リウマトイド因子測定試薬「TZ テスト‘栄研’RF」の複数施設同時評価 ○鬼塚 聖子 1), 利光 昭次 2), 佐藤 恒久 3), 今里 和義 4), 藤野 達也 5),山内 恵 6), 山根 誠久 7) 1) 独立行政法人国立病院機構宮崎東病院研究検査科, 2) 社団法人大分市医師会立アルメイダ病院臨床検 査部, 3) 国家公務員共済組合連合会新別府病院臨床検査科, 4) 健康保険諫早総合病院検査部, 5) 独立行 政法人国立病院機構九州医療センター臨床検査科, 6) 琉球大学医学部附属病院検査部, 7) 同 医学部臨床 検査医学分野) 【はじめに】血清リウマトイド因子 (RF) は関節リウマチの診断に欠くことのできない検査項目であり, 現在では汎用自動分析装置を用いた担体凝集反応を比濁法で定量する検査方法が主流となっている.今 回我々は, 新規に開発され, 臨床応用が始まったリウマトイド因子測定試薬, 「TZ テスト‘栄研’RF」 を複数施設で同時に評価したので報告する. 【評価試薬と測定機器】ラテックス凝集免疫比濁法を原理とするリウマトイド因子測定試薬「TZ テスト ‘栄研’RF」 (栄研) ,比較対照法,個々の測定機器は結果と共に表に示した. 【結果と考察】基礎的評価 はオリンパス AU640 型自動分析装置で実施した.同時再現性は CV 1.02%,1.07%,希釈直線性は 0~ 500 IU/ml の濃度域で希釈率と良好な直線性を示した.プロゾーン現象は 9,500 IU/ml まで観察され なかった.検出下限値は 0.62 IU/ml, 実効感度は 1.36 IU/ml にあった.共存物質の影響は, 非抱合型 ビリルビン 20 mg/dl,抱合型ビリルビン 22 mg/dl,溶血ヘモグロビン 500 mg/dl,乳びは 1,400 ホルマジン濁度まで測定値への有意の影響を認めなかった.試薬安定性はキャリブレーション後 30 日間 安定であった.他測定試薬との相関を 5 施設, 4 測定機器にて 6 種類の試薬で検討した.比較対照法での 機器・試薬の組み合わせ 8 法との相関は, 相関係数 0.897~0.995, 直線回帰式の slope は 0.695~1.51 の 値にあった.5 施設中同じ対照試薬での測定が 3 施設あり, 相関係数は 0.935~0.965 とほぼ同じ値にあ ったが, slope が 0.695~0.913 と差が見られたのは, 測定検体の濃度分布の違いによるものと考えられた. 表には比較対照法の測定範囲内での相関を示したが, 測定値が大きく乖離する検体もみられた.また高値 検体では, 希釈操作も影響すると考えられるが, 比較対照法の測定範囲を外れると乖離幅が大きくなっ た. 【まとめ】今回検討した「TZ テスト‘栄研’RF」は, 個々の異なる施設が運用している各種の汎用自動 分析装置に応用することができ, その基礎的性能も良好であったことから, 広く日常検査に有用である と結論された. (本研究は九州免疫血清研究会の共同事業として実施した)
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