容積形ポンプの構造 (往復ポンプ,回転ポンプ) (機械工学便覧改訂6版, (社) 日本機械学会著/発行,1977) 容積形ポンプは,ピストン,プランジャまたはロータの押のけ作用に ベーンポンプは,ロータに放射状に切られたみぞの中を羽根(ベーン より液体を圧送するポンプである。このうち,ピストン,プランジャに と呼ばれることが多い)が自由に出入りするようになっており,ロータ よるものが往復ポンプである。往復ポンプは,ピストンまたはプランジャ の回転によって羽根は遠心力で半径方向にとび出し,その先端がカムリ (以下ピストンという) の往復動によって揚液の吸込・吐出し作用を行う。 ングの内周面を接触しゅう動する。 作動形式によって,単動形,複動形および差動形に,また1回転あた ロータの回転によって羽根,ロータ,カムリング及び両側板で囲まれ りに作動するピストン数によって,単シリンダ形,2,3,5シリンダ た室の大きさが拡大,縮少し,カムリングや側板に液の入口,出口を設 形(または2∼5連形)に分けられる。補助ピストンによって膜に往復動 けておけば,ポンプ作用をすることになる。 を与える膜ポンプも,漏れや異物の混入の許されない場合に使用される ことがある。 カムリング ロータ 羽根 吐出し口 (a)単動プランジャポンプ (A:空気室) (b)複動ピストン ポンプ (c)差動プランジャ ポンプ 吸込口 ベーンポンプ(平衡形) ねじポンプは,ケーシングに内接して1本ないし3本のねじ形回転子 を回転させ,液体はそれらの間にできるすきまを満たして軸方向に送ら れる。2本及び3本ねじの場合は軸スラストをつりあわすため同じ軸に (d)三連プランジャ ポンプ (e)膜ポンプ (A:膜でB∼C間を往復) 左右反対のねじを取付け両端を吸込側,中央を吐出し側とする場合が多 い。 ねじポンプには,一条ねじの回転子が二条ねじの固定子の中で偏心運 回転ポンプは,ロータによる押のけ作用によるもので,歯車ポンプ, 動をしながら回転する一軸形,2本のねじが互いにかみあった状態で回 ベーンポンプ,ねじポンプなどがある。歯車ポンプには外接歯車ポンプ 転する二軸形,及び3本のねじのかみあいを利用した三軸形がある。 と内接歯車ポンプがある。 外接歯車ポンプはケーシングに密に接した駆動歯車と従動歯車とより なり,歯先空間に満たされた液体はケーシング内面に沿って移動し,歯 車のかみあいによって送り出される。 内接歯車ポンプは駆動小歯車と偏心した位置にある内歯車とよりな り,液体は同様に歯車のかみあいによって送り出される。 (a)一軸形ねじポンプ ケーシング 吸込口 吸込み 吐出し口 吐出し 外側かみあい歯車ポンプ 内接歯車ポンプ (b)二軸形ねじポンプ (c)三軸形ねじポンプ
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