第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 1 問題 正答 次のうち、ドレークの式の項に含まれないものはどれか。 ①銀河系内の恒星の数 ②恒星の周りに惑星が誕生する確率 ③生命が誕生する環境を持つ惑星の数 ④文明の寿命 2 第一宇宙速度である7.9km/sの速度で地上から真上にボールを打 ち上げた場合、ボールのその後の挙動として正しいものはどれか。 ①地球の引力圏を振り切って宇宙に飛んでいく ②地球の引力につかまり地球の周りを回る ③地球の引力とバランスがとれて宇宙空間にとどまる ④地球の引力の影響で減速し、やがて落下する 3 地球質量の2倍の惑星が軌道長半径2天文単位、公転周期2年の 軌道を公転している場合、その系外惑星系の親星(中心の恒星) の質量は太陽質量の何倍か。 ①0.5倍 ②1倍 ③2倍 ④これだけでは決まらない 4 緑色に見える恒星がほとんどないのはなぜか。 ①恒星が緑色の光をほとんど出さないから ②星間塵が緑色の光を吸収するから ③地球大気が緑色の光を通さないから ④スペクトルの形が太陽と似ているから 5 この図は、ある星団の見かけの等級V を縦軸に、色指数B -V を 横軸にして作成した図である。この星団の年齢を知るうえで最も注 目すべき点はどこか。 解説 章 ① ドレークの式は、現在の銀河系内において、地球と電 波で交信できるような文明の数がいくつあるかを単純 な計算式で求められるように考案されたもの。 最初の項は、銀河系の中で1年間に誕生する恒星の 数であって、銀河系内の恒星の数ではない。 1 ④ 地球の引力圏を脱することができる速度は第二宇宙 速度であるため、第一宇宙速度では真上に打ち上げ た場合、地球の引力圏を振り切ることができず、徐々 に減速し、やがて落下に転じて地上に戻ってきてしま う。 9 ③ ケプラーの第3法則を太陽系単位で書き表すと、惑星 質量≪中心星質量の場合、(中心星の質量)=(軌道 長半径)3/(公転周期)2と書ける。ケプラーの第3法 則を記憶していなくても、ニュートンの万有引力の法則 を次元解析した、(軌道長半径)/(公転周期)2=(中 心星の質量)/(軌道長半径)2 からも導ける。 3 ④ 太陽は波長500nm付近(緑)にスペクトルのピークがあ り、緑色の光が最も強いが、他の色の光も放っている ので、全体としては白く見える。太陽と同じように緑に ピークをもつ恒星の色も人間の目(脳)は「白」と感じ る。また、暗いものに感度のある視細胞(杆体細胞)が 色を見分けられないのも、星が白く見える原因である。 なお、てんびん座ベータ星は緑色に見える星として知 られているが、実際には青白い星である。 4 ② 星団の星は同時期にいっせいに誕生し、時間経過とと もに短寿命の大質量の星から主系列を外れていく。左 図で、どの質量(色)の星まで主系列を離れ始めてい るか、すなわち曲がり角の位置を見れば、その星団の 年齢がわかる。ちなみに左図は球状星団M15のもので ある。M15の年齢は120億年と推定されており、天の川 銀河に属する球状星団としては最も古いもののひとつ である。 5 ④ 銀河系中心核ブラックホールの影を見込む角度は、 4000万km/2万8000光年=1.5×10-10ラジアン=0.03 ミリ秒角なので、観測するのに必要な視力は60÷ 0.00003=2,000,000である。アタカマ大型ミリ波サブミリ 波干渉計ALMAは単独でも視力2000を達成しているの で、世界中の干渉計を動員して基線を1000倍にすれ ば、もしかしたら巨大ブラックホールの影(直接証拠)を とらえられるかもしれない。 6 ①主系列の傾き ②曲がり角の位置 ③水平な部分の明るさ ④最も明るい星の色 6 銀河系の中心には直径4000万kmほどの巨大ブラックホールがあ り、その見かけの大きさは、0.03ミリ秒角である。その影を観測する ためには、どのくらいの視力が必要か。なお、視力1は60秒角を見 分ける能力である。 ①2000 ②2万 ③20万 ④200万 1 第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 7 問題 正答 M87を中心として銀河がたくさん集まっている領域を何というか。 ①おとめ座銀河団 ②かみのけ座銀河団 ③M87銀河群 ④局部銀河群 8 次のうち、天体からの光を分光して初めて明らかになったことはど れか。 ①小惑星ケレスの軌道 ②地球の公転運動 ③海王星の存在 ④ヘリウム元素の存在 9 スイングバイについて間違っているのはどれか。 ①スイングバイとは探査機等が天体の重力と公転速度を利用し て、飛行方向や速度を変えることである ②スイングバイによって加速することも減速することもできる ③加速スイングバイの場合、探査機等が加速した分、利用した天 体の公転速度はわずかに減少する ④スイングバイを利用することで、飛行に要する推進剤を節約でき る 10 トランジット法で系外惑星候補が検出された場合、原理的には、あ る別の方法で系外惑星かどうか確認できる可能性が高い。それは どのような方法か。 ①ドップラー法 ②天体位置法 ③直接撮像法 ④重力レンズ法 11 恒星やガスなど我々が直接観測できる物質は、宇宙の構成物とし て何%を占めるか。最も近いものを選べ。 解説 章 ① 数100個以上の銀河が1000万光年ほどの領域に集 中している場合を銀河団という。ちなみに銀河群は、数 10個程度の銀河が、100万光年ほどの領域に集まっ ているものである。おとめ座銀河団は約6000万光年離 れたところにある代表的な銀河団であり、銀河系が属 する局部銀河群も、おとめ座銀河団に隣接している。 7 ④ ケレスの軌道は観測されたケレスの位置の変化から 最小自乗法を利用して計算された。地球の公転運動 は、恒星の位置を精密に測定することで、年周視差や 年周光行差を検出して証明された。海王星は、天王星 の軌道のずれからニュートン力学を利用して位置を計 算し発見された。ヘリウムは当初、太陽の分光観測に よって発見され、その後、地球にも存在するガスである ことがわかった。 8 ③ 加速スイングバイに利用された天体は、その位置エネ ルギーをわずかに失い、内側に移動する。ケプラーの 第2法則により、内側に移動した天体は公転速度が上 がる。探査機の場合には、天体に比べて質量が無視 できるほど小さいので、実際にはその軌道の変化も無 視できるが、原理的には、小惑星等が地球に衝突する のを防ぐため、その小惑星で時間をかけてスイングバ イを何度も行うことで衝突軌道を回避することも可能で ある。 9 ① トランジット法で検出される系外惑星の軌道面は視線 10 方向とほぼ一致している。このように軌道が視線を横 切るような場合、ドップラー法でも検出できる可能性が 非常に高い(逆に、ドップラー法で検出できなければ系 外惑星でない可能性がある)。天体位置法は親星(中 心の恒星)の位置変化を測定するものであり、重力レ ンズ法は背景を偶発的に通過する恒星の明るさの変 化に、系外惑星の重力の影響を見出す方法である。い ずれもトランジット法で検出されるかどうかとは関係な い。 ① およそ4%。他はダークエネルギーとダークマター。 1 ③ 太陽の中心核で起こっている核融合反応によって発生 したエネルギーは、放射層、対流層を伝わって、表面 に達する。彩層は、太陽を覆っている厚さ2000km~1 万kmのガス層。 2 ④ 太陽系の果てにあるオールトの雲は太陽から数万天 文単位の辺りにあると推定されている。太陽-地球間 距離を1mとすれば数十kmに相当する。 3 ①4% ②25% ③50% ④75% 12 太陽の構造を表す名称を、太陽の中心から外側へ順に並べた場 合、正しいものはどれか。 ①中心核→彩層→対流層→放射層 ②中心核→対流層→彩層→放射層 ③中心核→放射層→対流層→彩層 ④中心核→対流層→放射層→彩層 13 太陽と地球の距離を1mとしたとき、太陽系の果てにあると推定され ているオールトの雲はどのあたりにあると考えられるか。 ①数十m程度 ②数百m程度 ③数km程度 ④数十km程度 2 第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 問題 正答 14 肉眼で観測できる最も暗い星は6等星だといわれている。夜空で最 も明るく見える恒星はおおいぬ座のシリウスであるが、ある6等星と シリウスの本来の明るさが等しかったとすると、その6等星はシリウ スの何倍遠くにあるか。最も近いものを選べ。シリウスの明るさは -2等級とする。 ①およそ80倍 ②およそ40倍 ③およそ20倍 ④およそ10倍 15 次の画像を星の進化の段階順に並べたとき、正しいものはどれ か。 解説 章 ② 6等星と-2等星の等級差は8等級である。1等級差の 明るさの比は約2.5倍であるので、2.58=1562.5倍とな る(5等級差が100倍になるので、計算は100×2.5×2.5 ×2.5が早い)。 本来の明るさが一定だと仮定すると、見かけの明るさ の違いは距離の違いとなる。明るさは距離の2乗に反 比例するため、1562.5倍明るい星は、√1562.52倍近い ことになる。 302=900、402=1600であるので、選択肢の中でも最も 値が近いのは②となる。 4 ① 恒星はガスの塊である分子雲の、なかでも密度が高い 部分で生まれる。その後、原始星を経て一人前の星、 主系列星となる。年老いた星は赤く膨らんだ赤色巨星 となり、ガスを噴き出して惑星状星雲となるか、大爆発 を起こして超新星残骸を残すかして最期を迎える。Aの ベテルギウスは赤色巨星、BのシリウスAは主系列星、 Cのコーン星雲は分子雲、DのSimeis 147は超新星残 骸であるため、正解は①となる。 5 ② これはオリオン座にある馬頭星雲の画像である。馬の 頭の形をした馬頭星雲自体は、背景の明るい星雲の 手前に浮かび上がって見えている暗黒星雲である。背 景の薄く広がっている領域はHII領域であり、馬頭星雲 の斜め左上に見える明るい星雲は反射星雲である。 惑星状星雲はその多くが円盤状に見えるが、この画像 の中には写っていない。 6 ② 当時の宇宙の組成を反映してヘリウムも含んでいた。 水素とヘリウムが主成分で、リチウム以上の“金属”量 は非常に少なかった。金属量が少ないとガスの冷却効 率が低いので、大質量でないと自己重力で収縮できな かった。強力な紫外線で宇宙を再電離し、また短寿命 のため急速に宇宙に金属をばらまく、という重要な役 割を果たした。2015年、ESOのVLTで証拠が見つかっ たとの発表があった (http://www.eso.org/public/news/eso1524/)。 7 ①C→B→A→D ②C→A→B→D ③D→B→A→C ④D→C→A→B 16 次の画像の中に、写っていない天体はどれか。 ①暗黒星雲 ②惑星状星雲 ③HⅡ領域 ④反射星雲 17 最初に誕生した星について間違っているものはどれか。 ①ビッグバン後、数億年のうちに誕生した ②水素だけでできていた ③非常に大きな質量をもっていた ④強力な紫外線を放っていた 3 第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 問題 正答 18 以下の日本の古文書のうち、皆既日食について述べたものはどれ か。 ①『日本紀略』後編六、平安京での出来事 ②『枕草子』第161段、中宮定子と共に過ごした日の出来事 ③『源平盛衰記』巻33、水島の合戦での出来事 ④『明月記」寛喜二年十一月八日の条に記された出来事 19 2015年は日本初の、とある実験から60年を記念する年である。そ の実験とは何か。 解説 章 ① ①は食分11/15の部分食が予報されていた日に、実際 は皆既日食であったという記録。③も同じく日食が起き て源氏がおおいに慌てた、という記録であるが、この時 は金環日食であった。 ②で述べられているのは陰陽寮を訪れた記録、④は 彗星、超新星などの「客星(普段見られない星)」の出現 例の記載であり、共に日食については触れられていな い。 8 ① 1955年、糸川博士は日本初のペンシルロケットの水平 発射を国分寺で成功させた。 9 ② 生物の条件は(1)細胞のような構成単位をもち外界と 隔てられている、(2)外界から物質やエネルギーを取 り込み物質代謝する、(3)自分自身とほぼ同じものを 複製し増殖する、の3つである。ウイルスは細胞のよう な構成単位をもたず、核酸とタンパク質の殻からなる。 また、自分自身では代謝も行えない。核酸はもってお り、DNAをもつウイルスをDNAウイルス、RNAをもつウ イルスをRNAウイルスという。 10 ② プランク時間は√(Gh/c5)で表わされ、約10-44秒であ る。 テキストの図表1-4によると、各事象までの時間のオー ダーはそれぞれ ①10秒②10-44秒③10-11秒④100秒 である。よって②が一番近い。 1 ③ ①大規模フレアは太陽表面の磁力線のつなぎかえで 起きるので正しい。 ②黒点では磁力線により熱輸送が妨げられるので温 度が低く暗くなるので正しい。 ③粒状斑は太陽内部の対流運動によって発生するた め、磁場が直接の原因ではない。 ④ポーラープルームは太陽の両極の双極磁場の磁力 線構造を反映しているので正しい。 2 ④ 軌道離心率をe 、軌道長半径をa とすると、 近日点距離はa (1+e )、遠日点距離はa (1-e )と表すこと ができる。 そのため、その差は{a (1+e )-a (1-e )}=a +ae -a + ae =2ae =0.16[au] 1auは1.5×108 kmであるため、答えは2400万kmとな る。 3 ①ペンシルロケットの発射実験 ②液体ロケットの発射実験 ③人工衛星の発射実験 ④イオンロケットの発射実験 20 ウイルスは生物とも無生物ともいえない境界上の存在である。この ウイルスについて述べた文で、正しいものを選べ。 ①細胞はあるが、代謝を行えない。他の生物を利用して自己複製 は行える ②細胞はないが、DNAなどの核酸はあり、他の生物を利用して自 己複製は行える ③細胞はあるが、DNAなどの核酸がなく、自己複製に他の生物を 利用する必要がある ④細胞はないが、代謝を行える。他の生物を利用して自己複製は 行える 21 無からの宇宙の誕生を出発点として各事象までの時間を考える。 プランク時間の長さに一番近いものはどれか。 ①光誕生までの時間 ②重力誕生までの時間 ③電子誕生までの時間 ④元素合成開始までの時間 22 太陽に磁場が存在することに直接関連する現象として適当でない ものはどれか。 ①大規模フレアによって人工衛星が故障したりする可能性がある ②黒点領域は周囲の光球に比べ温度が低いため暗く見える ③太陽表面には粒状斑と呼ばれる模様があり、数分で消滅・生成 を繰り返す ④太陽コロナにはポーラープルームと呼ばれる筋状の構造が見ら れる 23 水星は、その軌道離心率が最も大きい惑星である。水星が太陽に 最も近いとき(近日点)と、太陽から最も離れたとき(遠日点)では、 太陽から水星までの距離に何kmの差があるか。水星の軌道離心 率を0.2、軌道長半径を0.4 auとする。 ①600万km ②1200万km ③1800万km ④2400万km 4 第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 問題 正答 24 次のHR図について、最も正しく説明しているものはどれか。 解説 章 ② Aグループは白色矮星、Bグループは主系列星、Cグ ループは赤色巨星になる。白色矮星(A)と主系列星 (B)の質量は数桁もは違わないので①は間違い。主 系列上で左上から右下とか、右下から左上に進化する ことはないので、③④も間違い。 白色矮星は主系列星より、同じ表面温度で、1万倍ぐら い暗いので、半径は100分の1ぐらいしかない。 4 ① 地球の大気組成は主に窒素(原子番号7)、酸素(同 8)、アルゴン(同18)であり、太陽大気と比較すると、 この3種類の元素の量が突出する。希ガス類(ヘリウ ム、ネオン、アルゴン等)は化合物をつくらないため、地 球の材料として取り込まれることはなかったが、現在の 地球大気においては、アルゴンが組成の第3位に入っ ている。これは、カリウム40がβ崩壊したアルゴン40 に由来する。また、ヘリウムも地球の組成に含まれる 放射性元素から放出されたアルファ粒子に由来する。 5 ③ 銀河系の球状星団と散開星団については、分布や恒 星数の規模、年齢で明確に区別がつけられる。つま り、散開星団は、ほぼ銀河系の円盤部に分布するが、 球状星団は円盤の上下にも分布している。恒星数では 球状星団の方が大規模である。年齢も球状星団が平 均的に大きい。形状については、散開星団のなかにも 球状のものがあるので、単純な見かけだけでは区別で きない場合がある。散開星団、例えば、プレアデス星 団やヒアデス星団中には、褐色矮星や系外惑星は見 つかっている。 6 ①Aグループの星は、Cグループの星より暗いので、質量が数桁小 さい ②Aグループの星は、Cグループの星より暗いので、半径が数桁小 さい ③Bグループの星は、Bグループ内で右下から左上に向かって進 化が進む ④Bグループの星は、Bグループ内で左上から右下に向かって進 化が進む 25 次の図は、太陽大気とある天体の大気組成を比較したものである (横軸は原子番号、縦軸は水素の相対比で規格化した太陽大気に 対する組成比;下限は0.1で打ち切っている)。比較した天体とは何 か。 ①地球 ②木星 ③冥王星 ④シリウス 26 銀河系の星団について説明した次の文のうち、間違っているのは どれか。 ①散開星団は球状星団と比べて、含まれる星の数が少ない ②散開星団は球状星団と比べて、含まれる星の年齢が若い ③散開星団は球状星団と比べて、褐色矮星や系外惑星が見つ かっていない ④散開星団は球状星団と比べて、銀河系の円盤部分に分布する ものが多い 5 第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 問題 正答 27 銀河系の形態はどれか。 ①楕円銀河 ②不規則銀河 ③渦巻銀河と棒渦巻銀河の中間 ④レンズ状銀河 28 次の組み合わせで、正しいものはどれか。 ①渋川春海-貞享改暦 高橋至時-寛政改暦 渋川景佑-天 保改暦 ②渋川春海-寛政改暦 高橋至時-貞享改暦 渋川景佑-宝 暦改暦 ③渋川春海-天保改暦 高橋至時-宝暦改暦 渋川景佑-貞 享改暦 ④渋川春海-宝暦改暦 高橋至時-貞享改暦 渋川景佑-寛 政改暦 29 人工衛星の地表面への軌跡が8の字型となる準天頂軌道をとる衛 星の軌道を、地球の外から見るとどのようになるか。最も適当なも のを選べ。なお、軌道と地球の大きさは誇張してある。 6 解説 章 ③ 銀河系は下図にもあるように、SAbとSBbの中間的形 態をもつのではないかと考えられている。ガリレオが星 の集まりだと確認して400年余り、ハーシェルが円盤状 であると見出して230年、電波天文学の登場などもあ り、人類の銀河系に対する観測結果はここまで進ん だ。 7 ① 現在の暦でもわかるように、天体の現象と暦はきれい に割り切れる関係にはないので、長い年月の間には 補正または改暦が必要となる。渋川春海は800年以上 使い続けられてきた宣明暦に対して1684年に貞享改 暦を行った。その後、1755年に西川正休が宝暦改暦 を、1797年には高橋至時が寛政改暦、1843年には渋 川景佑が天保改暦を行っている。 8 ② ①は静止軌道の模式図。③は極軌道の模式図。④は 力学的に実現不可能な軌道。 ②の軌道は地上から見ると赤道から南北の中緯度帯 にわたって衛星が移動する。地上からの高度を調整す ることで、ある地域から見ると、8の字を描くような軌道 となる。 9 第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 問題 正答 30 次の図は、ある惑星の大気スペクトルである。単純な熱放射スペク トルに対して、いくつかの吸収線構造が見られる。この図から推測 できることはどれか。 解説 章 ② オゾンがあるだけでも生命(光合成を行う「生産者」)が 生存している証拠バイオマーカーであるが、酸化的環 境の中でメタンが存在していることは、「消費者」や「分 解者」も存在する豊かな生態系の証拠である。ちなみ に、このスペクトルは夜側の地球大気を人工衛星から 観測したものである。①のレッドエッジは波長が0.7μm くらいなので、この図には描かれていない。なお、生命 生存可能領域の内縁は水が蒸発(沸騰)するかどうか ではなく、大気中の水蒸気が紫外線でH+OHに分解さ れるかどうか(外縁はドライアイスの雲ができるかどう か)で決まる。水の沸点は、大気圧(惑星質量、水 深)、海の水溶物(沸点上昇)によって変わるし、水温 は緯度や標高、自転周期によっても変わる。また、地 球では200℃を超えるような熱水中に生命が生存して いる。 10 ④ ブラックホールはアインシュタインの一般相対論の解と して得られた時空構造だが、一番単純な球対称のシュ バルツシルト解は、1915年にシュバルツシルトが導い た。その後、1939年に、星が重力崩壊してブラックホー ルになることが示された。当初はブラックホールという 呼び方はなく、崩壊星とか凍結星と呼ばれていた。ジョ ン・アーチボルト・ホイーラーが1967年12月29日に行っ た講義で、はじめて、ブラックホールという名前を付け た。 1 ② 黒点の数が多いときは太陽活動が活発なときであり、 日射量は増える。黒点は周囲よりも温度が低いが、そ れでも約4000 Kの高温で、黒点だけを取り出せばオレ ンジ色の黒体放射で輝いている。ダークフィラメントは プロミネンスが光球面の前面にあるときに黒く見える現 象である。 2 ② 金星は東方最大離角の時に夕方西の空に「宵の明 星」として見られ、西方最大離角の時には明け方東の 空に「明けの明星」として見られる。 3 ③ シリウス(主星)とベガは、共に白色で、A型星。惑星と 恒星の光るメカニズムは異なり、惑星の色は温度を必 ずしも反映しない。ベテルギウスとリゲルは色が異な る。 4 ①7μm付近で大きな吸収端があるので、葉緑素によって光合成す る生物がいる ②メタンとオゾンが共存しているので、生命が生存している ③二酸化炭素の吸収線があるので、呼吸する生物がいる ④水蒸気が多いので、生命が生存するには熱すぎる 31 ブラックホールについて間違っているのはどれか。 ①重力がとても強く、周囲の空間が歪んでおり、光さえ出て来られ ない天体である ②ブラックホールは事象の地平面と呼ばれる球状の境界面に囲ま れている ③ブラックホールはさほど珍しいものではなく、銀河系内に1000万 個ほど存在していると考えられている ④ブラックホールの名付け親はアインシュタインであり、それ以前 は崩壊星とか冷凍星と呼ばれていた 32 黒点について述べた文のうち、正しいものを選べ。 ①黒点が増えると太陽が暗くなり、地球での日射量も減る ②黒点は磁場の影響で光球面よりも凹んでいる ③黒点は可視光線よりも赤外線を強く放射しているため黒く見える ④黒点が細長く連なったものをダークフィラメントという 33 各惑星の見かけの動きで間違っているのはどれか。 ①水星は最大離角と黄道の傾きによって見つけやすさが大きく変 わる。夕空で見つけやすいのは、両者の条件がほどほど揃う、5月 上旬から6月上旬である ②金星は西方最大離角のときに夕方西の空に「宵の明星」として 見られ、東方最大離角のときには明け方東の空に「明けの明星」と して見られる ③火星は約2年2カ月ごとに地球に接近する。接近前後の約2カ月 間は夜空を東から西に動くように見える。この動きを逆行という ④木星は12年で星座を一回りすることから「歳星」とも呼ばれる 34 天体の色と温度について説明した次の文のうち、正しいものはどれ か。 ①火星とアンタレスは、色が似ているので表面温度がほぼ同じで ある ②金星と木星は、色が似ているので表面温度がほぼ同じである ③シリウス(主星)とベガは、色が似ているので表面温度がほぼ同 じである ④ベテルギウスとリゲルは、色が似ているので表面温度がほぼ同 じである 7 第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 問題 正答 解説 章 35 次の図は、主系列星から赤色巨星への進化経路を示している。図 中の①~④の中で太陽と同じ質量の星の進化経路を示すものは どれか。 ② 前主系列星から主系列星まで、また、主系列星から赤 色巨星さらにその先まで、は星の進化に伴いHR図上 を大きく動いていくが、主系列星はHR図上ではほとん ど動かない。よって、現在の太陽の色指数0.65に近い ②が太陽を示すものであるとわかる。 5 36 渦巻銀河について間違っているものはどれか。 ② 渦巻銀河で星が1周する周期は数千万年~数億年で あり、銀河の年齢は130億年程度なので、現在までに 数十周ほど回転したことになる。異なる角速度で回る 差動回転なので、1周するのにかかる時間は内側ほど 短い。したがって銀河の腕が物質の動きと同調してい ると、どんどん巻き込まれてしまうことになる。しかし、 実際にはそんな様子は観測されないので、銀河の腕 は波の一種と考えられている。また、物質がないように 見える外の方でも回転速度が落ちないことから、見え てはいないが重力を及ぼすダークマターが広がってい るのではないかと考えられている。 6 ③ 局部銀河群は約40ほどの銀河の群れで、大型の銀河 として、銀河系、アンドロメダ銀河(M31)、さんかく座の 渦巻き銀河(M33)を含んでいる。大型の楕円銀河は含 まれておらず、あとは矮小銀河で構成されている。広 がりはさし渡し400万光年くらいだが、境界ははっきりし ていない。 7 ③ ボーデの法則は、地球と太陽との距離を10としたとき、 各惑星と太陽との距離を r=4+3×2n としたものである。水星は4で、n は-∞、金星は7でn =0、地球がn =1である。ケレスは火星2と木星4の間 の3の場所に発見された。 8 ③ 光球の温度は約6000K、黒点の温度は約4000Kなの で、明るさの割合は(4000/6000)4で、およそ20%で ある。計算しなくても、テキスト25ページの図表2-3から 推測できる。黒点は光球よりも温度が低く、光の強さが 8割減なので黒く見えるが、4000Kの恒星と同じ強さの 光を放っている。もしも太陽の黒点部分だけを集めて 星にすれば、オレンジ色に見えるはずだ。 2 ①渦巻銀河は回転しており、誕生から現在までに数十周ほど回転 している ②1周するのにかかる時間は内側でも外側でも変わらない ③渦巻銀河の腕は波の一種であり、実際の物質の動きと同調して いない ④渦巻銀河の回転曲線は光や電波で観測できる物質だけでは説 明できない 37 局部銀河群に関して正しいのはどれか。 ①銀河系、アンドロメダ銀河を含むおよそ100の銀河の集まりであ る ②ほとんどが矮小銀河で、大型の銀河は銀河系、M31、M81のみ である ③大型の楕円銀河は1つも含まれていない ④周辺にも銀河群や銀河団があるが、局部銀河群は孤立している 38 ボーデの法則のn =1にあたる星はどれか。 ①水星 ②金星 ③地球 ④ケレス 39 単位面積あたりで比較すると、黒点の明るさは光球のだいたい 何%か。なお、単位面積あたりの明るさは温度の4乗に比例する。 ①66% ②44% ③20% ④4% 8 第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 問題 正答 40 ハビタブルゾーンに関して正しいものはどれか。 ①生命が存在できる軌道領域を指し、太陽系では地球だけがハビ タブルゾーンに位置している ②ハビタブルゾーンには液体の水と酸素が存在する ③親星の質量によってハビタブルゾーンの領域は変化し、一般的 に親星の質量が大きいほどハビタブルゾーンは内側に寄っている ④系外惑星が多数見つかってきているが、ホットジュピターなどが 多く、いまだハビタブルゾーンの惑星は見つかっていない 41 太陽風やフレアに関して間違っているのはどれか。 ①太陽風とは太陽から吹き出してくる電気を帯びた粒子の流れで ある ②低速の太陽風は、太陽の磁場が開いているコロナホールから吹 き出している ③フレアによって大量のエネルギーだけでなく、物質も太陽から放 出される。この物質放出現象はCMEと呼ばれる ④フレアは、太陽の複雑に交錯する磁力線がより簡略な磁力線構 造へつなぎ変わることによって起こる 42 星の表面の重力は、質量に比例し半径の2乗に反比例する。地球 とある星の表面重力が同じで半径が地球の9倍とすると、この星の 密度はいくらになるか。地球の密度を5.5g/cm3とする。 ①0.3g/cm3 ②0.61g/cm3 ③1.22g/cm3 ④2.44g/cm3 43 惑星状星雲の中心部はどうなっているか。 ①赤色巨星が残っている ②中性子星が残っている ③白色矮星が残っている ④すべてガスになって広がっていくので何も残らない 44 次の文の空欄にあてはまる組み合わせとして正しいものはどれ か。 波長400~500nmの波長域で求めた等級がB 等級、波長500~ 650nmでの等級がV 等級で、スペクトル型【 ア 】のベガはB =V である。ベガより高温の星は、B 等級がV 等級より【 イ 】、B -V の色指数は 【 ウ 】となる。 ①ア:B0 イ:暗く ウ:負の値 ②ア:A0 イ:暗く ウ:正の値 ③ア:A0 イ:明るく ウ:負の値 ④ア:B0 イ:明るく ウ:正の値 9 解説 章 ① ハビタブルゾーンは水が液体として存在できる軌道領 10 域を指し、太陽系では地球だけがハビタブルゾーンに 位置している。親星の質量が大きいと、エネルギーが 多く放出されるのでハビタブルゾーンは外の方にずれ る。最近では観測精度も上がり、ハビタブルゾーンにあ ると思われる、地球によく似た惑星も見つかるように なっている。 ② ふだんから地球へ届く低速(秒速約300km)の太陽風 は、どこから流れ出しているのか長らく謎だったが、活 動領域とコロナホールの境界から噴出していることが わかった。 1 ② 半径比の2乗倍だけ質量が大きければ表面重力は等 しくなる。ゆえに、この星の質量は地球の81倍ある。体 積は9の3乗で、729倍。よって、密度比は81/729= 1/9≒0.111。つまり表面重力が同じならば密度比は半 径に反比例する。これに地球密度5.5を掛けて、0.61。 3 ③ 惑星状星雲の中心には白色矮星が残されている。そも そも赤色巨星の内、太陽の8倍より質量が小さかったも のがさらに進化したのが惑星状星雲で、赤色巨星は既 に残っていない。中性子星が中心部に見られるのは超 新星残骸(非常に元の質量が大きく、ブラックホールを 形成したものを除く)であり、④のような事実はない。 5 ③ ベガは明るさや色の基準となっており、0等級でスペク トル型はA0、B =V である。ベガより高温の星は、スペ クトルが短波長側に寄っているので、B 等級がV 等級 より明るく(数値は小さく)なり、B -V は負の値となる。 ベガより低温の星では、スペクトルが長波長側に寄る ので、B 等級がV 等級より暗く(数値は大きく)なり、B -V の色指数は正の値となる。 5 第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 問題 正答 45 太郎君は昨晩、散開星団と球状星団の特徴を表にまとめてみた。 しかし、眠かったので一部間違ってしまったようである。今朝、太郎 君が正しい表と見比べ直してつぶやいた言葉として、最もふさわし いものはどれか。 解説 章 ④ 太郎君のつぶやきから、表の中で間違ってしまったの は1つの性質だけとわかる。大きさ(散開星団も球状星 団も同程度)・星の数・年齢の3つの間には整合性があ り、これらを合わせると上が散開星団、下が球状星団 のそれだと判明する。重元素の量は、球状星団が銀河 系誕生のまだ重元素が少ない頃にできたことを反映し て、球状星団では太陽の1000分の1から100分の1と少 ない。よって、これが間違ってしまった項目で、答えは ④。 6 ① 活動銀河は、銀河中心部分が、標準的な銀河に比 べ、異様に明るい銀河のことをいう。セイファート銀河 やクェーサーは、活動銀河であり、その原因は②の通 りと考えられている。銀河系の中心部も明るく、活動は しているが、標準的な銀河であり活動銀河とはいえな い。 7 ① ②③④はいずれも、写真の発明以前に成し遂げられて いる。 8 ③ 質量比を大きくすることと、噴出速度を上げることを意 味している式であるため、①の推進剤の割合を増や す、④の多段式にする、は質量比を大きくしていること に該当する。②は比推力と噴射速度は同じパラメータ として考えることができるため、噴射速度を向上させて いることにつながる。よって③が正解となる。なお、赤 道付近から打ち上げ自転速度を活用して速度増分を 稼ぐことは実際に可能であり、多くのロケット発射場が 赤道付近に存在することはこの利点を狙ってのことで ある。 9 ③ レッドエッジは、植物による赤色の吸収と、近赤外の反 射が卓越することで、赤と赤外の境界線くらいの反射 スペクトルのグラフにシャープなエッジ(角)が現れるこ とをいう。G型でなくとも現れうるが、太陽と同じG型で あれば、生命活動の兆候と結びつけやすい。スペクト ルがこぶ状にあらわれるのは、クロロフィルの吸収特 性によって、少し反射が強くなる波長帯があるためだ が、レッドエッジではない。 10 ①大きさがどちらも同じ値になっているが、片方の値を両方に写し てしまった。正しい値に書き換えよう ②星の数を上下逆に写してしまった。正しい値に入れ替えよう ③年齢を上下逆に写してしまった。正しい値に入れ替えよう ④重元素量を上下逆に写してしまった。正しい値に入れ替えよう 46 次のうち、活動銀河の説明として間違っているものを選べ。 ①銀河系の中心は活発に活動しており、典型的な活動銀河といえ る ②活動銀河の中心には活発に星が生成されている場所があるか、 超巨大ブラックホールがあると考えられている ③セイファート銀河は、活動銀河の一種である ④クェーサーは、活動銀河の一種である 47 19世紀初頭の写真の発明によって、天文学にもたらされた進歩は どれか。 ①星の位置測定精度の向上 ②天王星の発見 ③望遠鏡の発明 ④地球の質量の測定 48 ロケットの方程式として有名なツィオルコフスキーの式は、速度増 分=噴出速度×ln(初期質量/最終質量)である。この式が意味 する内容として間違っているものはどれか。 ①速度増分を大きくするために推進剤の割合を大きくする ②速度増分を得るために比推力の高い推進剤を使う ③赤道付近でロケットを打ち上げると速度増分が大きくなる ④ロケットを多段式にすることで速度増分を大きくできる 49 惑星に生命がいるかどうかを示すレッドエッジについて間違った説 明はどれか。 ①太陽のようなG型の恒星の系外惑星に見られると、生命活動の 可能性が示唆される ②地球植物の葉緑体が赤色をよく吸収するために現れる ③可視光の赤色とオレンジ色の間くらいに、こぶ状に見られるスペ クトルの特徴 ④系外惑星が地球型の緑の植物に覆われていると現れる 10 第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 問題 正答 50 写真の矢印の領域について述べた次の文の空欄にあてはまる組 み合わせとして、正しいものはどれか。 写真は、太陽観測衛星【 ア 】が電離カルシウムH線で撮影した太 陽の縁のようすである。白く光っている領域は【 イ 】といい、通 常、黒点の近くで見られる。 ①ア:すざく イ:コロナ ②ア:すざく イ:プラージュ ③ア:ひので イ:コロナ ④ア:ひので イ:プラージュ 51 ある星が地上から赤く見える説明について、最もふさわしくないの はどれか。 ①赤々と燃え盛るイメージの通り、温度が高い星ほど赤く見える ②進化の過程で星が大きく膨らむと赤くなる ③低い高度に見える星は、夕日が赤いのと同じ原理で本来の色よ り赤っぽく見える ④太陽光を反射して光っている星は、実際の表面が赤っぽいと赤く 見える 52 次の画像は、次のどの天体か。 解説 章 ④ カルシウムのH線は、19世紀の初頭にフラウンホー ファーにより発見された。K線とともに有名な吸収線で ある。もちろん、地上からの観測が可能であるが、高精 細な画像を得ようとすると、大気圏外の人工衛星から の撮影の効果があらわれる。世界各国が太陽観測衛 星を打ち上げているが、日本でも、「ひのとり」、「ようこ う」、そして「ひので」を打ち上げ、運用してきている。こ のうち、現役なのが、「ひので」で、口径50cmの可視光 望遠鏡を搭載しているのが特徴である。これによって、 太陽表面の詳細な模様が観測できる。プラージュもそ のひとつで、太陽表面にある彩層にあり、周囲より明る い領域である。ちなみにコロナは、太陽の上空に広が る大気で、可視光でも観測できるが、かなりあわい。む しろ、X線を強くはなっており、これは地上ではとらえら れないので、人工衛星の独壇場となる。「ひので」もX 線望遠鏡を搭載している。 なお、「すざく」は、X線天文衛星であるが、銀河やブ ラックホールなど太陽系外の天体を探査するもので、 太陽に向けると壊れてしまう。 2 ① ②は赤色巨星、赤色超巨星に膨らむ過程で表面温度 が下がり赤くなることの説明。③の例としては、カノープ スが挙げられる。日本からはオレンジ(?)色に見える が、南半球では、空高くに白く輝いて見える。④は火星 の例で、実際火星の表面の大部分は赤褐色の地域で しめられている。①は正しい説明と逆で、温度が低い 星が赤く見える星である。 4 ① h星団は、ペルセウス座にある散開星団で、小型望遠 鏡や双眼鏡でも見ることができる。M57は、リング状の 形状と白い中心星をもつ特徴的な惑星状星雲。M49 は、おとめ座にある楕円銀河である。 6 ③ ダークマターは宇宙の現在を形づくるうえで重要な役 割を果たしてきている。ただ、ビッグバンの後にダーク マターは生まれたと考えられている。 7 ①M3 ②h星団 ③M57 ④楕円銀河 M49 53 宇宙の初期に、ダークマターが果たした役割を正しく述べているの はどれか。 ①ダークマターが、ビッグバンを引き起こした ②何の役割も果たしていない ③ダークマターの分布のゆらぎが、星をつくるきっかけになった ④ダークマターが宇宙を膨張させる根源となった 11 第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 54 問題 正答 十干と十二支を単純に組み合わせれば120通りある。しかし還暦は 60年である。さて、十干と十二支の組み合わせで、還暦60年に現 れることのないものはどれか。なお、十干の順番は、甲、乙、丙、 丁、戊、己、庚、辛、壬、癸で、十二支の順番は、子、丑、寅、卯、 解説 章 ④ 10と12の最小公倍数である60。これが還暦60年であ る。十干と十二支を順番に組み合わせていくと、奇数 番どうし、偶数番どうしが組み合わされる。例えば、十 干の一番目の甲と十二支の二番目の丑の組み合わせ 「甲丑」はない。癸は10番目、辰は5番目でこの組み合 わせもないのである。 8 ③ イオンロケットは燃料をイオン化して、そのイオンを噴 出して推進力とする。「はやぶさ」にも搭載されたロケッ トエンジンである。ラムロケットは宇宙空間で水素原子 を吸い込み燃料とする。レーザーロケットは照射された レーザー光を受けて進むため、ロケット自体には燃料 を搭載する必要がない。同じく燃料が不要なロケットに 太陽帆ロケット(ソーラーセイル)がある。光子ロケット は物質と反物質を燃料とし、それらを反応させて光を 生み出し、それを噴射して推進力とする。 9 ④ 人間など、我々がふだん生物と考えているものは生き 残れない環境だった。ただし、当時と同じような環境で も生き延びられる生物は、いまでも存在している。 10 ① p−pチェインといわれる反応で、水素が一気に融合し てヘリウムになるのではなく、中間段階があることに注 意。核融合反応の核エネルギーは簡単に出るもので はないのだ。 2 辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥である。 きのえね ①甲子 ひのえうま ②丙午 つちのととり ③ 己酉 みずのとたつ ④ 癸辰 55 次のうち、すでに実用化されているロケットはどれか。 ①ラムロケット ②レーザーロケット ③イオンロケット ④光子ロケット 56 次の文の空欄にあてはまる組み合わせとして正しいものはどれ か。 生物の系統樹をさかのぼって調べていくと、根元あたりの生物には 【 ア 】でかつ【 イ 】であるものがかなり多いことがわかった。こ のことから生物が誕生した38億年前頃の地球が【 ウ 】であったこ とが想像される。 ①ア:好気性 イ:超高熱菌 ウ:高酸素環境 ②ア:嫌気性 イ:超好熱菌 ウ:窒息環境 ③ア:好気性 イ:超高熱菌 ウ:低温環境 ④ア:嫌気性 イ:超好熱菌 ウ:高温環境 57 太陽の中心で起こっている核融合反応について、図の文字を正しく 埋めるとどうなるか。 12 第5回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 問題 正答 58 天体の明るさに関して正しいのはどれか。 解説 章 ③ はじめて星の明るさを等級で表したのは、ギリシアの ヒッパルコス。その後、イギリスのポグソンが星の明る さと等級差の関係を数式で定義した。絶対等級を求め る際の基準となる距離は、32.6光年(10パーセク)であ る。 4 59 図は、銀河系の中心からの距離ごとの回転速度を模式的に表した ものである。実際の観測に最も近いものはどれか。 ① 銀河系は、みかけは、中心に天体が集積しているの で、太陽系と同じように中心から離れるほど回転速度 が落ちるはずである。しかし、実際には回転速度は、 中心付近から20kpcくらいまでほぼ一定である。これ は、目に見えない物質が銀河系全体に分布しているた めと考えられる。 5 60 国際宇宙ステーションについて述べた以下の3つの文のうち、間 違っている文はいくつあるか。 ③ 2つ目の文は正しく、実際にテキストp.131のコラムにも あるように、ロケットエンジンを噴射して修正が行われ ている。滞在中の1日あたりの宇宙線被曝量は地上に 比べ約半年分に相当し、また、長期的には宇宙飛行士 の生命を脅かすので、滞在制限の設定など対策が講 じられている。国際宇宙ステーションは地上約400kmを 秒速約7.7kmで飛行している。 9 ①ギリシアのアリストテレスが、初めて肉眼で見える星の明るさを 等級で分類した ②星の明るさと等級差の関係を初めて数式で定義したのは、イギ リスのハーシェルである ③太陽の見かけの明るさは-26.7等級、満月は-12.7等級である ④絶対等級を求める際の基準となる距離は、10光年である ・ 滞在中の宇宙飛行士の宇宙線被曝線量は1日で地上の約10カ 月分に相当するが、それでも十分安全である ・ 国際宇宙ステーションの軌道上にも薄い大気があり、その抵抗 が無視できないのでしばしば軌道修正が必要である ・ 国際宇宙ステーションは静止衛星よりも低い高度を約180分かけ て地球を一周する ①なし ②1つ ③2つ ④3つ 13
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