女性の社会進出による非婚化・晩婚化への影響に関する調査研究

女性の社会進出による非婚化・晩婚化への影響に関する調査研究
04UA050 河野早紀
1.研究目的
現代,女性の大学進学率が進み,仕事を持つ女性が増えている。一方,日本の婚姻率の
低下や初婚年齢の低下が進んでいる。よく新聞やテレビで「女性の社会進出により非婚化、
晩婚化は進んでいる」と耳にするが,どのように女性の社会進出が非婚化,晩婚化へ影響
を与えているのだろうか。そこで本研究は、非婚化,晩婚化の実態や主な要因とされてい
るもの,女性の社会進出の現状や女性の結婚意識なども調べ,女性の社会進出と非婚化,
晩婚化の関連性を調査する。また、行政がどのような政策をとっているのか,今後の課題
についても整理する。
2・研究方法
・ 非婚化,晩婚化の実態
・ 女性の社会進出
・ 非婚化,晩婚化への対策
以上の3点を柱に文献や総務省の「国勢調査」や厚生労働省の「人口動態計」などの統計
情報も参考にし,必要に応じてグラフを作表し,考察していく。
3.非婚化,晩婚化の実態
非婚化
未婚率は、1950 年から 80 年頃まで男性が約 50%,女性は約 33%だったが,1980 年代後
半から未婚率が上昇傾向となり,2000 年には,男性 68.2%,女性 55.5%となっており,結
婚していない人の方が多くなっている。生涯未婚率も現在では男性 16%,女性 7%と上昇
傾向にある。
晩婚化
現在の平均初婚年齢は男性 29.8 歳で女性は 28.0 歳である。70 年代は男性 27.2 歳,女性
24.4 歳であったことから、平均初婚年齢の上昇が伺える。
主な要因
1.パラサイトシングルの出現
2.親の変化
3.男女交際の変化
4.女性の変化
5.サービスの多様化
4.女性の社会進出と結婚
女性の社会進出
現在の女性の就業率は 41.9%、進学率は 38.5%で双方とも上昇傾向にある。進学率では、
特に四年制大学への進学率が伸びてきている。また、女性の役職者も 20 年前に比べると2
倍以上に増えている。勤続年数も15年以上働いている女性が少しずつながら増加してい
る。
女性の結婚意識
約9割の女性が「いずれ結婚するつもり」と考えている。しかし、結婚適齢期というも
のを意識する女性が少なくなってきている傾向があり、結婚しない理由として一番に挙げ
られるものは「適当な相手にめぐり会わないから」であった。結婚相手を選ぶとき一番重
視していることが、人柄、家事などの協力や自分の仕事に対しての理解と挙げた女性がそ
れぞれ5割以上で、経済力は3割であった。
結婚による弊害
現在の夫婦の家事分担は、1:9の割合で女性が担っていて家事を義務化されてしまっ
ている。そして、出産を機に退職する人が4割にものぼる。また、育児休暇などの制度を
利用している女性は少なく、制度を利用しづらい現状もあるようだ。
5.非婚化,晩婚化への対策
現在国レベルの具体的な対策はとられていない。しかし自治体レベルでは奈良県で、「ス
トップ少子化」を県民運動として、
「結婚」「子育て」「家族」の三面で支援態勢を取ってい
る。様々な結婚啓発イベントを開催しており、関連した書籍なども出版している。なかで
も、「なら結婚応援団」事業は、出会いの場となるイベントを実施する企業・店舗・NPO
などを募り,出会いの機会を提供している。
6.まとめ
以上のように、女性の社会進出が非婚化,晩婚化へ影響していることは明確である。し
かし,非婚化,晩婚化の要因は様々な要素が絡み合い影響している。女性側の問題だけで
なく、男性側の意識の変化や,親子関係の変化なども大きな要因であると考える。今後は、
男性も含めた労働環境の見直しや、国レベルの対策に期待したい。