反響定位をシミュレートしたゲームの開発

反響定位をシミュレートしたゲームの開発 Development of Game Program Simulates Echolocation
1W090512-6 三浦 祐
MIURA Yu
指導教員 菅野 由弘 教授
Prof. KANNO Yoshihiro
概要: 本研究は、自身が発した音の反響音を聴き取って周囲の状況を知る反響定位という技術をシミュ
レートした Flash ゲームの作成を行うのが目的である。このゲームは、壁が見えない迷路で反響定位を駆
使してプレイヤーがゴールを目指すという内容で、聴覚よりも視覚に大きく頼って生活している視覚健常
者が反響定位をどれだけ使いこなすことができるか、また何度もプレイすることでプレイヤーが反響定位
を効率的に使えるようになっていくのかを実験できるゲームを作成することが目標である。本論文は、こ
のゲームの製作のプロセスと作成したプログラムの解説、ゲームのルールや操作方法を記したマニュアル、
研究の反省と将来になすべきことを記している。
キーワード:反響定位、プログラミング、ゲームアプリケーション、Adobe Flash
Keywords: Echolocation, Programming, Game Application, Adobe Flash
1. 序文 視覚障害者の中には舌打ちの音(吸着音)
を使って、その反響音で周囲の状況を認知す
る人がいる。これは反響定位と呼ばれている。
本研究では反響定位をシミュレートしたゲー
ムアプリケーションを Adobe Flash で作成す
る。
2. 作成過程 ゲームプログラムの開発にあたって、開発
環境として Flash Develop を、3D ライブラリ
として Papervision 3D を利用した。
図1 クラス構成図
作成したクラスは、プレイヤーの位置情報
を画面に表示させる DisplayInfo クラス、プ
レイヤーの位置情報と迷路の踏破状況をもと
に迷路の全体図を表示する DrawMap クラス、
3D 迷路を描画する DrawMaze クラス、迷路
のゴールを設定する Game クラス、プログラ
ムの起点となる Main クラス、
プレイヤーの入力を反映して迷路内での動き
を制御する Maze クラス、迷路のデータをロ
ードし管理する MazeData クラスの7つであ
4. 跋文 音声機能を実装するつもりで Flash での開
る。
発をすることになったのだが、肝心の音声機
3. ゲームマニュアル 能を実装するに至らなかった。そして、この
プレイヤーは3次元で表現された迷路内を進
ゲームの完成度は低く、ゲーム性が殆ど無い。
み、ゴールを目指す。ゲーム開始直後はプレ
ゲーム性を高めるのが本研究の今後の課題で
イヤーの情報とわずかばかりに描かれた迷路
ある。
の全体図しか表示されていないため、迷路な
ど存在しないように見えるが、プレイヤーが
壁に衝突したり、反響定位を模した行動で壁
を発見したりすると、壁が表示され、壁がそ
こかしこに存在することがわかる。ただし、
壁の表示は段々とフェードアウトしていくた
め、プレイヤーは自分の位置情報と記憶を手
掛かりにゴールを目指すことになる。
図2 スタート直後のゲーム画面 図3 実際はこうなっている