No.3 平成19年9月10日 発行: 農業機械『安心・安全な農作業のすすめ』 いよいよ本格的な秋作業シーズンに突入し、皆様におかれましてはお忙しい日々をお過ご しのことと存じます。 農業機械の大型化・高性能化の一方で、県内では毎年約10人もの方々が農作業事故で亡 くなっており、そのほとんどが機械作業によるものです。 そこで、今回は、安心・安全な農作業のポイントについてご案内いたします。 1.農作業事故の現状と傾向 (1)農作業事故発生状況 表−1は、過去の農作業事故の統計を示したものです。 これによると、平成17年度は、事故のうち約67%が農業機械により 発生した事故であり、65歳以上の高齢者の事故が全体の約75%を占めることがわか ります。 【表1 農作業中の死亡事故発生状況】 平成2年 7年 13年 14年 (単位:件,%) 15年 16年 17年 事故発生件数 384 397 396 384 398 413 395 農業機械作業による 282 273 272 269 282 295 263 73.4% 68.8% 68.7% 70.1% 70.9% 71.4% 66.6% 230 288 323 319 321 327 330 59.9% 72.5% 81.6% 83.1% 80.7% 79.2% 83.5% 286 291 295 297 298 72.2% 75.8% 74.1% 71.9% 75.4% 事故 60歳以上層 65歳以上層 ※農林水産省統計より(新潟県は H17 より県内統計を公表していない) (2)農業機械の種類による事故発生状況 表−2は、機械の種類による事故の統計を示しています。 この表から、乗用トラクタによる事故が約半数を占め、そのうち転倒・転落による事故 が約7割に達していることがわかります。 また、 収穫作業中のコンバインによる事故は全体の約4%と、 やや低いことがわかります。 1 【表2 機種別の事故原因(H17 年度】 乗用型トラクタ 歩行用トラクタ 農用運搬車 (単位:件,%) 平成13 平成14 平成15 平成16 平成17 年 年 年 年 年 平成2年 平成7年 136 128 146 123 132 135 124 48.2% 46.9% 53.7% 45.7% 46.8% 45.8% 47.1% 64 57 38 47 43 54 55 22.7% 20.9% 14.0% 17.5% 15.2% 18.3% 20.9% 35 42 32 45 37 39 30 12.4% 15.4% 11.8% 16.7% 13.1% 13.2% 11.4% 19 11 9 11 13 11 10 6.7% 4.0% 3.3% 4.1% 4.6% 3.7% 3.8% 28 35 47 43 57 56 44 9.9% 12.8% 17.3% 16.0% 20.2% 19.0% 16.7% 自脱型コンバイン その他 【表3 農業機械による事故の原因(H17 年度】 機械の転落・転倒 道路上での衝突 挟まれ ひかれ 回転部巻き込み その他 合計 乗用型 歩行型 農用 自脱型 トラクタ トラクタ 運搬車 コンバイン (単位:件,%) その他 合計 90 11 7 7 13 128 72.6% 20.0% 23.3% 70.0% 29.5% 48.7% 8 7 7 6.5% 12.7% 23.3% 0.0% 0.0% 8.4% 6 22 8 2 6 44 4.8% 40.0% 26.7% 20.0% 13.6% 16.7% 2 4 3 2 11 1.6% 7.3% 10.0% 0.0% 4.5% 4.2% 10 9 1 1 10 31 8.1% 16.4% 3.3% 10.0% 22.7% 11.8% 8 2 4 13 27 6.5% 3.6% 13.3% 0.0% 29.5% 10.3% 124 55 30 10 44 263 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 22 ※表-2、3 とも農林水産省統計より 2.農作業事故防止のポイント (1)農作業をするうえでの留意点 ①作業にあった適切な服装 ・農業機械に手や足を巻き込まれる事故が多発しています。その多くは、衣服が巻き込ま れたものです。巻き込まれないよう気をつけましょう。 2 ②定期的な自主点検の励行 ・ 「備えあれば憂いなし」です。これから使う機械や道具の点検・整備は早めにおこない ましょう。 ③適度な休憩をとり、余裕をもって作業 ・ 昔からの10時と3時の休みは理にかなったものです。1日の作業計画で2時間に 10∼20分程度の休憩時間を入れ、無理のない作業をしましょう。 ④体に異常を感じたら、無理せずに作業を中断する ・ 「もう少しだから・・・」 、 「ここでやめると後に影響するから無理して・・・」 軽い気持ちが大きな事故につながります。 ⑤家庭内やグループごとに安全作業について話し合う ・これから取り組む作業について予想される危険とそれを防ぐ方法を考えましょう。危 険予知訓練を習慣づけることによって安全確保がはかられます。 (2)今年のキーワード ★熱中症に注意を! 今年の夏は猛暑による熱中症を原因とした死亡事故がマスコミに多く取り上げられま した。 熱中症には、①熱波により高齢者に起こるもの、②幼児が高温環境で起こるもの、③暑 熱環境での労働で起こるもの、④スポーツ活動中に起こるもの、の4タイプがあります。 熱中症にかからないためには、 普段の農作業において作業前に充分な水分摂取をおこな い、 作業中ものどの渇きを感じる前にこまめにスポーツドリンクなどで水分と塩分を補給 するよう心がけましょう。 3 ★乗用トラクタのシートベルト着用を! 乗用トラクタには転落・転倒時に人命を守るため、安全キャブ、フレームが装着され ています。 しかし、あくまでも転倒転落事故時に負荷がかかったときに、座席の運転者を守る空 間が確保できる強度があるかどうかで強度が決定されます。 つまり、 転落転倒時に運転者がシートベルトで座席に固定されているのが前提であって、 そうでなければ、安全キャブ、フレームの装着はその機能を充分に果たすことができない のです。 ある調査で乗用トラクタを所有する農家にアンケートをとったところ、常時締めるの は5%、路上だけ締めるのが11%、他は全く締めないといった結果でした。 事故を避けるため、自動車運転時と同様に乗用トラクタの乗車時にもシートベルト着 用を是非心がけましょう。 安全フレーム 装着車です。 3.その他 JAグループでは、事故ゼロをめざして「秋の農作業安全運動」を推進しています。 ●期 間 :平成19年8月20日∼10月20日 ●重点推進事項: ・安全フレームなどを装着しましょう。 ・労災保険・共済等に加入しましょう。 ・日常点検、始業点検を励行しましょう。 ・無理な運転はやめ、作業中は適度な休憩をとりましょう。 ・トラブル時は必ずエンジンをとめましょう。 ・道路では道路交通法を遵守し走行しましょう。 ●安全走行のための備品 低速車マーク、反射シールなど (全農新潟県本部 生産資材部農業機械課) 4
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