技術紹介 ケーヒン技報 Vol.2 (2013) 高速スピンドル加工技術※ High-speed Spindle Processing Technology 高 橋 渉*1 Wataru TAKAHASHI 小板橋 拓 人*1 Hiroto KOITABASHI 早 坂 優 真*1 Yuma HAYASAKA 笠 間 勇 也*1 Yuya KASAMA 星 勝 治*1 Katsuji HOSHI 伊 藤 正 行*1 Masayuki ITO Recently, the spindle of a machine tool, tendency to use high speed spindle is the mainstream. Is targeted small-diameter cutting tool in high speed spindle more than 30000rpm in particular, is not a processing area of high resistance in the cutting and processing peripheral speed. In our Industrial Machinery Division, for the purpose of capital investment and reduce the needs of high peripheral speed processing of work material aluminum under a internally, we own development of high-speed spindle, by identify of the processing system, and practical use, including the cutting tool further We have been of deployment. 1.はじめに ・最高回転数・・・60,000 rpm ・ツールサイズ・・・φ12 シャンク 近年,工作機械の主軸は航空機部品や金型 (エンドミル) 加工用などで,高効率加工を達成するため, ・最高加工周速・・・2,000 m/min 高 速 主 軸 を 用 い る 傾 向 が 主 流 で あ る .特 に この目標を内製開発にて達成するために以下 30,000 rpm を超える高速主軸においては主な のような手段を用いた. 対象を主流である小径ミリング加工やボール (1) ニーズに合わせた専用設計による専用ユ ニット化の実施 エンドミル加工をターゲットとしており,加 工周速や切削抵抗においては高い領域の加工 ・ 市場調査,実機分析等により,高速に 適したスピンドル形態を決定し,更に ではない. 我々工機部門では,社内的なアルミ被削材 専用化することで,無駄機能排除,主 の高周速加工のニーズと,設備投資の削減を目 軸の小型,軽量化を行い,最適なスピ 的に,高周速加工に合致した高速スピンドルが ンドルユニットの設計を行った. 市販品で存在しないことから,内製による高速 スピンドルの自前開発を行い,更に加工システ ムでの見極めにより,高周速加工に適応した切 削工具も含めた実用化提案に繋げるべく取組 みを行っているので,ここに紹介する. 2.高速スピンドルの開発 高速スピンドルを開発するにあたり,目標 を次のように設定した. Fig. 1 ※2013 年 6 月 4 日受付 *1 生産本部 工機部 - 69 - Spindle structure diagram 高速スピンドル加工技術 (2) CAE 解析シミュレーションによるスピン Table 1 ドル設計へのフィードバック Final specs Max speed 52,000rpm ・ CAE 解析ソフトを使用し,モーダル解 Tool shank diameter φ 12 析を行い,スピンドル回転時の挙動,剛 Max peripheral speed 1,960m/min 性バランスをシミュレートし,設計図 面に反映した.また, この手法は実機運 Spindle diameter φ 35 Spindle runout 1µm Max output 25.1/11.0kw (1min/Rating) Preload Constant pressure preload Lubrication Oil air Cooling Stator outer cylinder Bearing outer cylinder 転確認時の不具合発生時の対策検討時 にも用いた. (Fig. 2) (3) FFT による振動解析技術での実機評価の 実施 ・ FFT を用い,ハンマリングでの運転確 認時の危険速度(固有振動数)の予想立 却部位の上昇温度の監視により,最終的なス てとチューニングによる危険速度の回 ピンドルの仕上げ運転確認を行った. 避策の検討及び,運転確認中の動的振 3.テスト加工による見極めの実施 動の監視を行った. (Fig. 3,4) 以 上 ,上 記 手 段 と 合 わ せ て 常 用 手 段 で あ る フィールドバランス調整&各ベアリング,冷 簡易的な加工システムを製作し,開発したス ピンドルの加工テストを実施した.加工システ Hollow spindle Solid spindle ムについては以下の構成である. (Fig. 5,6) Amplitude Full cover Partial cover Test work Coolant supply Axial deformation × 䕿 Tip deformation 䕿 䕿 Bearing load F-BRG䠘R-BRG F-BRG䠙R-BRG Fig. 2 Spindle CNC Rotary table CAE Analysis Oil pan Radial Axial X-Y table Square frame Fig. 3 Fig. 5 Hammering data Test processing system Acceleration sensor Fig. 4 Dynamic vibration data Fig. 6 - 70 - Processing of testing landscape ケーヒン技報 Vol.2 (2013) Table 2 Surface roughness data Speed Feed 0.25mm/rev (µm) Profile curve (Longitudinal magnification: × 2,000.00 Lateral magnification: × 100.00) 10.0 5.0 25,000rpm Rmax 1.80µm 0.0 -5.0 -10.0 0mm 0.50 1.00 1.50 (µm) Profile curve (Longitudinal magnification: × 2,000.00 Lateral magnification: × 100.00) 10.0 5.0 50,000rpm Rmax 2.01µm 0.0 -5.0 -10.0 0mm 0.50 1.00 1.50 著 者 仮想被削材を想定した加工条件において加 工テストを行った結果,回転数が上がっても 仕上がり面粗さには悪影響は見られなかった. 上記に 25,000 rpm 時と 50,000 rpm 時の面粗さ データを示す. (Table 2) 4.実用化に向けて 高 橋 渉 今後,実用スピンドルとしての更なる熟成 高速スピンドルの開発という加工機の中で を行うと同時に,加工 M / C として,製品ニー もコア技術の難しいテーマへのチャレンジで ズに合わせた最適な設備形態を構築し,また, あり,日常の量産設備推進との両立が大変で 加工テストにより,切削工具,切削条件も合わ したが,何とか実用化提案に繋げられる段階 せた加工技術提案を行い,実用化展開を進め までこぎつけました.今後は,量産機展開を進 ていく. めると共に,得た技術ノウハウを水平展開し, コスト削減や新たなニーズ開拓に繋げていけ るよう尽力します. 最後に本開発にご協力して頂いた方々,ご 指導ご助言頂いた方々に深く感謝します.あ りがとうございました. (高橋,小板橋) Fig. 7 Spindle body - 71 -
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