ワシントンソーシャルライフ

会報2010年12月号
Japan Commerce Association of Washington, D.C., Inc.
ワシントンソーシャルライフ:
「大変な週末」
Shigeko Bork mu project
シゲコ ボーク
先週の金曜日、根管治療のために歯医者さんに行ってきました。歯医者と聞いただけで震えが来
る私は、当日ライナスのブランケットのように愛用のコリラックマのぬいぐるみを抱きしめてエレベー
ターに乗り込みました。早速不思議な視線を感じて見上げると、一緒に乗っていた人たちが私のコ
リラックマをじっと見ているのです。“これから根管治療なんだよ”といったら皆それなりに納得したよ
うで、“グッドラック”なる声援を受けてしまいました。それでなんとなく勇気が出てきたような気がし
たのもつかの間、オフィスのドアを開けた瞬間帰りたくなって、“でも痛いし、もうここまで来てるし”、
などなど往生際悪くオロオロする始末。
ところがここからの展開がまるで、歯医者というよりはホ
テルのVIPルームにいるようだったのです。まずは寒くない
ようにブランケットが被せられます。次にお水が運ばれてき
ます。もしもっと不安になった時のためにウサギのぬいぐる
みまで用意されているのです。そしてもっとすごいのはなん
とホーム・シアター!これで“当日はお好きなDVDをご持参
ください”と言われたなぞが解けました。水泳で使うゴーグ
ルのようなメガネをかけると目の前にビッグ・スクリーンが広
がります。小さなイヤホンから聞こえてくる映画のせりふの
お陰でいやな音はあまり聞こえず、部分麻酔が済んだ後は
ただひたすら口をあけてホーム・シアターを堪能するだけ。
この日のために借りた韓国映画“マザー”がとってもスリリン
グだったので、2時間以上の治療もあっという間という感じで
した。ところが、痛みもなくすっかりよい気分で会計に行った
ところで私は夢から覚めたのです。なんと治療代$2000以
上!クレジットカードでの一括払い。これ払えない人はいっ
たいどうなるのでしょうか?保険でカバーされることの少な
いのが歯科治療。来年はもっと医療関係のチャリティーに参
加しようと、ちょっと早いけど来年の目標です(その後私の顔
は立派に腫れあがり、土日は自宅待機となったのでした)。
韓国映画「マザー」 出典: http://
en.wikipedia.org/wiki/Mother_(2009_film)
本当にお財布が縮み上がる大変な週末でしたが、その前の週末も負けず劣らず大変な週末で
した。11月12日は待ちに待ったファッションショー。ブルーミングデールズの毎年恒例“フレンズ&フ
ァミリー・デイ”と一緒に開かれるもので、その収益金の一部はワシントンバレエ団に寄付されます。
バレエ団の婦人会のメンバーとして参加したのですが、今年は企画者の気合いの入り方が違って
いました。まず髪のセットのために美容院を訪れたのが朝の10時半。ショーのコンセプトが1960年
代のオードリー・ヘップバーンということで、髪を高く高く結い上げるとのこと。担当のヘアドレッサー
の方が大量の髪と格闘すること1時間、私の髪はオードリー・ヘップバーンというよりはミセス・シン
プソンに近く、車の天井をこするほどでした。とにかく運転しながら“カサカサッ”と髪が天井をこする
音が聞こえるのですから。
いかにモデルという優雅な時間が待っていようとも、昼間は主婦としての仕事があります。私は
トレーニング・ウエアとスニーカーにこの髪で犬の散歩をし、娘を学校にお迎えに行き、道でご近所
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の人に会うたびに“いや実はこの髪はこれこれしかじかで”と説
明することとなったのです。
4時にリハーサルで会場入りするころには、私の髪はスズメ
の巣状態で、まずはタッチアップ。次に他のモデルたちと一緒
にキャットウォークの練習です。でもなんどやっても様にならな
いものは様にならないもので、結局普通に歩くことで許してもら
いました。“Shigekoは転ばなければいい”というレベルです。
黒いカクテルドレスを着て、ビンテージの小さな帽子をチョコ
ンと頭にのせて、そしてメイクアップ・アーティストに今年一番ト
レンディな真紅のリップスティックをぬってもらい準備完了。オ
ードリーに相応しくパリ風の音楽にのってショーは開始したの
でした。今年で4年目になりますが、何度やっても楽しい!ショ
ーで着用したドレスはめでたく購入。いま我が家のクローゼット
にあります。ジョージタウナー紙に掲載されたファッションショー
の時の夫と一緒の写真は、日本にいる両親に早速郵送しまし
た。
ファッションショーにて
そしてファッションショーから一夜明けた次の日は、私と他
の役員たちが一生懸命頑張って準備した非営利アート団体トランスフォーマーのオークションの
日でした(このイベントの詳細な記事は今週のシティーペーパーに掲載されていますので、ご興味
のある方は読んでくださいね)。DCのアート愛好家のために新しいアーティストを探しにNYに行っ
たり日本に行ったりして一年かけて準備した大イベントです。11月13日に600人近くが参加して16
丁目にあるメキシコ大使館の文化部、メキシカン・カルチュラル・インスティテュートで開催されまし
た。200点近くある作品が全部売れるかどうか、もう朝からドキドキです。夫とNYから駆けつけてく
れた友人と一緒に早めに会場入りします。まずはシャンペンで乾杯し、作品を見て回ることにしまし
た。
メキシカン・カルチュラル・インスティテュートは1階から3階までの壁を覆うメキシコの歴史を描い
たオリジナルの壁画で有名で、普段は一般にも公開されていますので一度見学の価値あり、です。
作品を見る合間にはちゃんと食事もチェックします。今年は今話題の日本レストラン“KUSHI”が
お寿司のスポンサーなので、お寿司コーナーに陣取って美味しく頂きました。メキシコ風のアパタイ
ザーは説明されてもよくわからず、それでもとってもおいしくて、あっという間になくなってしまったよ
うです。
夜も更けてオークション締め切り間際になった会場はもの凄い熱気に包まれ、作品に近づくのも
困難なほど。でもなんとかお目当ての作品を手に入れるために人ごみを掻き分けて、鉛筆を握りし
めて締め切りギリギリに入札終了。私のほかにもう二人その作品が欲しい人がいたようで、最後は
バトルと化しましたが、それでも無事作品を落札したのでした。もうとっくに10時半をまわっていて、
入札という戦いを終え、2日連続のパーティーということもあってフラフラです。家に帰った後は娘の
ディナーの残りのピザを食べながら、夫と二人で乾杯です。本当に大変な週末でした。
これでしばらくは大変な週末から開放されるかと思いきや、金曜日からはくるみ割り人形の公演
が始まります。どうやら大変な週末は年末まで続きそうです。皆様もこれから年末にかけてますま
すお忙しくなることと思います。それでは楽しいホリデイ・シーズンをお過ごしくださいませ。
ハッピー・ホリデイ!
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