福井ヨーガ瞑想の会(第 31 回) 2009 年3月1日 ユーアイ・ふくい プラーナーヤーマ(呼吸法)について(その 4) プラーナーヤーマの基本的要素 1. 呼吸の速度を落とすこと 2. 呼吸を意識化すること 3. バランスのとれた呼吸作用をすること 意識化の範囲を拡大していくための呼吸法 ① 点の意識化:ウジャーイー・プラーナーヤーマ ウジャーイーとは「勝利の」、征服することで獲得するという意味 ・ 快適な姿勢で座る。出来れば正座か結跏趺坐がよい。 ・ 顔や体全体をリラックスさせておく。 ・ 喉を少しすぼめておいてから、両鼻からゆっくりと息を吸い始めて喉の部分で摩擦 音が生じるようにさせる。 ・ 息を吸い終わった後は、次に自然に呼息が起きてくるまで、そのまま無理をせずに 息を止めておく。吸息と呼息の変わり目に生じるケヴァラ・クンバカを、しっかりと 意識化できるようにする。 ・ 次にナーシカー・ムドラで右鼻(左鼻)を押さえながら、左鼻(右鼻)から出来る だけ長く喉から生じる摩擦音を意識しながら呼息し続ける。 ・ 呼息が終わった直後にも自然に息が止まるようにさせて、ケヴァラ・クンバカを楽 しむようにする。 ・ 以上を1ラウンドとして都合9ラウンド行なう。 ・ 効果:イ.喉頭蓋の筋肉強化、いびきを減少、声の出を良くする。 ロ.扁桃腺や喉の腫れ、慢性的な風邪、気管支喘息などの症状改善 ハ.集中力の強化と意識化の範囲拡大 ② 線の意識化:シータリー・プラーナーヤーマ(舌をくちばし状にした調気法) ・ 舌を口から出して、カラスのくちばし状にする。 ・ ゆっくりと舌を通して吸息し、吸い込まれた冷たい空気が口の中から気管を通り、 肺の中まで入っていくのを意識化する。 ・ 息を吸い終わったなら、そこで生じるケヴァラ・クンバカをしばらく意識化する。 ・ その後、両鼻から暖かい空気が肺の内部から気管、鼻腔内を通って体外へ出て行く のを意識化する。 ・ その後に起きるケヴァラ・クンバカ状態をしばし意識化してから、再び、くちばし 状の舌を通して入ってくる冷たい空気を意識化して吸息する。 ・ 以上を1ラウンドとして、都合5ラウンド行なう。 ③ 面の意識化:シートカリー・プラーナーヤーマ(舌を巻き込む調気法) ・ 舌を上に巻き込んで、上口蓋の根元部分に、巻き込んだ舌の先を付けるようにし、 巻き込まれた舌の両サイドと上下の歯の付け根の間に間隙を作る。 ・ その口の中に出来た左右の間隙からゆっくりと息を吸い入れ、吸い込まれた空気が 口の内部に拡散して気管から肺へと流入してゆくのを意識化する。 ・ 吸息が終わった直後のケヴァラ・クンバカを意識化する。 ・ 次いで、暖かい空気が肺から気管、鼻腔から体外へと流出してゆくのを意識化し、 この呼息直後に起こるケヴァラ・クンバカを再度、意識化する。 1 ・ ・ ④ 体が冷されるにつれて生じるリラクゼーションがケヴァラ・クンバカに連動してゆ くのを意識化する。 以上を1ラウンドとして、都合5ラウンド行なう。 三次元の空間の意識化:サダンタ・プラーナーヤーマ(歯をかみ合わせた調気法) ・ 上下の歯を軽く噛み合わせ、その歯の後ろに舌の先を近づける。 ・ ゆっくりと吸息し、吸い込まれた冷たい空気が口の中に造られた間隙から気管を通 り、肺の中まで入って行くのを意識化する。 ・ 息を吸い終わったら、そこで生じるケヴァラ・クンバカをしばらく意識化する。 ・ その後、暖かい空気が肺から気管、鼻腔内を通って体外へ出て行くのを意識化する。 ・ その後に起きるケヴァラ・クンバカをしばし意識化してから、再び、上下の歯を噛 み合わせた口から吸息する。 ・ 以上を1ラウンドとして、都合5ラウンドを行なう。 ・ ②、③、④の調気法はいずれも体を冷す作用があり、次の共通の効果と禁忌がある。 効果:イ.各種筋肉をリラックスさせ、神経の働きを静め、体全体の基礎新陳代謝量 を上手に減少させる。体全体を冷す。味覚が敏感になる。 ロ.ストレスや緊張感を少なくしてくれる。歯や歯茎に関係する疾患に有効、 高血圧を癒すのに有効である。 禁忌:風邪の引き始め、喉を痛めた初期、気管支炎の患者は行なわない。 ⑤ 万所に浸透する意識化 :ブラーマリー、ムールチャー・プラーナーヤーマ ブラーマリー・プラーナーヤーマー ・ 息を完全に胸一杯に吸い込んでおく。 ・ 呼息する時に雌ハチの羽音と同じ低い音を出すようにする。 ・ 呼息し終わった後に生じる心地良いケヴァラ・クンバカを味わいながら全身に共鳴 し続ける音の波動を意識化し続ける。 ・ 次に、息が自然に吸われ始めたら、雄ハチが立てる周波数の高い音を出しながら吸 息する。この音に全身を共鳴させる調気法はブラマラ調気法と呼ばれている。 ・ 吸息がゆっくりとなり、やがて自然に止まるままにさせる。この時ハチの高い羽音 が静かに消えてゆき、まわりが沈黙の世界に変わっても、雄ハチの羽音は続けて全 身に響き渡っているのを意識化して、このケヴァラ・クンバカ状態が長く続く限りそ の意識状態を無理なく楽しむようにする。 ・ 以上を1ラウンドとして、都合9ラウンド行なう。 効果:イ.肉体のホメオスタシスをよく保ってくれるので、神経組織が調子よく働く。 ロ.心身症の病気に有効 ムールチャー・プラーナーヤーマ ・ ムールチャーとは、サンスクリットで「気絶・恍惚」を意味する。私達の意識状態 を気絶したり、恍惚状態の時のような静かなものにさせてくれるという意味である。 ・ ゆっくりと息を吸い続け、自動的にケヴァラ・クンバカが生じるようにさせる。 ・ このクンバカ中は、自分の意識が自然に眉間に集中しているようにさせる。 ・ その後、自然に息が吐き出され続けるようにし、呼息の後でも自然にケヴァラ・ク ンバカが生じるようにさせる。 「快適にクンバカを行じる事で、意思の働きを全ての対象物から引き離し、眉間の空 間に留め置くようにする。そうすることで意思は恍惚(ムールチャー)となり、愉悦 が生じる。斯くの如くに意思がアートマン(真我)と合一することで、ヨーガ行者は 歓喜の境地に至る」(ゲーランダ・サムヒター第5章 83 節) 2
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