水稲育苗ハウスを 活用した果樹栽培 ぶどうアーチ栽培編 水稲育苗ハウスを利用した果樹栽培研究コンソーシアム はじめに 目 次 北陸地域は、その気候風土と豊富な水資源を生かし、水稲の単作地帯として、 農業が発展してきました。しかし、近年の農業従事者の高齢化とそれに伴う深 刻な担い手不足は農業における大きな問題となっています。国・各県では、これ らの問題について集落営農や法人化による農地の集積を進め、水田農業におけ る経営規模の拡大を推進してきました。規模拡大にあたっては労働力の効率的 な運用や経営の安定化を図る上で、園芸導入による複合営農の推進はとても有 効な手段と考えられます。 これまでこういった複合営農をはじめる場合、導入品目として野菜や花きを 選択する事例がほとんどで、果樹栽培を組み合わせる事例は少数でした。それ は、一般に果樹栽培は、労働時間が多く、熟練した技術を要すると思われてい ることに加え、植えてから収穫できるようになるまでの年数がかかるため、簡 単に取り組み始めることができなかったからです。 今回、実証研究として取り組んだ「ぶどうのアーチ栽培」や「いちじくのコン テナ栽培」は、稲作経営体がほぼ所有している水稲育苗ハウスを有効に活用し、 簡単に果樹栽培を行うことを可能にしました。また、ぶどうについては植栽し て3年目から、いちじくについては植栽した年から収穫が可能で、より果樹栽 培に取り組みやすくなっています。 本マニュアルは平成22年に北陸地域の研究機関によってとりまとめられた 「水稲+果樹複合営農のための新たな果樹栽培管理マニュアル」に今回の実証 研究で得られた新しいデータを加えて再編集しました。ぶどう編、いちじく編 の2部構成の冊子で、水稲育苗ハウスを利用した果樹栽培技術について、わか りやすくとりまとめました。また、現場での利用にあたっては、大規模経営体 への導入を想定した経営シミュレーションについて解説しており、北陸地域だ けでなく果樹栽培で複合営農を推進する場面での利用が可能です。 本マニュアルは新規栽培者でも取り組みやすいよう、要点を中心にできるだ け簡易な方法と栽培技術となるように内容を組み立てました。実際に取り組ん でみることで、難しいと思われていた果樹栽培のおもしろさを感じてもらえる ことと思います。さらには、本冊子から始めた果樹栽培をきっかけに品種や面 積を拡大して、本格的な果樹栽培にステップアップする方が出てくることも期 待しています。 本マニュアルが存分に活用され、果樹部門が経営の中の1つの柱となり、農 業の活性化と経営の安定のために役立ててもらえれば幸いです。 ❶ 技術の紹介 1 技術の概要 ………………………………………… 1 技術の特徴 ………………………………………… 3 技術の導入フロー ………………………………………… 4 ❷ 開園準備 5 植栽計画の作成 ………………………………………… 5 アーチ栽培に適した品種 ………………………………………… 6 資材の準備 …………………………………………… 7 ❸ アーチ栽培の実際 樹形完成まで 9 …………………………………………… 9 樹形完成後の管理(3年目以降) ………………………………………… 13 ❹ 省力・高品質化のための新技術 17 花穂整形作業の省力化 ………………………………………… 17 摘心処理で新梢管理の省力化 ………………………………………… 19 ハウス内の温度を効率的に下げるには? …………………………… 21 環状はく皮で着色向上 ………………………………………… 23 コンテナを利用した根域制限栽培 …………………………………… 25 シャインマスカット用果実カラーチャート ………………………… 27 ❺ 水稲+ぶどうのアーチ栽培 年間の主な作業 29 栽培ごよみ ………………………………………… 29 主要病害虫 ………………………………………… 31 ❻ 大規模稲作経営におけるぶどう導入経営モデル 33 ❼ 現地栽培事例 37 平成28年2月 「シャインマスカット」のアーチ栽培(新潟県)… ……………………… 37 水稲育苗ハウス果樹栽培研究コンソーシアム コンテナ栽培ぶどうの事例(富山県) … …………………………… 38 研究総括 根津 潔 (新潟県農業総合研究所園芸研究センター 主任研究員) 石川県オリジナルぶどう「ルビーロマン」 (石川県)… ………………… 39 1 技術の紹介 技術の概要 水稲育苗ハウスを利用したぶどうのアーチ栽培とは 遊休期間の長い水稲育苗ハウスを有効利用するため、作業の競合しないぶどうの短 梢せん定無核栽培を行う技術です。水稲育苗は通常通り実施し、育苗箱を搬出した後 にぶどうの枝葉が伸展してくるため、両者を組み合わせた栽培方式が可能となります。 また、ぶどうの収穫は品種の選択により稲刈りなどの作業とも競合しないように調節 可能な上、収穫期間が長いため、有利販売が可能です。 費用の面では、既存のハウスを利用するために、導入にかかるコストも安価で取り 水稲育苗中はぶどうの葉が展葉初期のため、水稲育苗も 通常通り行えます! 組みやすいのが特徴です。 植栽3年で樹形が完成し、早期に収穫が可能! アーチ樹形模式図 ※農薬の使用について 水稲育苗期間中にぶどうに対しての農薬散布は必要 ありませんが、水稲苗に対する防除を行う場合があ ります。このため、ハウス内には、あらかじめビニー ルシート等を敷いておきましょう。粒剤を箱施用す る場合は、ハウスから搬出後に施用します。 簡単な施工でハウスの改造が可能なため、初期導入費用 が抑えられます。 ▍水稲育苗に組み合わせたぶどうアーチ栽培の管理体系 月 1〜 3月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 刈取 移植 成熟 落葉 副梢の管理 収穫 せん定 袋かけ 2 着色始 1015 仕上げ摘粒 処理 回目 ジベレリン 1 日 ~ 満開後 日後 満開~ 摘房 花穂整形 3 処理 回目 ジベレリン 新梢の摘心 予備摘粒 開花 新梢誘引 芽傷処理 1 収穫時の房型(ピオーネ)。 収穫時期は10月上旬 5月 展葉 発芽 ぶどうの生育 ぶどうの 主な管理 4月 育苗 出芽~硬化 水稲主要作業 アーチ栽培全景。 水稲育苗終了後からハウスサイドは開放 短梢栽培を取り入れて管理が楽々 ! 注) 芽傷処理は樹形が完成する3年目以降は必要ありません。 生育期間中には病害虫の発生状況により防除作業が必要になります。 2 1 技術の紹介 水稲育苗ハウスを有効利用できる! 技術の導入フロー 技術の特徴 開園作業 稲作農家のほとんどは水稲育苗ハウスを持っていますが、育苗以外での活用面が少 なく有効利用が求められていました。このアーチ栽培では育苗終了後もぶどうを栽培 植栽計画の作成 : 利用ハウスと投入可能労力から、栽培規模を決定する‥ ‥ P. 5 することにより、通年でのハウス利用が可能となります。 できるため、新規の栽培者にも取り組みやすいという特徴があります。また、せん定だ けでなくジベレリン処理により無核化させるため、着果が安定し収量性が向上します。 めのパイプと針金が主なものになります。このため開園費用は比較的安価で、導入に 植栽 : 苗木を植えつけ、切り詰め処理をする。‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ P. 9 既存の育苗ハウスを利用するため、栽培開始時に必要なのは苗木とハウス改修のた 資材の準備 : 栽培規模に応じて必要量の資材を準備する‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ P. 7 定 植 初期投資が少なく、すぐに導入可能! 品種の選定 : 収穫時期、販売方法を考慮し、品種を選ぶ‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ P. 6 短梢せん定無核栽培は、ぶどう栽培で最も難易度の高いせん定作業をマニュアル化 準 備 栽培方法がわかりやすく新規栽培者にも取り組みやすい! かかる負担が少ないため、試作導入が容易です。また水稲育苗もこれまで通り実施で きますので、水稲作への影響もありません。 除回数は少なく、差別化商品として有利販売が可能です。 育苗ハウスはぶどうの収穫までは被覆を継続しますので、通常の露地栽培よりも防 伸長期 防除回数の削減ができ、低コスト生産が可能 水稲育苗ハウスを利用したアーチ栽培技術 樹形完成まで‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ P. 9 <植栽> <1年目> 主枝の肥大、充実を図る <2年目> 発芽確保と早期結実を図る 植え付けてから3年で樹形が完成し、成木並みの収量となります。4年目以降は収量 も安定し、開園経費の回収が可能です。 結実期 植栽してから結実するまでの期間が短く早期に収益が確保できます! 樹形完成後の管理‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ P.13 <収量構成要素> 樹形完成時の樹体目標 <新梢管理方法> 摘心と副梢の管理 <着果管理方法> 花穂整形、ジベレリン処理、摘粒作業 <せ ん 定 方 法 > 主枝の切り返しと短梢せん定 3 4 2 開園準備 アーチ栽培に適した品種 植栽計画の作成 土壌条件 ぶどうは比較的土壌条件を選ばず、極端な湿気や乾燥地以外の排水良好な砂土から 壌土であれば栽培可能です。また、重粘土壌などで排水条件の悪いハウスではコンテ ナ栽培で対応することが可能です。 基本的に短梢栽培に適した品種は導入することができます。しかし、黒色 系品種や赤色系品種ではハウス内が高温になる影響で着色不良が発生しやす いため、参考技術の環状はく皮や天井部への換気窓の設置などを必ず実施す る必要があります。 「シャインマスカット」 「安芸津21号(「スチューベン」×「マスカット・オブ・アレキ 育苗ハウスの条件 サンドリア」)」×「白南」を交配、育成した品種です。新梢伸長 は旺盛ですが発芽は良好、着粒も安定しています。アーチ栽培 育苗ハウスとしては間口3間からさらに大きなハ での収穫期は9月下旬〜 10月上旬になります。果粒重は8 〜 ウスでも栽培可能ですが、大きな育苗ハウスでは水 10g程度で1果房重400g程度です。糖度は18 〜 20%程度と高 稲苗の搬出時にトラックが乗り入れる場合がありま く、酸度は0.4%程度と低い。マスカット香を有し食味評価は良 すので、棚の高さを考慮する必要があります。 好です。 また、一度栽培を始めると長期間にわたりハウス を利用することになるため、将来的にも継続して栽 図1 一般的な育苗ハウス 培できるハウスを選定してください。 夏場の高温を回避するために、天井部に換気窓を設置すると効果的です。 (P.21) 植栽方法 「ピオーネ」 「巨峰」に「カノンホールマスカット」を交配、育成したとされる 品種。樹勢が強く、果皮色は黒紫色で、 「巨峰」よりも黒みが強く 着色が良好です。果粒重は15g程度となり、ボリューム感があり 苗木はハウスの両側または片側に植栽します。苗木の間隔はハウス支柱を基準に 225 〜 270cmを目途に植栽します。 ます。アーチ栽培での収穫期は10月上旬となります。 「藤稔」 「ピオーネ」を親に持つ品種で、果粒重は15g程度になります。 一般の露地栽培では収穫前の降雨により裂果が発生しやすいの ですが、アーチ栽培でコンテナ等を利用した根域制限を行なえ ば裂果の発生を抑えることが可能で、8月中旬頃に収穫できます。 「ルビーロマン」 石川県で「藤稔」の自然交雑種子から育成した赤色系の4倍体 品種です。果皮色は鮮紅色で、果粒重は無核栽培で25g以上と 極めて大きく、果房重は500 ~ 800gになります。糖度は18% 程度と高く、酸度は0.3 ~ 0.4%程度と低く、果汁が多いのが特 図2 植栽間隔(例) (シャインマスカットの場合、片側の植栽でOK) 5 長です。収穫期は、8月中~下旬となります。なお、栽培は石川 県内に限られています。 6 2 開園準備 資材の準備 主枝誘引用のパイプの他に新梢誘引用の棚線を設置する必要があります。主枝誘引 用のパイプと同様にユニバーサルジョイント使って施工しますが、棚線が緩みやすい のでしっかりとビスで固定します。下図を参考に1スパンごとに棚線を設置してくだ 開園に必要な資材や農機具 さい。 ■ 苗木 苗木は品種の間違いないものを選ぶことは当然ですが、ウイルスフリー苗かどうか も十分確認します。良い苗木は節間が詰まり太くがっしりとしています。また、根が良 く発達し細根も多く発生しています。苗木の購入は秋から冬にかけてが一般的ですの で、春植えする場合は、植え付けまではハウス脇などにまとめて仮植えしておきます。 ■ 棚設置用資材とハウスの改造 棚は25 ~ 32mmのパイプを主枝誘引用に設置します。ユニバーサルジョイントを 使ってハウスの骨材に支持します。図3 〜 7を参考に設置してください。棚の高さはあ まり高いと作業性が悪くなり、低いと育苗作業の障害となります。作業する人の身長 にもよりますが、160 ~ 170cm程度が目安です。 図6 赤丸の部分をビスで固定する 図7 棚線の設置間隔 主枝から15 〜 20cmのところに1本目の誘引線があると誘引しやすい。 樹の左右に3本ずつの線が入るように間隔を調整する。 ■ 小農具類 テープナーは新梢の誘引に使用します。ひも で縛るよりも簡単に枝を棚線に固定することが できます。 図3 棚設置ハウス全景 図4 パイプ接合資材(ユニバーサルジョイント) 図8 テープナー 左から 摘 粒 鋏:花穂整形、摘粒、出荷調整に使用 芽切り鋏:新梢管理に使用 せん定鋏:せん定に使用 棚面までの高さ 棚面までの高さ 160m 〜 170cm 160 〜 170cm ユニバーサルジョイントを使って接合する ユニバーサルジョイントを使って接合する 図9 ハサミ各種 図5 育苗ハウスへの棚の設置方法 7 8 3 アーチ栽培の実際 樹形完成まで 植栽1年目 ■ 発芽後の管理(4月) 植栽後のぶどう苗木は、水稲育苗中に発芽して きます。1つの芽の中に主芽と副芽がありますが、 芽がふくらみ、判別できるようになったら、主芽 主芽 先端 を残し副芽は欠きとります。その後、葉数3 〜 4 副芽 枚目までに、発芽した芽のうち生育良好なものを 1芽選び、残りは切除します。ハウスの被覆時期に より発芽の早さが多少異なりますが、3月下旬被 副芽 覆の場合、4月中旬には発芽し育苗終了時には新 梢長35cm程度、葉数5枚程度まで生育します。発 芽した枝を欠かないように随時伸びた新梢をパイ プ支柱に沿って誘引します。新梢の誘引作業はサ イドを開けてハウスの外側から行うと水稲育苗箱 があっても作業することができます。 図13 芽がふくらんだら芽かきを実施 水稲育苗期間中のハウス温度管理は基本的に水稲育苗に従いますが、水稲出芽期の高 温管理がぶどうの発芽期と重なりますので、特に1年目はハウス内温度が過度な高温 図10 植栽2年目までの樹形イメージ にならないよう注意するとともに、ぶどうの生育をよく観察しましょう。 ■ 水稲育苗箱搬出後の管理(5月) 植栽 水稲育苗箱搬出後に本格的にぶど うの管理作業を行います。伸びてき 植栽計画に従い苗木を植え付けます。 た新梢はねじれないようにパイプ支 一般的な苗木の植栽は11 ~ 12月頃です 柱に沿って誘引します。棚面まで到 が、多雪地で土壌条件が悪い場合は消雪 達したら水平に誘引し、まっすぐに を待って植え付けます。植え穴はハウス 部材が近いので幅30cm深さ30cm程度 で十分です。植え付け時には堆肥を混和 伸ばしましょう。樹勢が旺盛だと副 図11 3芽で切り詰めて植栽した苗木 梢の発生が多くなります。そのまま 放任すると強く伸びて主枝の生育を して埋め戻します。 妨げますので、大きくならないうち 植栽した苗木は新梢伸長を促進させる に1節残して切除します。 ため、3芽に切り詰めます。 植栽1年目の水稲育苗ハウスは育 切り詰めた切り口には保護剤を必ず塗 苗終了後に除覆が可能であれば除覆 布しましょう。切り詰めた苗木は植栽当 します。それにより、植栽したぶど 初貧弱に感じますが発芽後は順調に生育 うの主枝の伸長と充実がより良くな し5m程度まで伸長します。 ります。 図12 植栽時の切り詰め位置とその後の苗木の 生育状況(ピオーネ) 9 副梢の葉を1 〜 2枚 残して切除 図14 副梢の切除 10 3 アーチ栽培の実際 ■ せん定(12月) ■ 芽かきと新梢管理(5月~) 落葉後、11月下旬頃にせん定を行います。生育が 1年目と同様に水稲育苗期間中に発芽展葉してきます。水稲育苗箱が搬出されるま 順調であれば主枝は3m以上伸長しているはずなので、 で本格的な管理作業が行えませんが、新梢の発生にともなって主枝がねじれる場合が 枝が茶色く木化していることを確認して全長2m程度 ありますので、管理可能な場所の新梢はできるだけ誘引します。 のところで切り返します。せん定後はビニールを開放 水稲育苗箱搬出後に新梢を整理します。主枝先端部は1本をまっすぐに棚線に沿っ し、外気温に近い条件にします。 て誘引し、その他の新梢は主枝に対してできるだけ直角となるような枝を選んで誘引 します。発生する副梢は葉1枚を残して随時切除します。 1年目せん定位置 誘引 図15 1年目冬(せん定前) 図16 せん定のイメージ 図18 新梢の誘引 ■ 着果管理(6月) 植栽2年目 発生した新梢に着穂するものもありますので、主枝先端の新梢以外は積極的に着果 ■ 芽傷処理(1 ~ 2月) 巨峰やピオーネは先端部の発芽が先行すると基部の芽が発芽しなかったり、発芽し てもすぐに伸びが止まってしまいます。主枝部分の発芽は1年目だけで、枝が古くなる と再発芽は見込めません。そのため、必ず発芽させるために芽傷処理を行います。処理 時期は2月中が目安ですが、早すぎると枯れ込みが入る場合がありますし、遅いとぶど うの樹液がしみ出して芽が腐敗する場合がありますので注意が必要です。棚面に誘引 した主枝から左右バランスよく枝間隔が20cm程度となるように芽傷処理します。発 芽させたい芽の先1cm程度のところを木質部に届く深さで切り込みを入れます。専用 の芽傷ハサミが市販されていますので利用するとよいでしょう。 させます。 ※花穂整形方法は「樹形完成後の管理」P14を参照 ■ 温度管理(4月~) ハウスの温度管理は1年目と同じく、水稲育 苗期間は水稲に合わせ、水稲育苗箱搬出後はサ イドを開放します。6月までは夜間にサイドを 閉じて保温すると初期生育が良好となります。 しかし、朝のハウス開放を忘れると高温障害で 大きなダメージを受け、最悪枯死してしまいま せん定前 すので、無理せず開放管理にしましょう。 ■ せん定(12月) 主枝先端部は1年目と同じく、充実した部分 2芽 まで切り返します。そのほかの誘引されていた 枝は図のように2芽を残して切り返します。目 標とする長さまで主枝が到達したら、すべての 枝がこのようなせん定方法となります。 (「樹形 図17 芽傷処理方法と芽傷ハサミ 11 完成後の管理」P16を参照) せん定後 図19 2年目冬のせん定 12 3 アーチ栽培の実際 樹形完成後の管理(植栽3年目以降) 開花直前~開花初期に花穂 樹形完成時の収量構成要素 樹形が完成すると毎年ほぼ同じ管理で樹形を維持していくこととなります。以下に 間口が5.4m(3間)のハウスにおける1樹の管理目標値を示しますので参考にしてく ださい。これよりも着房や着粒が過多になると糖度の低下や、ピオーネ等では着色が 劣ってきますので、注意が必要です。 5.4 m 新梢数 49 本 収穫 房数 41 着房 新梢率 房 83.6 % 整形を行います。1新梢に2花 穂ありますが、奇形などの問 題がなければ基部の花穂を整 整形後 形し、2番目の花穂は除去し ます。花穂整形は開花数を制 限し、収穫時の房型を決定す ▍成木における収量構成要素(シャインマスカット) 棚上 主枝長 花穂整形(6月) 1樹あたり 収量 29 平均 果房重 kg 715.4 平均 着粒数 g 37.6 粒 平均 果粒重 19.0 糖度 g 18.7 る重要な作業です。ピオーネ 酸度 % 0.17 % 残して残りは切除します。花 穂整形器を利用すると省力的 初めて整形すると、かなり短く 感じますが十分な着粒がありま すので大丈夫です。 図21 花穂の整形方法(ピオーネ) 水稲育苗終了後に1回目の新梢管理を行い ジベレリン処理 ます。発芽した新梢は1芽座に1本に整理し、 棚線に誘引します。新梢の選択は、樹勢不足 ジベレリン処理は着粒確保と無種子化、果粒肥大を目的に実施します。水稲育苗ハ や着穂不良でない限りは出来るだけ基部に近 ウスを利用した栽培では必須の重要作業です。処理方法は各品種に対応した濃度と時 いものを選びます。新梢間隔は片側20cm程 棚線に誘引した 後、摘芯します。 度が目安です。3間のハウスであれば棚上の 主枝長は5.4mですので片側25本程度の枝を 期で行います。1回目の処理は、満開期を見誤り開花始め頃に処理すると花穂の先端が わん曲したり、小粒果が着粒しやすくなります。十分に開花してから処理するのがポ イントです。湿度が低く処理後すぐに乾燥してしまうとジベレリンの効果が不安定と 配置できます。新梢の誘引作業は伸びた新梢 なりますので、乾燥している場合はほ場内に散水をして湿度を高めてから処理します。 が棚線に到達する都度行い、3本目の棚線(隣 摘心すると副梢が発生します。副梢は葉1 房先以外は全て切除します。 に作業が行えます。 (P17) 新梢管理(5月) の樹との中間)に到達した後は、摘心します。 3.5cm の場合、花穂先端部3.5cmを 図20 誘引後、摘芯 ~ 2枚を残して切除します。副梢を放任しておくと日陰を作り、果実の着色不良や肥 大不足となる場合がありますので適宜管理します(省力摘心方法はP19を参照)。 開花期の管理作業の省力化に関連して… この間に 実施 高級ぶどう「ルビーロマン」では、果実への花カスの付着が原因 でさび果や裂果が発生します。花冠取り器は、花カスを短時間 できれいに取り除くことができ、便利な道具です。また、ジベ レリン処理の時期と濃度を工夫して2回から1回に減らすこと により、さらに省力化が図られ、果実品質も向上します。 開花期の管理作業削減率 47% 13 満開時 花冠取り器 満開3日目 図22 1回目ジベレリン処理のタイミング 14 3 アーチ栽培の実際 摘粒作業 せん定(11 ~ 12月) 花穂整形と同じく房型を決める作業にな せん定は雪の降る前の11月中旬から12月にかけて行います。遅くなると雪害の危険 ります。最初の摘粒(予備摘粒)はジベレリ 性がありますので注意が必要です。あまり遅くなると樹液が流れ始め、樹体への影響 ン1回目処理と2回目処理の間に行います。 が大きくなりますので3月上旬までには終えるようにしましょう。 果房上部と先端部を中心に摘粒しますが、 短梢せん定では2芽を残したせん定になります。短梢せん定では発芽する部分がだ 同時に小粒果、変形果、内向きの果粒など んだん主枝から離れていきますので、出来るだけ主枝に近い枝を選びます。写真では を除去しておくと、後の摘粒作業が楽にな 横方向に伸びた枝の方が基部に近いので上方向の枝は切除します。残った横方向の枝 ります。 は3芽目の節で切ります。残す芽より1芽先の芽の基部付近で切ることにより枯れ込み この後は果粒が肥大し始めた頃から2 ~ 図23 予備摘粒の前後(ピオーネ) 防止になります。 3回に分けて行います。混み合っている部分の果粒を除き、1房30 ~ 35粒程度を目標 に摘粒します。摘粒する果粒は内向きのものや房から飛び出しているような果粒です。 房の内側に入り込む果粒を外側に出したり、果梗が交差している果粒を並び替えて、 果実表面の凹凸がなくなるように果粒を並べ替えると、間引く果粒がよくわかります。 摘粒するときは、果梗をなるべく残さないようにきれいに切り落とします。果梗が残っ ていると、果粒が肥大したときに残った果梗に当たり、裂果の原因となります。 切除 1芽 2芽 3芽 2芽せん定 図25 短梢せん定 図24 摘粒の前後と収穫時の果房(ピオーネ) 収穫(8 〜 10月) 収穫は果実の着色や糖度、酸の抜け具合を目安に行います。ピオーネであれば十分 に着色したものから収穫し、収穫初期には必ず食味を確認しましょう。収穫上の留意 点としては、収穫作業は果実温の低い午前中に済ませ、選別調整や箱詰めをします。ぶ どうは果粉(果粒表面の白い粉)がとれると商品価値が落ちますので、直接手が触れな いように穂軸を持って扱います。収穫した果房は裂果や障害果を除き、出荷用のセロ ハン袋に入れ箱詰めします。無核栽培では果粒が脱粒し易くなりますので、特に丁寧 に扱う必要があります。 15 図26 短梢せん定後の樹体 16 4 省力・高品質化のための新技術 (研究成果紹介) 花穂整形作業の省力化 (国開)農研機構果樹研究所/富山県農林水産総合技術センター園芸研究所果樹研究センター 「花穂整形器」の利用により 花穂整形を簡単な操作で 短時間に済ませることができます。 研究の成果 背景、目的 の場合、片手で房尻を軽く持ち、下から上に向けて、不要な ▪「シャインマスカット」 ▪ ぶどうの種なし栽培では、 「花穂整形」は必須作業で 花らい(支梗)や副穂を切除する。 す。作業適期が開花始めに限られるうえに多数の花穂 (ハサミや手摘み)に比較して、作業時間が大幅に削減できる。 ▪慣行法 ▪ に実施する必要があり、手間がかかる問題があります。 そこで、簡単な操作で花穂整形できる「花穂整形器」に ▍花穂整形時間の比較 よる省力効果を検討しました。 品 種 方法 開花始めの花穂を用いて、房尻(約3.5cm)以外の 花らい(支梗)を取り除きました。 「花穂整形器」 (サボ シャインマスカット 慣行(ハサミ) 藤 稔 テン社製、B-7、刃径:7mm)と慣行のハサミで花穂整 処理区 花穂整形の作業時間 (秒/花穂) (ハサミとの比) 花穂整形器 ハサミ 9.2(43) 21.4(100) 花穂整形器 14.0(66) ハサミ 21.0(100) 形した試験区を設け、1花穂当たりの作業時間を比較 しました。 片手で房尻を軽く持ち、穂軸に切り刃を挟む。 処理前 処理後 慣行(手摘み) ジベレリン処理 用の目印のため 残した支梗 3.5cm 下から上に向けて、小刻みに支梗を切除する。 花穂整形器 17 副穂があれば、切除する。 ▍花穂整形器の使用方法 18 省力・高品質化のための新技術(研究成果紹介) 4 摘心処理で新梢管理の省力化 新潟県農業総合研究所園芸研究センター 背景、目的 「シャインマスカット」のアーチ栽培では樹齢の経過に伴い、新梢が強勢化し、新梢 管理作業の労力負担が大きくなります。そこで、新梢摘心の程度が副梢の発生に及ぼ す影響を明らかにし、省力的な摘心方法を検討しました。 「シャインマスカット」では、 房先3節を残す摘心方法により、 副梢の発生本数が減少し、 新梢管理作業の大幅な省力化が可能です。 研究の成果 方法 開花始期から2回目のジベレリン処理を実施する時期に房先3節を残して摘心処理 房先3節の摘心 ➡ 発生する副梢は長くなる し、慣行の新梢先端摘心と比較しました。その後に発生した副梢は、月1回程度それぞ れ2葉残して切除しました。 しかし 発生本数 ➡ 少なくなる 摘心前(管理前) 3節摘心(管理後) 時期別副梢発生本数の比較 3節摘心区は新梢管理作業時間が 58.3分/樹 ➡ 34.4分/樹 40%の削減 果実品質への影響 第1果房の房先3節の摘心 19 2カ年の調査 ➡ 特にみられない 新梢管理作業時間の比較 房先3節の 摘心 新梢管理の 省力化 20 4 省力・高品質化のための新技術(研究成果紹介) ハウス内の温度を効率的に下げるには? 「天窓」の設置は ハウス内の温度を下げる効果が高く、 日焼けや着色不良などの高温障害の 抑制効果が期待できます。 石川県農林総合研究センター農業試験場砂丘地農業研究センター 背景、目的 一般に、単棟である水稲育苗ハウスは側窓の開閉によって内部の温度調節を行う構 造となっています。このため、ぶどうの栽培では棚面が側窓よりも高い位置となるた め高温となりやすく、葉や果実に障害が発生します。そこで、棚面の温度を効率的に下 研究の成果 げることができる換気窓の設置位置について検討しました。 への換気窓の設置は、 「棚面」 「妻面」に比べて、ハウス内の温度低下量が大き ▪「天井」 ▪ 方法 く、かつ温度ムラが小さいことから、無風に近い状態でも換気効率の高いことが明 側窓を全開にした水稲育苗ハウスを用いて、換気窓をそれぞれ「天井」 「棚面」 「妻面」 に設置する3区を設け、夏期の快晴時における温度の変化を比較しました。 らかになりました。 への換気窓の設置費用は2万円程度※と安価で、自家施工が可能です。 ▪「天井」 ▪ ※ハウス奥行34mの場合 ▍水稲育苗ハウス(間口6m、奥行き34m、棟高3.1m) ▍換気窓の位置が換気開始後のハウス内温度に及ぼす影響(風速0.7 〜 0.8m/s) 天 井 棚 面 幅1.0×長32.0m 1箇所 32m 幅0.5×長32.0m 2箇所 32m2 2 妻 面 縦0.9×横0.9m 2箇所 1.62m2 21 ▍天窓の設置 22 4 省力・高品質化のための新技術(研究成果紹介) 環状はく皮で着色向上 新潟県農業総合研究所園芸研究センター 背景、目的 ぶどうアーチ栽培は育苗ハウスを利用するのが特徴ですが、夏場に高温となりやす アーチ栽培において、環状はく皮処理は 果実の着色向上に有効です。 い育苗ハウスでは、ぶどうの着色不良を引き起こしやすいため、積極的に着色向上対 策を図る必要があります。そこで、着色向上に効果的な環状はく皮についてアーチ栽 培での効果を実証しました。 研究の成果 環状はく皮処理により果実の着色が 方法 向上したピオーネ 環状はく皮とは、維管束を含む表皮を木質部のみを残して切除することにより、一 上段 : 環状はく皮処理樹から収穫 下段 : 同一ハウスの無処理樹から収穫 時的に樹液の流動を遮断する処理のことです。 「ピオーネ」を供試し、環状はく皮の有 無による着色の違いを比較しました。 ▍アーチ栽培樹における 環状はく皮処理による着色向上効果 幅は5 ~ 10mm。接ぎ木用 はく皮位置 主幹の棚面より下の位 置に処理。 切除部分は左の写真のようにカルスが発達 の小刀などを使ってはく皮 し、落葉期までには癒合します。 します。 環状はく皮処理を連年で実施する場合は、癒 合不良とならないよう切除部分を上下に移動 ポイント! して実施します。 ひと工夫! 切除部分はできるだけ 先に切除予定部分にビ 表皮のゴミなどが残ら ニールテープを巻き、 ないようにきれいにし 注意 満開30 ~ 35日後、主 テープに沿って小刀を て、ビニールテープを 翌年への影響はほとんどありませんが、 幹の表皮を一周切除し 入れるときれいに切れ 巻きます。テープは2 樹勢低下や癒合不良が認められる場合は、 ます。 ます。 週間後に取り除きます。 はく皮時期 23 ビニールテープ等で保護 処理2年目秋の状況 (上段1年目、下段2年目) 連年処理は控えましょう。 24 4 省力・高品質化のための新技術(研究成果紹介) コンテナを利用した根域制限栽培 富山県農林水産総合技術センター園芸研究所果樹研究センター 背景、目的 水稲育苗ハウスの設置場所によっては、排水不良・コンクリート舗装・シート設置等 ぶどうの地植え栽培ができない場合があります。 そこで、コンテナにぶどう樹を植え付けて栽培する方法を開発しました。 ■ 早期成園化可能 !! コンテナ土壌容量を60リットルとすることで、植栽1年目で樹形確立、2年目から収 コンテナ栽培ぶどうの特徴 穫、4年目で成園化可能です。 ■ 慣行栽培より収穫が早い !! 慣行の露地地植え栽培より収穫期が6 ~ 14日早くなります。 現在、直売で人気のある品種は、8月中旬の旧盆需要期に収穫可能な「藤稔」 (ふじみ のり)です。 ▍短梢栽培ぶどう「藤稔」の生育および果実品質(2009 〜 2012年の平均値) 収穫期 始期z 盛期y 果房重 (g) 5/29 8/13 8/18 385 13.4 18.5 11.0 6/12 8/26 8/29 252 9.1 18.8 9.9 栽培様式 発芽日 開花盛期 ハウス・コンテナ 4/13 露地・地植え 4/21 z 適熟果を初めて収穫した日 y 累積で50%以上収穫した日 x カラーチャートによる評価値 コンテナを利用した栽培により、 地植え栽培が不適な場所でも 高品質なぶどうが安定して生産できます。 1粒重 糖度 果皮色x (g) (Brix %) (指数) 大粒で8月中旬から 収穫できる 房は大きく、収穫は「藤稔」 に続く8月下旬 【植栽時の留意点】 土壌容量60リットルのコンテナを用いる。 透水性が良く、遮根性の不織布シートを ボックス内に敷く。 用土は水田土:赤玉土:完熟バーク堆肥= 1:1:1(容積比)とし、ようりん30gを混 和する。 水田土は極端な粘質土壌は避け、水はけ の良い用土を用いる。 1コンテナにぶどう苗を1本植栽する。 急激な乾燥を防ぐため、稲わら等で用土 表面をマルチする。 ■ こまめな水管理・施肥管理が大切!! 【かん水の留意点】 こまめなかん水と追肥を行い、健 植栽1年目は用土の土壌pFが2.2となるようにこまめ 全な樹体生育・高品質な果実・安定し にかん水する。 た収量を確保します。特に水不足は、 房は小さいが、8月 初旬に収穫できる ▍植栽1年目の樹体生育 (4月(左下)と7月「藤稔」) 植栽2年目以降の土壌pFは、4 ~ 5月2.2、6 ~ 7月 中旬1.8、7月下旬~ 8月上旬2.2、8月中旬以降2.1と 即、樹勢衰弱・減収につながるので注 なるようにこまめにかん水する。 意しましょう。 落葉後は用土が乾かない程度にかん水する。 ▍1コンテナあたりの施肥の目安(施用する窒素成分量 g/回) 栽培様式 「藤稔」 「ピオーネ」 「サニールージュ」 コンテナ栽培に適した品種 25 4 上中下 5 上 中 6 下 上 中 7 下 上 1年目 追肥① 追肥② 追肥③ 1g 1g 1g 追肥④ 追肥⑤ 追肥⑥ 1g 1g 1g 2年目 追肥① 追肥② 追肥③ 1g 1g 2g 追肥④ 追肥⑤ 追肥⑥ 3g 3g 3g 3年目以降 基肥 10g 追肥① 追肥② 2g 2g 追肥③ 追肥④ 4g 4g 中 8 下 9 10 上中下 上中下 上中下 11 上中下 苦土石灰20g (土壌改良) 追肥⑤ 追肥⑥ 追肥⑦ 4g 4g 4g 礼肥10g (収穫後) 苦土石灰20g (土壌改良) ※ 注意事項 追肥には速効性肥料を使用します。なお、上記の表はあくまで目安であり、樹勢・環境条件等に応じて、適宜、加減 してください。 26 4 省力・高品質化のための新技術(研究成果紹介) シャインマスカット用果実カラーチャート 新潟大学農業情報工学研究室 背景、目的 果実の色は、栽培過程での成熟度、収穫期での適期などの判定指標として用いられ ますが、その判定には客観性の欠如、判定者による誤差などの問題があります。色変化 の数理モデルに基づくカラーチャートは、色スケール(色の物差し)として、果色を数 値として表現でき、成熟の進み具合、収穫適期などの判定ツールとして利用すること ができます。 栽培管理から 収穫適期判定・品質評価までの 生産過程を通して利用できる 果実カラーチャート 研究の成果 ▪色変化の数理モデルに基づく果実カラーチャートを開発しました。 ▪ ▪カラーマッチング技法を用いたカラーチャートは果色の色表現に優れていることが ▪ 方法 比較試験で明らかとなりました。 試料は、長野県、富山県、新潟県で露地、ハウスなどで栽培されたシャインマスカッ トを用い、2012年度と2014年度で計3686果粒の果色計測を行いました。その結果を 色空間解析して、果色変化モデルを構築しました。その後、カラーマッチング技法を用 いて、果実カラーチャートを作成しました。また、作成したカラーチャートと既存のも のとの適合性比較試験を行ないました。 構築した果色変化モデル : ▪本カラーチャートは数理モデル ▪ に基づいているため、チャート の数と間隔が自由に設定でき、 利用目的や利用場面に合わせた カスタマイズが行えます。 r +54.4 g b +83.6 = = 0.693 0.531 0.488 ▍本カラーチャートと既存のものとの適合性比較試験 ▍2012年度と2014年度の果粒のRGB色空間分布 それら果色はRGB色空間で一つの直線上に分布しま ▪産地や作型が異なる果実でも、 ▪ した。つまり、産地や作型が異なっても果色の変化はほぼ同じことが明らかになり ました。 ▍本カラーチャートとその応用例(チャート数を変更) 27 28 5 水稲+ぶどうのアーチ栽培 ぶどう作業 水稲作業 摘心 2回目ジベレリン処理時に新梢先端を摘心。 主なぶどうの栽培作業説明 7 月 月 除草 摘粒、袋かけ 1果房30 ~ 35粒を目安に摘粒。房型を考慮してバランスよく。摘粒後 すぐに袋かけを実施。 副梢管理 防除 芽傷処理 ⑪ せん定 ⑯ 摘心後に副梢が多く発生してくるため、随時切除する。切除するとき は副梢の葉を1 ~ 2枚残して切除する。 水管理・草刈り 植栽後3芽に切り詰める。切り口には保護材を必ず塗布 する。 (1年目) 主枝が棚上まで伸長する。枝が茶色く木化していること を確認して全長2m程度のところで切り返す。 (2年目) 先端部以外は短梢せん定となる。先端はハウス中間部ま で主枝を延長し、切り返す。 (3年目以降) 全ての枝が短梢せん定となる。結果枝が不足した場合は 返し枝を利用する。 副梢管理 ⑬ せん定 (植栽時) 1 小粒果、変形果、内向きの果粒などを除去。 水管理・草刈り ※ 丸数字は参照するページを表しています。 主なぶどうの栽培作業説明 予備摘粒 防除 栽培ごよみ 摘房、摘粒、袋かけ⑮ 月 6 水稲作業 GA処理 2回目 ⑭ 摘粒 摘心 ⑮ ⑬ 年間の主な作業 ぶどう作業 月 8 副梢の葉を1 〜 2枚 残して切除 月 2 20cm 副芽 副芽を中心に欠くが、出来るだけ基部に近い芽を 残す。 月 土壌改良 10 は種 芽かき 1新梢1花穂に整理してから整形 する。房先3.5cm利用。 ※品種や栽培地域により異なり ます。 施肥 基肥 花穂整形 果実の着色状況と食味を確認 して収穫する。 (基肥)11月に配合肥料でチッソ成分100g/樹 程度を施用する。 せん定 12 月 水管理・草刈り GA処理 1回目⑭ 花穂整形⑭ 田植え 育苗箱搬出後棚線に誘引する。不 要な新梢は欠いて整理する。 せん定 ⑯ 11 月 育苗 誘引 新梢管理 新梢誘引⑫ 月 5 耕起・代掻き 月 4 可能であれば新梢葉数4 ~ 5枚頃、極端に樹勢の弱いものや強いものを 欠き、生育を揃える。 主枝に対して直角に なるように誘引する 収穫、調整 副芽 芽かき 乾燥・調整・出荷 芽かき 先端 稲刈り 主芽 芽かき ⑫ 月 3 除草 収穫・調整・販売 ⑮ 月 9 整形後 雪害の心配がある場合は、4節程度で粗 せん定する。 切除 1芽 2芽 3.5cm 3芽 2芽せん定 病害虫防除はP31 〜 32を参考に発生が見られる場合は適宜追加します。 29 30 5 水稲+ぶどうのアーチ栽培 年間の主な作業 主要病害虫 ぶどう栽培において発生する主な病害虫はいくつかありますが、これらの病害虫の 防除は各県の防除指針に従います。ぶどうはハウス内で栽培することにより病害の発 生を耕種的に防除できるメリットがあります。そのため本栽培法では大幅に薬剤散布 を省くことが可能です。主な病害虫としては、下記のものがあります。 灰色かび病 開花前のハウス内が過湿になると花穂で発病し大き な被害となります。花蕾が枯死し被害が進むと花穂全 体が枯れて脱落します。次々と二次伝染を引き起こす ことから、発病花穂や葉、果粒は早めに取り除くとと もに、ハウス内の換気を十分にしましょう。 晩腐病 幼果の果面に付着した胞子は小黒点をつくる場合と、 果実の成熟期までそのまま潜伏する場合があります。 病徴は、成熟間近の減酸期になってからオレンジ色の 病斑を形成します。房作り終了後直ちに袋かけ、笠か けを行います。薬剤の重点使用時期は発芽前の散布(3 月下旬)と生育期の散布(6月中~下旬)です。 うどんこ病 気温が10℃以上になると発生が見られ、15 ~ 25℃ で湿度が32 ~ 83%の条件で最もよく発生します。 アーチ栽培では5月中旬~ 6月下旬頃と収穫前の9月 下旬から果粒や果軸、葉に病徴が見られます。病徴は 葉や果実の表面、果軸に白い粉 が盛り上がった丸い斑点が発生 します。果実が発病すると商品 価値が下がるので被害は大きく なります。 ブドウスカシバ 年1回発生し、幼虫で結果母枝中や2 ~ 3年枝の粗 皮下で越冬します。越冬した幼虫は萌芽期頃から活発 に摂食し、5月頃に加害部より先の新梢が急に萎ちょ う枯死します。アーチ栽培の場合、短梢せん定のため 問題となることは少ないですが、主枝を伸長している 植え付け3年目位までは主枝が加害されると樹形の完 成が遅れるので注意が必要です。 スズメガ類 栽培期間中にしばしば発生が見られ、葉が食害され ます。特に終齢幼虫は大型になり食欲が旺盛で、食害 の被害が大きくなります。大きくなると殺虫剤の効果 も低く農薬による防除は困難です。しかし、大型であ ることと地面に虫糞が多く散乱するため容易に発見で き、簡単に捕殺することが出来ますので、ほ場をよく 観察し早期発見により被害を最小限に食い止めます。 スリップス類(チャノキイロアザミウマ) 芽の中や粗皮下、幹の割れ目などで越冬し、年に6~7回発生します。成虫の発生 は、新梢の伸び出す頃から認められ、8月になると急増します。被害は穂軸、果梗、果 粒、新梢の茎葉にみられ、穂軸、果梗は初め油浸状になり、その後コルク化してもろく なります。薬剤散布は開花期~幼果期に重点をおき、早めに袋かけを実施することに より果実への被害を防ぎます。 フタテンヒメヨコバイ 成虫は3 ~ 4mmで頭頂部に鮮や かな黒点が二つあります。新葉を吸 汁加害するため被害葉は白化して落 葉しやすくなります。成虫や幼虫の 密度が高くなる8 ~ 9月に被害が多 くなります。重点防除時期は幼虫が 発生する5月下旬~ 6月上旬、7月中 旬~ 8月上旬です。 31 32 6 大規模稲作経営における ぶどう導入経営モデル 高まっている果樹の重要性 北陸4県の農業産出額をみると、米が過半を占めてきたことがわかります。しかし、 近年の需要減少と価格の低迷により米の産出額は急速に減少しています。一方で、園 芸品目や畜産の生産額は維持または増加傾向にあり、相対的に果樹の重要性は高いも のになってきています。 大規模稲作経営体が所有する 育苗ハウスを活用したぶどう栽培は、 農業所得を増大させることが 期待できます。 大規模稲作+果樹の経営モデル 北陸における大規模稲作経営は、稲単作または、稲+大豆(+えだまめ)の経営が中 ▍北陸4県における農業産出額の推移 単位:億円 2000年に対する 2010年の比率(%) 心です。労働時間のモデルでは、稲と大豆の生産だけでは農繁期、農閑期の労働時間の 差が大きくなります。稲作の農繁期は5月の田植え時期と8月下旬から9月にかけての 2000年 2005年 2010年 3,387 3,157 2,357 69.6 野菜 549 503 617 112.4 けては、直接農作業に関わらない労働時間が必要となる場合もあります。他の時期は 果実 151 135 155 102.6 比較的労働時間にゆとりがあります。 畜産 731 793 702 96.0 その他 399 333 268 67.2 5,217 4,921 4,099 78.6 米 農業産出額 出典)生産農業所得統計より集計 稲刈り時期です。また除雪に関わる労働に多くが費やされるので、12月から2月にか 大規模経営では年間雇用を行っているケースが多いので、農閑期の労働力を活用し、 果樹、野菜などの園芸作物を栽培することで所得の向上を図ることが可能です。 そこで、ぶどうを導入することにより比較的労働時間にゆとりのある時期を利用し て所得の向上が期待できる経営モデルが考えられます。ぶどう栽培は、稲作経営で最 も労働需要の大きい5月上旬、中旬にも防除、新梢管理等の作業がいくらかは必要なこ 育苗ハウスを複合化・経営発展のツールに 北陸における果樹作の担い手は、果樹単作の経営体だけではなく稲作との複合経営 体も大きな比重を占めています。施設、露地ともに果樹単作の経営体と同程度の面積 が稲作と果樹の複合経営体で栽培されており、稲作経営体も重要な担い手になってい ることがわかります。 しかしながら、水稲20ha以上の大規模稲作経営体で見ると、果樹を導入している経 営体はほんの数%に過ぎません。大規模稲作経営体に備わっている育苗ハウスは、そ の多くが育苗期間以外は遊休状態となっています。それらのハウスを利用した果樹栽 培は、少ない導入コストで露地栽培に比べて高品質な果実を生産できるため、米価低 迷による所得の低下を補い経営の発展に資することが期待できます。 とから、ここだけ見ると導入は困難に思われます。しかし、この時期は大規模稲作経営 では臨時雇用を行うのが通常です。摘粒、袋掛け、収穫などの作業に比べると労働時間 はだいぶ少なく対応も困難ではありません。モデルに示した水稲35ha、えだまめ2ha、 大豆5haの経営の場合、この時期に3人の臨時雇用を行うことで計算上はぶどう1ha分 の労働時間を確保することが可能です。ぶどう20aを加えた場合の労働時間の分布を 図に示します。ぶどう20a程度では、まだ労働時間にはゆとりのある経営が可能です。 図では、稲作35ha、大豆5ha、えだまめ2ha、ぶどう20aの年間の必要労働時間を 10日(旬)単位で示しました。図の中程の横線は家族労働3人、年間雇用6人の計9人の 労働時間10日間で720時間を示した線です。棒グラフがこの線より上に出ると労働力 が不足していることを示します。 ▍北陸4県における営農類型別果樹栽培面積 営農類型 経営体数 果樹類単作 1,596 68 1,206 稲作と果樹の複合経営 3,315 45 1,562 稲以外と果樹の複合経営 1,018 21 435 122,977 2 107 その他(稲単作など) 施設果樹栽培面積(ha) 露地果樹栽培面積(ha) 出典)2010年農林業センサスより独自集計 33 34 6 大規模稲作経営におけるぶどう導入経営モデル 経営の指標 所得増大効果 ここで、ぶどう導入による所得増大効果を試算します。現在、高単価で販売されてい るシャインマスカット(1kg当たり1400円程度)20aを導入したケースを想定して試 算を行うと約8%の所得増加が期待できます。また、ぶどうの単価が低くなった場合は 所得増大効果は小さくなりますが、余剰労働を利用しての栽培であるため、他に条件 のよい作物がなければ農業経営全体としてはメリットが大きいと評価できます。 《モデル》 ハウス1a(幅5.4m(3間)、長さ18m(10間)) 植栽本数6本(シャインマスカット) 初期導入コスト ▍導入にかかる費用(aあたり) ▍水稲35ha+大豆5ha+えだまめ2ha+ぶどう20aの必要労働時間 項目 苗木 棚用パイプ資材 金額(円) 24,000 9,750 摘要 シャインマスカット @4,000×6 25mmパイプ、ジョイント、ビス等 棚線 30,000 堆肥 1,000 牛糞もみ殻堆肥 肥料 2,000 果樹基肥専用配合肥料、石灰質資材、リン酸肥料 開園費合計 #14、50kg 66,750 ・既存の育苗ハウスを利用する。 経営収支 ■ 販売見込みと経費(7年生 成園時) ▍開園7年目における収支(シャインマスカット 6本/a 植栽) ▍大規模稲作経営にシャインマスカット20aを加えた農業所得の試算 米 10a当たり 所得(万円) 7.7 労働時間 (時間) 5,086 所得(賃金) 1時間当たり 1人当たり年間 計(万円) 所得(円) 所得(万円) 2,695 5,299 摘 要 収 益① 200,340 販売単価 1,400円/kg(全て直売) 収量 150.7kg/a(うち販売量 143.1kg/a) 生産原価② 31,902 肥 料 費 2,940 果樹専用基肥肥料:2,940円 農 薬 費 5,362 農薬費:1,462円 植物調節剤費:3,900円 大豆 5 6.1 240 305 12,708 えだまめ 2 13.4 1,280 268 2,094 0.2 134.8 498 270 5,414 果実袋 @ 4円×400 1,600円 −406 −41 1,000 果実笠 @ 7円×400 2,800円 なし 6,200 3,227 5,206 359 あり 6,698 3,497 5,221 389 ぶどう 臨時雇用分(支払賃金) シャイン 農業所得・労働時間 (作物ごとの合計−臨時雇用) マスカット 注1) 大豆の所得は単収228kgの高単収を想定して試算された平成21年度の農水省の試算結果(助成金を含む) としました。1時間あたりの所得が高いのは助成金を含むためです。他は新潟県作成の経営指標を基に計 算しました。 注2) シャインマスカットの所得については、3年目から8年収穫するとしてP36下表の利益の0.8倍とました。 注3) 所得・労働時間は家族労働と通年雇用の合計9人分として計算しました。 35 金額(円/a) 内 訳 作 目 作付面積 (ha) 35 項 目 資 材 費 利益①-② 23,600 出荷箱 @96円×200 19,200円 168,438 ※利益計算に労賃等は含まれていない 1樹当たり45房程度。 ▪収穫房数は、 ▪ 農薬代、果実袋費用、出荷包装資材代程度と少ない。 ▪経費は、 ▪ 36 7 現地栽培事例 「シャインマスカット」のアーチ栽培 (新潟県) コンテナ栽培ぶどうの事例(富山県) 富山県では、 「水稲育苗ハウスを利用したコンテナ栽培ぶどう」が普及し始めてい ます。 ここでは、先進的に取り組み始めた経営体の一事例を紹介します。 新潟県では、 「シャインマスカット」でのアーチ栽培導入事例が増えています。着色 経営規模 :面積64.5ha、従事者5名+繁忙期に臨時雇用 不良の心配がなく作りやすいことに加え、皮ごと食べられる種無しぶどうとして直売 生産品目 :水稲46.0ha、大豆17.3ha、そば1.4ha、白ねぎ1.2ha、ハウス 所ではとても人気があります。 ぶどう0.1ha、その他ラズベリー、ブルーベリー等 新潟県上越市での取り組み事例 この農場は水稲35ha、大豆5ha、枝豆2haのほかに施設トマトなどを組み合わせた 生産法人です。水稲育苗ハウスの有効利用を考えていたところ、ぶどうのアーチ栽培 に興味を持ち導入することとなりました。 植付け1年目 冬 植付け2年目 春 芽傷処理の様子 コンテナ栽培ぶどう(4月) S社製花穂整形器(右下)を利用した花穂整形作業 新品種の苗木も集中養成 コンテナ栽培ぶどう果房 「藤稔」 (左)と「安芸クイーン」 植付け3年目 春 収穫された果実 植付け3年目 夏 植付け5年目 夏 植付け7年目 夏 【生産者の言葉】 棚全面に枝が広がる植付け3年目から収穫量が増加して、直売 所での販売を始めました。近くに大きなぶどう産地がないことか ら、 「シャインマスカット」は直売所でとても人気のある商品です。 今では毎年ぶどうを買いに来るお客さんもいて、直売所の目玉商 品になってます。ぶどう栽培を始めたことで直売所の商品に幅が 広がり、販売額だけでは評価できないプラスの効果がありました。 37 【生産者の言葉】 ぶどうがあることで、会社の名前がPRでき、他の品目や経営にも良い 効果になっている。 新品種もどんどん取り入れて、ぶどうの販売量を増やしていきたい。 38 7 現地栽培事例 石川県オリジナルぶどう 「ルビーロマン」 (石川県) 石川県では、水稲との複合経営として、県オリジナル品種のぶどう「ルビーロマン」 の生産に取り組んでいる方がいます。 石川県かほく市での取り組み事例 この農場では、水稲34ha、大麦5.5ha、そば 1.5ha、だいこん0.6ha、ぶどう0.6haの規模で 生産に取り組んでいます。 春先は田植えとぶどうの開花期の管理作業 が重なり、労力競合が起こっていました。そこ で、ぶどうの開花期の管理作業の省力化として、 たわわに実った「ルビーロマン」 「花冠取り器」や「ジベレリン1回処理」といった 技術を積極的に取り入れています。 「花冠取り器」や「ジベレリン1回処理」を採 本資料は、農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支 援センターが実施する「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術 緊急展開事業(うち産学の英知を結集した革新的な技術体系の確立)」 により実施した研究成果にもとづき編集しています。 用することで、春先の労力競合を軽減すること ができました。ぶどうの作業時間を削減できる ことから、収益性の高いぶどうの面積をさらに 拡大することも可能です。 「花冠取り器」で花かす落とし 研究課題名 革新的技術導入による水稲育苗ハウスを利用した 省力低コスト果樹栽培の実証研究 実施年度 平成26年度~ 27年度 【本資料の取扱いについて】 複写・転載または引用に当たっては、必ず編集元の承諾を得てください。 発行 平成28年2月25日 編集・発行 水稲育苗ハウスを利用した果樹栽培研究コンソーシアム 「ジベレリン1回処理」で省力化 【生産者の感想】 春先は田植えとぶどうの作業が重なるので大変だったが、この技術のおかげ でぶどうにかける作業時間が減り、余裕が出たのを実感している。 余裕が出た分、ぶどうの栽培をもっと増やしてもいいと思う。 39 (新潟県農業総合研究所、富山県農林水産総合技術センター園芸研 究所果樹研究センター、石川県農林総合研究センター、国立研究 開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所、新潟大学) 【問い合わせ先】 新潟県農業総合研究所園芸研究センター育種栽培科 新潟県北蒲原郡聖籠町真野177 TEL 0254-27-5555
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