グラフィック、ファッション、アクセサリー、イ ンテリアデザイン、雑誌、広告など、仕事は多 種多様ですが「モノをつくりだす喜びと感動」 はどの仕事にも共通しています。それぞれの分 野で、今日も喜びと感動を味わいながら働く 先輩たちから、あなたは何を学びますか? 芸 術家 陶芸家、染色家、画家など。ギャラリーでグループ展や、 個展を開いたりし、作品を世の中に出すための努力が必 要です。ほかの仕事をしながら作品づくりをするなど根 気よく続ける人が多くいます。作品が雑誌や広告などで 使用されることもあります。 クリエイティブな 仕事 イラストレーター 雑誌や広告、チラシ、ポスター、パッケージなどに載せる イラストを描く仕事。平面(紙)に手書きで描く人、コン ピュータでイラスト専用のソフトを用いて描く人、フェ ルトや厚紙などで立体イラストをつくる人など、いろい ろなイラストレーターがいます。 ア ク セ サ リ ーデ ザ イ ナ ー Webデザイナー・ディレクター バッグ、帽子、ベルトなど、ファッションアイテムをデザ イン、製作する仕事。活躍の場は、メーカーの製作部門 や、デザイン・製作を専門に請け負うプロダクションな ど。経験を積んでフリーランスで仕事をすることもでき ます。 インターネット上にある、企業のホームページや広告な どのデザインをはじめとした、制作全般にたずさわる仕 事です。専門的な知識とパソコン操作が必要とされます が、 新しい分野でもあり、 活躍の場は広くあります。 118 夢をかなえた先輩たちのいまがわかる! 夢をかなえた先輩たち ジュエリーアドバイザー・デザイナー 大木 菜緒さん 家政学部 造形表現学科卒業 ▶P120 ▶P221 結城紬の展示館スタッフ 岡安 由美絵さん 家政学部 造形表現学科卒業 ▶P124 ▶P221 研究員 イラストレーター 入月 まゆさん ▶P122 家政学部 服飾美術学科美術専攻 (現・造形表現学科)卒業 ▶P221 羊毛フェルト作家 児玉 彩さん 家政学部 造形表現学科卒業 ▶P126 ▶P221 小学校教諭(図工専科) 長峯 朱里さん 家政学部 造形表現学科卒業 ▶P128 ▶P221 鈴木 祥子さん ▶P130 家政学部 服飾美術学科美術専攻 (現・造形表現学科)卒業 ▶P221 クリエイティブな職業の種類 ひと口に「クリエイティブな職業」といっても、たくさんありますが、人気の職種をいくつか紹介します。 グ ラ フ ィ ッ ク デ ザ イ ナ ー イ ンテリアデザイナー 雑誌、書籍、ポスター、カタログ、パンフレット、チラシな ど、主に紙媒体のデザインを行う仕事。全体のレイアウ トや色、デザインを組み合わせて表現します。雑誌専門 の人はエディトリアルデザイナーと呼ばれることもあ ります。大学や専門学校などで美術、デザインについて 学んだあと、制作プロダクションや広告代理店、印刷会 社などで経験を積み、将来的にはフリーランスとして独 立することも可能です。 室内の環境すべてをデザインする仕事。空間全体をデザ インするため「スペースデザイナー」という呼び方をす ることもあります。大学などで学んだあと、インテリア 業界で働きながら、デザイン経験を積むことが大切で す。ちなみに椅子やテーブルなど、家具そのものをデザ インする人をファニチャーデザイナー、インテリアを調 和させながらひとつにまとめる人をインテリアコー ディネーターと言います。 コ ピ ー ラ イ タ ー 編集者 チラシ、パンフレット、ポスターなどに、商品をPRする 文案を考えて書く仕事。主な仕事場は、広告代理店、広告 プロダクション、企業の宣伝部など。ほかに、経験を積ん で、フリーランスで活躍している人もいます。 雑誌や本を制作する仕事。文章、デザイン、写真、イラス トのことを理解していなければならないため、デザイン などの総合的な知識が必要。活躍の場は、出版社、編集プ ロダクションなど。 119 クリエイティブな仕事 ジュエリーアドバイザー・デザイナー (株)赤坂ユニベイス ガラOKACHIMACHI 店 お客さまの人生の大切な節目に 立ち会わせていただいていることに、 喜びとやりがいを感じています。 誤の連続でしたが、次第に柔軟な発 自分の作品が喜ばれた感動から 想ができるようになって、デザイン ジュエリーデザイナーの道を目指す を先生にほめていただいたときは、 とてもうれしかったです。 家政大学への入学を決めたのは、 また、造形表現学科の仲間と一緒に、 美術の先生になりたかったからです。 小学生の頃から美術が好きだった私は、 東京ビッグサイトで毎年開催される そのときの先生にあこがれて、私も 「デザインフェスタ」に 年次から 年次まで毎年参加しました。自分 この先生のようになりたいと思って でデザイン・制作したジュエリー作 いました。 品のコンセプトを来場者に説明して 造形表現学科へ入学して、さまざ 販売することは予想以上に大変でし まな美術表現を学べたことは、とて たが、デザインに関心の高い人たち も良かったと思います。いろいろな が集まる場で直接感想を聞くことが 授業で学んだ手法が蓄積されて、創 できた貴重な体験でした。初めて参 作の幅を広げられたからです。とく 加したときはまったく売れませんで に基礎科目の「素材と表現」は、自 したが、 年目の経験を糧に感性に 然の素材を金属に取り込んで作品を 磨きをかけて作った作品が 年目に 作るなど、私の固定観念をくつがえ は好評で、買っていただけたときに すものでした。 、 年次は試行錯 1 2 3 1 1 2 徒町にあるお店へは、 自分だけのジュエ リーを求めてお越し になるお客さまが多 く、店頭に並ぶ商品 だけでなく、オリジ ナルを希望される方 がたくさんいらっ し ゃ い ま す。そ う いったお客さまが求 めるジュエリーを、 お話を伺いながらそ の場でデザインして イメージを描き、さ まざまな提案をして お客さまに納得いた だける形にします。そして、デザイ はとてもうれしく、達成感を味わい ました。この感動が忘れられなくて、 ンが決まったら指示書を書いて加工 担当にまわし、商品としてお客さま ジュエリーに関わる仕事に進む決意 にお届けするまでが私の仕事です。 が固まりました。 「デザインフェスタ」でやりがいを 「できる」というイメージを 感じたジュエリーのデザイン・制作 もち続けて取り組んだ卒業制作 にたずさわる夢が、かなったのです。 お客さまのなかにある漠然とした イメージをお話ししながら引き出し て、納得していただける形にするこ とは、根気のいる作業です。学生時 代とは違い、私自身が好きなデザイ ンではなく、お客さまが求めている 現在働いている株式会社赤坂ユニ ベイスは、ジュエリーの企画・デザ インから制作、卸売、小売までを行 うジュエリーの総合企業です。私は、 小売販売部門でブライダル商品を中 心に担当しています。宝石の街・御 私が考えたデザインです。納得いただける作品にしようと気持 ちを込めます。 120 デザインを提案することの大変さを 知りました。でも、それこそがプロ の仕事だと、日々実感しています。 入社後の研修で、アクセサリーの デザイン画の描き方や提案の仕方を 学びましたが、ときには心のなかで 「これは無理かもしれない」と思う ご要望を受けることもあります。そ んなときは、いつも家政大学の卒業 制作を思い出して自分を励まします。 卒業制作のデザイン画を先生に提出 したとき「おもしろいね。でも、 年間では制作できないかもしれない よ」と言われました。それでも私は あきらめず、夢中で制作しました。 実は私自身も完成できるか不安もあ りましたが、最終的にはとても満足 のいく作品ができました。困難な状 況 で も あ き ら め な い で、 「で き る」 というイメージをもち続けて取り組 んだことが、いま、私の自信となっ ています。 1 デザインを提案し続けていきたい こからヒントを得てデザインしたこ とも、たくさんあります。 私がデザインしてできあがった商 品をお客さまが喜んでくださったと き、私もうれしくなります。お客さ まの人生の大切な節目に関わらせて いただいていることに、やりがいを 感じる瞬間です。 入社 年目の昨年から、小売部門 のリーダーとして後輩に教える機会 も増えてきました。忙しい思いはし ましたが、教職の授業を受けていた ことが役に立っています。 私を指名してリピーターでお越し くださるお客さまも、少しずつ増え てきました。お客さまの信頼におこ たえするために、これからも自分を 磨き続け、アイデアの引き出しを増 やしていきたいと思います。そして、 さらに多くのお客さまに喜んでいた だけるジュエリーを、制作していき たいと思います。 大木 菜緒 さん 級 平成 年3月 家政学部 造形表現学科 卒業 取得資格 中学校教諭 種 (美術) 高等学校教諭 種 (美術) ジュエリーコーディネーター クリエイティブな仕事 3 1 1 学科詳細 家政学部 造形表現学科・P221 121 3 25 お客さまに喜んでいただける お客さまとお話するときは、居心 地のよい雰囲気にすることを大切に しています。私の仕事は、商品を売 る仕事ではありますが、 「ホスピタ リティ」が大切だと考えるからです。 ジュエリー、とくにブライダルリン グは、お店で選んで買う、というと ころから思い出に残る品物です。 「思 い出作り」をお手伝いす ることが、私の大切な仕 事なのです。一生の記念 になる高価な買い物なの で、 「この人から買って 良かった」と思っていた だけるよう、お客さまの 立場になって考えること を心がけています。 デザインに行き詰った とき、学生時代のデザイ ン 画 が、最 後 の 助 け 船 になってくれます。金属 だけでなくさまざまな素 材でデザインしたことが 私の頭の引き出しにしま われていて、私の財産と なっているからです。そ ジュエリーアドバイザー・デザイナー 一生に一度のお買いものなので、お客さまのイメージをじっくり聞きます。 クリエイティブな仕事 イラストレーター フリーランス してくださったので、伸び伸びと制 作に取り組むことができました。な かでも、有馬十三郎先生の「デジタ ル デ ザ イ ン」で Mac と 出 会 っ た ことは、私の人生における大きな転 機になりました。 ペンの代わりにパソコンでいろい ろな絵や図を描けることが楽しくて、 Mac を使うことに夢中になりま した。雑誌のデザインに興味をもち、 出版社で編集アシスタントのアルバ イトを始めたのも Mac を知った からです。また、専門学校にも通っ て 技 術 を 高 め、自 宅 で も Mac を 購入してイラストを描きためていき ました。ダブルスクール、アルバイ トと大変な毎日でしたが、そのうち、 アルバイト先の出版社で私が描いた Mac を知ってつかんだ将来の道。 似顔絵からさらに幅を広げ、 新たな分野を開拓していきたい。 家政大学でMacと出会い、 作品作りに夢中になった 幼い頃から絵を描くのが好きで、 美術の道に進みたいと思っていたの ですが、いろいろな分野に興味をも ち、ひとつに絞ることができません でした。大学を調べるなかで目に留 まったのが、家政大学です。さまざ まな美術分野をひと通り学ぶことが できるのは、 「勉強しながら進みた い道を見つけたい」と思っていた私 にぴったりだと感じました。 授業では水彩画や油画、織物のほ か染色、陶芸、金工などあらゆる分 野を学ぶことができて、楽しく新鮮 でした。また、どの先生も既成の枠 にとらわれない自由な発想を大切に イラストを採用してもらえるように なったのです。最初は小さなイラス トでしたが、雑誌に載ったときはう れしくてたまりませんでした。この ことがご縁で、少しずつイラストの 依頼をいただけるようになり、大学 卒業後はフリーランスのイラスト レーターとして独立しました。 デザイナー経験から誌面に おけるイラストの役割を意識 どんなに小さなサイズのイラスト でもお受けし、順調に仕事が入って いたのですが、始めて数年たった 頃、会社で働く経験がないままにフ リーの道を選んだことに不 安を感じるようになりまし た。そこで、一度社会に出 てみようと決意し、雑誌や 広告などのデザインを手が ける会社に、デザイナーと して就職することにしたの です。デザイナーは、企画 趣旨を理解し、入る文章量 や使う写真やイラストの点 数にあわせて誌面を構成し ていきます。締め切りと戦 いながらアイデアを絞り出 す作業は大変でしたが、こ の経験はその後、フリーのイラスト レーターに戻ってから大いに役立ち ました。企画だけでなく、誌面全体 におけるイラストの役割を考えて制 作できるようになったからです。 「こ ういう誌面構成で使われるならこの 色を基調にしてみよう」などと、イ ラストをデザイン目線で考えられる ようになったのは、約 年の雑誌デ ザインの経験があったからだと思い ます。 イラストは、雑誌や書籍の内容や、 依頼者である編集者のねらい、使わ れるスペースなどを考慮して仕上げ ていきます。仕上がりイメージがあ 一度描いたイラストは、プリントアウトしてチェックします。 3 122 る程度固まっていれば、文章やラフ (大まかなイメージ画)をいただけ ることもありますが、そうでないと きは、説明を聞いてゼロからイメー げていきます。イメージ通りのイラ ストを描きたいので、編集者の意図 をくみ取ることと、アンテナを張っ て最新の情報を得ることを大切にし ています。時間があれば美術館に 行ったり、テレビや雑誌をひんぱん に見たりして流行を取り入れるよう にしています。 雑誌や書籍、ウェブに作品が 掲載されるのが励み いただいたひとつひとつの仕事に 懸命に取り組むうちに仕事の幅が広 が り、い ま で は「似 顔 絵 イ ラ ス ト レーター」として認知されてきまし た。これまで多くの著名人の似顔絵 を手がけてきましたが、どんなに 小さなイラストでも、雑誌や書籍、 ウェブに掲載されるとうれしく、仕 事の励みになります。 『人生が変わ る哲学の教室』 (中経出版)で、プ ラトンやニーチェなどのイラストを 担当したときは、写真のない哲学者 もいるので海外のサイトまでたどっ て調べました。売り上げも良く、著 者や編集者に「続編の『心が軽くな る哲学の教室』もぜひお願いしたい」 と声をかけていただきました。続編 では当時の生活様式を参考に服装な イラストレーター どをより詳しく描き込み、こちらも 好評でした。最初の『人生が変わる 哲学の教室』は、中国版、韓国版、 DVD も発行され、世界の人たち に私のイラストを見てもらえたと思 うと、がんばろうという力が湧いて きました。 現在は、イラストの仕事と並行し て コマ漫画を描きためています。 これまで私が見聞きしてきたことを 材料に、見た人がクスッと笑えるよ うなものを目指しています。決して 現状に満足することなく、また自分 らしさが出る表現を見つけていきた いと思っています。 イラストレーターにとって 大切なことは何ですか? 「体が資本です。私はデザイン会社 時 代に無 理をしてしまい、体を 壊 してしばらく 入 院しました。その ときの経験から、体調管理に気を つけています。また、いろいろな経 験を通して技術を磨き、見る人の 印象に残る作風を見つけることが 大切だと思います」 (入月さん) 入月 まゆ さん 家政学部 服飾美術学科 美術専攻 (現・造形表現学科)卒業 クリエイティブな仕事 学科詳細 家政学部 造形表現学科・P221 123 4 Q A ジをふくらませます。簡単なスケッ チを複数案描いて、それを編集者に 見てもらいながら色や描き込む要素 など細かい部分をすり合わせ、仕上 描いたイラストが書籍になって完成すると、それまでの苦労も忘れてしまいます。 クリエイティブな仕事 結城紬の展示館スタッフ 奥順(株) つむぎの館 二千年の歴史をもつ織物にたずさわる 責任と喜びをかみしめる毎日。 人と結城紬の架け橋になりたい。 物に対して担当の先生から厳しく講 評していただいたことで、 「この学 校でもっとがんばりたい」という気 持ちを強くしました。 進学し、授業が始まると、たくさ んの発見がありました。入学するま では「絵」という平面表現に取り組 んでいたので、立体制作に苦手意識 があったのです。しかし中村精二先 生の「基礎造形」で、大学のキャン パス内に メートル以上の立体を展 示するというテーマに取り組むうち に、空間演出という表現が楽しくな りました。立体は全方向から観察さ れるので、カタチの工夫が必要です。 また場所と融和する素材の選択も大 切です。素材の特徴を知り、空間に あわせて生かしていく立体造形の土 1 立体造形からデッサン方法まで しっかりと基礎を学ぶ 油絵を描いていた親戚に小さい頃 から絵を教えてもらうなど、絵が身 近にある環境で育ちました。大学で も美術を勉強したいと思って進学先 を探していたとき、高校の先生から 紹介されたのが家政大学です。絵を 描くだけでなく、たくさんの美術表 現を学んでみたい気持ちも強かった ので、幅広い分野を学べる家政大学 のカリキュラムはとても魅力的でした。 高校 年生の夏には家政大学の造形 学校(造形表現学科の先生による入 学前の表現トレーニング)に参加し、 美術への興味がさらにふくらみました。 このときは平面表現を選択し、制作 3 台を学ぶことがで きました。 デッサンの授業 では、対象を細部 までしっかり観察 して、ち密に描く 表現の基礎が身に つ き ま し た。と くに植物をスケッ チする機会が多く、 いつも目にしてい るものでも造形の 美しさにハッと気 づくこともありま す。じっくりとていねいに観察する 姿勢は、結城紬の特徴を知るうえで も役立っています。 染色で絞った布の立体的な 表現に興味をもつ 授業では他にも布や木、金属など あらゆる素材にふれ、さまざまな表 現方法を学び、制作に取り組みました。 その過程で興味をもったのが染色で 絞った布の立体的な表現のおもしろ さです。卒業制作では早瀬郁恵先生 のもと、フェルトやオーガンジーな どいろいろな布にミシンワークや絞 りを施し、立体的に組みあわせた造 形物を制作しました。 学外活動では、ボランティアに参 加しました。最初に参加したのは、 「ペインターズ」と言って、公園の 遊具などに子どもたちと一緒に色を つけるという活動で、環境と彩色が 人々にどう働きかけるのかを考える ことができました。この活動をきっ かけに、炊き出しや清掃などにも参 加するようになり、学内外でさまざ まな人に会って感じたことは、私の 宝物になっています。 将来は、染織などの伝統工芸に関 連した仕事につきたいと思いました が、就職先として探すのは困難でし 「陳列館」では反物や帯を展示しています。来館者は 実際に結城紬にふれることもできます。 124 た。そこで卒業後は、地元のコミュ ニティセンターに就職しました。 カ月ほど経った頃、現在勤める「つ むぎの館」が求人していることを知 り、 「結城紬に関わることができる」 8 と急いで応募し、採用されました。 結城紬の素晴らしさを 体験会などで知ってもらう 二千年の歴史をもち、その工程はユ ネスコ無形文化財に登録されています。 老舗の卸問屋である奥順株式会社では、 繭(まゆ)から真綿を作って手でつ むぎ、その糸をくくって模様をつけ、 地機(織機)で反物にする、本場の 結城紬の製法を受け継いでいます。 奥順では、結城紬をより広く知って もらうため、 年前に「つむぎの館」 をオープンしました。館の敷地内に は、本場結城紬の染色資料館や展示 場のほか染めや織りの体験工房、結 城紬の小物を販売するショップや蔵 を改装したギャラリー&カフェなど があります。 私は当館のスタッフとして、見学 に来られたお客さまのご案内や小物 の販売、電話やメールでのお問い合 わせ対応、織りや染め体験の助手な どを担当しています。また、浴衣染 め体験、着付け体験などのイベント は、情報誌やテレビなどの取材を受 けることもあるので、その対応や告 知のための DM 制作など、広報の 仕事もしています。 一人でも多くの方に結城紬の魅力 を知ってもらい、当館での時間を楽 しく過ごしてもらうためにも、常に お客さまへの目配り、気配りを心が 10 結城紬の展示館スタッフ けています。体験では 回に 人ほ どの方が参加されますから、皆さん が同じ程度に進むようにサポートし ます。また、体験のなかでは専門用 語も多く登場するので、お客さまが 戸惑われていると感じたら、さり気 なく補足説明するようにしています。 こうした場面で役立つのが、家政大 学で学んだ染めや織りの知識です。 学んだことが実践に生かせている手 ごたえを感じています。 当館で講師をされている染色作家 の稲葉藤五郎先生、伝統工芸士の落 合敏子先生は、結城紬の第一人者で、 そういう方々の技法を間近に見る ことができるのはとても貴重な経験 です。結城紬とお客さまとの橋渡し をしながら、伝統技法にふれられる ことに、責任と喜びを感じる毎日で す。 岡安 由美絵 さん 平成 年3月 家政学部 造形表現学科 卒業 1 取得資格 中学校教諭1種 (美術) 高等学校教諭1種 (美術) 学芸員 クリエイティブな仕事 学科詳細 家政学部 造形表現学科・P221 125 24 結城紬は日本最古の絹織物として 機織り機が並んだ体験工房。体験会では、先生の助手としてお客様をサポートします。 30 クリエイティブな仕事 羊毛フェルト作家 羊毛フェルトと出あい、 多くの方に 導かれて広がった活動の場。 見る人が 笑顔になる作品を作り続けていきたい。 ど、カフェの細かいコンセプトを考 え、それにあう内装をデザインし、 模型を作って発表しました。このと きの授業が楽しかったので、 年次 からのゼミでもインテリアデザイン を学びました。卒業制作では、専用 の糸巻きでモチーフを作るタティン グレースとインテリアの融合を目指 し、羊毛で作ったふわふわの繭のよ うな空間で、タティングレースを装 飾したランプの明かりが楽しめる小 屋を制作しました。 このとき、友人も卒業制作に取り 組んでいて、彼女は羊毛フェルトで 人形を制作していました。隣でその 様子を見ていた私は、新しい表現の 世界を知ってびっくりしました。人 形の可愛らしさにすっかり魅了され、 4 友人が制作した羊毛フェルト 人形に魅了された 高校 年生まで進路について悩ん でいた私は、好きな美術の道に進も うと決めたものの、専門を決めて美 術の勉強をしたことがありませんで した。そんなとき、担任の先生から 家政大学のことを教えていただき、 オープンキャンパスに参加しました。 そこで大学の授業風景を映像で見て とても興味をもち、さまざまな表現 分野を勉強してから専門を決められ るところが私にぴったりだと感じて、 入学を決意しました。 家政大学の授業で印象に残ってい るのは、 「インテリアデザイン」です。 お客さまのターゲットやメニューな 3 すぐに私も挑戦、卒業直前には友人 たちとグループ展を開催し、私もタ ティングレースと羊毛フェルトの作 品を出品しました。 出品した「てづくり市」で 作品を買っていただけた 大学卒業後はインテリア関係の仕 事をしたいと考えていました。就職 活動の気分転換に何かを作りたく なって始めたのが、羊毛フェルトを 使った動物制作です。いつの間にか 熱中していたようで、半年ほどの間 にたくさんの作品ができていました。 ちょうどその頃知ったのが、 「て づくり市」です。 「てづくり市」は、 私の可愛い作品たち。カルチャーセンターで教えるなど愛好家も増えています。 126 神社などで開催され、活動の輪は全 品を見たという方か 国に広がりつつあります。アマチュ らネット販売を勧め アも出品・販売できたので、私も出 られたり、イベント 品してみました。自信はありません への出展に誘われた でしたが、お客さまが私の作品を見 りするなど、多くの て喜んでくださり、買っていただけ 方々にチャンスを与 たのです。これは私にとって驚き えられ、人形作家と であると同時に、とてもうれしいこ して踏み出す決意を とでした。制作がさらに楽しくなり、 しました。 作品作りに力を入れるようになって オーダーメイドの注文をいただく いきました。 ようになったのも、その頃です。注 文のなかには、ご自分のペットの人 作品を通して多くの方々の 形を作ってほしいというものもあり ご縁をつないでいきたい ます。お客さまはペットに強い愛情 があるので、仕上がりにとてもこだ 「てづくり市」をきっかけにブロ わりがあります。ご満足いただける グを始めるようになると、活動の場 作品になるまでには何度も手直しす がさらに広がりました。ブログで作 るなど根気もいりま すが、猫や犬の心ま でが宿るような作品 にしたいという気持 ちを込めて作ってい ます。 羊毛フェルトに専 念するようになった のは 年前からです。 友人の結婚式の受付 に飾ったウェルカム ドールをブログで紹 ひとつひとつていねいに、気持ちを込めて制 作します。 2 介したところ好評で、注文が増えて きたのです。また、作品を見てくれ た方から、カルチャーセンターで教 える仕事もいただき、月 回ほど指 導しています。幅広い年齢の方 々 とおしゃべりしながら作業するのは、 私自身の楽しみになりました。 昨年は、家政大学で後輩に教える 機会をいただきました。教室を開く ことは、いつかはやりたいと考えて いたことだったので、またひとつ夢 をかなえることができました。今年 の後半からは、オリジナル作品の制 作に専念し、個展を開きたいと考え ています。押し花や木の実など、違 う素材を組み合わせ、羊毛フェルト の動物を主人公にした、物語性のあ る作品を作ってみたいと、構想を 練っています。大学時代、さまざま な素材で表現することを学び、既成 概念にとらわれずにチャレンジする 羊毛フェルト作家 3 さまざまな素材と組み合わせ ると、作品にストーリーが生ま れます。 精神が養われたことが、いまの私の 原動力になっていると感じます。 将来の夢は自分のアトリエ兼店舗 をもつことです。多くの方に作品を 手に取って見ていただけるようにす るだけでなく、羊毛フェルトの教室 が開けるようにしたいと考えていま す。作品を通していろいろな方との ご縁をつないでいくことが、私のや りがいであり使命だと思います。こ れからも研究を重ね、見てくださっ た方が思わず笑顔になる作品を作り 続けていきたいと思っています。 児玉 彩 さん 平成 年3月 家政学部 造形表現学科 卒業 級 学科詳細 家政学部 造形表現学科・P221 127 取得資格 カラーコーディネーター検定 秘書検定 級 2 クリエイティブな仕事 2 23 ウェルカムドールは、新郎新 婦にまつわる小物などで空間 をコーディネートします。 クリエイティブな仕事 研究員 13 東北芸術工科大学 文化財保存修復研究センター がら勉強を続け、 年 後に合格することがで きました。 大学院では、実際の 修復技法、文化財保存 の意義などを学びなが ら実際に修復を手がけ ました。家政大学で美 術の基礎を身につけ、さらに芸大大 学院に進学して修復について深く学 べたことは、私の大切な財産となり ました。 科学調査によって技法や画材の 特徴が見えてくる 1 私が勤務している東北芸術工科大 学の文化財保存修復研究センターは、 東北地方を中心とした文化財保存の 研究機関として、平成 年に設立さ れました。仏像などの立体作品や洋 画、日本画などあらゆる文化財の修 復にあたるとともに、文化財研究を 進めています。ひとつの作品の修復 には 〜 カ月ほどかかります。当 センターで受託している絵画も、年 間 点ほどです。私は主に洋画の修 復を行っています。 修復というと、絵を元の状態に戻 すと思われるかもしれません。しか 4 文化財修復は美術作品のドクター。 作品の魅力を長く残していくために、 研究を深め、修復技術を高めたい。 する必要があると思い、選んだのが 家政大学です。姉が造形表現学科で 学んでいたこと、さらに姉が師事し ていた寺田和幸先生がいらっしゃっ たことも決め手になりました。 家政大学では、絵画だけでなく陶 芸、染色、彫金、デジタルデザイン などあらゆる美術分野を学び、それ まで絵画だけに目が向いていた視野 が大きく広がりました。しかし、実 際に修復の仕事につくには専門的な 勉強が必要です。先生にも進路につ いて相談に乗っていただき、東京芸 術大学大学院を目指すことにしまし た。大学院の試験は、作品提出と実技、 筆記、面接などが数日間かけて行わ れます。石膏デッサンや提出する作 品についてアドバイスをいただきな 3 6 絵画修復技術を学ぶため 卒業後は芸大大学院へ 絵画の修復に興味をもったのは小 学 年生の頃でした。母が美術の教 員だったので絵画にふれる機会が多 く、一緒に美術館で観たボッティ チェリの絵があまりに美しくて感動 しました。そして、母に「どうして こんなにきれいなの」とたずねたと き、 「昔の絵も修復で生まれ変わる」 ことを教えてもらったのです。 「修 復」が古い絵画を美しく生まれ変わ らせるということを知り、それ以来、 ずっと絵画の修復にたずさわってみ たいという夢を抱いていました。 修復技術を学ぶためにも、まず絵 の基礎や画材についてしっかり勉強 2 し私たちの役割は、作品の傷ついた 部分に気づいて手を加え、後世に 残していくことです。 「絵画のドク ター」といってもいいでしょう。医 師が、問診や検査から病気の原因を 突き止めるように、修復は、まずそ の絵がどのような状態であるかを見 極めることから始めます。 医療のカルテとも言える「状態調 査票」に、描かれた時代、傷ついて いる部分などを細かく書きとめ、同 時に写真として記録します。さらに、 紫 外 線、赤 外 線、X 線 な ど を 使 っ た光学調査や顔料分析などの科学調 査で、肉眼では見えない部分の状態 を解析します。作品を紫外線で撮影 すると、色を上描きした部分が黒く 見えますし、赤外線なら絵の具の下 層にある、鉛筆や木炭を使った下描 き線が現れることがあります。X 線撮影では、金属系の顔料が使われ 繊細な作業では、ルーペを使 います。 128 ているところの粒子が白く浮かび上 がります。また、同じ色使いであっ ても、顔料を比較することで、描か れた時代が判明することもあります。 きます。また、処置を施したことで、 作品の魅力が今後100年、200 年と受け継がれていきますから、そ の一端を担えるのはとても光栄なこ とです。 東北地方は夏と冬の寒暖差が大きく、 文化財保存にとっては厳しい気候で す。これからも、この土地に適した 修復方法の研究を進めながら、価値 ある作品の保存に貢献していきたい と思います。 長峯 朱里 さん 平成 年 月 家政学部 造形表現学科 卒業 平成 年 月 東京芸術大学大学院 美術研究科 文化財保存学専攻 保存修復油画修了 中学校教諭 種 (美術) 高等学校教諭 種 (美術) 学芸員 取得資格 3 クリエイティブな仕事 1 X線写真の分析は、ドクターのようです。 作者の意図を推測し 所有者と保存計画を共有する 目的は、作者が作品で何を残し たかったのかを探り、そこから、 「保存計画」を導き出すためです。 所有者の方とも打ち合わせを重ね、 ようやく修復作業に取りかかり ます。以前、ある美術館から修 復委託された絵画は、 「作者は 保存処置を望んでいない」とい う意向がありました。そのため、絵 の具がはがれ落ちないように額の処 置をしたり、裏側から少し手を加え たりする最少の手数で作品を維持す る計画を提案させていただきました。 修復作業では、家政大学で得た知 識が役立っていると感じることがた くさんあります。例えば、調査の過 程で油絵の下地に使われている素材 を調べるとき、大学で学んだ織物や 布の知識を生かして推測することが あります。さまざまな美術分野を学 べるのは家政大学の特色です。もし、 絵画だけを専門的に学んでいたなら、 生地の知識は得られなかっただろう と思います。 修復は、緻密さと根気が求められ る作業です。時間はかかりますが、 処置が無事に終わり、劣化が軽減さ れて所有者に喜んでいただけたときは、 安堵とともにうれしさがこみあげて 研究員 23 3 1 学科詳細 家政学部 造形表現学科・P221 129 26 作品の調査・分析を徹底的に行う 細心の注意をはらって修復の緻密な作業に取りかかります。 クリエイティブな仕事 小学校教諭(図工専科) します。そんな陶芸の 世 界 に 魅 了 さ れ、制 作にのめり込みました。 また、陶芸の実験的な 要素もおもしろく、釉 東京都公立小学校 薬の調合と温度による 発色の違いをデータに 取って記録に残すこと に熱中しました。この データは、いまも家政 大学に残っていると思 います。 かったのですが、とくに、さまざま 卒業制作で指導して な素材について勉強ができたことが 良かったと思います。金属には金属の、 いただいたのは、加島 さつき先生です。先生 粘土には粘土の良さがあることがわ は、いつも学生を見守っていて、私 かり、そのときの勉強が、自分の作 のやりたいことを自由にさせてくだ 品制作にとても役立ちました。とく に私が魅了されたのは、陶芸でした。 さいました。家政大学で、作品づく りに打ち込んだ経験は、いまの私の 陶芸の魅力にのめり込んだ 財産となっています。 大学時代 卒業後も陶芸を学びたくて、聴講 生として大学に残り勉強を続け、そ の後は加島先生の助手として家政大 学で働きました。その傍ら創作活動 も続け、個展も開くなど忙しいなが らも充実した日々を過ごしました。 けれども、私は大学入学前から、 自分を磨いて経験を積んだら、いつ かは教師になりたいと考えていまし 陶芸は、ひとつの作品ができあが るまでにさまざまな工程があり、完 成するまでには最低でも カ月はか かります。焼物の色を出すには、釉 薬の調合や焼くときの温度などの微 妙な変化が関係し、粘土を窯に入れ てしまうと、私の力が及ばない偶然 の力が、作品の完成度に大きく影響 図工を通して豊かな心をもった 人に育ってほしくて、児童が夢中に なれる授業を研究しています。 幅広い美術表現を学べる 造形表現学科に入学 実家が鉄工所で、私のまわりには 鉄で作られた鋳型があふれていまし た。そんな環境で育ったからでしょ うか。絵を描いたり工作したりする のが大好きで、公園の砂場でも夢中 になって何かを作っていました。小 学生以降は、図工や美術の授業が私 の一番好きな時間でした。 家政大学への進学を決めたのは、 絵を描いたり制作したりする仕事に あこがれていたからです。専門をひ とつに決めないで、幅広い表現方法 が学べることや、教師の資格が取得 できることも魅力でした。 家政大学での授業は、どれも楽し 1 た。東京都教育委員会の「産休代替 教職員」に登録していたのもそのた めで、しばらくして都内の中学校に 赴任することができました。それか らというもの、平日は中学校で美術 を教え、休日は予備校へ通って、正 式に教師になるための勉強をしまし た。働きながら勉強することは本当 に大変でした。でも私には、 「好き な美術のためならがんばることがで きる」という信念がありました。そ の甲斐あって教員採用試験に合格し、 正式に教師となることができました。 どう描くかで絵筆が止まらないように、私が作品例を描くこ ともあります。 130 2 6 最近、他校の図工の先生から、陶 芸に関するお問い合わせをいただく ようになりました。私の知識を必要 としてくれる人がいるということは、 うれしいものです。家政大学で陶芸 に没頭して本当に良かったと思って います。当面は教材研究が私の使命 だと思っていますが、いつかまた、 創作活動も再開してみたいと思って います。 「産休代替教職員」って どんな制度ですか? 妊娠出産休暇や育児休業の取得に より学校で欠員が生じた場合に任 用する、産休育休代替教職員の登 録制度で、東京都教育委員会は毎 年、採用候補者の名簿登載を行っ ています。担当教科の資格等をもっ ている 人が登 録していると、各 学 校で欠員が生じた時に面接などを 行って任用されます(詳しくは、東 京都教育委員会ホームページ参照)。 Q 平成 年3月 家政学部 服飾美術学科 美術専攻 (現・造形表現学科)卒業 鈴木 祥子 さん A 取得資格 中学校教諭 種 (美術) 高等学校教諭 種 (美術) 1 1 学科詳細 家政学部 造形表現学科・P221 131 5 小学校教諭(図工専科) クリエイティブな仕事 しまうのか疑問に感じていたからで そんな児童がいるからこそ、なんと 描くこと、作ることの喜びを す。小学生のうちに図工の楽しさを かして一人でも多くの児童に図工の 知ってもらいたい 知ってくれたら、そうはならないは 楽しさを伝えたいし、描いたり作っ ずだと考えました。 たりする喜びを体験してほしいと思っ 都内の公立小学校に図工専科の教 小学校で教えてわかったのは、小 て、毎日児童と向きあっています。 員として赴任して、 年目になります。 学生のなかにも図工を敬遠する児童 力を入れているのは教材研究です。 なぜ小学生を教えようと思ったかと はいる、ということでした。つまり、 教科書の内容にプラスして、児童が いうと、実は、中学校で教えていた 一度苦手になると、中学生になって 楽しく取り組めるように工夫してい とき、美術が苦手だったり嫌いだっ もその傾向が続くわけです。しかし、 ます。その一例として、他教科の学 たりする生徒はいつからそうなって 習内容と連動した制作にチャレンジ しています。 年生がザリガニの勉 強をしているときには、粘土でザリ ガニの隠れ家を作ったり、 年生が 歴史を勉強しているときには、オリ ジナルの縄文土器の制作をしました。 少しずつですが変化も感じます。制 作に打ち込んでいると、教室内が シーンと静まり返るのです。児童全 員が無心になって取り組んでいるか らで、そんな授業ができたときは、 うれしくなります。 これからも教材研究を続け、児童 が興味をもてるような授業をしてい きたいと思っています。そして、児 童が図工を通して感性を磨き、日常 生活のちょっとしたことでも気持ち が動かされるような、豊かな心を もった人に育ってもらえたらいいな と思っています。 3 この日は花や種をモチーフに絵を描きました。児童の自由な発想に期待します。
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