「カルピス」を飲んで感じる“なつかしさ”は、気持ちをポジティブにし、 家族と

NEWS RELEASE No.C1551
2015年11月10日
「カルピス」の心理学研究
「カルピス」
を飲んで感じる
“なつかしさ”
は、
気持ちをポジティブにし、
家族とのきずな感の高まりにつながっていることを確認
日本社会心理学会第56回大会(10月31日∼11月1日/東京)にて発表
カルピス株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:岸上克彦)発酵応用研究所は、心理学研究により、
「カルピス」を
飲んだ時に感じるなつかしさは、
気持ちをポジティブにし、
家族とのきずな感の高まりにつながっていることを
確認しました。この研究結果を、京都大学大学院教育学研究科 楠見孝教授の監修のもと、日本社会心理学会
第56回大会(2015年10月31日∼11月1日)にて発表しました。
【研究背景】
近年、
“なつかしい”
という感情が、
心の健康に役立つことが心理学領域の研究で注目されています。
例えば、
高齢者が
なつかしい物をきっかけに、過去を回想することは心の安定につながることが報告されており、介護の現場などで
活用されています。
カルピス社では、
からだの健康と共に心の健康も大切であると考え、
心理学の専門家と共同して心の健康に関する研究
*1
を進めています 。
日本初の乳酸菌飲料
「カルピス」
は、
1919年の発売以来、
幅広い世代のお客様にご愛飲いただいています。
お客様から寄せられる「カルピス」にまつわるエピソードの多くは、
「兄弟と一緒につくった・飲んだ」
「親につくって
もらった」など、そのとき身近にいた人や、希釈タイプ飲料ならではの「つくる」間のワクワクした気持ちなど様々な
思い出とともに語られます。このことから、
「カルピス」は多くの人にとって過去を回想するきっかけになり、また、
“なつかしさ”
を誰かと共有することによりコミュニケーションを生み出すツールとして、
高齢者をはじめとする様々な
方の心の健康に役立つのではないかと考えました。
そして、
その可能性を学術的に証明することにより、
「カルピス」
を
様々な場で役立てていただきたいと思い、今回の研究に取り組みました。
【調査概要】
目 的 : 「カルピス」を飲んだときに感じる“なつかしさ”が心理面にあたえる影響について調査すること
対 象 : 全国の15-79歳の男女 計487名(男性:239名、女性:248名、各年代:63∼72名)
※事前調査で、
「カルピス」
を飲んだ時の思い出が残っている、
1年以上
「カルピス」
を飲んでいない、
の
2項目に当てはまった人
調査時期 : 2014年11月15日、16日のいずれか1日
調査方法 : 自身で「カルピス」を希釈調整して飲用、その前後にアンケートに回答していただきました。
【結果】
1.
「カルピス」
を飲んだときに感じる
“なつかしさ”
は、
ポジティブな気持ち
(元気な気持ち、
落ち着いた気持ち)
を
もたらすことがわかりました。
2.
「カルピス」
を飲んだときに
“なつかしさ”
を感じた人は、
家族とのきずな感を強く感じていることがわかりました。
3.
「カルピス」
を飲んだときに感じる なつかしさ が、
ポジティブな気持ちの変化を通じて、
きずな感の高まりに
つながっていることを確認しました。
<本件に関するお問い合わせ先>
アサヒグループホールディングス株式会社 広報部門
<お客様からのお問い合わせ先>
カルピス株式会社 お客様相談室
電話:03-5608-5126
フリーダイヤル:0120-378090
【結果の詳細】
“なつかしさ”に関するアンケート(①)で、
“なつかしさ”を非常に感じている、感じていると回答した人(431名)を
『なつかしさ有群』
“
、なつかしさ”
をまったく感じていない、
感じていないと回答した人
(56名)
を
『なつかしさ無群』
とし、
両群の感情尺度(②)、ソーシャルサポート尺度(③)に関するアンケートの結果を比較しました。
<アンケート項目> ① “なつかしさ”に関するアンケート (飲用後)
*2
② 感情尺度 (飲用前・飲用後)
*3
③ ソーシャルサポート尺度 (飲用後)
(元気な気持ち、落ち着いた気持ち)を
1.
「カルピス」を飲んだときに感じる“なつかしさ”は、ポジティブな気持ち
もたらすことがわかりました。
非常に
感じている
3.0
感情尺度
(②)
に関するアンケートの結果より、
「カルピス」
を
*
2.8
飲んで
“なつかしさ”
を感じた人
(なつかしさ有群)
は、
「カルピス」
2.8
の飲用後にポジティブな気持ち(元気な気持ち、落ち着いた
2.6
2.6
気持ち)が有意に高まることがわかりました(図1)。
2.4
2.4
2.2
2.2
まったく
感じていない
2.0
*
3.0
2.0
飲用前 飲用後
元気な気持ち
■なつかしさ有群
●なつかしさ無群
飲用前
飲用後
落ち着いた気持ち
交互作用 p<0.1
単純主効果 *p<0.05
交互作用 p<0.05
単純主効果 *p<0.05
図1「カルピス」飲用による感情の変化
2.
「カルピス」
を飲んだときに
“なつかしさ”
を感じた人は、
家族とのきずな感を強く感じていることがわかりました。
とても
感じている
ソーシャルサポート尺度(③)に関するアンケートの結果
*
7
より、
「カルピス」
を飲んで
“なつかしさ”
を感じた人
(なつかしさ
有群)は、感じなかった人(なつかしさ無群)と比べて、家族の
6
サポート感
(家族とのきずな感)
が有意に高く、
その他の人から
5
のサポート感
(その他の人とのきずな感)
も高い傾向があること
4
がわかりました(図2)。
なつかしさ無群
なつかしさ有群
†
3
家族の
サポート
まったく
感じていない
友人の その他の人の
サポート
サポート
対応のないt検定* p<0.05、†p<0.1
図2「カルピス」飲用後に感じるソーシャルサポート感
3「
.カルピス」
を飲んだときに感じる なつかしさ が、
ポジティブな気持ちの変化を通じて、
きずな感の高まりに
つながっていることを確認しました。
「カルピス」を飲んだときに感じる“なつかしさ”と、結果1の気持ちの変化、結果2のきずな感との因果関係を、
*4
共分散構造分析(SEM) により確認しました。(図3)。
0.78*
0.68*
0.37*
0.31*
0.80*
きずな感
*
図3 「カルピス」飲用による3つの感情の関係性
2
0.88*
【まとめ】
今回の調査から、
「カルピス」を飲んだ時に感じるなつかしさは、気持ちをポジティブにし、家族とのきずな感
の高まりにつながっていることを確認しました。昔、
「カルピス」を飲んだときの情景をよい思い出として捉え、
また、誰かと一緒につくった・飲んだなど身近にいた人とのつながりを思い出したことが、このような気持ちの
変化につながったと考えられます。
また、本資料では結果は掲載していませんが、今回の調査の中で、
「カルピス」を飲むと不安な気持ちや寂しい
気持ちがやわらぐことも明らかになっています。
今後も
「カルピス」
が心理面に与える良い影響に注目し、
「カルピス」
ならではの特徴を活かした心の健康への
貢献を目指して、研究を進めてまいります。
【共同研究者のコメント】
京都大学大学院教育学研究科 楠見 孝
教授
なつかしい感情が何によって引き起こされ、
どのようなポジティブな効果が起こるのかは、
なつかしさをめぐる
心理学における重要な問いです。
これまでは昔の音楽や写真によって、
なつかしい感情を引き起こす研究がされて
きました。
これらの研究では、
孤独を感じている人や悲しんでいる人、
過去を忘れかけている高齢者に、
なつかしい
感情を引き起こすことによって、過去の出来事を生き生きと思い出し、人との絆を感じたり、安らぎの気持ちを
感じることが示されてきました。
今回の研究結果は、
子どもの頃に何度も経験した飲物がなつかしさを引き起こし、
幸せな気分になるとともに、
家族との繋がりを思い出させるという点で、興味深い発見だと考えます。
「カルピス」が手軽に手に入れやすく、
また思い出を想起させやすいアイテムであることから、
「カルピス」
が、
幅広い世代になつかしさを通して、
心の
健康に貢献するアイテムの一つとして役立つのではないかと考えます。
【用語説明】
*1「カルピス」の心理学研究
過去に学会発表およびニュースリリースを行っています。ニュースリリースは以下の通りです。
・2012年5月「家族や友人と一緒に「カルピス」を作る経験がすこやかな心の成長に貢献」
http://www.calpis.co.jp/corporate/press/nrl_00026.html
・2015年3月「『カルピス』を親子で一緒につくって飲む体験が親子のコミュニケーションを生み出し子どもの
すこやかな心の成長に貢献することを確認」 http://www.calpis.co.jp/corporate/press/nr_00758.html
*2 感情尺度に関するアンケート
快・不快など幅広く感情状態を測定する際に用いられる
「一般感情尺度」
(小川ら,2000)
をもとに、
独自に作成した
調査票で調べました。
感情の状態を表す29項目
(元気な、
充実した、
緊張した、
驚いた、
くつろいだ、
など)
について、
1.まったく感じていない ⇔ 4.非常に感じている、の4段階で評価します。
*3 ソーシャルサポート尺度に関するアンケート
家族や友人などからのサポート感
(必要なときに手を差しのべてくれる、
嬉しいことも悲しいことも分かち合える
人がいる、
など)
を測定する際に用いられる
「ソーシャルサポート尺度」
(田中ら,2010)
を用いて調べました。
1.まったくちがう ⇔ 7.まったくそのとおり、
の7段階で評価します。
*4 共分散構造分析(SEM)
様々な因子
(今回の調査では、
アンケートへの多様な回答パターン)
を総合して解析し、
複数の事象
(今回の調査では、
“なつかしさ”
を感じる、
ポジティブな気持ちになる、
きずな感が高い)
の因果関係を調べる統計的手法です。
今回、
良好なモデルの適合度(NFI:0.996, CFI:1.000, RMSEA:0.000)が得られています。
「カルピス」
「カラダにピース」は、カルピス株式会社の登録商標です。
3