公営住宅等長寿命化計画 (PDF:757KB)

名寄市
公営住宅等長寿命化計画
概要版
平成22年12月
名寄市
第 1 章 計画の目的と位置づけ
公営住宅等長寿命化計画とは、
名寄市の公営住宅を長く、有効に活用していくために、現在の名
寄市の公営住宅の状況と課題を把握し、公営住宅の役割をふまえて
今後、市営住宅をどのように整備・維持管理するかということにつ
いての基本的考え方や、各団地をどのように(建替、用途廃止、改
善、修繕など)整備するかについて具体的に定める計画です。
1.計画の目的
平成 19 年 12 月に合併後の新たな名寄市における「名寄市公営住宅ストック総合活用計
画」を策定し、住宅・住環境に関わる各種施策、事業などに取り組んでいます。
しかし、昭和 40 年代から 50 年代に建設した大量の老朽化した公営住宅ストックの効率
的な更新によるライフサイクルコストの削減や、公営住宅の需要に対する的確な対応が必要
となっています。
このような状況をふまえ、建物の老朽化を予防する視点による維持管理への転換、計画的
な修繕の実施による建物の長寿命化を進め、公営住宅ストックの有効活用を図るため、「名
寄市公営住宅等長寿命化計画(以下、この計画)」を策定します。
この計画では、名寄市の公営住宅の状況と課題を把握し、公営住宅の役割をふまえた需要
を把握するとともに、建物の点検の強化及び早期の修繕による老朽化した建物にかかるコス
トの削減を図り、建替や改善、維持管理に関する団地別活用方針と事業計画を立案します。
また、今後は、この計画に基づき、予防保全的な管理、長寿命化のための改善を推進し、
公営住宅等ストックの適切なマネジメントを行います。
2.計画期間
この計画は、平成 23 年度から平成 32 年度の 10 年間を計画期間とします。
なお、今後の社会経済情勢の変化や市民ニーズの多様化などに対応するため、中間時のほ
か、必要に応じて見直しを行います。
計画期間(10 年間)
平成 23 年
構想期間(10 年間)
平成 23 年度 平成 27 年度 平成 32 年度
前期(5 年)
後期(5 年)
中間時見直し
-1-
平成 33 年度
平成 42 年度
第2章 公営住宅を取り巻く現状
1.名寄市の人口、世帯数
図1 人口・世帯数の減少
●人口
名寄市
名寄市の人口は、昭和 35 年をピークとして減少
単位:人
が続き、今後もさらなる減少が見込まれます。また、
年齢別では、高齢者の割合が増加し、若年者の割合
50,000
が減少しています。今後もこのような傾向が続き、
40,000
本格的な少子・高齢社会を迎えることが予測されま
単位:世帯
S35
48,180 人
H17
31,628 人
20,000
H12
人口
13,130 世帯
30,000
す。
名寄市の世帯数は、平成 12 年まで増加を続けて
10,000
いましたが、平成 17 年には減少に転じ、今後も減
15,000
H17
13,069 世帯
20,000
●世帯数
25,000
世帯数
5,000
0
少傾向となることが予測されます。また、1人世帯、
10,000
0
S5 S10 S15 S20 S25 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17
出典:各年国勢調査
2人世帯が増加するなど世帯規模の縮小がみられ、
高齢者の単身・夫婦世帯の増加も進んでいます。
2.名寄市の住宅事情
●住宅所有関係別世帯
名寄市の住宅所有関係別世帯数は、民営借家が増加傾向、給与住宅が減少傾向、持ち家、公営借家
が横ばいの傾向となっています。そのうち、公営借家の比率をみると、平成 17 年では、名寄市全体
で 8.6%、名寄地区が 7.1%、風連地区が 17.3%となり、名寄地区に比べて風連地区は公営借家の比
率が高く、地区により異なった傾向がみられます。
図 2 住宅所有関係別世帯比率
100%
80%
60%
7.4%
15.4% 14.7% 14.9% 12.1% 10.6% 8.9%
20.1% 18.2% 16.2%
給与
住宅
18.1% 20.1% 21.6% 22.7% 借家
民営
9.6% 8.7% 8.1% 8.3% 8.6%
8.9% 9.6%
公営
借家
図 3 住宅所有関係別世帯比率の他都市との比較
100%
80%
60%
8.0%
25.6%
7.1%
6.3%
24.5%
7.8%
11.7%
20.4%
7.2%
21.2%
4.0%
5.3%
17.3%
8.6%
10.0%
16.0%
7.1%
5.8%
18.6%
13.8%
5.1%
7.4%
22.7%
14.5%
10.2%
8.6%
14.8%
11.1%
9.6%
25.8%
26.6%
6.8%
11.8%
4.2%
3.3%
27.1%
33.0%
11.6%
3.0%
43.1%
4.0%
4.6%
30.3%
8.2%
3.2%
27.3%
6.7%
4.9%
40%
40%
55.6% 57.5% 59.3% 61.0% 61.3% 61.2% 61.3%家
持ち
20%
0%
S50
S55
S60
H2
H7
H12
H17
59.3%
61.4%
名寄
富良野
地区
市
53.2%
61.4%
73.4%
65.4%
68.5%
66.5%
61.3%
56.2%
20%
51.9%
57.1%
59.7%
滝川市
旭川市
49.0%
56.9%
給与
住宅
民営
借家
公営
借家
持ち
62.8% 家
0%
留萌市
紋別市
風連
地区
上川町
中富良野
美深町
名寄市
稚内市
網走市
札幌市
北海道
全国
町
出典:平成17年国勢調査
出典:各年国勢調査
●高齢者世帯の住まい
高齢者世帯は、約9割が持ち家に住み、そのほかでは公営借家に住む割合が多くなっています。
●住宅設備の状況
高齢者対応の住宅設備の整備状況は、北海道全体の整備状況と比較すると十分とはいえません。
-2-
3.公営住宅ストックの概要
図 4 公営住宅の団地別管理戸数
●公営住宅ストックの概要
区分
名寄市の公営住宅の管理戸数は、平成 22 年
団地名
建設年度
新北斗団地
8 月現在で 989 戸、地区別にみると、名寄地区
北斗団地
栄町55団地
では 664 戸(9 団地)
、風連地区では 325 戸
名
寄
地
区
(6団地)、また、道営住宅が名寄地区に 147
戸供給されています。
現在管理している建物は、市営住宅では昭和
緑丘第1団地
リンゼイ団地
若草団地
ノースタウンなよろ団地
東光団地
南団地
43 年から建設されたものとなり、平成 7 年か
名寄地区 計
ら緑丘第1団地、平成 15 年から東光団地、西
新北栄団地
北栄団地
町団地の建替が行われており、平成 21 年から
風
連
地
区
北斗団地・新北斗団地の建替、全面的改善が行
われ、北斗団地の入居者移転団地として、中心
西町団地
瑞生団地
白かば団地
風舞団地
市街地に近接して南団地が新設されています。
風連地区 計
市営住宅 合計
ノースタウンなよろ
道営
サンピラー
住宅
マーガレットヴィラ
管理戸数
S52~S56
S43~S60
S57~S59
H8~H13
S57~S63
H3
H元~H5
H15~H17
H21
S43~H21
S59~H元
H2~H8
S48~H20
S50~S54
S57
H5~H13
S48~H20
S43~H21
H2~H4
H8~H9
H10~H11
140
194
90
61
20
8
90
27
34
664
24
44
72
100
21
64
325
989
24
60
63
H2~H11
147
道営住宅 合計
(平成 22 年 8 月)
●市営住宅の現状
名寄市の市営住宅の管理戸数は、平成 3 年をピークに減少傾向となっています。平成 22 年の空
家率は全体で 17.1%となり、そのうち政策空家が 15.3%を占めています。応募状況では、名寄地
区は建築年の古い団地へのニーズが減少し、平成 19 年の 4.4 倍から平成 21 年には 2.1 倍となっ
ています。風連地区は平成 19 年の 1.7 倍から平成 21 年には 1.2 倍と減少傾向となっています。
市営住宅の構造は、木造・簡易耐火(平屋)構造が 59.5%を占め、昭和 50 年代後半から耐火構
造が中心となっています。また、平成 22 年時点で耐用年数の 1/2 を経過した住戸は全体の 56.1%
を占め、耐用年数を経過した住戸は 44.7%となっています。今後 10 年間整備を行わない場合、簡
易耐火(平屋)構造の約9割が耐用年数を超えることとなります。
住戸の規模については、全体の約半数が 60 ㎡/戸以上の規模となり、年々規模の大きい住宅が建
設される傾向がみられていましたが、近年では、小規模世帯向けの住宅も建設されています。また、
住宅設備は、3箇所給湯、高齢化対応について整備が遅れています。
図 5 市営住宅の管理戸数の推移
図 6 市営住宅の構造
単位:戸
単位:戸
1,600
1,400
1,200
名寄市
1,255
1,2571,269 1,2511,255 1,274
1,000 1,008 986 986 1,001
1,313
9741,022
974
1,000
1,287 1,295
1,191 1,166 1,164 1,172
1,123
1,119 1,1241,140
1,085
974 974
790 791 799
800
600
400
耐火
160
1,273
842 809
799 799
名寄地区
750 722
1,040 1,021 1,015
991 987 989
683 670 670 670 662 664
989
140
簡易耐火(2階)
準耐火
120
木造
簡易耐火(平屋)
100
664
90
80
123
60
風連地区
257 261 265 269 273
281
291
299
349 357 365 373 373 363 357 351 345 321 325 325
313 321 329 333 341
325
124
72
40
20
44
43
16
200
0
0
S60
S61
S62
S63
H元
H2
H3
H4
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
(平成 22 年 8 月)
-3-
18
S40
~
S44
S45
~
S49
S50
~
S54
S55
~
S59
S60
~
H元
36
4 8
H2
~
H6
42
43
1
H7 H11 H17
~
~
~
H11 H16 H21
(平成 22 年 8 月)
●市営住宅の入居者の現状
世帯主の年齢構成は、60 歳以上が 52.1%、40 歳未満は 18.3%となっています。高齢者のいる
世帯は全体の 45.0%であり、そのうち単身世帯が 54.2%、夫婦世帯が 23.8%となっています。
また、入居世帯の規模は、1人、2人の小規模世帯が 71.0%を占めています。
入居世帯の家賃は2万円未満が多く、世帯の収入(入居者選定の際に算出される収入)は、多くの
世帯が月収 10 万円未満となっています。収入超過の状況をみると、収入超過世帯は全体の 4.0%、
高額所得世帯は 0.5%となっています。
図 7 世帯主の年齢構成
30歳未満
30~39歳
図 8 高齢者世帯
40~49歳
50~59歳
60~70歳
高齢者世帯
70歳以上
35世帯
4.3%
45.0%
115世帯 108世帯
14.0%
13.2%
135世帯
16.5%
154世帯
18.8%
273世帯
33.3%
0%
20%
55.0%
40%
高齢単身
0%
一般世帯
20%
40%
60%
80%
100%
60%
高齢夫婦
54.2%
80%
100%
高齢者同居
23.8%
22.0%
(平成 22 年 8 月)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
(平成 22 年 8 月)
図 9 入居世帯の規模
1人
2人
図 10 収入超過の状況
3人
4人
5人
一般
6人以上
収入超過世帯
高額所得世帯
2.3% 0.1%
37.0%
0%
20%
34.0%
40%
14.3%
60%
80%
496世帯
12.3%
94.5%
100%
収入未申告
4世帯、
0.5%
80%
(平成 22 年 8 月)
90%
33世帯
8世帯
4.0%
1.0%
100%
(平成 22 年 8 月)
4.市営住宅事業のこれまでの取り組み
●名寄市公営住宅ストック総合活用計画 - 平成 19 年度
平成 19 年度に策定した計画にもとづき、名寄地区では、徳田団地の用途廃止(4 戸)、新北斗・
北斗団地の建替(除却 48 戸、建設 12 戸、全面改善4戸)
、南団地の建設(34 戸)を行ってきまし
た。一部実施年度に遅れはありますが、ほぼ計画通りに事業は進んでいます。
風連地区では、西町団地の建替(除却 16 戸、建設 14 戸)は計画通りに事業は進んでいますが、
瑞生団地の建替事業は入居者の移転が困難なことなどにより、事業着手の目処が立っていない状況と
なっています。
-4-
第3章 取り組むべき課題と基本方針
1.公営住宅における課題
課題1 高齢者や子育て世帯が暮らしやすい住宅、居住環境の整備
名寄市では少子化・高齢化が急速に進行し、市営住宅においても同様の傾向がみられます。特に
平成 22 年時点では 60 歳以上の高齢世帯主が 52%を占めるなど、高齢化の進行が顕著となってい
ます。
平成 19 年度の計画策定時と比較しても、
高齢者世帯の割合が約半数まで増加していることから、
今後の市営住宅においては、高齢者世帯や子育て世帯が暮らしやすい住宅、居住環境を整備してい
く必要性が高くなっています。
図 11 市営住宅入居者の世帯主の年齢
30歳未満
H19
H22
30~39歳
40~49歳
50~59歳
60~69歳
70歳以上
70世帯
145世帯
128世帯
165世帯
153世帯
256世帯
7.6%
15.8%
14.0%
18.0%
16.7%
27.9%
35世帯
115世帯
4.3%
14.0%
0%
108世帯
13.2%
20%
135世帯
16.5%
154世帯
273世帯
18.8%
33.3%
40%
60%
80%
100%
(平成 22 年 8 月)
課題2 適正な維持管理による良質な住宅ストックの形成
名寄市の市営住宅の建物の状況をみると、昭和 40 年代か
ら昭和 50 年代前半に建設された建物(主に北斗団地と瑞生
図 12 市営住宅の構造
単位:戸
耐火
250
団地)が多く存在し、老朽化がみられます。また、設備の整
備状況については、高齢者対応、3箇所給湯(台所、風呂、
洗面)の整備が十分とはいえず、風連地区においては水洗化
簡易耐火(2階)
準耐火
木造
簡易耐火(平屋)
200
150
されていない住宅もあります。
今後は、住宅の建替や建物を長持ちさせる効果的な改善、
修繕の計画的な実施など、建物の老朽化を予防する視点にた
90
88
155
50
った維持管理へと転換し、良質な住宅ストックの形成、既存
住宅ストックの有効活用を行うことが必要不可欠です。
224
100
43
0
69
18
16
12
68
58
43
24
32
8
1
14
26
S40 S45 S50 S55 S60 H2
H7 H11 H17
~44 ~49 ~54 ~59 ~H元 ~6 ~11 ~16 ~21
課題3 公営住宅の役割に応じた適正な管理戸数の維持
名寄市の市営住宅の管理戸数は、近年減少傾向にあり、公営借家の比率は他都市と比較して平均
的な比率となっています。今後の人口、世帯数の減少への対応や公営住宅における住宅セーフティ
ネットの役割、地域の実情などをふまえ、適切な管理戸数を維持していくことが重要となります。
また、適切な管理戸数の維持にあたっては、平成 22 年時点の収入超過世帯が 4.0%となっている
ことから、このような世帯への適切な対応により入居者の適正化を図る必要があります。
-5-
2.公営住宅における基本目標
●基本理念
暮らしの安定を支え、安心して暮らせる住まいづくり
~住宅セーフティネットの構築~
●基本目標
基本目標1
少子・高齢社会に対応した公営住宅の整備
本格的な少子・高齢社会の到来に対し、ユニバーサルデザインの考え方をふまえた住宅の整備を基本的
考え方とし、シルバーハウジングの供給や福祉施設等と連携した団地形成など、福祉部門との連携を図る
とともに、共用スペースの整備などにより良好なコミュニティの形成を促進します。
基本目標2
適正な維持管理による良質なストックの形成
既存住宅ストックの有効活用や良質な住宅ストックの形成のため、老朽化した住宅の建替の促進や高齢
化対応・3 箇所給湯などの住宅設備の改善促進、計画的な修繕による適正な修繕対応などを行い、新規建
設する建物については耐久性の確保に努めます。
基本目標3
適正な公営住宅供給による住宅セーフティネットの構築
人口、世帯数の減少、住宅セーフティネットの役割、地域の実情などふまえ、入居の適正化を図りつつ、
公営住宅の適正な管理戸数を維持していきます。この計画のなかで公営住宅の役割を明確化し、世帯数の
減少、住宅需要をふまえて設定した将来管理戸数に基づく建替事業の実施、募集時の配慮や収入超過世帯
への適切な対応を行い、民間事業者との役割分担のもと、住宅セーフティネットの構築を図ります。
3.公営住宅の役割
~公営住宅法第1条~
住宅に困窮する低額所得者の居住の安定確保
・住宅セーフティネットの基礎づくり
→民間と役割分担のもと、適正な戸数の維持
・高齢者や障がい者、子育て世帯等が安心して暮らせる環境づくり
→福祉と連携した居住環境の形成
・まちなか居住の推進
→交通弱者への配慮とまちづくりへの貢献
今後の名寄市における市営住宅の役割は、公営住宅法第 1 条の「健康で文化的な生活を営むに足り
る住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、または、転貸する
ことにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与する」ことを基本的な役割と考えます。
また、住宅政策においても重要な役割を担う必要があることから、①住宅セーフティネットの基礎
づくり、②高齢者や障がい者、子育て世帯が安心して暮らせる環境づくり、③まちなか居住の推進な
どにも取り組んでいきます。
-6-
4.目標管理戸数の設定
公営住宅の役割等をふまえた市営住宅の管理を適切に行うため、将来を見据えた適正な目標管理戸
数を設定します。目標管理戸数は、世帯数の推移と住宅需要を検討することにより設定します。地区
により住宅事情等が異なっていることから、地区別(名寄地区、風連地区)の数値設定を基本として設
定します。
●将来人口、将来世帯数
平成 32 年の総人口
26,080 人
平成 32 年の一般世帯数 12,520 世帯
名寄地区:22,490 人
風連地区: 3,590 人
名寄地区:10,930 世帯
風連地区:1,580 世帯
●平成 32 年の住宅需要
持ち家
公営借家
民営借家
給与住宅
62.0% 7,500 世帯
7.6%
920 世帯
25.1% 3,040 世帯
5.3%
640 世帯
名寄地区:60.2% 6,350 世帯
風連地区:74.1% 1,150 世帯
名寄地区: 6.2%
660 世帯
風連地区:17.3%
270 世帯
名寄地区:27.9% 2,950 世帯
風連地区: 6.1%
90 世帯
名寄地区: 5.7%
風連地区: 2.5%
40 世帯
600 世帯
●平成 32 年の市営住宅の目標管理戸数
名寄市
840~930 戸
名寄地区:550~610 戸
風連地区:290~320 戸
5.民間活用手法の検討
今後の効率的な公営住宅の供給のため、民間事業者と連携を図り、住宅市場における適切な役割分
担のもと、多様な手法の導入を検討します。
制度
直接建設
買取り公営住宅
借上げ公営住宅
概要
地方公共団体が
直接住宅を建設
し、供給する公営
住宅であり、45%
の国の補助が活用
できる。
民間事業者や土地所
有者が、国や地方公共
団体の補助を利用し
て賃貸住宅を建設し、
地方公共団体が買い
取って供給する公営
住宅であり、45%の
国の補助が活用でき
る。
民間事業者が建設した一定の基
準(公営住宅等整備基準)を満た
す共同住宅(棟単位)を地方公共
団体が借り上げて、借上げ費を負
担しながら供給する公営住宅で
あり、建設費のうち共用部分につ
いて国(1/3)と地方公共団体
(1/3)が民間事業者に補助す
る。また、既存住宅を借り上げる
こともでき、整備基準の緩和や戸
単位での借り上げも可能である。
PFI的手法の活用
(Private Finance Initiative)
民間事業者が資金や技術
等のノウハウを提供し、公
共施設の設計・建設・資金
調達・管理運営等、事業の
ライフサイクルを一貫して
行う。
6.福祉的利用の検討
少子高齢社会を迎え、公営住宅においても福祉的な役割を担う必要性がみられています。そのため、
公営住宅における高齢者等の生活支援、地域の福祉サービスとの連携、グループホーム等としての活
用など、福祉部門との連携を図り、検討を進めていきます。
-7-
第4章 長寿命化を図るべき公営住宅等の選定
1.長寿命化に関する基本方針
(1) ストックの状態の把握及び日常的な維持管理の方針
・建物の劣化状況を適切に把握し、状況に応じた計画的な修繕を行うことにより、予防的な維
持管理に努めます。
・日常的な保守点検の実施に努め、修繕を行う際には、長寿命化を図る視点から、効果的な修
繕を行います。
・住宅管理データベースを活用し、団地、住棟、住戸単位の修繕・改善履歴データ等を整備し、
住宅ストックに関する状況を適切に管理します。
(2) 長寿命化、維持管理コストの縮減について
・建物の状況を的確に把握し、効率的で効果的な改善の実施により建物の長寿命化を図ります。
・仕様や材料のアップグレード等による耐久性の向上や修繕周期の延長、建替え周期の延長な
どによってライフサイクルコストの縮減を図ります。
2.市営住宅の活用方針の考え方
●活用手法の種類
①建替
現地建替:市営住宅を除却し、除却後の土地の全部、又は、一部に新たに住宅を建設
移転建替:市営住宅を除却し、他の団地へ統合、又は、利便性の高い場所などに、新たに建設
②改善
個別改善:安全性確保、福祉対応、居住性確保、長寿命化等、既存住宅の不足機能を改善
全面的改善:個別改善のメニューを全て実施し、既存住宅の質を新築並みに向上
③修繕対応:保守点検、一般修繕(日常的に必要な小規模な修繕)、計画修繕(修繕周期等に基づき
計画的に実施する大規模な修繕)等を行い、住宅を維持
④用途廃止:市営住宅として管理することを止め、建物を除却(建替に伴う除却により用途廃止する場
合もある)
●活用手法の判定方法 市営住宅の活用手法の判定は、住棟、又は、団地ごとで行います。
◆1次判定(社会的特性による判定):経過年数(構造別)、需要の状況、高度利用の必要性・可能
性、改善履歴の状況等による評価を行い、維持管理、建替、用途廃止、継続判定とする住棟を
判定
※維持管理、継続判定の住棟は2次判定へ
◆2次判定(物理的特性による判定)
:躯体の安全性や避難の安全性、居住性の評価を行い、修繕対
応、改善(全面的、個別)、建替とする住棟を判定
◆3次判定(総合的な検討)
:団地単位・地域単位の整備のあり方、まちづくりの視点からみた地域
整備への貢献、事業の容易性などの個別事情により総合的に検討
修繕対応、個別改善、全面的改善、建替、用途廃止、事業主体の変更
-8-
3.市営住宅の団地別活用方針
8 ページに示した考え方により、団地別活用方針を以下のように設定しました。
●3次判定における団地別の考え方 ※特記すべき団地のみ掲載
1)北斗団地、新北斗団地
・現在進めている事業を継続
2)緑丘第1団地、ノースタウンなよろ団地、風舞団地
・屋根材、外壁パネルの劣化がみられ、外断熱の性能維持による建物の長寿命化が必要であるこ
とから、個別改善(長寿命化型)を検討
・ノースタウンなよろ団地では、内部結露を防止し居住性の向上を図るため、全熱交換換気方式
への変更等の個別改善(居住性向上)を実施
3)瑞生団地
・建物の老朽化が進んでいるが、入居者の移転、市の財政状況により、早期の事業着手が困難と
考えられることから、入居者の居住性維持のために早期に水洗化(修繕対応)事業を行うこと
を検討
4)北栄団地、新北栄団地
・風連地区の住宅特性(民間賃貸住宅が少ない)や需要をふまえ、今後、長期的に活用していく
方法を検討
●団地別活用手法
計画期間(H23~H32)
建替
用途廃止
全面的
改善
個別改善
構想期間(H33~H42)
・北斗団地
・瑞生団地
・白かば団地
・栄町55団地
・西町団地(一部)
・リンゼイ団地
・新北斗団地(一部建替)
-
・ノースタウンなよろ団地
【居住性確保型・長寿命化型】
・緑丘第1団地【長寿命化型】
・風舞団地【長寿命化型】
※上記以外の団地は「修繕対応」
-9-
・北栄団地
・新北栄団地
●年次計画
これまでの検討結果から、団地別の具体的な事業実施について、以下のように計画します。
凡例
団地名
名
寄
地
区
新北斗
140
北斗
194
栄町55
90
緑丘第1
61
東光
27
リンゼイ
20
若草
ノースタウン
なよろ
南
名寄地区 計
西町
瑞生
風
連
地
区
H2 2 年
8 月時点
戸数
:個別改善
:全面的改善
計画期間
構想期間
前期
H2 2
H2 3
4
H2 4
H2 5
後期
H2 6
4
H2 9
8
H3 0
8
8
16
4
8
12
12
16
12
10
10
12
12
12
12
14
12
18
16
8
H2 8
8
8
8
H2 7
:計画修繕
8
前期
H3 1
H3 2
H3 3
4
4
10
10
12
10 10戸
16
22
24
24
28 26戸
36
36
H3 4
H3 5
後期
H3 6
H3 7
H3 8
H3 9
H4 0
H4 1
H4 2
8
60戸程度
90戸
42
18
27 戸
20
8
20戸
8
90
30
30
30
644
638
632
622
51
31
8戸
90戸
34
664
34戸
656
610
72
100
白かば
21
新北栄
24
北栄
44
風舞
64
風連地区 計
合計
:建替
:用途廃止
594
566
556
548
8
8
8
8
538
472
64戸程度
20 80戸
8戸
21戸
24戸
44戸 8
16
32
16
64戸
325
325
325
325
325
325
325
317
309
301
293
273
244
989
981
969
963
957
947
935
911
875
857
841
811
716
●建替事業の実施方針
・耐用年数を経過し、老朽化の著しい建物の建替において、現地建替が困難な場合は、まちなか居
住の推進やコンパクトなまちづくり、中心市街地活性化等に資するために、中心市街地への移転
建替を行います。
・建替にあたっては、「北海道ユニバーサルデザイン公営住宅整備指針」及び「北海道環境共生型
公共賃貸住宅整備指針」に基づき整備を行います。
・耐用年数を超過した住棟については、用途廃止又は建替を実施するまでの間、簡易診断を行い、
毎年定期的な点検による修繕等を行うなど、適切な維持管理に努めます。
・事業実施にあたっては、地域の住宅事情、公営住宅の需要、入居者の現状等を的確に把握し、新
たに建設する住宅の戸数、間取り、仕様などを適切に計画します。
・人口減少、少子高齢化等の社会情勢をふまえた住宅マスタープランにおける住宅需要を勘案し、
公営住宅の目標管理戸数を目指した建替戸数の設定を行います。
・民間賃貸住宅市場との連携、住宅確保要配慮者の動向に応じた住宅セーフティネットの構築、高
齢化に対応した福祉施策との連携、地域活性化に寄与するまちなか居住の推進等、公営住宅の役
割をふまえ、適切な事業手法を選択します。
- 10 -
4.長寿命化のための維持管理計画
●修繕事業の実施方針
国が定める耐用年数(木造・簡易耐火平屋:30 年、簡易耐火2階・準耐火:45 年、耐火:70
年)まで、既存の市営住宅を有効に活用するためには、適正な修繕や補修を計画的に行う必要があ
り、以下の4つの手法により日常的な保守点検により建物の劣化状況を把握しながら、計画修繕、
一般修繕を適切に実施し、建物の長期的な活用を図ります。
①計画修繕:外壁の再塗装、屋根防水工事の実施等、材料の性能維持のために定期的に実施
②一般修繕:水漏れ、外壁のひび割れ等、不特定の時期に生ずる支障に対しその都度実施
③保守点検・定期点検:日常的な保守点検や定期点検
④入退去時修繕:空家となった段階で再入居に備え行う修繕
●長寿命化型改善事業の実施方針
・建物の長期活用を図るため、既存の屋根防水層の保護、外壁の断熱性能の回復及び仕上げ材の耐
久性の確保など、屋根や外壁を中心とした性能向上のための改善を実施します。
・改善方法の選定にあたっては、日常点検による建物の状況等から維持管理上問題となっている部
位等を的確に把握し、また、今後の維持管理における効果の検討を行い、効果的な手法を選定し
ます。
・外壁については、気候特性をふまえ、外断熱工法による断熱性能の確保を基本とし、あわせて躯
体の耐久性確保や維持管理しやすい仕様への更新を図ります。
・屋根は、劣化の改善を行うとともに、耐久性の確保や維持管理しやすい仕様への更新を図ります。
■ノースタウンなよろ団地
屋根の防水層や外壁パネルの劣化が全面的にみられ、部分的な修繕対応は困難なため、長寿命化
型改善が必要
・屋根:断熱露出アスファルト防水への仕様変更
・外壁:外断熱パネルに金属製外装材を付加
・換気設備:結露防止のために、換気方式を全熱交換換気に変更
■風舞団地
屋根の金属板葺きの劣化や外壁パネルの劣化やひび割れが全面的にみられ、部分的な修繕対応は
困難なため、長寿命化型改善が必要
・屋根:落雪可能な屋根勾配に改修
・外壁:外断熱パネルに金属製外装材を付加
■緑丘第一団地
外壁パネルの劣化や塗装のはがれが全面的にみられ、部分的な修繕対応は困難なため、長寿命化
型改善が必要
・屋根:断熱露出アスファルト防水への仕様変更
・外壁:シーリングの打ち替え、塗装の耐久性向上
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5.長寿命化のための維持管理計画による効果
改善事業の実施により一時的に改善工事費が発生しますが、耐久性の高い資材を使用して改善を行
うことで、修繕回数及び修繕費が減少します。そのため、耐用年数まで建物を使用する場合、改善事
業を実施した建物の維持管理コストの累積は、改善事業を実施しない建物の維持管理コストより低減
されます。
建物の長寿命化を図るための改善事業の実施にあたり、ライフサイクルコスト(建設時点から次回
の建替までの要するコスト。以下「LCC」という。)の縮減効果を算出します。
算出方法、計画期間内に改善事業を実施する建物についての算出結果は以下のとおりです。
●LCCの算出方法
「公営住宅等長寿命化計画策定指針」に基づくプログラム(国土交通省住宅局住宅総合整備課)を
基本とし、以下の考え方を用いてLCCの算出を行います。
①長寿命化型改善後の修繕費を低減する(修繕周期の減少等)。
②LCC算定期間を耐用年数 70 年で統一する。
③今後かかる費用についての効果を算定する考え方により、LCC算定の開始時期は、建設年度(平
成 23 年)とし、計画期間以前の修繕費を合算し、計上する。
④LCC算出の対象部位は、直近の修繕年度を修繕周期の開始年とする。
⑤LCC改善効果は、将来コストを社会的割引率4%として現在価値化し算出する。
●LCCの縮減効果
全面的改善又は長寿命化改善を行う団地の各住棟についてLCC縮減効果は以下の通りプラスと
なり、長寿命化の効果が期待できることを確認しました。
団地名
新北斗団地
実施事業
LCC縮減効果【円/年・棟】
全面的改善
660,000
ノースタウンなよろ団地
長寿命化型改善
5,000~86,000
緑丘第1団地
長寿命化型改善
27,000~137,000
風舞団地
長寿命化型改善
3,000~139,000
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■発 行■
名寄市建設水道部都市建築課
〒098-0507 名寄市風連町西町196-1
TEL 01655-3-2511