PTC® Windchill® のヒントとテクニック

技術白書
PTC® Windchill® のヒントとテクニック
PTC Windchill は PTC の製品開発システムの一翼を担い、製品
とサービスのライフサイクル全体を通じてすべての製品コンテン
ツと業務プロセスを管理します。PTC Windchill は製品およびプ
ロセスの情報すべてを格納する中央リポジトリの役割を果たし、
製品ライフサイクルのあらゆる段階で製品情報すべてを効率的に
取り込み、設定し、管理することで、やり直しの削減と市場投入
期間の短縮を実現します。
( 意思決定の影響が最も大きく、意思決定による混乱
が最も小さい ) 製品開発の早期段階で製品のパフォー
ヒント 1̶簡略表示を外部化する
マンスを解析することで、製品のパフォーマンスと収
益性を高め、市場投入期間を短縮することができます。
お客様は、製品開発ライフサイクル全体を通して PTC
Windchill で品質を追跡、管理することによって、製
品の開発および使用において、製品の品質と信頼性が
定められた要件を確実に満たすようにすることができ
ます。最後に、PTC Windchill は主要な製品開発およ
びサービス情報プロセスの効率化を支援します。その
結果、ユーザーは企業のビジネス目標を達成すること
ができるのです。
たとえば、トラクターのアセンブリで作業をしている
としましょう。数千もの部品と数ギガものデータから
構成されています。そのアセンブリのサブセット ( ボ
ディやパワー トレイン ) から複雑性を取り除いて、シ
ステムのパフォーマンスを向上させたいと考えていま
す。PTC Creo には「簡略表示」という機能があり、
アセンブリのサブセットに焦点を当てることができま
す。しかしデフォルトでは、簡略表示はアセンブリ
PTC Windchill は PTC Creo® (CAD データ管理対応 )
と緊密に連携し、前者が PLM ツールの役割を果たす
一方、後者はオーサリング機能を提供します。PTC
Windchill および PTC Creo を導入するお客様の経験
レベルはさまざまです。長期間これらのソフトウェア
を利用しているお客様は製品の裏も表も知り尽くして
いますが、まったく初めて使うというお客様もいま
す。ご利用経験のレベルに関わらず、PTC Windchill
ソリューションなら、PTC Creo を併用しながら、あ
らゆるタスクを実にさまざまな方法で実行できます。
その中には、明確な方法もあれば、そうでない方法も
あります。
以降では、実行方法があまり知られていないヒントと
テクニックをご紹介します。一般的なタスクを実行す
るための複数の方法を知っていれば、自分に最適な手
法を選択することができます。
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図 1: ビュー マネージャを使用して外部簡略表示を作成する。
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ファイルの一部として保存されます。つまり、アセン
ブリ内に隠されているため、PTC Windchill 側ではそ
の存在を把握できません。その結果、ある簡略表示を
見つけようとしても、検索を実行して簡略表示の全リ
ストを表示し、必要なものを選択するという単純な操
作ができません。「ファイル」(File) メニューの「開く」
(Open) で目的の簡略表示を探し、特殊な方法で開く
必要があります。
図 2: 保存した外部表現はワークスペース ブラウザに表示される。
もっと簡単に簡略表示を探すには、その外部化を検討
するとよいでしょう。簡略表示を外部化することに
よって、検索可能な PTC Windchill オブジェクトにな
ります。
外部簡略表示を作成するには、ビュー マネージャで既
存のアクティブな簡略表示を右クリックして、「外部
としてコピー」を選択します ( 図 1 を参照 )。
PTC Creo に、名前を入力するプロンプトが表示され
ます。PTC Windchill で簡略表示を検索するときに区
別しやすい名前を指定します ( 図 2 に示す「drill_400_
no_covers」など )。保存された外部表示は、特別な
図 3: 貢献コンテンツ関連付けを使用すると、外部簡略表示を
PTC Windchill 部品にリンクさせて情報を追加できる。
オブジェクト タイプのアイコンとともにワークスペー
ス ブラウザに表示されます。
外部簡略表示では、アセンブリのオーナーがリンクし
た PTC Windchill 部品との間に貢献コンテンツを作成
できます。これによって、簡略表示で PTC Windchill
部品に関する情報を追加できます。外部簡略表示を
アップロードした後で、
「編集」(Edit) >「自動関連付け」
(Auto Associate) ワークスペース機能を使用してこの
リンクを生成します。すると、外部簡略表示を PTC
Windchill にチェックインできるようになります。貢
献コンテンツの関連付けを作成するには、「自動関連
付け」(Auto Associate) メニューで探している外部簡
略表示を選択し、関連付けのタイプとして「貢献コン
テンツ」(Contributing Content) を選択します。PTC
Windchill に外部簡略表示専用のフォルダを作成する
こともできます。
図 4 に、Drill 400 部品のすべての貢献コンテンツを
示しています。
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図 4: 特定の部品の貢献コンテンツのリスト
特定の外部簡略表示を探す場合は、PTC Windchill で
直接検索して開くことができます。図 5 に示すよう
に、外部簡略表示内のコンポーネントがワークスペー
スにダウンロードされます。
外部簡略表示を作成することで、大きなアセンブリの
サブセットを表示して操作性やパフォーマンスを高め
ることができるだけでなく、探している簡略表示をよ
り簡単に手早く見つけることもできます。
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ヒント 2̶CAD ファイルの自動関連付け
CAD ファイルを PTC Windchill にチェックインする
ときに、製品構造 ( 新しい構造または既存の構造 ) と
関連付けるかどうかを選択できます既存の製品構造と
CAD ファイルを関連付ける場合、2 つのオプションが
あります。
• 「自動関連付け」(Auto Associate) チェックイン オ
プション
• 「編集」(Edit) >「自動関連付け」(Auto Associate)
図 5: 検索ウィンドウで簡略表示を検索する。
ワークスペース機能
ほ と ん ど の ユ ー ザ ー は「 自 動 関 連 付 け 」(Auto
Associate) チェックイン オプション ( チェックイン
ウィザードからアクセス ) を使用します。その方が速
いからです。CAD ドキュメントをチェックインする
ときは、単純に「自動関連付け」(Auto Associate) オ
プションを選択します。すると、PTC Windchill で、
同じ名前を持つ既存の PTC Windchill 部品が検索され
ます。部品が見つかると、ユーザーの CAD ドキュメ
ントと関連付けられます。部品が見つからない場合は、
まず新しい部品が作成され、ユーザーの CAD ドキュ
メントと関連付けられます。問題は、PTC Windchill
が CAD ファイルと関連付ける PTC Windchill 部品を
プレビューできない点です。PTC Windchill が CAD
ファイルを正しい部品と関連付けたことを確認するに
は、部品のクエリーを実行し、目で確かめる必要が
あります。さらに、このオプションでは「オーナー」
(Owner) リンクしか利用できません。
「編集」(Edit) >「自動関連付け」(Auto Associate) ワー
クスペース機能 ( ワークスペース ブラウザから選択 )
には、「自動関連付け」(Auto Associate) オプション
よりも優れた点があります。それは以下の 2 点です。
• PTC Windchill 部品と CAD ドキュメント間の関連
付けのプレビューにより、チェックイン前にケース
バイケースで提案された関連付けを確認できる。
• 関連付けと CAD 主体の PTC Windchill 部品属性
をより直接的に制御する一方、操作性を高めるた
め に デ フ ォ ル ト の 設 定 を 維 持 で き る。 図 6 に 示
す よ う に、「 オ ー ナ ー」(Owner)、「 コ ン テ ン ツ 」
(Content)、「 イ メ ー ジ 」(Image)、「 貢 献 コ ン テ
ン ツ 」(Contributing Content)、「 貢 献 イ メ ー ジ 」
(Contributing Image) の 5 つの標準リンク関連付
けタイプから自由に選択できます。また、デフォル
トの関連付けの例外も管理できます。
図 6:「編集」(Edit) >「自動関連付け」(Auto Associate) ワーク
スペース機能を使用すると、
「オーナー」(Owner)、
「貢献イメー
ジ」(Contributing Image)、「イメージ」(Image)、「貢献コン
テンツ」(Contributing Content)、「コンテンツ」(Content) の
5 つのリンク関連付けタイプから選択できる。
「 編 集 」(Edit) >「 自 動 関 連 付 け 」(Auto Associate)
ワークスペース機能を使用することで、望んだような
関連付けが行われない場合に、CAD ファイルと PTC
Windchill 部品の間の関連付けを繰り返し変更すると
いう手間を省くことができます。
ヒント 3̶ローカル キャッシュ フォルダへのア
クセスの管理
お客様によっては、対応する各 PTC Windchill アカウ
ントで複数のプロジェクトをセットアップする必要が
あるケースもあります。設計者の立場から考えると、
別のアカウントに切り替えるたびに ( 別のプロジェク
トで作業するため、など ) PTC Windchill と OS の両
方にログインする時間がもったいないものです。しか
し、PTC Creo Parametric™ と PTC Windchill を併
用しているときに、同じ OS ログインで別のアカウン
トを使用して PTC Windchill にログインしようとする
と、問題が発生します。
必要な関連付けがあることを確認したら、チェックイ
ンします。
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この問題の原因は、PTC Creo が CAD データをローカ
ル キャッシュにダウンロードすることです。PTC は
常に、各 PTC Windchill ログインに、ローカル ワー
クスペース キャッシュを格納するための専用のロー
カル ディスク フォルダを用意するようお願いしてき
ました。同じ OS ログインで別の PTC Windchill ア
カウントを使用して PTC Windchill にログインした
場合、この PTC の方針への違反となることがありま
す。この場合、ローカル キャッシュにアクセスする
ために最後に使用したものと異なるアカウントで PTC
Windchill にログインしようとすると (PTC Creo 2.0
M080 以降 )、図 7 に示すような警告が表示されます。
図 7: ローカル キャッシュにアクセスするために最後に使用した
ものと異なるアカウントで PTC Windchill にログインしようと
すると、PTC Creo にこの警告が表示される。
使用されている PTC Windchill ログインごとに別々の
OS ログインを使用する場合は、ローカル キャッシュ
がデフォルトで OS ログインのプロファイル フォルダ
に作成されるため、問題は発生しません。
こ の 警 告 が 表 示 さ れ た 場 合、「 無 視 」(Ignore) を ク
リックすれば作業を継続できます。ただし、この対応
はお勧めしません。続行した場合、さらに多くのエラー
メッセージが表示される可能性が高くなります。
図 8: 複数の PSF ファイルが存在する場合、PTC Creo に起動
設定を選択するためのプロンプトが表示される。
この問題を回避するには、PTC Creo Parametric 起
動ファイル (PSF) を作成するとよいでしょう。これ
は、PTC Creo Parametric の起動時にローカル キャッ
シュおよび設定ファイルに別のローカル ドライブの場
所を使用するように設定するファイルです。
デ フ ォ ル ト で は、PTC Creo の イ ン ス ト ー ル 時 に
1 つの PSF ファイルが作成されます。このファイル
と 追 加 し た PSF フ ァ イ ル は、Creo Parametric の
<loadpoint>\Parametric\bin フォルダに保存されま
す。複数の PSF ファイルが存在する場合、図 8 に示
すように、PTC Creo Parametric の起動時に起動設
定を選択するプロンプトが表示されます。PSF ファイ
ルごとに、1 つの起動設定エントリが作成されます。
図 9: PSF ファイルの編集
新しい PSF ファイルを作成するには、既存の PSF を
コピーして新しい名前を付け (.psf 拡張子が必要 )、そ
の PSF ファイルを編集します。新しい PSF ファイル
に名前を付けるには、図 9 に示すように、「DESC」の
値として入力したテキスト文字列を変更します。
PSF ファイルでローカル ディスクに固有のローカ
ル キャッシュ領域を指定するには、目的のローカル
キャッシュ フォルダをポイントするように環境変数
PTC_WF_ROOT を定義します ( 図 9 のハイライト表
示された行を参照 )。
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DESC 行を編集するだけでなく、ファイル下部にある
「 // A d d U s e r s p e c i f i c e n v i ro n m e n t o r r u n
applications below here」 と い う コ メ ン ト の 下 に、
ほかのすべてのエントリも作成します。構文はおおむ
ね以下のとおりです。
• 環境変数の値を指定する場合は、ENV コマンドを
使用する
• 変数の既存の値を変更する場合は、等号を使用する
(ENV=)
• 既存の値の後に値を追加する場合は、プラス記号と
等号を使用する (ENV+=)
• 既存の値の前に値を追加する場合は、マイナス記号
と等号を使用する (ENV–=)
この手順に従うことで、問題を回避することができ、
不明なエラー メッセージは表示されません。
まとめ
ここでご紹介したヒントの一部は基本書にはあまり掲
載されていないため、ご存知の方は少ないかもしれま
せん。これらはいわゆる「知る人ぞ知るヒントとテク
ニック」で、通常は PTC University のトレーニング
セッションを担当する講師から習得するものです。
PTC University のトレーニングとツールにより、個人
ユーザーや組織が PTC のソフトウェアをさらに効率
的に使用できるようになります。特定のトレーニング
コース、経験豊富なユーザーの技能をさらに高める方
法、トレーニング スケジュールと予算要件に合わせて
カスタマイズされた企業ラーニング プログラムのいず
れをお探しでも、PTC University では、従来のクラス
ルームでのトレーニング、オンライン コース、および
教育や業務のコンサルティングを介してビジネスの最
適化をお手伝いします。
PTC 製品情報̶直接確かめる
• PTC University は PTC の製品開発部門やコンサル
ティング部門に直結しているため、数千件にのぼる
お客様の環境での導入経験から得られたベスト プ
ラクティスと最新の製品情報がすべてのコースに反
映されています。
グローバルなエキスパートのネットワーク
• PTC University のトレーニング クラスはすべて、
経験豊富な講師や認定トレーニング パートナー
が担当します。当社のグローバル ネットワーク
により、場所にかかわらず、一貫した品質の PTC
University トレーニングが提供されます。
柔軟なトレーニング オプション
• PTC University がご提供する講義形式のクラスは、
オンサイト形式、バーチャル形式、従来のクラス
ルーム形式の中からご自由にお選びいただけます。
さらに PTC Windchill のクラスはすべて、E ラーニ
ング ライブラリもご利用いただけます。
組織でのトレーニングご利用の詳細については、こちら
までお問い合わせください。弊社のトレーニング アド
バイザが、お客様に最適なトレーニング探しをお手伝
いをいたします。PTC University の Web サイトもご
覧ください。
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のみを目的としたものであり、事前の通知なしに変更される可能性があり、PTC
が 保 証、 約 束、 条 件 提 示、 提 案 を 行 う も の で は あ り ま せ ん。PTC、PTC ロ ゴ、
Product & Service Advantage、Creo、Elements/Direct、Windchill、Mathcad
およびその他すべての PTC の製品名およびロゴは、米国およびその他の国における
PTC またはその子会社、あるいはその両方の商標または登録商標です。その他の製
品名または企業名はすべて、各所有者の商標または登録商標です。新製品や新機能
のリリース時期は予告なく変更されることがあります。
J3090–PTCWindchillTips–JA–1213
PTC University をご利用いただくと、次の方法でソフ
トウェアへの投資を最大限に活かすことができます。
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