廿日市市立廿日市中学校長 沼本愼二 から 皆様にご挨拶申し上げます。

ようこそ、廿日市中学校のホームページへお越しくださいました。
今年度も、あと1月を残すところとなりました。年度末を迎え皆様方におかれましては時下
益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
卒業式を目前にした三学年の生徒たちは、残り少ない中学生生活を名残惜しそうに、でも
本当に楽しそうに過ごしています。
さて、私は、教育講演会の講師を依頼されることが多いのですが、その際、講演の中でよく取
り上げるのが、約250年前にフランスで活躍した哲学者、ジャン=ジャック・ルソーが書いた
「エミール」という本です。
ジャン=ジャック・ルソーは「エミール」の中でこんなことを書いています。
「あなた方は、子供を不幸にする一番確実な方法は何であるかご存じだろうか。それは、何で
も手に入れるという習慣を子供につけることだ」
250年前も、今も同じだということが分かります。
「欲しいものを、欲しい時に、欲しいだけ与えたら、子供は間違いなく不幸になります。」
ということです。
欲しいものは、スマホやタブレット、ゲーム機といった有形のものとは限りません。時間とい
う無形のもの、我慢という意識の中にあるものなども皆同じだと思っています。
子供たちが大人になる過程で、駄目なものは駄目なんだと、潔く諦めることを知るということ
が、大人になるための必須プロセスではないでしょうか。
こういったプロセスを経て、子供たちは、世の中の思いどおりにならないことへの耐性を一つ
ずつ獲得していくのだと考えています。
世の中には、思いどおりにならないことがあります。例えば「理不尽」というものが存在しま
す。子供たちには、社会に出たときに登場する「理不尽」に立ち向かえる強い心が必要ですし、
この強い心を持たせてやらなければなりません。それが大人の仕事だと思っています。
社会では、必ず辛いことが起こりますが、このことに耐えられるようにするには、「世の中に
は、理不尽なことがあるのだ。思いどおりにいかないことがあるのだ」ということを体感させな
い限りは、身につきません。
理不尽ということではありませんが、学校でも、「社会で許されないことは許さない」という
スタンスで不正行為、破損行為、暴力行為には厳しく対応することにしています。これは、子供
たちには酷ではないかという声も頂きますが、すべて、子供たちが社会に出たときに、折れない
ように、「世の中の思いどおりにならないことへの耐性を一つずつ獲得させる」ために、心を鬼
にしてやっていることです。
また、これには前提があると考えています。それは、「子供たちが安心して生きている」とい
うことです。
「自分が悪いことをしてしまったら、きちんと親や地域の人が叱ってくれる」
「自分がレールから脱線しそうになったり、既定の枠から大きくはみ出したりしたときは、大
人が分かり易く諭してくれる」
「自分が自暴自棄になって逃げ出したり暴走したりしたときは、体を張って止めてくれる」
こういう前提があれば、子供たちは安心して様々な挑戦ができます。甘えたり、反抗したりも
できます。
学校でも、こうした前提を考えて指導してまいりますが、保護者の皆様や地域の皆様のお力に
掛かっている部分も大きいと思っております。今後とも、学校と保護者と地域が強く連携して子
供たちが幸せな人生を歩めるよう、最大限の努力をしてまいります。
さて、本校HPでもお知らせしておりますとおり、3月17日(木)、広島県の中学校では初と
なる「赤ちゃん先生」(「赤ちゃん先生」の詳細はHPトップページのリンクをご覧ください。)
の第4回目(本年度の最終回)を、本校の体育館にて実施します。これまで同様、公開授業とい
たします。生徒たちとともに、赤ちゃんの持つ力を体験してみませんか。多くの方のご参加をお
待ちしております。
引き続き、本校教育へのご理解をいただくとともに、ご支援・ご協力をよろしくお願いいたし
ます。
平成28年2月29日
廿日市市立廿日市中学校長
沼本愼二