実験船における東京湾での単独搬送波位相測位の実験結果について

実験船における東京湾での単独搬送波位相測位の実験結果について
PPP Performance Test of SHIOJIMARU in Tokyo Bay
久保信明
鈴木太郎
土倉弘子 菊池錬
Nobuaki Kubo Taro Suzuki Hiroko Tokura Ren Kikuchi
東京海洋大学
Tokyo University of Marine Science and Technology
1.まえがき
3.実験結果とまとめ
単独搬送波位相測位を実証する場として、船舶は以前
から注目されていた。すでに実用化しているサービスも
あり、船の着岸や海洋開発での支援など、今後の広がり
が期待される分野である。国産の準天頂衛星は単独搬送
波位相測位を実現するために、精密暦と精密クロックを
LEX 信号で放送する実験をすでに開始しており、本研究
室でも車両等の移動体によって実験を実施している[1]。
比較的開けた場所においては、良好な結果が得られてお
り、今回船舶での実験を行ったので報告する。本船舶実
験ではリアルタイムの LEX データを受信することができ
なかったため、RTKLIB[2]を用いた後処理でリアルタイム
相当の結果を予測することとした。また、あわせて中国
の BeiDou 衛星による 3 周波の RTK について解析を行った。
以下に 3 つの手法による水平方向の時系列の絶対誤差
を各々上から示した。手法 1 では、レインボーブリッジで
の中断以外良好な結果となっている。手法 2 は実際のリア
ルタイムを想定した結果であり、[1]と同様の結果となっ
た。手法 3 では BeiDou 衛星の見え方に偏りのある結果で
あるが、EWL→WL が 100km 程度までの 1 エポック基線解
析に利用できることが確認された。
2.実験概要
船舶航行実験は、2014 年 3 月 5 日より 7 日まで東京湾
にて実施された。東京海洋大学所有の汐路丸で年に数回
実験航海があるため、それに合わせてデータ収集を行っ
た。解析の概要を表 1 に示した。実験航路は中央区勝どき
を出て、千葉県の館山湾までの直線で約 72km である。
表1
解析時間帯
実験場所
使用受信機
使用アンテナ
マスク角
解析ソフト
実験解析概要
3/7 09:00 - 3/7 14:00 (JST)
館山湾から勝どきまで
基準、移動ともにトリンブル NetR9
基準、移動ともにトリンブル製
15 度
RTKLIB 及び研究室のもの
本発表では、搬送波位相測位の結果を評価するため、
後処理でアンテナの位置を数 cm で正確に求めた。具体的
には、最大基線長が約 72km あることから、航路上に仮想
的な基準点を 4 つ設け、その位置での仮想基準点観測デー
タを用いて基線解析をすることで、全航路について短基
線 RTK として求めた。仮想基準点観測データは、日本
GPS データサービス様の後処理 VRS 観測データを用いた。
表 2 に解析ソフトでの手法概要を示した。
手法 1
手法 2
手法 3
表 2 解析手法
IGS の最終暦(暦とクロック)を用いた
単独搬送波位相測位(forward+back)
IGS の速報暦(暦とクロック)を用いた
単独搬送波位相測位(forward)
BeiDou 衛星の 3 周波を用いた EWL(B2B3)と WL(B1-B2)による FIX 解
謝辞
日本 GPS データサービス様には後処理用 VRS 観測デー
タを生成して頂きました。また川村助手には実験準備で
大変お世話になりました。ここに深く感謝いたします。
参照文献
[1] T. Suzuki et al. “Evaluation of Precise Point Positioning
Using MADOCA-LEX via Quasi-Zenith Satellite System”, IONITM 2014, January 27-29, San Diego, US.
[2] http://www.rtklib.com/