2016 年度 科 目 名 担 当 者 名 映画理論D 〈アンドレ・バザンによる映画史〉 伊津野 知多 【旧科目名:映画理論研究】 科目区分 専門 理論系 科目分類 授業形態 単位数 配当年次 学期 講義型 校舎 選択必修 講義 4 3 前期 A2(2×15) 白山 履修 条件 初回の授業時にオリエンテーションを行うので必ず出席すること。「映画理論B」を履修していることが望ましい。 授業 概要 フランスの映画批評・理論家、アンドレ・バザンの論考をもとに映画史を再考する。映画史とは客観的なものではなく、ひとつの言説で あることを理解し、映画史と映画理論を結びつけて捉える思考を養うことが目的である。授業ではまず、バザンの映画論を他の論者の 言説と比較しながら概観した上でテキストを精読し、その独自の映画観、映画史観を明らかにする。次いでバザンによる作家論・作品 論を詳細に検討する。また、バザンの強い影響のもとで批評家から映画作家へと巣立っていったヌーヴェル・ヴァーグの作家たちの 作品とバザンのリアリズム論の関係を考える。 随時参考上映、ディスカッションを行うほか、グループ発表(1人1回担当)を課す。 到達 目標 ①映画理論の基礎的な概念や考え方と映画史の流れが理解できるようになる。 ②ひとりの著者のテキストを精読することで、読解力と思考力が鍛えられる。 ③ディスカッションやグループ発表を通して、思考をことばにして他者に伝える技術が修得できる。 内 容 回数 授 業 計 画 1・2 オリエンテーション: 授業の進め方/課題テキスト・参考文献について 発表グループ分け 映画の自由について ― アンドレ・バザンの批評と理論 3・4 アンドレ・バザンとその時代 映画言説史への導入 5・6 映画史と映画についての言説史①: 物語中心主義と「古典的物語映画」 7・8 映画史と映画についての言説史②: 記録中心主義とリアリズムの立場 9・10 映画史と映画についての言説史③: 表現中心主義とフォルマリズムの立場 11・12 【グループ発表①】 ディスカッション 「写真映像の存在論」を読む 13・14 【グループ発表②】 ディスカッション 「絵画と映画」/「ベルグソン的映画 『ピカソ―天才の秘密』」を読む 15・16 【グループ発表③】 ディスカッション 「禁じられたモンタージュ」を読む 17・18 ジャン・ルノワール『ゲームの規則』(1939)の分析: 解説とディスカッション 19・20 ロベルト・ロッセリーニ『イタリア旅行』(1953)の分析: 解説とディスカッション 21・22 オーソン・ウェルズ゙『市民ケーン』(1941)の分析: 解説とディスカッション 23・24 「映画言語の進化」を読む 25・26 『カイエ・デュ・シネマ』と作家主義 27・28 アンドレ・バザンの子供たち: ヌーヴェル・ヴァーグの中のバザニスム① 29・30 アンドレ・バザンの子供たち: ヌーヴェル・ヴァーグの中のバザニスム② 授業外 学習 ①グループ発表の課題テキストは必ず全員が読んでディスカッションに参加する準備をしておくこと。 ②グループ発表の準備は、グループごとに協力して授業外の時間に主体的に進めること。発表1週間前にリハーサルをしてもらう。 ③配布する作品リストの作品を必ず事前に見ておくこと。また、テキストで取り上げられる他の作品や、ルノワール、ロッセリーニ、ウェルズ、ヌー ヴェル・ヴァーグの作品はできるだけ見ておいてほしい。 教科書 アンドレ・バザン著/野崎歓ほか訳『映画とは何か(上)』(岩波文庫、2015) を全員購入しておいてください。 適宜資料を配布する。 主要 参考書 アンドレ・バザン著、堀潤之訳『オーソン・ウェルズ』(インスクリプト、2015)/アンドレ・バザン著、奥村昭夫訳『ジャン・ルノワール』(フィルムアート 社、1980)/アンドレ・バザン著、佐藤東洋麿他訳『残酷の映画の源流』(新樹社、2003)/野崎歓『アンドレ・バザン:映画を信じた男』(春風社、 2015)/『ヌーヴェル・ヴァーグの時代』(紀伊国屋書店、2010)。このほか、初回に参考文献表を配布する。 評価 方法 ①受講態度(各回授業内で提出するリアクションペーパーの評価点とディスカッションへの参加度): 30% ②グループ発表: 30% ③期末レポート: 40% 発表、期末レポートの内容には質を求めます。発言は積極性を評価。たくさん発言してください。
© Copyright 2024 Paperzz