A14.6 ケプラーの法則と彼の時代 ドイツ人数学者ヨハネス・ケプラーは自然の中の規則性を求めた。彼は 16 世紀から 17 世紀初頭の人であり、この時代は占星術が真剣に取り組まれていた時代であった。また物 理学としての天文学はまだ揺籃期にあった。宗教やスピリチュアルな考え方が、自然界の 法則を明らかにする際には、観察と同じくらいに重要であった。すべての惑星が互いをさ っと追い越していくので、地球から見た場合、地球が前に向かってそれらを追い越してい く際、惑星が逆向するように見えることもある。ケプラーの時代、こういった逆向が大き な問題であった。 ケプラーの研究は、ポーランド人の天文学者ニコラス・コペルニクスが、むしろ逆で宇 宙の中心には太陽があり、地球は太陽の周りを動くという考えを提示した後のものである。 それ以前はギリシャの哲学者プトレマイオスにまでさかのぼるが、太陽や星が地球の周り を動いており、固い水晶の球体上で運ばれていると信じられていた。ケプラーはコペルニ クスの太陽を中心とする考えを採用したが、それでも惑星が周回軌道上で太陽の周りを動 いていると信じていた。 惑星という言葉はギリシャ語の「放浪者」という語に由来する。私たちの太陽系にある 他の惑星は遠く離れた星よりも地球にかなり近いところに位置するため、それらは空を突 っ切って放浪しているように見える。毎晩、惑星は恒星の間を通る道を選んで移動する。 しかし、惑星が逆向して小さな反対向きの円を描くことが時々ある。こういった逆向の動 きは悪い前兆と考えられていた。プトレマイオスの惑星の動きに関するモデルでは、こう いった動きは不可解なものであった。そこで天文学者はこの動きをまねる惑星の軌道に、 周転円、すなわち別の円を加えた。 自身の考えを支持するための惑星の軌道をモデル化しようとして、ケプラーは利用でき る最も正確なデータを利用した。それは空における惑星の動きを示した複雑な評であり、 ティコ・ブラーエによる苦心の作であった。その数字の列から、ケプラーは彼の 3 つの法 則を示唆するパターンを見出した。 ケプラーは火星の逆向を解き明かすことにより、大きな進展を得た。もし火星の軌道が 太陽の周辺での楕円であり、それまで考えられていたような円ではないのであれば、逆向 きの円に合うと考えた。第一法則で、惑星は 2 つの焦点のうち一つを太陽とする楕円軌道 を動く、とケプラーは記している。 ケプラーの第二法則は、惑星が軌道を移動する速さを示したものである。惑星がその軌 道に沿って移動する際、単位時間に描く面積は一定である。この面積は、パイの一切れの ように、太陽と惑星の 2 つの位置との間がなす角度を使って測ることができる。軌道は楕 円であるため、惑星が太陽に近づいた際、同じ面積を描くには、惑星が遠くにある時より もより長い距離を覆う必要がある。したがって、惑星は太陽から離れている時よりも近く にいるときの方がより速く移動する。ケプラーの第二法則は、速度を太陽からの距離に結 びつけたものである。 ケプラーの第三法則は更にもう一歩進み、太陽からの距離に応じて異なる大きさの楕円 に公転周期が拡大する様子を示すものである。その法則によると、公転周期の二乗が楕円 軌道の半長径の三乗に比例する。楕円軌道が大きいほど、公転周期、すなわち 1 周するの に必要な時間は遅くなる。したがって、太陽から離れた惑星ほど、近いものよりゆっくり と移動する。火星は太陽を 1 周するのにおよそ 2 年、土星は 29 年、海王星は 165 年かかる。 これらの 3 つの法則においてケプラーは、太陽系のすべての惑星の軌道を何とか説明す ることができた。彼の法則は、彗星、小惑星、そして太陽系の月から他の恒星を回る惑星 や地球の周りをすっと飛んでいる人工衛星まで、別地点の軌道上にあるあらゆるものに対 しても等しく当てはまる。ケプラーは原理を天文学的法則に統一することに成功した。し かし、彼はこれらの法則が成り立つ理由については分からなかった。万有引力の法則にこ れらの法則を統一させるにはニュートンが必要であった。 〔解答例〕 問 1. 当時は地球を中心に、その周りを太陽や惑星が回っていると考えられていたため。 問 2. Astronomers added ‘epicycles’ or extra loops to the orbit of a planet that mimicked this motion 問 3. Tycho Brahe 問 4. The planets’ orbits were elliptical around the Sun and not circular as had been thought 問 5. 扇形状の領域 ASB と CSD の面積が等しい。 問 6. 12 年
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