わかば(知的障害)学級 生活単元学習指導案 指導者 教諭 中村 英樹 1 単元名 「レストランへ行こう1」 2 単元の目標 ○ 総括目標 レストランへ行って,その様子や置いてある物に興味をもち,予算500円で自分の 食べたい物を選び,料金をちょうどの金額で支払うことができる。 関 レストランの様子や置いてある物に興味をもとうとする。 □ 考 □ 予算を考えて自分の食べたい物を選ぶことができる。 表 レストランの様子をもとに,レストランごっこができる。 □ 知 □ 料金が分かり,ちょうどの金額を支払うことができる。 3 単元について 生活単元学習とは, 「児童が生活上の課題処理や問題解決のための一連の目的活動を組織 的に経験することによって,自立的な生活に必要な事柄を実際的・総合的に学習するもの。」 ととらえる。 昨年度は,社会見学のおやつを買うことを目標に設定し,スーパーでの買い物学習の中 で予算300円までの支払いを経験している。一つの品物の金額は100円前後が多く, 品物の金額を読む,電卓で合計を出す,300円以内の金額をちょうど支払うという学習 を行った。使用した金種は,1円硬貨,10円硬貨,100円硬貨の3種類である。 昨年度の学習を踏まえて,今年度は,最終的には,総合的な学習の時間にみんなで作っ た野菜を販売したお金でレストランでパーティーをすることを目標に設定し予算 1000 円 までの支払いを経験させたいと考えている。 子供たちにとって,レストランなどの店に食事に行くことは,自立的な生活に必要な事 柄と考えた。子供たちは,今まで家族といっしょに外食の経験はあるものの,注文から, 食事,支払いという一連の活動を経験したことはほとんどない。また,生活の具体的な場 面で金銭について理解する活動を行ってほしいという家庭からのニーズも高い。子供たち もレストランでみんなで食事をしてみたいという気持ちがあり,昨年までみんなで給食を 食べていた場所を「ひまわりレストラン」と名付けるほどである。 本単元「レストランへ行こう1」では,予算200円をもってレストランに行きレスト ランの様子や置いてある物,メニューの金額などに注目させるところから導入する。これ をもとに,教室にレストランを再現し,レストランごっこを行い,予算にあった注文の仕 方や支払いの仕方について学習を進める。そしてまた実際にレストランに行き予算500 円で注文を考え,食事をし,支払いをするという活動を行う中で,実際的・総合的な学習 を展開したいと考え本単元を設定した。 4 子供の実態(3年女1名,5年男1名,6年男2名,計4名) 学年 学習全般に関する子供の実態 本単元に関する子供の実態 本単元における目標 3年 ・初めてのことについては, ・レストランの様子などを観 ・レストランの様子をも 女 消極的な態度になるが,や 察し,どんな物があったか とに,レストランごっ A児 り方が理解できると進んで などを覚えることができ こができる。 行動する。 る。 ・何百何十何円(500 円 ・集中して取り組むことが苦 ・百何十何円までは,値段を 以下の金額)を理解し, 手で,今やっていることよ 読み,金種を選んで支払う 値段を読み,金種を選 りも次のことに気持ちが移 ことができる。百円玉が複 んで支払うことができ ることがある。 数になると理解できない る。 ところが出てくる。 5年 男 B児 6年 男 C児 ・発想が豊かで,いろいろな アイデアが出てくる。生活 経験も幅広くあり,金銭に 関しても生活の中で生かせ る。 ・自分の世界に入ってしまう と学習に取り掛かれなくな り,ガタンゴトンなど同じ 言葉を繰り返して他のこと は見えなくなってしまうこ とがある。 ・まじめに何でもやろうとす る。理解する力もあり,活 動を最後まであきないでや ることができる。 ・言葉での表現が苦手だが, 金銭の理解も進んでおり, 正確に値段を読んだり,支 払いをしたりすることがで きる。 ・レストランの様子やあった 物を覚えるだけでなく,こ んなものがほしいなど自 分で考え工夫することが できる。 ・百何十何円までは,理解で きている。ただ,数字を書 いたり,読んだりすること が苦手で,理解しているこ とを表現できない。 ・レストランの様子やあった 物など部分的には正確に 覚えることができる。全体 的な様子をつかむことが 難しい。 ・何百何十何円までの理解が できており,百円玉が複数 枚あっても理解できる。 50 円玉や 5 円玉の理解は できていない。 6年 ・行動や理解はゆっくりだが, ・レストランの様子やあった 男 活動を理解することがで 物など興味があるものは D児 き,自分の課題に取り組む 覚えることができる。それ ことができる。 を表現したり,再現したり ・積極的に話はしないが,自 することができない。 分の気持ちを言葉で相手に ・1 円玉と 100 円玉の弁別が 分かりやすく伝えることが できず,金種が増えると混 できる。 乱してしまう。1 種類であ れば正確に数えることが できる。 5 ・レストランの様子をも とに,工夫をしてレス トランごっこができ る。 ・何百何十何円(500 円 以下の金額)を理解し, 値段を読み,金種を選 んで支払うことができ る。 ・レストランの様子をも とに,友達の話を聞き ながら,レストランご っこに参加できる。 ・何百何十何円(500 円 以下の金額)を理解し, 値段を読み,金種(50 円 玉を含めた)を選んで支 払うことができる。 ・レストランの様子をも とに,周りの様子を見 ながらレストランごっ こをする。 ・金種を少なくし,簡単 な金額にし,自分でわ かる金種の中から,ち ょうどになるように支 払いをする。 指導の着眼 手だて1 手だて2 手だて3 教材・教具の開発と工夫 指導方法・指導体制の工夫 評価の工夫 (1)実際の場面に近いより具体的 (1)実際場面とごっこ遊びを (1)活動前のめあての な教材・教具を活用する。 組み合わせた指導を行う。 設定と活動後の自 ・実際の硬貨を使用する。 ・レストランでの様子をもとに 己評価を行う。 ・メニューやテーブルの上に置いて レストランごっこを行う。 ・選択式にして,活動前 いる物なども実際に使用している ・ごっこ遊びで理解した内容を にめあてを決める。 物やそれに似ている物を使用す レストランで活用する。 ・活動後は,めあてにつ る。 (2)クラスでの活動と合同で いて自己評価を行う。 (2)可動式値段表とお金シートを の活動を組み合わせた指 活用する。 導体制。 ・価値の大小が理解しやすいように ・活動の内容やねらいによって 可動式値段表と,金銭の数を把握 指導体制をかえる工夫をす しやすい,お金シートを準備する。 る。 6 指導と評価の計画 時 ね ら い 指導体制 具体の評価規準・評価方法 第 1 小単元 レストランってどんなところかな(3 時間) 関 レストランへ行った経験などから, 【クラス】 1 ・レストランは, □ どんなところな レストランはどんな所か話合い,様 のか,興味・関 子や置いてある物などに興味をもつ 心をもつことが ことができたか。(発言内容) できる。 関 レストランの様子や,置いてある物 2 ・実際にレストラ □ 【合同】 に興味をもち活動することができた 3 ンに行き,店の か。(活動の様子) 中の様子や置い てある物に興味 をもつことがで きる。 第 2 小単元 レストランごっこ1(3時間) 1 本 時 2 ・レストランの様 子や置いてある 物を思い出し, レストランごっ こをする準備が できる。 【クラス】 留意点 ・次時にレス トランに行く ことを伝え意 欲を高める。 ・レストラン ごっこする ことを提案 し意欲を高 める。 表 レストランの様子や置いてある物を □ ・注文や支払 話合い,みんなでレストランごっこ いの仕方を をするために必要な物を準備するこ 練習する必 とができたか。(発言,活動の様子) 要があるこ と話す。 知 メニューを見て料金が分かり,ちょ ・料金が分かり, 【クラス】 □ ちょうどの金額 うどの金額で支払うことができる を支払うことが か。(発言,操作活動の様子) できる。 考 メニューを見て,予算を考え自分の 【合同】 3 ・レストランごっ □ 食べたい物が注文できたか。 この中で,予算 (活動の様子) を考えて注文す ることができ る。 小単元3 レストランでティータイム(おやつ)にしよう(4 時間) 知 予算 500 円を考え,自分の食べたい 1 ・レストランに行 【合同】 □ 物を注文し,ちょうどの金額を支払う 2 き予算 500 円で 3 ことができたか。(活動の様子) 注文しちょうど 4 の金額を支払う ことができる。 ・合同でレス トランごっ こすること を話す。 ・本当のレス トランでも できるよう に 練 習 す る。 ・生活場面で 生かすこと ができてい るかを把握 する。 7 本時の指導 (1)小単元名 レストランごっこ1 (2)本時の目標 レストランの様子や置いてある物を思い出し,レストランごっこをする準備ができる。 (3)指導の着眼 手だて1 手だて2 手だて3 教材・教具の開発と工夫 指導方法・指導体制の工夫 評価の工夫 (1)実際の場面に近いより具体的 (1)実際場面とごっこ遊びを (1)活動前のめあての な教材・教具を活用する。 組み合わせた指導を行う。 設定と活動後の自 ・メニューやテーブルの上に置いて ・レストランでの様子や置いて 己評価を行う。 いる物なども実際に使用している ある物を思い出し,それをも ・選択式にして,活動前 物やそれに似ている物を使用す とにレストランごっこを行う にめあてを決める。 る。 準備をする。 ・活動後は,めあてにつ いて自己評価を行う。 (4)準備物 ・レストランのテーブルの上にあったものを借りてくる。 (紙ナプキン,調味料,メニュー, テーブルクロスなど) ・画用紙や段ボールなどお店づくりに必要だと思われるもの材料各種 ・レストランで撮影した写真 (5)指導過程 段階 学 習 活 動 形態 支援・留意点 評価(方法) 導入 1 活動内容を提示する。 一斉 ・レストランを見学してきたこ ・前時を思い出すこ ・前時の活動について とを思い出す。 とができたか。 (発言) 教室にレストランをつくって,レストランごっこの準備をしよう。 10 ・自分のめあてを決める 分 活 2 レストランづくり 動 の計画を立てる。 1 ・レストランにどんな物 があったかな? ・どんな物があると楽し いかな? ・どんなものを準備した 15 い? 分 活 3 レストランをつく 動 る。 2 A 児:テーブルまわり等 分かりやすい作業をす る。 一斉 個別 B 児:次々にイメージが わいてくれば工夫をし て作業する。 C 児:全体をきれいに整 える役割をする。 15 分 ま と め 5 分 ・選びやすいめあてを用意する。 ・ め あ て を も て た か。 表 レストランの様 ・テーブルの上に何があったか □ 子や置いてある物 な? ・実物(紙ナプキン,調味料な に つ い て 話 し 合 え ど)を出して,思い出させる。 たか。 ・調理台,レジ,花,エレベー (発言) ターなど自由に出させる。 ・自分が準備したい物や,みん なで準備する物を分担する。 ・自分の分担するものを,把握 し作り始める。 ・初めはできるが,集中できな くなるため,店を飾るなど違 う視点を与える。 表 レストランの様 □ 子を思い出して 作ることができ たか。(活動) ・イメージがもてるように,い ろいろな材料を用意する。 ・自分の作業に対してみんなの 協力を呼びかけさせる。 ・きれいに丁寧な作業ができる ので,看板など丁寧に作らせ たい。 表 レストランらし □ い物を工夫して 作ることができ たか。(活動) 表 友達の話を聞き □ ながら,全体を整 えることができ たか。(活動) 表 みんなの様子を □ 見ながら,レスト ラン作りを意識 して作ることが できたか。 (活動) ・活動をふりかえる ことができたか。 (発言) D 児:初めはついていけ ないが,作業を見つけれ ば最後までやろうとす る。 ・みんなの作業を見ながら,自 分の作業を見つけさせたい。 じっくりできる作業を見つけ させるように働きかける。 2 作業のふりかえる。 一斉 ・めあてについて ・今日の活動について ・次の活動について ・めあてについて振り返りなが ら,今日の活動の感想も話さ せる。 ・次時への意欲をもたせる。 (6)評価 レストランの様子や置いてある物を話合い,みんなでレストランごっこをするために必 要なものを準備することができたか。
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