No.3 本部総合職による社長インタビュー ★第 5 弾★ Q2 この先の業界経営の舵取りが一段と難しくなっていくようですが、在宅ビジネス経営の要所・要点を、事例も交えて教えてください。 A2 「将来のために在宅医療絡みの事業を展開したい」「そのために訪問看護サービスを成功させたい」「それも何が何でも儲かる構造にしたい」と、切実な経営者や起業家が、誰彼かの 紹介やホームページなどを閲覧して私のもとを訪ねてきます。夜討ち朝駆けよろしく、出社時に当社玄関に待機していた目の血走った方もいましたが、憎めない、むしろ無垢な経営者魂 すら感じております。セントケア・H(株)専務取締役時代も含め、「30年以上の業界経営を通した実学や手腕を指導願いたい」といった話も頂きますが、皆さん、現状苦しい経営実態を 如何に転換するか?人件費先行の現実的な金策をどうするか?規定専門職の確保をどうするか?高額報酬体系を如何に作るか?損益分岐点を超えるお客様をどのように確保するか?大手 との競争にどう対峙するか?カルテ偽装など不正・不法を働き同じ地域で独立した専門職を如何に制裁するか?長期事業計画・戦略構想の立て方が解らない・・・など経営者達の悩みは 多岐で具体的です。 その中で、金策・資金繰りの苦労は経営者の一大事ですが、かつて経験した一例をお話しします。22~23年前、介護保険施行7~8年前、セントケア・H(株)が日本福祉サービス(株) 時代、訪問入浴しか事業がない時期です。行政委託はままならなく、受注してもできなくても、人件費と設備投資はいつも先行して発生し、いよいよ自転車操業も限界に来たところで、 十分な担保が無いと地元信用金庫も融資を拒むようになってきました。平成5年5月には、社長自ら「自転車操業からの脱却を図る」プロジェクト計画を立て背水の陣を敷く中、経営者 の一員である私自身、自宅担保で1千万円、家内の母親が自分の実家近くに所有する物件を担保に、上記の信用金庫から2千万円を調達したことがあります。実は、トラブルを想定して 家内の父親には知らせていませんでした。これでセントケアが頓挫したら一家離散は間違いなく、今の私は無かったと思います。そのとき、社長の哲学は一生を賭けるに値し、自分自身 は利巧にはなれず、将来への展望と信義を選んでいました。 公的介護保険がはじまり15年経過する中、制度のマイナス変更と競合過多で倒産・淘汰が目立ってきましたが、この業界であれば金融機関は未だ簡単に融資に応じるため、家・土地 を担保にとられることは少なくなりました。隔世の感がありますが、経営者の資金繰りとは綺麗ごとではなく、命懸けにならざるをえないことを覚悟しておくべきです。 一般的に事業経営では、物を仕入れて、加工して、販売して、お金を分配することにカテゴライズされます。この仕入・加工・販売・会計に強い人材を確保 すると、総指揮を執る経営者も安定して堅牢な経営構造を構築できます。在宅ビジネスに置き換えると、仕入=人事部門、加工=教育・研修部門、販売=訪問 サービス・営業部門、会計=会計となります。専門職経営者は、この中の訪問サービスに詳しいだけで、他にはほとんどが無頓着です。使う頭やセンスも違い ますので、総花的に全部門に精通することには無理があります。まず経営者は、早い内から 4 部門に精通する人材を育成するか、採用をするべきです。そして、 自分自身が専門職経営者であれば、専門性のトップに徹する覚悟を決め、経営面は総合職で経験を積み上げたエキスパートと組むべきだと思います。役割分担 にはなりますが、健全な医療法人経営に見る、理事長(医師)と事務長(経営の専門家)の関係が参考になると思います。経営者が非医療職でその道のプロで あれば、上述の構造を構築することにさほど時間はかからない、と思います。 ソフィアでは最初から意識して、これに向けた体制整備を進めてきました。学問を備えた人材に社長自身の経営手腕を伝授して、実務能力・判断基準・察知 能力・感性力・指導力を身に付けます。すると現場の専門職を徹底して守り、お客様第一主義に徹する体質に組織が変貌していきます。結果、約 3 年前(創業 10 年目)には IPO(新規株式上場)が可能な経営実態となっています。しかし、現状の当社環境は、IPO をしなくても資金調達の方法は幾らでも選択でき、 銀行借入でも金利 0.4% 前後(TIBOR+スプレッド)で数億円程度が調達可能です。また、上場して株主重視で配当を意識すると、制度ビジネスにおける統一 単価では、労働分配率を下げることに終始します。結果、社員の年収が非上場企業以下になることが多々発生し、大事な社員の定着や幸福に繋がりにくくなり ます。よって、この 2 点から非上場を通しています。メリットとしては、上場コストがなく管理費も低いため労働分配率を上げることができます。さらに在宅 療養支援診療所や訪問看護(リハビリ)ステーションを高密度布陣で連携させることで労働生産性も上がり、社員の報酬や各処遇を業界トップレベルにもって いくことが可能となります。となれば、衣食足りて礼節を知るが如く、より親身な姿勢でお客様サービスの質の向上に進みます。ただし、経営者のキャピタル ゲイン(上場利潤)は遠のきますが…。 ★4ページへ続きます★
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