造影剤の 適正使用推進ガイド FAQ 第9回 造影検査前後の患者フォロー インフォームド・コンセントと患者用文書 ◆鳴海善文 (ハイメディック クリニック ウェスト) ◆早川克己 (京都市立病院放射線科) ◆林 宏光 (日本医科大学放射線科) ◆桑鶴良平 (東京女子医科大学放射線科) 1 はじめに が介在するために,説明と同意に関しての医師間 の意志疎通と共通理解が必要となる。すなわち主 インフォームド・コンセント (informed consent; 治医,患者,検査担当医の間の共通の了解事項と IC)は,すべての医療行為に対してではなく,あ しての説明文書,患者の同意の証拠としての同意 る程度侵襲性・危険性のある行為や,当初予定し 書がぜひ必要となる。 ていた範囲を超える医療行為の際に取得する必要 があるとされる1)。特にリスクに関する情報は患 者が最も知りたい情報であり,造影剤投与の際に 3 説明と同意取得の実施は誰が行うか は副作用が発現する可能性が常にあるため,ICは ICとは十分な説明と,それにより患者から同意 必須となる。しかし,ICは本来法律用語であり, 納得を文書で得る過程をさすが,最も重要な点は, 法的に要求される情報提供のあり方を医療現場で 患者との良好なコミュニケーションに基づいた説 行うためには,いくつかのギャップが存在する。 明,同意である2)。このような背景がない場合は 2) Karz はこのギャップの原因として「患者の意志 同意,署名は検査前の単なる儀式と化してしまう。 決定の限界」,すなわち患者の理解,記憶,合理 EmanuelはICにおける医師と患者の関係を4つの 的判断には限界があること,さらに「癌告知の問 。1つのモデル 人間関係のモデルで示した4)(表1) 題」 , 「臨床現場でのICのための時間確保の困難さ」 は医師と患者を親子関係に見立てたもので,情報 3) をあげている 。これらの問題は20年たった今で 量の多い医師側の意見を一方的に患者に押しつけ も大きな変化はなく,実際の臨床現場でのIC施行 るものであり,診察室でときどきみられる光景で の大きなハードルとなっている。今回はヨード造 ある。一方,理想的なICは友人関係のモデルであ 影剤の日常臨床における説明文書と同意文書の使 り,情報を提供するとともに患者の価値観を明ら われ方と,造影検査後に必要と考えられる患者の かにして,その価値観を尊重しつつ発展させるこ フォローについて解説する。 とが必要であるとしている。 友人関係のモデルの1例をあげると,知人に造影 2 造影剤投与におけるIC 剤の副作用で亡くなった方がいる患者で,患者本人 に副作用の既往があるわけではないが,恐怖心から 造影剤の同意の取得にあたっては,造影剤が診 必要な造影検査に同意できないといった場合,副作 断用医薬品であるという理由から,治療目的で行 用の頻度,副作用が起こったときの対応,造影剤を う手術や麻酔,輸血の同意書とは別の意味で慎重 用いない場合のデメリット,現疾患の診断における な配慮が必要となる。造影剤は治療用医薬品とは 造影剤の必要性などを十分時間をかけて説明し,患 異なり,造影剤投与により患者のもつ疾患の予後 者の造影剤に対する価値観を,単なる恐怖心から科 に影響を与えることは通常なく,重篤な副作用や 学的な根拠にまで発展させ,納得させたうえで同意 死亡に至った場合,患者との間でトラブルが発生 を得るに至ることが必要となる。これは診察と治療 しやすい。また,主治医と患者の間に検査担当医 によって,患者との人間関係が構築されている主治 662(132) 0911-1069/08/¥400/論文/JCLS 表1 医師と患者の人間関係 モデル (文献5より改変) パターナリ ズム 討議モデル 通訳モデル 医師の役割 親 友人 カウンセラー 専門家として の情報提供 情報を提供すること × ○ ○ ○ 患者の価値観を明ら かにすること × ○ ○ × 患者の価値観を発展 すること × ○ × × 評価的判断をすること ○ ○ × × 医のみが行いうるプロセスである。検査担当医が行 えるのは,専門家としての情報提供者あるいはカウ ンセラー的な立場までで,患者の価値観を発展させ 情報提供 モデル あげられる5)。 q主治医による説明内容にもれがなく明確に なる。 るまでに至るのは難しい。実際,多忙なCT検査の w患者の理解,記憶の助けとなる(診察室にお 現場のなかで,検査担当医が患者の背景をカルテの ける口頭での説明の理解には患者側の限界 みで知りうる状況でICを行う場合,患者への十分な がある)。 説明を行う時間の確保が難しいこともあり,主治医 なら容易に行いうる説明と同意の取得が検査担当医 e自宅に持ち帰り説明内容を見直すことがで き,家族も同じ情報を共有できる。 では難しい場合もあると考えられる。医療機関によ r医療従事者間,すなわち依頼科と放射線科 り事情は異なると思われるが,放射線科医が不在の の医師・技師・看護師との間で同じ情報を 病院や,造影剤使用の判断を主治医が行う施設では 共有できる。 主治医が説明,同意取得を施行することに異論はな いと考えられる。 t合併症や死亡事例が発現した場合に,説明内容 の確認が可能となり,有力な立証手段となる。 問題は,主治医が造影検査の適応判断を放射線 患者のもつ造影剤に関する知識は通常限られた 科医に委任する場合である。この場合はICを検査 ものであり,患者に対する十分な情報をもれなく 担当医が行うべきとの意見もあるが,上記のよう 提供する意味で,説明内容の文書化は行うべきで な患者と医師の関係を想定すると,検査を依頼し ある。 た主治医が行うほうがよいと考えている。この場 合,単純検査のオーダー以外は必ず同意書を取得 しておき,検査室でのトラブルを避けるために, 5 説明文書と同意書のモデル 「検査担当医の判断により造影剤を使わない場合も 説明文書,同意文書のゴールドスタンダードは ありうる」 ことを説明書に追記することが必要とな 存在していない。これは各医療施設の状況が必ず る。実際の運用を行うには,同意書取得を行うた しも同一でないこともあり,施設の状況に応じた めの病院全体のシステムを構築することで,無用 個別化が求められるためである。日本医学放射線 な混乱を避けることが可能になると考えられる。 学会の医療事故防止委員会で検討,作成した説明 も 「放射線診療事故 文書・問診表・同意書6)(図1) 防止のための指針 Ver.4」 と同様に,各医療施設の 4 説明内容の文書化の意義 状況に応じた個別化を行うための参考情報として 説明を文書化している施設は多いと思うが,文 作成されている点をご了承いただきたい。この同 書化することの意義として,以下のようなことが 意書と説明文書について日本医学放射線学会の顧 臨床画像 Vol.24, No.5, 2008 (133) 663 664(134) 図1 説明文書,問診表,同意書 問弁護士に確認していただいたところ,「法律の 定める要件に対して法的観点からは問題ない。し かし,法的観点から問題がなくとも医療現場での 妥当性は別問題であり,これらを一般化するとき には医療現場との大きな齟齬が生じないような作 り方が望まれる」 とのコメントをいただいている。 実際の運用においては,各施設の安全対策委員会 などを介し他科との意見の調整を行い,病院の他 部門におけるICとも整合性をもたせる必要がある ということであろう。 「Radiology Update」 で造影CT・MRI検査の説明 文書・承諾書の参考文例が紹介されており,同意 取得のための説明文書に求められる要件につい て,実例をあげて解説されているのでご覧いただ きたい7)。 6 説明文書・問診表・同意書(図1)に対 する補足 q遅発性副作用については,患者が帰宅する際 にも別途説明文書を渡すが,同意の段階にも説明 文書に記載する。 w死亡に関する説明文書への記載については, 「患者の緊張を高めて精神的要因の副作用の頻度 を高くする」 との意見もあるが, 「薬剤の投与に際 しては,副作用発生率が極めて低い場合であって も,その副作用が重大な結果を招く危険性がある 以上は,投薬の必要性とともに副作用のもたらす 危険性についても説明するべきである」との過去 の判例8)からも必要であると考えられる。 e造影剤を使うメリットと使用しないデメリッ トについては個々の疾患によって異なるので,説 明文書には一般的事項のみ記載している。説明時 には各疾患に沿った説明を行う必要がある。 r造影剤の血管外漏出9)については,施設によ り若干頻度は異なるが一定頻度で起こりうる事象 であり,説明文書に記載しておいたほうがよいと 考える。 t同意書に署名しても当日の放射線科医の判 断で造影を行わない場合があることを明記して いる。 臨床画像 Vol.24, No.5, 2008 (135) 665 yビグアナイド系糖尿病薬(メトホルミン,ブ あり12),行われた説明について理解が進まないま ホルミンなど) とヨード造影剤の関係については, まの同意書へのサインは患者の自己決定とはいい あらかじめ主治医に周知しておく必要があるが, がたい面がある。検査ごとに目的も異なり,患者 検査当日にもチェックし,中止していない場合は の状況も変化するので,原則として同意書は検査 10) 主治医に連絡し,2日間投与を中止する 。 ごとに取得する必要がある。また,説明してすぐ u添付文書にはないが,β遮断薬服用者は造 同意を得ることは難しく,少なくとも患者が家族 影剤アレルギーのハイリスク群である。また副作 と相談する時間が得られるよう,検査日までの間 用に対する緊急処置時にエピネフリンに対する反 に納得してから署名してもらう形がよいと思われ 応性が低下しており,グルカゴン投与が必要とな る。説明文書に疑問があれば,検査当日に放射線 11) ることがある 。 科の担当医と相談して,再度納得を得て署名する。 一度署名してもいつでも撤回できる環境をつくる 7 同意書の法的効力について ことも重要である。 特殊な状況であるが,生命に影響を及ぼすよう 同意書の法的効力について明記されたものはな な緊急の造影検査で,患者が署名できる状況にな く,医療事故における免罪符ではないことを十分 く,家族の同伴もない場合はどうか。同意書取得 に認識するべきである。臨床的適応を誤ったり, の目途がつかない場合は,造影検査の施行が同意 禁忌患者に造影検査を行ったり,造影剤で合併症 書取得に優先すると考えられる。この場合,生命 が起こったときの緊急対応が不十分であれば注意 予後を優先させた同意のない造影検査であること 義務違反が問われ,同意書があっても免責されな の,主治医の了解とカルテへの記載が必要なこと い。しかし,同意書がなければ患者との間に造影 はいうまでもない。 剤投与で問題が発生したときに同意の立証は困難 になることもあり,適切な投与と事後対応を行っ たとしても,同意のない検査として投与側は窮地 に立たされる可能性が発生する。造影検査の最低 条件としての同意書を取得するべきである。 10 リスクの高い患者での説明と同意について 造影剤で副作用の既往がある場合の前回と異な る種類の造影剤の使用は,副作用回避のためによ く行われている方法であり,異なる造影剤の使用 8 同意署名と非同意署名 で副作用が回避されることはときに経験するが, 文献的根拠は十分なものではない。また,ステロ 同意書への署名は本人と説明医師が行う。子供 イドの予防的投与については,一般的な副作用 や高齢者の場合など本人の理解能力に問題がある (嘔吐,発疹など) については予防できるとした報 場合は,代理人 (多くの場合は家族) による同意を 告があるが13),重篤な副作用の予防についてはエ 求める。患者が十分な説明によっても同意しなか ビデンスがないのが現状である。しかし,現実問 った場合は,造影を行わないことによる病変の局 題として軽い嘔気が過去に一度あった,あるいは 在や進行の診断の遅れは患者の自己責任となるの 数十年前の小児期の喘息の既往があるなど,添付 で,拒否の意思を示せるよう非同意署名が必要で 文書を厳密に適用してヨード造影剤禁忌との烙印 あろう。 を押し,造影剤を使用するチャンスをなくすのに 抵抗を感じる症例に遭遇することがまれではな 9 同意書への記載時期について い。 まず最初に単純CT検査で必要な情報を得られ 医療におけるICの基本的理念は,患者の自らの るかどうかを,続いてMRI,USなどヨード造影剤 身体についての自己決定ないしは自律性の尊重で を使用しないほかの検査での代替の可能性を検討 666(136) し,それでも造影検査を行う必要性があれば,禁 なようにしている(表 2)。さらに造影剤慎重投与 忌でもあえて造影検査を行う場合がある。日本医 の患者に関しては,通常の同意書とは別に慎重投 学放射線学会の「放射線診療事故防止のための指 与患者用の同意書(図 2)を用意し,患者と家族に 14) 「喘息の既往」 , 「ヨード造影剤副作用 針」 では, 造影剤慎重検査であるとの意識を高めると同時 の既往」 , 「重篤な甲状腺機能亢進症」 の1つにでも に,検査にあたっては主治医の同伴を必須として 該当する患者には造影を行わないと記載している 緊急の場合に備えている。 が,代替検査を十分に考慮してもなお,特に必要 とされる場合には,検査依頼科と放射線科の最高 責任者,つまり部長の承諾のもと,主治医が立ち 会って行うという厳重な対策となっている。その 11 造影検査後の患者フォロー ◆連絡票の活用 際にはリスクが高いことを十分に説明したうえ 造影剤による副作用の約70%は投与中から投与 で,臨床上の必要性を主治医から患者に十分説明 5分以内に起こるとされており15),特に注意して し,通常の説明文書や同意書とは別のリスクの高 モニターを行うべきであるが,ヨード造影剤の副 い患者向けの説明文書,同意文書を作成すること 作用として投与後1時間以上経過して発現する遅 も考慮すべきである。 発性副作用があることも知られている。その発現 すでに 「造影剤慎重投与検査」 という名称でリス 率は報告により異なるが,客観的に評価ができる クが高いと判断された患者向けの検査枠を設定 皮膚症状や非造影検査との比較からは2∼3%程度 し,専用の説明文書,同意書を作成し,主治医立 であるとの報告16,17)もあれば,造影剤の投与を受 ち会いを必須とした検査を施設全体として実施し けなかった対照群と造影剤投与群の間において遅 ている施設もある。例えば大阪府立成人病センタ 発性副作用の頻度に有意差がなかったとの報告18) ーでは臨床上の必要性から造影CT検査の施行が もある。しかし,症例はきわめて限られるものの ぜひ必要な患者は,通常のCT枠とは別に 「造影剤 遅発性での重篤副作用の報告があることから,検 慎重投与枠」をつくり,軽度の副作用歴や喘息発 査後に異常があれば病院に連絡するよう案内し, 作の既往 (10年以上前) があっても造影検査が可能 連絡先を記載した注意書きを渡す対応が,現在多 表2 CT,MRIの造影剤禁忌,慎重投与検査の運用方法と副作用の重症度分類 (大阪府立成人病センター) CT,MRIの造影剤禁忌,慎重投与検査の運用方法 検査名 造影剤使用の可否 患者基本情報 検査枠 同意書 通常検査 造影剤使用可能 アレルギーなし 通常検査枠 通常の造影同意書 慎重投与検査 造影剤を慎重に投与 ヨード慎重投与 (軽度副作用) ガドリニウム慎重投与 (軽度副作用) 喘息 (10年以上発作なし) 造影剤慎重投与枠 造影剤慎重投与 同意書 禁忌検査 造影剤不使用 ヨード禁 (中等度/重度副作用) ガドリニウム禁 (中等度/重度副作用) 喘息 (治療中,10年以内に発作) 単純枠 別の検査法 ー 副作用の重症度分類 分類 症状 q軽度副作用 嘔気,嘔吐,味覚異常,発汗,咳嗽,掻痒感,皮疹 (局所性) ,蕁麻疹 (局所性) ,熱感,鼻閉,頭痛, めまい w中等度副作用 皮疹 (全身性) ,蕁麻疹 (全身性) ,気管支痙攣,喘鳴,呼吸困難 e重度副作用 ショック,アナフィラキシー様症状,皮膚粘膜眼症候群,腎不全,喉頭浮腫,意識障害,一過性麻 痺,痙攣発作,肺水腫,重大な不整脈 (心房細動,冠動脈痙攣) ,心肺停止 臨床画像 Vol.24, No.5, 2008 (137) 667 図2 「造影剤慎重投与検査」 に関する説明と同意書 (大阪府立成人病センター) あなたの病気の診断と治療方針を決定するためにヨード造影剤あるいはガドリニウム造影剤を用いた画像 検査が必要となりましたが,造影剤アレルギーや喘息の既往歴があります。当センターでは過去に発生した アレルギー症状が中等度(呼吸困難,全身性の皮疹・蕁麻疹,気管支痙攣,ぜい鳴) ないし高度(血圧低下,腎 不全,喉頭浮腫,意識障害,一過性麻痺,痙攣発作,肺水腫,不整脈,心肺停止など),または現在治療中の 喘息あるいは過去10年以内に発作のあった喘息をお持ちの場合には,造影剤投与を「絶対禁止」としています (検査できません)。 アレルギー歴のない方にヨード造影剤(ガドリニウム造影剤)で副作用が発生する頻度は100人に約5人(約1 人),重篤な副作用が起きる頻度は2.5万人に1人(2万人に1人),死亡率は40万人に1人(100万人に1人)です。 以前に副作用の既往や喘息があった場合,次回重篤な副作用が起こる確率はこれらの約5∼10倍といわれてい ます。 しかし,あなたのように過去のアレルギー症状が比較的軽度 (嘔気,嘔吐,局所的な皮疹・蕁麻疹,かゆみ, くしゃみ,発汗,咳,鼻閉感など)で,喘息発作も過去10年以上発生していない場合には,中等度以上の副作 用が生じる確率は比較的低いと推察します。 造影剤を使用しない場合には病気の種類によってはその画像検査において病変が検出されなかったり,診 断に迷ったりする可能性があります。ヨード造影剤を用いる検査に代わる検査法としてはガドリニウム造影 剤による造影MRIや超音波検査,ガドリニウム造影剤を用いる検査に代わる検査法としてはヨード造影剤に よる造影CT検査や超音波検査などがあります。 あなたの場合には,今回の造影検査を行うメリットの方が大きいと推察しますが,一旦造影剤によって中 等度以上の副作用が発生した場合には救命不可能なこともあります。したがって本検査施行に当たっては, 危険性について十分納得の上,同意・署名して下さい。なお,一旦同意されてもいつでも取り消すことがで きます。施行する場合には,副作用の発生について十分に注意し,必要な場合には入院して検査を受けてい ただく場合あります。 私は上記の説明を受け,副作用の頻度や重症度について十分納得しました。よって, ◇ 「造影剤慎重投与検査」 を受けることに同意します。 ◇ 「造影剤慎重投与検査」 を受けることに同意しません。 記入日:平成 年 月 日 患者氏名 (または代理人) : (代理人: 続柄 ) 家族氏名: 説明医師名: 668(138) くの施設で行われている。遅発性副作用に関する 患者への情報としてはどのような症状が多くみら れ,いつごろによくみられるか,どのくらい持続 するかなどを具体的に伝え,診療時間内と時間外 の連絡方法を伝えておくことが重要である。この ような対応の現状についても検査部門だけでな く,検査依頼科にも認識をもってもらい,異常が あった際には躊躇なく病院に連絡を取れる体制づ くりを強化していく必要がある。 ◆患者保管型造影剤副作用カード19) 現在,日本放射線科専門医会・医会では,異な る施設間でも情報伝達が可能なように,ヨード造 影剤・MRI用造影剤を用いた検査での使用造影剤 や副作用内容を記載した患者保管型造影剤副作用 カードを作成し,どの施設でも使用できるように している。広く使用されることで,患者のリスク の把握に有効な手段になると思われるので,ぜひ ご活用いただき,安全な造影検査の実施に役立て ていただきたい。 12 おわりに 患者に対するICは各施設の状況に応じた運用が 必要となると考えられる。医師個人での対応から 放射線科全体としての取り組みが行われるように なったが,さらに今後は施設全体の組織としての 対応が求められている。 ■文献 1)Schrott KM, et al:Iohexol in der ausscheidungsurographie: ergebnisse des drugmonitoring. 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