【SBメモ・4】 エミイル・デュルケム(1858~1917) 芹沢作品にはデュルケムの影が濃い。ご自身も実証主義と言われる。 ソルボンヌで、デュルケムの弟子、シミアン教授(1873~1935)に経 済社会学を学ぶ。 デュルケムはコントの実証主義から出発、社会学主義を主唱、社会学の 基礎を築く。 社会生活を構成する分野(法、経済、宗教、……)を、既存の科学の他 に、全領域を相互関連的に研究する、新しい総合科学を目指す。 人の集合意識が「社会的事実」を生む。「社会的事実」は超個人的存在 で、それが人を拘束する。 社会が法、経済、道徳、宗教の根底。神も社会の産物。 行動の主体は個人。制度や文化は人を拘束するが超個人的主体ではない。 社会主義者ではない。 闘争より協力、対立より調和。対立によるエネルギーを認めない。 社会の向上発展には、科学的に裏付けられた漸進的変化が必要。 自殺の要因:①自己本位的自殺(プロテスタント>カソリック) ②集団本位的自殺(軍人>市民) 。③アノミー的自殺(商工業>農業) 。 自殺だけ増えるのは病理的。集団の中に秩序と連帯性を創れ。 本来的にモラリスト、ドレフュス擁護。 【SBメモ・5】 アンリ・ベルクソン(1859~1941) 「死者との対話」 :学友ラバスール君が門下生。彼とベルクソンを訪問。 デュルケムのことなどを尋ねる。ベルクソンが唖の娘に心をこめて話す。 日本の知識人が忘れていたことだ。 芹沢文学のバックボーン…難解が高級ではない。分かりやすく諭すこと が大事。 著書「形而上学入門」…一般の人に向って易しく書かれた入門書。比喩 が見事で分かりやすい。 講演会も多く、社交界の夫人達が会場に溢れた。 ベルクソンはパリ高等師範でデュルケムと一年差。スペンサーの進化哲 学に共鳴。 「創造的進化」 「エラン・ヴィタール(生の躍動) 」…世界の実在は創造し ながら動いて止まない生命。 「形而上学入門」 :哲学の方法 ① その物の周りを回って見ること。 …その認識は「相対」に止まる。 ② その物の中に入ること。その認識は「絶対」に到達する。 …「直観」…対象の内部に身を移すための同感…西田哲学への近道。 人の特長:社会性と知性。知性には反生命的性格がある。 ① 利己的…生命を自然的防衛…静的宗教 ② 反省的…生物的生命を突き破って進むもの…動的宗教…人に生きる 喜びを与える。 30 年後旧ベルグソン邸で講演を聴き、ジャ―ヌ嬢にも逢う。山荘の3本 の木、トリオ・ベルクソン。 【SBメモ・6】 ポール・ヴァレリー(1871~1945) サロンでヴァレリーをベルソール先生に紹介される。社会科学と文学と 何れを取るか、悩みを打ち明ける。 「結論を急いではいけない。時の力を頼りなさい。 」親切に話してくれ た。 「時を恃め」とは「待つ」 「我慢」 「忍耐」 。その忠告が、私に3年の有 意義な年月を与えてくれ、死病を克服させてくれた。 20年後、東京・国際ペン大会でラ・ロシュフコー夫人にヴァレリー論 の講演を依頼。2年後パリの公爵夫人のサロンへ招待され「巴里に死す」 を語る。 ヴァレリー:20 世紀最高の知性。中心態度…己の精神を読む。目的…己 の精神の形成。 詩『消えた葡萄酒』 (1922 詩集『魅惑』鈴木信太郎訳) いつであったか、大海に/ 虚無に捧げる贄として 俺は貴重な/ 葡 萄酒を 僅かであるが 濯ぎかけた… 誰がお前を棄てようとしたのか美酒よ。/ 俺は 恐らく 占師の卜兆 (うらがた)に従ったのか。/ 恐らく 心の鬱屈を晴らそうとして/ 血を注ぐ気で、 葡萄酒を撒いたのか/ 薔薇色の水煙が立ってから/ いつもと変わらぬその透明を取り戻し た/ 純粋無垢の海…/ 消えたこの葡萄酒/ 仄かに酔った波…/ 俺は見たのだ/ 潮風の 苦い空の中に/ この上もなく深深とした形象の躍り上がるのを… 【SBメモ・7】 アンドレ・ジイド(1869~1951) 余りジイドに興味なかったが、療養中に「背徳者」 (生命の賛歌)に感 動。ソルボンヌ大の師、シャルル・ジイド(・名著「経済思想史」 )に農 林省高官と同行、親しくなり、甥のアンドレ・ジイドに逢う。 経済学を止めて、小説家になりたいと話す。 “小説は学問のように誰で もやれるものではない”と。後を追うが果たせなかった。 「狭き門」 (聖書の教えを守りぬく)。 「一粒の麦もし死なずば」 (自 己告白) 。 「ドストイエフスキー」 (文芸批評) 。 「コンゴ紀行」 「ソビエト紀行」 (社会問題提起) 。 (H・14・3・5) 【SBメモ・8】 読書課題(フランス) オノレ・ド・バルザック(1799~1850) 。 ジェラール・ド・ネルヴァ-ル(1808~1855)劇作、神秘家の伝記…。 ジョルジュ・デュアメール(1884~1966)貧しい庶民出、モラリスト。 誠実、勤勉。 ジャック・シャルドンヌ(1884~1968) 「祝婚歌」夫婦の愛憎分析…モ ラリスト風。 ポール・モーラン(1888~1976)コスモポリタン作家。外交官。 「夜開 く」 。 「恐るべき子供達」 。映画「悲 ジャン・コクトー(1889~1963)詩人。 恋」 。 ジョゼフ・ケッセル(1898~1979 基本にリアリズム。 「昼顔」 。 アンドレ・シャンソン(1900~1983) 「道の人々」田舎を描き、現実主 義的。独特の思想小説 アンドレ・マルロー(1901~1976)行動的知識人 【SBメモ・9】 読書課題(日本) 有島武郎。中村真一郎。大江健三郎。大岡信。高橋英夫。河合隼雄 川端康成。島崎藤村。林芙美子。宇野千代。阿部光子。 絵画鑑賞:佐伯祐三。宮坂勝。三岸節子。小山敬三 (H・14・3・24)
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