たばこを吸うとどうなるの? パート 2 医療法人徳永呼吸睡眠クリニック内科・呼吸器内科 徳永 豊 http://www.respiration-sleep.com/ 広島県医師会報平成 25 年度禁煙に関するコラムより 小学生向けの禁煙教材、「たばこを吸うとどうなるの?」という小冊子を出して、10 年がたった。筆者 が、広島市安佐北区可部地域周辺 7 小学校の禁煙教育を行った講演内容をまとめたものである。現在、 COPD-JP.com(http://www.copd-jp.com/download.html)にPDFとして無料で公開されている。 15 年前にさかのぼる。広島市立安佐市民病院に呼吸器内科医として勤務していた当時、地区の小学校の 養護教諭部会から、禁煙教育の依頼があった。子どもたちの制服にたばこのにおいがする児童が増えて、 困っているというのである。早速、コンビニに行き、たばこを購入してくると、フィルターには無数の穴 があいていた。ベンチュリー効果を利用して、よく燃え、希釈される「軽いたばこ」になっていた。日本 たばこのホームページによると、たばこフィルターは、「科学技術の粋」とのことである。これでは、ア ンモニアなどの有害物質を多量に含む副流煙を吸わされる子どもたちは大変である。 勤務する内科には、疾患別に医師をオンコールする古いしきたりがあった。喘息発作やCOPD急性増 悪の救急受診のたびに呼び出されるのには、ほとほと困っていた。救急現場で、「たばこをやめないと治 りません」と指導した後には、徒労感が残った。そこで病院地区周辺の 7 小学校の禁煙教育をすれば、救 急で呼び出されることが少なくなるのではと考えた。禁煙教育をした子どもたちが家庭に帰り、両親、兄 弟姉妹に、「たばこを吸うと、臭い、きたない、病気になるよ」と連呼してくれるという算段である。経 年的に実施すれば、地区からの喘息、COPD罹患率も下がるのではとの夢もいだいた。以上のような経 緯で養護教諭部会と合同で毎年一回の禁煙教育をはじめることにした。 小学生への講義は、とても楽しかった。みんな目が輝いており、はつらつしている。元気をもらえた。 話で難しいことをいうと、「分からない」という言葉が返ってくる。リズムがないと集中してくれない。 「喫煙者のはぐきは真っ黒だよ。女性タレントでたばこを吸う人は、口をあけないからね。カープの選手 には、たばこを吸う人が多いからね。ベンチをみてごらん。出たり入ったりしているよ。集中力がたりな いよ。弱いよね。外国に挑戦する巨人の松井秀喜、サッカーの中田英寿は、たばこを吸わないよ、集中力 が違うよ」と説明した。若い呼吸器内科Dr.たちにも禁煙教育に出かけてもらった。 広島市小学校校長会で、なぜ可部地区だけとの意見が出た。可部地区以外の禁煙教育の要望は、お断り していた。理由は、時間の制約の中ですべてを引き受けることができないからである。その代わりに講演 に使うパワーポイントを依頼があれば、さしあげることにした。また、それにより他地区からも禁煙教育 の wave が起こればよいかと考えた。「たばこを吸うとどうなるの?」という小冊子は、このような経過 から生まれたものである。養護教諭部会のネットワークを通して、小学生用の禁煙教材として、全国に 33 万部配付された。この 10 年の禁煙環境および国民皆保険制度下でのニコチン依存症診療体制の整備には、 めざましいものがある。かっての小学生のヒーローたちは引退してしまった。弱かった広島カープは、16 年ぶりにAクラスになり、CSで阪神に連勝した。「たばこを吸うとどうなるの? てみたいと考えている昨今である。 パート 2」をつくっ
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