復興だより(VOL.13) - 東京大学社会情報研究所廣井研究室

復興だより(VOL.13)
復興だより(VOL.13)
平成10年 4月17日
総理府阪神・淡路復興対策本部事務局
< 目 次 >
1. 復興関連トピックス
1. 最近の動き
2. 復興特定事業関連
3. 復興関連行事等
2. 生活の再建
1. 仮設住宅の入退居状況
2. 復興住宅の建設状況
3. 被災市街地の整備状況
4. 特集 生活復興への取組み ― 被災者に対するケア施策 ―
3. 産業復興の現状
1. 概観
2. 特集:観光
3. 個別データ
a. 鉱工業生産
2. 神戸港
3. 小売業
4. 住宅建設
5. 公共工事
6. 雇用
4. 復興への取組み
神戸市復興支援工場 ― 地場産業・中小製造業の復興支援 ―
☆各省庁の復興関連施策の紹介☆
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復興だより(VOL.13)
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復興だより(VOL.13)
1.復興関連トピックス
(1) 最近の動き
(2) 復興特定事業関連
(3) 復興関連行事等
(1)最近の動き
a. 阪神・淡路復興対策本部事務局・神戸商工会議所連絡会議(第7回)(平成10年4
月8日)
○「当面の産業復興関連課題について」の全体テーマで、東京にて開催。オブザー
バーとして、通商産業省、運輸省、建設省及び自治省が参加。
○個別には、「震災後3年経過時点の神戸経済の調査結果等について」、「神戸港の
現状と機能強化について」、「『北野工房のまち』の取り組みについて」、「『中心
市街地活性化事業』への取り組みについて」及び「『神戸ルミナリエ』開催結果報告
について」の5つのテーマについて、神戸商工会議所から報告・説明があり、意見交
換。
2. 内閣官房長官(阪神・淡路復興対策担当大臣)の被災地視察
○平成10年4月4日(土)5日(日)、村岡兼造 内閣官房長官(阪神・淡路復興対策担当
大臣)が被災地等の視察を行った。
(2)復興特定事業関連
a. 上海・長江交易促進プロジェクト ○神戸港・長江事務所設置決定
今後著しい経済成長が見込まれる長江地域との交流を深め、貨物を神戸港
に誘致するため長江流域都市(武漢市又は南京市)に駐在員事務所を平
成10年10月頃設置予定。
○第7回経済交流特別委員会(平成10年3月26日)開催
2. 新産業構造形成プロジェクト ○神戸東部新都心地区における地域冷暖房事業開始
HAT神戸(神戸東部新都心地区)のオープンにあわせ、民活法の適用
(補助金、融資)、開銀融資による支援をうけた神戸熱供給(株)が平成
10年4月より事業開始。
3. 阪神・淡路大震災記念プロジェクト ○平成10年4月2日「北淡町震災記念公園」開
園式開催。
●
「北淡町震災記念公園」の概要
「野島震災復興記念公園(仮称)」を「北淡町震災記念公園」と正式命名。
公園には、野島断層保存館、レストラン・物産館があり供用を開始。
今後、平成11年春にメモリアルハウス、平成12年春に地震科学館が供用開
始予定。
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復興だより(VOL.13)
(野島断層保存館の内部)
保存されている野島断層
○平成10年4月「ひょうご国際プラザ」オープン
●
「ひょうご国際プラザ」の概要
兵庫県をさらに世界に開かれた地域とするため、外国人の活動や生活の支援、
国際理解の推進と県民参加の拡大、世界に向けた情報交流の推進を活動の柱と
し、国籍を超えた人々がふれあう場として、兵庫県が東部新都心の国際健康開
発センタービル(IHDビル)に設置。
(3)復興関連行事等
a. 第27回都市交通計画全国会議(建設省)
● 開催地:神戸国際会議場(予定)
● 主 催:建設省、兵庫県、神戸市
● 開催日:平成10年5月20日∼22日
● 内 容:都市交通需要への対応、良好な市街地形成、都市の適正かつ合理的な
土地利用など複雑で多様な都市交通問題に対応するため、都市交通に関する調
査・研究の発表、課題・事例報告、パネルディスカッション等を実施。
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復興だより(Vol.13)
2.生活の再建
(1) 仮設住宅の入退居状況(兵庫県)
(2) 復興住宅の建設状況
(3) 被災市街地の整備状況
(4) 特集 生活復興への取組み−被災者に対するケア施策−
(1)仮設住宅の入退居状況(兵庫県)
・入居戸数
(平成10年4月1日現在) :21,471戸
・入居戸数累計 (∼平成10年4月1日) :54,206戸
・退去戸数累計 (∼平成10年4月1日) :32,735戸[退去率60.4%]
(2)復興住宅の建設状況
a. 災害復興公営住宅等の整備状況
○ 整備状況
(平成10年3月1日現在)
( )内は進捗率
復興住宅合計
計画
125,000戸
用地確保
―
着工
完成
うち、災害復興公
営住宅等
80,500戸 38,600戸
約72,300
約38,500戸
戸
(99%)
(90%)
約69,700
約37,900戸
戸
(98%)
(87%)
約36,600
約19,600戸
戸
(51%)
(46%)
うち公的住宅
約156,000
戸
(125%)
約117,000
戸
(94%)
注1:復興住宅合計戸数は、兵庫県推計。
注2:なお、公的供給住宅(新規分)の整備状況は、計画77,000戸に対して、用地確保約69,300戸(90%)、着工
約63,800戸(83%)、完成 約26,400戸(34%)。
○被災者向け公営住宅の家賃引き下げ
(1DK,40㎡程度の住宅の場合)約3万円→最低で6千円程度に引き下げ
(実施期間5年間)
○災害復興公営住宅等の入居状況
(平成9年12月末現在)
全体数
(うち仮設より)
入居決定数(仮当選等を含む)
計
うち入居済数
30,952
16,311
(21,358)
( 9,520)
(単位 世帯)
2. 住宅金融公庫の災害復興貸付制度の利用者数(平成10年1月末現在)
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復興だより(Vol.13)
(注)四捨五入により千件単位としてあり、各項目の和と合計は一致しない。
(3)被災市街地の整備状況
a. 被災市街地復興推進地域
○土地区画整理事業
都市名
地区名
事業地区名
森南第一
森南第二
森南第三
六甲道駅北
六甲道駅西
森南
六甲道駅西
松本
神戸市
6.7
4.6
5.4
16.1
3.6
松本
御菅東
御菅
面 積(ha)
都市計画の 事業計画の 仮換地指定
決定時期
決定時期 の開始時期
H9.9
H10.3
H7.3
H10.3 H8.11
H9.2
H7.3
H8.3
H8.11
8.9
5.6
H7.3
H8.3
H8.11
H8.11
H9.10
H7.3
H9.1
H8.7
H7.11
H10.1
H9.1
H8.8
H9.9
H9.5
H7.3
新長田・鷹取
御菅西
新長田駅北
鷹取東第一
4.5
59.6
8.5
湊川町1・2丁目
鷹取東第二
湊川町1・2丁目
19.7
1.5
―
H9.3
H8.11
神前町2丁目北
神前町2丁目北
0.5
―
H8.12
H9.9
H7.3
H7.3
手続き中
H10.3
H8.6
H8.2
H9.8
H8.11
芦屋中央
森具
西部第一
西部第二
芦屋中央
森具
10.3
10.9
13.4
10.5
尼崎市
西宮北口駅北東
築地
西宮北口駅北東
築地
31.2
13.7
H7.3
H7.8
H8.11
H7.12
H9.10
H9.2
北淡町
合計
富島
13地区
富島
20地区
20.9
256.1
H7.3
―
H8.11
―
H9.12
―
芦屋市
西宮市
芦屋西部
H7.3
*神戸市湊川町1・2丁目地区及び神戸市神前町2丁目北地区については、組合施行の土地区画整理事業であ
り、都市計画決定を行っていない。また、「事業計画決定時期」の欄には、組合設立認可の時期を記載。
○市街地再開発事業
都市名
神戸市
西宮市
宝塚市
合計
地区名
面積
(ha)
六甲道駅南
新長田駅南
西宮北口駅北東
仁川駅前
5.9
20.1
3.3
1.6
売布神社駅前
宝塚駅前
6地区
1.6
5.7
38.2
管理処分計
都市計画の 事業計画の
画の決定時
決定時期
決定時期
期
H7.3
H8.3
H9.3
H7.3
H8.10
H9.8
H7.3
H8.5
H9.3
H7.3
H9.6
H10.3
H7.3
H7.3
―
H8.5
H8.3
―
*宝塚市宝塚駅前地区の面積(5.7ha)は、工事完了地区(4.8ha)を含む。
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H9.2
H8.12
―
復興だより(Vol.13)
(4)特集 生活復興への取組み ― 被災者に対するケア施策 ―
恒久住宅への移行が着実に進む中で、仮設住宅入居者の現在の暮らしを支えながら、円滑な恒久住宅への
移行を支援するとともに、恒久住宅への移行後の新たな不安や孤立感を緩和し、生きがいづくりや仲間づ
くりを通じて新しいコミュニティに親しめるよう支援していくための様々な施策が行われている。
ここでは、高齢者・障害者等各種不安材料を抱えている人々にとって最も関心のある健康、福祉を中心と
した主な支援施策をまとめた。一般的な国の補助事業(○)に加え、それを追加・拡充する地元自治体の
施策(□)があるが、これに対しては一部、阪神・淡路大震災復興基金 (総額9,000億円)から助成措置
が成されている。
なお、国は復興基金に対し、地方財政措置により支援している。
1. きめ細やかな個別支援
(○.□)仮設住宅から恒久住宅移行後までの、切れ目ない日常の支援相談体制を確立
支援者
人数(人)
民生委員・児童委員
6,772
保健婦
537
生活支援アドバイザー
136
健康アドバイザー
175
生活援助員 (LSA)
96
高齢世帯支援員
60
生活復興相談員
136
情報サポーター
272
復興住宅対策交番相談員
アルコールソーシャル
ワーカー
35
4
役割
低所得者世帯の自主更生援護、児童の健全育成、高齢者
福祉等の地域福祉活動。
健康の相談・教育、要療養者等で保健指導が必要な方を
訪問。
恒久住宅等の情報提供、生活復興相談、仮設住宅入居者
訪問。
看護資格を所持するアドバイザーが仮設住宅・災害復興
公営住宅等入居者の健康相談。
シルバーハウジングに、巡回による安否確認、生活相
談、緊急対応の他コミュニティづくり等の活動。
災害復興公営住宅等入居者のうち、独り暮しのお年寄、
障害者の方にコミュニティづくり支援、入居者相互間の
交流推進。
災害復興公営住宅等入居者を訪問し、生活復興相談、各
種情報提供。
災害復興住宅等入居者の話し相手、イベント等の情報提
供・参加呼びかけ。
警察OBが災害復興住宅入居者の相談、防犯・安全指
導。
アルコール依存者に対し適正飲酒の普及啓発、相談指導
等。
注:人員は平成10年度予定。
(○)仮設住宅等に入居している痴呆性高齢者等に対し、ふれあいセンターを活用しデイサービス事業を実施。
(○.□)震災に起因するPTSD(心的外傷後ストレス障害)等に対し、保健所や地域に根ざした精神保健活動の拠点と
して設置した「こころのケアセンター」で、こころのケアに関する普及啓発、相談指導、訪問等を実施。
特に、仮設住宅を中心に問題化しているアルコール問題に対しては、断酒会の協力によるピアカウンセリングや
専門家によるグリーフワーク(幅広いテーマでの語り合い・ビデオ鑑賞、学習会など)を実施。
(○)仮設住宅や災害復興公営住宅等の入居者に対し、医師による医療相談、保健婦、健康アドバイザー等の巡回
健康相談を実施。
(○)災害復興公営住宅等に入居する高齢者・障害者等で見守りが必要な方に対し、民生委員や生活復興相談員等
の支援者による個別訪問等を実施。
(○)高齢者向けの災害復興公営住宅であるシルバーハウジングへの生活援助員の派遣と1日1回、週3日以上の
配食サービスの実施。
(○)高齢単身者用の災害復興公営住宅への自動通報システムの設置。
(□)被災者から行政担当者への連絡ルートとなる「元気応援キップ」(担当者宛のハガキ)等をつけた「元気応
援カレンダー」の配布など、被災者自らのメッセージの発信支援。
2. コミュニティへの参加支援と生きがいづくり
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復興だより(Vol.13)
被災者の孤立防止のために、コミュニティの人間関係づくりを支援し、コミュニティの活性化を図るとともに被
災者の生きがいづくりを支援。
(□)災害復興公営住宅などに整備する福祉コミュニティづくりの推進拠点(高齢者・障害者等を支援する「被災
地域コミュニティプラザ」)の設置・運営の補助。
既に13箇所で実施
(□)復興に向けた被災者自らが行うグループ活動(地域の情報誌の発行、ミニフォーラムの開催等)及び県内外
の被災者を支援するボランティア活動(引越し手伝い等)に対する補助。
(□)災害復興公営住宅入居予定者の事前交流活動、新たに整備された災害復興公営住宅の入居者による自治会立
ち上げ活動など、新たなコミュニティづくりのための活動を支援。
(□)知識・技能の習得の場としての「いきいき仕事塾」の開設、交流の場としてのフリーマーケットの開催、世
代間の交流の場としての「高齢者語りべ・昔の遊び伝承事業」の実施など、被災高齢者等の生きがいづくりのた
めの活動を支援。
(□)地域と家庭と学校がともに取り組む子供たちのこころのケアの支援。(被災児童巡回劇場の開催、心の教育
推進教員の配置等。)
(□)フリーダイヤルでの相談や情報紙の発行(兵庫県は「ひょうご便り」で発行部数12000部、神戸市は「広報
こうべ」で発行部数13000部)、県外での交流会の開催(ふるさとひょうごキャラバン)、県内住宅情報(公営
住宅、民間住宅)の提供・相談等、県外居住被災者のカムバックを支援。
3. 生活自立への支援
生活の再建と安定のために、生活再建支援金等の支給、生活復興資金の貸付及び利子補給を行うとともに、就労
機会の増加を支援。
(□)仮設住宅等から恒久住宅に移転した住家全壊等の高齢世帯(世帯主 65歳以上)・要援護世帯で非課税世帯に対
して、生活再建支援金(世帯当たり月額1万5千円―2万5千円、5年間)を支給。 平成9年8月から支給開
始。
(□)仮設住宅等から恒久住宅に移転した住家全壊等の被災中高年世帯(世帯主45歳以上、総所得金額の合計が507
万円以下)に対して、中高年自立支援金(世帯当たり月額1万5千円―2万円、2年間)を支給。平成9年12月
から受付開始。
(□)兵庫県生活復興資金貸付金(限度額300万円)を借り入れた被災者に対して、利子補給(3.0%)を実施(実質無利
子)。
(□)公共職業安定所(ハローワーク)における職業相談・紹介、ふれあい雇用推進員による個別求人開拓、就業
のための職業訓練、技術講習の実施。
(□)中高年の被災者に対し、アンケート調査や環境美化推進事業等に従事する機会を提供し、自立を促進。
4. 生活復興支援の総合的運営
(□)被災者の生活復興をめぐる課題が個別・多様化する中、個々の人に合った生活再建プログラムを組み立てる
ことができるように、個別フォローアップ方式の相談、情報提供を行うと同時に、生活支援アドバイザー等の支
援者の総合調整等を行う体制(生活支援マネジメントシステム)を整備。
(□)各地域の支援者たちの活動に役立つよう、行政窓口などの連絡先や支援施策等を解説した「支援者ノート」
を配布。さらに、活動の参考となる情報等を盛り込んだ支援者ニュース「ぱーとなぁ」を月2回配布。
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復興だより(Vol.13)
(□)なお、神戸市では、在宅サービス利用に関する助言と、痴呆性高齢者や知的障害者、精神障害者の生活に関
する問題について必要な相談・助言を行うための第三者機関として、専門家で構成する「こうべ安心サポートセ
ンター(仮称)」を設立。
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http://www.sorifu.go.jp/information/fukko/13/13_2.html (5/5) [2000/12/07 19:18:11]
復興だより(vol.13)
3.産業復興の現状
(1)概観
(2)特集:観光
(3)個別データ
(a)鉱工業生産 (b)神戸港
(d)住宅建設
(c)小売業
(e)公共工事 (f)雇用
(1)概観
● 震災被災地の経済状況をみると、経済復興を下支えしていた公共投資と住宅投資については、
インフラ施設の復旧等による震災復興関連の大型投資の一巡や復興分の住宅着工戸数の減少な
どにより、全体としてほぼ震災前の水準に戻りつつある。
●
●
神戸市の大型小売店販売額は、百貨店では、1月に一時的な盛り上がりをみせたが、個人消費
の低迷などから、低調な状況が続いている。また、製造業の生産活動も幅広い業種で弱含んで
いる。こうした影響は、雇用面にもあらわれており、中高年齢者に対する雇用環境が依然とし
て厳しい状況にある。
総合的に判断して、被災地の経済は、震災に伴う大きな落ち込みから全体として緩やかに回復
しつつあるが、復興需要の一段落やこのところの景気回復の停滞などから、引き続き、業種・
分野によっては厳しい状況がみられる。
(2)特集:観光
a. 神戸市における観光産業の重要性
神戸市の観光関連産業が全産業に占める比率は政令指定都市中最も高い水準であ
り、市内事業所数で約3割、従事者数で約2割を占める重要な産業の一つ。
(「平成5年の神戸観光」神戸市経済局)
b. 観光関連施設の復興状況
震災による被害を受け、震災から約2ヶ月後の平成7年3月10日調査では、神
戸市の主要観光施設のうち営業を再開していたものは32.8%、同じく主要宿
泊施設では48.8%。その後の復旧作業により、復旧が遅れていた風見鶏の館
(平成9年3月再開)、旧ハンター邸(重要文化財、平成9年3月再開)等を含
め、主要観光施設は復旧。宿泊施設についても、震災後の新規ホテル開業によ
り、室数はすでに震災前を上回る水準。
c. 観光入込客の動向
年間観光入込客は、神戸市において、震災後の平成7年には、平成6年の36%
まで減少したが、平成9年には77%まで回復。神戸ルミナリエを加えると、平
成9年は震災前の93%の水準まで回復。
阪神地域、淡路地域については、平成8年で震災前のそれぞれ、84%、77%
の水準まで回復。
〔観光地別入込客数の状況〕(出所:兵庫県、神戸市)
http://www.sorifu.go.jp/information/fukko/13/13_3.html (1/8) [2000/12/07 19:18:15]
復興だより(vol.13)
(単位:万人)
都市観光群 市街地
うち北野
神戸港観光群
六甲摩耶
六甲有馬観光群
有馬
須磨・舞子観光群
西北神観光群
神戸ルミナリエ
阪神地域
淡路地域
平成6年
682
166
366
732
172
344
144
小計 2,440 (100)
−
神戸市計 2,440 (100)
3,320 (100)
890 (100)
平成7年
204
41
95
225
102
157
97
880 (36)
194
1,074 (44)
2,249 (68)
542 (61)
平成8年
528
112
215
504
145
251
110
1,753 (72)
309
2,062 (85)
2,788 (84)
688 (77)
平成9年
618 (91)
116 (70)
246 (67)
510 (70)
141 (82)
257 (75)
108 (75)
1,880 (77)
396
2,276 (93)
―
―
(注1)()の数値は平成6年を100とした指数
(注2)阪神地域及び淡路地域は平成9年は未集計
❍
全国の観光客数の動向を見ると、近年海外旅行客が増加する一方で、国内旅行客数は、
横ばい、ないしは若干減少傾向。政令指定都市の観光入込客数は、都市により異なる傾
向。
〔全国の旅行客数の動向〕(出所:「観光白書」及び各市資料)
d. 観光関連産業の動向
神戸市内のホテル稼働率は、復興需要に伴うビジネス需要の下支えに加え、阪神高
速道路の全面開通等により観光需要も回復傾向にあったが、平成9年7月以降伸
び悩んでおり、震災前水準を下回って推移。
[神戸市のホテル稼働率グラフ ] (出所:神戸市)
http://www.sorifu.go.jp/information/fukko/13/13_3.html (2/8) [2000/12/07 19:18:15]
復興だより(vol.13)
e. 観光復興への課題
● 震災から7ヶ月後の平成7年8月に実施されたアンケート結果等により、①被災地への
観光自粛ムード ②交通渋滞、高速道路の不通 ③観光関連施設の復旧状況等の復興情報
が十分に伝わっていないことが、震災後の観光低迷の要因として考えられた。(「復興
だよりVol.5」参照)
●
●
●
●
震災後約3年が経過するとともに、平成8年9月末の阪神高速道路全通、平成9年3月
の神戸港復興等により、これらの要因による影響は薄れてきていると考えられるもの
の、神戸市の観光入込客数は、神戸ルミナリエを除くと、震災前の77%と、全国の国
内観光客数の伸び悩み傾向を考慮しても、低い水準。
神戸市の観光入込客数の約半数が兵庫県民(「平成5年の神戸観光」神戸市経済局)で
あることから、被災地の人口減少や経済活動の低迷による影響も大きいが、神戸市のホ
テル稼働率の推移等に見られるように、県外からの宿泊観光客も低迷しているものと考
えられる。
アンケートによれば、阪神淡路地域への訪問希望者は、楽しみとして「自然鑑賞(3
1.3%)」の次に「ショッピング、グルメ、街歩き(25.5%)」を上位に挙げて
いることから、震災により神戸の街としての魅力、イメージが傷ついた影響がなお残っ
ていることは否定できない。
全国の国内旅行は、団体旅行が減少し、個人、グループ化傾向が強まっており、政令指
定都市の観光入込客数を見ても、代表的観光都市に比べ、従来の概念では必ずしも観光
都市とは言い難い都市が好調な傾向にある。これらより神戸の市街地の復興を行ってい
く中で、今後いかに街全体の魅力、イメージを高めていけるかが、これからの観光復興
の課題といえる。
http://www.sorifu.go.jp/information/fukko/13/13_3.html (3/8) [2000/12/07 19:18:15]
復興だより(vol.13)
f. 観光復興に向けての主な取り組み
○明石海峡大橋(愛称:パールブリッジ)関連
世界最長の吊り橋である明石海峡大橋そのものが集客力を持ったランドマークで
あることから、ライトアップなどを実施するとともに、あわせて周辺地域の基盤
整備を行い、集客魅力を高める。
①橋の魅力を高める
❍ 大橋のライトアップ(橋梁照明)
メインケーブルに光の3原色である赤・緑・青をワンセットにしたランプを
設置し、季節や時間帯で照明を変化。
❍ 舞子海上プロムナード
神戸側の橋げた内に、回遊式の遊歩道や展望ラウンジなどを整備。
❍ 橋の科学館
模型や映像、パネルを展示して橋梁技術等をわかりやすく紹介。橋のアンカ
レイジ(神戸側)西側に整備。
②神戸側での基盤整備
❍ 国営明石海峡公園(神戸地区)
「自然と人との共生、人と人との交流」を基本理念に、里山の美しい神戸地
区・海に山におだやかな自然あふれる淡路地区で、21世紀にふさわしい新
たなレクリエーション地域を整備。
❍ アジュール舞子(舞子海岸東CCZ)、大蔵海岸(CCZ、明石市)
舞子海岸や大蔵海岸を白砂青松の海岸に復元し、背後に大橋や淡路島の眺望
や散策を楽しめる公園、利便施設を整備。
❍ マリンピア神戸(垂水漁港西側)
水産体験学習館やシーフードレストランなどを整備。
❍ そのほか、舞子ビラ本館(宿泊室、会議室、レストラン等)の建設や被災を
受けた明石市立天文科学館(日本の標準時、東経135度に建設)の新装開館
など施設を整備。
③淡路側での基盤整備
❍ 国営明石海峡公園(淡路地区 淡路町・東浦町)
国際園芸・造園博「ジャパンフローラ2000」(2000年開催)の主会場の
予定。
❍ 県立淡路島公園ハイウェイオアシスゾーン(淡路町)
高速道路を出ることなく利用できる公園等を整備。
❍ 「道の駅」“あわじ”・松帆アンカレイジパーク(淡路町)
橋のアンカレイジのたもとに「道の駅」と公園を整備。
❍ あわじ花さじき(東浦町他)
花の名所として、展望のよい北淡路の丘陵地域に花畑(約16ha)や展望
台等を整備。
❍ 野島断層保存館(北淡町震災記念公園内)
野島断層を約140mにわたり保存・展示。
○その他
● 大長江節(フェア)の開催
復興特定事業である「上海・長江交易促進プロジェクト」を推進するため、 ポートアイ
ランド第2期他を会場として、シンポジウムなどを実施。
● 阪神・淡路百名所づくり
兵庫県、阪神・淡路産業復興推進機構などが進めている、被災地の新たな魅力を加える
ための個性的・創造的な名所づくり。
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復興だより(vol.13)
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北野小学校跡地の暫定利用
神戸観光の拠点である北野地区で、被災した北野小学校跡地の校舎を活用した「工房」
(洋菓子、パン、靴、和紙等の実演・販売を行う場)とグラウンドを活用した「観光バ
ス駐車場」の整備。
有馬温泉歴史資料館(仮称)の整備
有馬にある極楽寺境内において発見された豊臣秀吉ゆかりの「湯殿御殿」跡を、震災を
機に、新たな観光資源として保存・再現、ならびに出土品等を展示。
灘の酒蔵
被災を受けた灘五郷において、復興基金事業の助成等による公開資料館の整備。また、
NHK朝の連続テレビ小説の放送を機に、28社による統一銘柄酒「甘辛しゃん」の販売
や、酒蔵コンサート、酒蔵スタンプラリーなどのイベントを実施。
(3)個別データ
a. 鉱工業生産
● 県内の製造業の生産活動は、鉄鋼では、建築・土木向け需要の低迷や韓国、東南アジア
向け輸出の落ち込みから生産調整が続き、機械でも電気機械の通信部品等で増加した
が、自動車用部品等では、減産となっており、製造業全体で弱含みで推移。
● 更に、一部の地場産業等構造的課題を抱える業種・分野では、受注の伸び悩み等から生
産が低調に推移し、依然として生産水準が震災前を下回る状況が続く。
〔鉱工業生産指数(季節調整済、平成2年=100)〕(出所:通産省)
b. 神戸港
● 平成9年3月の港湾施設の完全復旧に伴い、入港船隻数、取扱貨物量とも、徐々に、震
災前の水準に戻りつつあるが、このところは、震災前(平成6年同月)の水準の8割前
後で推移。
〔神戸港の取扱貨物量(すべて平成6年同月比)〕(出所:神戸市)
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復興だより(vol.13)
c. 小売業
● 神戸市の大型小売店販売額は、百貨店では、年明け後、クリアランスセール等で一時的
に盛り上がりをみせたものの、その後はセール効果の一巡等から売行きが鈍化、また、
スーパーの販売額も前年を下回って推移。
〔大型小売店販売額(すべて平成6年同月比)〕(出所:通産省)
d. 住宅建設
● 兵庫県下の被災地(10市10町)では、震災により滅失した住宅の再建が急ピッチで
進められたこともあって、新設住宅着工戸数は、震災前の約2倍程度の高水準で推移し
てきたが、震災後の個人住宅の建替え需要の一巡などにより、このところ、概ね震災前
の水準にまで減少。
❍ 震災から平成10年2月までの新設住宅着工戸数の累計は約26万戸。
〔10市10町の新設住宅着工戸数及び累計戸数〕(出所:建設省)
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復興だより(vol.13)
e. 公共工事
● 兵庫県下の公共工事は、震災復旧関連の大型工事の一巡などにより、このところ前年を
大幅に下回っており、平成9年8月以降、概ね震災前の水準にまで低下。
〔公共工事請負金額(すべて平成6年同月比)〕(出所:西日本建設業保証(株))
f. 雇用
●
兵庫県下の雇用動向をみると、求人数は、建設業で復興関連の大型投資の一巡等により
前年を下回っている他、卸売・小売業、飲食店、運輸・通信業等で求人数が減少。一
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復興だより(vol.13)
●
方、有効求職者数は、平成9年7月より連続して増加しており、特に高年齢者の割合が
高い。
有効求人倍率は、平成9年4月以降0.6倍を割り込んでおり、依然として、中高年齢者
に対する雇用環境は厳しい状況。
〔有効求職・有効求人と有効求人倍率〕(出所:兵庫県)
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復興だより(vol.13)
4.復興への取組み
○「神戸市復興支援工場」― 地場産業・中小製造業の復興支援 ―
神戸市では、震災により甚大な被害を受けた市内の中小製造業の本格的な復興と、良好な操業環境の場を確保す
ることを目的として公営の貸工場を建設。平成10年5月より第1期入居が始まる。
項目
内容
備考
事業主体
神戸市
場所
神戸市兵庫区和田山通1丁目
施設概要
①敷地面積
②棟数
③床面積
④ユニット
18,570.38㎡
5棟
約26,500㎡
72㎡×242ユニット
賃貸条件
①使用期間
②賃料
最長15年
5年契約 2回更新可
1,200∼1,800円/㎡・月
約5,300㎡×5棟
数ユニットの組み合わせにより、72㎡∼360㎡の部屋を提供
1期(平成10年度)2棟入居(A棟、B棟共に5階建)
スケジュール 2期(平成11年度)1棟入居
3期(平成12年度)2棟入居
入居時期
第1期概要
平成10年5月
入居決定企業数 48社(うちケミカルシューズ業28社、仮設工場からは6社)
A棟(ケミカルシューズ業向け)
B棟(1∼3階機械金属・その他製造業向け、4・5階 ケミカルシューズ業向け)
国の支援
通産省(中小企業庁)の高度化資金による融資
建設費の90%(約100億円)を融資する予定
(85%は、5年据置20年償還、無利子、5%は、5年据置11年償還、無利子 )
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復興だより(vol.13)
(神戸市復興支援工場)
第1期左からA棟、B棟
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復興だより(vol.13)
☆各省庁の復興関連施策☆
施 策 名:阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の改正
(大蔵省)
標記法律の改正法案を含んだ「租税特別措置法等の一部を改正する法律」が3
月31日に可決・成立し、標記法律の改正法が4月1日から施行されている。
これまでも、阪神・淡路大震災の被災者等に対しては「阪神・淡路大震災の被
災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」により、種々の国税の特
例措置を既に講じているが、標記法律の一部改正により、3月31日で期限が
到来した税制の特例の延長等の措置を講じるとともに、阪神・淡路大震災の被
災者等がマンションを建替える際の新たな支援策を講じた 。
1.阪神・淡路大震災の被災者等が取得した特定の土地に係る所有権等の移転登記の
免税措置の創設
(1) 制度創設の趣旨
これまでも「阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例
に関する法律」により、登録免許税について、被災者が阪神・淡路大震災
により損壊した建物等に代わるものとして新築等をした建物の所有権の保
存又は移転の登記について免税とする特例措置が講じられている。
しかし、被災したマンションなどの区分所有建物の建替えを行う場合に
は、建替え事業の中途での頓挫を避けるため、「全部譲渡方式」と呼ばれ
る手法が選択されるようになってきている。
この「全部譲渡方式」とは、従前の区分建物所有者が共同で区分所有建物
の敷地であった土地を一旦デベロッパー(建築事業者)に譲渡し、デベロッ
パーは土地の所有者としてその土地の上に再び区分所有建物の建築を行
い、建物の完成後に、従前の所有者に優先的に区分所有建物を譲渡すると
いう手法である。
この手法によれば、仮に従前の区分建物所有者のうちに中途で建替えの方
針を変更したい者が出てきても、その者の部分についてデべロッパーと土
地の譲渡代金の清算を行うことにより、建替え事業そのものを頓挫するこ
となく進めることが出来る。
従って、今回、登録免許税について、一定の区分所有建物の建替えに伴い
従前の所有者が受ける土地の所有権等の移転登記についての特例が新設さ
れた。
(2) 制度の概要
被災者等が大震災により滅失又は損壊した区分所有建物(滅失建物等)の敷
地の用に供せられていた土地の所有権等を譲渡し、滅失建物等に代わる区
分所有建物(新規建物)の独立部分の取得にあわせて、新規建物の敷地の用
に供されている土地(滅失建物等の敷地の用に供されていたものに限る。)
の所有権等を取得した場合には、その土地の所有権等の移転登記で平成1
0年4月1日から平成12年3月31日までの間に登記を受けるものにつ
いては、登録免許税が課されないこととなった。
(震災税特法38)
2.その他の措置の期限延長等
上記の登録免許税の特例の創設のほか、期限の到来する特例を中心に、次
の改正が行われた。
http://www.sorifu.go.jp/information/fukko/13/13_5.html (1/2) [2000/12/07 19:18:32]
復興だより(vol.13)
(1) 被災者向け優良賃貸住宅の割増償却制度について、割増率(改正
前:耐用年数45年未満50%、同45年以上70%)に係る耐用年数区分
を45年から35年とした上で、その適用期限を平成12年3月31日ま
で2年延長。
(2) 特定の事業用資産を買い換えた場合等の課税の特例について、適用
される課税繰延割合を平成10年4月1日以後も引き続き100%(一部
80%)とするもの。
(3) 阪神・淡路大震災の被害者に対する特別貸付けに係る消費貸借契約
書の印紙税の非課税措置の適用期限を平成12年3月31日まで2年延
長。
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http://www.sorifu.go.jp/information/fukko/13/13_5.html (2/2) [2000/12/07 19:18:32]