Personality Disorder(人格障害)

うつ病周辺疾患について


ハートクリニック町田
川村則行
うつ病ってどんな病気







脳の病気 一種の身体疾患
原因はさまざま
遺伝子はあまり関係ない
「気分」の病気
誰でもかかりうる 日本人の2%
共通の症状がある
体にも症状がある
うつ病の主要な症状
【大項目】
1.抑うつ気分
空しい 悲しい 辛い 憂うつ 心配 泣け
る
2.興味と喜びの喪失
面白くない 笑えない つまらない
3.易疲労感の増大と活動性の減少
だるい 疲れた 重い やる気ない
なにもしたくない おっくうだ
うつ病のその他の症状
【小項目】
1.集中力と注意力の減退
2.自己評価が低い、自信がない
3.罪責感と無価値感
「私はだめだ」 「悪いことした」
4.将来に対する希望のない悲観的な見方
5.自傷あるいは自殺の観念や行為
6.睡眠障害
寝付けない 中途覚醒 早朝覚醒 寝すぎる
7.食欲不振 食欲過多
8.焦燥感 制止
いらいらする 暴発しそう / 動きがのろくなる
うつ病の体の症状






性欲の低下
食欲低下、過食、不眠、
過眠
多彩な自律神経症状
-口渇、頭痛、動悸、
便秘、生理不順など-
慢性の疼痛
めまいがする、体がだ
るくて仕方ない、肩こり
がひどいなどが、うつ病
の最初の症状のときも
ある。
うつ病の症状

被害妄想的など抑うつ気分なら持つ妄想
「自分をみんなが悪く言っている」
「みんなが足を引っ張ろうとしている」
「非常にひどいことをしてしまった」
「迷惑かけたので死ななきゃならない」

気分に関係ない妄想
「自分は偉大な存在だ」
「自分が病気なのは宇宙人のせいだ」
どのように対応したらいいか?
家族の対応において心がけること





怠け病じゃない
患者は自分を責めている
3-6ヶ月はなかなか治らない
初期は休養が必要
薬が必要
うつ病再発リスク






3回以上のうつ病エピソード
高率の再発 5年以内に2回以上
過去のエピソードが1年以内
エピソードが重症(自殺や精神病性の特徴
も含む)
以前のエピソードより長い
薬剤中止後の再発
うつ病再発リスク






気分変調性障害の合併
物質乱用の合併
不安障害の合併
第1度親族の大うつ病性障害の家族歴
30歳以前の発症
継続治療期間中の残遺症状・寛解時の残
遺症状、即ち、完全寛解に至らず継続治
療期間に移行すること
うつ病治療3段階
部分寛解 完全寛解
再燃
抑うつ傾向
再発
健康
下に向かう
ほど重症
うつ病
治
療 急性期 継続期
維持期
開
始
急性期は 8週間(2ヶ月)から6ヶ月 1年以上の場合もある
継続期は 6-9ヶ月
維持期は 12ヶ月以上
合わせると 最短で1年半 普通2年以上 長くて3年以上
各段階の治療期間を決める要因
急性期 2-12ヶ月
 身体的衰弱
 環境要因 ストレス 経済 社会的支援
 重症度
特に自殺の危険、精神病性の特徴


薬物応答性、薬物副作用への耐用性
合併症
不安障害、物質乱用、パーソナリティ障害(情緒不
安定性、回避性、自己愛性)、 気分変調性障害
各段階の治療期間を決める要因
継続期 6-9ヶ月
 30歳以前の発症
 重症度
特に自殺の危険、精神病性の特徴

合併症
不安障害、物質乱用、パーソナリティ障害(情緒不安定性、
回避性、自己愛性)、気分変調性障害

高率の再発
3回以上のエピソード、5年以内に2回以上 過去のエピソー
ドが1年以内


第1度親族のうつ病の家族歴
完全寛解に至らないで継続期に移行すること
各段階の治療期間を決める要
因
維持期 12ヶ月以上
 薬物の漸減による神経精神症状の発
現
めまい のぼせ 耳鳴り 多量の冷や汗
寝汗 吐き気 電気ショック感 偏頭痛 寒
気 音に敏感になる 気分の落ち込み 脱
力感

ストレス対処能力の改善の有無
薬のやめ方
200
180
160
140
薬物血中濃度理論値
服用薬物量
120
100
80
60
40
20
0
1 22 43 64 85 106 127 148 169 190 211 232 253 274 295 316 337 358 379 400 421 442
Personality Disorder人格障害





一般的成人に比べて極端な考えや行為を
行う。
結果として社会への適応が著しく困難。
精神病理学的な症状によって苦しむ。
人格障害はパーソナリティ障害の訳語
近年はパーソナリティ障害と呼ばれ、2008
年5月に、人格障害をパーソナリティ障害
に用語改定した。
P.D.一般的な診断基準





社会的逸脱
柔軟性の欠如
社会的/職業的領域における機能障害
生涯にわたる言動の持続性など
他の精神疾患や薬物・生理的作用によっ
て引き起こされた症状ではない
特徴 および 注意





慢性的、症状が長期に渡り変化しない
自我の形成期の家庭内環境などの外的要因が、生まれ
持った気質と相俟って、思春期以降に表面化する
人格の発達途上の未成年では、いずれかのPDの傾向を
示すことが珍しくないため、診断は、患者の年齢が幼い
ほど慎重になる必要がある
統合失調症や気分障害などの精神疾患では、人格障害
の病像を示すこともあるため、鑑別に注意
これを「障害」と位置づけるのに批判的な立場もあるが、
実際にはこれを障害として認定して治療しているのが実
情である。
診断の注意点





DSM-IVでのC基準:
その症状が原因で職業・学業・家庭生活に支障を来して
いる
C基準が無ければ、世間の誰もがDSMに挙げられたいず
れかの精神障害の基準を満たしてしまう。
支障とは、自他の自立状態を阻害することとして考えると
分かりやすい
抑うつ状態の患者に対する人格障害の確定診断は余り
行わない方が良いとする意見が出ている。過剰診断され
てしまう傾向がある。
クラスターA




風変わりで自閉的で妄想を持ちやすく奇異
で閉じこもりがちな性質を持つ。
妄想性 Paranoid personality disorder
統合失調質 Schizoid personality
disorder
統合失調型 Schizotypal personality
disorder
クラスターB





感情の混乱が激しく演技的で情緒的なのが特徴
的。ストレスに対して脆弱で、他人を巻き込む事
が多い。
反社会性 Antisocial personality disorder
境界性 Borderline personality disorder
演技性 Histrionic personality disorder
自己愛性 Narcissistic personality disorder
クラスターC




不安や恐怖心が強い性質を持つ。周りの
評価が気になりそれがストレスとなる性向
がある。
回避性Avoidant personality disorder
依存性Dependent personality disorder
強迫性 Obsessive-compulsive
personality disorder
付録BのPD


抑うつ性 Depressive personality disorder
受動攻撃性 Passive-Aggressive
personality disorder
境界性PD 診断基準






現実または想像の中で見捨てられることを避けようとす
る過剰な努力 行動化
理想化と脱価値化との両極端を揺れ動く不安定で激しい
対人関係様式
同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像や自己観
自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの
領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質濫用、無謀な
運転、むちゃ食い)
自殺の行為、そぶり、脅し、または自傷行為のくり返し
顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は2~3
時間持続し、2~3日以上持続することはまれな強い気分
変調、いらいら、または不安)
境界性PD 診断基準





慢性的な空虚感
不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しば
しばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合
いのけんかをくり返す)
一過性のストレス関連性の妄想様観念、または重篤な解
離性症状
以上 9項目のうち、5つ以上該当すると当てはまる
うつ病の急性期は、この基準を満たしやすいので、持続
性や症状の無変化性を重視する
境界性PDの原因


先天的異常-生理学的な脳の脆弱性
幼少期の体験-身体的虐待、性的虐待、
過干渉、機能不全家庭などの経験
現実または想像の中で見捨てられることを避
けようとする過剰な努力 行動化



不安や見捨てられ感に襲われたとき、じっとしていられな
い。
発作的に手首を切り、自分の手足をバットで殴ったり、睡
眠薬を一度に飲んだり、相手の迷惑も考えずに電話をか
けまくったり、手当たりしだいにケンカを売ったり、やけ食
いをしたり、アルコールを浴びるように飲んだり、音楽を
大音量でガンガン鳴らしたり、 行動化は、他にも、急に
結婚を決めたりとか、、、
自分の心を直視するのを避けるためであると同時に、周
囲の人を、自分の抱えている問題に巻き込むことが目的
行動化の遮断






派手な行動化の間は自分自身を見つめることなどできない
強烈な場合は、本人の同意を得て入院させ、物理的に行動化を阻
止して半強制的に自分と向かい合わせる。
行動化を遮断されたことによって、ちょうど麻薬中毒の人が麻薬を遮
断されて禁断症状に苦しむのと同じように、行動化によって隠されて
いた問題が一気に噴き出してきます。
病院内で派手な問題行動を引き起こしたりするので、治療にあたる
医師の方も振り回されて大変ですが、嵐が過ぎ去れば患者の行動
化がおさまってきます。患者の方も、自分と向き合えるようになるに
つれて、自分が明らかに変化して行くのが分かります。
行動化の遮断というやり方だけを取り上げてみると、神経症の治療
方法のひとつである森田療法と、どことなく似ています。
薬によっても行動化はある程度抑えられる。
感情の喪失、失感情症、抑圧



自分の感情を無視することによって苦痛か
ら逃れようとすることです。
過去に体験した感情を無理に抑え込んで
しまう。
訳もなく空しく、訳もなく涙が出るなど
転移 投影



過去の未解決の感情が、現在に映し出される。現在の出
来事が、過去の出来事によって脚色されてしまう。
待ち合わせの約束をして恋人がほんの少し遅れたとする
とすると過去の親から見捨てられたときの感情が恋人の
上に映し出され、遅刻したことを激しく責めたてる。過去
の未消化の感情が上乗せされているので、不釣り合いな
激しい怒り方になる。悪い感情が映し出されると、相手が
現実とは関係なく悪人に思えてくる。陰性転移・投影。
治療場面で、セラピストを口説こうとしたり露骨に誘惑し
ようとしたりする。 陽性転移・投影。
逆転移




治療者の方も生身の人間なので、患者に対して転移を引
き起こすことがある。
たとえば、治療者自身の見捨てられ不安から患者の言
うことをなんでも聞き入れてしまい、その結果、患者にさ
んざん振り舞わされるだけで治療がまったく進展しないと
いうような場合です。
あるいは見捨てられ不安を持った患者が治療者にしが
みつこうとして性的な誘惑を仕掛けてきたときなど、若い
治療者などはパニックになって患者を見下すような態度
を取ったり、 あるいは逆に患者の誘惑に乗ったりして治
療が混乱してしまうこともある。
治療者側が患者によって引き起こされる転移は逆転移。
直面化






行動化がおさまって、治療者と患者との間に信頼関係(治療同盟)が出来て
きたとき、直面化技法を使う。
「自立した人間なら当然振る舞うであろうようには患者が振る舞わないところ
を、治療者が不思議がって問うことによって患者に直視させようとすることで
ある。 つまり親からの分離、自立をすでに達成したはずの人間に呼びかけ
るのである」――「パーソナリティ障害の精神療法」より
他人の抱えている問題を過剰に心配している場合、 いわゆる世話焼き女
房タイプが、自分自身の見捨てられ不安から他人の世話を焼くという形で相
手にしがみついているような場合です。
こういう場合は 「よく理解できないので教えていただきたいのですが、 その
問題とあなたとはどういう関係があるのでしょうか。その問題はその人が自
分自身で決めることであって、あなたとは何の関係もないように思えるので
すが」
質問に答えるために患者は自分を見つめます。
「なるほど、言われてみればそうだな」と気付くことが出来れば、 自分と他人
の区別がつくようになったということです。他人へのしがみつきに気付いて、
自立に向かって一歩近付いたことになります。
直面化





周辺の出来事から少しずつ直面化していく。
歪んだ現実認識しかできない場合でも、心のどこかに
正常な自立した部分があるので、その自立した部分に向
かって語りかけることで、 患者に「なにか」を気付かせる
ようにする。
分離の不安と恐怖から盲目になってしまい、自立した人
のような正しい現実認識が出来ない点。
タイミング良く思考の問題点を指摘してあげれば、それ
を理解し、学習することが出来ます。
低下している現実検討能力を、少しずつ改善していくこと
ができます。
自己愛強い人に直面化を行なう






反発するのでうまく行きません。
自慢話に夢中になっている人に対して、
「その話は事実なんでしょうか。どうも本当のことのようには思えな
いのですが」などと言えば、 反感を煽るだけです。
こういう場合は直面化するよりも患者の自慢話の背後にある意味を
解釈して 「あなたは有能であることを私に認めてもらいたいのです
ね」というふうに言います。 こういう解釈によって、自分がなぜ自慢
話をしたがっているのかに気付きます。
患者にとって他人の存在とは、患者の誇大な自己を映し出すため
の鏡にしか過ぎないという考えが修正されていきます。
境界例型と自己愛型がはっきりしていればいいのですが、両者が
混在していることも多いので、治療者は状況に応じて直面化と解釈
を使い分けなければなりません。
そううつ病 MDI





米国では人口の2%弱にみられる。
日本では、はっきりしない。
遺伝性
発症率に男女差はない。女性はうつ症状
が出やすく、男性は躁症状が出やすい
社会的・経済的に豊かな階層の人に多く
みられ、主に10〜30代で発症する。
症状と診断





躁うつ病は通常、抑うつ状態から発症し、いずれかの時点で少なくと
も1回は躁状態になるケースをいいます。抑うつは概して3〜6カ月続
きます。
双極I型障害の場合は、抑うつと激しい躁状態が交互に現れます。
それより軽度の双極II型障害の場合は、短期間の抑うつと軽躁状態
が交互に現れます
たとえば秋と冬の時期は抑うつ、春と夏の時期は躁状態になるなど、
季節によって抑うつと躁状態が切り替わるケースもよくあります。
躁うつ病の診断は、特徴的な症状のパターンに基づいて行います。
適切な治療を行うため、医師は患者がその時点で抑うつまたは躁状
態の最中であるかどうかを判断します。躁うつ病ではおよそ3人に1
人の割合で、躁(または軽躁状態)と抑うつの症状を同時に発症する
ことがあり、混合性エピソードと呼ばれます。
気分循環性障害






軽度の躁うつ病と呼ばれる。
気分の高揚や落ちこみの程度は比較的軽い
通常は数日間しか続かない。不規則な間隔でかなり頻繁
に再発する。
ビジネスでの成功、リーダーシップ、功績、芸術的創造性
にプラスの影響を及ぼすことがある。
一方で、仕事や学校の成績にむらがある、頻繁に転居す
る、失恋や離婚を繰り返す、アルコールや薬物依存にな
るといった問題が生じる人もいる。
気分循環性障害の人の約3分の1が気分障害へ悪化す
るおそれがあり、治療を必要とします。
経過




ほぼ例外なく再発する。
正常な気分の時期を経ることなく、抑うつから躁
状態、あるいはその逆に変わることが多い。
短いサイクルで両方の状態を交互に繰り返す急
速交代型も存在し、最大15%がこのサイクルを1
年間に4回以上起こし、その多くは女性です。
サイクルが速いと治療が難しくなります。
治療



抗うつ薬を服用するとき、抑うつから軽躁状態や
躁状態へ急転したり、抑うつと躁状態を短いサイ
クルで繰り返すことがあるため、抗うつ薬は気分
に与える効果を慎重に観察する。
軽躁状態や躁状態への移行をうかがわせる徴
候がみられれば、ただちに抗うつ薬を中止する。
躁うつ病の人が抗うつ薬による治療を受けてい
るときには、リチウムなどの気分安定薬や抗けい
れん薬を使用する。
治療 リチウム







躁うつ病の70%で気分の変調傾向を抑える。
投与中は、血液検査で血液中のリチウム濃度を監視する。
副作用:ふるえ、軽い筋肉のけいれん、吐き気、嘔吐、下痢、のどの
渇き、多尿、体重増加、にきびや乾癬(かんせん)の悪化、甲状腺ホ
ルモン低下
重篤な場合、慢性的な頭痛、錯乱、眠気、発作、不整脈が起こる。副
作用は高齢者に多くみられる。
投与量を減らすか中止すれば副作用は消失する。
リチウムの長期使用が腎機能低下がありうるので、6カ月ごとに血液
検査と尿検査を行って腎機能をチェックする必要がある。
リチウムはまれに、発達中の胎児に心臓の異常を引き起こすので、
妊娠する可能性のある女性はリチウムの使用を中止しなければなり
ません。
治療 他の薬







突然の躁状態の治療には、重大な副作用の危険が少ないリスペリド
ン、クエチアピン、オランザピン(非定型抗精神病薬)が使用される。
ゾデピン、レボプロメジン、フルニトラゼパムも使用される。
カルバマゼピンやバルプロ酸などの抗けいれん薬もよく使われる。
カルバマゼピンは赤血球数と白血球数を減らす副作用があり、バル
プロ酸は肝障害を引き起こし(主に小児の場合)、まれに膵臓に重度
の損傷を引き起こすこともある。
抗けいれん薬であるラモトリジンを躁うつ病の治療、特に抑うつに対
して使用することで抗うつ薬が必要なくなる場合もある。
カルバマゼピンとラモトリジンは重篤な発疹を引き起こす場合がある。
オクスカルバゼピンとトピラメートもよく使われる。
治療 他の治療法




心理療法は、治療の継続に役立てる目的で、気
分安定薬を服用している人に勧められる。
グループ療法は本人、配偶者、親族に、躁うつ
病の正しい知識を伝達するために役立つ。
光線療法は躁うつ病の患者の中で、軽度または
季節性の傾向を示すうつ病(秋冬はうつ、春夏は
軽躁状態になる季節性感情障害)の治療に使用
される。
あまり光の量が多いと軽躁状態に移行したり、眼
を傷める。
躁病エピソード








三つかそれ以上が持続 単なる易怒的の場合は四つ
自尊心の肥大、または誇大(自分が偉くなったと思いこむ、怒りっぽい、気分
の著しい高揚)
睡眠欲求の減少(3時間眠っただけでよく休めたと感じる、寝ないでも平気 )。
普段よりも多弁で、しゃべり続けようとする心迫。しゃべりやまない。
観念奔逸、またはいくつもの考えが競い合っているという主観的な体験。
色々な考えが頭の中にあふれてくる
注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないかまたは関係の
無い外的刺激によって他に転じる、すぐに気が散る )。
目標志向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加、
または精神運動性の焦燥。活動的になる、じっとしていられない
まずい結果になる可能性が高い快楽的活動に熱中すること(制御のきかな
い買い漁り、性的無分別、馬鹿げた商売への投資などに専念すること)。
そううつ病




躁病エピソードが間に挟まるうつ病。
躁病エピソードからうつ病に移行する場合
もそううつ病。
躁病エピソードが1週間以上続けば、双極
I型障害、4日以上6日以下ならII型。
II型の見落としが多いといわれている。
パニック障害






強い猛烈な「不安感」をおもな症状とする精神疾患
いくつかの物質(カフェイン、乳酸、炭酸ガスなど)でパ
ニック発作がでてしまうことや、
睡眠中に発作が起こる
1992年、世界保健機構(WHO)の国際疾病分類によっ
てこの「パニック障害」が独立した病名
アメリカでは100人に3人の割合で発症している
パニック障害を発症した患者さんの状況的な原因として
考えられるのは、重度のストレスや過労、睡眠不足、そ
れに加え風邪などの体調の悪い時がかさなった時などに
発症することが多く誘因となるともいわれています。
パニック障害の具体的な症状





突然、表現のしようがない体の底からわきあがるよう理由のない不
安感
様々な不安の身体的症状からおこるパニック発作
激しい動悸、めまい、息が詰まる感じ、手や足が震える、生きていて
はいけないのではないかという恐怖感や絶望感、
パニック発作が起こり、繰り返されてしまうため、「また起こるのでな
いか?」という予期不安に悩まされはじめる。
だんだん自分の行動範囲が狭められていき、電車などに乗っても、
普通列車のように停車間隔の短くない特急列車に乗れなくなったり、
車を運転していても、長時間の渋滞や長いトンネルなどに強い不安
を感じたりして、1人で外出することができなくなる。
原因





「脳内不安神経機構の異常」と考えられている
「幼児期の体験などトラウマや性格的なもの」に注目する考え方は少ない
発症や悪化の誘引としてストレスなどが関係している
ストレスで壊した胃を薬で治療するように、パニック障害も薬で治療する
ノルアドレナリン仮説
脳の青斑核などのノルアドレナリンの過剰分泌、あるいはレセプターの過敏反応が
起きているのではないか。

セロトニン仮説
ノルアドレナリンにより引き起こされる不安感を抑制するセロトニンという神経伝達物
質が不足したり、またはレセプターが鈍くなっているためではないか。
セロトニンの過剰によるという説もある。

ギャバ・ベンゾジアゼピン仮説
不安を抑える働きのある神経伝達物質のGABAのレセプターや、連結しているベンゾ
ジアゼピン・レセプターの感受性に問題があるのではないかという説。
パニック障害の克服と治療法






これまでのおこった症状の流れを思い出す。
初めて起きたパニック発作が原因で、「また発作が起こったら・・・」という強い
不安のために、いつの間にか自己暗示がかかってしまい、それが原因でパ
ニック発作が起きていることを理解します。
この症状が単なる「パニック障害」という一時的な病気であることを自分の中
で確認する。
「パニックにならないように・・・」と気にして生活していることが、余計に予期
不安を強めてしまい自己暗示になってしまう悪循環を作っているんだと自分
にも周囲の人にも理解してもらいます。
日常の生活で不安に左右されず、不安は不安のままで置き、「こんなのどう
でもいいこと」と不安をかるく考えるように心がけましょう。
しかし焦りは禁物です。家族とゆっくり話し合い、また専門の医師とお話した
り、マイペースでゆっくりとステップアップするように克服していくことが大切で
す。
不安の脳内機構








不安の発生には5-HT神経の活動低下
シナプス間隙での5-HT濃度の低下
オートレセプターである5-HT1A受容体の適応性変化のなさ
不安に関係する5-HT神経は、中脳の背側縫線核や正中縫線核に細胞体が
局在し、その軸索は、中脳中心灰白質、視床下部、扁桃体、中隔などに投
射する。
背側縫線核5-HT神経は、低頻度で規則的な発射活動を行い、一定の5-HT
分泌をシナプス間隙に発生させて、標的細胞の活動を修飾する特徴がある。
5-HT神経活動を変動させるのは、睡眠-覚醒リズムによる状態依存性の因
子が主要なもので(ジョギングや座禅のようなリズム性運動も興奮効果があ
る)、外部からのストレス刺激は無効である。
外部のストレッサーには全く反応しないにもかかわらず、「注意」を集中して
いる時には5-HT神経活動が抑制される。
これは不安との関係で興味深い現象であるが、その解釈は定かでない。
不安の脳内機構




5-HT1A受容体によるオートレセプター機能(周囲の5-HT
濃度の恒常性を一定に保つ)
5-HT1Aアゴニストを慢性に投与すると、シナプス間隙に
おける5-HT濃度が高く維持され続けた結果、オートレセ
プターである5-HT1A受容体の感受性低下あるいは受容
体の減少効果が出現するのである。
その結果、規則的な発射を営む5-HT神経の活動が亢進
することとなり、標的細胞(扁桃体、視床下部、中脳中心
灰白質など)へのセロトニン分泌が増加する。
不安は脳内のセロトニン濃度の減少と相関するので、5HT神経を活性化させることになる上記薬物は、慢性投与
で抗不安効果をもたらすのである。
全般性不安障害(Generalized
Anxiety Disorder GAD)






不安神経症と呼ばれていた。
「家庭生活」「仕事」「学校」「近所づきあい」「地震や大雤
などの天災」「外国での戦争」など、あらゆるものが対象。
自分ではどうすることもできない事柄についても深刻に
悩み、不安や心配をコントロールできなくなって、「こころ
やからだ」の調子が悪くなり、日常生活に支障をきたして
しまいます。
アメリカでは生涯有病率は3~5% (ちなみに欝は日本
では10%)
患者さんの男女比は、1:2となっており、女性に多い病気
20歳前後で発病することが多い。
全般性不安障害(GAD)の診断













DSM-Ⅳ
1.仕事や学業などの多数の出来事または活動について、過剰な不安と心配
がある。しかし、その原因は特定されたものではない。
2.不安や心配を感じている状態が6ヶ月以上続いており、不安や心配がない
日よりある日のほうが多い。
3.不安や心配をコントロールすることが難しいと感じている。
4.不安や心配は、次の症状のうち3つ以上の症状を伴っている。
そわそわと落ち着かない、緊張してしまう、過敏になってしまう
疲れやすい
集中できない、心が空白になってしまう
刺激に対して過敏に反応してしまう
頭痛や肩こりなど筋肉が緊張している
眠れない又は熟睡した感じがない
5. 症状が他の病気(身体の病気、GAD以外の不安障害やうつ病などの
精神科領域の病気)によるものではない
全般性不安障害(GAD)の症状
身体症状
 頭痛、頭重、頭の圧迫感や緊張感、しびれ感
 そわそわ感
 もうろうとする感じ
 めまい感、頭がゆれる感じ、船酔している感じ
 自分の身体ではないような感じ
 身体の悪寒や熱感、手足の冷えや熱感
 全身に脈拍を感じる
 便秘や頻尿 など
全般性不安障害(GAD)の症状
精神症状
 注意散漫な感じ
 記憶力が悪くなる感じ
 根気がなく疲れやすい
 イライラして怒りっぽい
 ささいなことが気になり、とりこし苦労が多い
 悲観的になり、人に会うのが煩わしい
 寝つきが悪く、途中で目が覚めやすい
コントロールできない不安や心
配が続き、不調をきたす
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GADかもしれない
治療を受けていない(病院に行っていない)方も多い
病院に行っている場合でも、自律神経失調症や更年期
障害と診断され、GADとしての治療の機会を逃しているこ
ともある。
GADは発病すると、
他の精神科領域の病気(うつ病、パニック障害、社会不
安障害(SAD)など)を併発する可能性が高くなる
GADの治療法
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GADの本態(病気のもと)は不安
まず薬
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬 即効性と依存性
SSRI (選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
抗精神病薬
依存性がベンゾジアゼピン系抗不安薬よりずっと少ないため、比較的長期
間安全に使用できる。
精神療法として、治療効果が最も確率されているのは認知行動療法です。
呼吸訓練や筋弛緩などのリラクセーション
心配については、本人の状況についての捉え方(抱くイメージ、危険が起こ
る可能性、対処できる自信)に焦点を当てて修正しながら、自分でコントロー
ルしていくことを目指す認知再構成法があります。
他にも、本人の過去と現在の対人関係の葛藤に焦点を当てて、より周囲の
人々と適応的に関われるような精神分析的方法も効果がある。
周りに全般性不安障害(GAD)
の患者さんがいる方
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GADの方の訴えの中は、病気でない人か
らみるとナンセンスに感じられることがある
じっくりと訴えを聞いてあげることが難しい
ときもあるが不調が長く続いていることを
理解して、温かい気持ちで支える
単なる心配性とみなさないで、なるべく早く
専門の診断を受けるようすすめる