風送ダストの発生・長距離輸送のメカニズムの解明

WORKING REPORT
大気調査グループ
大陸の乾燥・半乾燥地域から風によって大気中に舞い上がる風送ダストは、発生域の農業生産や生活環境
に被害を与える他、日射の散乱・吸収及び赤外放射の吸収過程による放射強制力効果を通じてグローバルな
気象・気候変動に影響を及ぼしていると考えられています。
現在、最大供給源の一つであるユーラシア大陸から供給される風送ダストが及ぼす気候システムへの地球
規模での影響を定量的に明らかにするために、日中による共同研究が進められています。研究概要は以下の
ようになっており、このような大陸スケールのダスト発生・長距離輸送過程の総合的観測解析計画はアジアで
は初めてであり、当社は研究機関の一つとして参画しています。
【 風送ダストの大気中への供給量評価と気候への影響に関する研究の体系 】
発生メカニズムの解明
長距離輸送過程の実態解明
ダストの分布の時間的、空間的変動を把握
・ライダーによるダスト鉛直分布の観察
・人工衛星によるダスト分布の観測
・大気混濁度観測装置(サンフォトメータ
ー)観測
・ダストの物理化学的性質の解明
発生及び舞い上がり過程における地表面
条件・気象条件との関係を解析
・気象、地表面(土壌)の集中・長期観測
・ダスト発生量の集中・長期観測
・発生モデルの作成・有効性の検証
統合化ダストモデルの開発
中国の共同研究体制
中国科学技術部
中国科学院
↓
中国側委員会
立案↓ 調整
研究実施機関
大気物理研
遥感応用研
西安地球環境研
寒区乾区環境与工程研
その他
ダスト供給の定量的評価
大気・海洋への供給量評価
気候への影響に関する研究
◎
◎
◎
◎
◎
ダストが地球温暖化に及ぼす影響を解明
黄砂の客観解析・予報
ダスト情報を組込んだ天気予報の精度向上
越境大気汚染物質の発生源の推定・拡散予測
火山噴煙・森林火災煙抽出技術への応用
日本の共同研究体制
科学技術庁
研究推進委員会
↓ 推進
研究実施機関
気象研究所
気象庁
防災科学研究所
通信総合研究所
理化学研究所
名古屋大学
福岡大学
新日本気象海洋㈱
その他
当社の担当研究及び担当者
● 発生域における風送ダスト鉛直分布に関する研究/山本 享
風送ダスト発生域のタリム盆地内においてライダーの通年観測を行い、砂漠上に形成されるダスト層の構造
と季節変化を解明する。同時に地上要素や気象の観測を行い、砂漠から放出されるダスト量を評価する。
● 大気中風送ダスト粒子の物性に関する研究/鈴木 潤、高橋 恒太
係留気球を用いて長距離輸送途中のダストの大気サンプリングを行い、粒径・物性情報を収集・解析する。
● 風送ダスト発生量評価に係る地表面情報に関する研究/土屋 清、吉野 正敏、鈴木 潤、小池 克征
過去の資料、GIS データベース等を利用して、風送ダスト発生に関る地表面情報データセットを作成すると
共に、地表面情報抽出のための衛生データ解析、現地調査による地表面条件の時系列データを作成する。
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