認知症?の巻[PDF:513KB]

~
臼杵市認知症
学ブック
~
★その3
認知症の方への
具体的な接し方!の巻
いろいろな場面での接し方
を紹介します。
認知症の特質をうまく利用
しましょう!
-16-
博士、認知症についての基本は大体わかったけど、
認知症の人には、実際にどのように接すればいい
の?
認知症になった人が望む暮らし、
それは、「普通の暮らし」なんじゃ。そして、自身の
プライドも、幸せに暮らしたい、自分らしく生きたいという
思いも、みんなと変わらないんじゃ。つまり、自分ででき
ることは自分でしたい。でも、できないことは助けてほし
いと思っておる。
であるから、家族や見守る人は、見極めが難しいと思う
が、“適度なお世話”を心がけることじゃ。
具体的には・・・
●物忘れを責めない
●認知症の人の意思を受入れる
(寛容な対応:否定しない)
●何を不安に思っているかを知り、解消に努
める
●その人の持っている能力を奪わない
(引き出す)
●生活環境の整備(暮らしやすい工夫など)
●簡潔な情報伝達をする
●ストレスの軽減をはかる
●閉じこもりにならず、人と関わりをもたせる
(孤独にしない)
などが大切なんじゃ。全てを完璧に実行するのは難しい
かもしれんが、できることからやってみることじゃな。
-17-
物忘れ
・何度も食べ物を要
求する
食べた事を忘れる
その場の
対応
・食べた事を忘れる
場合
・「さっき食べたでしょ」
と納得させない
・次に食べられる時間
を伝える
・「もうすぐ出来ますよ」
と、支度中であること
を伝える
原因
・満腹中枢が侵され
ている
・欲求不満を食べる
事で満たす
それでも
要求する場合
・おやつを少量ずつ
渡す
「さっき食べたばかりで
しょ」
は禁句じゃ!
-18-
妄想
「財布を盗まれた」という
・お茶を飲ませたりし
て関心をそらす
・財布などをしまい
忘れて身近な人を
疑う場合
・一緒に探し、お年寄
りが自分で見つけた
形にさせる
基本的対応
・自分が疑われても
興奮して言い返し
たりしない
具体的
対応
・自分の気持ちを落
ち着かせて、なく
した本人が困って
いるのだと受け止
めましょう
・探してもないことが
分かっている物、毎
回時間がかかる場
合は別の代替品を
用意し、渡して
納得させる
繰り返される
場合
・財布などは最小限
の小銭をお年寄り
が持ち、後は家族
が預かる
「冗談じゃないわ。私が盗
る訳ないでしょ」
「ちゃんと探したの?」
・入れる場所を決め
ておく
「自分で隠したんじゃない
の?」
・よくしまう場所の
見当をつけておく
「どこかにしまい忘れたん
じゃないの?」
は禁句じゃ!
-19-
人物誤認
・家族に「あなたは
どなたですか?」
と尋ねる
家族の顔を忘れる
その場の
対応
・強く否定せずに、
まず受け止める
・人違いされても
その人になりき
って接する
・娘を「お母さん」
と呼んだりする
泥棒や、恨みを
持っている人と
間違われた場合
「違うでしょ!息子
の○○でしょ!」
「何言ってるの、
しっかりして!」
・言い争わず一旦
姿を消してから
「ただいま帰りま
した○○ですよ!」
と再認識してもらう
は禁句じゃ!
-20-
幻覚
存在しないものが見えたり聞こえたりする
・夕方や夜間、天気
の悪い時、昼寝後、
体調の悪い時、
実際にないものが
見えたり聞こえた
りする
その場の
対応
・訴えを受け止める
(本人には見えた
り、聞こえたりし
ているので否定し
ない)
・照明の工夫で部屋
を明るくする
おさまって
・幻覚を誘発して
から
いるもの(壁の
(普段から)
しみなど)があれ
の対応
ば取り除く
・視力、聴力の障害
があれば調整する
・話のつじつまを
合わせる
・嫌がっているもの
が見える様なら、
「一緒に退治しま
しょう」と追い払
ったり、片付ける
格好をする
「そんなもの見える
(聞こえる)わけな
いでしょ」
は禁句じゃ!
-21-
夕方症候群
・夕方などに落ち着
かなくなり、
「家に帰りたい」
と訴える
具体的
対応
家に帰りたがる
・「お茶を飲んでから
帰りましょうか」
「後で送って行き
ますよ」と落ち着か
せる
原因
・一緒に散歩に出かけ、
家の周りを歩いて
要求を満たし、別の
事に気を向かせる
・夕暮れ時は不安感
が増す
・「もう一晩泊まって
行って下さい」 と、
思いとどまらせる
・昔の生活へ戻りた
いという願望から
「何言ってるの、ここが家でしょ」
「一人でどこへ帰るつもり?」
は禁句じゃ!
ちなみに、夕方症候群が徘徊の原因
になる事もあるんじゃぞ。
-22-
徘徊(原因と対応)
道に迷う、当てもなく歩き回る
具体的 ・声をかけ、他に関心を
向けさせる
対応
・行きつけの所や
散歩に行き迷子に
なる
・玄関に外出を思いとど
まらせる様な文面の張
り紙をする
・慣れない場所で
迷子になる
・時間を決めて散歩に出し
たり、折をみて行きたが
る場所へ連れていく
・特定の場所(実家、
公園、美容院、昔の
職場など)に行きた
がる
・やむを得ない場合は、
広い空間を確保して
鍵をかける(玄関、門)
・家族の不在時に
外出し、迷子になる
外に出た場合
・突然出て行く
・興奮などから
外に出る
・チャイムなどによって
出て行くのをキャッチする
・ついて歩く
(ご近所を一回りする)
・ご近所の苦情対策、地域
(交番、お店)への協力要請
をする
-23-
徘徊
(探し出すための工夫)
道に迷う、当てもなく歩き回る
・迷子札を使用し、
万一に備える
具体的
対応
・衣服に縫い付ける
・名刺を作ってポケット
やバッグに入れたり、
ペンダントにする
・衣服にマジックで
書き込む
・近所の人やよく行く
お店に、気をつけて
もらうように協力を
お願いする
・通行人が目に付くよう
なマークを着用させる
・行き場所の見当が
つけばそこを探す
・近所や心当たりを
探して見つからな
い場合、保護願い
を出す
・探索装置を利用する
「出ちゃだめ!」
「早く家に入って!」
は禁句じゃ!
-24-
失禁
トイレではない場所で
・風呂場、部屋の隅
ゴミ箱などで排尿
排便する
原因・
状況
・トイレと思いこんで
・トイレを探しあて
られずに
未然に防ぐ方法
・トイレの代わ
りの容器を
排泄場所に
おく
・タイミングよく
トイレに誘う
・トイレの標示
(トイレ、便所)
などをつけたり、
日の丸を張って
見つけやすくする
「ここはトイレじゃ
ないでしょ!」
「どうしてトイレで
出来ないの?」
「しっかりしてよ!」
は禁句じゃ!
-25-
失禁
おもらし
・「汗をかいたから着替
えましょう」と気持ち
を傷つけないようにし
て脱がせる
・汚した下着の上から
新しい下着をはく
・汚した下着を
脱がない
・入浴時には脱いだ下着
をすぐに片づけ、新し
いものに替える
・オムツ組み入れパンツ
を使う
・オムツを嫌がって
させない
・後ろ開きオムツカバー
などで、本人の気持ち
を傷つけないように、
交換する
・排尿パターンを把握し、
タイミングよく誘導する
・抵抗感のないオムツを
着用させる(パンツの
様に使えるもので、T字
帯式など)
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不潔行為
オムツを外す
具体的対応
・オムツを外す
・排尿、排便を
キャッチして、
すぐにオムツを
替える
原因
・快適なオムツや
オムツカバーを
使う
・排泄物がそのまま
になっている
・むれる
普段からの対応
・オムツが
きゅうくつな為
・排尿排便のパターン
を知り、トイレに
誘導する
・毎日、排尿排便を
チェックする
・腹部を押さえて
観察する
「汚い、どうして
こんな事するの!」
は禁句じゃ!
・トイレ習慣をつける
-27-
認知症の方への接し方!
~
接し方次第で症状が改善することもある ~
例)認知症になり、失敗ばかりするようになった。
A家族の対応
「大丈夫だよ」
○
●症状の改善
・維持
●進行しても、
緩やかに
B家族の対応
「また失敗して!」
×
(失敗を
責める)
ますます症
状がでる
次に、当たり前のこ
とができなくなるという
ことは学んだが、これは、
生活上で失敗をした場合
の家族の対応で認知症の
人の症状がどう変わるか
を比べたものじゃ。
大切なことは、その人
が「なぜ、そのように、
しようとしたのか」とい
う思いを汲むことじゃ。
「目的のない行動は
ない、原因のない怒
りはない」
症状の
進行・
悪化
-28-
ということを、覚えてお
いてほしい。
ほめながら、
気長に!