロ マ ト グ ラ フ ィ ー
N A s の 場 合 と 同 様 に し て ス ー パ ー デ ッ ク ス 2 0 0 ゲ ル 濾 過 を 行 っ た (ブ タ ノ ー ル 濃 度
が 1 % で あ る 以 外 )。 純 p N A を 5 0 % グ リ セ ロ ー ル 中 に − 2 0 ℃ で 貯 蔵 し た 。
20
【0031】
7 .N A 酵 素 ア ッ セ イ
ポ テ ィ ア ら (1 9 7 9 )の 方 法 に 基 づ い て 、 N A の 触 媒 活 性 の ア ッ セ イ を 行 っ た 。 簡 単 に
述 べ る と 、 1 0 0 μ lの 反 応 体 積 に て 、 基 質 と し て 1 mMの 2 '− (4 − メ チ ル ウ ン ベ リ フ ェ
リ ル )− α − D − N − ア セ チ ル ノ イ ラ ミ ン 酸 の 存 在 下 、 − 2 0 0 mM N a A C , p H 6 .5
、 2 mM C a C l 2 お よ び 1 % ブ タ ノ ー ル を 用 い て 酵 素 試 験 を 行 っ た 。 3 7 ℃ で 3 0 ∼ 6 0
分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 後 、 0 .5 mlの 1 3 3 mMグ リ シ ン 、 8 3 mMの N a H C O 3 、 6 0 mM
N a C l ,pH 1 0 .7 を 加 え て 反 応 を 停 止 し た 。 3 6 5 n m の 吸 光 度 を 測 定 す る こ と に よ
って、遊離の4−メチルウンベリフェロンを測定した。1ユニットは、1分間に1モルの
4−メチルウンベリフェロンを放出する酵素量として定義した。
30
【0032】
8 .免 疫 学 的 技 術
a .ポ リ ク ロ ー ナ ル 抗 p N A I g G の 製 造
精製pNAに対するポリクローナル抗血清をニュージーランド系の3カ月齢のウサギで
作 製 し た 。 一 次 免 疫 感 作 は 、 そ れ ぞ れ 投 与 量 当 た り 5 0 μ gの p N A と 7 5 % の フ ロ イ ン
ト ア ジ ュ バ ン ト を 含 む 5 0 0 μ lを 四 肢 に 筋 肉 内 投 与 し て 行 っ た 。 6 週 間 後 、 動 物 は 2 つ
の対応する二次免疫注射を後肢に受けた。IgG画分を製造するために、タンパク質Aセ
フ ァ ロ ー ス (フ ァ ル マ シ ア L K B )に 吸 着 さ せ る こ と に よ っ て 集 め た 血 清 を 精 製 し た 。
【0033】
b .E L I S A
40
マイクロタイタープレートにウサギの抗pNAIgGを塗布した。試験するサンプルを
0 .1 % ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ン を 含 む P B S で 希 釈 し た 。 ウ サ ギ の ビ オ チ ン 化 抗 p N A I g
G 、 次 い で ス ト レ プ ト ア ビ ジ ン − ア ル カ リ ホ ス フ ァ タ ー ゼ 複 合 体 (ベ ー リ ン ガ ー )を 用 い て
結 合 し た 抗 原 を 検 出 し た 。 該 プ レ ー ト を p − ニ ト ロ フ ェ ニ ル ホ ス フ ェ ー ト (シ グ マ ・ ケ ミ
カ ル ・ コ ー ポ レ イ シ ョ ン )と と も に イ ン キ ュ ベ ー ト し て 酵 素 反 応 を 促 進 し た 。 マ イ ク ロ タ
イタープレートリーダーで405nmにおける吸光度を測定した。
【0034】
9 .分 析 方 法
レ ム リ 法 (1 9 7 0 )に 従 い 、 1 0 % 分 離 ゲ ル 上 で S D S / P A G E を 行 っ た (他 に 特 記
し た も の 以 外 は )。 他 に 特 記 し た も の 以 外 は 、 β − メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル の 存 在 下 に 全 サ
50
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ン プ ル を 変 性 し た 。 1 0 % ゲ ル 中 で 、 マ ー カ ー タ ン パ ク 質 と し て 、 ホ ス ホ リ ラ ー ゼ b (9
4 k d )、 ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ン (6 7 k d )、 卵 白 ア ル ブ ミ ン (4 3 k d )、 炭 酸 脱 水 素 酵 素 (
2 9 k d )お よ び ト リ プ シ ン イ ン ヒ ビ タ ー (2 0 .1 k d 、 常 に 可 視 で は な い )(フ ァ ル マ シ
ア )を 用 い た 。 勾 配 ゲ ル に 次 の 質 量 標 準 を 展 開 し た : ミ オ シ ン (2 2 k d )、 β − ガ ラ ク ト
シ ダ ー ゼ (1 1 6 k d )、 ホ ス ホ リ ラ ー ゼ b 、 ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ン お よ び 卵 白 ア ル ブ ミ ン (
バ イ オ ラ ド ) 。 モ リ シ ー (1 9 8 1 )に 記 載 の 方 法 の 変 更 法 に よ っ て ゲ ル 上 で 銀 着 色 を 行 っ
た 。 ブ ラ ッ ド フ ォ ー ド (1 9 7 6 )の 方 法 に よ り 、 ニ ワ ト リ の 卵 白 ア ル ブ ミ ン を 標 準 と し て
タンパク質濃度を定量した。
【0035】
1 0 .架 橋 分 析
10
3
1 0 mM H e p e s 中 の 1 .0 M 溶 液 (p H 7 )と し て 、 架 橋 分 子 B S を 新 た に 調 製 し た
3
。 濃 度 0 .5 mMの B S を 、 反 応 量 3 0 μ lに て 加 え 、 タ ン パ ク 質 を 架 橋 し た 。 室 温 に て 1
時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 続 い て 、 5 μ lの 1 .0 M ト リ ス (p H 8 .0 )を 加 え て 反 応 を 停
止した。ポリペプチドのパターンをSDS/PAGEで分析した。
【0036】
1 1 .糖 質 分 析
タ ン パ ク 質 サ ン プ ル (0 .1 μ g∼ 1 μ g)を 5 0 0 mMト リ ス / H C l (p H 8 .0 )、 5 % S
D S 、 5 0 mMβ − メ ル カ プ ト エ タ ノ ー ル 中 で 煮 沸 し て 変 性 し た 。 最 終 S D S 濃 度 の 少 な く
と も 7 倍 過 剰 と な る よ う に 2 .5 % の N A − オ ク チ ル グ ル コ シ ド を 加 え た 後 、 N A − グ リ
カ ナ ー ゼ を 加 え (約 0 .5 ユ ニ ッ ト ; 製 造 者 に よ る ユ ニ ッ ト )、 反 応 混 合 物 を 3 7 ℃ で 1 6
20
時間インキュベートした。消化パターンをSDS/PAGEで分析した。
【0037】
結果
1 .p N A の 精 製
ここに記載した実験においては、合計186個の感染卵を処理した。異なる精製段階と
その結果を表1にまとめた。卵黄嚢液およびウイルスの沈積物を収穫し、プロナーゼを濃
度 2 mg/mlで 加 え 、 混 合 物 を 2 0 ℃ で 1 6 時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 超 遠 心 分 離 後 、 上 清
におよそ60%のNA活性が見られた。この条件下では、活性の損失の主たる原因は、ウ
イルス粒子のNA頭部の除去が不完全なことであることがわかった。プロナーゼ濃度を高
くすること、インキュベーション時間を長くすること、またはインキュベーション温度を
30
上げることは、NAが徐々に失活するのが促進されるため、これらによって収量が増加す
る こ と は な か っ た (デ ー タ は 示 さ ず )。 続 い て 、 粗 p N A 物 質 を 希 釈 し 、 p H 5 .5 に し た
。次いで、セファロースS−カチオン交換を行った。pNAを最大収量で得るために、す
べての溶液に1%ブタノールを加えた。ほとんどのタンパク質は、セファロースSカラム
に し っ か り と は 固 定 さ れ ず 、 勾 配 溶 離 に お い て 、 N a C l が 4 0 0 mMの 時 点 に お い て 、 ひ
と つ の ピ ー ク が 記 録 さ れ た だ け で あ っ た (示 さ ず )。 S D S / P A G E に お い て コ ン タ ミ ネ
ー シ ョ ン バ ン ド が 観 察 さ れ な か っ た の で 、 こ の 物 質 は 、 実 質 的 に 純 粋 な N A で あ っ た (図
3 A 、 レ ー ン 3 )。 さ ら に 、 銀 着 色 で は 、 セ フ ァ ロ ー ス S プ ー ル と セ フ ァ デ ッ ク ス 2 0 0
ゲ ル 濾 過 工 程 の 間 に 少 し も 差 異 が な か っ た (図 3 A 、 レ ー ン 3 と 4 を 比 較 せ よ )。 最 後 の カ
ラムでは、画分60において分子量210kdに対応する単一の鈴形状のピークが得られ
40
た (示 さ ず )。 連 続 精 製 工 程 を 図 3 A に 示 す 。
【0038】
SDS/PAGEでは、それぞれ約54kdと約52kdに対応する2本のバンドとし
てpNAを実際に目視することができた。ここで後者は、銀着色の相対的強度から判るよ
うに、最も頻繁に現れるものであった。おそらく、この2つは、柄領域の異なる2カ所の
部位でプロナーゼによる好適な切断を受けたことから誘導されたものである。化学製剤B
3
S との架橋から、pNAが真正の四量体タンパク質として回収されることが確認された(
図 3 B )。
【0039】
2 .N A s の 構 築 お よ び 発 現
50
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インフルエンザNA2株「A/ビクトリア/3/75」のNA遺伝子を、そのNA末端
膜アンカーから分離し、代わりにシグナルペプチドスプライシング部位を含むA/ビクト
リ ア / 3 / 7 5 H A 遺 伝 子 の 5 '配 列 に 結 合 し た 。 こ れ に よ っ て 、 分 泌 可 能 で 可 溶 性 産 物
の合成が可能になった。得られるキメラ遺伝子は、成熟HAの最初の4個の末端アミノ酸
の コ ド ン を 含 む H A シ グ ナ ル 配 列 、 す ぐ に 続 い て 膜 通 過 部 分 (ア ン カ ー )お よ び 柄 領 域 の 一
部 (ア ミ ノ 酸 1 ∼ 4 5 )を 欠 損 し た N A 配 列 か ら な る 。 両 方 の D N A 配 列 は 、 同 じ 読 み 取 り
枠内にあり、余分のアミノ酸は導入されなかった。連結の結果として、成熟HAタンパク
質 の 5 位 に 対 応 す る た だ ひ と つ の ア ミ ノ 酸 置 換 が 行 わ れ た (図 2 )。 p V L 9 4 1 を 移 入 ベ
クターとして用いて、このキメラ配列の1個のコピーをAcNPVバキュロウイルスのポ
リヘドリンプロモーターの後に組み込んだ。Sf9昆虫細胞の植え付け後、可溶性タンパ
10
ク質が実際に産生されたことを示すNA活性を培地中で迅速に検出した。感染後およそ4
8時間で培地中のNAs活性がプラトーレベルに達したことを図4に見ることができる。
さらにインキュベーションを行うと、おそらく細胞溶解が拡大する結果と考えられるが、
総タンパク質濃度が劇的に低下しはじめるので、よい結果を生まなかった。親Sf9単層
と広範囲の懸濁培養物間の中間の運搬が最小に制限される場合に、発現が最も盛んである
ら し い こ と が 見 出 さ れ た (デ ー タ 示 さ ず )。 種 々 の 精 製 実 験 に 基 づ き 、 N A s は 6 ∼ 8 mg/l
で変化する濃度および適度に低い産生能力で発現されるが、なおしかし、他の分泌される
複 合 体 糖 タ ン パ ク 質 に つ い て 報 告 さ れ た 収 量 (ジ ャ ー ビ ス ら , 1 9 9 0 )と 比 較 可 能 な レ ベ
ルであることを決定した。
【0040】
20
3 .N A s の 精 製
TC100培地を、可溶性タンパク質内容物の特異的酵素活性がピークに達する感染の
4 8 時 間 後 に 収 穫 し た (図 4 )。 N A s 精 製 の 種 々 の 工 程 を 表 1 に ま と め た 。 粗 培 地 に 対 し
、20%∼60%飽和硫酸アンモニウム沈殿法を行うと、適度に2倍の濃度の増加が得ら
れ、物質の濃縮を行うことができた。大規模な透析および不溶生成物の除去を行った後、
4%ブタノールを加えた。ブタノールを添加することが、NAsの収量の増加に非常に有
利な影響があり、特にタンパク質濃度が低い場合に効果的であることが見出された。培地
の疎水性の程度を限定することが、不溶性凝集物の形成を避けるのに必要であることも考
慮しうることである。続いて、溶液をセファロースQ−アニオン交換クロマトグラフィー
に よ っ て 分 画 し た (図 5 )。 塩 勾 配 の 開 始 時 に 適 度 に 対 称 的 な ピ ー ク で N A 活 性 が 溶 出 し た
30
。ELISA試験より、残りの画分にはNA関連物質が含まれないことがわかった。この
時 点 で 、 出 発 時 の タ ン パ ク 質 の 量 の お よ そ 9 7 .5 % が 除 去 さ れ 、 ほ ぼ 2 0 の 要 因 に よ っ
て 特 異 的 活 性 が 増 加 し た 。 次 い で 、 N − (p − ア ミ ノ フ ェ ニ ル )オ キ サ ム 酸 ア ガ ロ ー ス カ ラ
ム に 通 す た め に 、 溶 液 の p H を 5 .5 ま で 下 げ た 。 初 期 の 実 験 か ら 、 N A 置 換 オ キ サ ム 酸
が 、 イ ン フ ル エ ン ザ N A の 強 い 可 逆 的 イ ン ヒ ビ タ ー で あ る こ と が 知 ら れ て い る (エ ド モ ン
ド , 1 9 6 6 )。 イ ン フ ル エ ン ザ ウ イ ル ス ま た は バ ク テ リ ア の ノ イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ に 対 す る
選 択 的 吸 収 体 と し て N − (p − ア ミ ノ フ ェ ニ ル )オ キ サ ム 酸 ア ガ ロ ー ス を 使 用 す る こ と は 、
最 初 に カ ト ル カ サ ス お よ び イ リ ア ー ノ (1 9 7 1 )に よ っ て 、 後 に ブ ッ チ ャ ー (1 9 7 7 )に
よ っ て 証 明 さ れ た 。 最 初 の 操 作 に し た が っ て 、 高 p H の 緩 衝 液 (1 0 0 mM N a H C O 3 ,
p H 9 .1 )で ノ イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ を 溶 離 し た 。 し か し 、 我 々 の 実 験 で は 、 こ れ ら の 条 件 で は
40
、NAsの溶出は不完全で、遅い結果しか得られなかった。しかし、pHを高め、かつ塩
濃度を高めることによって、効果的な放出が達成できた。溶出に先立って、低濃度の塩の
存 在 下 、 p H 8 .5 で 追 加 の 洗 浄 工 程 を 行 う こ と に よ っ て 、 多 量 の 非 特 異 的 に 結 合 し た タ
ンパク質をカラムから除去した。緩衝剤としてNaHCO3よりもジエタノールアミンの
方 を 選 ぶ こ と に よ っ て 、 沈 殿 す る こ と な く 2 mM C a C l 2 を 吸 収 す る こ と が 可 能 に な っ た
。NA活性の保持力が、Ca
+ +
イオンに幾分左右されることが繰り返し報告されている(
チ ョ ン ら , 1 9 6 6 ; ヂ モ ッ ク , 1 9 7 1 )。 こ の こ と が 本 実 験 に 相 当 す る か ど う か は 詳
細に調査しなかった。
【0041】
痕跡量の残留混濁物を除去するために、溶出液を限外濾過によって濃縮し、スーパーデ
50
(14)
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ッ ク ス 2 0 0 ゲ ル 濾 過 に 付 す (図 6 ) 。 A 2 8 0 測 定 で は 、 そ れ ぞ れ 約 2 0 0 k d 、 約 1 3 0
kdおよび約54kdにおいて溶出した吸光度の異なる3つのピークが生じた。ELIS
A法によって測定された溶出液の免疫反応性パターンは、記録された3つの各ピークのA
2 8 0
プロフィールを正確に表現していることがわかったが、これはすべての物質がNAs
特異的であることを示唆している。
【0042】
ピーク画分のSDS/PAGE分析では、分子量の僅かな減少および画分数の増加が認
3
め ら れ た が 、 予 測 し た 領 域 で あ る 約 5 5 k d に 強 い バ ン ド が 現 れ た 。 (図 7 )。 B S を 用
いた架橋分析によって220kdピークは四量体のNAsであると同定された。一方、分
子サイズが小さい方の2つのピークは、それぞれ二量体および単量体のNAsであること
10
が わ か っ た 。 た だ し 、 こ こ で 後 者 の 形 体 は 定 量 的 重 要 性 に 限 定 さ れ る (図 7 B )。 球 形 体 を
もつと考えられる四量体や単量体NAsとは異なり、二量体NAsは、その棒様の構造の
ために、その現実の分子量よりも僅かに上で溶出すると考えられる。より注目すべき事は
、完全に組み立てられた四量体構造のNAsしか触媒活性を示さないことであった。四量
体形状は、酵素活性に必須とされる色々な局在的コンホメーション変化を引き出すことが
可能である。精製過程の工程表を表2に示す。
【0043】
4 .N A s の 特 性
NAsをβ−メルカプトエタノールの存在下にSDSと煮沸して変性すると、NAsは
完全解離して分子量約55kdの単量体鎖になった。SDS/PAGEゲルの銀着色によ
20
り四量体および二量体NAsは、均質に精製されることがわかった。単量体NAsについ
ては、痕跡量の混濁物が目視されるので、僅かに質の低いものであった。還元剤のない条
件下で変性を行うと、四量体および二量体NAsは、約110kdの二量体鎖として移動
し た (示 さ ず )。 こ れ ら の 結 果 か ら 、 N A s 二 量 体 は ジ ス ル フ ィ ド 架 橋 に よ り 内 部 で 結 合 し
ており、さらに非共有結合的相互作用を介して会合することができ、それによって、天然
のNAの構造に対応する四量体タンパク質が形成されることが示された。
【0044】
昆虫細胞が、哺乳類および他の高等細胞のNAグリコシル化パターンとは幾らか異なる
パ タ ー ン を 生 み 出 す こ と が 繰 り 返 し 報 告 さ れ て い る (ヒ シ ア お よ び ロ ビ ン ス , 1 9 8 4 ;
バ タ ー お よ び ヒ ュ ー , 1 9 8 1 ; バ タ ー ら , 1 9 8 1 ; ク ロ ダ ら , 1 9 9 0 )。 し た が っ
30
て、組換えNAsと会合したNA結合糖質の量が、天然のpNAと比較して調査された。
代表的なタンパク質サンプルをNAグリカナーゼ酵素で処理し、続いてSDS/PAGE
法 で 分 析 し た (図 9 )。 バ ン ド が 相 対 的 に 置 き 換 わ っ て い る こ と か ら 、 N A s と 会 合 し た N
A 結 合 糖 質 の 合 計 量 は 、 天 然 の 分 子 と 比 べ て 僅 か に 少 な い と 結 論 付 け る こ と が で き る (図
9 A と 図 9 B を 比 較 せ よ ); こ の 系 で 発 現 す る 他 の 糖 タ ン パ ク 質 に 対 し て 行 わ れ た 結 果 と
一 致 す る 知 見 で あ る (ク ロ ダ ら , 1 9 8 6 ; ド ミ ン ゴ お よ び ト ロ ウ ブ リ ッ ジ , 1 9 8 8 ;
ヴ ァ ン ・ ド ル ネ ン ・ リ ッ テ ル ら , 1 9 9 1 )。 変 性 、 酵 素 的 脱 グ リ コ シ ル N A s 体 が 、 そ
のオリジナルのオリゴマー構造にかかわらず、同じ電気泳動的挙動で移動することも確立
され、このことから、一次NAsが一様な鎖長のポリペプチドとして合成されたことが確
認 さ れ る (図 9 B 、 レ ー ン 3 , 5 お よ び 9 を 比 較 せ よ )。 N A グ リ カ ナ ー ゼ で 処 理 さ れ た ポ
40
リ ペ プ チ ド 鎖 の 分 子 量 は 、 4 7 .5 k d と 見 積 も ら れ 、 こ れ は 予 測 さ れ る ア ミ ノ 酸 配 列 か
ら計算された理論的分子量47,717dに一致する。十分興味深いことに、グリコシル
化二量体および単量体NAsと一致するバンドはゲル内で、グリコシル化四量体NAsか
ら誘導されたバンドよりもやや急速に移動するので、NAグリコシル化の度合は、四量体
を 形 成 す る 能 力 と 関 係 し て い る よ う に 思 わ れ た (図 9 B 、 レ ー ン 2 に 対 し て レ ー ン 4 お よ
び 6 ; 図 7 A も 参 照 せ よ )。 N A 結 合 糖 質 、 さ ら に 詳 し く は A s n 2 0 0 に 結 合 す る オ リ ゴ 糖
質鎖が、隣接するサブユニットとの相互作用に介入することによって四量体構造の安定化
に 一 部 役 割 を 担 う こ と が で き る と い う こ と が 示 唆 さ れ て い る (バ ル ゲ ー ゼ ら , 1 9 8 3 ;
バ ル ゲ ー ゼ お よ び コ ー ル マ ン , 1 9 9 1 )。
【0045】
50
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四量体タンパク質のみがNAsの触媒特性を有した。単離された四量体NAsは、ほと
ん ど 精 製 p N A と 同 一 の 特 異 的 活 性 レ ベ ル を 呈 し た (表 1 お よ び 表 2 )。
【0046】
各単量体は触媒部位を有しているが、低次構造のNAs体が酵素活性をもたないという
知見は、おそらくインフルエンザNAの機能性における四次相互作用にとっての重大な役
割を反映している。
【0047】
NAsの抗原特性を確かめるために、等しい濃度のタンパク質サンプルを作り、続いて
2倍希釈し、ポリクローナル抗pNAIgGに基づくサンドイッチELISAで試験した
(図 1 0 )。 四 量 体 N A s で は 、 p N A の 参 考 グ ラ フ と 同 様 の 滴 定 曲 線 が 得 ら れ た が 、 こ れ
10
は、両方が同一かまたは非常によく似た抗原特性をもつことを示している。抗原性に小さ
なシフトが認められるけれども、論証できるような酵素活性がないにもかかわらず、二量
体および単量体NAsの抗原活性は実質的にそのまま残っていた。抗原性におけるこの小
さな差異は、抗原活性/A280比が僅かに上回っている四量体ピークのゲル濾過プロフィ
ー ル か ら 同 様 に 明 ら か で あ っ た (図 6 )。 天 然 の 四 量 体 構 造 に 対 し て 産 生 さ れ た 多 数 の 抗 体
分子は、不完全に組み立てられたNAsに効率的に結合すること、たとえば隣接するサブ
ユニット間の接触領域を認識することが不可能であったということも有り得る。四量体フ
ォーメーションによって誘発される局部的な変化もまた、多数の微細な抗原差異を引き起
こす。
【0048】
20
論考
本発明の主たる目的は、分泌され、正確に折り畳まれたタンパク質としてのインフルエ
ンザノイラミニダーゼの合成、およびワクチン用剤として使用しうる均質な生成物を得る
ための精製操作の決定であった。NA2インフルエンザウイルス株A/ビクトリア/3/
7 5 の N A 遺 伝 子 か ら 、 シ グ ナ ル 配 列 (膜 ア ン カ ー 機 能 )を 有 す る 元 の N A 末 端 領 域 が 、 イ
ンフルエンザHA遺伝子の5’配列の一部と置き換えられたキメラ遺伝子を構築した。続
いて、HAから誘導された切断可能なシグナルペプチドにより実質的に分泌可能なNA(
N A s )を コ ー ド す る 、 得 ら れ る 構 築 物 を 、 強 力 な ポ リ ヘ ド リ ン プ ロ モ ー タ ー の 転 写 調 節
下にバキュロウイルス発現ベクターに組み込んだ。宿主昆虫細胞Sf9の感染後、培養培
地 中 に N A s が 分 泌 さ れ た 。 精 製 結 果 に 基 づ い て 、 6 ∼ 8 mg/lの 範 囲 で 発 現 の レ ベ ル を 評
30
価した。バキュロウイルスに感染している間に、分泌による宿主細胞のタンパク質切断能
力 が 劇 的 に 減 少 す る こ と が 論 証 さ れ た (ジ ャ ー ビ ス お よ び サ マ ー ズ , 1 9 8 9 )。 そ れ に も
かかわらず、記載された産生系は実験室スケールの予防接種の研究に適用可能であり、相
当なスケールアップにも好適である。
【0049】
NAsの精製は、第1の硫酸アンモニウム分画段階、それに続く3種のクロマトグラフ
ィー段階を含む実質的に4段階の操作からなった。酵素活性の獲得については、精製タン
パク質としておよそ25%のNAsが回収されることを評価した。ゲル濾過カラムクロマ
トグラフィーにより、NAsを予分別して、架橋分析によりそれぞれ四量体、二量体およ
び 単 量 体 N A s (こ こ で 後 者 は ほ ん の 少 量 し か 存 在 し な い )と し て 同 定 さ れ る 分 子 サ イ ズ の
40
異なる3つの集団に分けた。主要な2つの形体、四量体および二量体NAsは、約等量で
得られ、SDS/PAGEおよび銀着色で審査したところ均質であった。
【0050】
NAsの酵素および免疫特性を評価するために、比較対称タンパク質として天然のNA
を単離することが必要であった。X−47ウイルスのA/ビクトリア/3/75NAの頭
部をプロナーゼ処理により切断し、次いでカチオン交換およびゲル濾過クロマトグラフィ
ーにより精製した。架橋後、pNAが完全な膜結合NAの四量体構造を保持していること
を確認した。
【0051】
NAsの触媒特性は、四量体タンパク質のみが酵素活性を呈するという非常に変わった
50
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ものであった。四量体NAsは、ほどんどpNAに相当する特異的活性を有した。二量体
および単量体NAsが変性タンパク質であるという理由で単純に不活性であったというの
は可能性が低いことである。なぜなら、精製操作中これらの形体もまた、基質結合部位に
基づくアフィニティークロマトグラフィーによってしっかりと補足されたからである。こ
れは、酵素の触媒部位は機能的に完全にちがいないが、次に続く触媒への移行が明らかに
できないことを示唆している。
【0052】
NAグリカナーゼ処理により、概してNAsの糖質含量がpNAの糖質含量と比べて僅
かに低いこと示されたが、これはこの系で発現する他の糖タンパク質においても認められ
る こ と で あ っ た (ク ロ ダ ら , 1 9 8 6 ; ド ミ ン ゴ お よ び ト ロ ウ ブ リ ッ ジ , 1 9 8 8 ; バ ン
10
・ ド ル ネ ン ・ リ ッ テ ル ら , 1 9 9 1 )。 ハ イ ポ グ リ コ シ ル 化 は 、 二 量 体 お よ び 単 量 体 N A
sにおいて明らかに、より顕著であった。X線回折分析による構造の研究から、Asn20
0
に結合した糖質鎖が隣接するサブユニットの接触をより接近したものにすることが示さ
れたが、これは、その鎖が、四量体構造を強化するためのさらなる相互作用を提供したこ
と を 示 唆 し て い る (バ ル ゲ ー ゼ ら , 1 9 8 3 ; バ ル ゲ ー ゼ お よ び コ ー ル マ ン , 1 9 9 1 )。
【0053】
精製pNAに対して産生されたポリクローナルIgGとの四量体NAsの反応性は実質
的に完全であったが、これは、両方のタンパク質が非常に類似した抗原特性をもつことを
示している。二量体および単量体NAsの場合に抗原性の小さいシフトを認めることは可
能であった。これまでに述べてきたことから、四量体構造のインフルエンザNAのみに結
20
合するモノクローナル抗体を単離することが可能であると推論することができた。このよ
うな抗体は、おそらく隣接するサブユニットから誘導された表面の抗原決定基との相互作
用に入るか、あるいは別の考え方として、四量体形成中のコンホメーション再構成後に形
成されたエピトープを認識する。さらに、糖質組成における差異もまた抗原特性を変更す
る。
【0054】
実施例2
ピチア・パストリスによる組換えノイラミニダーゼの分泌
序論
昆虫細胞に加えて、酵母が組換えインフルエンザノイラミニダーゼ産生用の宿主細胞と
30
して使用しうるかどうかを判定するために、ノイラミニダーゼの酵素的「帽子」部位を含
む発現ベクターを構築した。
【0055】
材料および方法
1 .ベ ク タ ー お よ び 宿 主
ピチア・パストリスのプラスミドpPIC9(インビトロゲン製)を用いて発現カセッ
トを構築した。このプラスミドは、ピチア・パストリスの誘導可能なアスコールオキシダ
ーゼI(AOXI)遺伝子の複製起点、アンピシリン耐性遺伝子、プロモーターおよびタ
ーミネーター領域、サッカロミセス・セレビシアエのα因子のプレプロ分泌シグナル、な
らびにピチア・パストリスのHIS4マーカーを含む。宿主としては、メチロトロフィッ
40
クな酵母菌ピチア・パストリス(インビトロゲン)を用いた。
【0056】
2 .発 現 カ セ ッ ト の 構 築
部位特異的突然変異誘発法によって、A/ビクトリア/3/75のノイラミニダーゼ遺
伝子のcDNA配列にStuI制限部位を導入した。制限部位の位置はPro79とした
。この制限部位を用いて、酵素的活性中心を含むノイラミニダーゼ遺伝子の免疫原性「帽
子配列」を、StuI/HindIII断片として単離し、ピチア・パストリスのプラス
ミドpPIC9のSnaBI制限部位にクローニングすることができた。図15はpPI
C9プラスミドの模式図を示す。図16はプレプロシグナル配列と組換えノイラミニダー
ゼの融合領域である。プロペプチドは外来性のKEX2プロテアーゼによって後期ゴルジ
50
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体内で切断される。(Glu−Ala)2ジペプチドはSTE13型のジペプチジルアミ
ノペプチドによって除去される。外側のチロシン残基は切断されず、組換えノイラミニダ
ーゼ上でN末端に残るが、これは不必要である。
【0057】
SalI切断法によってHIS4選択マーカーの位置で得れらるプラスミドを直線化し
、 続 い て ポ リ エ チ レ ン グ リ コ ー ル の 存 在 下 に ピ チ ア ・ パ ス ト リ ス の G T S 1 1 5 ( his4
)原形質体に形質転換した。形質転換体から単離されたDNAをサザン分析に付した。こ
の 分 析 に よ り 、 内 部 ( し か し 欠 失 あ り ) his4 座 の 位 置 に 相 同 的 組 換 え を 介 し て 組 み 込 ま
れた発現ベクターが示された。大部分の形質転換体は1∼2コピーのプラスミドを有して
いるが、高度分泌能力をもつ形質転換体は、タンデム構造で宿主ゲノムに全体を組み込ま
10
れた複数コピーのプラスミドを持つことがわかった。該コピーの数は形質転換体当たり2
5に達していた。
【0058】
3 .ノ イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ の 発 現
最小グリセロール緩衝培地(pH6.0)中で形質転換体を予備成長させ、48時間後
に、0.5%メタノールを含む最小緩衝培地に移した。この結果、アルコールオキシダー
ゼIプロモーターが誘導され、ノイラミニダーゼの「帽子」が発現した。公知のノーザン
分析法を用いて、細胞中のノイラミニダーゼのmRNA量を評価した。この結果、非常に
効果的に誘導がなされたことがわかった。
【0059】
20
細胞上清のウエスタン分析から、分子量約70kDaの組換えノイラミニダーゼが分泌
されたことがわかった(図17参照)。
【0060】
PNGアーゼFを用いて分泌産物を脱グリコシル化した。これによって、予測された4
3kDaという大きさの「コア」産物が産生された。コピー数に応じて培地中の組換えノ
イ ラ ミ ニ ダ ー ゼ の 収 量 が 1 ∼ 1 . 5 mg/リ ッ ト ル の 間 で 変 動 す る こ と が わ か っ た 。
【0061】
実施例3
材料および方法
1.実験動物
30
免 疫 感 作 開 始 時 に 8 週 齢 の 雌 性 同 系 繁 殖 系 B a l b / c マ ウ ス ( S C K M ol、 ベ ル ギ
ー)を用いた。受動免疫感作実験において、被検マウスは12週齢であった。1ケージ(
2
4 1 0 cm ) あ た り 3 匹 の グ ル ー プ に 分 け 、 食 餌 と 水 を 任 意 に 与 え た 。
【0062】
2.ウイルス
インフルエンザ株は、A.ダグラス博士およびJ.スケール博士から入手した(MCR
・ラボラトリーズ、ミル・ヒル、ロンドン)。実験用ウイルスX−31およびX−47は
H3N2抗原組成物を含み、該組成物は、A/PR/8/34(H1N1)を遺伝子的に
再編成することにより、それぞれA/アイチ/2/68(H3N2)およびA/ビクトリ
ア/3/75(H3N2)として誘導される。両方のウイルスのストックを、マウスが死
40
亡する程度に肺を通して何回も注入することによって順応させた。
【0063】
3.組換え分泌可能NA(NAs)
インフルエンザNA A/ビクトリア/3/75(H3N2)を、実施例1で記載した
バキュロウイルス昆虫細胞発現系で産生された精製組換えタンパク質として投与した。こ
こで記載する免疫感作実験で使用する精製NAs票品には、リン酸緩衝塩溶液として四量
体と二量体分子の混合物が含まれていた。
【0064】
4.アジュバント
我々自身の実験室で行った組換えインフルエンザHAの免疫感作研究に基づいて、適当
50
(18)
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なアジュバントを選んだ。Ribiアジュバント(モノホスホリル脂質A(MPLA)、
トレハロース−6,6−ジミコレート(TDM)、スクアレンおよびTween80を含
む)とサルモネラ・チフィムリウムMPLAの入ったビンを製造者の指示書(Ribiイ
ムノケム・リサーチ)にしたがって満たした。ムラミル・ジペプチド(MDP)はシグマ
・ケミカル・コーポレイションから購入した。
【0065】
5.免疫感作プロトコル
1 μ g の N A s を 2 0 0 μ lの 用 量 で 3 回 、 3 週 間 間 隔 で 皮 下 注 射 に て マ ウ ス に 投 与 し
た。最初の免疫感作では、通常マウスに用いるRibi用量の半分量中(25μgのMP
L A 、 2 5 μ g の T D M 、 2 μ lの ス ク ア レ ン お よ び 0 . 1 % の T w e e n 8 0 に 相 当 )
10
に、NAsを乳剤化した。25μgのMPLAと25μgのMDPをNAsに加えてブー
スター注射を行った。対照動物にはアジュバントのPBS溶液を投与した。
【0066】
6.受動免疫感作
3回目の免疫感作後3週間目に、心臓穿刺によってドナーマウスから採血し、同様に処
理 さ れ た マ ウ ス の 血 清 標 品 を 集 め た 。 被 検 マ ウ ス に 4 0 0 μ lの 免 疫 ま た は 対 照 血 清 を 1
回投与の腹腔内注射を行った。
【0067】
7.インフルエンザチャレンジ
ブースター注射後3週間目または受動免疫感作後1日目、軽度にエーテル麻酔したマウ
20
スに、20LD50の即位的ウイルスを鼻孔内接種した。次いで、接種後10日間の直腸の
温度と体重を測定することによって、感染の進行の程度を追跡した。
【0068】
8.血清学的方法
ワクチン接種開始前1日(免疫前血清)および各免疫感作後2週間目の血液サンプルを
尾部動脈から採血した。ELISA法により、NA特異的抗体について個々の血清サンプ
ル を 試 験 し た 。 マ イ ク ロ タ イ タ ー プ レ ー ト ( Nunc Maxisorp) に 精 製 N A s を 塗 布 し ( 5
0 ng/ウ エ ル ) 、 血 清 を 5 倍 に 希 釈 し た 。 ア ル カ リ ホ ス フ ァ タ ー ゼ ( シ グ マ ・ ケ ミ カ ル ・
コーポレイション)と複合したウサギの抗(マウスIgG)抗体を加え、次いでp−ニト
ロフェノール基質溶液(シグマ・ケミカル・コーポレイション)をプレートに加えてイン
30
キュベートすることによって特異的抗体の結合を定量した。マイクロタイタープレートリ
ー ダ ー に て 4 0 5 nmに お け る O D 値 を 測 定 し た 。 対 照 ウ エ ル ( 免 疫 前 血 清 で 処 理 ) よ り も
0.5高い吸光度が得られるlog5血清希釈の逆数としてNA抗体の力価を表した。
【0069】
結果
1.実験設計
上記免疫感作プロトコルに従い、1グループ12匹のマウスのグループ3つに、NAs
のワクチン接種を行った。同数の対照マウスを平行してPBSで処理した。続いて、ワク
チン接種マウスと対照マウスからなる対のグループをマウス順応X−47またはX−31
にチャレンジさせた。一方、該対グループを受動免疫感作実験の血清ドナーとした。
40
【0070】
2.血清応答
各ケージから1匹ずつ取り出した、12匹のワクチン接種動物と12匹の対照動物から
ランダムに選択した血清で行うELISAによってNAsに対する抗体応答を追跡した。
マウスにおいてNAs免疫感作を行うと、血清中のNAs抗体が著しく増加した。最初の
ブースター注射は、およそlog5量の3倍のNAs抗体を増加したが、第2のブースタ
ー注射ではNAs抗体の力価がさらにまた約5倍の増加を示した。対照マウスにおいては
、アジュバントの1回投与では、NAsと反応する特異的抗体の有意な産生はなされなか
った。
【0071】
50
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3.NAsによるホモ変異防御
ワクチン接種後3週間目のワクチン接種マウスと対照マウスに対し、20 LD50量の
ホモNA変異ウイルスX−47を投与することにより、免疫を検定した(図12)。体温
の低下および体重の減少が測定されたことからわかるように、すべての対照マウスは重篤
な罹患状態に陥った。感染後4日目に、最初の死亡マウスが現れ、すべての対照マウスは
ウイルス接種後9日以内にすべて死亡した。
反対に、NAsワクチン接種マウスにおける臨床パラメーターは、一時的かつ小さく低
下しただけであった。すべてのワクチンマウスは感染から助かった。
第3の免疫感作を行わない場合、同レベルの防御免疫が達成されうるのかどうかという
点についても調べた(NAsおよび/またはアジュバントの用量を増加することによって
10
補償されるという可能性があると考えられる)。これらの試験は実質的に同一の実験計画
に沿って行った。この作法で免疫感作したマウスは一般に良好な耐性を呈したが、少数の
個体は重篤な罹患状態に陥った。また、生存率が80%以下になることは殆ど無かったが
、ワクチン接種マウスにおいて死亡するものも時折あらわれた。しかし、3回の免疫感作
によって達成された防御免疫のレベルは、全般にわたって優れたものであることがわかっ
た。
【0072】
4.NAsによるヘテロ変異防御
7年抗原ドリフトによってA/ビクトリア/3/75から誘導されたNAsから分離さ
れるNAを含むヘテロ−NA−変異ウイルスX−31の20 LD50量を、ワクチン接種
20
マウスおよび対照マウスの別のグループに感染させて免疫性を試験した(図13)。X−
47免疫感作実験においても観察されたように、臨床結果は劇的なものであった。対照動
物は感染後5日目で既に死亡するものがあらわれ始めた。死亡率は8日目に最大値に到達
し、その後生存したのは1匹だけであった。NAsで免疫感作したマウスは、通常は致命
的なヘテロ変異ウイルスに感染したにもかかわらず、100%の生存率を示した。ホモ変
異免疫実験の場合と同様に、ワクチン接種マウスは体温を適度に正常レベルで維持するこ
とができた。体重の損失は、ホモ変異の場合と比べて幾らかは顕著であったが、すべての
マウスが6日目以降回復を始めた。
【0073】
5.防御免疫はNAs免疫血清の受動伝達によって獲得することができる
30
受動免疫感作による動物防御が、誘発される防御免疫に対して主に応答可能である体液
性防御メカニズムであるかどうかを決定するために、該動物防御を試験した。この目的の
ために、標準的操作にしたがってドナーマウスを免疫感作した。該ドナー動物から採血し
て 、 1 個 体 あ た り 平 均 約 4 0 0 μ lの 血 清 を 得 た 。 対 照 血 清 と 免 疫 血 清 を そ れ ぞ れ 集 め た
後 、 4 0 0 μ lの 血 清 を 被 検 マ ウ ス に 腹 腔 内 注 射 に て 1 回 で 投 与 し た 。 適 合 さ せ た X − 4
7ウイルスの20 LD50量にチャレンジさせる前に、抗体分子がマウス内で満遍なく拡
散しうるように24時間の間隔をあける。対照血清を接種された動物は、すぐに急性の低
体温症になり、体重が激しく減少し、最終的に死亡に至ったが、NAs免疫血清を投与さ
れたマウスは、能動的に免疫感作された動物と実質的に同程度に防御された(図14)。
したがって、NA抗体を予め循環させておくことにより完全な防御が得られるという結
40
論を下すことができる。
【0074】
論考
インフルエンザに対する免疫は、長い間ほとんどHA抗体の機能についてのみ研究され
ていたが、免疫に寄与するNAの重要性は実質的に無視されてきた。この状況は、HAを
結合しうる抗体のみがウイルスを直接中和する能力をもつという観察結果に一部由来する
ものであった(ハースト,1942;デイブンポートら,1964;キダら,1983)
が、NAに対する抗体が、広範囲の濃度において一次感染を防御しうることはわかってい
なかった(ジャヒエルおよびキルボーン,1966;キルボーンら,1968;ヨハンソ
ン,1989)。この寛容はおそらく、インフルエンザウイルスのライフサイクルの後期
50
(20)
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部分で、新たに形成されたウイルスが感染細胞の表面で凝集するのを妨げるように働くN
Asを反映している(コールマンおよびウォード,1985;ブラウンおよびレイバー,
1968)。HAとは逆に、NAはインフルエンザウイルスのエンベロープの成分のうち
で少ないほうの成分であり、NA抗体の非中和効果に寄与しうるという事実がさらに発見
された(シュルマンら,1968)。この存在モル比率の相違が、同様に個々の抗原に対
する相対的抗体応答に影響を及ぼす。全インフルエンザウイルスと連続的に対決するため
に、NAと比べてHAが相対的に過剰に提供されることが繰り返されると、おそらくNa
特異的T細胞の援助が覚醒される結果として、NA抗体の産生を抑制することができた(
キルボーン,1976;ヨハンソンら,1987;キルボーンら,1987;ヨハンソン
ら,1987)。
10
【0075】
したがって、防御NA免疫を研究するために、HA抗体を中和することに対する妨害が
排除され、HA抗原およびNA抗原の競合を介したNA免疫応答の阻害が回避されるとい
うシステムを発展させることが必要である。古典的アプローチは、天然のNA成分の単離
に基づいて行われる(シュルマンら,1968;ヨハンソンおよびキルボーン,1990
;ギャラガーら,1984)かまたは別の場合では限定されたシリーズのインフルエンザ
株と血清学的に異なるHAおよびNA抗原との組み合わせ投与に基づいて行われる(ロッ
トら,1974;キルボーン,1976)かのいずれかであった。しかし、本明細書に記
載した結果は、精製、組換えNAタンパク質を用いる防御免疫感作を直接に説明するもの
である。A/ビクトリア/3/75(H3N2)ウイルスのNA遺伝子は、膜アンカーを
20
コードする領域がインフルエンザ血球凝集素遺伝子のシグナル配列と置換されることによ
って分泌可能なタンパク質(NAs)をコードする遺伝子に形質転換された(実施例1を
参照)。
【0076】
NA抗体がウイルス粒子の放出および拡散を阻害することによりウイルス成長の収率を
効果的に抑制することができるというインビトロ技術がすでに確立されている(ジャヒエ
ルおよびキルボーン,1968;キルボーンら,1968)。
【0077】
肺におけるウイルス力価の低下および肺機能障害の進行の抑制を測定することにより、
NAで免疫感作された動物から、同様の結論が引き出された(11,12,13)。肺で
30
のウイルス複製におけるNA免疫の効果に大きな注意が向けられていたけれども、純粋な
NAタンパク質による免疫感作が、臨床疾患の症候を予防しうるか、または潜在的に致命
的なインフルエンザに感染した後の生存チャンスを改良しうるかどうかは疑わしかった。
この疑問に対する満足のいく答えはまだ得られていなかった。しかし、本明細書で示す結
果は、通常致命的なインフルエンザ感染に対する完全防御が、純粋な組換えNAsで免疫
感作することによって達成されうることをを明確に説明しており、ここでは、既往の抗H
A免疫メカニズムまたは保存された内部ウイルスタンパク質の抗原に対する細胞性記憶免
疫効果は排除される。
【0078】
本明細書で説明した実験においては、3週間の間隔をおいて、1μgのNAsを3回投
40
与してマウスの免疫感作を行った。ワクチン接種した動物は全部インフルエンザウイルス
の致命的感染から生還することができた(ここでウイルスはホモまたはヘテロ変異NAを
発現した)。感染ウイルスの投与量が多くても、非常に驚くべきことに、体温および体重
の変化によって示されるように、免疫感作した動物は臨床疾患の症候を示さないままであ
った。NAsとともに投与されるアジュバントがすべて低い反応原特性を有することに注
意することが重要であり、そのために、ここで述べた免疫感作操作がヒトのワクチン接種
に直接適用しうるのである。さらに、本発明ワクチンは、他の哺乳動物および鳥類に適用
可能である。
【0079】
無垢の被検マウスにNAsで免疫感作したマウスの血清を受動伝達しても、同レベルの
50
(21)
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防御が得られたが、このことはNAs免疫感作の防御効果が、NA抗体の循環に基づいて
説明できることを示している。
【0080】
ここに記載したヘテロ変異防御に関し、ワクチンA/ビクトリア/3/75のNA抗原
と変異感染ウイルスX−31に存在するA/アイチ/2/68のNAの間の構造的関係を
考慮することが重要である。残念なことに、A/アイチ/2/68(H3N2)のNAに
関しては、適用できる配列データはないが、アイチ株と同年に単離されたA/NT/60
/68(H3N2)(ベントレーおよびブロウニー,1982)のNA配列と比較するこ
とはできる。両方のNA変異体の頭部領域を綿密に調査すると、28位にアミノ酸の置換
が発見される(その点で、主要部は分子の表面にある)。
10
【0081】
本発明ワクチンは、さらになお移転したドリフト変異体に対する防御をも提供しうる可
能性がある。さらに、NAの遺伝子修飾によって遺伝子の変化をその抗原構造にアレンジ
しうることが考えられる。このことから、たとえば異なるバージョンのNAの「カクテル
」を製造することが可能になり、したがって、異なるインフルエンザ株に対する広範な防
御が獲得できる。
【0082】
【表1】
20
この表は、代表的な精製実験を示す(詳細は本文参照)。スーパーデックス200ゲル
濾過後の液量は、2行程のクロマトグラフィーによる精製物を合わせたものである。
【0083】
30
(22)
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【表2】
10
20
この表は、代表的な精製実験を示す(詳細は本文参照)。スーパーデックス200ゲル
濾過後の特定の液量は、2行程のクロマトグラフィーからのNAs画分を合わせたもので
ある。
【0084】
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【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】分泌可能なNA遺伝子の構築およびバキュロウイルス運搬ベクターへのその組込
みのための方策を示す。関連する制限部位のみを示す。一本線は細菌プラスミド配列を示
すが、濃い部分はHA特異的(ベタ塗り)またはNA特異的(点付き)配列を示す。HA
40
シグナル配列をシングルハッチングで示す。NAシグナル配列/膜アンカー配列をダブル
ハッチングで示す。
【図2】正のcDNA鎖のヌクレオチド配列およびHAシグナルペプチドとそのNA膜ア
ンカーを除去されたNAの間の連結部位のフランキング領域のアミノ酸配列を示す。図2
Aは非切断HA、詳しくはAla16とGln17間のシグナルペプチダーゼ制限部位(垂直
破線)を含む非切断HAを示す。NAsの分泌に用いるNA末端セグメントを矢印で示す
。図2BはNAの「柄」領域を示す。NAsの構築に必要とされる先端切断配列を矢印で
示す。図2CはAおよびBからNAs配列がどのように構築されるかを示す。ここに詳細
に示されるのは、HA特異的配列およびNA特異的配列間の融合領域である。NAsはお
そらく成熟HAの4個のNA末端アミノ酸で開始し、突然変異コドン(点線の下線)がそ
50
(28)
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れに続く。
【図3】精製pNAのSDS/PAGE分析を示す。図3Aは精製段階の異なるpNAか
ら得られるタンパク質サンプルの分析結果である。レーン1はマーカータンパク質を示す
; レ ー ン 2 は 粗 p N A を 示 す ( 1 μ g; p N A バ ン ド は 検 出 可 能 レ ベ ル 以 下 で あ る ) ; レ
ー ン 3 は セ フ ァ ロ ー ス S に よ る 精 製 物 を 示 す ( 1 μ g) ; レ ー ン 4 は ス ー パ ー デ ッ ク ス 2
3
0 0 に よ る 精 製 物 を 示 す ( 1 μ g) 。 図 3 B に 示 す の は 、 B S 法 に よ り 架 橋 し た 1 μ gの
pNAの5.0%∼7.5%の勾配ゲルである。レーン1はマーカータンパク質を示す;
レーン2は架橋後のpNAを示す。余分のバンドが約105kd(二量体)、約160k
d(三量体)および約210kd(四量体)に現れている。
【図4】Sf9細胞に組換えバキュロウイルスを植え付けた後の、酵素活性レベル(○)
10
および総タンパク質濃度(◇)から誘導される、培養培地中に検出される特異的活性(□
)の時間経過にともなう変化を示す。
【図5】セファロースQによるアニオン交換クロマトグラフィーを示す。(20∼60)
% の ( N H 4 ) 2 S O 4 沈 殿 を 溶 解 し 、 透 析 し た 後 、 溶 液 ( 9 7 . 5 mgタ ン パ ク 質 、 1 1 7 ,
000U)をセファロースQカラムに通した。出発緩衝液にNaClを添加して濃度25
0 mMへ 向 か う N a C l の 直 線 勾 配 ( 点 線 ) に よ る 溶 離 を 行 う 前 に 、 非 結 合 物 質 を 洗 い 流 し
た 。 溶 出 液 の タ ン パ ク 質 濃 度 を A 2 8 0 ( − ) を 測 定 し て 追 跡 し た 。 2 . 5 mlの 画 分 を 集 め
、酵素活性(○)およびELISAにおいて抗原性活性(△)を試験した。
【図6】スーパーデックス200によるNAsのゲル濾過を示す。N−(p−アミノフェ
ニ ル ) オ キ サ ム 酸 ア ガ ロ ー ス 分 離 後 の 溶 離 液 ( 2 . 6 3 mgの タ ン パ ク 質 、 4 9 , 1 0 0 U
20
) を 2 . 0 mlま で 濃 縮 し 、 続 い て サ ン プ ル 量 1 . 0 mlの 画 分 に て 流 速 1 0 ml/ 時 間 の ス ー
パーデックス200カラムのクロマトグラフィーに付した。A280を継続的に追跡した(
− ) 。 個 々 の 画 分 ( 1 . 0 ml) を 酵 素 活 性 ( ○ ) お よ び 抗 原 性 活 性 ( △ ) を 試 験 し た 。 矢
印は較正タンパク質の溶出液量を示す(本文参照):443kd(1)、200kd(2
)、150kd(3)、67kd(4)および29kd(5)。
【図7】精製NAsのSDS/PAGE分析を示す。各レーンはスーパーデックス200
ゲ ル 濾 過 の 特 定 の 画 分 番 号 に 対 応 す る 。 図 7 A は 1 0 μ lの サ ン プ ル を 変 性 ( β − メ ル カ
プトエタノール添加)した後のSDS/PAGEパターンを示す。レーンAおよびBはマ
3
ーカータンパク質を示す。図7Bでは、タンパク質サンプルをBS で架橋し、続いてS
DSが存在するけれども非還元的な条件下で、5.0%∼7.5%の勾配ゲルの電気泳動
30
に よ っ て 分 離 し た 。 画 分 5 7 ∼ 6 8 は 、 1 0 μ lの サ ン プ ル 液 量 ; 画 分 7 0 ∼ 7 7 は 2 5
μ lの サ ン プ ル 液 量 で あ る 。 四 量 体 の N A s は 約 2 2 0 k d ( 四 量 体 ) お よ び 約 1 1 0 k
d(二量体)でバンドを形成する。二量体および単量体NAsは、それぞれ約110kd
および約55kdのバンドとして現れる。
【図8】精製段階の異なるNAsからのタンパク質サンプルのSDS/PAGEの結果を
示 す 。 レ ー ン 1 は マ ー カ ー タ ン パ ク 質 ; レ ー ン 2 は 粗 培 地 ( 5 μ g) ; レ ー ン 3 は ( 2 0
∼ 6 0 ) % ( N H 4 ) 2 S O 4 沈 殿 ( 5 μ g) ; レ ー ン 4 は セ フ ァ ロ ー ス Q 精 製 物 ( 2 . 5 μ
g) ; レ ー ン 5 は N − ( p − ア ミ ノ フ ェ ニ ル ) オ キ サ ム 酸 ア ガ ロ ー ス 分 離 後 の 精 製 物 ( 1
μ g) ; レ ー ン 6 は ス ー パ ー デ ッ ク ス 2 0 0 ゲ ル 濾 過 後 の 四 量 体 お よ び 二 量 体 N A s 画 分
( 1 μ g) を 示 す 。
40
【図9】NA−グルカナーゼ切断およびSDS/PAGEから評価される、pNAとNA
sに結合した糖質含量の比較分析を示す。酵素NA−グルカナーゼは35kdのバンドと
して現れる。図9Aでは、レーン1はマーカータンパク質;レーン2は非切断pNA(1
μ g) ; レ ー ン 3 は N A − グ ル カ ナ ー ゼ 処 理 し た p N A ( 1 μ g) を 示 す 。 図 9 B で は 、 レ
ーン1および8はマーカータンパク質;レーン2は非切断四量体NAs;レーン3はNA
−グルカナーゼ処理した四量体NAs;レーン4は非切断二量体NAs;レーン5はNA
−グルカナーゼ処理した二量体NAs;レーン6は非切断単量体NAs;レーン7はNA
−グルカナーゼ処理した単量体NAsを示す。
【図10】NAsとpNA間の抗原的な近同一性を説明する。pNAとNAsのサンプル
を等しいタンパク質濃度とし、続いてELISAにおいて2倍に希釈した。図は特異的抗
50
(29)
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原に対して測定されたS字型の抗原性カーブを示す。pNAは○;四量体NAsは◇;二
量体NAsは□;および単量体NAsは△で示される。
【図11】NAsに対する抗体応答を説明する。各免疫感作後14日目に(矢印で表示)
、 マ ウ ス か ら 血 液 サ ン プ ル を 採 血 し 、 N A s 抗 体 の 存 在 を E L I S A に て 測 定 し た (実 験
詳 細 に つ い て は 本 文 参 照 )。 ベ タ 塗 り バ ー お よ び ハ ッ チ ン グ バ ー は 、 そ れ ぞ れ ワ ク チ ン 接
種 お よ び 対 照 動 物 の 平 均 血 清 力 価 (± S . D )を 表 す 。
【図12】ホモ変異体防御を示す。ワクチン接種マウス[Aでは点線;BおよびCでは黒
三角]および対照マウス[Aでは−;BおよびCでは黒丸]を20 LD50のホモ変異,
マウス順応X−47ウイルスにチャレンジさせた。生存率(A)を記録し、直腸温度(B
)および体重(C)を測定することによって感染の進行を追跡した(実験詳細については
10
本文参照)。データ点は平均値±S.Dで得る。
【図13】ヘテロ変異体防御を示す。ワクチン接種マウス[Aでは点線;BおよびCでは
黒三角]および対照マウス[Aでは−;BおよびCでは黒丸]を20 LD50のヘテロ変
異,マウス順応X−31ウイルスにチャレンジさせた。生存率(A)を記録し、直腸温度
(B)および体重(C)を測定することによって感染の進行を追跡した(実験詳細につい
て は 本 文 参 照 ) 。 デ ー タ 点 は 平 均 値 ± S .D で 得 る 。
【図14】受動免疫感作による防御を示す。NAs免疫血清[Aでは点線;BおよびCで
は黒三角]および対照血清[Aでは−;BおよびCでは黒丸]の腹腔内注射によってマウ
スのグループを受動的に免疫感作した。24時間後に、マウスは20 LD50のマウス順
応X−47ウイルスへのチャレンジを受けた(実験詳細は本文を参照)。生存率、直腸温
20
度 お よ び 体 重 を そ れ ぞ れ A 、 B お よ び C に 示 す 。 デ ー タ 点 は 平 均 値 ± S .D で 得 る 。
【図15】AOXIプロモーターおよびターミネーター配列に加えて、ピチア・パストリ
スのHIS4マーカーおよびサッカロミセス・セレビシアエのα因子遺伝子のプレプロ分
泌シグナルを含むプラスミドpPIC9の模式図を示す。多重クローニング部位は分泌シ
グナルの後に位置する。
【図16】プレプロ分泌シグナルとノイラミニダーゼの組換え「帽子」部分の間の融合領
域である。「KEX2」は、後期ゴルジ体において外来性KEX−2プロテアーゼによっ
てプロペプチドが切断される位置を示す。(Glu−Ala)2ジペプチドはSTE13
型のジペプチジルアミノペプチダーゼによって除去される。チロシン残基はノイラミニダ
ーゼ由来ではないが、除去されない。次のプロリンはX−47ノイラミニダーゼの79位
に一致する。
【図17】個々の形質転換体の5個の培地サンプルについての12.5%ポリアクリルア
ミドゲルのウエスタンブロットである。レーン1は非形質転換体のピチア・パストリス株
の 培 地 サ ン プ ル を 含 む 。 T C A で 沈 殿 し た 培 養 培 地 1 ml中 の タ ン パ ク 質 マ テ リ ア ル を レ ー
ン毎に展開した。
30
(30)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図5】
【図7】
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(31)
【図8】
【図10】
【図9】
【図11】
【図12】
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(32)
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
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(72)発明者 ヴァルター・シャルル・フィールス
ベルギー、ベー−9070 デステルベルゲン、ビューケンドレーフ3番
(72)発明者 トム・マリア・デロー
ベルギー、ベー−8520 クールネ、レイクスヴェーグ5番
(72)発明者 ヴィリー・アルフォンス・ミン・ジョウ
ベルギー、ベー−9070 デステルベルゲン、ヤーガースストラート11番
Fターム(参考) 4B024 AA01 BA12 BA31 CA01 CA11 DA02 DA05 DA12 EA04 FA02
FA07 GA11 HA01
4B050 CC03 DD11 LL01
4C085 AA03 BA55 DD06 DD24 DD62 EE01 FF24 GG01