使用済み自動車リサイクルの複合性が リサイクラーの

❶
●
❷
●
内販売がメイン。パーツで最も売れるのは軽自動車のものだと
母材はELVのみならず、産廃物、
いう。エンジンは一部ドバイ、マレーシア、タイなどに輸出す
家電系も含まれている。
るケースもあるが、ほとんどが 10万㎞以上走っているエンジ
ツ市場に回すものとリサイクルに回すものとで2通り。高価な
95%以上に達したリサイ
クル率
経済合理性も同時に成立
触媒は、現在は専業のリサイクル会社にそのまま販売している
アビヅ社でのELVリサイクル
が、将来的にはアビヅで前処理を行い、製錬メーカーに販売
率は95%を超えている。しかし、
したいとのこと。部品取りを経た後はニブラでワイヤーハーネ
シュレッダーダストもサーマルリサイクル化しているため、ELV
ス、バンパー、非鉄金属類を外す。アルミホイールは月間20~
のリサイクル率は限りなく100%に近いといっても言い過ぎで
30トン出るが、そのほとんどをホイールリサイクルの専業会社
はないだろう。別ラインで処理している各種金属、プラスチッ
に販売。タイヤは質がいいものはリユース(国内、輸出)
、他
クについても大規模な設備を構え、徹底した資源化、燃料化
は処理業者に委託。
で有効活用を図っているため、埋め立て処分する隙間(ムダ)
ンであるため、リユースとしての販売は難しく、多くが国内リ
サイクルに回されるという。バッテリーについてはリビルトパー
❸
●
❹
●
●
❶●
❷ 一度見聞したら忘れないきわめて特徴的な社名、ARBIZ(以下、アビヅ)
。これは Art(技術、芸術、職人芸)
、
Recycle(リサイクル)
、Biz(ビジネス)の略称で、社名の由来は、A から始まって Z まで自己完結型のリサイクル技術
を職人芸の域まで向上させ、リサイクルビジネスのエースを目指す、というものである ●
❸❹
●❺
●❻
● 使用済み自動車解体
工場内部の様子 ●
❼ 使用済み自動車をシュレッダープラントに投入する
使用済み自動車リサイクルの複合性が
リサイクラーの能力を総合化
❺
●
❻
●
残 った車 体 等
ュレッダープラン
トに投入。プラン
バッテ
フロン
リー
力、重液と3通り
廃 液 廃 油
の選別ラインがあ
ガラス
るが、 アビヅが J
ラインと呼んでい
ARBIZ
る重液選別ライン
アビヅ(愛知県名古屋市)は、自動車リサイクルはじめ総合リサイクル企業としてよりも、日本
最大級の中古車オークション会社、ユー・エス・エス(以下USS)グループの一員、という側面
のほうが全国的には知られているかもしれない。アビヅ社のELV(使用済み自動車)リサイクル
率は95%以上で、基本的には埋め立て処理がない徹底したリサイクル処理を実践している。
はかなり緻密に出
来ている。磁 力、
風力を経て非鉄、
プラ、ダストも含
ELVの高いリサイクル率は資源の有効利用という観点から
もそうだが、リサイクルの経済合理性の面からみても徹底して
解体、選別したほ
ELVリサイクル
社外リサイクル
トには磁 力、 風
❼
●
が全くない。
三層構造、重液選別の“Jライン”
月800トン処理しなお余力
は1500馬 力のシ
うがリサイクラー
輸 出
車載工具
オートアンテナ
輸出部品
国内部品
東南アジア
● 北 米
● オセアニア
● ヨーロッパ
中近東
● 中南米
● アフリカ
●
●
USSユーザー
● 地域業者
● we
b販売
ツバサシステム
●
輸出部品
輸出部品
ホーン
[エンジン]
[足回り]
[エンジン]
[足回り]
[内外装部品]
[ノーズカット][外装]
[内装]
[電装]
ヒューズ
[その他]
etc [ハーフカット] 廃棄自動車事前選別ライン
社外リサイクル
燃料
タンク
シート 燃 料
プラス
チック カーペット 紙 類
部品取り工程
金属リサイクル
後工程
処理
シュレッ シュレッ
ダー
ダーダスト
リサイクル(有価) リサイクル(有価)
アビヅの使用済み自動車 (以下、ELV)リサイクルフロー
を見てみよう。別図にも示しているが、入庫してきたELVは
がある。
車には金 属で
も鉄からレアメタ
ルまで各 種 有 価
金属が使われてお
り、 徹 底 的に分
解し、選別してい
くことでそれらス
[エンジン]
[バンパー] [足回り]
[セルモーター]
[金属類]
クラップメタルの
[ラジエター]
[触媒] [ワイヤーハーネス]
売却益が大きくな
[コンデンサー] [オルタネーター] [フレームカス] る。プラスチック
にしても品種、性
ンメルにて14~100㎜のものに選別され、まずは水選別機で
状によってマテリアル、サーマルとリサイクル材の用途を使い
てシェア拡大を目指す」とのこと。USSは現在、全国に18の
ごく簡単に水に沈むものと沈まないもの (プラ、木くずなど)
分ければ廃棄量は減り、ムダなコストを軽減することができ
オークション会場をもっており、名古屋はUSS 発祥の地であ
に分離される (ここで浮いたものはシュレッダーダストプラン
るのである。
る(名古屋会場はUSS名古屋とUSS-R名古屋の2つに分か
トに送り込まれる)
。沈んだものは第1重液槽で選別され、こ
資源の有効利用という社会的なニーズとリサイクル販売量
れ、アビヅと同敷地内の後者にはリサイクル工場が併設)
。
こでプラスチック等の軽量物と非鉄金属に分離される。さらに
の増加で相互に安定的にメリットが得られる循環システムこ
第2重液槽ではアルミを主に回収し、銅、ステンレスなどの混
そがリサイクル成功の秘訣であろう。また、典型的な複合素
USS-R名古屋では1週間に約2500台が出品されているが、
徹底的な部品取りから始まる。が、その前にUSSからどのよ
そのうち約17%
(400台)が ELVとしてアビヅで解体処理され
合物が残る。さらにここから渦電選別機にかけ、残ったアルミ
材であるELVリサイクルを手がけることで自然に総合リサイク
うな流れでアビヅにELVが入ってくるかを説明しておこう。
ている。2008 年度はUSS-R名古屋で約12万台取扱い、アビ
を回収とかなり細かい選別を行っている。現在このJラインの
ルへと業態も拡大することになる。
ヅは2万2千台の解体処理を行っている (07年度は1万8千
処理能力は月間800トン(2直体制で)とのことで、金属、プ
台)
。
ラの入り混じったミックスメタルの処理余力はまだ十分にあり、
何でも取り扱う。排出企業側からすれば、有価物も産廃物も
アビヅの金属プラスチックリサイクル事業部営業統括部の佐
オール資源として扱うリサイクラーにワンセットで依頼するほ
野次長は 「他所からでも(ミックスメタルを)集めたいほど」
うが利便性も高い。すでにアビヅ社ではELVから家電など複
と増処理に大いなる意欲をみせている。現在、シュレッダー、J
合材料を多くリサイクル処理している。リサイクルビジネスの
ラインを経てできる非鉄ミックスメタルは月間約250トン。この
ウイングを広げるにしても次に動きやすい。
USSは前述したように日本一の中古車オークション会社で、
流通している中古車全体の34%のシェアをもっている (オー
クション全体の出品台数は約887 万台といわれており、USS
はこのうち約308万台を取り扱っている)
。元USSで現在アビ
ヅ社の専務取締役である森雅浩氏は「130 余りのオークショ
ン業界も生き残りの厳しい年。310万台の出品目標に向かっ
120
にとってもメリット
[フレーム] んだ混合物はトロ
中古車オークションUSS
出品の17%を解体処理
アビヅ 専務取締役 森雅浩氏
2009.7
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外装パーツの国内販売中心
今後は触媒の前処理検討
入庫したELVはまず部品取りから始まる。外装パーツの国
リサイクル先進国の欧米がそうであるように資源であれば
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