2.商品回収リサイクルの動き A.ウール混紡商品のリサイクル

2.商品回収リサイクルの動き
A.ウール混紡商品のリサイクル
ウール混紡や綿混紡の衣料品は故繊維業者が以前から回収し、反毛繊維、反毛フェルトや
ウエスなどに利用してきました。
大口消費者であった自動車業界の内装材として反毛フェルトは使われていましたが、豊島の
産業廃棄物の問題で、自動車業界がバージン素材フェルトを使用したため、販売が縮小し、
東海フェルトの倒産など厳しい状況となっていました。ここに来て、中国経済の影響を受け、
反毛フェルトにも再び需要が起き、持ち直しています。
当社はニッケを中心に「エコネットワーク」というウール素材の服の回収システムを確立してお
り、学校や店頭で回収したものをニッケの契約した工場へ日通便で運送しマテリアルリサイク
ルでマットやフェルトに加工し、学校に再び還元するシステムを確立しています。福島トンボが
早くから取り組みを行い、実質的な運用を行なっておられます。
B.ポリエステル高混率商品のリサイクル
一方ポリエステル80%以上の高混率素材の衣料品は、マテリアルリサイクルにより、プラス
チックペレットにリサイクルされるものと、ケミカルリサイクルにより、再び繊維に戻るものがあ
ります。
◆マテリアルリサイクルグループ
当社が加入するエコログリサイクリンネットワークは、エコログリサイクリングジャパンをマテリ
アルリサイクル工場の核として、エコログアソシエーションという協同組合に参加するメーカー
とその先の流通グループにより商品回収を行い、プラスチックペレットを製造販売し、ファスナ
ーやボタン等の衣料副資材として再び循環させようとするものです。着用後の衣料品回収に
ついて広域認定を取得しており、一部企業ユニフォームでは既に再商品化されています。
基本的には東レ素材を使います。使用後の制服の運送はヤマト運輸が収集し、西濃運輸が
エコログリサイクリングジャパン社へ運びます。
エコログアソシエの加盟 メーカーは以下の通りです。
・㈱エコログリサイクリングジャパン ・㈱トンボ ・尾崎商事㈱ ・セロリー㈱ ㈱白龍堂
・㈱ジ―ベック ・ビッグボーン㈱ ・フレックスジャパン㈱ ・ジャスト㈱ ・㈱ワッツ ・カーシー
カシマ㈱ ・サンリッチモード㈱ ・㈱廣瀬商会 ・倉敷繊維加工㈱ ・㈱ユニング
◆ケミカルリサイクルグループ
帝人を核とするグループです。 帝人はエコサークルというグループを作り、ポリエステル
80%以上の衣料品を回収、DMTに戻して再びポリエステル繊維にするものです。当社も
このエコサークルに加入しています。回収して帝人松山工場へ送る事が可能です。
帝人は、裏附属についてもケミカルリサイクルをしやすくするための仕組みを作ろうと
「エコサークル ライニス会」を組織しました。日東紡、日東紡インターライニング、東海サーモ、
三景、ダイニック、日本バイリーン、倉敷繊維加工、アンビック、アイリス、新道繊維工業、清
原、島田商事、室谷、伊藤忠商事の14社が参加しています。
最近 スポーツメーカーのゴールドウインがこのエコサークルに加盟し新聞発表をしています。
同社は旭化成とも組んでケミカルリサイクルを実施していきます。
そのほか、チクマを中心に産業廃棄物の広域認定を共同取得した「アーシンク・リサイクル・
ネットワーク」があります。このグループはマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの両方
ができるチクマの「アーシンク・リサイクル・システム」を共同運用することでユニフォームの回
収リサイクルを強化するとしています。
チクマのほか、加盟の会社はメーカー、小売店などあり、明石被服興業、赤尾、飯島産業、い
とや、金原、ツカモトユーエス、東洋リントフリー、ユーエム物産があります。
一般衣料では、 ユニクロ、イオン、高島屋、パタゴニアなどが回収を行なっています。
ユニクロは回収後のリサイクルは基本的に考えていないようです。故繊維業者へ渡して、処
分をするということのようです。販促活動と割り切っている様子です。
イオンは昨年のエコプロダクツ展でも大きく回収をアピールしました。アパレル産業協会のエ
コメイトマークをつけた商品を販売、店頭回収して故繊維業者を通じて、海外輸出、ウエス(工
業用雑巾)などに再商品化しています。高島屋はスーツを回収していますが、これも故繊維
業者を介してのウール反毛などのマテリアルリサイクルを行っているようです。
パタゴニアは1993年から廃棄物であったペットボトルからフリースを作ったことでゆうめいで
すが、環境への取り組みは先進的で、帝人とも提携して繊維 TO 繊維のケミカルリサイク
ルに取り組んでいます。ユニクロとは違う環境に対して企業姿勢の明確な姿勢を持った会社
です。繊維製品のエコロジーフットプリントをHP上で紹介しています。
http://www.patagonia.com/web/jp/patagonia.go?assetid=23438
現状の課題は多くの衣料品がリサイクルされずに、廃棄、燃やされ結果CO2 を増やす原因
になっていることです。その改善に向けていくつかの問題点があります。次回以後紹介をして
いきます。