総合内科 - JA愛知厚生連 海南病院

総合内科専門修練カリキュラム
【目標】
一般目標(GIO)
内科主治医として合理的医学診療を行うために、主治医機能を果たすにあたって要請さ
れる精緻かつ広範な診療能力(知識、技能)を「総合プロブレム方式」<註>を用いて体
得し、患者の有する身体的、精神的課題に適切に対応する態度を獲得する。
<註>「総合プロブレム方式」:過不足のない臨床情報とプロブレムリストを主軸とした
問題指向型医学診療の最新方式。栗本秀彦著「総合プロブレム方式」(2007 年、プリメド社)、
http://kensankai.lolipop.jp/ 参照。
個別行動目標(SBOs)
<総合プロブレム方式の運用>
1)広範なルーチン、データベースからプロブレムリストを作成することで、各科に診療
の大きな枠組みを提供できる。
(総合プロブレム方式を提供できる。)(技能)
2)総合プロブレム方式を用いて担当患者を診療することができる。
(技能)
3)総合プロブレム方式を用いて初期研修医を指導することができる。(技能)
<臨床疫学>
4)検査の感度・特異度理解のもとに、合理的な検査を指示することができる。
(問題解決)
5)臨床研究について、後向き症例対照比較試験、前向き無作為化比較対照試験(RCT)、
メタ分析(meta-analysis、systemic review)を区別することができる。(解釈)
6)文献の批判的読み方(論文の内容が信頼できるかどうかを科学的に評価するような読
み方)ができる。(解釈)
7)文献の検索をはじめとして、科学的根拠に基づく医療(Evidence Based Medicine)を
行う。
(態度)
<困難症例>
8)不明熱などの診断困難症例に対して、綿密な病歴、身体所見をもとに、年齢、陽性症
状・陽性所見から、診断のアルゴリズムを示すことができる。(問題解決)
<感染症>
9)感染症が推察される場合、起炎菌同定のために、グラム染色、血液培養など適切な検
体の取り扱いを、抗菌剤治療開始前に行う。
(態度)
10)検体のグラム染色鏡検にて、細菌像、白血球の細菌貪食像などから、起炎菌を推定す
ることができる。(解釈)
11)感染症の部位による起炎菌想定に基づき、適切な抗菌剤を選択、開始できる。(問題解
決)
12)抗菌剤の使用に際し、吸収、分布、代謝、半減期、排泄経路を調べる。
(態度)
13)患者の体格、年齢、肝腎機能を勘案して、適正に抗菌剤を使用することができる。(問
題解決)
14)起炎菌同定後、狭域抗菌剤への変更により、体内細菌叢の乱れを防ぐ意義を説明でき
る。(想起)
15)広域抗菌剤の長期使用が耐性菌を選択し、患者、病院、地域の耐性菌を増加させるこ
とを説明できる。(想起)
<悪性腫瘍>
16)身体所見と検査結果をもとに、悪性腫瘍患者の臨床病期判定ができる。
(解釈)
17)悪性腫瘍患者の臨床病期、年齢、身体活動度を参考に、治療法(手術療法、放射線療
法、化学療法、緩和医療)を選択できる。(問題解決)
18)化学療法の適応を有する悪性腫瘍患者に対して、副作用に配慮しつつ、化学療法を正
しく遂行することができる。(技能)
19)悪性疾患の診断検索中から、検査と並行して緩和医療を開始することができる。
(技能)
20)WHO の疼痛緩和ラダーを用いて、完全除痛を達成することができる。
(技能)
21)末期癌患者の諸症状を適切な手段で緩和することができる。
(技能)
22)患者と家族が穏やかな最期を全うできるように、脇役として援助する。
(態度)
<膠原病・血管炎>
23)膠原病・血管炎診断のうえで、広範な症状を欠落なく確認するために、系統的問診と
診察を行うことができる。
(技能)
24)症状、身体所見から推定した疾患について、スクリーニング検査を行うことができる。
(問題解決)
25)スクリーニング検査結果から、診断確定のため特異度の高い検査を行うことができる。
(問題解決)
26)膠原病の種類と重症度に応じて、治療法(経過観察、NSAID、副腎皮質ステロイド、免
疫抑制剤、血漿交換療法など)を選択することができる。(問題解決)
【修練修了後取得できる専門医資格】
一般社団法人日本内科学会総合内科認定専門医
一般社団法人日本病院総合診療医学会認定医
【方略】
海南病院内科系専門修練コース
3 年次
内科ローテート
内科内選択
コース
ローテート
4 年次
内科系ストレー
5 年次
6 年次
総合内科固定修練
総合内科固定修練
トコース
註 1)3 年次の内科内選択ローテートでは、内科の亜専門分野を 3 か月ずつ 4 分野、または
4 か月ずつ 3 分野をローテートする。
註 2)4年次に内科認定医試験を受ける。6年修了時点で専門医試験受験資格を取得し、7
年次に内科認定専門医試験を受ける。
修練の実施
<3 年次> 上級医から助言・指導を受けつつ総合内科入院患者を担当する。内科 ER を週
1~2 回、内科再診予約外来を週 1 回担当する。
<4 年次> 上級医の見守りのもと総合内科入院患者を単独で担当する。内科初診外来を週
1~2 回、内科再診予約外来を週 1 回担当する。
<5 年次・6 年次> 担当患者診療とともに、総合内科の全入院患者に目配りをし、必要に
応じて下級医に助言・指導をする。内科初診外来を週 2 回、内科再診予約外来を週 1 回担
当する。
1)研修医の総合内科ローテート時、中間指導医となって研修医とともに患者を担当する。
この過程で、病歴、身体所見、過去の資料収集について研修医に指導しつつ学び、プロ
ブレムリストを作成する。毎日の医学診療を総合プロブレム方式に則って行う。
2)受け持ち患者の病状把握を朝夕行い、毎日の入院患者カンファレンスで呈示する。
3)Attending Round(教育回診)に発表する研修医の症例にあらかじめ目を通し、改善点
を指導する。
4)Morning Report で研修医への助言・指導を行う。
5)総合内科初診外来で、診療(病歴聴取、身体所見、過去の資料請求、検査指示、暫定プ
ロブレムリストの作成)を行う。
6)時間内救急当番で、一年次、二年次研修医を指導しつつ、内科の一次・二次救急患者を
診療する。
7)海南ジャーナルクラブで、研修医に文献検索方法を指導しつつ、臨床研究デザインの区
別、文献の批判的読み方を学ぶ。
8)希望により、心エコー、腹部エコー、上部消化管内視鏡、気管支鏡検査の技能を習得す
る。
週間スケジュール例
早朝
月
火
水
木
金
土
Morning
カンファレ
カンファレ
カンファレ
Morning
カンファレ
Report
ンス
ンス
ンス
Report
ンス
午前
身体診察
ラウンド
午後
夕刻
Attending
Attending
Round
Round
内科会/
カンファレ
カンファレ
カンファレ
カンファレ
Journal
ンス
ンス
ンス
ンス
Club/ ER
※週 1~2 回内科 ER 当番、週 1~2 回内科初診外来、週 1 回予約再診外来が追加される
※上記以外の時間帯は担当患者回診
※担当患者回診には初期研修医の指導も含まれる
【評価】
SBOs
領域
目的
方法
測定者
時期
1
技能
形成的
観察記録
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
2
技能
形成的
観察記録
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
3
技能
形成的
観察記録
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
4
問題解決
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
カンファレンス時
5
解釈
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
Journal Club 時
6
解釈
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
Journal Club 時
7
態度
形成的
観察記録
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
8
問題解決
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
カンファレンス時
9
態度
形成的
観察記録
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
10
解釈
形成的
口頭試験
検査技師・上級医
専門修練期間中
11
問題解決
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
12
態度
形成的
観察記録
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
13
問題解決
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
14
想起
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
カンファレンス時
15
想起
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
カンファレンス時
16
解釈
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
カンファレンス時
17
問題解決
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
カンファレンス時
18
技能
形成的
観察記録
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
19
技能
形成的
観察記録
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
20
技能
形成的
観察記録
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
21
技能
形成的
観察記録
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
22
態度
形成的
観察記録
自己・看護師・指導医
専門修練期間中
23
技能
形成的
観察記録
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
24
問題解決
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
25
問題解決
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
専門修練期間中
26
問題解決
形成的
口頭試験
自己・上級医・指導医
専門修練期間中