原発性体腔液リンパ腫および原発性体腔液リンパ腫類似リンパ腫に関する 多施設共同後方視的研究について はじめに しん のう すい たいくう えき 患者さんは、腹水、胸水、心嚢水などの体腔液にのみリンパ腫細胞がみられる原発性 体腔液原発リンパ腫[Primary effusion lymphoma: PEL]もしくは原発性体腔液リンパ腫 類似リンパ腫[PEL-like lymphoma: PEL-LL]と診断されています。悪性リンパ腫の分類 ダブリュエッチオー を決めている W H O 分類によると、体腔液にのみリンパ腫細胞がみられる B 細胞リン パ腫のうち、リンパ腫細胞にヒトヘルペスウィルス 8 型(HHV8)というウイルスが感染し ている場合に PEL と診断すると定義されています。一方、同じように体腔液にのみみら れる B 細胞リンパ腫でも HHV8 に感染していない場合には PEL-like lymphoma(PEL-LL) めんえきりょく などと診断されています。PEL は、もともと免疫力が低下した人に起こることが多いこ と、日本人におこることは稀であること、CD20 など B 細胞としての特徴的なマーカー が陰性のことが多いこと、抗がん剤を用いた治療が効きにくいことなどの特徴が分かっ てきています。一方、PEL-LL は高齢者などに多く、免疫力低下のない患者にもおこり ます。また、日本からの報告が世界的に多いという特徴があります。多くの場合、抗が ん剤を用いた治療が行われますが、何も治療をしなくてもリンパ腫が良くなったという 人や腹水や胸水などの体腔液を抜く治療だけでリンパ腫が良くなったという人の報告 があります。これまでの報告から、PEL-LL は PEL とは異なる病気で、望ましい治療法 も違うと考えられますが、まとまった報告が少ないため、PEL-LL の病気の特徴や治療 成績については十分なことがわかっていません。また、必ずしもどこの病院でも HHV8 の検査が行えるわけではないため、PEL と PEL-LL の区別がかならずしもきちんとつい ていないこともあるかもしれません。 そこで、これまで PEL または PEL-LL と診断された患者さんについて情報を集め、治 療方針の向上に役立てていくための研究を計画しました。PEL や PEL-LL と診断される 患者さんの数は非常に少ないため、日本全国の病院に呼びかけ、研究に参加していただ ける複数の病院と共同でこの研究を行っています。 目的 HHV8 陰性原発性体腔液リンパ腫類似リンパ腫[PEL-LL]の臨床病理的特徴を明らかに します。また HHV8 陽性原発性体腔液リンパ腫[PEL]との相違点を明らかにします。 方法 1) 対象:1990 年 1 月から 2014 年 3 月までに、研究参加施設において PEL、PEL-like lymphoma と診断された患者さんを対象とします。 2) 研究参加施設の研究者またはその補助者が病歴をもとに調査票を記入します。調査 とくめいか 票は匿名化されており、患者さんの氏名など個人の特定につながる情報が研究参加 施設外に提出されることはありません。 3) PEL および PEL-LL の診断確認のため、診断時に残った検体から作成した未染色 プレパラート、染色済プレパラート、顕微鏡写真のいずれかにより病理学的検討を 東京大学医科学研究所病院病理部において行います。 研究責任医師の氏名・職名・連絡先 研究責任医師 虎の門病院 血液内科 部長 伊豆津宏二 〒105-8470 東京都港区虎ノ門 2-2-2 電話番号 03-3588-1111 (本院代表)
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