現状と課題

Ⅰ
現状と課題
山本 宮子
現状と課題
彦根市の特性や現状の整理を行い、まちづくりの課題をまとめました。
なお、策定委員会では既調査の「21 世紀の新しい彦根市総合発展計画策定に向けての市民
意識調査」、「彦根市の土地利用に関する市民意識調査」、「都市計画区域マスタープラン策定
に係る住民アンケート調査」を参考に課題をまとめました。
1
彦根市の特性
(1)自然・風土が豊かなまち
・・・・・・・・・・・・・・・
5
(2)歴史・文化のあるまち
・・・・・・・・・・・・・・・
5
(3)琵琶湖東北部の中心都市
・・・・・・・・・・・・・・・
5
(1)これからの時代に対応したまちづくり
・・・・・・・・・・・・・・・
6
(2)公共交通網の充実
・・・・・・・・・・・・・・・
7
(3)まちづくりへの市民参加
・・・・・・・・・・・・・・・
7
(4)歩行者や沿道環境に配慮した幹線道路の整備
・・・・・・・・・・・・・・・
8
(5)防災・減災に配慮したまちづくり
・・・・・・・・・・・・・・・
9
(6)働く場が身近に有るまちづくり
・・・・・・・・・・・・・・・10
(7)活力ある市街地の整備
・・・・・・・・・・・・・・・10
(8)歴史と文化を生かしたまちづくり
・・・・・・・・・・・・・・・11
(9)大学や学生との協働のまちづくり
・・・・・・・・・・・・・・・11
(10)彦根城と城下町の世界遺産登録
・・・・・・・・・・・・・・・12
(11)自然環境を生かしたまちづくり
・・・・・・・・・・・・・・・12
2
市民および策定委員会からの課題
Ⅰ
現状と課題
(12)持続可能で環境に配慮した美しいまちづくり・・・・・・・・・・・・・・・12
(13)緑豊かな暮らしやすいまちづくり
3
・・・・・・・・・・・・・・・13
上位計画からの課題(彦根市総合発展計画・後期基本計画)
(1)土地利用の促進
・・・・・・・・・・・・・・・14
(2)市街地の整備
・・・・・・・・・・・・・・・15
(3)道路・公共交通網の整備
・・・・・・・・・・・・・・・16
(4)活力ある産業の振興
・・・・・・・・・・・・・・・17
Ⅰ−1
1
特
現状と課題/特性
性
(1)自然と風土が豊かなまち
○ 彦根市は滋賀県の東北部に位置し、西は琵琶湖を望み、東に
は緑豊かな鈴鹿山脈が連なり、ここに源を発する芹川、犬上
川、宇曽川、愛知川等が、肥沃な穀倉地帯を形成しながら、
琵琶湖に注ぎ、また、平地部には金亀山、荒神山、雨壷山、
大堀山等、小高い山々が点在し、自然が豊かなまちです。
○ このように、自然が織りなす風土と景観が彦根をかたちづく
り、市民に豊かな恵みとやすらぎを与えてくれるかけがえの
ない資源となっています。
(2)歴史と文化のあるまち
○ 市内には、松原内湖遺跡、矢倉川遺跡等の縄文・弥生時代の遺跡や、6∼7 世紀の荒神山
古墳群等があり、早くから人々の生活が営まれていたことがわかります。奈良時代には、
今日にもその面影が残る条里制地割りの豊かな穀倉地帯が形成されるとともに、交通の
要衝として東山道の宿駅も設けられました。戦国時代には、戦略上の要衝として様々な
有力者の支配を経て、豊臣秀吉の全国統一後は石田三成が佐和山城主としてこの地を治
めました。関ヶ原の合戦後、井伊家がこの地に入り、金亀山に彦根城が築城されました。
国宝彦根城は、彦根を代表するシンボルと呼ぶにふさわしい歴史資源となっています。
○ 江戸期の約 270 年間にわたって政治や経済、文化の中心として栄えてきた 35 万石の城下
町です。町割りなどには、今なお往時の面影が色濃く残されており、様々な伝統文化も
現代に引継がれています。
○ 開国を英断した大老井伊直弼など彦根藩の歴代藩主は、幕府の要職についていたことか
ら江戸詰が長く、江戸の文化が彦根に多く伝わり、江戸の雰囲気の漂うまちとして小江
戸彦根とも呼ばれています。
(3)琵琶湖東北部の中心都市としてのまち
○ 昭和 12( 1937)年に 1 町 5 村が合併して市制が施行され、
その後、近隣 8 町村を合併して、昭和 43(1968)年に現
在の市域となりました。
○ 名神高速道路、北陸自動車道、東海道新幹線等の国土交
通軸上にある本市は、近畿圏、中部圏および北陸圏を結
ぶ広域交通の結節点となっています。
○ 北部は米原市、東部は多賀町・甲良町・豊郷町、南部は東近江市と接している本市は、
さらにそれらの市町に接している長浜市・安土町・近江八幡市といった都市で形成され
る琵琶湖東北部地域・湖東の中心都市として着実な発展を遂げてきています。
○ 本市には滋賀大学・滋賀県立大学・聖泉大学・ミシガン州立大学連合日本センターなど
の高等教育機関が多数立地しており、研究学園都市としての特徴を色濃く持っています。
5
Ⅰ−2
2
現状と課題/市民および策定委員会からの課題
市 民 お よ び 策 定 委 員 会 か ら の 課 題
(1)これからの時代に対応した都市づくり
わが国の人口は、明治以降(1899 年)増加しつづけてきました。しかし、平成 17 年に人
口の自然動態(出生者数と死亡者数の差)が減少に転じました。これからは人口減少社会の
到来が予想されています。このことから、本市においても人口減少・少子高齢化社会に対応
した都市づくりを進める必要があります。
○ 都市計画マスタープラン策定委員会からの課題
・ これまで活発に公共投資をしてきたが、これまで投資したものをいかに有効に活用してい
くか。これまでは造ることばかり念頭において、使う・育てるということをしてこなかっ
たという反省がある。どんどん郊外にあたらしく大規模に投資をして、新市街地を造って
いくという時代ではないことを認識する必要がある。
・ 彦根の中心市街地で高齢者が散歩をする時、外に出て仲間と話ができる場所は、昔は「道」
であったが、今は車に駆逐され、そのような場所がなくなった。これからは高齢化社会に
対応したまちに変えていく必要がある。
・ 全国的に「路地」というものが見直しされている。昔のように野原・ハラッパというもの
がなく、子どもが車の危険に会うということで、外に出ることなく家の中で生活を過ごし
ていることが、いじめ問題の重要な要因ではないかという議論がある。むしろ「路地」な
どをコミュニティー、みんなが出会ったり、あいさつしたりする中心の場にするなどの考
え方も必要である。
○ 市民意識調査 ※ の結果
「高齢者や障害者が外出しやすい環境が整っている」が 5 点評価で 2.18 となっています。
「高齢者や障害者が外出しやすい環境が整っている」の評価が低いことから、公共的な施設
のつくり方、道路のあり方など、高齢者や障害を持つ人、小さい子どものいる人など様々な
人たちの意見を取り入れ、生かすようなまちづくりをする必要があります。
※市民意識調査の結果は、平成 10 年度に実施した彦根市総合発展計画策定に向けた調査です。
6
Ⅰ−2
現状と課題/市民および策定委員会からの課題
(2)公共交通網の充実
○ 市民意識調査からの課題
「鉄道・バスの便利が良い」は 5 点評価の 2.33 となっています。
「鉄道バスの便利が良い」の評価が低くなっています。
JR 彦根駅以外の新快速電車の停車、JR 稲枝駅の整備とバリアフリー化 ※ 、近江鉄道の利便性
の向上、マイカー規制、また高齢者や障害者が利用しやすい低床バスの導入やデマンドバス
等も視野に入れて検討する必要があります。また、観光地や駅周辺に駐車場、駐輪場を整備
することも検討課題です。
※バリアフリー化とは、高齢者や障害者が生活していくうえで障害になっているものを取り除くこと。た
とえば車道と歩道の段差や駅の階段をスロープ化することなど。
(3)まちづくりへの市民参加
○ 都市計画マスタープラン策定委員会からの課題
・ 地方分権は「住民が主役である」という考え方(コミュニティ・ベースト・プランニング)
がある。そこに住んでいる人たちが、自分達の生活をいかにより豊かなものにするのかと
いうことを中心に計画する必要がある。
・ より豊かな彦根にするには、従来のように行政に頼ることなく、市民と行政が一緒になっ
てやっていく必要がある。
○ 市民意識調査からの課題
・ 「市民がまちづくりに積極的に参加している」は 5 点評価の 2.49、「自治会活動などを中
心に地域社会としてのまとまりがある」は 5 点評価の 2.94 となっています。
・ 「市民の意見の市政への反映状況」はどちらともいえないが 550 件/29.7%※ 、あまり反映
されていない・ほとんど反映されていないが 832 件/44.9%※ と多くなっています。
・ 「市民の意見の市政への反映手段」では広報ひこねなどのきめ細やかな情報の公開が 820
件/44.3%※ 、市民と行政が対話できるシステムづくりが 805 件/43.5%※ と高くなっています。
「市民がまちづくりに積極的に参加している」の評価は低くなっています。
まちづくりの主体は市民です。そのために個人、地域、NPO※ 法人など様々な主体によるまち
づくりへの参加を促す必要があります。
※件数、%は 2 つまでの複数回答となっています。
※NPO 法人とは、民間非営利組織ともいわれるもので、公益的な活動を行う住民などのグループ。
7
Ⅰ−2
現状と課題/市民および策定委員会からの課題
(4)歩行者や沿道環境に配慮した幹線道路の整備
○ 都市計画マスタープラン策定委員会からの課題
・ これまで活発に公共投資をしてきたが、これまで投資したものをいかに有効に活用してい
くか。これまでは造ることばかり念頭において、使う・育てるということをしてこなかっ
たという反省がある。どんどん郊外にあたらしく大規模に投資をして、新市街地を造って
いくという時代ではないことを認識する必要がある。
○ 市民意識調査からの課題
「歩道・自転車道が整備されている」は 5 点評価の 2.40、「道路が整備されている」は 5
点評価の 2.58、「信号機・ガードレールなどの交通安全施設が整備されている」は 5 点評
価の 2.80 となっています。
「歩道・自転車道」「道路(自動車)」「交通安全施設」の整備が何れも低く評価されて
います。歩行者や自転車の通行が安全にできるよう、歩道(自転者歩行者道)の設置を中心
にした幹線道路の整備が必要です。また、産業用のダンプ・トラックや観光用のバス・乗用
車が既成市街地に乗り入れしないような交通システム等の検討も必要です。
8
Ⅰ−2
現状と課題/市民および策定委員会からの課題
(5)防災・減災に配慮したまちづくり
今後、本市においても地震や水害などの発生による生命や財産への被害が想定されること
から、防災や減災に配慮したまちづくりを促進する必要があります。
○ 都市計画マスタープラン策定委員会からの課題
・ 彦根周辺には彦根断層、仏生寺断層、湖西の花折断層などがある。阪神大震災規模の地震
があった場合の被害やその対応について検討する必要がある。
・ 彦根は旧城下町ということで、その雰囲気を色濃く残しているところは一間半(約 2.7m)
の狭隘道路 ※ に面している。今の建築基準法では既存不適格 ※ の建築物となる。しかし、
適法にしていくと彦根の良さ、雰囲気がどんどん無くなる。防災のみを考えるとこのよう
な矛盾が生じる。このあたりをどのように考えていくのか検討が必要である。
・ 滋賀県では、宇曽川・愛知川(葉枝見橋下流)で 50 年に 1 度の災害に対応できるように
しているが、芹川・愛知川(葉枝見橋上流)については河積確保等、50 年に 1 度の災害
への対応が必要である。このような国・県レベルの情報を提供して、議論を進める必要が
ある。
※狭隘道路(きょうあいどうろ)とは、建築基準法にいう 4m 以下の道路。
※既存不適格とは、建築基準法(施行)などの改正により、ふさわしくない既存の建築物等。
○ 市民意識調査の結果
・ 「河川・排水路が整備されている」は 5 点評価の 2.80、「火事や地震、水害などに対す
る防災体制が整っている」は 5 点評価の 2.71、「医院や病院などの医療施設が整備され
ている」は 5 点評価の 2.84、「高齢者・障害者・児童などの福祉施設が整備されている」
は 5 点評価の 2.67 となっています。
・ 「防災の取組み」は、病院などの医療関係機能の強化が 691 件/37.4%、消防などの防災関
係機能の強化が 629 件/34.0%、学校・公園などの避難場所の確保が 564 件/30.5%、建築物
や橋など施設の安全性の向上が 538 件/29.1%となっています。
・ 「福祉施策の充実」は、高齢者や障害者など要介護者への支援体制の整備が 618 件/33.4%、
高齢者や障害者などが安全・快適に利用できる道路・公園や建築物の整備が 607 件/32.8%、
老人ホーム・障害者施設・保育所・母子寮など福祉施設の整備が 540 件/29.2%となってい
ます。
「河川・排水路」「防災体制」「医療施設」の整備がいずれも低くなっています。
誰もが安心して暮らせる市街地整備や施設整備のあり方について、検討する必要があります。
9
Ⅰ−2
現状と課題/市民および策定委員会からの課題
(6)働く場が身近にあるまちづくり
○ 市民意識調査の結果
・ 「働きがいのある職場が多い」は 5 点評価の 2.42 となっています。
・ 「増えてほしい職場」は文化・スポーツ・レジャー関連の職場が 584 件/31.6%、情報サー
ビスや研究開発関連の職場が 565 件/30.6%と高くなっています。次いで新しい技術を取り
入れるなどした農林水産関連の職場が 530 件/28.7%、工場などの生産関連の職場が 524
件/28.3%となっています。
「働きがいのある職場が多い」の評価が低くなっています。
都市が自立するためには、地域に働く場を確保すること、新しい産業・工場の誘致、地場産
業などを育成することが必要です。
(7)活力ある市街地の整備
○ 市民意識調査の結果
・ 「買物が便利である」は 5 点評価の 3.38 となっています。
・ 「商業の振興」は、商店街の環境整備が 623 件/33.7%、高齢者や障害者などが利用しやす
い商店が 588 件/31.8%、個性ある専門店や商店づくりが 581 件/31.4%、買物・遊び・飲食
などができる複合型商業施設が 519 件/28.1%となっています。
・ 「彦根の誇れるところ」は、学術・学園都市・学生のまちが 69 件/2.4%、彦根城などの観
光資源が豊かでそれらを活用しているまちが 56 件/1.9%、地場産業(バルブ・仏壇・ファ
ンデーション)が 49 件/1.7%、新幹線や高速道路を始めとする基幹交通の要衝で利便性が
高いが 31 件/1.1%、大型商業施設があり買物・食事・遊びが近所で間に合うが 29 件/1.0%、
・ 市民・観光客が楽しめる多彩なイベントがあるが 19 件/0.6%、地方の中核都市で近畿地方
の東の玄関口が 7 件/0.2%などの意見が寄せられました。
「買物が便利である」の評価は高くなっています。一方、駅周辺や幹線道路沿いに大型商業
施設が立地し、中心市街地の空洞化が進展しています。今後、中心市街地の商店街は、高齢
者や障害者などが利用しやすく、個性ある専門店や商店づくりが求められています。また、
図書館、文化プラザ、温水プール等の文化スポーツ施設や官公署や市立病院などの公共施設
が分散されており、配置のあり方についての検討が必要です。
10
Ⅰ−2
現状と課題/市民および策定委員会からの課題
(8)歴史と文化を生かしたまちづくり
○ 市民意識調査の結果
・ 「街並みや風景が美しい」は 5 点評価の 3.34 となっています。
・ 「彦根の誇れるところ」は、彦根城および彦根城周辺の歴史的なまちなみなどが 1,279
件/43.7%、歴史・伝統・文化財などが 234 件/8.0%、文化・芸術・スポーツ面で施設整備
の充実が 64 件/2.2%、市民のおっとりした気質やあたたかさ伝統を大切にする心が 47 件
/1.6%などの意見が寄せられました。
・ 「観光・レクリエーションの振興」では、彦根城や宿場町などの歴史的な建造物・町並み
の保存整備が 716 件/38.7%、観光ルートの設定や交通基盤の整備が 641 件/34.7%、観光客
などを温かくもてなす雰囲気が 522 件/28.2%となっています。
「街並みや風景が美しい」の評価は高くなっています。
21 世紀は、交流社会を向かえようとしています。彦根の歴史・文化を掘起し、生かし、彦根
らしさ・彦根の個性を一層磨くことの必要性があります。
(9)大学や学生との協働のまちづくり
○都市計画マスタープラン策定委員会からの課題
・ より豊かな彦根にするには、従来のように行政に頼ることなく、市民と行政が一緒になっ
てやっていく必要がある。
・ 彦根にある 3 つの大学と学生達との協働により彦根の活力を育てていく必要がある。
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Ⅰ−2
現状と課題/市民および策定委員会からの課題
(10)彦根城と城下町の世界遺産登録
○都市計画マスタープラン策定委員会からの課題
・ 彦根城の世界遺産暫定登録から彦根城と近世城下町の世界遺産登録に向けた努力をする
必要がある。
○ 市民意識調査の結果
・ 「街並みや風景が美しい」は 5 点評価の 3.34 となっています。
・ 「彦根の誇れるところ」は、彦根城および彦根城周辺の歴史的なまちなみなどが 1,279
件/43.7%、歴史・伝統・文化財などが 234 件/8.0%、文化・芸術・スポーツ面で施設整備
の充実が 64 件/2.2%、市民のおっとりした気質やあたたかさ伝統を大切にする心が 47 件
/1.6%などの意見が寄せられました。
(11)自然環境を生かしたまちづくり
○ 市民意識調査の結果
・ 「水や緑などの自然環境がよい」は 5 点評価の 3.87 となっています。
・ 「彦根の誇れるところ」は、琵琶湖が 439 件/15.0%、自然が 267 件/9.1%、自然環境資源・
歴史資源などが四季折々に見せる美しい景色 58 件/2.0%などの意見がありました。
「水や緑などの自然環境がよい」の評価は高くなっています。
居住地域から身近な場所に、水・緑の環境および景観がよいことなどが評価されており、本
市の魅力となっています。今後とも良好な自然環境や景観を守り育てていく必要があります。
12
Ⅰ−2
現状と課題/市民および策定委員会からの課題
(12)持続可能で環境に配慮した美しいまちづくり
○ 市民意識調査の結果
・ 「し尿、ごみ処理体制が整っている」は 5 点評価の 3.08 となっていいます。
・ 「ごみの減量化・資源化」は、資源回収の促進が 714 件/38.6%、事業者による資源回収が
700 件/37.9%、過剰包装の見直しが 678 件/36.7%、分別収集の徹底が 645 件/34.9%と高く
なっています。
「し尿、ごみ処理体制が整っている」の評価は中位となっています。
21 世紀は地球規模での環境を保全する対策が必要です。そのため、発生抑制(リデュース)、
再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の徹底、ごみのない美しいまちづくりへの取
組みが必要です。
(13)緑豊かな環境のなかでの暮らしやすいまちづくり
○ 市民意識調査の結果
・ 「公園やスポーツ施設が整備されている」は 5 点評価の 3.02 となっています。
・ 「公園の整備」は、自然を多く取り入れた公園が 1,227 件/66.4%、地域のふれあいができ
る公園が 743 件/40.2%、子どもたちが遊べる小さなポケット公園が 559 件/30.2%、スポー
ツなどが楽しめる公園 548 件/29.6%となっています。
「公園やスポーツ施設が整備されている」の評価は中位となっています。
成熟社会にあって、自然や緑が豊かな環境で、地域のふれあい、子どもの遊び、スポーツ
が楽しめる施設整備の推進が必要です。
13
Ⅰ−3
3
現状と課題/上位計画からの課題
上位計画からの課題(彦根市総合発展計画・基本計画)
(1)土地利用の促進
本市の市街地は、江戸期に形成された旧城
下町と昭和 40 年代から始まった宅地開発に
よって形成された旧城下町周辺、JR 各駅周辺、
主要幹線道路沿いの新市街地からなっていま
す。
将来の土地利用を考えるに当たって現状に
見られる都市計画上の課題を整理しました。
○ 旧城下町では、現況の土地利用状況に比べて、都市計画で定めた建ぺい率や容積率が、
全般的に高い状況を呈しており、次の 3 点の課題があります。
・ 中心市街地の彦根駅周辺では、多様な機能を効率的に集中させる観点から、基盤整備にあ
わせた高度利用が求められています。
・ その他の旧市街地では、建築物の用途に関しては多様性を認め、良好な生活環境や市街地
景観を形成するために、市街地の密度、建築物の高さについて、地区の特性に応じてきめ
細かく規制・誘導していく必要があります。
・ 旧城下町では、地場産業や中小企業の工場が、住居系地域に混在した形態や工場跡地、商
業地域において都市計画の用途地域と現行の土地利用が一部不整合となっているなど、用
途地域の見直しを検討する必要があります。
○ 北部地域の鳥居本では企業の工場拡大が進む一方で、地区内には工業系の大規模空閑地
があり、企業立地による土地利用の促進が必要です。また、地区の大部分を占める山林
は、自然環境の維持保全に努める必要があります。
○ 中部地域の南彦根駅周辺地区では、本市の人口重心の中心にふさわしい商業地、住宅地
としての土地利用の高度化が求められています。また、幹線道路沿道地域の用途地域に
おいて、現行の土地利用と一部不整合となっており用途地域の見直しを検討する必要が
あります。
○ 東部地域の市街化区域である野田山、大堀、高宮地区では、宅地開発や共同住宅等のミ
ニ開発によるスプロール化 ※ が進展しており、規制誘導等による計画的な市街化の促進を
図る必要があります。また、工業系用途地域に大規模な空閑地があり、今後、企業立地
による土地利用の促進が必要です。
○ 南部地域の市街化区域では、宅地開発による市街地の形成が図られ、また市街化調整区
域については優良農用地を確保するための、ほ場整備、農道整備等が促進されています。
こうしたなか、JR 稲枝駅改築計画の促進に併せて、駅西口開設に係る西口周辺の都市基
盤整備と新たな土地利用計画のあり方を検討する必要があります。
※スプロール化とは、住宅が郊外の安い土地に不規則に進出し、都市が無計画に拡大していくこと
14
Ⅰ−3
現状と課題/上位計画からの課題
(2)市街地の整備
彦根市の人口は、現在約 11 万人で、市制施
行以来着実に増加しているものの、平成 13
年度以降は年間 300 人程度の微増に留まって
います。
このような人口安定期にあって、自立した
都市として、活力を維持・増進することは重
要な視点で、既成市街地と新たな市街地との
間で、人口・産業・各種都市機能が適切に配
置されるように、計画的にまちづくりを進め
る必要があります。
また、魅力づくりと活性化のために、彦根の歴史と伝統ある文化や彦根ならではの景観、
地場産業など地域に特化された産業を積極的に生かしたまちづくりを進めることも重要です。
○ 本市の中心市街地は、彦根城を中心に城下町として発展、物販や飲食、サービス、公共、
居住といった各種機能が集積し、様々な都市活動の中心的役割を果たしてきました。近
年、城下町特有の道路形態も一因となって郊外への宅地開発・大型店舗の立地が進み、
その結果中心市街地の人口減少や空き店舗の増加がみられ、まちの活力が衰退し空洞化
が進んできました。このため、賑わいの再生をめざして夢京橋キャッスルロードや四番
町スクエアの整備などを「彦根市中心市街地活性化基本計画」に基づいて実施してきま
した。今後も市街地の整備改善と商業の活性化のための施策を中長期的 ※ に促進する必要
があります。
○ 彦根駅東地区では、都市の拠点性を高めるために、彦根駅東土地区画整理事業を実施し、
併せて駅前広場・都市計画道路等の都市基盤整備を推進しています。これらの環境整備
を生かして、高度な商業・業務および居住機能を誘致し、早期に土地利用が促進される
よう努める必要があります。
○ 既成市街地においては住環境面での安全性や防災上に問題がある地区が数多く存在しま
す。この問題に対処するためには、各地区の特性を十分把握し、地区住民の意向調整を
図りながら、住民主体のまちづくり計画を立案し、住民と行政が適切な役割分担の下で
協働のまちづくり事業を促進していく必要があります。
○ 近年の市街地整備においては、より快適で質の高い都市空間の形成が求められています。
そのためには、地区別の景観形成や高齢者・障害者・子どもなどへの対応など地区の課
題・特性に応じたまちづくりに取組む必要があります。
※短期は 5 年、中期は 10 年、長期は 20 年を目途としています。
15
Ⅰ−3
現状と課題/上位計画からの課題
(3)道路・公共交通網の整備
これまでの都市交通に関する計画は、人口の増
加を背景とした増加する交通需要に対応した交
通容量の不足解消を目的として、量的な拡大を目
標とした交通施設の計画を中心に検討してきま
した。しかし、近年、将来の人口減少社会、都市
への人口集中の沈静化、公共投資余力の減退など
を背景に、既存施設の有効活用による効率的かつ
重点的な計画を提案することが求められていま
す。
また、都市交通を含めた公共事業全般に対して成果(アウトカム)と効率性、わかりやす
さを重視した行政経営(マネジメント)の考え方が必要となってきています。
このようなことから、本市の都市交通における課題を踏まえ、総合都市交通体系調査等に
よる有効な対応を短中期的に検討することが必要です。
○ 社会経済情勢の変化による都市と交通の課題として、次の 4 点があげられます。
①
人口減少社会の到来による都市構造と都市交通体系を見直すこと。
②
高齢社会への対応をすること。
③
中心市街地活性化の支援をすること。
④
過度の自動車依存から脱却するなど環境負荷の軽減をすること。
○ 近年重視されている施策上の課題として、次の 2 点があげられます。
①
少子高齢化の進展、予想される人口減少社会に対応し中心市街地の活性化や環境負荷
の軽減を推進するためには、コンパクト ※ な市街地の形成を誘導するとともに、その実
現に資する都市交通体系の整備が必要なこと。
②
事業費の大きい施設整備中心の施策から既存ストックを有効に活用したソフト施策
(TDM 施策)も含む都市交通施策への転換が必要なこと。
○ 本市の都市計画道路は現在 32 路線あり、計画延長が 67.64km、改良済延長が 28.55km、
概成済 ※ 延長が 15.16km で整備率は 65%です(平成 16 年度末)。今後、骨格的な道路網
の整備について、上記の観点から短中期的に見直しを検討する必要があります。
○ 整備の十分でない幹線道路が、産業道路と生活道路の両方の機能を担っており生活者の
安全と懸念が生じています。地域生活者の安全の確保に向けて、歩行者環境の整備に重
点を置いた道路整備を促進する必要があります。
○ 通勤や通学、日常生活に重要な役割を担う、鉄道やバスなどの公共交通機関の活用につ
いては、既存の交通網の充実とともに重要な課題です。
○ 都市経営の視点から、安定的な税収と雇用の確保に必要な企業立地を促進するため、ア
クセス道路の整備や既立地企業周辺の道路環境の整備が求められます。
※コンパクトとは小型でまとまって中身が充実していること
※概成済とは概ね計画幅員の 2/3 以上で供用されている部分
16
Ⅰ−3
現状と課題/上位計画からの課題
(4)活力ある産業の振興
都市にとって、自立できる活力を持つことは欠かせ
ません。高齢化と女性の社会参加の動向などを背景と
して、様々な人々が身近な場所で就業の機会を求めて
います。一方、大きく産業の構造が変容する時代にあ
って、旧来の産業分類ではないような、新しいタイプ
の創造的な事業を行う中小企業(ベンチャービジネス
※
)、また、自宅や小スペースの事務所で働く就業形態
(SOHO※ )も増えつつあり、これからの都市の活力を生
み出していくと期待されています。
このような新しい産業や就業の動向に対応していく必要があります。
○ 産業施設の集約的な立地をめざす地区、また、居住環境との適切な調和の範囲で産業が
複合する地区など、地区の特性に応じて土地利用を誘導することも必要です。
○ 本市には、自然・文化・歴史・地場産業といった観光資源が豊富に分布しています。観
光産業は、このような都市の魅力を生かした産業であり、都市の活力を生む重要なまち
づくりの資源です。琵琶湖をはじめとする豊かな自然、国宝や重要文化財を擁する彦根
城跡や城下町、鳥居本宿・高宮宿など、自然と文化の資質を生かした観光、伝統産業な
どと連携を図ったまちづくりを進める必要があります。
※ベンチャービジネス:創造力や専門的な知識・技術をも
とに、新製品・新技術の開発などの新しい事業を行う中
小企業のことを言います。
※SOHO(ソーホー):スモールオフィス・ホームオフィスの
頭文字です。情報通信手段の発達とともに注目されてき
ている就業形態で、自宅や小規模な事務所で働くことや、
それを実践することを言います。
新しい就業形態であるだけでなく、新しい生活様式(ライフスタイル)としても注目されています。
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