国連憲章 - 日本模擬国連関西事務局

日本模擬国連神戸研究会
2012 年 8 月 18 日(土) 夏勉強会
文責:松永紗季
国連憲章

プレゼンの目的
・国連憲章、特に第 7 章について知る。
・実際の運用のされ方を知ること国連憲章の効果を実感する。
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国際連合憲章とは
国連の基本事項をさだめ、設立根拠となる条約のこと。WWⅡ中の連合国の協力を基盤と
している。戦後平和の理想を実現し、さらに(①
国際連盟
)の失敗を生かした
世界平和構築の設立を目的とする。
19 章・111 条の条文から作成されており、
1973 年 9 月までに 3 回の改正が行われている。
国際連盟規約に比べ、平和維持と並んで経済社会協力を重視していることが特徴。
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国連憲章の中身
第 1 章 目的及び原則
第 2 章 加盟国の地位
:
第5章
安全保障理事会
第7章
平和に対する脅威、平和の
破壊及び侵略行為に関する行動
第 18 章 改正
第 19 章 批准及び署名

第 5 章 安全保障理事会
第 5 章では、安保理の構成(どのような国が安保理に参加するか)、安保理
に任務と権限、安保理内での表決方法や手続規則、などが定められている。

第 7 章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動
第 7 章では、
「平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動」
の認定、暫定的な対応、非軍事的(主に経済的)・(②
の規定、兵力使用に関する取り決めが定められている。
1
軍事的
)措置
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2012 年 8 月 18 日(土) 夏勉強会
文責:松永紗季
ケーススタディ~湾岸戦争~
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湾岸戦争とは
1990 年 8 月 2 日 の イ ラ ク の ( ③
サダム・フセイン)による(④クウェート)
侵攻によって始まり、翌 91 年 1 月に米欧
軍を主とする多国籍軍のイラク攻撃によ
って起こった戦争。多国籍軍は圧倒的勝
利をおさめ、クウェートを解放し、2 月
に停戦、イラクは敗戦を認め、3 月 3 日
に暫定休戦協定が結ばれた。
石油問題などを
巡って摩擦発生
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1990 年 8 月 2 日
侵攻
イラク:サダム・フセイン
Res.660
クウェート
違反行為認定
国際平和と安全に対する違反行為認定
イラクのクウェート侵攻を非難
イラクの即時無条件撤退を要求
2
日本模擬国連神戸研究会
2012 年 8 月 18 日(土) 夏勉強会
文責:松永紗季
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1990 年 8 月 6 日
Res.661
Res.661
イラクに対する経済制裁を決定
(前文)…国際連合憲章第 7 章の下に行動して、
(主文 2)Decides, as a consequence, to take the following measures to secure compliance of Iraq
with paragraph 2 of resolution 660 and to restore the authority of the legitimate Government of
Kuwait;
…クウェートの正当な政府の権威を回復するため、以下の措置をとることを決定する。
(⑤
Decides
)→加盟国は履行しなければならない
(主文 3)Decides that all States shall prevent.…
すべての国家は次のことを防止しなければならない。…
(⑥

all States
)→国連非加盟国にも決議を遵守することを強調
1990 年 11 月 29 日
Res.678
Res.678
加盟国の武力行使を容認
(前文)…国際連合憲章第 7 章の下に行動して、
(主文 2)
2. Authorizes Member States co-operating with the Government of Kuwait, unless Iraq
on or before 15 January 1991 fully implements, as set forth in paragraph 1 above, the
above-mentioned resolutions, to use all necessary means to uphold and implement
resolution 660 (1990) and all subsequent relevant resolutions and to restore
international peace and security in the area;
…その地域における国際の平和と安全を回復するために、必要なすべての手段をとる権
限を与える。
(⑦
to use all necessary means
アメリカを中心として(⑧
)→対イラクに対して武力行使を容認
多国籍軍
3
)を編成、クウェート解放へ
日本模擬国連神戸研究会
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文責:松永紗季
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1991 年 4 月 3 日
Res.687
Res.687 イラクに武器査察受け入れを強制
(前文)…国際連合憲章第 7 章の下に行動して、
(主文 8)(a)化学兵器・生物兵器を生産するための施設の無害化
(b)弾道ミサイルを生産するための施設の無害化
(主文 9)(b)i 生物兵器・化学兵器及びミサイルの能力に関する即時の
(⑨
現地査察
) を実施する特別査察委員会を設置すること。
→後々イラク戦争時にアメリカのイラク侵攻の根拠として主張される。
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まとめ:湾岸戦争時の国連憲章第 7 章の運用のされ方
第 39 条
安全保障理事会の任務=脅威の認定
第 40 条
暫定措置=当事者への勧告
第 41 条
非軍事的措置
第 42 条
軍事的措置
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強制措置
参考文献
基本国際法
杉原高嶺
コンサイス条約集
衆憲資第 23 号
有斐閣
杉原高嶺
「条約と憲法について」
国連安保理決議の法的効果
外務省 HP
三省堂
衆議院憲法調査会事務局
木花和仁
イラクを巡る情勢の経緯
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/iraq/98/kei.html
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最終閲覧日 2012/08/18)