品種に勝る技術無し 〜経営を助けるアイテムとして注目されているこれからの品種〜 米と言えば「コシヒカリ」、ぶどうと言えば「巨峰」、なしと言えば「幸水」、消費者がその作物をイメー ジする代表品種です。逆に言えば、代表品種しか知らない人も多くなっているようです。 また、くりやももでは品種名があまり知られていないようです。 ここでは、今後伸びると予想される新品種、直売や加工など需要拡大を狙 える品種を紹介します。 1 ぶどう 「シャインマスカット」 果粒が着色せず、緑色の大粒品種です。糖度が高く、マスカットの香りが するので上品な味わいです。果皮と果肉の離れが悪いのですが、果皮が薄い ため、種なしにして皮ごとパリパリと食べることができます。ようやく市場 に出回り始めた状況ですので、非常に高い価格で販売されています。 シャインマスカット 「クイーンニーナ」 果皮が赤くなる大粒品種です。赤系品種は裂果が発生しやすかったり、き れいに赤くならなかったりする等問題のある品種が多いのですが、この品種 は品質が安定しています。 風味は巨峰に似ています。早くから糖度は高いのですが、収穫が早いと渋 みを感じます。したがって、よく熟するのを待って収穫するため、収穫期は 巨峰よりも遅くなります。 樹勢が強く着粒が良くないので、種なし処理を前提とした栽培を行ってく ださい。 クイーンニーナ 2 くり 「ぽろたん」 9 月上中旬に収穫できる早生品種です。この品種の特徴は なんと言っても、天津甘栗のように渋皮と果実が離れること です。レンジでチン、あるいはオーブンで焼き栗にすると非 常に食べやすいことから、今後新たな需要開拓が期待できま す。ただし茹でた場合は渋皮がむけませんので悪しからず。 レンジでチンした「ぽろたん」(右) 10 「美玖里」 9 月下旬に収穫できる中晩生品種です。非常にほくほくとしていて、 甘み、香りがあり、食味の優れる品種です。また、果肉の黄色もきれ いです。 果実の大きさは 20 g強で、他の品種とほぼ同程度です。 一度食べたらそのおいしさにやみつきになります。 美玖里 3 もも 「つきあかり」 8 月 10 日頃から旧盆を挟んで収穫できる品種です。黄肉品種なので、 遮光率の高い果実袋を収穫期まで被せると赤く着色せず、外観が黄色 くなり、他の品種と差別化が狙えます。 果実は 200g 程度で、糖度が高く、果肉も軟らかいため、果実品質 は良好です。 つきあかり 「ひめこなつ」 6 月下旬から収穫できる極早生品種です。果実は 90 gとかなり小さ いのですが、外観が良く、糖度も高く、食味は優れます。また、雨の 少ない時期に収穫を迎えるので、品質は安定しています。 この時期に収穫できるくだものは少なく、珍重されること請け合い です。 ひめこなつ 4 なし 「なつしずく」 お盆頃から収穫できる果面がきれいな青なしです。果実の大きさは およそ 300g で「幸水」程度、食味も「幸水」同様に優れています。 「幸水」「豊水」等赤なしが主流となっている現在では、二十世紀が 出る前の珍しい青なしとして直売所等にはもってこいです。 なつしずく(有袋栽培) 写真提供:シャインマスカット、つきあかり、なつしずく 独法農研機構果樹研究所 その他 新潟県農業総合研究所園芸研究センター (新潟県農林水産部経営普及課 専門技術指導担当(果樹) 山澤 康秀) 11
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